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Chapter 302: 太陽の怒りと、途絶える陣太鼓

『砕け散るまで戦おう! だが、Larpan。お前達は退け! Hero Candidateを育てている神もだ!』

 戦意を取り戻したGohnの指示に、『God of the ReflexionsLarpanは反射的に抗議しようとしたが、悔しげに押し黙ると他のspace attributeGodsと共にDemon KingContinentから撤退した。


 Demon King Guduranisを倒し、AldaVidaに神を罰する『Pile of Law』を打った後、space attributeの神となった彼等はAlda's Factionでは貴重な存在だ。

 何故ならGreat GodであるZuruwarnが眠りにつき、残されたSubordinate Godも人格を持つ者は全てVida's Factionに付き、残っていたのはegoを持たないattributeの力を管理するだけの機械的な神ばかりで、Subordinate Godを増やす意思がなかったためだ。


 Aldaが彼等に干渉し、『新たな神を増やすのは、attributeの力を管理しworldstabilityさせるのに必要な事だ』と指示を下さなければ、space attributeに新しいSubordinate Godは増えなかっただろう。

 Great Godの代理を行うSubordinate Godが存在するWater-Attributeや土attributeとは、状況が違うのだ。


 そんな体制であるため、今もAlda's Factionspace attributeの神は、Ricklentの代理のSubordinate Godが存在しないtime attributeの神同-samaに少ない。いや、ZuruwarnRicklentVida's Factionである事が明らかになっている以上、機械的にattributeの力を管理し続けているSubordinate God達はAlda's Factionの神として数える事は出来ない。それを考えると、Larpan達の存在の重要度はさらに高まる。


 心情的には残ってGohn達と共に最後まで戦いたくても、小さな勝機に賭けて自身の心情だけで勝手に消滅やsealedされる事は許されない。

 そしてHero Candidateを育てている神も同-samaだ。sealedされるだけならともかく、『God of War HornsSiriusのようにVandalieuに喰われ消滅してしまったら、与えたblessingsも消えてしまう。


 BlateoHero Candidateの有用性に疑問を感じていたが、このようなHumanの領域から離れた地での戦いならともかく、 Bahn Gaia continentでの、街や村でVandalieu達が暗躍している時には城のような巨体のDemi-God達よりも有用な存在だ。

 故に、Larpan達は撤退したのだった。


『儂は最後まで付き合うぞ。Wind-Attributeには新しい神も多い。それに、逃げ散ったmonstersを集め制御するには儂が必要だろう?』

 だが、『God of War DrumZepaonは残っていた。彼はSiriusと違い、Defense Corpsに加わる前に自身が育てていたHero Candidateの指導をNineroadに頼んでいたからだ。


 自身が滅んでHero Candidateからblessingsが消えても、Nineroad 's Divine Protectionは残る。


『……すまぬ』

 GohnはそうZepaonに一言詫びると、腕を振り上げた。

『偉大なるGreat Godよ! 我々の答えをご照覧あれ!』

 そしてその手に、Manaでもって小さな砦よりも大きな巨岩を創り出し、船団に向かって投擲した。


「戦闘再開」

『砲撃開始』

 だが、巨岩は船団の大砲型Demon King Familiarが放つ砲弾の集中攻撃によって砕かれた。


 そしてGohn達とGufadgarn率いる船団との、遠距離攻撃戦が再開される。

 Zepaonが太鼓を叩き、その音に従って、散っていたmonsters達の生き残りが再び集まり出す。

monstersじゃ足りんぞ! 貴-sama等も前に出て来い!』

 そして、集まったmonstersが向かってくる度に戦意に猛るGodwinによって殴り殺されていく。


 肉片と臓物が飛び散る凄惨な光景だが、それがmonstersのものではなくDefense CorpsDemi-Godのものに変わるのは時間の問題だった。


「こちらが対話可能であり、奉じるGodsを尊ぶ存在である事のappealタイムは終わりました。後は構う事はありません。殲滅あるのみです」

 既に降伏勧告は済んでいる。そして敗色濃厚なのは明らか。それでも決死の覚悟を固めて向かってくることを止めない敵を、優しく生け捕りにしてやる謂われはない。


 Vandalieuは念のためBotin達を見上げるが、何も言われなかったので、それで問題ないようだ。

 その意を受けて、Gufadgarnが号令を下す。

Bakunawaを下げて、待機していた各員は前へ。Orichalcum船は偽装を解き、本来の用途につけ」

 その声と同時に、残り八隻になっていた偽Cuatroの内三隻が内側から砕け散った。


『うおおおおお! やっと背筋を伸ばせるぅぅぅ!』

『兄者よ、窮屈だったのは分かるが、何も叫ばなくても良いだろうに』

 姿を現したのは、TalosheimPatron Godにして『Giant of the Sun』、Talos。そしてそのImouto、『Giant of the MoonDianaだった。


