『Dragon-Emperor God』Marduke。
『Goddess of Life and Love』Vida達attributeを司るGreat Godと同時に誕生した、十一のGreat Godの一柱。全ての龍の神にして、親である存在だ。
Mythに残るMardukeはGiantにして偉大な龍で、彼とそのFollowersたちはmonstersが存在しなかった当時のworldではgiantと並ぶ自然の象徴、人々にとっては畏れ敬うべき存在だった。
しかし、Demon King Guduranisが配下のEvil God (M) Evil God (P)を率いて現れた時、その役割はworldの守護者へと変わった。
Followersを率いてDemon King Armyと戦い、創られたばかりのmonstersを尾の一振りで蹴散らし、そのfangsと爪でEvil God (M) Evil God (P)を引き裂き、絶大なAttack Powerを誇るBreathでDemon King Guduranisも易々とは近づけさせなかった。
だが、Demon King Guduranisはあまりに強大で、『Beast God』Ganpaplioが滅ぼされた後、Mardukeもwhole bodyを千々に引き裂かれてしまった。
十万年後、そのboneのfragmentがDemon KingのContinentの地下、Gartlandで掘り進んでいるtunnelから発見された。
Demon KingのContinentの地下で発見された事自体は、おかしくない。Mythでは語られていないが、Ricklentが言っていた通り、MardukeがGuduranisに倒された場所がDemon KingのContinentだったからだ。
それに、最初に発見されたboneのfragmentは短剣ほどの長さだった。Mardukeがどれ程Giantだったのかaccurateには伝わっていない。バラバラに引き裂かれた遺体がContinent中にばら撒かれたと思えば、適当に掘ったtunnelからboneのfragmentが出て来ても、不思議ではない。
不思議なのは、こんな地中深くで発生したMythril Golemの体内にboneのfragmentがあった事だ。Vandalieuはcertainly、First発見者のLuvezfolも疑問に思った。
Champion BellwoodがGuduranisを倒した後、Demon KingのContinentは一度徹底的に破壊されている。その際に地中深くめり込んだ……とは流石に考えられない。もしそうなら、Demon KingのContinentの地上部分は物理的に無くなっていただろう。
だが、Mardukeのboneが見つかったのは事実だ。何者かの意図も感じられない以上、事実を否定する訳にもいかない。
そこでVandalieuは一旦tunnelの掘削工事を中止して、他にもMardukeのboneが無いか、Golemが発生したMythrilとAdamantiteの鉱脈を探した。
MythrilやAdamantiteのGolemと連戦する事になったが、その甲斐あって幾つものboneのfragmentを発見する事が出来た。それらのfragmentに死体の損傷を治すDeath-Attribute Magicの【Corpse Healing】をかけると、大木のように太いboneになった。それを現在、最もMardukeを知っているだろう人物の元に持っていった。
『これは……たしかに妾達龍の長にして父、Marduke -samaのboneじゃ。恐らく、fangsではなく尾の方のものじゃな』
現存する龍の中で最も格の高い、『Mountain Queen Dragon God』TiamatはVandalieuから受け取ったboneを、愛おしげに眺めた。
『僅かだが、Marduke -samaの残留思念がある。Luvezfolがpanicに陥るはずじゃな』
boneにはMardukeの残留思念があった。Luvezfolは、boneがtailに刺さった時にMardukeの思念を感じたのだろう。Mardukeの死後、Demon King Armyに寝返った彼にとって、Mardukeはhorrorの対象だろうから。
「Mardukeの残留思念は何と言っているのでしょうか? Luvezfolに聞いても、答えてくれなくて」
本来なら、Vandalieuは残留思念も読む事が出来る。だが、残留思念が龍の咆哮だったため、彼には理解できなかった。
『いや、意味のある言葉ではないぞ。おのれ! とか、貴-sama! とか。いわゆる怒りの咆哮、断末魔の叫びじゃろう。
Guduranisに対してのものじゃろうが……Luvezfolが狂乱したのは、怒りの対象を自分だと誤解したせいじゃろう』
