『砕け散るまで戦おう! だが、Larpan。お前達は退け! Hero Candidateを育てている神もだ!』
戦意を取り戻したGohnの指示に、『God of the Reflexions』Larpanは反射的に抗議しようとしたが、悔しげに押し黙ると他のspace attributeのGodsと共にDemon KingのContinentから撤退した。
Demon King Guduranisを倒し、AldaがVidaに神を罰する『Pile of Law』を打った後、space attributeの神となった彼等はAlda's Factionでは貴重な存在だ。
何故ならGreat GodであるZuruwarnが眠りにつき、残されたSubordinate Godも人格を持つ者は全てVida's Factionに付き、残っていたのはegoを持たないattributeの力を管理するだけの機械的な神ばかりで、Subordinate Godを増やす意思がなかったためだ。
Aldaが彼等に干渉し、『新たな神を増やすのは、attributeの力を管理しworldをstabilityさせるのに必要な事だ』と指示を下さなければ、space attributeに新しいSubordinate Godは増えなかっただろう。
Great Godの代理を行うSubordinate Godが存在するWater-Attributeや土attributeとは、状況が違うのだ。
そんな体制であるため、今もAlda's Factionのspace attributeの神は、Ricklentの代理のSubordinate Godが存在しないtime attributeの神同-samaに少ない。いや、ZuruwarnとRicklentがVida's Factionである事が明らかになっている以上、機械的にattributeの力を管理し続けているSubordinate God達はAlda's Factionの神として数える事は出来ない。それを考えると、Larpan達の存在の重要度はさらに高まる。
心情的には残ってGohn達と共に最後まで戦いたくても、小さな勝機に賭けて自身の心情だけで勝手に消滅やsealedされる事は許されない。
そしてHero Candidateを育てている神も同-samaだ。sealedされるだけならともかく、『God of War Horns』SiriusのようにVandalieuに喰われ消滅してしまったら、与えたblessingsも消えてしまう。
BlateoはHero Candidateの有用性に疑問を感じていたが、このようなHumanの領域から離れた地での戦いならともかく、 Bahn Gaia continentでの、街や村でVandalieu達が暗躍している時には城のような巨体のDemi-God達よりも有用な存在だ。
故に、Larpan達は撤退したのだった。
『儂は最後まで付き合うぞ。Wind-Attributeには新しい神も多い。それに、逃げ散ったmonstersを集め制御するには儂が必要だろう?』
だが、『God of War Drum』Zepaonは残っていた。彼はSiriusと違い、Defense Corpsに加わる前に自身が育てていたHero Candidateの指導をNineroadに頼んでいたからだ。
自身が滅んでHero Candidateからblessingsが消えても、Nineroad 's Divine Protectionは残る。
『……すまぬ』
GohnはそうZepaonに一言詫びると、腕を振り上げた。
『偉大なるGreat Godよ! 我々の答えをご照覧あれ!』
そしてその手に、Manaでもって小さな砦よりも大きな巨岩を創り出し、船団に向かって投擲した。
「戦闘再開」
『砲撃開始』
だが、巨岩は船団の大砲型Demon King Familiarが放つ砲弾の集中攻撃によって砕かれた。
そしてGohn達とGufadgarn率いる船団との、遠距離攻撃戦が再開される。
Zepaonが太鼓を叩き、その音に従って、散っていたmonsters達の生き残りが再び集まり出す。
『monstersじゃ足りんぞ! 貴-sama等も前に出て来い!』
そして、集まったmonstersが向かってくる度に戦意に猛るGodwinによって殴り殺されていく。
肉片と臓物が飛び散る凄惨な光景だが、それがmonstersのものではなくDefense CorpsのDemi-Godのものに変わるのは時間の問題だった。
「こちらが対話可能であり、奉じるGodsを尊ぶ存在である事のappealタイムは終わりました。後は構う事はありません。殲滅あるのみです」
既に降伏勧告は済んでいる。そして敗色濃厚なのは明らか。それでも決死の覚悟を固めて向かってくることを止めない敵を、優しく生け捕りにしてやる謂われはない。