brother and sister仲が良い事じゃな』

 そして龍に似たlower bodyと美女の上半身を持つ龍、『Mountain Queen Dragon GodTiamatである。

『あ、Mamaだー!』

 言われた通り後方に下がりつつあったBakunawaが、地響きを立てながらTiamatに駆け寄る。


『うむ、頑張ったのう、坊や。義母-sama方と楽しくご飯だったかえ?』

『うん、とっても美味しかったよ! でも、Papaが一番おいしい!』

『そ、そうか。でも、Papaをあまり食べてはならぬぞ』

『うん、enduranceするー』

 スケールと会話の内容以外は、微笑ましい母子の光景だ。


 それに苛立ちを覚えた、若しくは隙と見たDemi-God達による攻撃が集中したが、Tiamatが尾を振るって衝撃波を起こし、殆どの攻撃を防いだ。


 そして、衝撃波を抜けた僅かな攻撃も彼女のscaleを貫く事は出来なかった。

『息子と語らう母親を狙うとは、Aldaに従う龍は卑劣な蛇に成り果てたか』

『戦場で暢気に語らっておいて何を言う!』

『見逃して欲しいなら脇に退け!』


 TiamatProvocationに、『Light Dragon GodRyularyusと『Whirlwind Dragon GodZanapherが激昂し、さらに激しいBreathを吐くが、その軌道上にTalosWeapon Equipmentを差し入れて、防いでしまう。

『うむ、船をそのまま棍棒として使えと言われてやや不安だったが、問題はないようだ』

 Talosが振るっているのは、なんと、船団を構成していたOrichalcum製偽Cuatroだった。


Orichalcumは外側と柱だけだが、【Demon King Fragment】で内部から補強されている。盾にも棍棒にもなる、そして使わない時は独自に援護してくれる。素晴らしいWeapon Equipmentだな』

 Dianaも同じようにOrichalcum船を両手で振ってDefense Corpsの面々の攻撃を弾き飛ばしながら、magicを用いて湖面を歩き進んでいる。


Transformation Equipmentでないのが残念とか、そういう事はないのか? 兄である儂には、正直に言って良いぞ、Imoutoよ』

『……兄者、私はそう言うつもりでZadirisblessingsを与えたのではないと、何度も言っているはずですが?』

『いや、しかしあの『Magical Girl』と言う流行は中々の物だと思うぞ。その流れに乗って『月とMagical Girlgiant』になれば、儂等純粋な神ではないDemi-Godも更なる力を得られるのではないかと思うのだが』


blessingsを与えられた者が神に倣うのならともかく、与えた者に神が倣ってどうするのです!』

 しつこいTalosへの苛立ちを込めて振るわれたOrichalcum船が、『Ice GiantMuganが投げた氷を砕き、氷塊の散弾にして打ち返した。

 monstersDefense CorpsDemi-God達にとって、ある意味ではとばっちりである。


Orichalcumの空飛ぶ船が混じっているとは予想していたが、それを奴ら用のWeapon Equipmentに用いるとは!』

 Gohnは唸り声をあげて顔を歪めた。Demi-God達は、Beast Kingや龍は当然だが形状上武具を装備できるはずのTrue giant達も、滅多に武具を使わない。


 それは鉄やMythrilAdamantite、そしてOrichalcum製でも粗雑な作りの武具ではTrue giant自身のBodyと、magicを用いて作った武具の方が強いから。そして、彼らはStatus systemの対象外の存在であるためskillの恩恵がないからだ。