しかし、Tiamatによると最初から意味のある言葉ではなかったようだ。
『Marduke -samaはHuman達のMythだかlegendだかにあるように、Demon Kingによってバラバラに引き裂かれて殺されたからの。これは尾の方のboneじゃから、仕方あるまい。
頭蓋boneの方なら、意味のある思念もあったかもしれぬが』
「そうでしたか。それを教えれば、Luvezfolも立ち直る事でしょう」
死後に裏切ったGreat Godからの、怒りの思念。tailに何かthrust刺さった痛みと同時にそんなものを感じたら、Luvezfolならpanicにも陥るだろうとVandalieuは納得した。
『まだ狂乱しておるのか?』
「いえ、panicは納まったのですが、燃え尽きたようにぐったりしています。brushingしても、何の反応もありません」
『妾の仕置きより効いておるな』
Mardukeの残留思念に込められた怒りに、LuvezfolのMentalは叩きのめされてしまったようだ。今は屍のように……いや、屍よりも大人しい。
『まあ、奴は結構図太いnerveをしているようじゃから、大丈夫じゃ』
そう言いながら、TiamatはVandalieuにMardukeのboneを返した。自分のbody partよりも大きなboneを受け取ったVandalieuは、首を傾げて尋ねた。
「ところで、このboneはどうすれば良いのでしょうか?」
『どうすれば? 妾にそう言われてものぅ……自分達のboneの活用法など考えた事もなかったからの。Demon continentの者達は、妾が脱皮した後の抜け殻を授けると、喜んで武具や霊薬に加工していたので聞いてみてはどうじゃ? 食べるのは勧めんぞ。髄も残っていない白boneじゃし』
そう答えたTiamatの脳天に、Giantだが綺麗な手が唸りをあげて振り下ろされた。
『ギャン!? な、何をする、Diana!?』
体長約百meterのTiamatにチョップを入れたのは、同じく身長百meterのTrue giant、『Giant of the Moon』Dianaだった。
『武具や霊薬は良いが、最後の食べるというのは何だ。幾らなんでも失礼だ』
嘆息してそう凛々しい美貌をしかめっ面にするDiana。己の親でなくても、やはりGreat Godへの敬意は大きいのだろうと、Vandalieuは思った。
『いや、じゃが、この子ならboneまで美味しく食べそうじゃろう? それに、勧めないと言ったはずじゃ』
『話を聞いていなかったのか。そのMardukeのboneは、地中深くにバラバラになって埋まっていたのだぞ。
それを食べるとは何だ。勧めないのなら、最初から口に出すべきじゃない。Vandalieuに失礼だ』
……どうやら、Great Godへの敬意からTiamatを叱った訳ではないらしい。
「あのー、俺が聞きたいのはMardukeのboneを葬るとか、そう言うのは良いのかなとか、そうした事なのですが」
今まで幾柱ものGodsやそのFollowersを喰らってきたVandalieuだが、それ等とMardukeは彼にとっては別の存在だった。
喰らってきたGodsは、Alda's FactionやDemon King Army Remnants……つまり敵だ。そのため、monstersと同じように利用する事に抵抗はない。
だがMardukeは、GodsがAlda's FactionやVida's Factionに分かれる以前に没した龍のGreat Godだ。そのためMarduke自身は敵ではない。もちろん、allyでもないが。
しかし Tiamatや、今は屍よりも生きていないLuvezfol、この場にはいないが『Crystal Horned Dragon God』Lioen達Ryuujin nationの守護龍達に、『Evil Dragon God of Five Sins』Fidirg……いや、最後はMardukeとは関係ないか。Demon King Armyからこちらに寝返ったEvil God (P)だから。
Fidirgはともかく、多くの龍が仲間にいる。だから、その親であるMardukeに敬意を持って接するのは当然だろうとVandalieuは考えている。
しかし、やはり龍はHumanとは違う感性を持っていた。
『とくには、ないの。十万年前、Demon King Guduranisを倒してDemon KingのContinentの地上部分を一掃した後、当時のChampion軍最後の拠点にBellwoodが碑を建て、発見したMarduke -samaの角のfragmentやZernoの髪を、死んだChampion軍の者達の遺体と共に納めたが……それを探すのは難しかろう』
『十万年も経っているからな。とっくに失われているだろう。
