前日の激闘と評すべき防衛戦を経て、『Rock Giant』Gohn達は安堵していた。
あれだけの戦力で攻め寄せたVandalieu達を追い返したのだから、次にVandalieuが攻め寄せて来るまでには時間があるはずだと、Defense Corpsの誰もが考えていた。
その間に、傷を癒し失った戦力を整えなければならない。見破られた、音を利用して全体にCommandingを行き渡らせるtacticsを改良するか、それに代わる新たなtacticsを練らなければならない。
Madrozaは、旺盛な龍のVitalityと仲間の回復magicによって一命を取り留めた。
monstersは、Flight Abilityを持つ個体の九割九分を失ったが、また集めればいい。
消滅した『God of War Horns』Siriusと、倒された『Bronze Giant』Luburgの穴は、簡単には塞がらない。『God of Law and Life』Aldaに援軍を求めた。しかし、Aldaもworldの維持やmonstersの間引きに集中している神やDemi-Godを説得して、Defense Corpsに加わるように要請している段階で、纏まった戦力を援軍として送る事は出来ないという返事がきた。
それでも何とか送って来たのは、十万年前BotinとそのSubordinate Godが創り上げ、Demon King Armyによって破壊されたOrichalcum Golem、そして親やbrothersの仇を取ろうと参加を決めた次代の『Starfish Beast King』や、『Beast King of Shells』Halinshevのchild達、『Beast King of Marine Birds』Valfazのbrothers達だ。
だが、戦力が回復したとは言い難い。
『Mother God of the Earth and Craftsmanship』とそのSubordinate God謹製のOrichalcum Golemとはいえ、一度破壊され修繕された物だ。その性能は、Vandalieu達相手に盾の代わりにしかならなかったPeria Defense CorpsのGolemと大差ない。
次代の『Starfish Beast King』はまだ若く、Repobillisより強いということはないし、Halinshevのchild達は言うまでもなく、Valfazのbrothers達も似たようなものだ。
Demi-Godの数は元に戻りつつあるが、全体的な戦力は下がっている。
後はmonstersで補うしかない。集める事自体は簡単だ、Demon KingのContinentはmonstersの宝庫。油断すればDemi-Godである彼等も無傷では済まない程強力なmonstersが幾らでも生息している。
難しいのは、飼い慣らす事だが……。
しかし、時間があれば立て直す事が出来る。
現在、Alda's FactionのGodsは三つの最重要防衛地点を抱えている。まずVandalieuを倒し、Bellwoodをrevivalさせる事が出来るかもしれないHeinzがいる『AldaのTrial's Dungeon』。そしてsealedされたBotinがいるDemon KingのContinentと、Periaがsleeps海域である。
その他に、重要度と言うよりもVandalieuに狙われる危険性が少ない地点として、Amid Empireの勢力圏やOrbaum Elective KingdomのAlda's FactionのGodsのtemple等がある。
そして、人の手が及んでいない場所に出現してしまったDevil Nestsや高難易度Dungeon。邪悪な神やVida's FactionのGodsがsealedされている場所等、放置しても短期的になら問題のない場所がある。
守っているDemi-Godや神がその場を離れても、Devil NestsやDungeonはすぐにはrunawayを引き起こさない。強いmonsters程Breeding力がweakので、数十年は問題ないはずだ。
そうした場所を守っている神を説得して、Defense Corpsに加える事が出来れば数だけではなく、質も向上させる事が出来る。
出来るのだが……。
『BAKANA! 十隻もの空飛ぶ船団が近づいてきているだと!?』
だからこそ、もたらされた最悪の知らせにGohnは目を剥いた。
『BAKANA……あの船は一隻作るのに時間がかかるのではないのか!?』
それまでVandalieuの襲撃は、数日から一カ月以上の間が空いていたため、偽Cuatroの建造には時間がかかるのだろうとGohn達は考えていた。
まさか、木材があれば一隻につき数時間で建造する事が出来るとは、想像もしていなかった。
『幻覚ではないのか!?』
『残念だが、十隻とも実体だ……!』
『……遂に本気で来たと言う事か。前日の……これまでの攻撃は、我々を騙し、油断させるための偽装だったのだ!』
偽Cuatroの建造に必要な時間を誤認させるために、これまで故意に間隔を空けて攻撃してきたのだ。
そう判断したGohnは、Defense Corpsの全力を以って十隻の船団を撃退しなければならないと思った。しかし、同時に、それが難しい事も理解していた。
前日よりも劣った戦力で、前日よりも高い戦力の敵を倒さなければならないのだ。あの十隻の船団の内、何隻がGiantな存在を運ぶための船なのか、自爆船は……【Blood Infection】が入った船は何隻あるのか?
