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Special thanks to MBA and the Users from the LBN #spoilers Discord. Without them this would not be possible.

Chapter 305: Evil God of Sinful Chainsと、鎖に囚われたBellwood

 そこには、異-samaな光景が広がっていた。

 Giantな牢獄のCenterに、二つの存在がcountlessの鎖で結ばれている。


 片方は、弱々しい光を放つ整った顔の青年。そしてもう片方は、無残な-sama子の人型の何かだ。

「これは、いったい……?」

 Trial's Dungeonの最下層に広がる光景に飲まれていたHeinzは、何とか声を絞り出した。


「あの、光る青年がHeroic GodChampion Bellwoodだろうという事は……あれが『Evil God of Sinful Chains』!」

 legendに謳われる、忌まわしいEvil God (P)Heroic Godと相討ちになったとされる、強大な神の名だ。

 しかしHeinz達の視線の先にある存在は、そのようには見えなかった。


 大まかな形は、人に近いように見える。二つの頭部には毛髪の代わりに鎖が生え、四本ある腕の肘から先も何本もの鎖と化している。足は二本だけだが、羊のような蹄になっていた。


 だが、Heinz達に分かるのはそれぐらいだった。

「これは……sealedなのか? 体中にcountlessの杭が打たれている」

 『Evil God of Sinful Chains』らしい存在には、肌が見えなくなるほどcountlessの杭が打たれていた。手足はcertainly、胴体、そして二つある顔の穴という穴に杭がthrust刺さり、灰色の壁に縫いとめられている。その足元には、今もbloodのようなものが滴っていた。


「戦いの傷とは思えないな。まるで、Tortureを受けた後の死体じゃないか。Bellwoodが、これをやったのか?」

 小さく「うぇ」っと呻いていたJenniferがそう評すると、Daianaが弾かれたように反論する。

「そんなはずは……legendでは、Bellwoodは『Evil God of Sinful Chains』と相打ちになったはずです。このような事をする余裕があったとは思えません!」


 Daianaの反論は、特に根拠のあるものではなかった。legendMythとして語り継がれている事が、全て真実とは限らないからだ。

 実際には、Bellwoodは『Evil God of Sinful Chains』にlose sealedされてしまったが、駆けつけた他のGodsが『Evil God of Sinful Chains』をsealedし、このような姿にしたのかもしれない。


 それだけ『Evil God of Sinful Chains』のconditionは惨く、とても戦いで負った傷とは思えなかった。


「……Daianaの言う通りかもな」

 何処か白けた顔のEdgarは、そう言いながら『Evil God of Sinful Chains』に打たれた杭を指差した。

BellwoodWeapon Equipmentは剣のはず。杭は、Bellwoodじゃなくて、Aldaが神を罰する時に打つ、God of Lawとしての権能の象徴のはずだ」


 その指摘に、この階層の異-samaな雰囲気に飲まれていたHeinz達は、はっとして「確かに」と彼に同意した。

 Bellwoodsealedした『Evil God of Sinful Chains』を、Aldaが罰し、sealedしたのだと考えれば納得できる。この惨たらしい仕打ちも、自身が選んだChampionsealedされたからなら、分からなくもない。


「よく気がついたわね、Edgar。あの杭がAldaの神としての力によるものだなんて、私は全く気がつかなかったわ」

 DelizahEdgarに感心してそう言うと、Edgarは「ま、まあな」と彼女から視線を逸らして答えた。


Bellwoodが剣以外のWeapon Equipmentを使ったって話は聞かないし、AldaZuruwarnRicklentに罰として杭を打つ話は有名だからな」

 そう答えたが、Edgarはそれで杭をAldaによるものだと気がついた訳ではない。


 彼自身にもわからないが、何故かあの杭はAldaDivine Authorityだと分かったのだ。あの、『Evil God of Sinful Chains』のbloodで汚れ、Godsしい雰囲気のまったくない、禍々しい-sama子の杭が。

 いったい何故気がついたのかと思い返すが、心当たりがない。『God of JudgementNiltark 's Divine Protectionを得ている彼だが、聖典の一言一句までMemoryする類のbelieverでないはずなのに。


 まるでAldaが杭を邪悪な神に打つところを、見た事があるかのように自然とそう思ったのだ。


Edgar、どうした? 何か-sama子がおかしいようだが、何か他に気がついたのか?」

 HeinzEdgarの答えには、疑問を覚えなかった。だが、彼の声が僅かに上ずっていたのに気がつき、追求した。仲間から覚えた違和感は、放置しない方が良いと思ったからだ。


「いや、何でもない。それより、これからどうするかだろ? これまでのように偽者と戦うって訳にはいかないようだしな」

 しかしHeinzが訊ねた時にはいつも通りのEdgarに戻っていた。彼自身も、Heinzに自分が覚えている違和感について、打ち明けるつもりはないらしい。


 だが、Heinzはそれで納得せず、さらに踏み込んで聞き出そうとした。

「確かにそうだが、Edgarscout職のお前が感じた『何か』を黙っているのは、party全体にとって――」

『騒がしいな……』

 だが、Heinzの言葉の途中で聞き慣れない乾いた声が響き、その声の主を察した彼等は咄嗟にWeapon Equipmentを抜き、magicを唱えようとした。


『その声は、神やそのFollowersではないな。……Humanか?』

『ククク、Humanか。五万年ぶりのHumanか。どうやら、まだ絶滅はしていないようだな』


 声の主は、countlessの杭に打たれて壁に縫いとめられている『Evil God of Sinful Chains』だった。

「『Evil God of Sinful Chains』は、sealedされていなかったの!?」

 そう叫ぶDelizahcertainlyscout職のEdgarさえ、『Evil God of Sinful Chains』には注意を払わなかった。Evil God (P)がピクリとも動かず、何のsignもしなかったため、sealedされ、意識も無いconditionだと思ったからだ。


