Human社会、それもNineroadやWind-AttributeのGodsのtempleでは大騒ぎになっていた。
昨日、『God of War Horns』SiriusのIdol Statueが砕け散り、SiriusのClergymanの中でも敬虔とされる者達が一部を残して失神し、彼's Divine Protectionを持つKnightがシチューで溺死しかけた。その事件は、失神しなかったClergyman達の狼狽も含めて、まだ終わっていなかった。
だが、続けて『God of War Drum』ZepaonのIdol Statueも砕けるとは、誰が思うだろうか。
二柱ともDemon Kingがこのworldに現れる前よりも存在する古い神であり、Wind-Attributeの神の中では珍しいWar Godとしての側面を強く持つ神だったので、Subordinate Godの中でもbelieverは多かった。
今年一年で、『God of Thunderclouds』Fitunも含めて三柱の神の像が砕けている。人々は自分達の知らない場所で何か、worldの命運が左右されるような何かが起きているのではないかと恐れた。
特に、Alda Grand Templeの少年Pope、Eileek・Marmeが、神より賜ったOracleによって、Demon King revivalが告げられているAmid Empireでの混乱が大きかった。
Mashkzar Emperorの突然の退位と、それまで国民には存在を知られていなかった、Eileekの外戚に当たるIristel Duke 家の長男の即位。
Amid EmpireのHeroであり、生けるlegendだったSClass adventurer、『Thunderclap』のSchneider率いる『Storm of Tyranny』のMarme Duke 家への襲撃と、Alda templeの破壊。そして、Vida believerである事のカミングアウト。
裏に隠された事情を知らない、一般の人々にとっては、一生に一度あるかないかの大きな出来事ばかりだ。その上、revived Demon KingがSiriusとZepaon、そしてFitunをどうにかしてしまったなんて、horrorと不安に震えるだけではすまない。
panicに陥り、「この世の終わりだ」と自暴自棄になった民が暴動を起こす可能性すらあった。しかも、その原因はtempleで……彼らの心の拠り所で起きた事件だ。
本来なら民を律するNobleやKnight、Guardが「大丈夫だ、心配ない」といくら言っても説得力がない。新たなEmperorの即位ならともかく、Godsの身に起きている事を世俗のNobleが知っているとでも言うのかと。
不安を訴え神に縋るbeliever達を鎮めるのはClergymanの務めだ。しかし、鎮めようにもIdol Statueが砕け散ったZepaonのClergymanの中でも人望が厚いHigh Priestは白目を剥いてfainted中。起きているのは、ZepaonからOracleを受け取った事のない者達ばかりだったため、効果は今一つ。
他の神を主に奉じるClergymanも、何が起きたのか説明できる訳ではない。ただ、神は健在であると、Nineroad templeとAlda temple、そして、Subordinate GodのClergymanや、Gods 's Divine Protectionを受けたHero達が各地で奮闘する事となった。
「おおっ! 何と、何と良き日なのか、今日は!」
だが、人々にとって悪い newsばかりではなかった。
「まさか、私が生きている内にこの日を迎える事が出来るとは……皆に伝えるのだ、Botin -samaが、我等のGoddessがDemon Kingのsealedより解き放たれ、revivalされたと!」
それは『Mother God of the Earth and Craftsmanship』Botinと、『Goddess of Water and Knowledge』Periaのrevivalであった。
Goddess達はAmid Empire、Orbaum Elective Kingdomの区別なく、Oracleを受ける事が出来るreligionの厚いbeliever全てにOracleを下し、自らのrevivalを告げていた。
それを聞いたbeliever達は歓喜の涙を流し、この吉報を人々に知らせるべく動き出そうとした。
