彼女は眼の前に現れた何かを見て、思った。
(なんだい、こいつは? 見た目は明らかに邪悪な神の類よりも邪悪な何か……いや、そこかしこにDemon Kingの一部っぽいものがあるのは何で!? しかし、何故か……)
Giantな、countlessの目や手足を持つ異形の存在を見つめたまま、彼女は動く事が出来なかった。視界に姿はないが、恐らく彼女のSubordinate God達も同-samaだろう。
その異形の存在のそこかしこに、明らかにDemon King Guduranisの一部が組み込まれ、一体化している。漂わせているManaも、Guduranisに似ている。
それだけ考えれば、Guduranisが創りだした奴のFollowersか子孫なのかもしれない。だが、どう言う訳か彼女は……『Mother God of the Earth and Craftsmanship』Botinはその異形に、親しみのようなものを覚えていた。
(何故か、こいつを見ていると落ち着く)
その異形は、bloodthirstも悪意もBotin達に向ける事はなく、ただゆらゆらと蠢きながら何か言っているような気がする。
sealedされる直前の状況は、今でも覚えている。そして、sealedされた後の事は特に語る事は何もない。
何故なら、sealedされている間Botinの思考は、止まっていたからだ。恐らく、内側からsealedを解除されないように仕掛けられていたのだろう。
しかし、実際に時間の流れを止める程の力はなかったらしい。消耗していた力や、受けていたDamageは全て回復している。
(あれから長い年月が過ぎているようだね。あの後、どうなったんだろう?)
そう思った刹那、Botinの意識に膨大な情報が流れ込んできた。
accurateに述べるなら、Vandalieuによってsealedが解除され始めた事で、それまで止まっていたBotinの思考が動きだし、届いていたbeliever達の祈りを思い出したのだ。
Demon King Guduranisとの戦いの行方、VidaとAldaの確執とその後の戦い、そして現在に至るまでの情報。
『もしもし? 聞こえていますか?』
それらを認識し、理解したBotinの意識は、やっと異形の……Vandalieuの声を正しく認識した。
『すまないね、ちょっとぼんやりしてたんだ。あんたがVandalieuかい?』
『はい。初めまして。Vandalieu Zakkartと申します』
見た目の異形さからは連想できない挨拶をする『Vida's Miko』に、Botinは-sama々なemotionsが込められた溜め息を吐いた。
『VidaもRicklentもZuruwarnも、そしてZantarkも、随分変わったのを選んだもんだ。いや、違うね。元からそうだったのか』
Vida達はVandalieuを選んだのではない。ただ、認めたのだとBotinは考えを改めた。
Vandalieuの魂が、ZakkartやHillwillow……Production related Champion達のsoul fragmentから出来ているのは、Vida達の選択によるものではない。
Vida達はVandalieuに気がつき、「彼こそ自らが選んだChampionの後継である」と認めただけだ。
Botin達が与えた力も、Memoryも、何も持っていない。ただの……現在のHuman達と同じ「昔、生きていた誰かの生まれ変わり」でしかない魂を認めたのだ。
『Vida達に認められた人の子、Vandalieu。あんたがsealedを解いたんだね?』
『はい。accurateには、今も解いている途中です』
『今も?』
『ええ、俺のClone達が。後、内部からBodyも作業中です』
言われて視線を向けると、そこには白髪の小柄な少年が黒い壁……Demon Kingが施したsealedに向かってManaを照射していた。
『……ここはDivine Realmのようなものだから、Humanが入ったらBodyは魂が抜けて、動けなくなるんだけどね』
『skillで動かしています。俺は普通とは違うようなので』
『やれやれ、生まれ変わっても働き者なのは変わらないようだねぇ。Memoryも無いだろうに、どうして似るのやら』
『偶然だと思いますよ』
