Vandalieuが『Lambda』で十二ageの誕生日を迎えて数日が経った頃、『Origin』では……。
このworldのHumanは国によってSlightly時期は異なるが、満三ageになるとMana測定を行い、生まれ持ったattributeの適性について公共の医療機関で検査し、報告する事が義務付けられている。それは政府高官やcelebrity、gangやmafia、そして【Bravers】を親に持つchildでも同じだ。
Amemiya Meiも、三ageの誕生日の翌週にfamilyで検査に向かった。このworldの人々にとって三ageの時の検査は、七五三等のお祝い事に相当するためだ。
検査自体は単純で、結果が出るまでの時間も短くて済む。多くの家庭では検査の後、restaurantで食事したり、家でhome partyを開いたりして、三ageのbirthdayよりも盛大にお祝いを行う。
この日の為に休みを取ったAmemiya coupleも、そうするつもりだった。
「……おかしい。検査結果が出ないのは何故なんだ?」
「機械のtroubleか?」
「そんなはずはありません。機械は正常に動いています」
しかし、hospitalの職員達は、Amemiya Meiから取った検体……口内の粘膜から取った細胞から、遺伝子ではなくManaを抽出して分析する機械では、検査結果を出せずにいた。
attributeの適性を検査する機械は、現代ではありふれたものだ。適性は基本的に一生変わらないので、人生で一度しか使わないが、田舎や離島の診療所にも設置が義務付けられている。
操作もレントゲンより簡単で、資格を取る必要もない。個人情報の扱いを数時間の講習を受けて学べば、誰でも使う事が出来る。
機械のmaintenanceも規則通り行われ、その日も正常に動いていた。だと言うのに、Amemiya Meiの検査結果だけが「error」としか出ない。
「検体が汚染されたのかもしれない。もう一度取らせてもらおう」
「はい……」
職員達は大いに困惑し、結局不手際で検体が汚染された……他の人の検体が混入し、検査結果が正しく出なかったのだろうと結論付けた。
つまり、自分達によるhuman errorだと考えたのだ。certainly、納得はできない。しかし、機械が正常である以上、そうとしか考えられなかった。
このworldのHumanは土水火風、そして生命と光、spaceの七つのattributeの中から最低でも一つ、適性を持っている。そしてその適性は、体内のManaがstabilityする満三ageごろに測定する事が可能になる。
それが常識なのだから。かつて八つ目のattributeが発見されたが、それは彼等にとって黒いカラスの中に一匹だけ存在するかもしれない白いカラスのようなもので、現実に考慮すべき事ではなかった。
すぐ職員の一人がAmemiya coupleの元に行き、事情を説明してもう一度冥からSampleを取って来る。
そして、それをいつも以上に慎重な手つきで機械にセットし、検査を始める。だが、出た結果は、先程と同じ「error」だった。
「これは……どう言う事でしょうか? もう一回検体をお願いしますか?」
「いや、何度しても同じだろう。恐らく、我々の手際や機械ではなく、Amemiya Mei -chan本人に問題があるのだろう」
「も、問題ですか!?」
Amemiya couple……world的な有Adeptであると同時に、heroとしての名声を得ている夫婦の娘のbody partに何が起きているのかと、職員の男は驚いて上司に聞き返した。
しかし、その答えは深刻なものではなかった。
「maybe、まだ体内のManaが不stabilityなんだ。成長には個人差があるからな。極稀にだが、三ageになってもManaがstabilityしなかった事例が、学会に報告されている」
「そうだったんですか。安心しましたよ……じゃあ、検査結果はどうします?」
「ああ、とりあえず半年後に再検査をお願いしよう」
attributeの適性を調べるのは重要だ。将来覚えるmagicや、それによって就ける職業が結果次第で変わるからだ。
消防士になるにしても、Fire-Attribute Magicの技術と制御を極限まで高め、着火や消火が自在に出来るようになるよりも、ある程度の量の水が出せる程度Water-Attribute Magicを修める方が簡単だ。
しかし、初等教育を受ける前の幼児の段階では一刻を争う程ではない。半年ぐらい他のchildよりも適性が分かるのが遅れても、余程教育熱心な両親でなければ気にしないだろう。
「分かりました。じゃあ、さっ……そ、く?」
