VandalieuがEmotionalに最も苦戦した仕事、『Five-colored blades』に保護されたDhampirのShoujo、Selenからのletterに対する返事の執筆。それを彼なりに誠意を込めて書き、商業guildを通じて出した。
返事には、Dhampirである事以外普通の幼いShoujoであるSelenが理解できないかも知れない、会えない理由がつらつらと書き連ねられているが、大人げないとは思わない。
(どうせ周りにAlda Reconciliation Factionの大人がいるのですから、その人が翻訳すれば良いでしょう)
肩の荷が下りた気分で、彼は商業guildからKanakoがlessonに使っている空き倉庫に向かった。そこで自分を取材するためにやって来た一風変わったElfのBardと、会う約束をしているのだ。
Vandalieuは、実は既にBardからの取材は何度か受けていた。そのBard……Rudolfの取材を受ける事は、彼にとって何の問題も無かった。
今日は表向きにMoksiの町に戻って来たとされる日の翌日で、帰って来た当日ではない。それは、当日はMoksiの町の領主、Isaac Moksi Earlに呼ばれ、Alcremで何があったのか説明していたからだ。
流石に地元の領主の要請より優先する事は出来なかったのだ。
「初めまして。私はRudolfと申します。本日は取材に応じていただき、ありがとうございます」
そう頭を下げて挨拶するRudolfに、Vandalieuは好感を持った。これまで取材にきたBardの中でも彼が礼儀正しく、自分に対して敬意を持って接していると感じたからである。
「こちらこそ、よろしくお願いします。しかし、取材なら俺ではなくkaa-sanにする方が良かったのではないですか? それともBasdiaやZadirisについて知りたい事でも?」
Human社会での名声は、VandalieuよりもDarciaの方が高い。そしてMoksiの町を守るために戦ったという点では、Tamed Monsterという事になっているZadirisやBasdiaの活躍の方が知られている。
これまで彼に取材を申し込んだBardたちの多くも、息子の目線から見て母親はどんな人物なのか知るためや、ZadirisやBasdiaに話を聞くための仲介者として申し込んだだけだった者が多かった。
Vandalieuはそう言ったBard達の態度に、苛立ちやshockは覚えていない。表向き事件がどう扱われているか知っているので、当然だと思うだけ。むしろ、彼にとって母であるDarciaや仲間であるZadiris、Basdiaの自慢話を聞いてもらえるのは、喜びですらある。
「そんな事はありません。ご母堂やTamed MonsterのGhoulの方々の曲は、他のBardが幾らでも作曲しています。私は、あなたの曲が作りたいのです。
それに、Alcremで起きた事件にも興味がありまして……」
そう言いながらも、Rudolfの取材は事件そのものの情報よりも、その時Vandalieuが何を考え、何を思ったのかを聞きたがった。
それをVandalieuは若干不思議に思ったが、他のBardとは異なる曲を作曲する為だろうと納得した。
しかし、取材する側のRudolf……Randolphはいつ自分の正体がばれるか、気が気ではなかった。
(こいつ、俺の正体が『True』Randolphだと、まだ気がついていないのか? それにしては見張りが手練れ過ぎる。俺でもsignしか分からないが、得体が知れない。それに、コイツ自身も……)
Randolphは、Vandalieuの背後のspaceの狭間に潜んでいるGufadgarnのsignに気がついていた。bloodthirstや警戒の類は何も感じない……ただただ観察しているだけの無感動なsign。
それがRandolphにはどうしようもなく不気味に感じられた。同じHumanが出すsignとは思えないと。
そんな存在に守られているVandalieuが、尋常な存在であるはずがない。ただものではない事は、前から分かっていた。HellhoundをTamerしたTamerが、彼だと気がついた時点で。
だが、この町に潜入して彼はVandalieuがAClass adventurer相当か、それ以上の者達に囲まれている事を知った。そして強さだけではなく、歓楽街とSlum街を支配し、孤児院に寄付を行い孤児達と交流する慈善活動を行い、何故かmusic活動にも熱心だという事も分かった。