丁寧な口調で野暮な事を言うVandalieuに、Botinは快活な笑い声をあげた。
『そうかい、そうかい! それで、あたしに何をして欲しい? Aldaと殴り合うのに協力しろって? あたしがVidaのallyをするって確信でもあったのかい?』
そして試すようにVandalieuに尋ねた。
sealedされた後の事に関して、正直に言ってしまえば彼女は十万年前のVidaとAldaの戦いまでの全ての事に、文句を付ける気はなかった。
自身が選んだChampionが滅ぼされた事にも、Bellwood達ChampionがDemon Kingを倒した時のworldの状況にも、その後のVidaとAldaの間に生まれた確執にもだ。
Hillwillowを含めた七人のChampionを選んだのは自分達で、彼らを助けられなかったのは自分達の落ち度だ。
その後、残った三人のChampionが先頭に立って戦う時、tactics上の間違いに気づいて指摘できなかったのも自分達だ。
そして、後にVidaとAldaの間に生まれた溝が取り返しのつかなくなるほど深くなった時、自分は力及ばずsealedされていたのだ。
これ程無能、無力な神に何を言う資格があるだろうか。
そもそも、「自分達のworldが滅びに瀕しているから、全く関わりのない別worldのあなたに戦ってほしい」と他のworldのHumanに頼み込む時点で無責任だし、恥知らずだ。
Botin達が真に神として相応しい存在なら、Championを選ぶ事はなかった。Demon King GuduranisとDemon King ArmyをGodsだけで撃退していただろう。
だが、現実では無責任で恥知らずな事を、このworldを存続させるために行った。それだけ追い詰められていたのだ。
だから、Botinは文句を言う気にはなれない。自分だけ「追い詰められていたから」と言う免罪符を使う訳にはいかないから。
BellwoodやAldaの過失にも、「追い詰められていたから」と言う免罪符はあってしかるべきなのだ。
『確信と言う程のものはありませんが……仲間にPeriaのOracleを受けた子が居ます。その子のOracleによって、ここに来ました』
『ああ、それは知っている。今、知ったよ。
sealedを解いてくれたことには、感謝している。本当さ。もしあんたが解いてくれなければ、後十万年以上経ってもsealedされたままだっただろうからね』
それは否定しようのない……否定する気もないが、事実である。普通ならblessingsの大盤振る舞いをして、secondary nameを贈って、更に自ら武具を何十振りと仕立てても足りない程の大恩だ。
Aldaが十万年以上かけても、傷一つ付けられなかったsealedを解いてGreat Godをrevivalさせたのだ。控えめに言っても、歴史に名を刻む大偉業である。
『だけど、だからってVidaのallyをしてAldaと戦うとは限らないよ。あんたの国の在り方に、全面的に賛成する訳でもない。
意見を言ってもいいかね、大恩人?』
『拝聴します』
『じゃあ手短に言うが……端的に言って、あたしにゃあんたが危なっかしく見えるんだよ。あの国の在り方……Undeadやmonstersがreason的でいるためには、あんたが存在し続けなければならないってのにね』
『Blue-flame Sword』のHeinzがかつて言ったのと、同じ理由をBotinは語った。
『むぅー、そう言われると痛いですね』
だが、Vandalieuも言ったのが母の仇ではなくBotinなので、反発せずにその言葉を受け入れた。
実際、Undeadや一部のmonstersも民とするVidal Magic Empireの在り方が、自分の存在あってこそなのは、彼も自覚している。
だからこそ、死なないように強くなり、殺されないように敵を殺すのだが、本気を出すと戦い方がどうしても自傷的になってしまう事をVandalieuは自覚していた。
それ以外にも、Botin達から見れば色々と危なっかしく見えるのだろうが、それはもうどうしようもない。
将来的に大丈夫か疑わしいと言われても、直せないし止められない。「そんな事はないから大丈夫です」と言っても、相手は説得力を感じないので、どうすれば良いのか分からない。
『せめて、Aldaのallyはして欲しくないのですが』