「いや、待て! まだ待つのだ!」
しかし、Oracleは吉報だけで終わりではなかった。
『我は狂いし炎と和解し、術とCreation、知識を得て生命を祝福せん。されど、我等に光none』
Amid Empireの北部に存在する属国、鉄国Marmook。その首都に存在するBotinのTemple Headを務めるDwarfには、Oracleの後半はそう聞こえた。
(これはいったいどういう事だ? 光noneとは……何かの凶兆か? いや、そうではない。
狂いし炎はZantark、術はRicklent、CreationはZuruwarn。そして知識はPeriaだとすると……生命を祝福するとは、まさかVidaを祝福するという事なのですか!? そして、光が無いとは『God of Law and Life』Aldaは、仲間ではないと……)
「こ、これを公にすればこの国は……人々はどうなるのだ? 秩序が……国がDecayしかねんぞ」
God of LawであるAldaを主神として奉じるAlda教を国教とするAmid Empireは、国民すべてがAldaのbelieverであると言える国だ。
このBotin templeにも、Aldaの像が存在する程である。
だからこそ、DwarfのTemple HeadはOracleからconjectureした事を軽々しく口にする事は出来ない。引き留めたClericに、Botinがrevived事だけを伝えるようにと命じ、自身は「Oracleの意味をより深く考察するため、一人になりたい」と言って、自身のroomに引きこもり誰も近づかぬよう護衛のCleric-warriorも待機させた。
「Botin -samaは、いったいどんな意図でこのようなOracleを? それとも、儂がimmatureであるためにOracleを受け取り損ねたのか?」
Oracleは、偉大なるGodsの意思を矮小なHumanが受け取るため、どうしてもaccurateさに欠ける。神が下そうとしたOracleの一部しか受け取れない場合や、違う言葉に聞こえる事がある。
今回もそうではないかと、Temple Headは考えた。本来なら、『されど、我等に光none』の後に、更に言葉が続いていたのかもしれないと。
しかし、そうではない事に気がついた。
「そう言えば、儂は何故Goddessのrevivalだけを信徒の皆に伝えようとしたのだ? Oracleは、一度に伝わるものだ。どんなに神のお言葉が長くても……。
もしや、あのOracleは二度、続けて下された物なのか!?」
Oracleは、そう滅多にあるものではない。間髪入れず新たなOracleが下された事等、聞いた事もない。聞いた事もないが……出来ないという事も聞いた事がない。
問題は、何故Botinがそんな事をしたのかだ。
「もしや、一つ目のOracleを正しく受け取る事が出来たのだから、二つ目のOracleも正しく受けとったのだという事を、儂に教えるために……!」
BotinがrevivedというOracleが正しいのだから、二つ目のAlda以外のGreat GodがVida's FactionについたというOracleも正しい。
それが分かってもTemple Headの顔は晴れなかった。
「今更儂がどの口でVidaに祈る事が出来るのか……しかし、Goddessが儂にOracleを下したのは、Goddessが期待しているからに違いない。
皆のwisdomも借りて、どうにかGoddessの真意を人々に伝えなければ」
それが神の地上における代行者としてのClergymanの意義である。
そうプレッシャーに耐えるために使命感を燃やすTemple Headだったが、実はBotinからのOracleは彼以外にも大勢のBotinのClergymanが受け取っており、さらにPeriaも自身を奉じるClergymanたちに同じ意味のOracleを下していたので、彼が思うよりも早く、「皆のwisdom」を借りる事が出来たのだった。
その頃『God of Law and Life』AldaのDivine Realmでは、重苦しい沈黙に包まれていた。
Peria Defense CorpsのGodsと『God of the Reflexions』Larpanからの報告を聞き終えたAldaが押し黙ったままである事と、Subordinate God達を纏め、事態に対応するためにNineroadが居ない事で、その沈黙がより重苦しくなっている。