 例外が、自らが司る金属のEnhanced (1)と加工が得意な『Bronze GiantLuburgや『Iron GiantNabanger等だ。


 certainlyDemon King Armyとの戦いではBotinやその高弟であるSubordinate GodChampion Hillwillowが鍛えたOrichalcumの高品質でGiantな武具を使って戦った。しかし、それも激戦によって壊れ、BotinSubordinate God達がsealedされているために治す事も、新たに仕立てる事も出来なかった。


『だが、それは貴-samaらも同じはずだ! Botinrevivedのは、ついさっきなのだからな!』

 距離を詰めて来るTalosDianaに向かって、MuganGohnの横を駆け抜けて接近する。彼は氷のwhole body甲冑と斧、そして盾を作り出すと二人に挑みかかった。


 その体捌きは、その高すぎるbody part Abilityのせいで武術を学ぶ必要のないTrue giantとしては、洗練されたものだった。


『頑丈なだけの棍棒で、儂の攻撃に耐えられるか!? 十万年の眠りで呆けた貴-samaが!』

『ぬおおおおおおお!』

 Muganが振り降ろした氷のBattle Axeを、TalosOrichalcum船を盾にして受け止めた。だが、刃はOrichalcumの装甲を切り裂き、半ばまで食い込んでいる。そのままMuganに押し込まれたように後ずさるが――。


『呆けた? 呆けていたのは貴-sama等だ!』

 それまでの暢気な-sama子から表情を一変させたTalosが、Muganが放つcoldで凍った湖面を砕きながら踏み込む。

『ぬああっ!?』

 上体を後ろに反らし、体勢を崩したMuganが下がろうとするがTalosはそれを許さない。


『十万年の間、起きていた貴-sama等は何をしていた!? 何故最近まで眠っていた儂に地力で負ける!?』

 大気を割るような勢いで、TalosOrichalcum船を振り回す。その動きには、Muganにあったような洗練された技は全くない。ただただ力強く、荒々しく、隙だらけの力任せな攻撃だ。


 だが、Muganはその隙を突く事は出来ない。氷の盾でOrichalcum船を受け止めるので精一杯のconditionだ。

『それは貴-sama等が鍛錬を怠ったからだ! 自らのAbilityに自惚れ、頭を使えぬからだ!』

 Talosが怒号と共に振り降ろしたOrichalcum船が、Muganの盾ごと彼の氷の手甲を砕いた。


『グアアア! おのれっ、言わせておけば! 人に媚びるしか能のない貴-samaが、何を言う!』

 だがMuganもただではやられない。砕け散り、midairを舞う氷の盾をcoldで再び繋ぎ合わせ、TalosOrichalcum船を自分のLeft Armと氷で繋げる。

 そして両腕とWeapon Equipmentを封じられたTalosの脇腹に、氷の斧を叩きこんだ。


 びしゃりと、大量の液体が撒き散らされる。


『ば、BAKANA!』

 Talosの脇腹には、爪の先程の傷もついていなかった。Muganの氷の斧が、一瞬で溶けてしまったからだ。

『そして、それを自覚し、人に学ぼうとせぬからだ』

 太陽を司る彼の力によって熱せられたOrichalcum船が、緋色に変化していく。


『それを作ったあれも、人だとでも言うつもりか!?』

 超高熱に熱せられたOrichalcum船をTalosSingle Flashすると、鞭のようにしなりMuganの脳天に叩きつけられた。その瞬間、彼の氷の鎧と湖水によって大量の水蒸気が発生し、爆発する。


『この船を造った者が人に見えぬのなら、それは貴-sama達の所業故だ。彼は人として生まれた。そうである以上、死ぬまで人だ』

 爆発が収まった後、ゴボゴボと泡立ち沸騰した湖に浮かぶMuganの屍に、Talosはそう声をかけた。


 そして、そのTalosの後頭部にDianaの拳が炸裂する。

『ぐおっ!?』

『その船を造った者から言われた言葉を忘れたのか!? 兄者が全力を出して熱を込めると、Demon King Familiarの維持が難しくなるから、ここぞという時まで控えるようにと!』


 Dianaが指し示したTalosが握るOrichalcum船は、熱した飴のように伸びて形を変えており原形を保っていない。そのためMuganが斧でつけた傷も塞がっているが、棍棒にするには細すぎる。