 そして今も、bloodthirstも存在感も何も感じない。monstersの死体で作った趣味の悪いオブジェだと言われたら、信じてしまいそうなほどだ。


『そう、我は『Evil God of Sinful ChainsJyarodeeps。そして、sealedされている』

『それとも、お前達には我が自由に動けるように見えるのか?』

 戦闘態勢を整えたDelizah達に対して、『Evil God of Sinful Chains』はそう楽しげに答えた。喉だけではなく口内、そしてtongueまで杭を打たれているというのに。


「……sealedされているのなら、何故口を利く事が出来る? 私達を油断させるTrapじゃないのか?」

 そう問い返しながらHeinzは油断なく剣を構えた。そして、このDungeonで鍛えた事で鋭さの増したbloodthirstEvil God (P)に向ける。

 しかしEvil God (P)はかすれた声で笑うだけで、やはり動こうとはしない。


『完全には、sealedされていないからだ。見ての通り指一本、目玉さえ動かす事は出来ず、Manaを練る事も出来ない。今の我は、wormよりも無力な存在だ』

『だが、意識だけはsealedされていない。Aldaが、そうしなかったからだ』


「どう言う事だ? やはり、お前をsealedしたのはBellwoodではなくAldaだったのか?」

『ククク、どうやらお前達に伝わっている話は、我が知る真実とは異なるようだな』

『いいだろう、教えてやる。貴-samaが何者であれ、今の我には口を利く事しか出来ぬのだからな』


 そう言うと、Evil God (P)は彼が知る真実を語りだした。


 十万年前のDemon King ArmyChampion軍との戦いを、JyarodeepsFortuneにも生き延びる事が出来た。だが、生き延びる事が出来ただけで、明るい未来があるとは思えないのは他の多くの邪悪な神と同じだった。


 Jyarodeepsには、sealedされたDemon Kingrevivalを企てるつもりはなかった。負け犬に義理立てして自分の身を危うくするのはidiotらしく思えたからだ。

 だが、今からこのworldGodsに恭順するのも躊躇われた。価値観がまるで異なるこのworldの住人と、上手くやっていける気がしなかったからだ。


 だからといって、他のworldに独力で行く事が出来る訳もないので-sama子を見るため隠れ潜んでいた。そして、その間にVidaAldaから離反し、たった百年後VidaAldaが戦い、勝利したAldaがこのworldGodsの長となった。


 これによりworldが辿る歴史の流れは大きく変化したが……Jyarodeeps自身も大きく変わった。


 罪と鎖を司るJyarodeepsの権能は、彼がoriginally存在していたworldでは『Trap』だった。

 彼の出身raceは、Manabody part Abilityもそれ程高くない生態をしていた。ただ、body partの一部をPseudo-餌にして獲物を惹きつける狩りに特化していた。

 そう、Demon Kingworldでいう「罪」とは、騙される事なのだ。そして、罰は喰われる事。


 とてもsimpleであるがゆえに、深い意味はなく、Jyarodeepsの神としての格もそれ程高くはなかった。

 しかし、この「Lambda」では罪の意味が異なる。罪人が犯した罪の種類と、動機、そして手段によって異なる意味を持つ。


 特に、この『Lambdaworldには、Aldaによって何が罪なのか決められた。十万年前、Vidaとの戦いの後、地上を去らなければならないAldaHuman達に教えた、法律の知識によって。

 そもそも、このworldの住人はJyarodeepsにとって、理想的な存在だった。彼がoriginally存在していたworldでは、弱者を殺す事も、嬲る事も、そして食ったとしても、それを行った強者は罪の意識を全く覚えない。何故なら、そうする事が当たり前だからだ。


 だが、このworldの知的生命体は同族を殺しただけで、罪の意識に震える。悪夢に魘され、食事を吐き、時には自ら命を絶ってしまう。

 そこまで重い「罪」という概念に、Jyarodeepsは変化するしかなかった。


 certainly、新たなbelieverを獲得せず、隠れ潜み続ければSelfを保つ事は出来ただろう。だが、それでは力を得る事が出来ず消滅してしまう。

 そのため彼は新たなbelieverを獲得し、このworldの意味に即した『Evil God of Sinful Chains』、Jyarodeepsとなったのだ。


『それからの我は、以前の我とは別の神のようになった。我に祈る者に求めるのは、絶対的なLoyaltyと己の命も捧げる献身、そして生贄ではない。ただ、我が唱えた教義を順守してくれれば、それで良い』

believer畜やminionsではなく、教えGuiding存在となった。当時の我のbelieverは、Humanが多かったので特にな』


 それからの約五万年、JyarodeepsVida's FactionGodsと接触を試みながらも、復讐者や賞金稼ぎを主なbelieverとして活動した。

 大規模な拠点を持たず、繋がりの細い個人達によるorganizationとは言い難い教団。しかも、大量殺人や国転覆、templeの破壊といった大きな目的を持たず、大規模な儀式を行う事もないJyarodeepsbeliever達は、当時のAlda達でも見つける事は出来なかった。