早速説明してきますねと言って、退室しようとした職員の男が不自然に止まった。室内にいる他の職員達も、時が止まったかのように動くのを止めている。
「どうしたんだ?」
上司の男が困惑して尋ねるが、男達は彼に視線を向ける事すらしない。
「おい、ふざけているの……か……?」
そして上司の男の視界にも、入ってしまった。職員の男達が凝視する何かの姿が。
防犯cameraのBlind Spotになるroomの隅に、人のようなものが立っていた。
『こんにちは』
白い髪に、白い顔をした、furのコートを着た男に見える。いや、平坦だが高い声から考えると、女なのかもしれない。
しかし、彼等はそれの性別について考えるのをすぐに止めた。何故なら、それの顔には妖しく輝く四つの目があったからだ。
horrorのあまり男達はscreechをあげて逃げ、警備員を呼ぼうとした。しかし、body partが……目すら動かす事が出来なかった。
『この距離だと効きが悪いですね。目を大きくしないと』
それ……Bandaは口を、Humanの頭ぐらい楽に入りそうなほど大きく開いた。fangsがぞろりと並んだ口内が露わになり、その奥からGiantなeyeballがせり出してくる。
「っ!?」
妖しい輝きを放つeyeballを目にした男達の意識が、一瞬で刈り取られる。しかし、body partが倒れることなくそのままの姿勢を維持した。
『あなた達は、今から俺が言う指示に従いなさい。Amemiya Meiの検体を、Light Attributeだけに適性があったchildの物と入れ替えて、再検査しなさい。その後、本物と偽物の検体は規則通りの手順で破棄しなさい。通常の規則通りの手順で、ですよ。
それが済んだら、俺の存在も与えた指示も、全て忘れなさい。分かりましたね?』
自分の言葉に男達がnodのを見て、Bandaは満足気にnodと口を閉め、次は警備室に行くために【Realization】skillを解いた。
満三ageの時に行う検査で、通常の機器では結果が出せない事を、彼は予想していた。通常の機器では、death attributeのManaを検知できないからだ。
(Me-kunは、やはりdeath attributeの適性を持っていましたか)
通常の検査機器で、それも二回検査して結果が出せないという事は、それ以外考えられない。
彼女がdeath attributeの適性を持っていた場合、どうするのか? それは事前にallyに付けた【Druid】のJoseph Smithや、Vandalieuが夢で導いていたほか数人と相談して、決めてあった。
hospitalの職員を洗脳し、検査結果を「Light Attributeの適性を持っている」と捏造する。Light Attributeなら、初等教育の訓練では指先を光らせ、その光の強弱や色を変える事ぐらいしか習わない。これなら、BandaがLuminescent organsを使って誤魔化す事が出来る。
そう、誤魔化す事が出来るだけだ。
将来、Amemiya MeiがDeath-Attribute Magicの適性を持つ事は隠せなくなるだろう。少なくとも、このworldの社会で生きていくならそれは避けられない。このworldでは、magicは日常だからだ。
Bandaに出来るのは、ばれるまでほんの少しでも時間を稼ぐ事ぐらいだ。
(まあ、これで時間を稼げたかは疑問ですが)
これから警備室で防犯camera映像を改竄、消去するために警備員を洗脳するが、そこまでしても稼げた時間は僅か……数年どころか、数日もないかもしれないとBandaは思っていた。
以前Amemiya 家に入り込んで来たところをBandaが始末した、幽霊ではない謎の存在。それがdeath attributeの研究を行う【Bravers】の裏切り者、【Avalon】のRokudou Hijiriの手の者によって送り込まれたのなら、既に冥は目を付けられている。
そうである以上、時間の問題であるはずだ。
(これからは、もっと大胆に動く必要がありそうですね)
幸い、この前main bodyと一度FusionしてAbilityを更新したばかりだ。……自分が子持ちになった事も驚いたが、それどころではない。
(もしもの時は……このworldではMe-kunが幸福になれない時はmain bodyを召喚、Realizationさせて……しかし、その場合Amemiya coupleはどうしますかねー。main bodyに俺と同じ苦しみを味わわせるのも、いいと思いますが)
冥の兄のHiroshiや、Joseph達をどうするかは決めてある。問題はAmemiya coupleだった。