 そして、内部で装甲を支え、形の維持と復元を担当していたDemon King Familiarは、『後は宜しく―』と燃え尽きていた。


『あ……しまった』

『本当に忘れていたのか。仕方ない、後は素手で戦うのだな』

『いや、久しぶりに全力を出したせいか、もう結構EnduranceManaが……儂、Diseaseみ上がりだし』

 Muganの氷の斧と鎧を一瞬で蒸発させるほどbody partOrichalcum船を熱したために、Talosの息は上がっていた。


『だったらEnduranceManaの配分を考えろ! 本当に呆けてどうする!?』

『まあ、revivalしてまだ十年も経っていないのじゃろう? body partが鈍っても仕方あるまい。ほれ、女子のshadowで休むがよい』

『うう、苦労をかけるのぉ。Imoutoとその友よ』


 激昂しながらも前に出るDianaと、彼女に続くTiamatTalosは特に遠慮する事なく、二人の後ろに下がった。

 三柱のGodsがそんな締まらないやり取りをしている間も、戦闘は続いている。しかしEnduranceを失ったTalosに遠距離攻撃が集中したり、新たな敵がPierceしてくる事はなかった。


『ちょこまかと、小賢しい!』

「ガハハハ! そよ風のgiantよ、そんなものでは涼しいだけだぞ!」

『おのれ! 愚弄するか!』

 midairでは、任期間近でもうすぐ『Majin King』ではなくなるGodwinと、『Gale GiantPozeliが激しいphysical battleを展開していた。


「ん? 違ったかぁ? すまんなぁ、前の戦いで劣勢になるや尻に帆をかけて逃げ出した、coward者がいたと聞いたが、良く覚えておらんでなぁ」

『貴-samaあああああああ!』

 Provocationに乗ったPozelicountlessの、しかし制御の甘い風の刃を放ち、GodwinTrue giantに比べれば小さい三meter強のbody partが、木の葉のように舞う。


 青いbloodが飛び散るが、Godwinの高い再生Abilityによって傷はすぐに塞がり、失った分のbloodも回復する。

「ハッハッハァ! ぬるいぬるい、やはりそよ風だな!」

 そう言いながら、Godwinは風の刃の隙間を鋭い感覚と勘で掻い潜り、Pozeliに着実にDamageを与えていく。


「今度こそDragon Slayerになってやるわ!」

 Eleonoraが、FidirgLuvezfolが聞いたら震え上がるような事を叫びながら、Pozeliの援護に向かおうとした龍に切りかかった。


『玩具頼りのfilthy Vampireが! このZanapherが何度もやられると思ったか!?』

 Eleonoraの剣によってscaleを切り裂かれた龍、前回の戦いでPozeliと共にEleonoraVigaroと戦った『Whirlwind Dragon GodZanapherは、咆哮を上げながら風の刃を放つ。


『巻くtailも斬られて逃げたlizardが、笑わせるな!』

「私とはやや相性の悪い相手なのですが……」

 Eleonoraに続いて、IslaBellmondも戦いに加わった。


 三人の美女がGiantな龍と剣を交える-sama子は、正にMyth的な光景であった。……美女の内二人がVampireで、一人がVampireZombieである事を知ったら、人類の半分以上は掌を返すだろうが。


Isla、戦意に滾るのは良いですが、激昂はしない方が良いと思いますよ」

 密森猿系Beast raceからVampireになったBellmondは、風で流れる魔糸……Vandalieuの【silk gland】から出した糸を紡いで作った糸を【Illusion Thread Technique】で操り、Zanapherの指に引っかけて切断する。さらに、横槍を入れようとするmonstersを【Petrifying Magic Eye】で石像に変え、見た目よりも忙しく立ち回っている。


Vandalieu -samaが私の為に作ってくださったTransformation Equipmentを、玩具と言われた! これを怒らずにいられるわけがないでしょう!?』

 Transformation Equipmentを使う事には微妙な抵抗があるが、Transformation Equipment自体をidiotにされると激怒する。女心の複雑さというか、fanatic Undeadの分かり易い心理というべきか。……ちなみに、Equipmentの製作にはTareaの手も入っている。


