【Perseus】と【Skanda】が正式にVandalieuの仲間になった。
既に彼等はVandalieuに導かれていたので、その瞬間をRodcorteは見ていないし、気がついてすらいなかった。だが、もし知ったとしても大した事ではないと割り切っただろう。
SalluaとSiegが前世のMemoryと人格、そして力を取り戻す前にVidal Magic Empireへ移住してしまった段階で、Vandalieuに導かれてしまうだろうと予想したからだ。Rodcorteにとって、二人は既に戦力ではなかったのだ。
Rodcorteが今現在頭を悩ませているのは、SalluaとSiegではなくKanako Tsuchiyaについてだった。
『まさか……よりによって、何故彼女がGuiderにAwakeningするのだ!? 『Origin』ではその素質の片scaleも見せていなかったはずだろうに!』
KanakoがGuider Jobに就いたのを、Rodcorteは彼女を見るHumanの目を通して気がついた。『God of Strings』Hilshemが『God of Law and Life』Aldaにもたらした報告も、その事を裏付けている。
『Guiderと言えば、LambdaではChampionの条件……就いた者は例外なく時代に足跡を残し、名を刻むと言われているJobのはずだ。それを、何故彼女如きが!?』
『いや、流石に言い過ぎじゃないか? 俺も驚いたけど』
頭を抱え懊悩しているRodcorteに向かって、Familiar SpiritとなったReincarnatorの一人、Aranがそう言うが、彼にその声は届いていないようだ。
『しかし、あのKanakoがねぇ。女は化けるって言うけど、こういう意味で化けるとは思わなかった』
Aranは前世でも『Earth』でも、Kanakoとそれ程親しい訳ではなかった。前世では彼女のパートナーのMurakamiに殺されたので、敵同士に近いと言えるかもしれない。
しかし、それを抜きに考えても【Guider】Jobに就けるような素質、Heroを連想させるような求心力は彼女にはなかったように思える。
【Bravers】を裏切った後も、leaderはMurakamiで彼女がleadershipを取った事はなかったはずだ。
『確かにそうね。まさかEntertainment活動でGuiderになるなんて。Guiderって、あのworldに無かった思想を持ちこんで広めれば誰でもなれるようなものなの?』
『Origin』でのKanakoを思い出してしみじみと言うAranに、彼と同時にFamiliar SpiritとなったReincarnator、泉が訊ねた。だが、それに答えたのはAranではなく、二人の後にFamiliar Spiritに加わった【Oracle】のEndou Kouyaだった。
『なれるだろうね。だけど、思想や文化を持ちこんで広められる時点で、『誰でも』とは言えないと思うよ。実際、AsagiやMaoはGuiderになっていない』
『いや、あいつ等がIdolになるとは思えないんだが』
『そういう事が言いたいんじゃない。私達はあのworldに存在しない『Earth』や『Origin』の思想や文化を知っているけれど、それを広める事が出来るかは別の問題だという事だ』
another worldからのReincarnator達は、当然another worldの知識と価値観を持っている。しかし、それをreincarnationした先で広められるかは別の問題だ。
まず、その技術と思想、価値観についてある程度以上の知識が必要だ。広めるとは、ただ「こんな考え方もある」と大声で叫び、人々の耳に強引に入れる事ではない。
人々にその思想、文化を理解してもらい、支持されて初めて「広めた」と言えるのだから。
次に、人々に広めるための実績や活動、知名度、名声やcharisma性等が必要だ。何処の馬のboneとも知れない者が口にする主義主張が、支持されるはずはない。
Kanakoだって、Vidal Magic EmpireやDemon continent、Moksiの町でConcertを行って初めてGuiderになる事が出来たのだから。
『つまり、彼女がGuiderになれたのは半分ぐらいVandalieuのお蔭という事ね』
泉の言う通り、KanakoがGuiderになれたのはVandalieuの援助があったからだった。
Vidal Magic EmpireではConcert VenueにKnochenを、照明などの機材代わりに自らのCloneであるDemon King Familiarを、それ以外にも-sama々なものを貸し与え、衣装であるTransformation Equipmentも作っている。
それに最初から大きなConcertを開けたのは、彼女の力ではなくVandalieuとDarciaの力があってこそだ。
Vandalieuが協力していなければ、KanakoのIdol活動はずっと小規模だっただろう。
『ああ、短期間でGuiderにまでなれたのは、Vandalieuが協力したからだろう。でも、協力がなくても彼女は何れGuiderにまで至っていたと思うよ。
彼女の行動力には、目を見張るものがある』
Vandalieuが協力していなくても、KanakoならいつかGuiderに至っていたと言うKouyaに、Aranと泉は『確かに』と頷いた。