hospitalでの検査を終え、娘はLight Attributeの適性を持っているという結果を信じたAmemiya coupleは自宅に戻ると、予定通りhome partyを開いた。
「今日は、娘の冥の為に集まってくれてありがとう。今日は仕事を忘れて、楽しんでいってくれ。乾杯!」
Amemiya Hirotoがそう乾杯の音頭を取った。
それに応じて、乾杯! っと集まった【Bravers】の面々やこのworldで友人になった者達がglassを掲げる。
「AmemiyaとNarumiもすっかり夫婦だな。俺も負けちゃいられないな」
「Baker、お前、Hiroshiが三ageになった時の集まりでも同じ事を言っていたぞ」
「う゛! し、仕方ないだろ。あの時付き合っていたloverには、振られたんだよ!」
【ヘルメス】のBakerや【Titan】のIwaoが、champagneを片手に世間話に興じる。
「あの時はAsagiの奴が、下手糞な手品を披露して、案の定失敗していたっけ」
「ああ。あの人、そう言うところがあったからな。……赤城に天道にMao、Endou。あいつ等も、あの時は笑っていたな」
そしてこの場に居ない、故人に思いを馳せる。
「あいつ等、今頃どうしているんだろうな? 天国にでもいるのか、それともどこかに生まれ変わっているのか」
『Maoについては詳しく知りませんが、他は生まれ変わって元気にしているようですよ。Alcrem Duke 家の情報網によるとですが』
遠い目をするIwaoに、Bandaは聞こえない事が分かっていながらそう答えた。
Alcrem Duke 家の情報網によると、Asagi……Asagi達はBirgit Duchyのお抱えadventurerとなって働く傍ら、【Demon King Fragment】のsealedに関する研究事業を行っているらしい。
流石はRodcorteからFortuneやDestinyを与えられただけあって、自分の時よりもずっと早く『Lambda』worldでの立場を固めたようだと、彼のmain bodyであるVandalieuも感心していた。
研究内容も、Vandalieuは離れた場所でrunawayした【Demon King Fragment】には対処できないので、結果が出れば助かる。
しかし、本人と接触し、研究に協力する気にはまったくならないが。
Asagi達もRodcorteや、Birgit Duke 家からVandalieu達に関する情報を得ている筈なのに何もしてこない事から、同-samaに接触する気はないのだろう。
【Noah】のMao Smithに関しては、流石に Bahn Gaia continentの外にはAlcrem Duke 家の情報網の手も届かないので、商人からの伝聞でしか分からない。それによると、商売は順調らしい。
どちらについても、Alcrem Duke 家が諜報活動の一環として集めた情報……Reincarnatorについてではなく、「Birgit Duke 家と専属契約を交わした新人adventurer」と「 Bahn Gaia continent外に出た妙な女Dwarf」について調べた情報を提供してもらっただけだ。なので、改めて調べれば他にも何かあるかもしれない。
「湿っぽい話はこれくらいにしよう。めでたい席で自分達の事を話題にされるのは、あいつ等も嫌がるだろう」
「そうだな……じゃあ、これで最後にしよう。乾杯」
IwaoとBakerは手に持ったglassで乾杯すると、頭を切り替えて冥を祝った。
ちなみに、Kanako達のnameが【Bravers】の面々の口から出る事はなかった。彼等にとってKanako達はMurakamiと同じ裏切り者で、事実その通りなので無理もないが。
(分かっていますが、不快なのは変わりませんね)
「Banda?」
『何でもありませんよ、Me-kun』
Bandaが不機嫌なのを敏感に察知した冥が声をかけると、Bandaも意識を切り替えた。
「ん? どうしたんだい、冥-chan? Bandaって……?」
「気にしないで。冥にだけ見える友達なのよ」
「冥にだけ見えるって……大丈夫なの、それ?」
【Bravers】の一人、【Echo】のUlrika Scaccioが訊ねると、NarumiではなくIwaoが答えた。
「大丈夫だよ。imaginary friend、って奴らしい。小さい頃だけ見えたお友達って奴だ」
「本当に大丈夫なの? 事件のtraumaかなにかのせいじゃないの?」