Vidaが建てた慰霊碑は、Battle against Alda’s Forcesの流れ弾で粉々に砕け散ったそうだし……大きなAldaのtempleに慰霊碑のレプリカがあるかもしれないが、そこに納めるか?』
「いいえ、納めたくないです」
わざわざ敵対勢力の真っただ中に行き、最高の素材になり得るMardukeのboneを納めるのは、流石に敬意を持っていても無理だ。
『妾達Demi-Godは、人とは異なる存在じゃ。死したのち喰われるのは、妾達にとっては忌避感を覚える事ではない。自然に死んだ生き物は、鳥獣や虫に食い散らかされ、土に還るものじゃからな。
また、body partの一部を武具や薬に加工されるのも同-samaじゃ。寧ろ、優れたWarriorやSageに武具として振るわれるのは、誉であるとすら考えておる』
『我々がHumanと同じように墓を建てていたら、Continent中墓だらけになってしまうからな。特に、Marduke達は私達の十倍以上の巨体だ。穴を掘るだけで大事業になる。
無論、粗末に扱われるのは良い気分はしないが、Tiamatが言った用途に使うのなら、不快に思う事はない。寧ろ誇らしいと思うだろう』
龍やTrue giantにとっては、死後も己の一部が子孫や己が認めたHumanの役に立つのなら、それはHonoraryなのだ。
『例外はUndead Transformationや、Demon King Army配下のmonstersの糧にされる事じゃな。まあ、Undead TransformationはVandalieuがやるのなら問題なさそうじゃが』
「俺が作るUndead以外は、多くの場合reasonを失い、生前の人格とMemoryも受け継がないそうですからね。当時の考えは分かります」
Vandalieuが作った存在以外のUndeadの殆どは、生者への憎しみしか持たず、生きている存在を見ると無差別に襲い掛かかるような危険な存在だ。
高い知能を持つ個体もいるが、その知能を扱う人格は邪に歪んでいるため、より狡猾に生者を攻撃するだけの場合が多い。
そのため、自らの死後Undead Transformationさせられる事はDemi-GodからHuman、そして知能の高い亜人型のmonstersからも忌避されてきた。
Undeadと化した後、敵となって生前の仲間や愛した人を手にかけてしまうかもしれないのだから、当然だろう。
「つまり、このboneは俺の自由に使って良いと?」
『うむ、良いじゃろう。Ryuujin nationのLioen達も、異は唱えまい。Madroza達は盛大に異議ありと叫ぶじゃろうが、叫ばせておけ』
『奴等にとっては、Great Godの遺骸をDemon Kingが利用して戦力をAugmented (2)するのと同じだからな。まあ、考慮する必要はないだろう。
ああ、もしZerno -samaのremainsが見つかっても、同じだ。加工する前に出来れば一目見たいが、その後は構わない。兄も同じ意見だろう』
TiamatはVida's Factionの龍の長、そしてDianaはTrue giantの長の次に位置しているDemi-Godだ。二人が保証するのなら、確実だろう。
「しかし、そう言われてもどうしましょうか?」
普通なら自分の装備でも作るのだろうが、【Demon King Fragment】を操るVandalieuに普通の武具は必要ない。杖はGyubarzoの杖があり、今は更に機能を高めた杖を製作中だ。
他の面々もTransformation Equipmentや【Demon King Fragment】製の武具を持っている。
すぐにMardukeのbone製の武具が必要な相手が、Vandalieuには思いつかなかった。
「やっぱりKnochenにあげましょうか」
countlessのboneの集合体のKnochenなら、このMardukeのboneもAbsorptionできるだろう。
『どうやら使い道に悩んでいるようじゃな。では、妾が良いwisdomを授けてやろう♪』
すると、声を弾ませたTiamatが家を何軒か載せられそうなGiantな掌を、Vandalieuの前に降ろした。
『……嫌な予感がする』
『まず、妾の掌の中心にMarduke -samaのboneを置くのじゃ』
Dianaの呟きを無視してTiamatはVandalieuに指示を出した。そしてVandalieuも、「失礼します」と彼女の掌に乗り、躊躇せず指示に従う。
『次に、boneにbloodをかけるのじゃ』
「bloodを? では【Demon King's Blood Vessels】で……」
Vandalieuの手首から黒い管がthrust出てきて、先端から赤いbloodを白いboneへかけ始めた。
そして常人なら失blood死していないとおかしい量のbloodがboneにかかったところで、Tiamatは『もう十分じゃ』と言ってVandalieuを止めると、彼をもう片方の手で地面に降ろした。