万が一にもないだろうと思っていたが、もしBotinがAldaのallyをするなら、Vandalieuは敵を増やすために半年以上tacticsを続けていた事になる。
それは避けたいのだが――。
『ん? 何を言ってんだい、今のAldaのallyなんて、死んでも御免だよ』
しかし、Botinはあっさりとそう言った。
『えっ?』
『えっ、って、当たり前だろう。十万年前なら、確かにAldaにallyしたかもしれないよ。Vidaを諌めたり、Aldaに早まるなって宥めたり、色々してね。
だけど、あの二柱の戦いが始まった後から今に至るまでのAldaにallyをする理由はないよ』
戦いが始まるまでは、VidaとAlda、どちらが正しいとも言えなかった。Botinも含め、誰もが力不足で、誰もが間違ったのだ。
だが、戦いが始まった瞬間からその後についてはsimpleだ。明確に、Aldaが悪い。
『Vida達は戦うつもりはなかったってのに、いきなり殺し合いを仕掛けるなんて、とても賛同できないね。
Vidaの行動が幾ら性急だったとしても、一刻も早くとめないとworldが滅びるとか、そんな問題じゃなかったはずなのにだ』
Botinから見れば、明らかに先に手を出したAldaが悪い。
VidaがZakkartをUndead Transformationさせ、VampireやGhoulを含めた新raceを生み出した。それをAldaが快く思わないのは、分かる。
当時のUndeadはほぼ……万どころか兆分の一の例外でもなければ生きとし生ける者の敵だったし、AldaはZakkartがDemon King Armyの邪悪な神の一部をallyに引き入れた時も、反対していた。
しかし、だからと言って戦いを仕掛けて良い理由にはならない。Demon Kingはsealedされたのだから、もっとじっくり話し合っても……百年や二百年かけてもよかったはずだ。
それに、Aldaにだって非がある。教えGuidingべきChampionをrunawayさせ過ぎだし、Vidaの言葉にもっと耳を傾けるべきだった。
『それに、新raceを排斥しようとしているのも気に食わないね! 別にVidaの考えに賛同する訳じゃないけど、気に食わない!』
『……その心は?』
『決まってんだろう! あたしはMother Godだよ? 事の善悪、事情の有無以前に、認められる訳がないのさ!』
Botinは土attributeのGreat Godで、職人と母を司るGoddessだ。彼女にとって生まれた子を排斥するのは、どんな事情があっても許し難い罪だ。
これは彼女の神としての性質なので、自分でもどうしようもない。
ただ、全知全能から程遠い神よりも力の無いHuman達の社会が、ままならない事は知っている。だからと言って無条件に許容する事は出来ないが、贖罪の意思があるならBotinはただ見守るだけだ。
だが、Aldaは人ではない、神である。
『人の子ならともかく、同じGreat GodのAldaに遠慮する理由はないよ。certainly、ZantarkのidiotとVidaにも言いたい事はあるけどね』
『なるほど』
神によって司っているものと教義が異なるのだから、是か否か判断する物差しが変わるのは当然だと、Vandalieuは納得した。
そして二人の会話を見守るSubordinate God達は、ここまで一柱も口を挟まなかった。彼等は止まっていた思考が再開したばかりで、情報の整理に専念している者や、彼女に賛同する者だからだ。
『戦いの後の事も、気に入らないね。確かに、十万年でよくworldを復興してくれたと思う。色々と手抜かりもあるが、寝ぼけていたあたし等が言えることじゃない。
だが……十万年もずっとVidaのchild達と争い続けるってのはどうなのさ。あたしに『頭が固すぎる』なんて思われたら、お終いだよ。まったく』
BotinはDwarf達がそうであるように、頑固で保守的な側面を持つ。そんな彼女から見ても、Aldaの行動は異常だった。
(焦って先走った挙句、視野が狭くなって自分が考えている事しか見えなくなったんだろうけれど。……どうしてそんなにRodcorteを信頼できるのかね? 昨日までと同じ事を今日も繰り返したからって、明日も今日と同じだとは限らないだろうに。
それとも、他に選択肢が無いと決めてかかっているのかね?)