正直、それが分かった時点でRandolphが街に潜入してVandalieuを調べようと考えた、彼がこの国をDecayさせるような禍をもたらす存在なのかどうかと確かめるという目的は、「そんな人物ではない」という答えを得て終わっていた。
Randolphにとって国のDecayとは、Coup d'étatで王や大Nobleがとって代わられるような事ではなく、街や村が物理的に壊滅するような事を指していた。
だが、Vandalieuはそう言った事をしそうにない。寧ろ、貧しい村があれば援助して立て直させ、犯罪organizationに牛耳られた町があれば、犯罪organizationを噛み砕いて町を解放しそうだ。
それらは世間的には善行であり、Randolph個人としても邪魔する理由は思い当たらない。
Royal Nobilityが国を統治し、それを維持するためには大きな問題かもしれないが、幾ら彼らの先祖に借りがあるといっても、流石にそこまで面倒は見きれない。
Randolphは国家に仕えている訳ではないし、Elective Kingdomの守護者を気取るつもりもない。Royal Nobilityの世話を、無料で焼いてやる理由は無い。
そもそも、貧困や治安の悪化を防ぎ、改善する事も為政者の仕事だ。革命を起こす側が、悪辣な虐殺者でもなければ、依頼を受けた訳でもないのにRandolphが対処しなければならない理由は無い。
Vandalieuを野放しにした結果、GhoulやVida's New Racesの社会的地位が向上し、Vida believerが増えてもRandolphに不都合は無い。……Vida's New Racesが今までのお返しとばかりにHumanを迫害するのなら別だが、不確実な危険性を理由に動くのはcowardが過ぎる。
だから、目的が果たされた時点で町から引き上げる事もRandolphは考えたが、念のため……そして好奇心からVandalieuに会ってから町を離れる事にした。
(好奇心、adventurerを殺すか。引退して気が緩んだな)
しかし、Randolphはそれを今では後悔していた。Vandalieuがbloodthirstや敵意、悪意を彼に向けて来る事はない。無表情だが友好的で、質問した事には出来るだけaccurateに、伝わり易いよう語彙を尽くして答えている事が分かる。
その声は平坦だが耳に心地よく、聞いているとついつい肩から力が抜けそうになる。
その瞳には光は無いが深く、ついつい見つめて……覗き込んでしまいたくなる。
(この幸福感すら覚える心地良さは、危険だ。一度浸れば、二度と離れられなくなる。まるで底なし沼だ。先日のKanakoも突然雰囲気が変わったが……これはその比ではない)
そう警戒しつつ、RandolphはVandalieuとの距離を保ちながら、慎重に取材を続けた。
Vandalieuが敬意を払われていると思い込んだのは、Randolphが彼を警戒して言葉を選んでいるからだったのだ。
「ありがとうございます。お蔭で良い曲が創れそうです」
「こちらこそ、お役に立てて良かったです」
そして取材を終えたRandolph……Rudolfは、Vandalieuと握手を交わして席を立った。
後は町から出るだけだ。certainly、取材を終えたその足で出て行くのは目についてしまうだろうから、身辺の整理は行う。
(やはり、俺の正体までは気がついていないようだな。何人か警戒していた者はいたから、街から出た後も暫くは尾行されるかもしれないが……まあ、いい。
rootless草のBardのふりを続けたまま、Alcrem Duchyから出るとしよう)
「ああ、そう言えば何時まで滞在する予定ですか?」
思考を読んだようなtimingで背中に発せられたVandalieuの問いに、Randolphは思わず立ち止まった。
「……いえ、今週中にはKanako -sanに挨拶を済ませて、他の町に行こうかと思っています」
「そうですか。来週のStageには俺も演奏者として参加する予定だったので、演奏を見て欲しかったのですが……あと、Rudolf -sanには演奏者用の汎用Transformation Equipmentを試してもらいたいと思っていまして。
何とか予定を伸ばしてもらう訳にはいきませんか?」
「そうですか。それは光栄ですが、私にも予定がありますので辞退させていただきます。」
「そうですね。急ぐ予定もありませんし、一週間だけ……」
気がつくと、Randolphは内心で考えていたものとは反対の答えを口にしていた。
《【Musical Instrument Performance】skillのlevelが上がりました!》
