Botinの宣言によって、Demon KingのContinentは時間が止まったかのように静まり返った。
最初に動きを止めたのは、Vandalieu達だ。main bodyはBotin達の足元でじっとしているだけだが、Demon King Familiarを通じて、『防御に専念』と伝えたためである。
その指示は当然だが前線で戦い始めたばかりで、【Familiar Spirit Demonic Advent】や【Advent】をまだ使っていないKnochen、Bone Man、Godwinには届かないが、Gufadgarnが指示を行き渡らせた。
Demon KingのContinentに存在するmonstersの内、Defense CorpsによってTrainingされた個体は動けない。誰にも支配されていない野良のmonstersは、Great Godの出現に驚き、一目散に逃げていったが。
神に匹敵する力を持つmonstersも、Great Godが放つ圧倒的なIntimidation感を前にすれば、恐れ戦かずにはいられない。そして、彼らはそのhorrorと戦う理由がない。生存Instinctの警告に躊躇わず従った。
そのため、『God of Law and Life』AldaをGodsの長と仰ぐDefense CorpsのGodsは、誰にも邪魔されず呆然自失となる事が出来た。
『そんな……BAKANA……』
『我々は……何のために戦って来たのだ?』
『あ、ありえない。幻覚……あれは幻ではないのか!?』
彼等には、Vandalieuが自分達の目をどうやって掻い潜り、Botinがsealedされている場所まで到達できたのか、考える余裕もなかった。地下tunnelや、その奥にあるVida's New Racesが住む地下大空洞のGartlandの存在に、思い至ってもいない。
それ程の衝撃だったのだ。
彼等は、「VandalieuがBotinの魂を喰らうために狙っている」とconjectureしたAldaの指示によって、Defense Corpsをorganizationして戦って来たのだ。
『Mother God of the Earth and Craftsmanship』はsealedから解放されればAldaと……自分達と共にVida's Factionと戦うと信じて。
『まさか、奴らは最初からBotinを解放する事が目的だったのか? では、今までの攻撃は……まさか、あれは侵攻ではなく、偽装だったのか?』
しかし、Defense CorpsのCommanderであるGohnは自失には至っていなかった。半端に思考が働く分、気がつかなければ楽だった事にまで気づいてしまっているが。
これまで自分達が『激戦』だと感じ、犠牲を出しつつも『撃退』出来ていると思っていた戦いが、全て偽装。茶番劇だった。
それに気づいた時、Gohnは、whole bodyが腐り落ちるようなdespairを味わった。
『だが、何故……sealedされているBotinと意思の疎通が取れるはずはない。彼女がallyにつく、確信でもあったというのか?』
Gohnは呆然としたまま呟いた。だが、彼が冷静に考えればBotinがAlda側につくという確信こそ、幻だったという事に気が付けただろう。
『いや、Botinはsealedから解放されたばかりだ。一時の気の迷いかもしれん。説得すれば……我々ではなく、Aldaが直接説得すれば、Botinも正気に――』
『それはあるまい』
Gohnのか細い希望を……妄想を否定したのは、『God of the Reflexions』Larpanだった。
『Gohn、Demi-Godであるお前達には分かり難いだろうが、我々神はbeliever達の見聞きした事を我が事のように知る事が出来る。
Botin -samaの……Botinの判断は、十万年前から現代に至るまでのbeliever達の情報と、祈りを聞いたうえでのもののはず。Alda -samaが直接説得したとしても、先程の宣言が翻る事はないだろう』
Larpanの言葉に、Gohnは視界が歪むようなshockを受けた。何故なら、Botinはあの宣言通り、十万年の間Godsの長としてReignし、このworldを守り少しずつ復興させてきた自分達の行いを評価したからだ。それでも、『God of Law and Life』Aldaを認めないという。
これは、BotinがAldaにthrust付けた絶縁状に等しい。
BotinとそのSubordinate Godのrevivalによって、不利に陥った戦況を逆転できると期待した分、Gohnが受けたshockは大きかった。
そして、Gohnが膝から崩れ落ちたのを見たDemi-God達は統制を失った。