消耗担当のmonstersは減り過ぎて、その役目を果たせそうにない。Flight Abilityを持たないmonstersをmagicで強引にFlightさせて数を揃える事は出来るが……はたしてそれで役に立つのか。
(この襲撃を、多くの同胞たちを犠牲にして撃退したとして、その後はどうする?
Vandalieuは本気を出してきた。間を置かず、明日……いや、tonightにでも再び攻めてくる。その時までに増援が間に合うのか?)
ここまで、戦力とその供給力に差を見せられて、戦う意味があるのだろうか? いっそ、撤退し、Botinの魂が喰われる事になっても、残るPeriaの防衛に集中するべきではないのか?
そんな負け犬の考えが、Gohnの脳裏に過る。
『まさか、逃げ出そうと考えているのではないだろうな?』
それを読んだかのように、BlateoがGohnにProvocation的な言葉をかけた。
『Blateo。だが、ここで戦っても――』
『ここで儂等が逃げれば、奴はBotinを喰らって更に力をつけ、次はPeriaがsleeps海域に押し寄せるぞ。いや、『AldaのTrial's Dungeon』にいるHumanを、その奥でsleeps Bellwoodを狙うかもしれん』
戦ってもどうにもならない。そう言おうとしたGohnを先回りするように、Blateoは逃げてもどうにもならない事を語る。
『そして最後に残るのは勝つ見込みを無くした儂等と、Demon King Guduranisを超える悍ましきGreat Demon King Vandalieuと、その軍勢だ。
その後は儂等を屠り、このworldを新raceと称する邪悪な神との混bloodと、Undeadとmonstersが跳梁跋扈する魔界とするのだろうよ。いや、このworldだけで終わるとは限らんぞ。Rodcorteによると、奴はこのworldとanother worldを行き来できるそうだからな』
『……何が言いたいのだ、Blateo。まさか、どうせ希望は無いのだからChargeしようとでも言うつもりか?』
『idiotを言え。儂は、逃げるくらいならAldaが援軍を送って来るのを信じて踏み止まる方が、まだ良いと言いたいのだ。
無論、奴と戦わずに逃げるなどenduranceできんというのもあるが』
Blateoの言葉に、Gohnと周囲にいるDemi-God達は確かにそうかもしれないと、最後の言葉以外に同意した。
思い出して見れば、despair的な戦いというのは十万年前、Demon King Army相手に何度も経験している。勝つためではなく、負けないための戦いは初めてではない。
『いいだろう。このまま戦おう。Alda -samaに救援を、再度要請しろ! それが来るまで、何度でも奴らの攻撃を耐え抜く!』
覇気を取り戻したGohnの号令に、Defense Corpsの面々が雄々しく『おう!』と叫び応える。
ただ、幾ら士気を取り戻そうと、意志だけではどうにもならない差があった。
攻め手は守り手の三倍以上の戦力が無ければ勝てない。Human同士の戦で使われる言葉だ。しかし、この戦いでは当てはまらない。
何故なら、守り手であるDemi-God達がGiantであるため、要塞や城壁等の防衛施設を利用する事が出来ないためだ。
このまま無策にmidair戦を行うのは、無謀な特攻と変わらない。
『だが、戦場は下げる! このContinentの外周、周辺の海域上空ではなく、Pseudo-Divine Realmの一つを陣に見立てて戦う!』
そのためGohnは咄嗟に思いついたtacticsを実行する事にした。
『む……それならFlight Abilityの無いmonstersや、浮遊する事しか出来ないOrichalcum Golemも戦う事が出来るが、上を押さえられるぞ』
『そうです! 更に、十分に戦う事が出来ない私はともかく、Water-Attributeの龍やTrue giantの力が落ちてしまう!』
Blateoと、昨日の傷が治りきっていないMadrozaが異を唱えるが、Gohnは『その心配はない』と言った。
『砦に見立てるのは、あの湖の根元にあるPseudo-Divine Realmだ。諸刃の刃だが……利用しなければ、戦いになる前に負ける』
tactics上仕方がないと、自身を納得させてVandalieuの背後から離れたGufadgarnは、無表情に戸惑いを浮かべて周囲を見回した。
十隻の船団の旗艦である本物のCuatro、その船首からはChaosとしたDemon KingのContinentが見える。しかし、彼女達の行く手を阻むはずのDemi-God達の姿は、一つも見えなかった。
「こちらの接近には気が付いているはずだが……?」
ElfのBishoujoを模して創った彼女の憑代の瞳が、困惑に揺れた。何故なら、行く手を遮るDefense Corpsに出て来てもらわなければ困るからだ。