『行動力はある。Vandalieuがどんなに協力していても、Kanako自身が動き出さなかったら今の状況は生まれなかっただろうな』
『VandalieuだけならIdol……Entertainment活動に手を出す事はなかったでしょうからね』
『Origin』でIdolだったため、IdolやEntertainment Worldの知識を持つKanakoが率先して動いたからこそ、『Lambda』worldにIdol文化が広まり、彼女はGuiderに至った。
Kouyaが評したように、Kanakoの行動力は優れていた。『Lambda』にreincarnationした直後、それまで仲間だったはずのMurakamiを裏切り、DougとMelissaを引きこんで逃亡。そしてVandalieuに寝返った。
普通なら出来ない行動力と、何よりも太いnerveと度胸を持っている。
前世では敵同士になってしまったKouya達としては苦笑いが浮かぶが……Kanakoのそうした長所は、彼女が自由に行動できる状況で初めて発揮される類のものだったのだろう。
【Bravers】では、発揮する場が限られていた。
『しかし、KanakoのGuidanceにはCircle of Reincarnation systemを移動させるほどの力は無いんだろ? なのに、Rodcorteが頭を抱えているのは何でだ?』
『Aran、普通はGuidanceに自分の魂が属しているCircle of Reincarnation systemを移動させる力は無いから。KanakoのGuidanceに力が無いんじゃなくて、Vandalieuが異常なのよ』
KanakoのEntertainment Pathに、人々をVida式Circle of Reincarnation systemへGuiding力は無かった。しかし、泉が言う通りそれが普通のGuiderだ。
だからKanakoがStageに立つ度に、大量のHumanがRodcorteのCircle of Reincarnation systemからVida式のsystemに乗り換え、error音の多重奏がRodcorteのDivine Realmに響くのは避けられていた。
だが、今は幾つものerror音が鳴り響いていた。
『Kanakoに導かれた人は、Vandalieuにも導かれ易くなっているようだ。Vandalieuが舞台の上で少し話しただけで、これだから』
『なるほど。もし『Lambda』にCDやtelevision、netがあったら、一気に人類全体が導かれていただろうな』
『Lambda』worldの人類は、『Origin』や『Earth』と違って共通の文化が浸透しやすい。何故なら、言語が統一されているからだ。
地方によっては方言ぐらいあるが、微々たる違いだ。もしKanakoが全国ツアーをしたら、『Origin』や『Earth』とは違い言葉の壁に邪魔されずworld中でmusicを聞かせる事が出来る。
そうしてKanakoに導かれた人々は、Vandalieuに容易く導かれてしまう。Kanakoのmusicが、Vidaの聖歌だと偽っているせいもあるが。
『それもあるでしょうけど、Vandalieuに重要人物を三人……いいえ、二人導かれたのが痛いみたいよ』
泉はそう言ったが、それはaccurateではなかった。
『God of Strings』HilshemのHero Candidate、Edilia。『God of Heat Haze』RubicanteのHero Candidate、Carlos。この二人がVandalieuに導かれていた。
二人はRodcorte’s Divine Protectionまで受けていたと言うのに……。
『やっぱり、nameだけ教えて形だけ祈らせてblessingsを与えても、大した抑止力にはならなかったって事だよな』
EdiliaとCarlosは【Rodcorte’s Divine Protection】を持っていたが、本質的にはRodcorteのbelieverではない。守るべき教義も何も課されていないので、二人にとってRodcorteは正体不明の何かでしかないのだ。
そのため、二人はpsychological抵抗もせずKanakoとVandalieuに導かれてしまった。
ちなみに、Rodcorteは既に二人から【Rodcorte’s Divine Protection】を回収している。
『【Rodcorte’s Divine Protection】には、Vandalieuに導かれるのを妨げる効果は全く無い事は同意する。でも、それより『True』Randolphが半ば導かれているのが、Alda's Factionにとっては大打撃だと思う。
originally allyだと思っていなかったようだが、敵に回るとは考えていなかったようだし』
Kouyaの言う通り、『God of Law and Life』Aldaは、Randolphをallyだとは最初から考えていなかった。だが、敵だとも考えていなかった。
Heinz達『Five-colored blades』に課したTrial's Dungeonでは、Schneider達『Storm of Tyranny』同-samaにRandolphのCopyを創りだして戦わせる予定だったが、それは彼が何れ敵になると本気で考えていた訳ではない。