 しかし、鬼の形相だったIslaが急に頬を喜悦に緩めると、怒りで荒くなっていた剣に余裕が戻った。

『ああ、はいっ、ありがとうございます、Vandalieu -sama! 今この獲物を捧げますわ!』

 どうやら、【Familiar Spirit Demonic Advent】でIslaに降りているVandalieuCloneから、何か言われたようだ。


「……旦那-sama、彼女に何を言われたのですか?」

『はい。『気持ちは嬉しいですが、食べ物と口論しても良い事はありませんよ。後で一緒に食べましょう』と言っただけなのですが』

 Bellmondが自分に降りているFamiliar Spiritに訊ねると、そう答えがあった。それを聞いて、彼女は小さくため息を吐いた。


「旦那-samaは、皆で一緒にという意味で言ったと思われますが……彼女は二人で一緒に食べようと解釈したのだと思います」

『やっぱりそう思います?』


 千切れんばかりに振られているtailが幻視出来そうなほど、Islaは嬉しそうだ。そして、Zanapherの瞳に剣をthrust入れた挙句鎖でeyeballを縛り、目をくり抜こうとしてscreechをあげさせている。

 どうやら、まずeyeballを捧げるつもりのようだ。


『では、がっかりさせるのはかわいそうなので、本当に一緒にご飯を食べるよう、main bodyに伝えましょう』

 そうVandalieuCloneが言った途端、それまで「困ったものね」という雰囲気でIslaを援護していたEleonoraBellmondの二人が、弾かれたように動き出した。


「待ちなさい、Isla! その獲物は私がVan -samaに献上するわ!」

「私が三枚に卸し、旦那-samaに供します!」


 IslaだけのつもりだったVandalieuCloneは、二人の反応に大いに戸惑った。

『おや? あれ? ええっと……お互い助け合い、Coordinationは密に』

 戸惑ったが、やはり『がっかりさせるのはかわいそう』なのでcorrectionせずに、足の引っ張り合いにならないように釘を刺すだけにする。


「「『はい!』」」

 頑張れ、main body

『ギヤアアアアアアアア!』

 三人の返事を掻き消すように、Zanapherの絶叫が響き渡った。この戦場で、最も凄惨な最期を迎えるのは彼かもしれない。


 そのZanapherPozeli以外のDefense CorpsDemi-God達を、Cuatroの砲撃が狙っていた。

Zepaon -donoに攻撃を通すな! 全て防ぐのだ!』

 『Crab Beast KingGabildesが鋏を振り上げ、砲弾型Demon King Familiarを叩き落とそうとしながら叫ぶ。Larpan達、space attributeの神が撤退したため、今のZepaonmagicで姿を隠しているだけで、周囲のspaceを歪曲させて守られている訳ではないからだ。


 既に飼い慣らしたmonstersの数は残りわずかだが、まだ制御を失う訳にはいかないと、Gabildesは砲弾型Demon King Familiarに向かって鋏を振り降ろし、酸性の泡を吐く。

『幻覚ではなく大気と光をmagicで操作して姿を消すとは』

『さすがに俺対策は取っていますか』

 しかし、砲弾型Demon King Familiarは器用にGabildesや彼の号令に従うDemi-God達の攻撃を避けていた。


 鋏や泡が当たる寸前に、真横に移動するのだ。

『ですが、偽装工作の必要はなくなり、【Demon Kingspiracle】も使えるので――』

『防御の方は通じませんよ』

 その秘密は、Vandalieuが対【Demon King Fragmentsealed訓練で使用していたfragmentの内片方、【Demon Kingspiracle】だった。


 spiracleとは本来虫が持つ呼吸器官なのだが、Vandalieuはそれを他のfragmentを組み合わせて操作し、姿勢制御と緊急回避のための空気噴射口として活用しているのだ。


 以前から方向転換や追尾等は出来ていたが、【Demon Kingspiracle】をAbsorptionした事によって、その機動性は格段に上がっていた。

『ぬぅ! feather虫のように逃げ回り――ギオオオオ!?』

 振り回されるscissorを掻い潜った砲弾型Demon King Familiarが、Gabildescarapaceの関節部分を狙って爆発し、彼は泡を吹きながら絶叫を轟かせた。


『急ぐ事はありません。俺はまだまだありますから』

 BakunawaCuatroよりも後ろに下がったため、Defense CorpsDemi-God達の動きを縛るものは何もない。しかし、動きを縛るものがなくなったのは、砲弾型Demon King Familiarも同じ事。