「tacticsの第二段階は、この十隻の船団を囮にしてGohn達を引きつける。そして、偉大なるVandalieuがBotinのsealedを解き、そのままGohn達を背後から急襲し挟み撃ちにする事。
できるだけGohn達を、sealedされているBotinから離さなければならないのだが……」
『もしかして、昨日の戦いで消耗しすぎて打って出て来られないのでは?』
『怖気づいて、Botinの近くで縮こまっているのかもしれませんぜ』
『念のために、挨拶代わりに砲撃でもしますか? 慌てて出てくるかもしれない』
『Four Captains of the Dead Sea』達が口々に意見を述べる。それを参考に、Gufadgarnは自分達が取るべき行動を考えた。
「……このまま進軍する。真下からの不意打ちに注意しろ」
Demon King Familiarと、Vandalieuに相談するまでもない。
『ギィィィィ!』
Cuatroが偽Cuatroを従えて、進軍を再開する。地上は竜巻が吹き荒れる砂漠や、magmaが重力を無視して蠢く火山地帯だが、一千meterの高度なら安全に進む事が可能だ。
このままBotinがsealedされている地点へ進めば、あと半日程で到着してしまうだろう。その前に、Gohn達は仕掛けて来るはずだとGufadgarnは考えていた。
『敵襲! 上空からmonstersが多数接近!』
しかし、その予想に反して、襲ってきたのはDemi-Godではなくmonstersだった。
『Demon King Familiarの旦那方が出るまでもねぇ! bastard共、弓を構えろ!』
しかも、砲弾型Demon King FamiliarではなくUndead船員達が使う弓矢で十分相手が出来る程度の、このContinentではザコ扱いであるRank5や6のmonstersだ。
それらがCuatroと船団の更に上空に浮かぶ雲の中から、次々に現れて襲い掛かって来たのだ。
「あの雲は、Demon's Skyか」
monstersが発生するDevil Nestsと化した空域。一見するとただの白い雲だが、実際はmonstersの白い巣だったようだ。
『Gufadgarn -san、どうしましょうか? それと、Godwin -sanが準備運動を始めているのだけど、止めた方がいいかしら?』
偽Cuatroの一つに、VandalieuとTiamatの息子……つまり孫と一緒に乗り込んでいるDarciaが、Goblin通信機を使って話しかけてくる。
「高度を下げて進みましょう。あと、Godwinは止めておいてください。生きてさえいれば構いません」
今はWyvern等のザコしか出て来ていないが、このまま高度を維持して進めばRank13前後の、片手間では倒せない強いmonstersが出現するかもしれない。
そんな強いmonstersと戦っている間にGohn達に襲撃されたら、不利になってしまう。誘き出すために、隙があるように見せかけるのはいいが、本当に隙を作って損害を出すのは良い事ではない。
『儂の扱いが雑ではないか!?』
「……それで、何か問題が?」
『Trial of Zakkart』でも、的確ながら滅茶苦茶な攻略をして進んだ挙句retireしたMajin King Godwinに対するGufadgarnの評価は、「雑に扱っても壊れない」だった。
それはともかく、Gufadgarnの指示によって高度を数百meter下げると、monstersの襲撃は嘘のように止んだ。どうやら、Demon's Skyの範囲から出たらしい。
「Continent上空にはDemon's Skyが幾つもあるようだ。今の高度を維持して進み、地上からの攻撃にはより警戒を――現れたか」
Gufadgarnが『Four Captains of the Dead Sea』に指示を出している途中で、湖の畔のspaceが揺らめいた。
そして次の瞬間には、電撃や岩や氷塊が、更に水や光といった-sama々なBreathが、酸性の泡が、船団に向かって放たれる。
『砲撃を開始します。ファイエル』
それに応えて、各船の大砲型Demon King Familiarが砲撃を開始する。揺らめいていたspaceの向こうにいるDemi-God達を撃ち砕かんとするが、岩やBreathと衝突して爆発し、彼等を傷つけるには至らなかった。
だが、戦果を挙げられなかったのは向こうも同じだ。
『monstersを放せ! 接近戦は奴らに任せ、我々は距離を維持しろ! 奴らを近づけさせるな!』
『God of War Horns』Siriusが滅びた事で、再びGohnが肉声でCommandingを執ろうと声を張りあげる。『God of War Drum』Zepaonが叩く太鼓の音が同時に響いているが、彼はSiriusと同じように音色でCommandingを伝える事は出来ないのだろうか?