Moksiの町に帰って来た事になっているVandalieuだが、町に居続けている訳ではない。Vidal Magic Empireに一時帰宅して移住してきた国民との交流を行い、Gartlandでは工事の-sama子を監督し、忙しく動き回っている。
certainly、そうした事はCloneであるDemon King Familiarに任せても構わないのだが、そうする事に彼は抵抗感があった。
「Demon King Familiarに全てを任せると、俺の主体性が危うくなるかもしれませんからね」
どれがmain bodyでどれがCloneなのか、自分自身で分からなくなってしまうかもしれない。そんな危惧をVandalieuは覚えていた。
「考え過ぎだと思うよ?」
「Pauvina、俺もそう思いますが念のためです」
『……何故もっと危機感を抱かないのか、我には理解できない』
「Luvez、brushingします?」
『ご勘弁ください』
VandalieuはGartlandのtunnel工事現場に、Pauvina達と一緒に来ていた。Glaistigが治める土地にある崖の中腹にあるここは、Vandalieuの【Golem Creation】skillによってちょっとしたOpen Plazaに形を変えられている。
Golemが地上に降りるための階段を備えるなど、工事に必要だから作った場所だが、展望台としても優れた場所になっていた。
左右を見ればGlaistigが作った段々畑の緑や、切り立った険しい崖の岩肌が、遠くを見ればDoraneza達Merfolkが住む青い海と、Jullakが治める町が見える。
更に遠くにはSnow Ice Giant raceが住む、雪を被った白い山々と崖が、Androscorpionが住む砂漠とピラミッドに似た建造物が見える。
将来的には、ここを本格的に展望台として整備するのもいいかもしれない。Zarzalitt達にそう提案してみようと、VandalieuはPauvinaと一緒にLuvezfolのbrushingをしながら思った。
「キュイィ」
『な、情けはいらん。我も、快楽に流されてばかりではないのだっ』
PainwormからWyvernよりGiantな蛾のmonstersにRank upしたPainが、気遣うようにLuvezfolの頭にantennaで触れるが、振り払われてしまった。
「キュゥイイイ?」
しかし、後ろ足で立っている事が出来ず地面に横たわっているLuvezfolの言葉は、強がりにしか見えなかったらしい。antennaで何度も彼の頭に触れる。
『本当だ! しつこいぞ、Pain! 『素直になれないのか?』と言われても、我には何の事だか分からんな!』
「この体勢で言っても、説得力は無いと思いますよ」
「体は正直だよ、Luvez」
『ああああああ! お許しをぉぉぉ~!』
痙攣するようにtailや翼を振るわせながら、Luvezfolが叫ぶが、VandalieuとPauvinaが揃っている場所にいる以上、彼がこうなるのは必然であった。
それは彼自身も分かっていた。だというのに抵抗もせずGartlandに付いて来たのは、彼にとってここが比較的居心地の良い場所だったからだ。
ここのGodsであるPovazやZorzaceibaは、戦争中はDemon King Armyとして戦ったか、逆にDemon King Armyに寝返った神だ。例外はMarisjafer一柱であるため、Luvezfolにとっては苦手な神が存在しない楽な場所であった。
もっとも、Marduke亡き後、Vida's Factionに属する龍で最も格が高い『Mountain Queen Dragon God』Tiamatから罰を受け、他の龍にも一通り謝罪を済ませており、何よりPauvinaのTamed Monster(仲間)となっているため、Vidal Magic Empire内で迫害されている訳ではないのだが。
単にLuvezfolが他のVida's Factionの龍に苦手意識を持っているだけで。
更に言うなら、このGartlandでもVandalieuの義理のImoutoのPetにされている彼に対して、Godsから惜しみない憐れみの視線が降り注いだのだが。
(Zorzaceibaの奴め。『一歩間違えれば儂もLuvezfolのようになっていたかもしれない』とは、言ってくれる。確かに、brushingを受けて地を這いのたうち喘ぐ我は、Petも同然……。
だが、我はこのままでは終わらん! このWyvernのsealedを解き、必ずや本来の龍の姿に戻って、見返してくれる!)