 しかしJyarodeeps自身もVida's FactionGodsと接触する事も出来なかった。

 そして、ついにBellwoodに見つかり、自身のDivine Realmに侵入されてしまったのだ。


『神となった事で少しは大人しくなるかと思ったが、当時の奴はDivine RealmからDivine Realmへ飛びまわり、潜んでいたEvil God (P)Evil God (M)を次々に見つけ、sealedしていた。とは言っても、数千年に一柱という割合だったが』

Humanには随分かかっているように思えるだろうが、神にとっては短い時間だ。少なくとも、元同郷の神がsealedされていくpaceとしては』


 Jyarodeepsは、Bellwoodと戦った。それ以外の選択肢がなかったからだ。だが、その力の差は圧倒的だった。

 いくら力を高めたと言っても、人類の一部からしか信仰を受けていないJyarodeepsと、人類全体からChampionとして崇められているBellwoodでは比較にならない。


 Jyarodeepsも、Bellwoodがこれまで倒してきたDemon King Army Remnantsの邪悪な神の一柱として、sealedされるかと思われた。

 それでも、大人しくsealedされる訳にはいかないと、彼はこのworldで変化した『Evil God of Sinful Chains』としてのDivine AuthorityBellwoodwhole body全霊の力を振り絞って叩きつけた。


『本来なら、それでも軽く弾かれて終わりだっただろう。だが、我のDivine Authorityは驚くべき事にBellwoodを行動不能にせしめた』

『その時の奴の姿といったらなかったね。顔を紙のように白くして震え出し、頭を掻きむしりながら泣き叫んだ』

『『違うんだ』、『そうじゃない』、『誤解だ』、他にも色々言っていたが、その後は黙り込んで動かなくなった』

『我の鎖に囚われたまま』


「その後……その後Bellwoodはどうなった!?」

 楽しげにそう語るJyarodeepsに、Heinzはそう怒鳴りながら前に踏み出していた。Delizahに引き止められていなければ、Jyarodeepsに掴みかかっていたかもしれない。


 しかしHeinzの剣幕など気にしていないのか、彼は楽しげな-sama子のまま会話を続けた。

『どうなったって? お前達の目に見える通りだ』

『今も、我の鎖に囚われたままだ。別に、sealedもしていないというのにな』

「っ!? 何だって!?」


 Heinz達は、驚いた顔で弱々しく光る青年、『ChampionBellwoodに視線を向けた。彼は、Heinz達がこの階層に足を踏み入れた時からずっと、目と口を閉じて同じ姿勢のままじっとしている。

 それは、legendの通りに『Evil God of Sinful Chains』にsealedされているからだとHeinz達は思っていた。しかしJyarodeepsは、Bellwoodsealedしていないという。


 HeinzDaianaは、彼が嘘を言っているのだと思った。二人にとって、Evil God (P)というだけで疑う根拠になる。それに、sealedされていないのならBellwoodが動かないはずはない。


Bellwoodsealedされていないのなら、何故こいつは動かない? その原因がお前のDivine Authorityだというのなら、お前はこいつに何をしたんだ?」

 だが、詰問しようとするHeinzDaianaよりも先に、Edgarが落ちついた口調で尋ねた。


『……我が新たなDivine Authorityは、文字通り『Chain of Sins』だ。己の罪の鎖を見せてやる、Mental攻撃の類だ』

 それが良かったのか、Jyarodeepsも口調を改め、自らのDivine Authorityを明かした。だが、それはHeinz達にとって益々信じ難い事だった。


「それが事実なら……Demon Kingを倒した三人のChampionleaderBellwoodMentalが……罪を犯した罪悪感で眠っているだけなのか」

 そう頷きながら言うと、Edgarは「後は任せた」というかのように一歩後ろに下がった。

 Heinz達は驚きや困惑、苛立ちや不信感等を浮かべているが、彼の胸中にあるのは虚無だった。


(おかしいな。オチは下らないし、信じてもらえるか分からないが、世紀の大発見のはずだ。なのに、興奮もEvil God (P)に対する不信感も、何も感じない。

 俺はこんなにクールな奴だったか?)


 Bellwoodを見た瞬間は、苛立ちのようなものを覚えた。だが、奴が動かないのが分かると、それは落胆に変わり、今ではそれすら消えてしまった。


「そんなBAKANA! Bellwoodがいったいどんな罪を犯したと――」

「私と、同じ罪かもしれない」

 Edgarが自身に困惑している間も、仲間達は会話を続けていた。そして、Daianaの叫びを遮ったHeinzの言葉に、Edgar以外は、はっとした。


『ククク、そんな事は知らんさ。我は、奴の罪を奴自身に見せてやっただけの事。お前達が何処の誰かも知らんのだしな』

『ただ、お前達の罪がVida's New Racesbelieverに対するものなら……きっとそうだろう。Bellwoodは、Humanだった頃は地上で、神となってからは天上で、戦い続けたのだからな』


『我が知るのは、Bellwoodが動かなくなるまでだ。その後、駆けつけたAldaから、ほど杭を受け取ったのでね。まさか、Vidaに振る舞ったのより多くの杭を打つとは、我も大物になったものだ』