そう胸の内で思案し、Botinは『そう言う訳だから』と言って、結論を述べた。
『だけど、あんたの全てに賛成も出来ない。だから、危なっかしいあんたのallyをしよう』
VandalieuはそのBotinの言葉に、首を数回転ぶん捻った。
『……前後の言葉が繋がらない気がしますが?』
『そうかい? あんたみたいな子には一番効く手だと思うけどね』
気に入らない、賛成できない、だからと言って殴り合うばかりが世の中ではない。正面に立って怒鳴り合うのではなく、肩を並べ意見を交わす方法もある。
Vandalieuの場合は、それが特に有効だろうとBotinは見抜いていた。
『それに、危なっかしく見えるなら、支えてやれば良いってだけの話さ。十万年も寝ぼけていたって、あたしは神だからね。Humanのあんたに、手でも肩でも幾らでも貸すさ』
そして、危なっかしさに対する答えは力を貸す事だった。危なっかしいから反対するのではなく、危なっかしいから力を貸すのだ。
何せBotinは神なのだから。危ない時にHuman達から神頼みされる事には、慣れきっている。
『ただ、Vidaのallyをする訳でも、Aldaと戦う訳でもない。ただ、神としてあんたを応援するだけさ。
わかったかい?』
異形としか評せないVandalieuの魂に、Botinはchildの頭を撫でるように触れた。
『理解できた、と思います。ありがとうございます』
そう一礼するVandalieuだったが、BotinのSubordinate God達の一部が異を唱え出した。
『お待ちください! その判断こそが性急です。believer達からの思念では、Godsの事情は分かりませぬ』
『まずは、Alda -dono達にも話を聞くべきです!』
彼らの言う通り、believer達からの思念ではAlda達が何を考えて今の状況になったのかは分からない。Vandalieuが直接会って話しているといって、片方の話だけを聞いて判断するのが良くないのは尤もな話だ。
『嫌だね』
しかし、BotinはSubordinate God達の意見に首を横に振った。
『今のあいつとは、話し合いが出来る気がしないよ。面を見たら、あたしの方から殴っちまいそうだしね。
そもそも、どんな事情があっても賛成できる気がしないし』
『そ、そのような事を言わずに……Alda -donoは母-samaの兄にして弟ではありませんか!』
『無理だね。あたしはそういう性質の神なんだよ』
『何を言われるのか……母-samaはその者の魂にHillwillowの残滓があるというだけで、贔屓しているだけではありませぬか!』
Subordinate Godの一柱からの糾弾に、Botinはあっさりと頷いた。
『そうだよ。それがどうかしたのかい?』
『えっ……?』
あっけにとられて固まるSubordinate Godの肩を、それまで黙っていた他のSubordinate Godが掴んで下がらせる。
『勘違いをするな。神が公明正大で平等な存在だとでも思っていたのか』
神とは、差別的な存在だ。気に入った者や優れた者、religionが厚い者達の中から選んだ一握りのHumanにblessingsを与え、そうでない者にはblessingsを与えないのだから。
そもそも、司るものや教義が神ごとに異なる時点で、善悪の判断や評価する基準が異なるのだ。この時点で、公平でもなんでもない。
選んだChampionの残滓を宿している。それはBotinがblessingsを与えるのに、十分すぎる理由だった。
『Subordinate Godといっても、本当の意味でDependentする必要はないんだ。どうしてもこの子が気に食わないなら、仕方ない。
だけど、一つだけお願いだ。この子の敵に……あたしの敵にだけは回らないでおくれよ』
Botinの言葉に、異を唱えたSubordinate God達の間に激震が走った。それはVidaのallyでもAldaの敵でもないという彼女の言葉が、建前に過ぎないと彼女自身が告げたから。そして、たとえ自らのSubordinate Godであっても、Aldaのallyになるなら敵とみなすという宣言だったからだ。
『それでもAldaのallyをしたいのなら、せめて奴を説得するなりなんなりして、Vidaを敵視するのを辞めさせるぐらいの気概を持ちな。
それなら、あたしも止めないさ』
そこまで言われたSubordinate God達は、肩を落として引き下がった。Vandalieuはそんな彼らを見ていたが、ここはBotinの顔を立てて何も仕掛けなかった。
