another world、『Origin』に、存亡の危機が迫っている。
『人類が絶滅すると、God of Originも遠からず消滅してしまう。そうなると、惑星自体は残っても、worldとしては消滅したのと変わらない』
『God of Originは、人類全体のreligionや畏怖が創りだした存在だ。そのため、我々のように新たな知的生命体を創る事が出来ない。
人類が絶滅すれば、共に滅ぶしかない』
『我々も簡単に創れる訳ではないけどね、知的生命体』
『God of Space and Creation』Zuruwarnと、『Magic God of Time and Arts』Ricklentは『Lambda』worldの外周部で、another worldに動きがないか念のために調べていた。
『Origin』は『Earth』と同じく、『Lambda』とspace的に近いworldであり、world間の時間が流れる速さはだいたい同じだ。しかし、誤差で数か月から一年分程時間の流れが速くなる事がある。ついこの間、それがあったばかりだが、だからといってしばらく起きないとも限らない。
普段ならそれで困る事はなく、気に留める事もないのだが……今の状況では、それを見逃す事は避けなければならない。
『たしかに、その通りだが、茶々を入れないでもらおう。それより、『Origin』の危機だが……Rodcorteは動くと思うか?』
『動かないどころか、存亡の危機が迫っている事にも、気がついてないかもしれない。気がついていて、動かない可能性も高い』
『Origin』に迫っている危機とは、【Avalon】のRokudou HijiriによるDeath-Attribute Magicの研究だ。
もし研究が上手く……つまり、最悪の結果を出せば、Rokudou Hijiriが研究を行っているContinentが、そして『Origin』の人類が対処できなければ、南半球か北半球、どちらかの生命体が死滅する。
人類が、ではなく生命体が死滅するのだ。鳥と獣、魚、植物だけではない。空気中やunderwater、そして地中の菌やカビ、バクテリアまで残らず死滅する。
数年前『The 8th Guidance』のPlutoが、自身の死後、Department of Defenseでdeath attributeのManaをrunawayさせた時に起こった事が、Continent規模、もしくは半球規模で起きるのだ。
即座に人類が絶滅する事はないが……将来的に人類が生き残る事が出来るかは、分からない。何せ、ただ人類が半分に減るだけではなく、広大な面積が生命体の存在しない死の大地と海と化すのだ。
Rodcorteがそこまでの事態を想定しているかは、不明だ。いや、想定していたとしても、Reincarnatorである【Bravers】が大勢死に、対Vandalieuのためのminionsとして使えるようになる機会としてしか、考えていないかも知れない。
『今の奴が、Originにどれ程の価値を感じているかは不明。death attributeのManaのrunawayでworldの生命体が半分死んでも、魂が砕かれる訳じゃない。砕かれていなければ、奴のCircle of Reincarnation systemはビクともしないのかもしれない。
それに、『Origin』の神はVandalieuのallyだから、寧ろworldの滅亡を望んでいることも考えられる』
そうconjectureするZuruwarnは、Rodcorteが以前『Lambda』worldをCircle of Reincarnation systemから切り離すために、『Earth』と『Origin』ごと見捨てようとした事を知らない。もし知っていれば、自分のconjectureに確信を持っただろう。
実際、Rodcorteにとって『Origin』の事は二の次になっており、最も優先すべき「Vandalieu抹殺」を達成させるためならどうなっても構わない。そんなworldでしかなくなっている。
Vandalieuを抹殺し、Vidal Magic Empireが滅亡してLambda worldの神ではなくなった時、『Origin』が存続していれば「ちょっとラッキー」、滅びていても「まあ、別にいいか」で済まされる程度なのだ。
『もっとも、ただ単に他のReincarnatorが抑止力になると信じているだけかもしれないが』
『Amemiya Hirotoか。God of Originも力を貸すそうだから、何とかしてもらいたいところだな。……そして、あわよくば生き残って、平均寿命を遥かに凌駕するageまで余生を過ごしてくれれば幸いだ』
ZuruwarnとRicklentはそう言いながら、Amemiya Hirotoの健闘を祈った。
『それよりもZuruwarn、他のworldのGodsに動きはあるだろうか? もし、Rodcorteが応援を頼み、それに応じる神がいたら……あまりにも哀れだ』