ここに集まっているSubordinate God達にも、口を開く余裕は無かった。特に土attributeとWater-AttributeのSubordinate God達は、この世の終末に直面したような-sama子で呆然自失としている。
何故なら、眠っていたPeriaとsealedされていたBotinが解放され、彼女達がそのままVida's Factionに与してしまったからだ。
彼らの中には、BotinとPeriaの代理の神が認め、神に昇華させた者が圧倒的に多い。そうした若いSubordinate God達は、今まで一度も己の主であるGreat Godと会った事はなく、ただただ人だった時に教わっていた事の延長で「BotinとPeriaは、目覚めたらAldaのallyになるに違いない」と考えていた。
いや、accurateに述べるなら考えてすらいなかった。太陽が東から昇り、西へ沈むように、Aldaのallyになる以外にないと思い込み、思考していなかったのである。
だからこそ若いGodsは混乱し、動く事も出来なくなっていた。
そしてDemon Kingとの戦い以前から存在する古参の神の困惑も深かった。何故BotinとPeriaがVidaにallyするのか、理解できなかったからだ。
Periaが、危険な【Demon King Fragment】を自らBodyに埋め込み、醜悪な姿にbody partを変貌させるVandalieuの側に立つのは何故か。
Botinが、汚らわしいUndeadや、TalosやTiamat等Demi-God達だけではなく、邪悪なGodsのbloodを引くVida's New Racesを従えるVandalieuのallyになると宣言したのは、何故なのか。
いくら考えても答えが出せない。
中には、『もしかしたら、自分達は間違っていたのではないか。AldaやBellwoodの主張を、他のGreat God達の意思だと思い込んでいたのではないか?』と考える神もいる。
だが、それを認めるのはGodsにとって難しい事だった。
何故なら、彼等は神となってからAlda's Factionの神として振る舞い、信徒達に教えを伝え、信徒達もAlda's Factionの神として彼らを奉じている。
それを否定するのは、Selfの否定。アイデンティティのLostに他ならない。
方向性は違うが、信徒に殺生を禁じ慈愛のMentalを説いていた神が、「暴力こそ正義、強者による殺戮こそがworldを正しくGuidingのだ」と突然主張するようなものだ。
『や、やはり……Botin -samaとPeria -samaは、狂われたのでは?』
だから、BotinとPeriaがInsanityに陥ったという安易な考えに飛び付く神もいた。実際、RicklentとZuruwarnの時は、その考えが正しいと多くの神が納得していた。
『貴-samaっ! 我等の主を愚弄するのか!?』
だが、RicklentとZuruwarnと違い、BotinとPeriaには彼女達を実際に知っている人格を持つSubordinate GodがAlda's Faction内に存在する。彼等にとっても、Goddess達の宣言は信じ難い。だが、仕える存在がInsanityに陥ったという暴論に納得する事は出来ない。
『だが、あのような宣言、とても正気とは思えぬ!』
『いや、正気であった!』
そして、堂々とした宣言を行ったBotinは、その目撃者が存在している。『God of the Reflexions』Larpanは、自身が見た通りに証言した。
『少なくとも、我等の前で宣言を述べられたBotin -samaは、正気だった。目には強い意志の輝きが在り、覇気に溢れていた。
Insanityに陥り、世迷言を口にしているだけとは、とても思えん』
『だ、だが、それでは何故あのような宣言をして、Vandalieuのallyに付くなどと……我々に『Alda -samaから離れて、中立の立場でいよ』などと言われるのだ? まさか、Vida's Factionが……あの汚らわしいVandalieuが正しいとでも言うつもりか?』
『それは……しかし、Great God方が狂っていると決めつけるのは危険ではないのか!?』
『危険だと!? 貴-donoは我々を割るつもりなのか? 我々が争っていては、Vandalieuを倒す事等、夢のまた夢。Gohn -dono達の奮戦を、無駄にされるおつもりか!?』
『そんな事は言っていない! ただ、我は――』
『皆よ、鎮まるのだ』
それまで黙っていたAldaが、重々しく口を開いた。口論になりかけていたSubordinate God達は、口を閉じて長の言葉を待った。