『……撤退だ。撤退するんだ!』
『逃げろっ! 皆、逃げるんだ!』
『もう勝ち目はない! 我々の負けだ!』
まず、Botinがsealedされている地点の周囲にAdventしていたGodsが、我先に逃げ出した。
彼等はBotinのsealedの周囲をGohn達がPseudo-Divine Realm化させ、最終防衛地点としたsealedの周囲に配置された事でBotinのrevivalとその宣言の衝撃を、Vandalieuを除けば物理的に最も近くで受けた存在だ。
sealedが解除された際に発生した衝撃波によって、Pseudo-Divine Realmから押し出された事で、今も力を激しく消耗し続けている。
彼らの言う通り、revived BotinがVandalieu側に付いた以上、防衛目標が敵に回ってしまったのだから、戦力的にも目標的にも勝ちはない。
いっそVandalieuを倒せるなら、それが勝ちではあるのだろうが……それが今のDefense Corpsでは不可能なのはこれまでの戦いで分かっている。
彼らが逃げ出すのを、Botin達は無言で見送った。彼等が逃げた後、Botinの言葉に従ってAlda's Factionから離れて中立の立場に身を置くかは分からない。
寧ろ、Aldaの元に逃げ帰ってHero Candidateを育てながら力の回復に努め、再び敵として現れる可能性の方が高そうに思える。
「念のために言いますが、これから逃げる者は見逃してください」
それは分かっているが、Vandalieuは彼等の背中を撃つ気はなかった。何故なら、それをするとBotinの顔を潰す事になるからだ。
Pseudo-Divine Realmから弾き出されて力を大幅に消耗した小者の神が数柱では、Botinから不興を買う代償としては少なすぎる。
それに、Botinは「Demi-God達は己の住処に帰り、神はworldの維持に専念しろ」と言った。つまり、次にそうでなかったときは、見逃さなくていいのだ。もし逃げたGodsが再び敵として現れたら、その時に喰らうなりsealedするなりすればいいのである。
それに、別の目的……希望的な予想もある。
(Botinまで俺のallyになった事で、Alda's Factionの中にも考えを変える神がいるかもしれない。この場にいないAlda's FactionのGodsが、立場を中立へ変えてくれれば敵の戦力は低下し、結束にヒビを入れる事が出来る)
『Goddess of Rain Clouds』Bacias達がVida's Factionに転向した事で、Alda's Factionには既に動揺が走っているだろうが、そこにBotinまでVandalieuのallyになったとなれば、Aldaに従うGodsも冷静ではいられないはずだ。
きっとBaciasのようにVida's Factionに転向するか、そこまででなくてもAlda's Factionから距離を置いて中立の立場をとる神も出て来るだろう。
(彼等がそうなるかもしれませんしね)
そう、思いながらVandalieuが神の後ろ姿を見送っていると、shadowから声が響いた。
『Bocchan、そろそろ出ても大丈夫でしょうか? 』
「あ、Sam。大丈夫ですよ。後、Job change roomを使わせてください」
今回の戦いではまだDemi-Godを倒してはいないが、Bakunawaが大量のmonstersを喰らっており、そのExperience PointでVandalieuの【Chaos Guider】のlevelが100に到達していた。
今も一応戦闘中だが、敵は呆然自失としたまま立ち直る-sama子がない。それに、ここは文字通りGreat Godの足元である。ある意味では、worldで最も安全な場所だ。
『おお、またJobを一つ極めたのですね! おめでとうございます、Bocchan!』
そう言いながら、VandalieuのshadowからSamが現れる。そして馬車からManeとHoofが出てきて、馬具を自動的に装着する。
『さっ、どうぞBocchan』
RitaとSalireによって迎え入れられたVandalieuは、速やかにJob changeを済ませた。選んだのは【Divine Guider】である。
Guider Jobが続くが、Gohn達の-sama子から考えるとこのまま戦いが終わる可能性もあるので、【God Destroyer】よりも状況に合っている気がしたのだ。それに――。
「『Great Demon King』なんてsecondary nameがついた直後ですからね」
VandalieuがSamのcarriageに入って数秒後。Gohn達にも動きがあった。