Ricklentが心配しているのは、Rodcorteが自身のsystemによってCircle of Reincarnationを司っているanother worldのGodsに、応援を要請する事だ。
Vandalieuの抹殺に協力しなければ、お前達のworldのCircle of Reincarnationを止める。そう脅す事によって。
『我は、考え過ぎだと思うけどね。それはあまりにも諸刃の剣過ぎる』
spaceの遥か彼方を見据えながら、杯に黒い液体を注いでZuruwarnがいう。
Ricklentが案じているのは、worldの存続を望む神全てに効果のある脅迫をRodcorteが行い、それにanother worldのGodsが応えてしまう事だ。
だが、実際に脅迫が行われれば、多くのanother worldの神はRodcorteに不信感と危機感を覚えるだろう。彼等にとってこの脅迫が一度だけで済む保証はない。これ以後、何度もCircle of Reincarnationを盾に理不尽なdemandをthrust付けられるかもしれない。そう考えるだろう。
そうしたGodsが行うとZuruwarnが考えるのが、独自のCircle of Reincarnation systemの構築だ。Demon King Guduranisや、Vidaがsystemを模倣する事が出来たのだ。another worldのGodsに出来ない理由がない。
すると、Rodcorteは力の源である複数のworldのCircle of Reincarnationを独占できる体制を、失ってしまう。その危険性を彼が冒すとは、Zuruwarnには考え難かった。
Rodcorteの賢さを信じているのではなく、彼にはそこまで思い切った手段を取る事は出来ないだろうと考えていたからだ。
『それに、もしanother worldの神が我々のworldに攻め込もうとしたって……我々やVandalieuが何もしなくても、数分とかからず消滅すると思うけれど。
物理法則が異なるanother worldにAdventするのだから』
基本的に、Godsが地上にAdventするには、大量のenergyが必要になる。それを、自分のworldとは物理法則が異なる『Lambda』で行うのだから、より大量のenergyが必要になる。そして、特定のworldに根差している神は、そのworldから準備をせず……believerの大多数と共にworldを超える等をしなければ、四肢の内一本を引き千切られるような痛みとDamageを負う。
そんなconditionでこのworldにやって来ても、Zuruwarn達が何もしなくても、数分で力を使い果たして眠りに入るだろう。Demi-GodのようにBodyがある場合は、ただ死ぬだけだ。
唯一心配なのは、Guduranisや配下のDemon King Armyの邪悪なGodsのように、Zuruwarn達通常の神や亜人とも異なるanother worldのGodsが侵攻してきた場合だが……逆に言えば、Rodcorteがそんな存在と交渉しCircle of Reincarnationを司る事を了承させているとは考えにくいので、その心配が現実になる事はないだろう。
『それは分かっている。十万年以上前、我々が『EARTH』に赴き、Champion達を見出す事が出来たのは、我々のworldと『EARTH』に満ちているManaが我々にとって都合が良かった事、汝の尽力、そして我々が己の存在を維持する事を中心に力を使っていたからだ』
あの時は、事前に『EARTH』の神との交渉が済んでいた事も大きかったが……Ricklent達LambdaのGodsにとって『EARTH』worldの環境は暫くなら耐える事が出来るものだった。さらにZuruwarnがworld同士をspaceの穴で繋げ続けた事で『Lambda』から切り離されずに済み、そして何より目的がChampionとして招くHumanを選ぶ事であって、戦闘ではなかった事もあってそれ程力を使わずに済んだ。
Champion達に力を与えたのは、worldからworldへ渡るその刹那の間に行ったので、『EARTH』と『Lambda』、両worldの物理法則に邪魔されずに力を与える事が出来たのも大きかった。
『Ricklent、もしや我々と同じ事がanother worldのGodsにも出来ると考えているのか?』
『そんな事はない。another worldと『Lambda』の差異については不明だが、戦闘を目的にしてくるのなら不可能だろう。……杯からColaを飲む事を指しているのなら、可能だろうが』
四つある頭部の内一つで真面目な話を、三つでColaを飲むZuruwarnに、Ricklentはじっとりとした視線を向けた。自分も三つある姿の内、二つで軽食でも食べようかと神としてあるまじき思考が脳裏を過ぎる。
『我が哀れに思うのは、another worldのGodsがRodcorteの脅迫に屈した場合、僅か数分で力を失い眠りにつき、そのままrevivalする事が出来ないからだ』