『だが、Bellwoodと繋がっているconditionで我をsealedすると、Bellwoodまでsealedされてしまうためこうして繋がれたまま放置されている』

『もっとも、Aldaが目覚めぬBellwoodに呼びかける-sama子を特等席で聞く事が出来る。その代償と思えば悪くない。クハハハハハハ!』


 自身の置かれた状況を含めて、知り得る事を全て話し終えたからかJyarodeepsが、満足気な哄笑をあげた。

 実際、Aldaの『Pile of Law』をwhole bodyに打たれている彼は、思念を使って話しかける事しか出来ない。Heinz達の邪魔も出来ないのだ。


「……ここまで来たんだ。Aldaでも呼び戻せなかった以上、私が話しかけたところで上手く行くとは思えないが、やるだけやってみよう」

 しばしの沈黙の後、Heinzは鎖を踏み越えてBellwoodに向かって動き出した。


Dungeonの最下層にこのroomがあったという事は、Aldaは我々ならBellwoodを目覚めさせられると、期待しているんだ」

 そして、床を這うcountlessの鎖の中の一部を踏んだ。


「っ!?」

 その瞬間、Heinzの頭の中に過去の映像が流れた。既に十年以上も前、まだJenniferDaianaが仲間に加わっていない頃。故郷であるMirg Shield Nationで今は亡きMartinaRileyを含めた五人で、Dhampirを産んだDark ElffemaleDarciaを捕まえた時の映像だ。


『言い忘れたが、我の鎖は逃れられぬ罪の概念が具現したものだ。いずれ神となる資格はあるようだが、今はまだHumanである以上、触れれば己の罪を知る事となるぞ』

Bellwoodに放った故に、貴-samaが受けるのは余波でしかない。だが、人の身で受けるのは辛いぞ。

 ククク、『私達と同じ罪』か。身に覚えがあるのなら、止めておくことだ』


 Jyarodeepsが嘲るように言うが、Heinzはさらに一歩踏み込んだ。

 次に流れたのは、adventurerを襲ったGhoulの群れの討伐依頼を受けた時の映像だった。必死に抵抗するGhoulを仲間と他のadventurerと協力して殲滅していく、かつての自分の姿が映像にある。


「おい! そう言うのはscout職の俺の役目だろう!?」

 何故かBellwoodに興味を持てなかったEdgarが、慌てて引き留めようとする。しかし、彼の足は地面に縫い付けられたかのように動かなかった。鎖に触れる事を、強く恐れているかのように。


 そんなEdgarの言葉にも止まらず、さらに一歩。今度は、保護しているDhampirShoujoSelenの父親の最期だ。あとほんの少し彼等が駆けつけるのが早ければ助ける事が出来たのに、間に合わなかった。


「ちょっと、idiot正直に歩いて進む事はないでしょう!? magicFlightするとか、鎖の上に何か置いてその上を歩くとか、色々あるじゃない!」

「そうだよ、Heinz! たった二歩歩いただけなのに、もう顔が真っ青じゃないか!」


 DelizahJenniferが叫ぶが、Heinzはさらに進む。今度は、【Demon King Fragment】を秘匿していたMajin Raceの『Saintess of Darkness』率いる教団と戦った時の映像。そして、何年も前、『Trial of Zakkart』で仲間であるMartinaを助けられず、遺体を持ち帰る事も出来ず撤退するしかなかった時の映像だ。


 後者は今でも悔やんでいるが、前者はHeinzにとって罪という認識はなかった。それが何故犯した罪として、脳裏に流れ、そして責めたてられるのか?


『貴-samaが罪と思っていないし、Human達の法に照らし合わせても罪ではない出来事でまで責められたか?』

 Heinzの心を読んだかのように、Jyarodeepsが問いかける。


『それはな、我の鎖は貴-samaの罪悪感ではなく、『罪』の具現だからだ。貴-samaが行った事を、罪だと憎む者が、糾弾する者が過去に存在すれば、それは罪となる!』

「そ、そんなのありか!? それじゃあ、どんなHeroや聖人だって罪人になっちまうじゃないか!」


 口を利く余裕のないHeinzに代わって、Edgarが思わず叫び返した。彼が訴えたように、どんなHumanでも社会に存在する以上、恨みからは離れられない。

 出世した者、しなかった者。金を稼げた者、稼げなかった者。武術大会で勝った者、負けた者。loverと結ばれた者、振られた者。徴兵に取られた息子が帰って来た者、帰らなかった者。


 そんな社会の中でも事を成したHeroや聖人は、恨まれずにはいられない。Heinzだけではなく、今は亡き『Vampire Hunter』のBormack Gordan。『TrueRandolphや、『Thunderclap』のSchneider、そしてVandalieuですら。


 それを法で選別せず、全て罪とするのならworldには罪人しか存在しなくなる。


『カカカカ! それの何がおかしい? 我は『Evil God of Sinful Chains』! God of Lawでもなければ、赦しの神でもない! ましてや、お前達が従う法秩序に合わせる必要があるとでも思うのか!?』