『では、頂くとしよう』
そう言うと、VandalieuのbloodとMardukeのboneを、赤いtongueでベロリと舐め取り、飲み下した。
『うむ、これで一週間後には卵が生まれ、一月後には孵り、新たな龍が誕生するじゃろう。First子のnameを、よく考えておくのじゃぞ』
「え……えー、そうなるのですか? ちょっと不意打ち過ぎませんか? 情緒も何もあったものじゃない」
Tiamatが何を狙っていたのか、そして自分が何をしたのか理解したVandalieuは、驚き、狼狽した。
彼女は、Mardukeのboneを介してVandalieuの子を身籠もったのだ。生物学的な意味で、性交はしていない。Mardukeのremainsと、他人の、それもraceも異なる彼のbloodを飲んだだけで、childが出来る理由は、本来なら無い。
だが、残念な事にTiamatは龍。生き物としての性質しか残っていないDragon、竜種ではなく、神としての性質を保っている龍だ。しかも、豊穣と多産を象徴している。
Mythにあるような摩訶不思議な方法でchildを作るのなんて、彼女にとっては普通の事だ。
『だから嫌な予感がしたのだ』
『そう言うな、Diana。折角のchanceじゃったし、あれは利用しない方がおかしい。もしZernoのboneが見つかったら、次は譲るから』
『譲るな! 私はお前のような方法で子を作ったりしない!』
「安心しました」
声を荒げるDianaに、Vandalieuは安堵の溜め息を吐いた。Zernoの遺体も、Mardukeのboneと同-samaにtunnel工事の最中に見つかる可能性がある。
DianaがTiamatと同じ方法で子をなせるのなら、見つけても隠す事を考えなければならなかった。……Great Godのboneを見つける度にchildが増えるのを、避けたかったようだ。
『ああ、心配はいらぬぞ。妾を正妃にしろだとか、生まれる子をEmpireの跡継ぎにしろとか、そんな無茶を言うつもりはない。生まれる子は、人ではなく龍として生まれるじゃろうし。
これからもDemon continentとBoundary Mountain RangeのRyuujin nationをよろしく頼む』
「はい。まずkaa-san達に報告して、それから急いでnameを考えますね」
こうしてVandalieuは、父になったらしい。
大きな湖に幾つかある島の一つに建てられた、小さなmansion。よく訓練された数名のServantに、屈強なKnightと優れたMageの護衛。品の良い調度品に、城にあったのと同程度の高Class 家具。生活を便利にするための、幾つものmagic item。
それらが揃った環境で、働きもせず静かに暮らす事に不満があると言えば、「なんてluxuryな」と怒りを抱く者もいるだろう。
「いるのならここまで来て欲しいものだ。喜んで代わってやるものを」
自室という事になっているroomの窓から外を眺めるAmid Empire Emperor……前Emperor Mashkzarは、不満げにそう呟いた。
神の傀儡である新Pope、Eileekを旗印にした勢力によって、彼はいよいよ帝位から追われた。『ごdiseaseのため政務を続けることが難しくなった』という理由で、Eileek達が推す新Emperorが擁立された。
その新Emperorは、Mashkzarが帝位を継いで間もない頃、反乱を企てたために始末させたDukeの、その子孫であったのは何かの皮肉だろうか。
そのDukeの一族を皆殺しにした訳ではないが、把握はしていたつもりだった。だが、まさか非公式の妾が孕んだ子をtempleに出家させていたとは思わなかった。そしてその出家した妾の子が還俗し、複雑怪奇な過程と世代を経て、子孫が他のDuke 家の息子になっていたとは。
……いや、気がついていたかとMashkzarは当時の事を思い返した。気がついていたが、大した事は出来ないだろうと、捨て置くよう命じたのだ。
あれから約百年。まさか、当時大した事は出来ないだろうと考えたchildの曾孫に帝位を明け渡す事になるとは。
「当時の若かった余……私に言ってやりたい。消しておけと」
もちろん、今更後の祭りである。
戴冠式で新Emperorの誕生を祝わされたMashkzarは、静養にも、そして「静養していたがその甲斐なく亡くなった」事にするにも、丁度良いmansionに運ばれた。
恐らく、ここでしばらく飼われるのだろうとMashkzarは自分の将来をconjectureしていた。
新Emperorが何か失敗をしたら、Mashkzarが反乱を企てたという事にして処刑し、国民からの支持を取り戻すのに使う。
または、Eileekと新Emperorに反感を持つ者が、反乱の旗印としてMashkzarを利用しようと企み、集まって来たところで駆除するための囮として生かしておく。