しかも、another worldから訪れた神をLambdaの人々は知らない。故に、信仰によるDamageの回復は望めない。元の、believerのいるworldに戻らなければ、revivalする事が出来ないのだ。
『それは、たしかに哀れだが……Rodcorteが他のworldのGodsを脅迫しない事を祈るしかないだろう。今のところ、その-sama子はなさそうだが』
『……その通りだが、念のために我は暫く警戒を続けよう。事前に察知できれば、警告する事も出来るだろう』
そう話し合う二柱の神は、another worldにZuruwarnのようなspaceを操る神とSchneiderやRandolph、Heinz達に匹敵するHeroが存在した場合の事を、神が自分達のworldとこのworldを繋げてHero達を送り込んでくる可能性は考えていなかった。
何故なら、それほどの行動力と力を持つ神が存在するのなら、『Lambda』ではなくRodcorteのDivine Realmに侵攻し、Circle of Reincarnation systemを奪うか、systemの情報を盗んで自分達のworldで独自の運営を始めた方が少ないriskで大きなreturnを得る事が出来るからであり、その事に気がつくはずだからだ。
『しかし、Rodcorteが消滅するか、眠りにつくほどのDamageを受ける事が避けられないと知った場合は、その限りではないが……どうなっている?』
『進捗状況は、ぼちぼち? 本人に訊ねられないから、覗き見る事しかできない。確かめられないのだよね』
その頃、大国同士の全面戦争よりも『Lambda』worldの存続を脅かす脅威と見なされている男、【Avalon】のRokudou Hijiriは、中々進まない計画と研究に苛立ちと疑問を覚えていた。
「【Metamorph】はもう使えそうにない、か」
「はい。錯乱が酷く、姿を維持する事が出来ません。stabilityしているのは、鎮静剤で眠っている時だけです。再洗脳を試みましたが、magicも薬物も効果がありません」
【Shaman】のMoriyaがそう答えると、Rokudouは溜め息を吐いた。彼はこれまで、【Metamorph】のShihouin Mariを洗脳し、shadow武者として使う事で自身の安全と、何よりDeath-Attribute Magicの研究を進める時間を確保していた。
だが、【Metamorph】がRokudouのshadow武者として参加したAmemiya 家で行われた冥の三ageのお祝いで、突然錯乱してから、彼女をcontrolする事が出来なくなってしまった。
そのため、Rokudouはあれから表社会のmediaに露出する仕事を、自分自身で行わなければならなくなった。それが彼の時間を大きく削っている。
Rokudou以外にDeath-Attribute Magicの研究を進める事が出来る、有能な人材を抱えていれば、問題はなかったのだが……。
「Death-Attribute Magicの研究者を、何人か手元に残しておくべきでしたね」
「accurateには、有能な研究者を、だな」
Death-Attribute Magicの研究者の多くは、『The 8th Guidance』、Pluto達によって殺害されている。Pluto達が見つけられなかった、United Statesが秘密裏に確保していた研究者達も、他ならぬRokudou Hijiriの企みによって、Department of Defenseごと抹殺されている。
何故、研究者を拉致や引き抜いて利用しようとせず、抹殺してしまったのかというと、研究を独占するためだ。そして、Rokudouが研究者として有能であり、【Metamorph】という便利なshadow武者のお蔭で表と裏の顔を使い分けても十分な時間を確保する事が可能だったため、外部の研究者を取り込む必要を感じなかったためだ。
ただ、今Rokudou達がいる彼の極秘研究所には彼等以外の研究員もいる。ただ、その多くは研究員という名の研究機器を動かす職員であり、実体はほぼ労働者でしかない。
協力者達が派遣している人材もいるが、彼等もRokudouの補助としては有能でも、研究を主導的に進める事は期待できない。
それでも、研究が順調に進んでいれば支障はなかった。時間が減っても、Amemiya Meiを拉致し、Rokudou Hijiriがdeath attributeのManaを、そしてworldを手に入れる計画を進めるだけで良かった。
計画の方は、表と裏、両方の権力者と協力体制を構築し、何年も前から下準備を済ませている。進めるだけなら、すぐに出来る。
【Bravers】の方への工作は、【Druid】のJosephを中心にした数名から警戒されているようなので、多少やり難くなった。しかし、それも決定的な障害にはならない。Amemiya Hirotoもshadow武者が錯乱するのを見て疑念を覚えたようだが、まだ決定的なものではなさそうだ。