そうGufadgarnが訝しく思っていると、湖や周辺の森からcountlessのmonstersが出現した。鏡のような湖の水面からはGIANT Gillmanや、Gigant Flying Shark、狂った水のAnima王、森からは別々の動物の部位をbody partから生やしたChimeraの変種や、countlessの眼を持つChaos Basilisk King。どれもDemon King Armyの邪悪なGodsの先兵として当時のChampion軍を苦しめた存在ばかりだ。
共通点は、Flight Abilityが低いか、全く持たないmonstersである事だ。
「なるほど。Continent上空のDemon's Skyを利用して、こちらの高度を下げさせたのか」
『では、我々はまんまと敵のTrapに嵌められたと!?』
「いいや、そうではない」
狼狽する『Four Captains of the Dead Sea』の一人に向かって、Gufadgarnが指差した先では、monstersの群れがspaceを歪めた偽装が消えつつあるPseudo-Divine Realmへと向かっていた。
その-sama子は、飼い主の元に駆けつける飼い犬ではなく、姿を現した獲物に襲い掛かる肉食獣のそれだ。
「Pseudo-Divine Realm内部から外に向かって攻撃した事で、外部との接続部分が明らかになり、それをmonstersに気づかれたのだろう」
『なるほど。しかし、こちらに向かってくるmonstersの数も昨日の倍以上ですぞ』
「そこは、ご子息の出番だ。Darcia -sama、お願いします」
Gufadgarnが通信機に向かって合図を出すと、船団の内一隻から砲撃が止まり、内部から爆発するように砕け散った。
そして姿を現したのは、一見すると普通の龍だった。
『…………』
全体的な姿は、Dragonと言うよりもGiantなLizardmanに近いだろう。暗い青色のscaleに、金色の四つの目、四肢と背中に生えた二対の灰色の翼、そして、長いtailの先にはclawsが生えている。
『なんだ、あの龍は? Vida's Factionにあんな龍はいなかったはず』
『この十万年の間に生まれた若造だろう! 向こうにはあのTiamatがいるのだ、若造の十や二十いてもおかしくはあるまい!』
Undeadでも邪悪な神でもなく、龍が現れた事に戸惑う『Ice Giant』Muganに、Blateoが攻撃の手を緩めずにそう応える。
「さあ、目を覚まして。Bakunawa -chan」
その龍……VandalieuとTiamatの間に生まれた初孫の肩に立っているDarciaは、眠たげな-sama子の彼に優しく声をかける。
「ほら、ご飯よ」
『lunch……?』
まだ眠そうな声は、Darciaの下から発せられた。
『lunch……どれ……?』
「あなたの前にいる、動いているのはみんな御飯よ。お腹いっぱいになるまで、好きなだけ食べていいの」
『みんな……lunch!? 本当!?』
その瞬間、Bakunawaの四つの目が大きく見開かれ、monsters達とその向こうにいるDemi-God達を捉える。
そして、Bakunawaの喉元から下腹部までが縦に割れて開いた。
『うわあぁぁい! いただきま~す!』
そこから出たのは歓声と、食前の挨拶。そして、赤いtongue。Bakunawaの口は、頭部ではなく胴体にあったのだ。
真の姿を現したBakunawaに対して、Instinct的なhorrorを覚えたmonsters達は近づくのを止め、逃げだそうと身を翻す。だが、逃げる事は叶わず、彼の口に向かって吸い込まれていった。
「ギャアアアアアア!」
「グオオオオオオオオ!?」
Bakunawaが息を吸い、「lunch」を吸い込んでいるのだ。monstersも、周囲の木々や土、Blateo達が放つ電撃や酸性の泡でさえ、fangsで切り刻み、tongueで押し潰し、唾液で溶かして飲み込んでいく。
この旺盛なappetiteが、EarthのMythにおいて月を飲み込んだとされる「Bakunawa」の名を与えられた彼の力だった。
『おいしぃぃぃぃぃ!』
口の中いっぱいに広がるbloodと臓物の味が! boneや木々の砕ける食感が! 濃厚な命の喉越しが! 痺れる電撃の後味が! Bakunawaを夢中にさせる。