以前冥とHiroshiがbabysitterとボディGuardごと誘拐された事件のimpactでないかと、Ulrikaが心配する。彼女自身過酷なmissionでMentalをDiseaseんでおり、薬を常用することでMentalのstabilityを保っているので人事とは思えないのだろう。
「Ulrika、Iwao -kunの言う通り大丈夫よ。冥がBandaって友達の事を言い出したのは、事件にあう前からだから」
しかし、Narumiはそう説明する。他者と感覚と意識を共有する【Angel】のAbilityを持つ彼女だが、それを冥に使ってBandaの姿を見ようとはしなかった。
彼女自身が言った通り、幼い娘が今の内だけ見える友達だと思い込んでいるからだ。
それを暴き立てる事は、childに「サンタクロースは存在しない」と言い聞かせるのと同じ事だと考え、夫婦で話し合った結果、このまま見守る事にした。小学校になっても見えると言うようなら、また改めて相談する事になるだろうが。
「Banda」
「こら、今日はBandaに構っちゃダメって約束しただろ」
Bandaに手を伸ばす冥を、兄のHiroshiがよっこいしょと抱き上げる。partyの間、Bandaは【Realization】する事が出来ないため、彼に冥の事を頼んでいたのだ。
『ありがとう、Hiroshi。今は聞こえないだろうけど』
「にいちゃ、ありがとーって。にょろにょろは?」
「どういたしまして。あと、にょろにょろは無理」
「ムリ?」
「無理、ゼーッタイムリ」
『Hiroshiに移植するのは無理かな。俺には実体がないから。ああ、でもshadowになら出来るかも』
BandaはVandalieuのsoul fragmentを捏ねて作られたCloneだ。そのため、実体はない。だが、同じく実体のない人のshadowになら、自分の一部を移植できるかもしれない。
『今度、試してみますね』
成功すればHiroshiのPower upに繋がる。No-Attribute Magicの習得は順調に進んでいるが、それでもRokudou Hijiri相手には心許ない。試みる価値はあるだろう。
「bandaaがね、ためすって」
「何を!? やめろよー、変な事するなよー」
冥を抱き上げたままHiroshiが、不安そうな顔つきでBandaの姿を探してくるくるとその場で回ると、大人達も微笑ましいと微笑む。
「やあ、遅れてすまない」
その微笑ましい空気はそのままに、【Avalon】のRokudou Hijiriが現れた。後ろには、【Shaman】のMoriya Kousukeを引き連れている。
「ずいぶん遅かったな。来ないのかと思ったよ」
「すまないな。何処かのleaderがfamily serviceをするための皺寄せがきつくてね」
「言ってくれるな。だが、-kunならそれぐらいどうとでもなるだろう、shadowのleader?」
軽口を叩き合いながら、AmemiyaとRokudouが握手を交わす。NarumiやIwao、Bakerも含めた周りも、Rokudouを歓迎する者が大多数だ。
「…………」
例外は、内心の緊張を表に出さないようにしている【Druid】のJoseph Smith等、Vandalieuに夢で導かれた数人の者達だ。
「Josephも久しぶりだね、カウンセリングの結果も良好だと聞いているよ」
それに気がついていないのか、Rokudou HijiriはJosephに話しかけてきた。
「ああ、まだ現場に出るのはきついけれど、植物に関する研究や、Farming支援では役に立てそうだ」
話しかけられた事に内心驚きながら、Josephは表面上友好的にそう返事をする。
「それは何よりだ。実は、-kunも含めて心に問題を抱えていた【Bravers】のmemberの内何名かが、ある時を境に快方に向かっているのだが、何か心当たりはないか?」
「それは……悪いが、思い当たる事はないな」
実際には、Vandalieuに導かれたためだがそれは話せないので、「偶然じゃないか?」と誤魔化しておく。
「そうだな……。以前から治療は続けていたのだし、かかっていたMental科医同士にも繋がりはない。偶然と考えるべきか。
何はともあれ、良かったよ」
「あ、ああ。ありがとう」
そう答えながら、Josephは困惑していた。Bandaを疑う訳ではないが、本当にRokudouが違法なDeath-Attribute Magic研究を行っているのかと。
余りに自然な態度で友人として接して来るので、腹に一物抱えているようには思えなかったのだ。
それはJosephとBandaが仲間に引き込んだ数人の【Bravers】も同感だった。そして、平静を保つのに必死なのは彼らだけではなかった。
(間違いない……何かが居る! このroomの中に……私のすぐ近くに!)