『さて、じゃああんたにはsealedを解いてくれた礼にblessingsとsecondary nameを――』
『あ、secondary nameは遠慮していいですか? もうかなりあるので……正直身に余っています。Idol Statueや壁画や地上絵は、もう十分だと思うのです』
『……あんたの方が、あたしより信仰されているみたいだね。でも、だったら尚更ここで受け取っておいた方が良いと思うよ。
どうせ、あたしを解放した事が広まったら、新しいsecondary nameがつくだろうからね。だったら、今の内にどんなsecondary nameを受け取るか、自分で決めた方がマシだろう?』
secondary nameと言うのは、普通は本人である呼ばれる側ではなく、不特定大多数の呼ぶ側が決めるものだ。そして多くの場合、最初から一つに纏まってはいない。
偉業を成したSwordsmanを称える場合、強さを称えて『最強のWarrior』と呼ぶ者がいれば、その剣の速さを称えて『最速のSwordsman』と呼ぶ者もいるだろう。他にもその容姿を称える者もいれば、偉業を達成した不屈のMentalと勇気を称える者もいるだろう。
それらのsecondary nameの中からどれがStatusに反映されるのかを選ぶのは、Statusを司るGodsではない。ただ、複数のsecondary nameの中から最も支持されたものが、Statusに表示されるのだ。
だから、その時まで何が自分のStatusに反映されるのか、本人には分からない。
ただし、発言力のある存在……神や一国の為政者から、secondary nameを授けられた場合は別だ。その場合は、名づけた存在の権威によって大多数の民衆は、既に名づけられたsecondary nameで呼ぶからである。
そうしたことを聞いたVandalieuは、『分かりました。では、お願いします』と手の平を返した。
『じゃあ、『Goddess Liberator』とでもするかね。Vidaも解放したし、name負けって事はないだろう。後、『Great Demon King』とでも名付けようか。
Guduranisと同じ『Demon King』ってのは、印象が悪いからね』
『あまり変わらない気がしますが……ありがとうございます』
『あと、これはお願いだけど……Zakkartのnameと一緒に、他のChampionの……Hillwillowのnameも継いでくれないかい? ミドルNameとしてさ』
生まれ変わりと言うには、あまりにもCircle of Reincarnationを繰り返している。そしてVampireの始祖の片親であるZakkartとは違い、Hillwillowのbloodは一滴も流れてはいない。
それでもBotinはそう言わずにはいられなかった。
『……俺でよければ』
Vandalieuも彼女の気持ちを察して、頷いた。既にChampionのnameを継いでいるのだ。二人分になっても構いはしない。
『重ね重ね、礼を言うよ。ありがとう。……さ、あんたはもう外に戻りな。body partとCloneが動いているたって、魂も動いた方が早いだろ』
Botinがそう言うと、Vandalieuの魂とBodyは音もなく姿を消した。sealedの外に出たのだろう。
そして、彼と入れ替わるように懐かしい顔が現れた。
『ボ――』
『せいやああああ!』
その懐かしい顔の一つを、Botinはぶん殴った。何か言いかけていた気がするが、言わせずその頬に握り拳をめり込ませ、そのまま振り抜いた。
『あぁ!? Zantark -samaが飛んで行った!?』
『か、母-sama!? お、落ち着いてください、母-sama! あれは、色々混じっていますがmaybe Zantark -samaです!』
『ご乱心! Botin -samaご乱心!』
Vandalieuが居た時は静かに控えていたSubordinate God達が、一斉にBotinを止めにかかる。今、彼らの心は一つになっていた。
『知ってるわ!』
それを狙っていた訳ではないBotinは、組みついて自分を止めようとするSubordinate God達を引きずりながら、姿を現した他のbrothers sisters達に向き直った。
『うわぁ……覚悟を決めて現れたZantarkが、一瞬でボロ雑巾にされた』