『もう、手加減をする必要も無くなりましたし』

『グアアアアアアアア!!』

 Gabildesの堅牢なcarapaceを、砲弾型Demon King Familiarの爆発の衝撃が叩き、熱が焦がす。weak関節部からヒビが入り、熱がcarapaceの内側の肉を焼く。


 Vandalieuは盾を掻い潜って肉を断つのではなく、盾を叩き壊してから肉を焼くつもりだった。操っているmonstersの数が減っているので、Gabildesが考えているほどZepaonの標的としての優先順位は高くなかったのだ。


 それを察したZepaonmonstersの制御を放棄して、Defense Corpsの総戦力を減らしてでもGabildes達を自由にするべきか否か迷った。

 その時、空から幾つかの光の柱が降りてきた。Alda's Factionからの援軍かと、Gufadgarn達が身構える。


『これ以上Demon King Vandalieuの好きにさせるな!』

 それはZepaon、そして先の戦いで消滅した『God of War HornsSiriusHeroic spirit達だった。確かに敵の援軍ではあるが、彼らはAldaの指示でAdventしたのではなく、自らの意思で戦場に飛び込んだのだ。


『お前達! 待機するよう命じたはずだぞ! 儂に何かあれば、Nineroad -donoを頼るようにとも指示したはずだ!』

 だからZepaonは反射的にそう叫んだが、Heroic spirit達は彼の叫びに畏まるどころか、砲弾型Demon King FamiliarDiana達との戦闘に突入していく。


『我々はNineroadではなく、Zepaon -samaHeroic spiritです! 人であった時から奉じた神の危機に参じぬHeroic spiritに、何の意味がありましょう!?』

『我々Sirius -samaHeroic spiritは、その屈辱にこれ以上堪えるつもりはありませぬ! War Godでもあった主の名にかけて、一矢報いてくれる』


 Godsの武力であるHeroic spirit達は、そう言ってZepaonが隠れているPseudo-Divine Realmから躊躇わず出て、GodwinDianaと刃を交え、砲弾型Demon King Familiarを迎撃する。

 その大きさこそHuman大であり、約百meterの巨体を持つDemi-Godと比べるまでもないが、彼らはRankにして十二から十四の力を持つ。それが十数柱戦場に加わった事で、Defense Corpsにとって戦況は僅かに好転した。


『お前達……!』

 Zepaonは声を震わせ、Defense CorpsDemi-God達は僅かに希望が見えて来たと、士気を高める。

「敵ながら、その気持ちは理解できる」

 しかしGufadgarnHeroic spirit達の登場に動揺ではなく、共感を浮かべた。


「故に、せめて共に滅びるといい」

 何故なら、彼女の目にはDefense Corpsのはるか後方で、Great God達が何かを投げようと振りかぶっているのが見えたからだ。


Pseudo-Divine Realmから出られないのは本当だけれど……何もできない訳じゃない!』

 そしてVidaが何かを投げた。それはZepaonがいるPseudo-Divine Realmに猛Speedで向かっていく。

GoddessCloneを投げさせたのか!?』

 主であるZepaonを守ろうと、Heroic spiritがその何かの前に立ちはだかり、盾を構える。砲弾型Demon King Familiarだったら、その盾と鎧によるDefense Powerで、無傷とはいかないだろうが耐える事が出来ただろう。


「いえ、main bodyを投げてもらいました」

 しかし、その何かは、【Soul Breaking Arts】をActivateさせたVandalieu本人だった。

『なっ――がは!?』

 魂を纏い、whole bodyを弾丸と化したVandalieuの直撃にはHeroic spiritも耐える事が出来ず、盾と胴体に大穴を空けて、光の粒子となって砕け散った。


 そして、VandalieuはそのままZepaonがいるPseudo-Divine Realmに到達し――

「【Absolute Death Flash】」

 death attributeManaStaff of the Five Sinsに収束させて創りだした刃を、Single Flashした。


『が……はっ!』

 何かが砕ける音と共に、光と大気を操作して隠れていたZepaonが姿を現した。その顔は信じられないというかのように目を見開き、片腕ごと斬られた太鼓を凝視していた。


『いかん!』

Zepaon -sama!』

 Gabildesと生き残っているHeroic spirit達がZepaonを守るために駆け付けようとするが、ZantarkBotinPeriaが何かを投げるのが先だった。