Vandalieuは念のためBotin達を見上げるが、何も言われなかったので、それで問題ないようだ。
その意を受けて、Gufadgarnが号令を下す。
「Bakunawaを下げて、待機していた各員は前へ。Orichalcum船は偽装を解き、本来の用途につけ」
その声と同時に、残り八隻になっていた偽Cuatroの内三隻が内側から砕け散った。
『うおおおおお! やっと背筋を伸ばせるぅぅぅ!』
『兄者よ、窮屈だったのは分かるが、何も叫ばなくても良いだろうに』
姿を現したのは、TalosheimのPatron Godにして『Giant of the Sun』、Talos。そしてそのImouto、『Giant of the Moon』Dianaだった。
『brother and sister仲が良い事じゃな』
そして龍に似たlower bodyと美女の上半身を持つ龍、『Mountain Queen Dragon God』Tiamatである。
『あ、Mamaだー!』
言われた通り後方に下がりつつあったBakunawaが、地響きを立てながらTiamatに駆け寄る。
『うむ、頑張ったのう、坊や。義母-sama方と楽しくご飯だったかえ?』
『うん、とっても美味しかったよ! でも、Papaが一番おいしい!』
『そ、そうか。でも、Papaをあまり食べてはならぬぞ』
『うん、enduranceするー』
スケールと会話の内容以外は、微笑ましい母子の光景だ。
それに苛立ちを覚えた、若しくは隙と見たDemi-God達による攻撃が集中したが、Tiamatが尾を振るって衝撃波を起こし、殆どの攻撃を防いだ。
そして、衝撃波を抜けた僅かな攻撃も彼女のscaleを貫く事は出来なかった。
『息子と語らう母親を狙うとは、Aldaに従う龍は卑劣な蛇に成り果てたか』
『戦場で暢気に語らっておいて何を言う!』
『見逃して欲しいなら脇に退け!』
TiamatのProvocationに、『Light Dragon God』Ryularyusと『Whirlwind Dragon God』Zanapherが激昂し、さらに激しいBreathを吐くが、その軌道上にTalosがWeapon Equipmentを差し入れて、防いでしまう。
『うむ、船をそのまま棍棒として使えと言われてやや不安だったが、問題はないようだ』
Talosが振るっているのは、なんと、船団を構成していたOrichalcum製偽Cuatroだった。
『Orichalcumは外側と柱だけだが、【Demon King Fragment】で内部から補強されている。盾にも棍棒にもなる、そして使わない時は独自に援護してくれる。素晴らしいWeapon Equipmentだな』
Dianaも同じようにOrichalcum船を両手で振ってDefense Corpsの面々の攻撃を弾き飛ばしながら、magicを用いて湖面を歩き進んでいる。
『Transformation Equipmentでないのが残念とか、そういう事はないのか? 兄である儂には、正直に言って良いぞ、Imoutoよ』
『……兄者、私はそう言うつもりでZadirisにblessingsを与えたのではないと、何度も言っているはずですが?』
『いや、しかしあの『Magical Girl』と言う流行は中々の物だと思うぞ。その流れに乗って『月とMagical Girlのgiant』になれば、儂等純粋な神ではないDemi-Godも更なる力を得られるのではないかと思うのだが』
『blessingsを与えられた者が神に倣うのならともかく、与えた者に神が倣ってどうするのです!』
しつこいTalosへの苛立ちを込めて振るわれたOrichalcum船が、『Ice Giant』Muganが投げた氷山を砕き、氷塊の散弾にして打ち返した。
monstersやDefense CorpsのDemi-God達にとって、ある意味ではとばっちりである。
『Orichalcumの空飛ぶ船が混じっているとは予想していたが、それを奴ら用のWeapon Equipmentに用いるとは!』
Gohnは唸り声をあげて顔を歪めた。Demi-God達は、Beast Kingや龍は当然だが形状上武具を装備できるはずのTrue giant達も、滅多に武具を使わない。
それは鉄やMythril、Adamantite、そしてOrichalcum製でも粗雑な作りの武具ではTrue giant自身のBodyと、magicを用いて作った武具の方が強いから。そして、彼らはStatus systemの対象外の存在であるためskillの恩恵がないからだ。
例外が、自らが司る金属のEnhanced (1)と加工が得意な『Bronze Giant』Luburgや『Iron Giant』Nabanger等だ。