Aldaにでも訴えるか? 理不尽だと? やってみるがいい。奴はこれ以上我に杭を打つ事が出来るのか、試してやろうではないか!』


 だが、『Evil God of Sinful Chains』たるJyarodeepsは、Edgarの叫びを取り合わない。それどころか、彼とBellwoodの間のspaceにそれまで見えなかったcountlessの鎖が現れた。

 midairを飛ぼうが、大きく回り込もうが、鎖に触れずには進めない。


「なっ!? 鎖を増やすなんて卑怯だ!」

「いいえ、あの鎖は今まで見えなかっただけで、最初から存在していたのでしょう。Heinzはそれに気がついて、小細工は無駄だと思ったのでしょう。

 ですがHeinzっ、待ってください! 今、magicをかけます!」


 Daianaが生命attributeの、psychological Resistanceを高める付与magicを唱える。しかし、余波でしかないとはいえDivine Authority。彼女のmagicは気休めにしかならない。

 鎖に耐えられるのは、【Mental Nullification】のskillを持つ者か、Mental構造がHumanとは異なる存在だけだろう。


「くっ、おおおおおおおっ!」

 だが、その気休めとMental力でHeinzは一気にBellwoodの元まで脚を進めた。

「私が罪人である事は、貴-samaに見せられなくても分かっている!」

 そして、叫びながらBellwoodの肩に触れた。


 その途端、Heinzは暗闇に包まれた。

『なんだ!? ここはいったい? 皆は、Bellwoodは何処に?』

 周りはDark nightのように黒一色で塗りつぶされており、仲間達や『Evil God of Sinful Chains』の姿もない。


『なぜ、僕を起こそうとする?』

 だが、静かな声と共にBellwoodがその姿をHeinzの前に現した。

『そうか、ここは貴方の心の中か』

『そうだ。Alda -samaの選んだ現在のHero、名はHeinzと言ったか。……それで、真実を知ってなお、僕のような罪人を起こそうとするのは、何故だ?』


 HeinzBellwoodとの接触により、彼のMentalHeroic Godとなった彼のMentalの中に飛ばされていた。

 だが、それ以上に戸惑ったのはBellwoodの神とは思えぬ弱々しい-sama子だった。


『それは……あなたが必要だからだ。私には、どうしても話さなければならない相手がいる。もしもの時には、そうする事が悪だと分かっていても、止めなければならない相手が』

 そう伝えるHeinzに、Bellwoodは暫く黙っていると……目を閉じたまま涙を流した。


『っ!?』

-kunMemoryを、少し読ませてもらった。すまない……やはり全ては、僕が原因だ。

 僕はね、このworldの害にしかならない存在なんだよ』


『それは、どういう意味なのですか? あなたは、worldを救ったChampionleaderHeroの神のはずです』

 childの頃、誰もが憧れる七人のChampion。その筆頭であるBellwoodの言葉に、Heinzは激しく動揺した。

 その彼に、直接Bellwoodの意思とMemoryが流れ込んでくる。


 Championに選ばれ、このworldにやって来た時は喜びのあまりどうにかなりそうだった。

 ただの学生で、精々数十人の団体の幹部でしかなかった自分が、力を与えられた事で超人的なbody part Abilityを持ち、まさに魔法のようにmagicを自在に唱える事が出来るようになった。


 自分は、偉大な人物になったのだと思い込んだ。理想を捨て妥協する事を強いる大人達や、正しい事をしようとせず目を背ける同年代の若者達。このworldでなら彼らに負けず、理想の実現を諦めず、正しい事を妥協せず実行できると信じた。


 Demon King Armyとの命がけの戦いも、それを強くした。日々強くなる事で、自分は選ばれた存在である事を強く実感する。そして戦う相手が異形のmonsterである事が、自分が正しく、自分の敵が悪であるという自信を高く積み上げさせた。

 戦いの後で浴びる賞賛や、負けた時に受ける慰めと労いの言葉に、自分は選ばれた者だという自覚も生まれた。

 Guiderに目覚めた事で、その自信と自覚は確信に変わった。


 目覚めたのは、【Guider】。他の仲間達がZakkartの【Friendship Guider】や、Nineroadの【Ordinary Guider】のように、通常は何か一文字つくのに対して、何もなかった。だが、それは【Guider】系Jobの元祖。最もsimpleで基本となるGuiderになったのだと信じ込んでいた。


 だからVidaChampionであるZakkartとは、何度も衝突した。彼の態度が、自分の嫌う『理想を捨て妥協する事を強いる大人』そのものだったから。彼がoriginally中年で、Championとなった時にVidaによって若返ったという事を知った時は、『だからか』と侮蔑した。


 ZakkartDemon King Armyから何十柱もの邪悪な神を寝返らせ、このworldで使える銃を開発し、さらに核兵器まで創りだそうとした時は、Alda -samaと共に反対した。

 ZakkartDemon King以上に危険な存在なのではないかと、半ば以上危惧もしていた。


 そんな彼が核兵器を作っている時に、仲間達と共に離れた戦場で戦うのは、当然だと思った。

 その結果、Zakkart達がDemon Kingに襲われ魂を砕かれた時は、本当に悲しかった。涙を流し、『次は』こんな事が起きないように、正しくあろうと誓った。


 そして、Demon Kingを倒した。皆と協力して、一丸となって戦った。多くの犠牲を払い、残ったのは三千人程になってしまったが、worldを守る事に成功したのだ。