ただHeinz達を鍛えるのに、超えるべき壁として丁度良い存在だったので、Copyと戦わせようとしただけだ。
しかし、そのRandolphが半ばだが導かれている。これは大問題だった。
Orbaum Elective Kingdomでは、未だにRandolphの名声は高く、NobleとのpipeもRandolph本人は煩わしく思っているだろうが、太い。彼がVandalieuのallyになれば、Heinzは戦力以上に名声や政治でも不利になってしまう。
『今のところはまだ半ばだが、今後はどうなることか』
『完全に導かれる前に、Vandalieu達の名声がそのRandolphを超えるかもしれないわね』
『ああ、それはありえそうだよな』
Kouyaの説明に泉がそう言ってケチをつけ、Aranがnod。
BotinやPeriaを守るGodsのDefense Corpsの事は、彼等の話題に上がらない。何故なら、Defense Corpsが守る場所にHumanが存在しないため、情報が入って来ないからだ。
尤も、Stageの上で楽器を演奏するVandalieuの-sama子を見れば、旗色が悪いのはDefense Corpsの方だと分かる。……余裕がなければそんな事は出来ないだろうから。
《【Musical Instrument Performance】、【Strengthened Attribute Values: Target of Faith】、【Strengthened Attribute Values: Vidal Empire】skillのlevelが上がりました!》
Vandalieuが演奏者に加わったStageは大成功だった。
普段のStageにVandalieuが加わり、トークの合間にBoundary Mountain Range内部やDemon continentに伝わるVidaの逸話を少しアレンジして話し、Rudolfが汎用Transformation EquipmentでTransformして見せる等、普段の舞台と比べると少し変わっていたからかもしれない。
少なくとも、Kanakoが忙しかったためにGartlandのSnow Ice Giant raceとAndroscorpionの国で開いた、VandalieuとDemon King FamiliarのみのStageのような事にはならなかった。
拙い演奏技術を補うため、Demon King Familiarの数が増やされ多種多-samaな異形がStageの上で蠢……dance、Vandalieuが歌とは言えない何かを披露する。
念仏のように一定の高さの声で延々と発せられる、愛と平和を訴える歌詞。それを聞いた観客達は歓声をあげながら立ち上がり、Vandalieuを称えた。
そうして正気を失った観客達によって、Snow Ice Giant raceの国では壁にGiantなVandalieuの壁画が刻まれ、Androscorpionの国で広大な地上絵が描かれた。
それぞれの長が約束したように、確かに像は作っていないが……Vandalieuがそれを見た当時は途方に暮れた。
そうした事がMoksiの町で起こらないように、Vandalieuは演奏しかしなかったのである。
常識的な範囲で成功したStageだったが、やはりRudolfはその日の内に旅立ってしまった。Bardの彼が他の町でKanakoが教えた技法で曲を奏でれば、それだけ彼女のmusicが広まるので狙い通りではあるのだが。
……Randolphの変装は、結局最後までばれる事はなかったのだった。
Alda's Factionでは『God of Strings』Hilshemが、隔離される事になった。
Vandalieuに導かれたCarlosからblessingsを取り上げた『God of Heat Haze』Rubicanteと違い、Ediliaにblessingsを与え続けたために下された処置だったが、これは罰ではなかった。
Ediliaは自身のbelieverとして間違った事は何一つしてないと。そんな彼女から、一度与えたblessingsを取り上げる理由はない。そう訴えたHilshemの意思はAldaに認められたが、Alda's FactionのGodsの情報をEdiliaにOracleの形で渡されてはたまらないので、他のGodsから隔離されたのだ。
ただ、EdiliaがVandalieuの仲間としてAlda's FactionのGodsのbelieverや、Gods及びそのFollowersと戦うような事になった場合、改めてblessingsを引き上げる事を迫られる事になるだろう。
Vandalieuからletterの返事が届いた。
そう聞いたSelenは期待に胸を膨らませて、letterの封を切り、読み始めたが……すぐに首を傾げる事になる。書いてある内容が、すごく難しかったのである。
「……読めない漢字がいっぱいあって、何て書いてあるのか分からない」
「どれどれ……これは難しいね。大人の書いたletterでも、ここまで難しくはないだろうに」
Selenからletterを受け取ったPietro Farzon High Priestは、文面を見て苦笑いを浮かべた。