そのどちらもだろうか。
「いっそsuicideでもと思うが……無駄だな」
mansionに居るのは護衛のKnightはもちろん、Maidまで全員新Emperorの部下で、特別な訓練を受けた者達だ。
そしてこのmansionのそこかしこに、隠された仕掛けが施されてあるに違いない。
こうしてroomで漏らす独り言さえ、盗聴されているのだろう。カーテンでロープを作り、首を括ろうとしても、窓から飛び降りても、すぐさまServantやKnightが飛び込んできて助けてくれるに違いない。
この状況からMashkzarを助け出せる、若しくは殺せる相手に彼は何人か心当たりがあった。
『Fifteen Evil-Breaking Swords』……無いだろう。『Five-headed Snake』のErwinが生きていたらともかく、あのorganizationは現Emperor直属のorganizationだ。だというのに、現Emperorが嫌だから前EmperorのMashkzarを助けるなんて、organizationとして機能していない証拠だ。
新Emperorが余程の暗愚でも無ければ、あり得ないだろう。
『Storm of Tyranny』は……これもないだろう。今のMashkzarには殺す価値もないと、彼等は思っているはずだ。
そしてVandalieuだが、これもないだろう。彼がMashkzarを殺すつもりなら、とっくに殺されているはず。今の状況で彼を殺すとEmpireが一枚岩になるのを助ける事になるのを、理解していたとしても彼なら殺しているはずだ。
以上の事を考えて、Mashkzarは息を吐いた。
彼自身も、それなりの心得がある。並のKnight程度なら一人で相手取れるだけのbody part Abilityと、それなりのmagicが。
しかし、今の状況では籠の中の鳥が嘴や爪を持っているのと同じ程度の意味しかない。
(さて、我の方の子孫は上手くやるだろうか?)
唯一の希望は、彼が『Storm of Tyranny』を通じてVida's Factionに送り込んだ息子、SiegをVandalieuが利用して、将来Empireを属国や所領にして残す事だ。
(だが、やはり上手くはいかないのだろうな)
そう思いながら、Mashkzarは窓から手元の本へ視線を降ろした。
Vidal Magic Empireは大騒ぎだった。
初代Emperor Vandalieuの正妃が決まる前に、First子(?)が誕生すると言うのだから、General兼Prime MinisterのChezareも、その弟Kurt Legstonも大いに困惑した。
『陛下、おめでたいのは確かですが……どんな名目で祝えば良いのでしょう?』
EmperorであるVandalieuの子が生まれる事は、統治を盤石に……今の段階でも十分盤石だが、それでも重要だ。
だが、普通のお世継ぎ誕生としていいのか、判断がつかないらしい。
「相手が龍で、生まれるのも龍。ならお世継ぎ誕生で良いのか? 結婚も婚約もしていない相手だが、神との間にchildが出来るなら……いや、前例があるはずないか」
自分の知識をひっくり返して、参考になる知識を探すKurtだったが、参考になる知識、つまり前例がない事に気がついた。
若い為政者やその親族が、結婚や婚約をしていない相手にchildを孕ませた前例なら幾らでもある。相手はだいたい地位の低い女で、多くの場合は金を払って黙らせていた。
しかし、Vandalieuの相手はTiamatである。地位の高低とは、別のdimensionに存在する相手だ。
そもそも、Kurtが知っている前例は密かに処理すべきscandalに分類される出来事だ。今回の場合とは最初から異なっている。
「普通に宗教的な祭りを催せば良いかと。産まれて来る俺の子は、龍寄りらしいので普通にFirst皇子や皇女と評すると将来大変でしょうから。
……国家的な式典や、外交的、儀礼的なあれやこれやの度に、百meterに達するだろう俺の子が参加出来るようにするのは大変でしょうし」
過程が過程なので、Vandalieuは当初Tiamatがこれから産む子の父親である自覚を、全く持っていなかった。なので、彼は意識して「俺の子」と呼ぶことにしている。
口に出して呼んでいれば、自然と自覚も生まれるだろうと考えたのだ。実際に産まれた卵、それから孵った子龍を見て、命名を行えば、より自覚が生まれるはずだと。
ちなみに、VandalieuとTiamatの子の誕生は周囲には良い出来事として受け止められている。
Demon continentの『街』は当然だが、Boundary Mountain Range内部のRyuujin nationでは早くもお祭り騒ぎになっている。