『儂も退かせてもらう。皆も、逃げろ』
『この状況でこれ以上戦っても、意味はない』
『悪いことは言わない。Gohn -dono達も、今の内に逃げるのだぞ』
しかし動き出したのは戦いの再開を望む者ではなく、先に逃げ出したGodsの後に続く者達だった。
彼等はここで戦う意味はないと逃げていくが、彼らの中にはこのままPeriaのDefense Corpsと合流しようと考えている者が多かった。
そして、Vandalieuが再びPeriaを狙って攻め寄せて来た時に迎え撃つつもりだったのだが……それは甘過ぎる考えだった。
BotinがVandalieu側に付いたという現実に、思考が未だ追い付いてないのを責めるのは酷かもしれないが。
その頃、Botin Defense Corpsの一部が向かおうとしていたPeria Defense Corpsが守る海域では、大混乱が起きていた。
『これは、これはいったい何事なのですか!?』
聖域は大きく揺れ、海水のdomeは今にもDecayしそうだ。そんな中、Defense Corpsの一柱である若い神が、叫んだ。
『どうか、どうかお答えください! 『Goddess of Streams』Pargutalta -dono! 何が起きているのですか!?』
問われたのは、PeriaのSubordinate Godの中でも彼女の腹心である古参のGoddessのPargutaltaだ。
Periaに似た優美な長い髪をした彼女は、青い鎧に三つ又の槍を携えた戦時の姿をしたまま、嬉しそうに笑っていた。
これまで常に浮かべていた優しげな微笑ではなく、lipsの両端を大きく釣り上げた歓喜の笑みだった。そのSmiling Faceのまま、Pargutaltaは答えた。
『貴-donoは何を狼狽えているのだ? 十万年間、待ちに待った瞬間が目前に迫っているのだぞ。遂に、我が主Periaがpretending to sleepを止め、寝所から出る時が来たのだ!』
彼女が言った『pretending to sleep』と言う言葉から、実はPeriaが目覚めていた事を知り、Defense CorpsのGodsが驚愕に目を剥く。
だがPargutaltaの言葉の真偽を確かめる余裕は、彼らにはなかった。
『それは……Peria -samaのrevivalは我々も望んでいた事! お喜び申し上げる! だが、しかし、何故Periaは我々を排除しようとなさるのですか!?』
何故なら、聖域に流れる水がRaging Streamとなって彼らを押し流そうとしているからだ。
海中の聖域を守るために集まったDefense Corpsには、Water-AttributeのGodsやDemi-Godが多い。彼等は総出で海水の流れを止めようとしているが、その場に踏み止まるのが精一杯だ。
それ程のRaging Streamを操る事が出来るのは、Great Godである『Goddess of Water and Knowledge』Periaを除いて他にはない。
その若い神のconjectureは、正解だった。
『何故Periaがお前達を排除するのか、か? それは当然だろう。まだ敵対勢力に属しているお前達を、傍に置いたまま行く訳にはいかない』
『わ、我々が敵対勢力!? で、ではPeria -samaは……まさか!?』
『察しが良くて結構。では、そろそろさらばだ。とは言っても、お前達の今後の身の振り方によっては、意外と早い再会になるかもしれないが』
驚き、聞き返す若い神に、Pargutaltaは笑みを深くして答えた。その瞬間、Raging Streamの速さが更に上がる。
『それはいったいどういう意味なのです!? まさか、我々もVida's Factionに鞍替えせよとでも!?』
今にも流されそうになりながら若い神が叫ぶが、Pargutaltaの答えを聞く前に、彼はRaging Streamに飲み込まれて流されていった。
『……どちらの流れに付くのか、決断を促されているのだ。お前達は、このFortuneに感謝すべきだろう。流れの行き着く先がどうであっても、自身の意思で選ぶ事が出来るのだから。
さらに、日和見を決め込む自由も、Botin -donoによって認められたのだからな。我が主なら、そんな事は許さなかっただろう』
そんな腹心の言葉が聞こえたのか、Raging Streamが大きく弾けてPargutaltaも飲み込み、そのまま海面を貫き空まで届く水柱となった。
ここにPeriaは目覚めたのだった。
そしてPeriaは、Demon KingのContinentのBotinのsealed間際に造られたPseudo-Divine Realmに……上空から見ると彼女がJulianaにOracleで「気持ちの悪い色のchin」と伝えた通りに見える場所に、空から水柱と共に降り立った。