そう、【Shaman】のMoriya Kousukeだ。自身のManaを使い、人工的なAnimaを創りだす事が出来る彼は、Instinct的にBandaの存在を察知したのだ。
(恐ろしいMana量だ。あの『Undead』と同じか、それ以上。しかも、明らかに私……いや、Rokudou -sanを警戒している。目的を達成したら、できるだけ早く撤退すべきだ)
MoriyaはRokudouの手足として、今までArtificial Spiritを用いた情報収集や暗殺を数多くこなしてきた。その経験が、Bandaという見えざる脅威を察知する事を可能にしていた。
……察知したからと言って、今のconditionでMoriyaに出来る事は殆ど無いのだが。
RokudouはそんなMoriyaの-sama子にも気がついていないのか、他の仲間と世間話に興じた後、冥とHiroshiに近づいた。
「やあ、Hiroshi -kun。私にも今日の可愛らしい主役をだっこさせてくれないか?」
「え、う、うん」
Bandaに『Rokudou Hijiriが何か話しかけて来ても、彼の言う通りにして欲しい』と頼まれていたHiroshiは、急に静かになった冥をRokudouに渡した。
「やあ、冥-chan。大きくなったね」
自分を抱き上げたRokudouを、冥は不思議そうに見上げた。彼の背後には、おかしな動きを見せたら、姿が他の【Bravers】に見られても必ず防ぐと覚悟を決めているBandaが居る。
一瞬でRokudouの頭を噛み千切れるよう口を開け、鉄板を油粘土のように引き裂く四本の腕を開いてRokudouを抱きしめられるような姿勢を取るBandaの姿が、冥には不思議そうに見えたようだ。
更に言えば、Rokudouのshadowの中には既にBandaの一部が潜んでいる。おかしな動きをしたり、何かの機械を作動させたり、magicを唱えれば即座にこのRokudouを殺す事も、拘束する事も出来る。
そしてVandalieu main bodyの魂も、もしもの時は即座にspaceを引き裂いてworldを侵犯できるよう、待機していた。
(……こいつは、Rokudouじゃない)
だが、それほど近づいた事でBandaは彼がRokudouではない事に気がついた。彼は……彼女はRokudou HijiriにTransformしている【Metamorph】のShihouin Mariだった。
「どうしたんだい? いや、当然かな。私はこうして-kunに会うのは初めて……私?」
「だいじょうぶ? わかったの? だれなのか」
「なっ……なんの事かな? 私は、Rokudouのおじ-sanだよ。お父-sanとおkaa-sanの友達のおじさ……あれ?」
それまで余裕を感じさせていたRokudouの顔から、ゾッとする程bloodの気が失せた、顔中から冷や汗が浮かび、口元の微笑は引き攣り、強張っている。
「わ、私は、Rokudou Hijiri。ろくどう、ひじり? そ、そう、聖だ。ここで、私は……私は? おとう……おkaa-san?」
「Rokudou -kun!」
「Rokudou -san!」
ガクガクとwhole bodyを不自然に痙攣させ、今にも泡を吹いて倒れそうな『Rokudou Hijiri』の腕から、Narumiが冥を受け取ると、Moriyaが捕まえるように彼女を確保する。
「すまない! Rokudou -sanは少し具合が悪いようだから、これで失礼させてもらう! 皆は、partyを楽しんでくれ!」
「お、おい、Rokudouは大丈夫なのか? 回復magicをかけた方が良いんじゃ……」
「心配しないでくれ、薬がある。だが、効くまで少し時間がかかるから、この場は失礼する」
Rokudouを気遣うAmemiyaの言葉を固辞して、彼女がRokudou Hijiriではない事を知っているMoriyaは急いでAmemiya 家を後にした。この場で【Metamorph】が解けて、死んだはずのShihouin Mariの姿が露わになったら誤魔化しようがなくなるので、彼も必死だ。
それを多くの者は戸惑いながらも、『Rokudou Hijiri』を心配そうに見送った。
Amemiya 家での出来事をリアルタイムで見ていた本物のRokudou Hijiriは、大願の成就を確信し、会心の笑みを浮かべていた。
「やはり、Amemiya Meiはdeath attributeの適性とManaを持っていたか」