『皆の驚きは尤もだ。だが、Botinは正気を失ったのではなく、正気のままVidaに与する事を選んだ。我々を欺いていたPeriaと同じく、な』
だが、Aldaの言葉はSubordinate God達を更に驚愕させた。
『Aldaよ、それこそBotin -sama達が正気を失っている証拠ではないのですか!?』
『いったい、どのような理があって、Vidaに……Vandalieuに付いたというのです!?』
『まさか、強い側に付いたと、Botin達は強者に膝を折ったのか!?』
堪らず騒ぎだし、本来なら彼らを黙らせる『God of Judgement』Niltarkも声が出せないでいる。
『そうではない。Botin達は、我々が理想とする未来とは違う未来を選び、それを自らの理想としたのだ。
私には到底受け入れられない。そして、理解も出来ないが……』
Alda自身も、Botinの宣言、そしてPeriaが長年自分達を欺いていた事を察した時はあまりのshockに言葉を失った。それは、ZuruwarnとRicklentの裏切りが明らかになった時よりも大きかった。
しかし、それで思い出した。Godsは、特にGreat Godは本来、別々のものを優先していたと。
Vidaと決別してから十万年以上、あまりにも長くGodsを纏めていた為、Demon King Guduranisが現れる以前は当たり前だったことが、意識の外に置かれていた。
『我々は、Guduranisが現れる以前の正常な……清浄なworldに戻す事を理想としている。Devil NestsやDungeonが存在するworldに、monstersの素材を利用する事に、どんなにHuman達が慣れ、それを当然と思うようになっていても。
何十万年かかってもDevil Nestsを浄化し、何百万年とかけてもHuman達を説き伏せ、何千万年かけても邪悪なGodsやDemon King Fragmentをsealedし、理想を実現させる覚悟がある』
Aldaにとって目指すべき理想は、それだった。monstersも、それを生み出すDevil NestsとDungeonも存在しない、正常なworld。
そして、Vida's New Races達の存在しないworld。
現在は、Nineroadの提案とその後の協議の結果、StatusにRankが表示されない、邪悪な存在のbloodを受け継いでいないraceの存在は受け入れる事になったが、それがAldaにとっての限界だった。
十万年前、Vidaは自らのchild達を『強い新たなHuman』と評したが、Aldaにはそうは思えなかった。彼にとって、Vida's New Racesとは『人』ではないのだ。知能の高いmonstersであり、邪悪な神を奉じる彼らのFollowersでしかなかった。
Dark Elfだけなら、認める事が出来たかもしれない。それにGiant raceやBeastmen、Merfolk、Ryuujinまでなら存在を認める事も不可能ではなかっただろう。
Aldaや、Periaが眠った後Water-Attributeの神の代表となった『God of Ice』Yupeon、そして今は亡きBlateoやMadrozaにとって、彼等は『新たなHuman』ではなく、『Human並みに力の劣る同族』や『かつての友の出来損ない』としか思えなかった。
しかし、それでも邪悪なbloodは……悍ましい因子は流れていなかったからだ。
だが、Majin Race等のRankを持つraceの存在は認められない。あれらは、邪悪なGodsの因子を受け継ぐ存在。群れればmonstersと同じようにworldを汚染し、Devil Nestsを創りだす害悪だからだ。
彼等にもwisdomが、仁愛の心がある事は知っている。だが、Human達の間にも『Goblinは殺せ』という言葉があるように、彼等の性根が邪悪であろうがなかろうが彼等は排除しなければならない存在なのだ。
そうした理由が無くても、AldaにとってはMajin Race達が正常なHumanを侵食する、醜悪な存在としか思えなかったのだが。
しかし、それはAldaの思考だ。他のGreat Godも同じ意見とは限らない事を、Aldaは忘れていた。
『だが、BotinとPeriaは、そしてRicklentとZuruwarnも、今のworldと……Devil Nestsからmonstersが生まれ続けるworldのまま、共存していく事を良しとしたのだろう。Vida's New Races達も、Vida式Circle of Reincarnation systemも認めて』