certainly、Demon King Armyとの戦いではBotinやその高弟であるSubordinate God、Champion Hillwillowが鍛えたOrichalcumの高品質でGiantな武具を使って戦った。しかし、それも激戦によって壊れ、BotinとSubordinate God達がsealedされているために治す事も、新たに仕立てる事も出来なかった。
『だが、それは貴-samaらも同じはずだ! Botinがrevivedのは、ついさっきなのだからな!』
距離を詰めて来るTalosとDianaに向かって、MuganがGohnの横を駆け抜けて接近する。彼は氷のwhole body甲冑と斧、そして盾を作り出すと二人に挑みかかった。
その体捌きは、その高すぎるbody part Abilityのせいで武術を学ぶ必要のないTrue giantとしては、洗練されたものだった。
『頑丈なだけの棍棒で、儂の攻撃に耐えられるか!? 十万年の眠りで呆けた貴-samaが!』
『ぬおおおおおおお!』
Muganが振り降ろした氷のBattle Axeを、TalosはOrichalcum船を盾にして受け止めた。だが、刃はOrichalcumの装甲を切り裂き、半ばまで食い込んでいる。そのままMuganに押し込まれたように後ずさるが――。
『呆けた? 呆けていたのは貴-sama等だ!』
それまでの暢気な-sama子から表情を一変させたTalosが、Muganが放つcoldで凍った湖面を砕きながら踏み込む。
『ぬああっ!?』
上体を後ろに反らし、体勢を崩したMuganが下がろうとするがTalosはそれを許さない。
『十万年の間、起きていた貴-sama等は何をしていた!? 何故最近まで眠っていた儂に地力で負ける!?』
大気を割るような勢いで、TalosがOrichalcum船を振り回す。その動きには、Muganにあったような洗練された技は全くない。ただただ力強く、荒々しく、隙だらけの力任せな攻撃だ。
だが、Muganはその隙を突く事は出来ない。氷の盾でOrichalcum船を受け止めるので精一杯のconditionだ。
『それは貴-sama等が鍛錬を怠ったからだ! 自らのAbilityに自惚れ、頭を使えぬからだ!』
Talosが怒号と共に振り降ろしたOrichalcum船が、Muganの盾ごと彼の氷の手甲を砕いた。
『グアアア! おのれっ、言わせておけば! 人に媚びるしか能のない貴-samaが、何を言う!』
だがMuganもただではやられない。砕け散り、midairを舞う氷の盾をcoldで再び繋ぎ合わせ、TalosとOrichalcum船を自分のLeft Armと氷で繋げる。
そして両腕とWeapon Equipmentを封じられたTalosの脇腹に、氷の斧を叩きこんだ。
びしゃりと、大量の液体が撒き散らされる。
『ば、BAKANA!』
Talosの脇腹には、爪の先程の傷もついていなかった。Muganの氷の斧が、一瞬で溶けてしまったからだ。
『そして、それを自覚し、人に学ぼうとせぬからだ』
太陽を司る彼の力によって熱せられたOrichalcum船が、緋色に変化していく。
『それを作ったあれも、人だとでも言うつもりか!?』
超高熱に熱せられたOrichalcum船をTalosがSingle Flashすると、鞭のようにしなりMuganの脳天に叩きつけられた。その瞬間、彼の氷の鎧と湖水によって大量の水蒸気が発生し、爆発する。
『この船を造った者が人に見えぬのなら、それは貴-sama達の所業故だ。彼は人として生まれた。そうである以上、死ぬまで人だ』
爆発が収まった後、ゴボゴボと泡立ち沸騰した湖に浮かぶMuganの屍に、Talosはそう声をかけた。
そして、そのTalosの後頭部にDianaの拳が炸裂する。
『ぐおっ!?』
『その船を造った者から言われた言葉を忘れたのか!? 兄者が全力を出して熱を込めると、Demon King Familiarの維持が難しくなるから、ここぞという時まで控えるようにと!』
Dianaが指し示したTalosが握るOrichalcum船は、熱した飴のように伸びて形を変えており原形を保っていない。そのためMuganが斧でつけた傷も塞がっているが、棍棒にするには細すぎる。
そして、内部で装甲を支え、形の維持と復元を担当していたDemon King Familiarは、『後は宜しく―』と燃え尽きていた。
『あ……しまった』
『本当に忘れていたのか。仕方ない、後は素手で戦うのだな』
『いや、久しぶりに全力を出したせいか、もう結構EnduranceとManaが……儂、Diseaseみ上がりだし』
Muganの氷の斧と鎧を一瞬で蒸発させるほどbody partとOrichalcum船を熱したために、Talosの息は上がっていた。