Duke Farzonの甥であるため高度な教育を受け、Church of VidaのHigh Priestを務める彼でも、すぐには意味が分からないぐらいletterの文面は難解だった。
現代では使われていない言い回しが幾つかあり、まるで古文書を読んでいるかのようだった。
だが、幸い彼にとっては辞書を開いて解読作業をするほど難解ではなかった。文面を読み解いたPietroは、呆れたように息を吐いた。
「何が書いてあったの?」
「それがね、Selen……Vandalieu -kunは、忙しいから-kunには会えないそうだよ」
「そうなんだ……」
残念そうに肩を落とすSelenの頭を撫でると、Pietroは「さ、そろそろお勉強の時間だよ」と彼女に退室を促す。
Selenがroomから出ると、Pietroは溜息を吐いてもう一度letterの文面に視線を落とした。
Selenには「忙しいから会えない」と書いてあると言ったが、実際にはもっと踏み込んだ内容が書いてあった。
「自分はVida Fundamentalism……今時珍しいが、Alda Reconciliation Factionを受け入れない主義なので、会う事は出来ない。周囲の大人にもそう伝えてください、か。
私達に読ませるために、故意にSelenが読めないような文面にしたのか? それとも、ただSelenにletterを読ませたくなかったのか……後者ならかなり大人気ないな」
Vandalieuの意図はともかく、その意思はAlda Reconciliation Factionに好意的なChurch of Vidaの宗派を纏めるPietroとしては、歓迎出来ないものだった。
しかも、Vandalieu達が滞在しているAlcrem Duchyでは、Vida's New Racesについて大改革が行われると言う情報が、間者からもたらされている。
「Heinz、早く-kunが戻って来ないと、Duke Farzon 家として動かなければならなくなるぞ」
Pietroは虚空に向けてそう呟いた。
彼等は鍛錬を、そして実戦を繰り返してきた。その経験はadventurerとなって間もない彼らの糧となり、実力は以前よりも数段以上高いものとなった。
その彼らは、今日新たな試練に望むはずだった。
偶然……実力の伴わないFortuneによってDClassへと昇格したが、次の昇Class試験こそ自分達の実力が試される。そして、その試験ですら、ただの通過点に過ぎない。
彼らの友が必要とするのは、BClass adventurerが持ちえない強大な力。彼らの神が期待するのは、彼等がその領域に達する事だ。
だからこそ、BClassへの昇格試験は必ず合格しなければならない。
これまでの昇格試験の内容に関する情報を収集し、mountain bandit団を退治して人が殺せるか否か覚悟を試すのか? それともRankの高いmonstersをDungeonで一定数狩ればいいのか? それともNobleの護衛をさせる事で、これから関わる事も多くなるだろう上流階Classと円滑なcommunicationを取れるかどうか確かめるだけでいいのか?
-sama々な想定を重ね、準備してきた。
しかし、現実は彼等に予想しなかった試練を与えた。
「えー、本日行われる予定だった-kun達『[Heart Warriors]』のBClass adventurer昇格試験は、中止となりました」
guild branch長Bellardの言葉に、adventurer party……各々の装備に必ずheart markを刻んでいる事から名づけられた『[Heart Warriors]』の一人、Arthurは愕然となった。
「そんな、BAKANA。いったい……何故中止なのですか、Bellard branch長?」
だが、すぐに驚きから立ち直ると、まず何よりも理由を知らなければならないと、強い意志を込めて一歩踏み出す。ただ、決して脅迫と取られないように静かに、落ち着いた口調を心掛けていた。
「儂等もこの日の為に準備してきた。それをいきなり中止と言われても、簡単には納得できん。訳があるなら、聞かせて貰わんとなぁ」
partyのMageでArthur達の幼馴染、DwarfのBolzofoyもfriendlyなSmiling Faceを浮かべて尋ねる。
「兄-san、Bolzofoy、試験が中止でも別に構わないじゃない。それならそれで、幾らでもやれる事はあるでしょう?」
しかし、ArthurのImoutoのKariniaは二人を宥めようと、そう提案する。それを聞いてArthurとBolzofoyは、branch長のBellardが押し黙ったまま後さずっている事に気がついた。
「……たしかに、その通りだ」
「フハハハ! まったくじゃ!」
無意識にIntimidationしてしまったようだが、謝るのも気まずい。そう思ったArthurは踏み出した足を元の位置に戻し、Bolzofoyは朗らかに笑って誤魔化そうとする。
そしてBellardは、Arthur達三人ではなく、『[Heart Warriors]』のleader、Miriamに視線を向けた。
「……それで、翻訳してくれないか?」
「はい! Arthur -san達は試験が中止になった事に裏があると勘ぐっている訳ではなくて、言葉通り突然試験が中止になって動揺しているだけです!