『程々にしてやってほしい。これでZantarkがsleeps事になるのは、流石に避けたい』
唖然とする『God of Space and Creation』Zuruwarnに、無表情の『Magic God of Time and Arts』Ricklent。
『ええっと……ごめんなさい!』
そして、頭を下げる『Goddess of Life and Love』Vidaである。
BotinはそのVida……Mythでは自身の夫とされていて、共にDwarfを生み出したZantarkと交わり、Majin RaceやKijinを生み出した姉にしてImoutoに、にっこりとSmiling Faceを向けた。
『いだだだだだだ!? いひゃいっ!?』
そして両頬を強くつねった。
『よし。じゃあ、これで許す!』
『ひぇっ? ふぃふぃひょ?』
驚いた-sama子のVidaの頬から手を放して、Botinは笑って頷いた。
『いいの、いいの。色々事情があったんだろうってのは、あたしにも分かるしね』
『それに、BotinがVidaとZantarkと揉め続けるのは、Vida's New Races間の問題になる可能性がある。そのせいでMajin RaceとKijin raceが肩身の狭い思いをするのは本意ではない。そんなところだろう』
『それに、当時は結婚って概念もあやふやだったから。Mythやlegendによっては、我々神のカップリングも異なっていたし』
VidaとZantarkが交わった当時、眠っていたRicklentとZuruwarnは他人事のように論じている。
『あんた達は、相変わらず余計な口を……まあ、でもその通りだよ。殴って抓ったけど、本気で怒っている訳じゃない。この話はこれで終わりだ。
あんたも、苦労したみたいだしね』
『……ありがとう、Botin』
手を握り合うGoddessたちの向こうで、立ち上がろうともがいているWar God。その姿に、Ricklentは思わず『哀れな』と呟いた。
『それはともかく、こんな時に姿を現したんだ。再会の挨拶をしに来ただけじゃないんだろう?』
『certainlyだ。このsealedは完全なconditionでは内からも外からも、Vandalieu・Ark・Zakkart以外には手も足も出せないが……綻びが出来た今なら、我々も解呪に手を貸す事が出来る』
GuduranisがBotin達を閉じ込めたsealedは、AldaやBellwoodでもどうにもならず、Demon KingのContinentの濃厚なmiasmaのimpactも遮断する程完全だった。しかし、Ricklentが言ったように今はこうしてGreat God達が入って来られる程綻びが広がっている。
今なら、sealedを解除する事が出来る。
しかし、Botinは訝しげに眉をしかめた。
『Vandalieu……Ark? Vandalieu・Hillwillow・Zakkartの間違いだろう?』
『彼は他のChampionの名を継いでくれることを了承した。と、いう事はHillwillowだけではなくArkの名も継いでくれるだろう』
『いや、確かにそう頼んだけど……便乗するかい? 普通!?』
Ricklentの本人に無断で便乗する姿勢に思わず声をあげるBotinだが、Ricklentはすまし顔で頷いた。
『今は言い争っている場合ではない。Vandalieuの仲間達は、今こうしている間も戦っているのだ』
しかも、この物言いである。Botinも、思わず『Zantarkと一緒に殴り飛ばせばよかった』と文句を述べた。
しかし、事実なのでBotinも、そして彼女のSubordinate God達もsealedを解除するために力を練る。
『でも、そうなるとSolderだけ仲間外れになってしまうわね』
Vidaもそう言いながら力を込める。Vandalieuによって少しずつManaの壁が融解し、解け始めているsealedに大きな亀裂が走った。
『気にする必要はないだろう。彼女はしたたかだから』
そして、陶器が砕けるような音を響かせながら、sealedは解けBotinは解放された。
《nameが、Vandalieu Ark Hillwillow Solder Zakkartに変更されました!》
《【Goddess Liberator】のsecondary nameを獲得しました!》
《【Demon King】のsecondary nameが、【Great Demon King】に変化しました!》