『だったらEnduranceとManaの配分を考えろ! 本当に呆けてどうする!?』
『まあ、revivalしてまだ十年も経っていないのじゃろう? body partが鈍っても仕方あるまい。ほれ、女子のshadowで休むがよい』
『うう、苦労をかけるのぉ。Imoutoとその友よ』
激昂しながらも前に出るDianaと、彼女に続くTiamat。Talosは特に遠慮する事なく、二人の後ろに下がった。
三柱のGodsがそんな締まらないやり取りをしている間も、戦闘は続いている。しかし、Enduranceを失ったTalosに遠距離攻撃が集中したり、新たな敵がPierceしてくる事はなかった。
『ちょこまかと、小賢しい!』
「ガハハハ! そよ風のgiantよ、そんなものでは涼しいだけだぞ!」
『おのれ! 愚弄するか!』
midairでは、任期間近でもうすぐ『Majin King』ではなくなるGodwinと、『Gale Giant』Pozeliが激しいphysical battleを展開していた。
「ん? 違ったかぁ? すまんなぁ、前の戦いで劣勢になるや尻に帆をかけて逃げ出した、coward者がいたと聞いたが、良く覚えておらんでなぁ」
『貴-samaあああああああ!』
Provocationに乗ったPozeliがcountlessの、しかし制御の甘い風の刃を放ち、GodwinのTrue giantに比べれば小さい三meter強のbody partが、木の葉のように舞う。
青いbloodが飛び散るが、Godwinの高い再生Abilityによって傷はすぐに塞がり、失った分のbloodも回復する。
「ハッハッハァ! ぬるいぬるい、やはりそよ風だな!」
そう言いながら、Godwinは風の刃の隙間を鋭い感覚と勘で掻い潜り、Pozeliに着実にDamageを与えていく。
「今度こそDragon Slayerになってやるわ!」
Eleonoraが、FidirgやLuvezfolが聞いたら震え上がるような事を叫びながら、Pozeliの援護に向かおうとした龍に切りかかった。
『玩具頼りのfilthy Vampireが! このZanapherが何度もやられると思ったか!?』
Eleonoraの剣によってscaleを切り裂かれた龍、前回の戦いでPozeliと共にEleonoraやVigaroと戦った『Whirlwind Dragon God』Zanapherは、咆哮を上げながら風の刃を放つ。
『巻くtailも斬られて逃げたlizardが、笑わせるな!』
「私とはやや相性の悪い相手なのですが……」
Eleonoraに続いて、IslaとBellmondも戦いに加わった。
三人の美女がGiantな龍と剣を交える-sama子は、正にMyth的な光景であった。……美女の内二人がVampireで、一人がVampireのZombieである事を知ったら、人類の半分以上は掌を返すだろうが。
「Isla、戦意に滾るのは良いですが、激昂はしない方が良いと思いますよ」
密森猿系Beast raceからVampireになったBellmondは、風で流れる魔糸……Vandalieuの【silk gland】から出した糸を紡いで作った糸を【Illusion Thread Technique】で操り、Zanapherの指に引っかけて切断する。さらに、横槍を入れようとするmonstersを【Petrifying Magic Eye】で石像に変え、見た目よりも忙しく立ち回っている。
『Vandalieu -samaが私の為に作ってくださったTransformation Equipmentを、玩具と言われた! これを怒らずにいられるわけがないでしょう!?』
Transformation Equipmentを使う事には微妙な抵抗があるが、Transformation Equipment自体をidiotにされると激怒する。女心の複雑さというか、fanatic Undeadの分かり易い心理というべきか。……ちなみに、Equipmentの製作にはTareaの手も入っている。
しかし、鬼の形相だったIslaが急に頬を喜悦に緩めると、怒りで荒くなっていた剣に余裕が戻った。
『ああ、はいっ、ありがとうございます、Vandalieu -sama! 今この獲物を捧げますわ!』
どうやら、【Familiar Spirit Demonic Advent】でIslaに降りているVandalieuのCloneから、何か言われたようだ。
「……旦那-sama、彼女に何を言われたのですか?」
『はい。『気持ちは嬉しいですが、食べ物と口論しても良い事はありませんよ。後で一緒に食べましょう』と言っただけなのですが』
Bellmondが自分に降りているFamiliar Spiritに訊ねると、そう答えがあった。それを聞いて、彼女は小さくため息を吐いた。