Karinia -sanの言葉にも裏は無くて、Arthur -sanとBolzofoy -sanがbranch長-sanを困らせないよう止めようとしただけだと思います!」
キビキビと翻訳するBow User兼ThiefのShoujo、MiriamによるArthur達の翻訳を聞いて、Bellardは胸を撫で下ろした。……試験が中止になった事に何か裏があるのではないかと勘繰られているのではないか、そしてKariniaが非合法な手段を用いて何かするつもりではないかと思っていたからである。
本来なら、Bellardはadventurerになってまだ一年も満たない若造共にIntimidationされる程軟な男ではない。
しかし、生来強面のArthurに、美女だが目つきが悪い Karinia、そして痩身で髪が薄く怪しげなBolzofoyの三人は別だった。
Moksiの町に来た時点で等Classに合わない実力の持ち主である事は、察していた。しかし、その高い実力を短い時間で更に高め、それに合わせて眼力や存在感まで強めているのだ。
今のArthur達は「泣く子も黙る」程度ではなく、「泣く子のscreechを聞いて駆けつけたGuardも黙る」程の迫力を備えているのである。
彼等のleaderがMiriamでなければ、Bellardはstressでstomachを痛めていたかもしれない。
「そうか、分かった。だが安心して欲しい。試験が中止になったのは、審査員として参加するNobleの都合がつかないからだ。barelyまで探したが、誰も彼も忙しいらしくてな。
Adventurer’s Guildとしては、何の裏も思惑も無い」
DClassへの昇格は人を殺せるか否かの試験だが、BClassへの昇格試験で問われるのは上Class adventurerになれば接する事が多くなるNobleと良好な関係を維持できるか否か。そして、guildの組合員として正しい判断を下せるかを試す試験となる。
護衛依頼で何日もNobleと接しなければならないのに、依頼の遂行に問題が生じる程険悪になってしまう事や、Nobleが非合法な行為をしていても見逃すような事があっては困るからだ。
そのため、Adventurer’s Guildは審査員としてNobleやそのyoung childに協力を打診し、将来有望なadventurerと繋がりが欲しいNobleが参加するのが慣習となっている。
「忙しいから、ですか? まだ夏なのに?」
ただ、certainly Nobleにも忙しい時期と時間のある時期がある。ただ、結婚式などの行事や戦争などの非常事態がなければ、春から夏は領地持ちのNobleは比較的自由になる時間が多い時期だ。忙しくなるのは農地の収穫が終わる秋から始まる社交Seasonからになる。
それを知っていたMiriamが、思わず聞き返す。そしてArthurには、普段よりもNobleが忙しい理由に心当たりがあった。
「それは、Alcremで起きた事件のせいでしょうか?」
Alcremで起きたEvil God (P) revival……実際には、revivedのはEvil God (P) Forzajibarではなく、邪Evil God (P) Zeezoreginだが情報操作の結果、世間的にはそう解釈されている。
その事件の後始末のせいでNoble達が忙しいのだろうかと聞いたArthurに、Bellardは「それもあるだろうが、全ての原因じゃない」と答えた。
「まあ、おNoble -sama達が忙しいと言っているのだから、そうなんだろうと納得するしかないんだが」
Noble達の行動には多少の裏があるだろうとBellardは見ている。
Alcrem Dukeが進めている、Vida's New Racesに関する改革で本当に忙しい、Moksi EarlのようなNobleも少なくない。だが、中にはAlda templeとの結びつきが強い為、Holy Motherと称えられるDarciaやその息子のDhampirがいるMoksiの町のAdventurer’s Guildに、協力したくないNobleも多いはずだ。
しかし Adventurer’s Guildのbranch長としてはconjectureだけでNoble達の動向を軽々しく論じる事は出来ないので、Arthur達には話せない。
「まあ、試験の事はもう少し待ってくれ。協力してくれるNobleが見つからないconditionが続くようなら、領主-samaに頼み込んでintroductionしてもらおう。-kun達には、速いところBClassに上がって欲しいからな」
そう言われて、Miriam達はbranch長室から退室した。
「でも、私なんかがBClassへの昇格試験なんて……まだ信じられません」
階段を下りて一階へ向かいながら、Miriamがそう口にする。彼女はArthur達と初めて会った時、何処にでもいる新米、ただのEClass adventurerだった。それから一年も経っていないのに、今やBClassへの昇格試験を受けられる程のCClass adventurerにまでなった。