『待たせたようね』
Pargutaltaを従者として現れたPeriaは、他のGreat God達同-samaにTrue giantや龍に合わせたGiantな姿で顕現したが、海のような青い髪と瞳をした理知的な美貌に粗はなかった。そして、静かにbrothers sisters達と再会の挨拶をした。
『久しぶりね、Peria』
『……力は戻ったようだな』
嬉しそうにVidaは微笑み返し、Zantarkは青あざが出来た顔を不自由そうに引きつらせた。
『ああ、待った。とても、待った』
『狸寝入りしていたんだってね。Ricklent達まで無視して。ちょっと悪趣味じゃないかい?』
『Peria、汝の目覚めに我から言葉を贈ろう。や~い、Periaのビ~リ』
Zuruwarnに至っては真顔で煽る始末である。
『はいはい、再会を喜ぶのも、小言も苦情も後で承るわ。でも仕方ないでしょう? 目覚めてみればAldaは訳が分からなくなっているし、VidaとZantarkは何処でどうなっているのか分からないし。そしてBotinはsealedされたまま。RicklentとZuruwarnは半死半生で動き回っている。
これでは、私に出来るのは狸寝入りぐらいよ』
Periaは、完全に力を取り戻した。しかし、それは十万年前の彼女にとっての完全でしかない。VidaとZantarkを排除し、唯一残ったGreat Godとなった『God of Law and Life』AldaはHuman社会の信仰を一身に受けた。
Human達はSubordinate God達や、眠りについていたRicklentやZuruwarn、Peria、そしてsealedされているBotinへも祈りを捧げたが、Godsの長として振る舞うAldaと、AldaこそGodsの長であると唱えるAldaのPriest達の姿は彼等の心に強く刻まれた。
そのため、Human社会では全てのGodsの信仰に、「Godsの長はAldaである」と言う前提が加わったため、他の神への信仰の一部がAldaに向けられ、Aldaは十万年前よりも強大な力を得るに至った。例外は、後世にAldaを信仰する勢力への反発からrevived、VidaとZantarkへの信仰と、Boundary Mountain Range内部やDemon continent、そしてGartlandの住人達の信仰ぐらいだった。
……それ程の力を得ても、Light Attributeだけではなく生命attributeの管理とDemon King Army Remnantsとの泥沼の戦い、そしてVida's Factionへの警戒を続けるのはきつかっただろうけれど。
その状況で目覚めたPeriaは、Aldaに協力するか狸寝入りをするかの選択を迫られた。
Boundary Mountain Range内部にはBarrierがあるため彼女も入れないし、Oracleを送れない。Gartlandの存在は知らない。Demon continentに向かっても、Zantarkがまだ正気を失っていたら詰んでしまう。
そして、力を失ったまま暗躍し、Contactを求めて来るRicklentとZuruwarnに付いて行っても、危険が伴う。Aldaとその配下のGodsにバレれば、Ricklent達に危険が及ぶので、こっそり応えるのも拙い。
そうしてVandalieuが生まれ活動するまでは、ただひたすら時を待った。Vandalieuが生まれ、Vidaがrevived事を知ってからは、機を待った。
何故なら、PeriaがVidaに合流すれば、Aldaはまだ眠りについているBotinに、Periaの護衛に割いていた戦力を集中させるはず。いや、もしかしたら、更に戦力を集めるかもしれない。
そうなれば、Vandalieuでも苦戦は必至のはず。
そのためJulianaにOracleを送り、Botinのsealedを先に解くよう促したのだ。後は、Botinがrevivalするのを待って行動を開始するだけ。
(それにしても、Vida's New Racesと元Demon King Armyか。……想像以上に逞しいわね。allyに付けようとしたZakkartと、生み出したVidaの選択は正解だったようね)
さすがのPeriaもGartlandの存在は知らなかったので、想定よりも早く事が進んだ事にGartlandのGodsと住人達を高く評価していた。
『もっとも、不要な気遣いだったかもしれないけど』