「旦那-samaは、皆で一緒にという意味で言ったと思われますが……彼女は二人で一緒に食べようと解釈したのだと思います」
『やっぱりそう思います?』
千切れんばかりに振られているtailが幻視出来そうなほど、Islaは嬉しそうだ。そして、Zanapherの瞳に剣をthrust入れた挙句鎖でeyeballを縛り、目をくり抜こうとしてscreechをあげさせている。
どうやら、まずeyeballを捧げるつもりのようだ。
『では、がっかりさせるのはかわいそうなので、本当に一緒にご飯を食べるよう、main bodyに伝えましょう』
そうVandalieuのCloneが言った途端、それまで「困ったものね」という雰囲気でIslaを援護していたEleonoraとBellmondの二人が、弾かれたように動き出した。
「待ちなさい、Isla! その獲物は私がVan -samaに献上するわ!」
「私が三枚に卸し、旦那-samaに供します!」
IslaだけのつもりだったVandalieuのCloneは、二人の反応に大いに戸惑った。
『おや? あれ? ええっと……お互い助け合い、Coordinationは密に』
戸惑ったが、やはり『がっかりさせるのはかわいそう』なのでcorrectionせずに、足の引っ張り合いにならないように釘を刺すだけにする。
「「『はい!』」」
頑張れ、main body。
『ギヤアアアアアアアア!』
三人の返事を掻き消すように、Zanapherの絶叫が響き渡った。この戦場で、最も凄惨な最期を迎えるのは彼かもしれない。
そのZanapherやPozeli以外のDefense CorpsのDemi-God達を、Cuatroの砲撃が狙っていた。
『Zepaon -donoに攻撃を通すな! 全て防ぐのだ!』
『Crab Beast King』Gabildesが鋏を振り上げ、砲弾型Demon King Familiarを叩き落とそうとしながら叫ぶ。Larpan達、space attributeの神が撤退したため、今のZepaonはmagicで姿を隠しているだけで、周囲のspaceを歪曲させて守られている訳ではないからだ。
既に飼い慣らしたmonstersの数は残りわずかだが、まだ制御を失う訳にはいかないと、Gabildesは砲弾型Demon King Familiarに向かって鋏を振り降ろし、酸性の泡を吐く。
『幻覚ではなく大気と光をmagicで操作して姿を消すとは』
『さすがに俺対策は取っていますか』
しかし、砲弾型Demon King Familiarは器用にGabildesや彼の号令に従うDemi-God達の攻撃を避けていた。
鋏や泡が当たる寸前に、真横に移動するのだ。
『ですが、偽装工作の必要はなくなり、【Demon Kingのspiracle】も使えるので――』
『防御の方は通じませんよ』
その秘密は、Vandalieuが対【Demon King Fragment】sealed訓練で使用していたfragmentの内片方、【Demon Kingのspiracle】だった。
spiracleとは本来虫が持つ呼吸器官なのだが、Vandalieuはそれを他のfragmentを組み合わせて操作し、姿勢制御と緊急回避のための空気噴射口として活用しているのだ。
以前から方向転換や追尾等は出来ていたが、【Demon Kingのspiracle】をAbsorptionした事によって、その機動性は格段に上がっていた。
『ぬぅ! feather虫のように逃げ回り――ギオオオオ!?』
振り回されるscissorを掻い潜った砲弾型Demon King Familiarが、Gabildesのcarapaceの関節部分を狙って爆発し、彼は泡を吹きながら絶叫を轟かせた。
『急ぐ事はありません。俺はまだまだありますから』
BakunawaがCuatroよりも後ろに下がったため、Defense CorpsのDemi-God達の動きを縛るものは何もない。しかし、動きを縛るものがなくなったのは、砲弾型Demon King Familiarも同じ事。
『もう、手加減をする必要も無くなりましたし』
『グアアアアアアアア!!』
Gabildesの堅牢なcarapaceを、砲弾型Demon King Familiarの爆発の衝撃が叩き、熱が焦がす。weak関節部からヒビが入り、熱がcarapaceの内側の肉を焼く。
Vandalieuは盾を掻い潜って肉を断つのではなく、盾を叩き壊してから肉を焼くつもりだった。操っているmonstersの数が減っているので、Gabildesが考えているほどZepaonの標的としての優先順位は高くなかったのだ。
それを察したZepaonはmonstersの制御を放棄して、Defense Corpsの総戦力を減らしてでもGabildes達を自由にするべきか否か迷った。