だが、Amemiya Meiを拉致する計画を実行して、肝心の研究がまだ十分に進んでおらず、Rokudou Hijiriがdeath attributeのManaを手に入れられませんでしたでは全てがそこで終わりだ。
協力者たちはいっせいに掌を返し、Rokudou達は裏切り者としてAmemiya Hirotoに倒されてしまうだろう。
Rokudouはworldでも有数のmagicの使い手であり、body part Abilityも超人的。【Shaman】のMoriya Kousuke以下、大勢のReincarnatorをallyにつけているが……【Ignore Defense】等のCheat Abilityを持つAmemiya Hirotoは、それでも対抗できない相手なのだ。
彼を倒すには、death attributeのManaが必要だ。
それに、未だ正体不明な敵対者の存在もある。
「Amemiya 家に潜んでいる……いや、Amemiya Meiに憑いている何者かの正体は不明。Amemiya coupleの-sama子から、彼等と通じ合っている訳ではなさそうだが……Josephと通じている可能性はあるな」
「やはり、【Metamorph】にimpactを与えたのも……?」
「そのはずだ。いったい、どんなmagicを……いや、Abilityなのか? もしや、我々が把握していないReincarnatorが、『Undead』以外にいるのか?」
Amemiya 家には、death attributeを含めた全てのManaを感知するsensorが設置されている。それでも、正体不明の敵対者をsensorは感知できなかった。【Metamorph】の洗脳にimpactを及ぼし、錯乱させた時もだ。
正体不明の敵対者……Bandaを、『The 8th Guidance』の生き残りか、狂信的な崇拝者。もしくは、何者かに送り込まれた工作員と考えているRokudou達にとっては、理解できない事だ。
magicも使わず……Manaを発する事なく姿を消したまま行動し、【Metamorph】を錯乱させるなんて、出来るはずがない。それこそ、自分達が持つCheat Abilityでもなければ。Cheat Abilityは、ActivateにManaを使うが、Manaを発散する訳ではないから、sensorでは感知されないのだ。
実際には、Bandaにとって姿を消したconditionが素であり、【Metamorph】の洗脳を揺るがす事が出来たのは、以前に夢の中で会ったからなのだが。そして、冥の言葉がきっかけになっただけなので、Manaは全く使っていない。
「……私は、やはり何者かのAbilityで創られた存在が、Amemiya Meiに憑いているのだと考えます。私のArtificial Spiritを一瞬で消す程の強力な存在を隠し通すには、そうとしか考えられません」
そう述べたMoriyaのconjectureは、実はあっている。ただ、その『何者か』がCodename『Undead』、このworldには既に存在しないReincarnatorだとは、想像もしなかったが。
「やはり、Reincarnatorか。何者かが私の企みに気がつき、Joseph達をallyに引き込んでAmemiya Meiを守っている。だが、Amemiya HirotoとNarumiにまで秘密にしているのは何故だ?
情報が少なすぎる。今の段階で絞り込むのは不可能だな」
生き残っているReincarnatorはまだまだ多い。そして、神から与えられたAbilityは成長させる事が出来る。その結果、Rokudou達が把握していないAbilityの応用法を編み出したとしても、不思議ではない。
だから、Rokudouは『何者か』の正体を探るのをいったん諦めた。冥を守っている以上、計画の障害になるのは避けられない。だが、障害としての大きさはAmemiya Hiroto以下だと判断したためだ。
「それよりも、問題は研究の方だな。何故、death attributeのManaが発生しない?」
彼が視線を落としたのは、これまで行ってきた膨大な実験の結果が記されたdataだ。しかし、そこにあるのは失敗例だけだ。
『Undead』を捕えていた軍事国家の極秘研究所では、death attributeを「他の全てのattributeに適性がないHumanが、death attributeの適性を持つ」と考えて研究を続けていた。
world中からmagicの適性を持たないとされるHumanのSampleを集めたが、失敗。どのSampleも、持たないと評しても過言ではない程だったが、実際には僅かに適性があった。常人を1とするのなら、その百分の一ほどだったが。
極秘研究所の研究員たちは、次に適性を持たないHumanを人工的に創ろうとした。だが、これも失敗した。そもそも、当時の技術では無からHumanを作る事は出来ず、既存のHumanをCopyしたクローンではattributeの適性を抑える事は出来ても、無にすることは出来なかった。