『BAKANAっ! 儂の電撃を喰らうだと!?』
『狼狽えるな! 胴体ではなく頭部か四肢を狙え! 実体のあるmagicは控え、電撃や光にしろ!』
胴体のGiantな口には攻撃しても無駄だと見切ったGohnが、動揺するBlateo達に指示を出す。それに応えて、Bakunawaの頭部や四肢に攻撃が集中する。
「させるものですか!」
「うむ、もうTransform済みじゃからな」
だが、それもDarciaやZadirisのmagicで弾かれてしまう。さらに、その間も残り九隻の船団からの砲撃は続いており、Bakunawaの吸引の範囲外に逃れたmonstersや、距離があるため、被害を免れているGohn達が狙い撃ちにされている。
『あーれー』
『あ、ごめんね、Papa。でもおいしいよ』
『それは良かったー』
「Vandalieu、気を付けて! Bakunawa -chanの前に出ちゃダメよ!」
ただし幾つかの砲弾型Demon King Familiarが、Bakunawaの口の中に消えたが。……なお、Demon King Familiarを運んでいた偽Cuatroはとっくに腹の中だ。
「流石は偉大なるVandalieuのご子息。たった一人で戦場を支配しておられる」
『……確かに、向こうは動きが取れないようだが、こっちも動けませんぜ』
『迂闊にBakunawa Bocchanの前に出たら、我々も腹の足しにされちまう』
感動するGufadgarnの背後で、顔を引き攣らせる『Four Captains of the Dead Sea』達。だが、彼女は特に気にした-sama子はない。
「それで構わない。我々だけで敵を倒す必要はない」
むしろ、攻めすぎて相手がBotinのsealedされている場所まで撤退してしまう方が困る。
「まだ、sealedは解けていないのだから」
tunnelの先端部で最後の一掘りを終えたVandalieuは、現れた黒い壁を調べていた。
「これは、物質化したManaのようですね。なるほど、この内部にBotinと、彼女がsealedされる時、近くにいたSubordinate Godがいるのでしょう」
BotinがDemon King Guduranisにsealedされたのは、Demon King Armyとの戦いの最中。劣勢に陥ったChampion軍の-donoをBotinとSubordinate God達が務め、離脱する前に現れたGuduranisによってsealedされてしまった。
Divine Realmに招かれた時、VandalieuはVida達からそう聞かされていた。
何かの器具や地面に描かれた魔法陣等、そうした道具や仕掛けを用いずManaだけでGreat Godをsealedするとは、Demon Kingの名に恥じない技量である。
「解けそうですか?」
「解く事は出来そうですが……思ったよりも難しいかもしれません」
不安そうなJulianaの声に正直に答えながら、Vandalieuはsealedの解除を始める。彼のManaに触れた部分がどろりと溶け落ちるように消えていくが、そのpaceは速くない。
「器具を壊せば解けるChampion側が施したsealedと違って、このDemon Kingが施したsealedは全体を壊さなければいけませんから」
Champion側が【Demon King Fragment】や邪悪な神に施すsealedは、例えるなら精密機械だ。重要な部分を幾つか解けば、効果を失ってすぐ解除できる。
だが、このDemon Kingが施したsealedはコールタールの塊のようだ。重要な部分なんてものはなく、全体を排除しなければならない。
『【Demon King Fragment】で一気に壊すってのは、ダメなのか?』
「sealedの中で眠っているBotinまで傷つけてしまうかもしれないから、保留です」
Borkusの乱暴な意見を、Vandalieuは却下しなかった。ある程度sealedが解けたら、それもありだと思ったようだ。
「でも、まずは正攻法から試してみましょう」
『これ、正攻法なのでしょうか?』
『一人でダメなときは、皆でするのは正攻法でしょう』
shadowからCloneを出して、一人ではなく複数でCurseを解いていくVandalieu達。