その時、空から幾つかの光の柱が降りてきた。Alda's Factionからの援軍かと、Gufadgarn達が身構える。
『これ以上Demon King Vandalieuの好きにさせるな!』
それはZepaon、そして先の戦いで消滅した『God of War Horns』SiriusのHeroic spirit達だった。確かに敵の援軍ではあるが、彼らはAldaの指示でAdventしたのではなく、自らの意思で戦場に飛び込んだのだ。
『お前達! 待機するよう命じたはずだぞ! 儂に何かあれば、Nineroad -donoを頼るようにとも指示したはずだ!』
だからZepaonは反射的にそう叫んだが、Heroic spirit達は彼の叫びに畏まるどころか、砲弾型Demon King FamiliarやDiana達との戦闘に突入していく。
『我々はNineroadではなく、Zepaon -samaのHeroic spiritです! 人であった時から奉じた神の危機に参じぬHeroic spiritに、何の意味がありましょう!?』
『我々Sirius -samaのHeroic spiritは、その屈辱にこれ以上堪えるつもりはありませぬ! War Godでもあった主の名にかけて、一矢報いてくれる』
Godsの武力であるHeroic spirit達は、そう言ってZepaonが隠れているPseudo-Divine Realmから躊躇わず出て、GodwinやDianaと刃を交え、砲弾型Demon King Familiarを迎撃する。
その大きさこそHuman大であり、約百meterの巨体を持つDemi-Godと比べるまでもないが、彼らはRankにして十二から十四の力を持つ。それが十数柱戦場に加わった事で、Defense Corpsにとって戦況は僅かに好転した。
『お前達……!』
Zepaonは声を震わせ、Defense CorpsのDemi-God達は僅かに希望が見えて来たと、士気を高める。
「敵ながら、その気持ちは理解できる」
しかし、GufadgarnはHeroic spirit達の登場に動揺ではなく、共感を浮かべた。
「故に、せめて共に滅びるといい」
何故なら、彼女の目にはDefense Corpsのはるか後方で、Great God達が何かを投げようと振りかぶっているのが見えたからだ。
『Pseudo-Divine Realmから出られないのは本当だけれど……何もできない訳じゃない!』
そしてVidaが何かを投げた。それはZepaonがいるPseudo-Divine Realmに猛Speedで向かっていく。
『GoddessにCloneを投げさせたのか!?』
主であるZepaonを守ろうと、Heroic spiritがその何かの前に立ちはだかり、盾を構える。砲弾型Demon King Familiarだったら、その盾と鎧によるDefense Powerで、無傷とはいかないだろうが耐える事が出来ただろう。
「いえ、main bodyを投げてもらいました」
しかし、その何かは、【Soul Breaking Arts】をActivateさせたVandalieu本人だった。
『なっ――がは!?』
魂を纏い、whole bodyを弾丸と化したVandalieuの直撃にはHeroic spiritも耐える事が出来ず、盾と胴体に大穴を空けて、光の粒子となって砕け散った。
そして、VandalieuはそのままZepaonがいるPseudo-Divine Realmに到達し――
「【Absolute Death Flash】」
death attributeのManaをStaff of the Five Sinsに収束させて創りだした刃を、Single Flashした。
『が……はっ!』
何かが砕ける音と共に、光と大気を操作して隠れていたZepaonが姿を現した。その顔は信じられないというかのように目を見開き、片腕ごと斬られた太鼓を凝視していた。
『いかん!』
『Zepaon -sama!』
Gabildesと生き残っているHeroic spirit達がZepaonを守るために駆け付けようとするが、ZantarkやBotin、Periaが何かを投げるのが先だった。
『坊主に続けぇぇぇ! 【Dragon God Slaying】ィ!』
High-Speedで飛来したBorkusと彼が構えるDemon King Fragment製のMagic Swordの切っ先が、Zepaonを貫き、風穴を開けた。
『……!!』
そして、Zepaonが断末魔の叫びをあげる事も出来ず姿が薄れ、消えていく。力を失い、魂を傷つけられ眠りにつきかけているのだ。