そして最後の手段として、『Undead』のクローンや、人工的に創りだした子孫、彼を売り渡した両親やその親類等を調べ尽くしたが、全くの無意味だった。
そもそも、人に備わるattributeの適性が何によって決定されるのか、今現在の『Origin』の技術力でも判明していないのだ。
それからは極秘研究所の研究員たちの研究は、迷走し始める。後に『The 8th Guidance』となった者達が実験を施されたのも、この頃だ。
しかし、RokudouはHumanが持つattributeの適性が何によって決まるのか、知っていた。
「このworldのHumanが持つattributeの適性は、魂によって決定される。DNAを幾ら観察しても、全くの無意味だ。
だが、『The 8th Guidance』のように、不完全だが後天的にdeath attributeの適性を得た例もある。私はそれからヒントを得た。彼女達は、条件を一部満たしていたのだと」
「ええ、以前説明を受けました。Rokudou -sanがdeath attributeの力を得るには、死ななければならないと。
『The 8th Guidance』がDeath-Attribute Magicを使えるようになったのは、奴らがattributeの適性を後天的に失い、さらに不完全だが死んでいたからだと」
脳死conditionだったIsis、heartが動いていなかったValkyrie、成長が止まっていたPluto、Bodyを殆ど失っていたBerserkと、完全に失っていたShade……他のmemberも、多かれ少なかれ完全に生きているとは言い難いconditionだった。
そこに『Undead』がdeath attributeのManaを与えた事で、彼女達にdeath attributeの適性が根付いたのだ。
「そうだ。だから、私はこう考えた。attributeの適性を後天的に失い、Bodyが完全に死んでいるconditionなら、完全なdeath attributeのManaを手に入れる事が出来る、と」
certainly、そのままではManaを得たとしてもただの死体。動けるとしても、Undeadだ。Manaが定着したら心lung蘇生を施し、生き返らなければ成功ではない。
「だが、何かが足りない。適性の除去技術は、極秘研究所で既に完成している。体外に出た魂を捕らえ、元のBodyに再び戻す技術も、仮死conditionではない完全な死亡conditionでありながら、蘇生を可能にする技術も完成した。
しかし……それでも出来上がるのは『The 8th Guidance』の劣化Copy、不完全な出来損ないか、毛色の変わったUndeadばかり」
何とRokudou Hijiriは、このworldのHumanが不可能だった魂を保管し、Bodyに戻す技術を開発していた。
もし彼がその技術を公表し、医療分野に活かしていたら、このworldの医科学と治癒magicは大きな躍進を遂げただろう。
将来的には、事故や殺人、自殺、そして老衰以外では人が死なない社会の実現すら見えてくる。今世紀で最も偉大な発見と賞賛され、Rokudou Hijiriの名は歴史に深く刻まれえるだろう。
だが、その程度ではRokudou Hijiriの望みを叶えるにはとても足りない。彼にとっては、野望を遂げるために必要な技術の一つでしかないのだ。
書類には、Sampleが不完全なDeath-Attribute Magicを獲得した実験例も何件か記載されていた。触れた物を腐らせる術、対象の水分を直接奪う術……他にも、『The 8th Guidance』のmemberと同じ術を獲得した者。
Sample達が不完全なDeath-Attribute Magicしか使えないのは、何故なのか。考えるRokudouに、Moriyaが声をかけた。
「……やはり、ReincarnatorとこのworldのHumanでは何かが違うのではないでしょうか? 丁度【Metamorph】も使い物にならなくなりましたし、最後に研究に役立ててはいかがでしょう?」
「いや、それではAmemiya Meiの例が説明できない。彼女の両親はReincarnatorだが、彼女自身はこのworldのHumanだ。無駄な実験で貴重なSampleを失うのは……。
待て、Amemiya Meiと『Undead』の共通点は何だ? そこに、私がdeath attributeのManaを手に入れる鍵があるのではないか?」
はっとしたRokudouは、さらに思考を深める。
death attributeのManaを得る条件になり得る共通点があるとしたら、一つしか思いつかない。しかし、それを今から確認する事はPlutoと【Urðr】が死んでいるため、出来ない。
だが、もしこのconjectureが正しければ――。
「よし、【Metamorph】で実験を行う。その結果次第で、計画を進めるが……時間がかかるかもしれない。場合によっては、私は今のこのbody partを捨てる必要がある」
『Origin』worldの存亡を左右する脅威は、遂に動き出したのだった。