 僕は犠牲となった人々のために祈り、こんな事は『二度と』起こさない、『次は』皆を守って見せると、仲間と妻たちと共に誓った。


 散っていった全ての者達の犠牲を無駄にしないためにも、Demon King Guduranisが出現する前の、正常で清浄なworldを取り戻す。

 そうAlda -samaGodsの前で誓った。


 だけれど、Vida -samaと邪悪なGodsZorcodrio -sanElper -kunを含めた一部の人達を連れて離れた時は、落胆した。皆で頑張らなければならない時期だというのに。

 百年後に彼女が邪悪なGodsbloodを引くmonsterを生み出し、滅ぼすべきmonstersまでNoble Orcのように頭が良ければ信徒として認めていると知った時は、だからこそ「裏切られた」と思った。


 皆でworldを取り戻さなければならないというのに、彼女はそれに反対したのだ。

 だから、僕は仲間達に訴えた。Vida -samaが産みだしたmonsterを殲滅し、邪悪なGodsを全てsealedする事を。そうすればVida -samaもいずれは正気に返るはずだと。


 Alda -samaも(当時のBellwoodは知らなかったが、Vidaが創りだしたCircle of Reincarnation systemを破壊したかったから)同意してくれて、二度目の聖戦が始まった。


 Vida -samaの真意を、このworldをすぐに戻す事は出来ないから、今のworldでも生き残る事が出来る強いHumanを創りだしたかったという事を知った時は、怒りすら覚えた。何故なら、それは僕が最も嫌う、『理想を諦め妥協する事』だったからだ。


 Zantark -samaを見つけた時は、失望した。邪悪な神とFusionしてまで生き残ったのに、狂ったまま正義を忘れて自分達の前に立ちはだかるなんて。こんな神に選ばれたFarmounに、心から同情した。


 Undead TransformationしているZakkartを見つけた時は、憤慨した。Championであった彼がUndeadになっている事で、真のChampionである自分まで汚されたように感じたからだ。


 Zorcodrio -san達がPure-breed Vampireとなっていた事を知った時は、心から悲しかった。僕の中の彼等はもう死んでしまったのだと、自分が出来る事はHumanだった時の彼等のためにmonsterになった彼らを倒す事だけだと思った。


 だが、聖戦は上手く行かなかった。『Evil God of Joyful LifeHihiryushukakaや、『Raging Evil Dragon GodLuvezfolDemon King ArmyRemnantsが乱入してきたからだ。

 Vida -samaZantark -samaも、そしてmonsterの生き残り……Vida's New Races達も逃がしてしまった。


 それでも、僕は諦めず仲間達と共にworldのために働いた。Mountain Rangeの間に逃げ込み、Barrierを張ったVida -samaを監視するために Bahn Gaia continentに移住し、国を興した。

 星の数ほどmonstersを倒し、隠れ潜むVida's New Racesの生き残りを狩りだし、邪悪なGodssealedした。


 そして神となってからは、地上では戦えなくなった。だが、その分地上の脅威と戦う人々に、Oracleblessingsを与えて応援し、自分は邪悪なGodsとの戦いに専念した。

 時折、やり過ぎてしまう人々がいて被害者が出てしまう事もあったが……そうした人の愚かさを赦し、Guidance続けるのも神の務めだと思った。


 だが、『Evil God of Sinful Chains』を発見し、sealedしようとした時、僕は初めて己の罪に気がついた。


 僕は偉大でもなんでもなかった。ただ与えられた力に酔いしれ、自分が理想とするChampionを演じる愚かな道化だった。現実離れした理想を夢見る事が純粋であり、正しい事だと思い込んで、周りを顧みなかった。

 Zakkart達の方が、Championに相応しかった。

 僕がもっと現実を見据えていれば、理想よりも仲間とworldを守る事を優先していれば、Demon Kingとの戦いで生き残ったのは三千人ではなく、その何倍もの人数だったはずだ。


 そして、Vida -samaが離れたのも、僕のせいだ。Zantark -samaを倒すよう、Farmounを唆したのも、僕だ。Vida's New Races達を、Vida's Factionmonsters達を、虐殺したのも僕であり、仲間にも、そして信徒達にもそれを正しい事だと教えたのも僕だ。


 そもそも、「Demon Kingが出現するより前の、清浄なworldを取り戻す」という理想自体、僕が唱えてはならないものだった。何故なら、僕がこのworldにやって来たのは、Demon Kingが出現した後なのだから。


『そんな、これは……』

 Bellwoodの思考を直接伝えられたHeinzは、驚きのあまり、言葉を失った。

 彼から見てもBellwoodの思考は、明らかに偏っていたからだ。


『僕は、今まで望んで悪事をなした事はない。Zakkart達を疎ましく思っていても、死ねばいいなんて考えていなかった。

 ただ、考えてみればDemon Kingを倒すための兵器を作っている彼等四人から、考え方が合わないと言うだけで離れるべきではなかったと思う』


『でも、あなたは彼等の最期を心から悲しんで――』

『そりが合わなかった仲間でも、その最期を悲しむ自分。それに酔っていただけさ』

『……』

 今度こそ言葉をなくしたHeinzに、Bellwoodは再び思考を伝えた。


 Vida -samaの選択や、それを支持したZorcodrio -san達を『裏切り者』として扱ったのは、最初から彼女達を軽くみていたから。彼女達にもemotionsが……心がある事を理解しなかったから。