その甲斐あって、Curseは順調に解けていくが、やはり時間がかかる。
「ここまで時間がかかるとは……やはり、Demon KingのContinentのmiasmaがsealedに良くないimpactを与えているのでしょうか?」
Botinと顔見知りであるため、Vandalieu達と行動を共にしているPure-breed Vampire Zorcodrioが案じるように尋ねる。
このDemon KingのContinentの、spaceや重力さえ歪め、Demi-God並のmonstersを発生させる程汚染しているmiasmaなら、Demon KingのsealedがEnhanced (1)される要因になってもおかしくないと思えたのだろう。
しかし、Vandalieuは首を横に振った。
「それはないでしょう。このsealedを創り上げたDemon KingのManaと、Demon KingのContinentのmiasmaは、全く別の性質の物です。impactがあったとしても、微々たるものでしょう」
Demon KingのContinentを汚染しているmiasmaは、Demon King Guduranisが倒され、さらにBellwood達によってDemon KingのContinentが破壊し尽くされた後、はびこった物だ。
つまり、Demon KingのContinentと呼ばれているがこのContinentを汚染しているmiasmaとDemon King Guduranisは、何の関係もないのだ。
「そうなると、Alda's Factionが行ったらしい、このContinentにworld中のmiasmaを集める策は、Botinのsealedに悪impactをもたらさなかったのですか。
ほっといたしました。Botinがmiasmaのimpactを受けていたらと、少々心配だったので」
『心配ねぇだろ。神がmiasmaのimpactを受けるんだったら、miasmaだらけのBoundary Mountain Rangeの内側やDemon continentにいるVida's FactionのGodsは、とっくにどうにかなっちまっているはずだぜ』
「そうですね。直接Evil God (M)やEvil God (P)とFusionしない限り、大丈夫だと思いますよ」
Zodに、BorkusとVandalieuはそう言って保証した。
このContinentほどではないが、Boundary Mountain RangeもDemon continentもmiasmaで汚染されている。そこに十万年以上いたのだからmiasmaによるimpactが出るなら、とっくにそうなっているはずだ。特に、傷ついたまま眠っていたVidaは、sealedに包まれていたBotin以上に無防備だったのだから。
「確かに、その通りですな」
「納得して貰えてなによりです。……しかし、もう少しCloneを増やした方が良さそうですね。Bakunawaのご飯が終わるまでには、sealedを解きたいですし。
あ」
黒い壁の一部が崩れ、白い靄のようなものが露わになる。そこにVandalieuのmain bodyが音もなく飲み込まれた。
「ヴァ、Vandalieu -sama!?」
『まあまあ、落ち着いてくだせぇ』
『陛下なら大丈夫ですよ。Orbia -sanもついて行きましたから』
思わず後を追おうとするJulianaを、姿を現して止めるKimberlyとPrincess Levia。
「その通りです。Clone -dono達も、作業を続けていると言う事は大丈夫なのでしょう」
そしてZodの言う通り、VandalieuのClone達はsealedの解除を続行していた。彼等はmain bodyとMemoryと人格を共有しているため、Cloneが平気そうにしているということはmain bodyも無事だという事になる。
「……まあ、彼の場合手足の一本ぐらいもげても平気そうにしているでしょうから、過信するのは危険ですが」
しかし、Zodがそんなあり得る事を口にしたため、VandalieuのClone達は慌てて口を開いた。
『今回は本当に大丈夫です』
『俺のmain bodyには、傷一つありません』
『今は、Botinの前にいます』