検査結果はLight Attributeだったが、Rokudouは信じていなかった。何故なら彼女の周囲には、『The 8th Guidance』のshadowが……実際にはBandaがあるからだ。
検査で何かおかしい事が起これば……検査をやり直したり、買収していたはずの職員が言う事を聞かなかったり、防犯cameraの映像が不自然に消えていたりすれば、書類上の検査結果がどうであったとしても、そう言う事だろうと考えていた。
「何としても彼女を手に入れ、調べなければならない」
『Undead』に続いて二人目の、このworldで生まれたdeath attributeの適性を持つHumanだ。彼女を調べれば、必ずdeath attributeの解明に役立つはずだ。
彼女の身柄を手に入れるには、親であるAmemiya HirotoとNarumi、そして頻繁に接触しているJoseph達数人の【Bravers】の存在は厄介だ。未だに正体不明の『The 8th Guidanceの生き残り』とやらは、厄介どころではないが……多少の犠牲や、私の正体がばれたとしてもしかたがない。
そう考えながら、Rokudouは手札と取れる手段を改めて数えはじめた。
「このtimingで【Metamorph】が不調をきたしたのは痛いが、まあいい。壊れる前に、人体実験に協力してもらおう。
death attributeの適性を人為的に得るための実験のね」
何故『Undead』、Amamiya HirotoとAmemiya Meiが適性を持ち、『The 8th Guidance』のPluto達が不完全な適性しか持たなかったのか。
全員、他のattributeに適性がなかったのは同じはず。ならば、何が両者を分けたのか。
それは、死んだ経験の有無だ。
「『Undead』を含めた我々Reincarnatorには、当然だが『Earth』で死んだ経験がある。だが、Pluto達には殺されたも同然の経験はあるが、実際に死んではいない。脳死conditionだったIsis、心停止していたValkyrie、Bodyを殆ど失ったBerserk、すべて失ったShade……いずれも完全に死んではいない。
だが、恐らくAmemiya Meiは一度完全に死んでいる。胎児だった頃に」
母親であるAmemiya Narumiすら妊娠に気がつかなかったほど、彼女が小さかった頃。Plutoによって彼女は一度死んだのだ。母体であるNarumiはPlutoに『死』を流し込まれても、死ぬまでに時間があったが、小指の先より小さかっただろう当時の彼女は耐えられなかったのだ。
しかし、直後にPlutoが『死』を吸い取ったため、冥は母体と一緒に蘇生する事が出来た。胎児という独力では生存できないconditionが、それを可能にしたのだ。
あの場に立ち会ったRokudou Hijiriはそうconjectureし、確信した。
「Death-Attribute Magicの素質を得るには、一度完全に死ななければならない。なるほど、これなら今までどの研究機関もDeath-Attribute Magicの使い手を作りだせないはずだ」
研究素体が-sama々な原因で心停止した後、蘇生した事例はどの研究機関でもあるだろう。しかし、心停止したまま脳死にまで至り、蘇生した例はない。あっても、その後その素体がdeath attributeのmagicを使えるか検査はしていないはずだ。
一度、完全に死ななければならない。これは、『Undead』がReincarnatorである事を知っていて、自身も一度死んだ事があるRokudou Hijiriだからこそ気が付けた事なのだから。
「後は、脳死conditionの脳を蘇生させさえすればいい。殺す前に他のattributeの適性を消し、『Undead』のように機械を埋め込み、Manaの操作を握れば……ふふ、another worldでFrankensteinのMonstrosityを作る事になるとはな」
今まで霧の中を手探りで進んでいるようだった研究に、成功への筋道が見えたと思い込んだRokudou Hijiriは含み笑いを漏らし……堪えられず高笑いをあげた。
「ハハハハハッ! 【Metamorph】には、是非結果を出してもらいたいな。成功すれば、私は友人の娘を拉致しなくてすむのだから!」
彼は知らない。このworldで完全に死んだPluto達が、another worldで『Legion』となってreincarnationした後でも限定的にしかDeath-Attribute Magicを扱えない事を。