そう内心では決意しながらも、現在進行形で地を這い、のたうち喘いでいる彼には無理かもしれない。
……彼は本来、Water-Attributeと土attributeの混合した龍、海ではなく沼や中小規模の川や湖等を好む龍なのだ。空が飛べない訳ではなかったが、自由自在にHigh-SpeedでFlightできる今のbody part程ではない。
つまり、Wyvernでいる間は本来の姿なんて夢のまた夢なのだ。
そんな彼の横を、EARTH GolemやClay Golemが通り過ぎていく。鬣が生えている部分から走る快感から気を逸らす為、LuvezfolはVandalieuに訊ねた。
『しかし、これはtunnel工事と言うのでしょうか?』
工事現場の崖では、高さ八meter、幅十meterのtunnelの入り口があった。
Gartlandから地上まで掘る途中で、monstersが地中から何度も出現する事が予想される。そのため、戦闘員が十分に戦える広さが必要だったのだ。
普通のtunnelだと、Borkus達Giant raceは大型のWeapon Equipmentを振るって戦う事は難しいし、狭い地中での活動に特化したformのmonstersが有利になってしまう。
しかし、大きいtunnelを掘るという事は、その分必要な労力が2x Augment Multiplierするという事だ。単純に掘る量が、そして掘った結果出た土砂を運ぶ手間が増える。更に、tunnelを補強するのも大変だ。
それをVandalieuが【Golem Creation】skillで解決していた。
土や石をGolemにし、そのGolem自身がtunnelから歩いて出る事で、掘削作業と土砂の搬出にかかる労力の問題を解決しているのだ。tunnelの補強も、石で出来たGolemの形状を柱に変えて行っている。
「工事ですよ。本来なら、現地の人達から労働者を募って給金を払い、経済的な交流を行うべきなのでしょうが、流石にそれでは時間がかかりますし、危険ですから」
『いや、そこまでは考えておりませんが』
「この方法だと、突然monstersが出て来ても、最初に襲われるのは人じゃなくてGolemだから、安全なんだよ」
「掘る先が岩盤でも、岩盤の一部をGolemにするだけなので、作業効率も良いですからね」
PauvinaとVandalieuのこれでいいのだと言う説明に、Luvezfolは自身の中の常識をまた一つ廃棄した。
「本当は、もっと早い方法やロマンのある方法もあります。【World Breaker Hollow Cannon】を撃って掘る方法や、【Demon King Fragment】でGiant drill型Demon King Familiarを創って掘る方法が」
worldを穿ち滅ぼすHollow Cannonなら、途中に岩盤だろうがMythrilやAdamantiteの鉱脈があろうが、monstersが何百匹と潜んでいようが、それらを簡単に貫いて掘り進めるだろう。
Giant drill型Demon King Familiarの場合はそれよりも、土砂を取り除く分の手間がかかるが、Golem Transformation掘削法よりも早く進むはずだ。
「でも、【World Breaker Hollow Cannon】だと掘った後すぐ崩落しそうだよ」
「そうですね。一気に長距離が掘れてしまうので、補強が間に合わない。それに、方向や掘削距離の修正が出来ないので、下手をするとsealedされているBotinに当たります」
十万年以上も『God of Law and Life』Alda達が解く事が出来なかったDemon Kingのsealedは、余程強固なものなのだろうが……【World Breaker Hollow Cannon】の直撃に耐えてBotinを守ってくれる保証はない。
更に言うなら、地中深くでも【World Breaker Hollow Cannon】を何度も撃てば、その際放たれる強大なManaからGohn達に気がつかれてしまう恐れがあった。
Giant drill型Demon King Familiarの場合は、音で気づかれる可能性がある。それに、手間を考えると今行っているGolem Transformation掘削工事が最も良いのではないかと、検討を重ねた結果選ばれたのだ。
「私達としては、掘削工事で出た鉱物を売ってもらえるので、十分ですが」
そこにtunnel工事現場がある崖を領土に有するrace、Glaistigの長であるZarzalittが、崖の下から駆け上がって現れた。
「昼食を持ってきました。朝に収穫した野菜や果物、それに岩塩に漬けた魚を用意しました」
Pabilsagである彼女は、蠍のtailに下げたバスケットを指して言う。その彼女に続いて、何人ものGlaistigが崖を駆け上がって現れた。
「ありがとうございます。では、休憩して昼ご飯にしましょう」
そう声をかけたVandalieuに応えるように、tunnelの中から獅子に似た咆哮が響いた。
何事かと一同が視線を向けると、tunnelの入り口から他の土や石のGolemを蹴散らすようにして、獅子の頭と五本の腕を……内一本は半透明なSpirit Formの腕だが……を持つGhoul、Vigaroが飛び出して来た。
「Vigaro、どうしました?」
「すまん、我だけではきつかった!」
そう答えるVigaroに続いて、tunnelから銀色に輝くbody partを持つGolemが五体、現れた。Vigaroが蹴散らした、大人しく歩くだけだったGolemと違い、腕を振り上げ金属が軋むような咆哮を響かせる。
「Golemが、runawayしている!?」