遥か遠くに見える船団に、Vida’s Incarnationを始め神の領域に踏み込んだ者達が多数。そしてMardukeの因子と『Great Demon King』のbloodを受け継ぐ、Tiamatの子。
そして足元の『Great Demon King』本人。BotinとPeria、両方のDefense Corpsを一度に相手取っても、勝ててしまいそうだとPeriaは思った。
「それは過大評価だと思いますよ。単純に数が倍になるだけでも脅威ですし、俺のManaも無限ではありません。それに……初戦は危なかったですからね」
Periaの言葉を聞いていたVandalieuは、彼女の評価を否定しながらSamのcarriageから降りてきた。
《【Constant Mana Recovery】、【Deadly Venom Secretion:(Fangs, Claws, Tongue)】、【Strengthened Attack Power Unarmed】、【Augmented Vitality】、【All Ability Values Enhanced (1)】、【Cooking】、【Group Coordination】、【General Commanding】、【Fragment Trascend Limits】、【Group Thought Processing】、【Group Manipulation】、【Soul Form】skillのlevelが上がりました!》
《【God Path Enticement】、【Guidance:God Path】skillを獲得しました!》
《【Hell Demon Creation Destruction Mixed Dream Path Enticement】に【God Path Enticement】がintegrationされ【Manas-Vijnana Enticement】に、【Guidance:Hell Demon Creation Destruction Mixed Dream Path】に【Guidance:God Path】がintegrationされ【Guidance:Manas-Vijnana】に、Awakeningしました!》
【Divine Guider】にJob changeしたVandalieuだったが、呆然自失としているDefense Corpsに何かimpactを及ぼしているような感触はなかった。
寧ろ、SamやRita、Salire、Borkus、そしてJulianaに及ぼしているimpactの方が大きいように思える。
(そう言えば、Manas-Vijnanaって何のことでしょうか?)
新たにGod Pathを加えて七つになったGuidanceとEnticementがAwakeningしたこのskillの名称は、Vandalieuにはその意味が分からないものだった。【Perfect Recording】skillを持っていても、そもそも知らないものは思い出しようがない。
Manas-Vijnanaとは、意識の更に奥にあるもので、Selfを認識する自分自身を表している。【Root】skillを持ち、魂が異形であるVandalieuには、このAwakeningは相応しかったのかもしれない。……当人は気が付いていないが。
『そうかな? 特に、Manaが無限ではないという点については異論があるのだけれど。magicはManaの消費が大きい大技を多用するけれど、それでManaが足りなくなってもどうにでもなりそうだ』
Periaの声を聞いて、Vandalieuの意識は自身のskillから現実に戻った。彼女が指摘した通り、大技を多用してManaが足りなくなったとしても、Vandalieuにはどうにかする手段が複数存在する。
しかし――
『しかし、どうにかなるからといって、Manaが枯渇する事を前提にするべきではない。実際に枯渇した時、その手段が取れるconditionかどうかは不明なのだから』
『儂個人としては好みだが、Generalが前線に出て戦う戦は、最近流行らないそうだ。安全な所で戦場を見下ろし、いざ自らの身に危険が迫ったら我先に逃げだす者をGeneralと呼べるのか、疑問だが』
しかし、Vandalieuが反論するより先にRicklentとZantarkが口を挟む。
『Ricklentの言う事は尤も過ぎて面白みがないが、Zantarkの意見はVida's New Racesに寄り過ぎている。いや、単に古いのか』
『Peria、それは仕方がない。今のHuman社会じゃ、Zantarkは半ば以上邪悪な神扱いで、believerの殆どはVida's New Racesだから。そもそも、彼がGeneralに相応しくないと感じるHuman達は彼のbelieverじゃない』