 自分が主役で、それ以外は脇役かモブだと思い込んでいたからだ。


 Vida's New Racesmonstersについてもそうだ。当時の僕の目には、彼等はHumanと同じ共通点があっても人とは違う何かにしか見えなかった。

 人面犬や人面魚……-kunに言っても分からないか。人に似た部分があるだけの、奇形。人とは絶対的に異なる存在だと思い込んでいた。


 信徒達に唱えた教えについてもそう。人々の生活をよりよくしたいという願いを、僕は軽んじた。そして、犠牲者が出る責任を信徒達の愚かさに押し付け、自分はそれを広い心で赦していると悦に入っていた。


『だから、僕はこのまま眠っているべきなんだ。-kunが三十年にも満たない年月で気がついた事に、僕は五万年以上も気がつかなかった、愚か者なのだから』

『では……Vida's New Racesの排斥を唱えていた理由は……!』


『そう、彼等が僕の理想に反していたから。僕の目には気味が悪く、醜悪に見えたからだ。

 Alda -samaには他にも理由があるけれど……-kunが納得して、これからもVida's New Racesを狩り続ける事が出来るような理由ではないよ』


 そう告げられたHeinzは、大きなshockを受けた。もしMentalだけのconditionではなく、Bodyもあったら失神して膝から崩れ落ちたか、despairのあまり嘔吐していたかもしれない。

 だが、次のBellwoodの言葉でそうはならなかった。


『だから、僕はこのまま眠っているべきなんだ』

『……待ってください。何故、そうなるのですか? 今からでも人々に、そしてAldaに伝えれば良い! 自分は間違っていたと!』


『……どうやってだね?』

 聞き返されたHeinzは、believerへはOracleで、そしてAldaや他のGodsに対しては自分の言葉で伝えれば良いと答えた。しかしBellwoodはゆっくり首を横に振った。


Oracleは、誰でも受けられるものじゃない。敬虔なbelieverだけが受け取る事が出来る。そして、僕の教えに敬虔なbelieverが、僕の教義とは正反対のOracleを受けたらどう思うかな?』

 言われたHeinzは、はっとして顔を強張らせた。


 今までの自分の教えは間違っていた。そうOracleを受けた信徒は、「Bellwoodの教義は間違いだった」と人々に訴えて回るだろうか?

 そうはならないだろう。突然Voice of Godが聞こえて、教義を全否定するのだ。寧ろ悪魔の囁きや、自身の邪念のせいで聞こえた幻聴だと思い込むのではないだろうか。


 中には人々に訴える者もいるかもしれないが……その人物は、普通の人々の目には奇人に、熱心なbelieverの目にはfake-believerに映るだろう。


 Aldaも、真剣に聞くかどうか怪しいかもしれない。Bellwoodが自分は間違っていたと知ったのは、彼が杭だらけにした『Evil God of Sinful Chains』のDivine Authorityによるものだ。

 邪悪な神に惑わされていると思われても、おかしくはない。


『でも、あなたは己の過ちを心から悔い、反省しているはずだ。だったら、罪を償う道を探すべきだ!』

『……『次は』とか『二度と』と、当時の僕が思っていたのは、意識を現在から起こるかどうかも分からない未来に変える事、自分の責任から目をそらすためだ。

 悔いていたとは言えない』


 そう言うと、Bellwoodは深いため息を吐いた。

『僕の罪には、限りがない。Alda -samaや他のGodsNineroadFarmounを取り込み、煽ったのは僕だ。

 人に被害を及ぼすVida's New Racesにしても、Pure-breed Vampireの中にDemon King Army Remnantsの走狗に堕ちる者がいるのも、Majin RaceAlda believerを憎むのも、Ghoulmonsters同然に暮らし、人を襲うのも、全て、十万年前に、彼等を襲い、追い詰めた僕のせいだ。

 それに、-kunが罪を犯したのも、僕のせいだ』


『それは……私はあなたのせいにするつもりはない』

 BellwoodVida's New Racesを排斥しなければ、Evil God (M)を奉じるVampireは存在せず、DarciaDhampirを産んでもそれを以ってWitchとされる事はなかった。そうBellwoodのせいだと糾弾するつもりは、Heinzにはなかった。


『違う。そういう意味ではない。

 -kunMemoryを見て、分かった。-kunが話したいというDhampirの少年の魂には、Guduranisに砕かれたZakkart達の魂の破片が含まれている』


『それは……』

 『Goddess of SleepMillから教えられた真実に、BellwoodHeinzが見たVandalieuの姿を見ただけで辿りついたらしい。

 それが神の感覚によるものなのか、Champion達のvestigesを見たからなのかは、わからないが。


『何故なのかは、僕には分からない。だが、-kunの反応からすると事実のようだ。つまり、彼が存在するのはZakkart達を守ろうとしなかった、僕が原因だ。

 それでも、僕が必要だと言うのか?』


 自身の存在は罪を創りだす事だけ。消滅しようとする事すら、それが原因で何かの災いをこのworldにもたらすだろう。なら、せめてこうして眠り続けていた方がまだマシだ。

 そう、Bellwoodは思って五万年もの間目を閉じ、眠り続けているのだ。


『……それはダメだ!』

 だが、Heinzは彼に異を唱えた。

『どうやっても償えない罪がある事は、私自身知っている! だが、あなたは『これ以上罪を犯さないために』眠り続ける事で、過ちを正そうともしないという罪を犯し続けている! 