adventurerとしては、十分勝ち組だ。
「Miriam -san、もっと自信を持ってください。あなたの成長は私達『[Heart Warriors]』の中で一番じゃないですか」
「そうじゃ。今の儂らがあるのは、Miriamのお蔭じゃ」
「ええ、そうよ。あなたは私達のleaderなんだから」
それ以上にMiriamが信じられないのが、自分が彼等のleaderになっている事だった。前の自分に、未来はこうなると話したら、絶対信じないだろうなと彼女は確信している。
「いえ、それはあんなにblessingsを貰っておいて、成長しなかったら逆に変というか……」
しかも、MiriamはArthur達にそれぞれblessingsを与えている神、『Goddess of Rain Clouds』Bacias、『Goddess of the Dark Nights』Zelzeria、『God of Shadows』Hamul、そしてVandalieuからblessingsを得ている。
Miriamが知る限り、これ程多くのGodsからblessingsを与えられた者は存在しない。それなのに成長しなかったら色々とダメなのではないだろうかと、彼女は思った。
「それに、もっと強くならないといけませんから」
彼女にblessingsを与えたEmperor、Vandalieuが治める国ではとんでもない事に、戦う事を生業とする者はCClass adventurer相当の実力を持つ事が、一人前の条件とされている。adventurerの中でも、ある程度のaptitudeの持ち主か、aptitudeの乏しさを補える努力家しか到達できない、CClass adventurerがだ。
何度か訓練でその国、Vidal Magic EmpireにMiriam達は行っているため、彼女はそれが分かった。実際、あの国にはCClass adventurer相当の実力者は珍しくない。
(ramen屋のオーナーのBraga -sanの本業がFace-Stripping Demonなのは驚いたけれど。それを例外にしても、あの国じゃ、CClass adventurerでも普通の人扱いなのよね)
だからMiriamはもっと強くなりたいと思ったのだ。自分なんかを慕ってくれるArthur達のleaderとして、そして自分を評価し期待してくれているGodsに応える為に。
「確かに……Vandalieu -kunから戦力として評価されるには、最低でもAClass adventurer相当の実力が必要でしょう。素晴らしい目標の高さです。自信を持てとは、私自身に言うべきでした」
だが、Arthur達はMiriamの言葉を若干誤解して受け取ったようだ。Vidal Magic Empireでも評価される力が欲しいと言うMiriamの言葉を、何故か「Vandalieuから戦力として評価される強さが欲しい」という意味だと解釈してしまった。
それはArthur自身が、『Cannibalismと強奪の邪Evil God (P)』Zeezoreginとの戦いの時、一戦力として戦える程の力が無かったとSelf評価しているからこその誤解だった。
「え? Arthur -san、何を言っているんですか?」
だが、誤解はAccelerationしていく。
「なんと、Miriamは評価されるだけでは足りないと……Godsの戦場で戦力として活躍できる強さが目標だというのか。流石、儂等のleaderじゃ」
何とBolzofoyは、Miriamも目標はBone ManやBorkus、ZodやGodwinのような戦力として、Vandalieuが最近臨んでいるGods相手の戦場で活躍する事だと思ってしまった。
「Godsと戦える程の強さを求めるなんて……ミリー、私はあなたの真友で本当に良かった。私達もあなたに負けないように頑張るわ」
「いやあのっ! 絶対何か誤解していますよね!? Godsと戦えるって、SClassじゃないですか!?」
「そうね、SClassを超えましょう!」
「ああああ! やっぱり何か勘違いしてるぅ!」
階段で騒ぐMiriam達『[Heart Warriors]』の声は、一階にいるadventurer達の耳にも届いていたが……誰も冷やかしに行こうとは思わなかった。
「また『[Heart Warriors]』が騒いでるぞ」
「あいつ等、真面目なんだけどそう言うところあるよな」
「チッ、SimonといいNataniaといい、あのVandalieuが絡んだ奴らは、変わり者が多いよな」
「ちょっと、止めなさいよ。……すぐ近くにいるんだから」
clicking tongueをしたadventurerが仲間に言われて振り返ると、guild内に設置された酒場で昼間から酒を飲んで管を巻いている男とその仲間、そしてVandalieuの後頭部が見えた。
「……あいつも変わり者の仲間入りだな」
男はそう言うと、依頼書が張り出されたボードに視線を戻した。