『坊主に続けぇぇぇ! 【Dragon God Slaying】ィ!』

 High-Speedで飛来したBorkusと彼が構えるDemon King Fragment製のMagic Swordの切っ先が、Zepaonを貫き、風穴を開けた。

『……!!』

 そして、Zepaonが断末魔の叫びをあげる事も出来ず姿が薄れ、消えていく。力を失い、魂を傷つけられ眠りにつきかけているのだ。


 だが、完全に消える前にGiantな氷の刃がZepaonを串刺しにし、眠りではなく滅びを与えた。

『ゼ、Zepaon -sama―っ!』

「危なかった。瀕死のconditionになると、自然と眠りについてしまうようですね」

 Heroic spiritの悲痛な叫びを無視して、Vandalieuは袖で額を拭った。


 神が眠りについた場合はかなりの年月行動不能になるが、死んだわけではない。無意識に近いconditionbelieverの祈りを聞き、神として活動し続ける。

 そして、何らかの方法で一時的にでもrevivalするかもしれない。そうVandalieuは考えている。


 だから、滅ぼすのである。


『まだHeroic spiritがいるけど、どうする?』

 sealedの中に付いて来ていた、水と土のattributeGhostOrbiaが訊ねる。

「では、ちょうど、湖も近いですし派手に行きましょう。偽装工作も終わったので、Divine Spirit Magicも解禁です」

『オッケー!』


 膨大なManaStaff of the Five Sinsを通してOrbiaに注がれ、それまでMadrozaWater-AttributeDemi-Godに力を与えていた湖が変質していく。

「【Grand Frozen Death Snake】とでも、名付けましょうか」

 湖水と底の泥が交わり、凍土で出来たcountlessGiant蛇となって残りのHeroic spiritと、Demi-Godに襲いかかった。




―――――――――――――――――――――――――




Name: Orbia

Rank: 14

Race: Diva Chaos Broad Ghost

Level:


Passive skills

Spirit Form:10Lv

Mental Corruption:6Lv

Water Attribute Nullification

Fluid Manipulation:10Lv(UP!)

Materialization:10Lv

Augmented Mana:9Lv(UP!)

Earth-Attribute Nullity(Earth-Attribute Resistance awakened into!)

Self-Enhancement: Subordinate:7Lv(UP!)

Self-Enhancement: Demon King’s Blood:10Lv(UP!)

Self-Enhancement: Guidance:7Lv(UP!)

Strengthened Attribute Values: Creator:8Lv(UP!)



Active skills

Unarmed Fighting Technique:7Lv(UP!)

Fishing:3Lv

Housework:3Lv

Dancing:7Lv(UP!)

Projectile Fire:10Lv

Long-distance Control:10Lv(UP!)

No-Attribute Magic:4Lv(UP!)

Water-Attribute Magic:10Lv(UP!)

Earth-Attribute Magic:9Lv(UP!)

Mana Control:8Lv(UP!)

Singing:3Lv(UP!)

Armor Technique:5Lv(UP!)

Possession:3Lv(UP!)



Unique skill

Merrebeveil’s Divine Protection

Vandalieu’s Divine Protection

Botin’s Divine Protection(NEW!)

Peria’s Divine Protection(NEW!)




Monster explanation:Diva Chaos Broad Ghost Luciliano


 既にGhostではないと思う。もしくは、極めればGhostGoddessの域に達する事が出来るという事かもしれない。ここでは便宜上、Ghostと表記するけれど。


 PeriaBotin’s Divine Protectionを得た事で、Water-Attributeだけではなく、originally持っていた土attributeの要素も強くなり、水と土attributeGhostとなっている。


 Orbia本人の戦闘力はRank14にしては低いが、彼女は師Artisanmagicによって本領を発揮するので問題ないのだろう。彼女だけが敵に狙われる心配も、しなくていい。彼女の近くに師Artisanが居ないはずがないのだから。

 当然だが、Adventurer’s GuildDiva Chaos Broad Ghostrecordはない。そもそも、Rank14に到達したGhostrecord自体が存在しない。


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