 あなたが自分のせいだと言った罪には、あなたが眠ってから起きた罪もあるはずだ!』


 Heinzの叫びに、Bellwoodは思わず目を開けていた。

 これまで、Heinzと同じ事を言われた事は、何度もある。AldaNineroadから。その時は、何とも思わなかった。


 だが、Vandalieuの出現を知り、彼に仇として狙われているHeinzから言われた事で、大きな説得力を覚えた。

『……僕のGuidanceに名が無いのは、ただGuidingだけだからだ。Guidingだけ導いて、何処にも辿りつけない。永遠に辿りつけない理想に向かって、見えない現実に足が擦り切れるまで歩き続ける。そんなGuidanceだ。だから、-kun達にも悪impactがでるかもしれない。

 それでも、僕の力が必要だと?』


 BellwoodGuidanceは、扇動に特化しすぎたGuidanceだった。あまりに特化しているため、扇動している自分自身すら騙してしまう。

 それは神となってStatus systemから外れた事でNullificationとなっているが……多くの人々から崇められるHeroic Godcharisma性は、最早Curseの域に達している。


 意志が弱く、他のGuidanceを受けていないHumanなら、彼に声をかけられただけでfanaticと化してしまうだろう。

『……あなたの力が必要です。あなたの間違いは、私達とAlda Reconciliation Factionの皆で正します。だから、力を貸して欲しい!』

 Bellwoodの間違いは、Alda Reconciliation Factionなら正す事が出来る。そう訴えるHeinzを、彼は瞼を開いて見つめた。


『分かった。僕は-kunの『力』にだけなろう。他には何も答えず、示さず、導かない』


 そして暗闇は消え去った。


 Bodyに意識が戻ったのだとHeinzが理解した時には、Bellwoodに巻きついていた鎖は残らずはじけ飛んでいた。

『僕は神としてではなく、-kunの力として目覚めた。だから、-kunの中にいよう。-kunが必要とするときに、僕の力を使うといい』

 そして、姿を光の粒子に変えるとHeinzの中に消えていった。ただ、頭の中から『Alda -sama、そしてNineroadFarmounには話さないといけないから、いつもいる訳ではないけれど』と声が聞こえたので、眠っている訳ではないようだ。


Bellwoodrevival……したの!?」

「なんか、-sama子がおかしかったけど……やったんだな、Heinz!」

 固唾を飲んで見守っていたDelizah達が、歓声をあげる。


『……させん!』

『我が身と共に、眠れぇ!』

 だが、Jyarodeepsの叫びと鎖が翻る音がそれを遮る。


「杭を打たれて動けないんじゃなかったのかよ!?」

 驚くEdgarを無視して、JyarodeepsHeinzごとBellwoodに鎖を叩きつけ、そのまま絡めとり自身ごとsealedしようとした。


 五万年の間、このworld人々から奉じられた彼は、このworldを愛するようになっていたのだ。

 復讐に身を焦がす者、恨みのために人を殺す事を躊躇わぬ者、そうした者達から金銭を受け取って復讐を代行する者。彼のbelieverは、そうした普通の人々と評せない歪んだHumanばかりだ。


 だが、そうした歪んだHumanの愛憎を知り、Jyarodeepsは彼なりに人々を愛し、彼なりに人々が生きるこのworldを愛したのだ。

 だからこそ、五万年に渡る責苦に耐えてきた。自らがBellwoodを眠らせた事で、多くの者達が救われているという満足感が、杭の痛みを忘れさせた。


 だからこそ、僅かな力を残しておいた。万が一、Bellwoodが目覚めようとした時のために。

『『Bellwoodォォォォォ!』』

 この一撃を放ったせいで、永遠に等しい年月をsleeps事になったとしても道連れにする。Jyarodeepsのあまりの気迫に、Edgarも追いつく事が出来ない。


「【Evil-destroying Radiant True Strike】」

 だが、Heinzは追いつく必要がなかった。ただ、剣を振るえば良かったのだ。

 必殺の鎖は、それを操るJyarodeepsごと切断された。


『己で己自身の罪に気付けぬ者が目覚めたぞ……』

worldよ、この災禍を乗り越えよ。なに……Guduranisrevivalするのに比べれば、まだマシだ』

 二つに分かれたJyarodeepsがそう言い残すと、彼に刺さっていた杭が震えだし、彼をDungeonの壁に磔にした。そして、そのまま壁画のように平面になる。


 『Evil God of Sinful Chains』は、ここにsealedされたのだった。


「皆、いろいろ話すこともあるが……まずは地上へ帰ろう!」

 そして、Heinzの言葉に『Five-colored blades』は歓声をあげた。




 Edgarの中にsleeps Demon Kingsoul fragmentにとっては、Bellwoodrevivalは望ましいものだった。

 最初は彼も憎しみの対象だったが、あの-sama子では憎む価値すらない。最も憎い存在とHeinzごと潰し合ってくれれば、それで十分だ。


 最も憎い存在……それはVandalieuだ。

 revivalを諦めていないGuduranisにとって、Bodyは何れ取り戻すべき自らの一部だ。それを勝手に取り込み、奪っている。


 Guduranisにとって、sealedする事しか出来なかったBellwoodAlda以上に、恐ろしい脅威だ。

 とても許す事は出来ない。revivalするためにも、Vandalieuは滅ぼさなければならない存在なのだ。


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