『私は、Vandalieuなら大丈夫だと思うけれど』
『……Zuruwarnは相変わらずだけど、Vidaは化身にimpactを受け過ぎだね。Vandalieu、あんたはこっちに構わずやる事をやりな。聞きたい事があったら、後で話そう』
「はーい」
『Bocchan、皆が来ましたよ。Juliana -chanが……なんか小麦色ですね』
『冬ですが海なので、焼けたのでしょうか? ちょっとうらやましい』
頭上で行われる会話を終えたVandalieuが視線を地上に戻すと、丁度地下tunnelを抜けて、さらにBotinがsealedされていたspaceを走破したBorkusやJuliana、Princess LeviaやKimberlyがやって来るところだった。
『おい、坊主! 嬢-chanがいきなりRank upしたぞ!』
そしてBorkusが肩に乗せているJulianaの肌が、Salire達の屍蠟のような肌とは対照的な褐色に変わっていた。
「Vandalieu -sama! 私、Botin -samaからもblessingsを賜って、raceがHalf-MinotaurからHathorに変化しました!」
「おお、それは良かった……のですか?」
「はいっ!」
元気そうに笑うJulianaは、変化を気にしている-sama子は見られなかった。肌の色が変わったのは、彼女にとっては小さなことなのかもしれない。
Hathorといえば、VandalieuのMemoryにはエジプトMythの牛の頭部を持つGoddessとして残っている。だから、Half-Minotaurから変化したのかもしれないが……このworldの土attributeのGreat Godからblessingsを得たからといって、何故Hathorになるのか、やや不可解だ。
(もしかしなくても、Botinではなく俺が原因かな?)
Vidal Magic EmpireにはKoboldから変異したAnubisに、Lizardmanの新世代が変異したAhemaitが暮らしている。どれもエジプトMythの神であり、共通するのはVandalieuとdeath attributeのManaだ。
やはり、原因は自分だろう。【Divine Guider】になる前、Job change可能なCandidateに【Apep】というJobが新たに生えていたし。……他にも【Azathoth】というJobも生えていたが、こちらは今は考えないでおく予定だ。
ちなみに、Botinは変異しているJulianaを見て『Humanよりもmonstersに近い体質のようだけれど、blessingsで変異するとは思わなかったよ』と内心少し驚いていた。
『PeriaまでVidaに付いたというのか……もうダメだ! 逃げるしかない!』
その時、Defense Corpsがいる方から叫びながらDemi-God達の一部が逃げ出した。PeriaのAdventに驚いて再び動きを止めていたが、思考が動き出すと同時に恐慌conditionに陥ったようだ。
『Beast King of Marine Birds』Valfazの仇を取るためにDefense Corpsに加わった鳥系のBeast Kingが、無防備な後ろ姿を晒して逃げていく。船団に攻撃する意思があれば、確実に落とされていただろう。
しかし、Vandalieuの命令が徹底されているので、Beast King達がその背に砲撃を受ける事はない。彼等はGiantな翼でDemon KingのContinentから離脱していく。他のDemi-God達の一部も、それに続こうとする動きを見せる。
『ギャァアアアアアア!』
だが、砲撃ではなく雷撃によって一柱のBeast Kingが落とされた。
『このcoward者共が!』
雷撃を落としたBlateoがそう吐き捨て、Gohnが唖然として声を出した。
『ぶ、Blateo、allyを攻撃するとは何事だ? 気でも狂ったのか!?』
『敵前で逃亡する者を、貴-samaに代わって処罰したまでだ!』
『敵前? 逃亡? 貴-sama、まさか、まだ戦うつもりなのか!? 勝ち目などないぞ!』
『では貴-samaは逃げろと、一旦逃げて-sama子を窺えとでも言うのか、Gohnよ!?』
そして口論を始める二柱のTrue giant。Blateoが攻撃したのがBeast Kingだったので、Gufadgarn達は戸惑いながらも防御姿勢のまま-sama子を窺っている。
『一旦逃げて、-sama子を見て、どうなるというのだ!? 今より状況が好転するのか!? Alda以外の現存するGreat God全てがVida側に、Vandalieuのallyをしているこの状況から!?