どういった経緯でそうなったのか、彼等の思考がどのように巡ったのかは、Aldaには分からない。だが、結論は明らかだ。
『そんな……それこそ正気を失ったとしか思えませぬ! だが……Peria -samaが正気を失う事は、あり得ない』
PeriaがVida's Factionについた事で最も衝撃を受けていただろう、Yupeonが叫ぶ。しかし、本来の主がどんな神か思い出し、萎れるように膝を突いた。
『では……Aldaよ、我々はどうすれば良いのでしょうか? 私には、今のworldが正常とは思えません。まして、我々を欺いていたPeria -donoを信じる事は……』
『隠れ潜み、自らの考えを説く事もしなかったRicklent -donoとZuruwarn -donoもです。彼等は、ただDemon Kingが現れる以前の正常なworldを取り戻すという理想を諦め、monstersが存在する現在に屈したとしか思えません!』
若いGodsは口々にそう訴えた。
狸寝入りをしていたPeriaや、目覚めていたにもかかわらず表に出ず暗躍していたRicklent達にとっては、『Aldaが正気を失っているようにしか思えず、彼と合流する事は出来なかった』という事情がある。
しかし、ここに集まっているGodsはAldaが正気を失っているとは考えもしない者ばかりだ。そのため、Peria達を『己の主張や意志を訴えず、自分達を一方的に非難している』と感じていた。
こうなる事はPeria達も予想していただろうが……のこのこAldaの前に現れて、Vida寄りの意見を言い、彼女を弁護して【Pile of Law】を打たれては堪らない。
自らの安全と引き換えに、Alda's Factionの若いGodsからの信頼を無くすことは、最初から分かっていた。
そして、彼女達の考えは正しかった。
『どうする事はない』
Aldaはreasonを失ってはいない。ただ、理想を信じる事に、理想に向かって邁進する事に狂っているのだ。
『彼女達が良しとしたものが、我々と異なっているからといって、我々が間違っている事にはならない。
我々が目指す理想に、間違いはないのだ。いつかは彼女達もそれを理解してくれるだろう』
そう、理想は間違っていない。ただ、その理想を目指す事が現実的ではないだけだ。
実現させるのには、Alda's FactionのGodsの力だけでは到底足りない。Vida's FactionのGodsの力を合わせたとしても、無理だ。少なくとも、一千万年先までに理想を達成する事は出来ない。
そして、億年先に理想を達成できるとしても……それを現在から未来のHuman達に課すのは正しい事だろうか?
十年先なら、正しいだろう。百年先でも、子孫の為だ。千年先でも、Elfのような長命raceにとっては曾孫や玄孫の代の話だ。
しかし、万年以上だとしたらどうだろうか? 想像もできない未来に実現する理想のために、命と魂をかけてVandalieuと彼のEmpireと戦う事を強いて良いのか?
Aldaは、それを良いと考えている。正しいHumanなら、戦うのが当たり前だと認識している。
太陽が東から昇り、西に沈むのと同じように。Aldaにとっては、考えるまでもない事なのだ。
『ですが、VidaとZantarkも含めて、六柱ものGreat Godが敵に回っては……!』
『案ずる事はない。これより、戦いの場は人跡未踏の地ではなく、人々が暮らす地で行われる事となるだろう。我等が育てているHero達が、ついに真価を発揮する時が来たのだ』
『っ!? Gohn達が破れた相手に、我々のHeroが勝てるのでしょうか!?』
Aldaの言葉に、Subordinate Godの一柱が思わずといった-sama子で聞き返す。当然だろう、Giantで強靭なBodyを持つDemi-Godに、HeroとはいえHumanが勝てるとは、俄かには信じ難い。
『無論、勝てる。勝てるように、汝らは育てたはずだ』
だが、事実として真のHero……Godsがいずれ神に至ると期待するHuman達は、Demi-Godと互角以上に強い。
確かにDemi-God達は強い。約百meterの巨体、強靭なmuscleやscale、furに殻は堅固な鎧であり、司るものによって-sama々なAbilityを持っている。Demon KingのContinentのような、Humanではとても生存できない場所でも活動が可能だ。