だが、完全に消える前にGiantな氷の刃がZepaonを串刺しにし、眠りではなく滅びを与えた。
『ゼ、Zepaon -sama―っ!』
「危なかった。瀕死のconditionになると、自然と眠りについてしまうようですね」
Heroic spiritの悲痛な叫びを無視して、Vandalieuは袖で額を拭った。
神が眠りについた場合はかなりの年月行動不能になるが、死んだわけではない。無意識に近いconditionでbelieverの祈りを聞き、神として活動し続ける。
そして、何らかの方法で一時的にでもrevivalするかもしれない。そうVandalieuは考えている。
だから、滅ぼすのである。
『まだHeroic spiritがいるけど、どうする?』
sealedの中に付いて来ていた、水と土のattributeのGhostのOrbiaが訊ねる。
「では、ちょうど、湖も近いですし派手に行きましょう。偽装工作も終わったので、Divine Spirit Magicも解禁です」
『オッケー!』
膨大なManaがStaff of the Five Sinsを通してOrbiaに注がれ、それまでMadroza達Water-AttributeのDemi-Godに力を与えていた湖が変質していく。
「【Grand Frozen Death Snake】とでも、名付けましょうか」
湖水と底の泥が交わり、凍土で出来たcountlessのGiant蛇となって残りのHeroic spiritと、Demi-Godに襲いかかった。
―――――――――――――――――――――――――
Name: Orbia
Rank: 14
Race: Diva Chaos Broad Ghost
Level: 0
・Passive skills
Spirit Form:10Lv
Mental Corruption:6Lv
Water Attribute Nullification
Fluid Manipulation:10Lv(UP!)
Materialization:10Lv
Augmented Mana:9Lv(UP!)
Earth-Attribute Nullity(Earth-Attribute Resistance awakened into!)
Self-Enhancement: Subordinate:7Lv(UP!)
Self-Enhancement: Demon King’s Blood:10Lv(UP!)
Self-Enhancement: Guidance:7Lv(UP!)
Strengthened Attribute Values: Creator:8Lv(UP!)
・Active skills
Unarmed Fighting Technique:7Lv(UP!)
Fishing:3Lv
Housework:3Lv
Dancing:7Lv(UP!)
Projectile Fire:10Lv
Long-distance Control:10Lv(UP!)
No-Attribute Magic:4Lv(UP!)
Water-Attribute Magic:10Lv(UP!)
Earth-Attribute Magic:9Lv(UP!)
Mana Control:8Lv(UP!)
Singing:3Lv(UP!)
Armor Technique:5Lv(UP!)
Possession:3Lv(UP!)
・Unique skill
Merrebeveil’s Divine Protection
Vandalieu’s Divine Protection
Botin’s Divine Protection(NEW!)
Peria’s Divine Protection(NEW!)
○Monster explanation::Diva Chaos Broad Ghost Luciliano著
既にGhostではないと思う。もしくは、極めればGhostもGoddessの域に達する事が出来るという事かもしれない。ここでは便宜上、Ghostと表記するけれど。
PeriaとBotin’s Divine Protectionを得た事で、Water-Attributeだけではなく、originally持っていた土attributeの要素も強くなり、水と土attributeのGhostとなっている。
Orbia本人の戦闘力はRank14にしては低いが、彼女は師Artisanのmagicによって本領を発揮するので問題ないのだろう。彼女だけが敵に狙われる心配も、しなくていい。彼女の近くに師Artisanが居ないはずがないのだから。
当然だが、Adventurer’s GuildにDiva Chaos Broad Ghostのrecordはない。そもそも、Rank14に到達したGhostのrecord自体が存在しない。