確かに、それでもBellwoodがrevivalすれば勝ち目はあるかもしれん! だが、そのrevivalは奴がworldを手中に収めるまでに間に合うのか!?』
Blateoが大声で主張したのは、悲観的だが事実だった。ChampionでありHeroic GodであるBellwoodがrevivalすれば、RicklentとZuruwarnの力が戻っていない今ならGreat God六柱の援護を受けたVandalieuと戦っても、勝てるかもしれない。
なんだかんだと言っても、Vandalieuは純粋な戦闘Abilityでは未だにDemon King Guduranisよりも下回っているのだから。
だが、この危機的状況に至ってもBellwoodはrevivalしていない。Blateoがrevivalを信じられなくなっても無理はない。
『答えられないか、Gohn!? ならば、今こそが最大の勝機だ! まだZuruwarnとRicklentが力を取り戻しきっておらず、Botinもrevivedばかりだ! 何より、奴らは儂等が創りあげたPseudo-Divine Realmの中から出る事は出来ん!』
Blateoの訴えに、Demi-God達が『確かに』と理解を示す。今から時間を置けば置くほどGreat Godは力を取り戻し、Alda's FactionのGodsはbelieverの数を減らし、Vandalieuは仲間を増やし、Enhanced (1)する。
どんなに小さくても、無に等しくても、今が最大の勝機である。それは、Vandalieu達の急成長を知っており、さらに、Bakunawaと言う新戦力の脅威を味わった直後のDemi-God達には強い説得力があった。
『……そうね。確かに、その通りよ』
半死半生のconditionのMadrozaもまた、Blateoに同調した。
『冷静になりなさい。このまま逃げてAldaから離れたとしても、奴らがBotinの言葉通り、見逃すと思うの? バラバラになったところを一柱ずつ各個撃破されるのが目に見えている!』
Madrozaのその訴えに、Defense Corpsの面々ははっと目を見開き、Vandalieu達はそれぞれ顔を顰めた。
彼女の主張は、Vandalieu達にとっては被害妄想に等しい。しかし、これまで繰り返し攻撃を受け、それが偽装工作だったという事を明らかにされた直後のDefense Corpsの面々にとっては、限りなく現実味のある妄想だ。
実際、Vandalieuも自分がGohn達の立場だったら絶対に信じないと思っていた。
(誓いを守る、誇り高く誠実な敵というには、これまでの行いが行いですからね)
明らかな騙し討ちや卑劣なTrapを使った覚えはないが、不意打ちや奇襲は頻繁に使ったし、自分達が正々堂々と正面から全力で戦ったつもりでも、相手にはそれが奇策や禁じ手にしか見えなかったのだろう。
もっとも、彼はその事を特に残念には思わなかったが。Alda's Factionから見れば、【Demon King Fragment】をAbsorptionし、Undeadやmonstersを使う段階で、Vandalieuの評価は下がりきっている。それに、これまでの戦いを以って「信じられない」と断じる存在を、無理にallyにしても反発されるのが目に見えている。
『確かに……砕け散るまで戦ってこそ、繋がる未来もあるだろう!』
そして、GohnもBlateoとMadrozaに同意した。
Botinは彼等の言葉に深い溜め息を吐いて目を閉じ、Periaは首を横に振り、Vidaはただ諦めたような笑みを浮かべた。
『そうか、あたしが知らない内に、あいつ等とは道を違えていたんだね』
そう言うと、Botinは半歩下がった。
「では、後は任せてください。戦闘、再開」
そしてVandalieuの言葉の直後、砲撃が再開された。
――――――――――――――――――
○Job解説:Chaos Guider Luciliano著
師ArtisanがJobに就いていた期間が短いので、確かな事は言えないが……ChaosをGuiding Jobなのか、ChaosがGuiding Jobなのか、微妙なところだ。
conjectureすると、Chaos(師Artisan)が確かな名称や形を失った存在(霊)や何処に向かうか決めていない存在を、ChaosへとGuiding Guiderなのかもしれない。
恐らくだが、正気でもInsanityに陥っていても、このJobには就けないだろう。師Artisanのように、正気であると同時にInsanityでもなければ。