そういう意味では、間違いなくHeroよりDemi-God達の方が強い。
しかし、闘争に限れば別だ。真のHeroは、True giantや龍、Beast Kingに勝つ事が出来る。
実際、Vida側のHeroではあるが『Thunderclap』のSchneiderは、悪に堕ちた龍を何頭も討伐している。そして過去には、Alda's FactionのGodsのHeroもPure-breed Vampire等のDemi-Godを倒している。
Hero達はStatus systemの恩恵を極限まで活かし、巧みな戦術を立て、優れた武具を装備し、更にGodsのFamiliar SpiritやHeroic spiritをその身に降ろす。そうする事で、自然の驚異の象徴であるDemi-Godにも勝つ事が出来るのだ。
そうしたHeroの最たる例が、Bellwood達Championだ。Godsの力を受ける最適な器を探すため、another worldから招いたとはいえ、彼等もHumanだったのだから。
『そして皆よ、ついに我がHero、Heinz率いる『Five-colored blades』がBellwoodのsleeps階層に到達した。遠からず、彼はrevivalするだろう』
Aldaの言葉に、Divine Realmは久しぶりに歓声に満ち溢れた。
Dungeonによって再現されたDemon King Guduranisとの数々の戦いは、熾烈を極めた。
Heinz自身、Guduranisが粒子となって消えるのを見ても、勝った事が信じられず、何かのTrapではないかと警戒を解かなかったほどだ。
「これって、あたし達がBellwoodと並んだって事かな?」
次の階層に進むための階段を下りながら、Humanの女Unarmed Fighter、Jenniferがそう尋ねる。しかし、誰も彼女の言葉に同意しなかった。
「確かにGuduranisは倒しましたが……十万年以上前の戦いでは、Bellwood達はDemon Kingと戦う前に数え切れないほどの邪悪な神や、その手先のmonstersと戦っていたはずです」
「近づきはしたけど、並んではいないでしょうね」
『Goddess of Sleep』MillのCleric、ElfのDaianaがそう諭し、女Dwarfの盾職であるDelizahも彼女に同意する。
「それに、私達はDemon Kingを倒すまでに何回も死んでは戻り、対策を練った。本当の戦いで倒したBellwoodやFarmoun、Nineroadには遠く及ばないさ」
そしてHeinzの言う通り、彼等の勝利は数え切れないほどの経験……学習の結果である。
本来の管理者である『God of Records』Curatosが滅ぼされた事で、このDungeonに出現する過去の強敵のrecordから再現された敵は、本当にただの過去の再現と化した。
思考Abilityも判断力もなく、過去に実際行った戦闘pattern通りに、Heinz達と戦う事しか出来ない。咄嗟にpatternにない行動をし、Heinzに合わせて変化させる事も無理だ。
たとえるなら、プログラミング通りにしか動けないrobot。もしくは、gameの敵キャラである。
Heinz達は何度も死にながらDemon Kingの行動patternを学習し、その隙をthrust続けて倒したのである。
学習し、隙を突けるだけでも十分彼らの実力は高い。今の段階でも、Schneiderには勝つ事が出来るだろう。
だが、もしCuratosが健在であり再現された敵が多彩な行動patternと、それなりの思考Abilityと判断Abilityを持ったままだったら、まだまだ倒す事は出来なかっただろう。
Bellwoodに並んだなんて、とても言えない。
「偽者に勝ったからって、調子に乗るなって事だ」
「ヘイヘイ、分かったよ。でも、そんなに睨まなくても良いだろう?」
「睨む……?」
Jenniferを窘めたEdgarは、彼女に言い返されて初めて気がついたように自分の顔に手で触れた。
無意識のうちに眉間に力が入っていたらしい。それぐらい、Jenniferの言葉に……いや、偽者との戦いが不愉快だったのだ。
「……悪いな。ちょっと緊張していたらしい」
何故不愉快だったのか、Edgarには思い出せない。咄嗟にそう誤魔化すが、誰も深くは気にしなかった。
何故なら、これから彼等はBellwoodがsleeps階層に足を踏み入れるのだから。
階段を下りた先に見えてきた扉の奥から、微かに鎖の揺れる音がする気がした。