Darciaは「私もおばあ-chanになるのね」と嬉しそうだし、ZadirisやBasdia、Tarea達も祝ってくれた。……彼女達の場合は、Vandalieuと会う前や後に子を産んでいるので、特に抵抗はないようだ。
KanakoやPrivel達も、「childを作る過程が過程だから、先を越されたって気が全然しない」と、特に悔しがる-sama子を見せなかった。
……Demon continentに留学していたVandalieuのKindred Spirit、Oniwakaは「不潔だ! 見損なったぞ!」と言って走り去ろうとしたけれど。
certainly、Vandalieuは走り去ろうとする彼女を即座にPursuit、捕獲して、じっくり話をして既に和解している。
OniwakaはVandalieuがTiamatとの間にchildを作ったと言う事実だけを聞いて、思春期のShoujoらしい潔癖さを発揮してしまったそうだ。
「俺としては大した混乱もなく、お祝いムードになってくれて安心しています。意図して作った訳ではありませんが、歓迎されないのは不憫ですし」
『Oniwakaのお嬢-sanを、背中から蜘蛛のArthropod Legsを生やして追いかけて、tentacleでがんじがらめに縛って捕まえた件は、大した混乱じゃ……いや、ないのでしょうね』
GhostのKimberlyが姿を現して尋ねるが、Vandalieuが自分の言葉を不思議そうに聞いているのを見て、色々察して黙った。
なお、地上では問題は起きていないが、Vida's FactionのGodsの間ではちょっと揉めていた。Lioen達Ryuujin nationの守護龍が祝い、Talosが『次はお前が励むんだぞ』とDianaを激励してbrother and sister喧嘩にdevelopmentし、Zuruwarnは動けなくなるまで爆笑した。
Human的には常識外の過程で生まれる命だが、Godsの間ではそうではなかったようだ。
そうしてTiamatが卵を産んだらお祭りを行う事等をChezare達と決めて、この日の会議は終わった。
Church of VidaのTemple HeadであるNuazaからは、『MikoのGiant Idol Statueは、卵が孵る前に完成を間に合わせます!』と報告を受け、Vandalieuは微妙な気分だった。
皆が団結して力を注いだ事業が完成する事は、おめでたいと思う。だが、その事業が自分のGiant像の建造であるため、素直に喜べない。
「まあ、卵誕生と一緒に祝えば像のimpactも少しは薄れ……ないでしょうねー。
おや、どうしました?」
ため息を吐きながら城の一階広間を歩いていると、そこには見知った顔があった。
Muscle Techniqueの師ArtisanであるZodの義理の息子、Sieg。そしてChezareとKurtの甥っ子であるSallua Legstonである。
「お父-sanなら、城には居ませんよ。ChezareとKurtなら上に居ますけど、呼んできましょうか?」
Vandalieuは二人と、特別親しい訳ではない。親しさで言えば、Mashを始めとした孤児院のchild達の方が上だろう。
しかし、彼にとってSiegは師の息子、Salluaは部下の甥だ。そのため、Vandalieuも親戚のchildのように認識していた。
そんな二人が無言のまま、childらしからぬ真剣な顔つきで自分を見つめている事に彼は違和感を覚えた。即座に【Super High-speed Thought Processing】や【Group Thought Processing】skillを使って、分析を試みる。
(これはにらめっこを挑まれているのでしょうか?)
(それはないでしょう、俺よ。二人とも顔だけではなく目も真剣です)
(ですが、何処か怯えているような気がします。これは、何か告白しようとしているのではないでしょうか?)
(何かとは、やはり悪戯の類でしょうか? childの頃はやりますよね)
(しかし、怒られる前に自分から謝りに来るとは、感心ですね)
(謝る相手がご両親やfamilyではなく、俺なのが少し疑問ですが)
二人は、自分に悪戯か何かの告白に来たのだとconjectureしたVandalieuは彼等が口を開くのを待つ事にした。そして、二人が何をしたとしても軽く叱るだけで許そうと決めた。
そして、二人は頭を下げながら口を開いた。
「「すみません! 俺達、前世では【Bravers】だったんです!」」
「そうでしたか。ですが、良く言ってくれましたね。それはとても勇気のいる……ん?」
《【Strengthened Attribute Values: Ruling】、【Strengthened Attribute Values: Target of Faith】、【Strengthened Attribute Values: Vidal Empire】skillのlevelが上がりました!》