「違うよ。Vanの作るGolemは勝手に動かないから、maybe野良のGolemだと思う」
「Alchemyで作られたものではなく、鉱物がmiasmaに汚染されて発生したGolemでしょう」
Golem達の迫力に気圧され、思わず身構えるZarzalittに対して、特に動揺する-sama子を見せないVandalieuとPauvina。
それはGolemがweakからではない。Vandalieuの見立てでは、あの五体のGolemはVigaroが一時撤退を選ぶほど強い。
「材質は鉄ではありませんね。Mythrilか、Adamantiteでしょうか」
野良……自然発生したGolemは基本的に知能が低く、magicは当然だがMartial Artsも使わない。Mysterious StrengthとタフさだけがWeapon Equipmentのmonstersだ。その強さはGolemのbody partを作る材質によって変わる。
中でもMythrilとAdamantite製のGolemは、GodsしかRefiningできないOrichalcum製のGolemを除けば、最強とされている。
Mythrilは対magic防御に優れ、Adamantiteは物理的な硬度に優れる、Rank10相当のmonstersだ。
「そんな! Gartlandでは坑道からIron Golemの群れが出現した事はあるが、MythrilやAdamantiteのGolemが、五体同時に出現するなんて! ど、どうにかなりますか?」
『Citadel of the Five Gods』のDungeonボスとしても出現しない強力なGolemに、動揺が抑えきれないZarzalitt。しかし、彼女の質問にVandalieuが答えるよりも早く、戦いが始まった。
『drill、rocket、punch!』
tunnelの入り口横でmonstersの出現に備えて待機していたRapiéçageが、両拳をProjectile Fireした。High-Speedで回転する拳が、Golemの脇腹や側頭部、肩や胸部に命中し、転倒させる。
『『ごう゛お゛ぉぉぉ!』』
怒りの咆哮をあげながら立ち上がろうともがくGolem達。飛ばした両拳を回収したRapiéçageは、Golemの自身の拳が当たった場所を観察する。
『痕がついてるの、Mythril。ついてない……のは、Adamantite』
見れば、Mythrilと呼ばれた方のGolemは側頭部にくっきりと拳が減り込んだ痕がついているが、Adamantiteの方は凹みが少し残っているだけだった。
『『『『分かった~♪』』』』
『【雷の槍】!』
『【氷球】!』
それに呼応して、Yamataが音波砲やmagicを放つ。Mythrilには音波砲で、Adamantiteにはmagicで集中攻撃を加える。
originallyは複数の死体を繋ぎ合わせた寄せ集めのZombie……Rapiéçageは女Mageの胴体に女Warriorの頭部、それ以外はOgreの四肢を始めとしたmonstersの部位を、Yamataに至っては竜種の中でも下ClassのOrochiのVariantをベースに、頭部をraceの異なる美女の上半身に繋ぎ変えた存在で、知能は高くなかった。
その二人が敵の性質を判別するために攻撃し、その結果に合わせて攻撃の種類を分けるtacticsを自発的に行えるようになるとは。そうVandalieuは内心感動していた。
「お蔭で分かり易くなった。助かるぞ!」
そしてRapiéçageとYamataが押さえている二体以外の、三体のGolemに対してVigaroが斧を振るって受け持つ。
「Vigaro、originallyは何体いたのですか?」
「accurateな数は分からん! ただ、十体目を倒したぐらいでtunnelの天井が少し崩れた!」
どうやら、「まだ補強が済んでいないtunnelの先端部」という特殊な戦場で戦い続けるには、Golem達が強すぎたという事らしい。
実際、外に戦場を移した事で、VigaroはDemon King Fragment製の斧を振り回し、三体のGolem相手に一方的な戦いを展開している。
「Vigaroの方は大丈夫そうですが、RapiéçageとYamataの方は時間がかかりそうですね。Pauvina」
「はーい。行こうっ、Luvez、Pain!」
『むぅ、明らかに苦手な相手だが、仕方ない!』
「キュイイイ!」
Pauvinaの号令を受け、LuvezfolとPainが翼とfeatherをfeatherばたかせて空に舞い上がって彼女に続く。
Demon King Fragment製MaceがAdamantite Golemに減り込み、LuvezfolとPainに翻弄されたMythril Golemのbody partを、Rapiéçageの拳とYamataの音波砲が削り取る。
Vandalieuは手を出す必要がないので見ているままだが、一応Commandingはしているため【Commanding】awakened intoしたSuperior Skill、【General Commanding】skillの効果が発揮され、Pauvina達全員のbody part AbilityがEnhanced (1)されている。
こうなるとMysterious Strengthとタフさしか取り柄がなく、同種の仲間ともCoordinationをとり合わないGolem達は為す術がない。
後はtunnelの補修について考えるだけでいいだろう。Vandalieuがそう思っていると、Mythril Golemの背中にtailを叩きつけたLuvezfolが、突然screechをあげた。
『っ!? ヒィィィ!? お、お許しを! お許しをぉ!』
「Luvez!?」
驚いたPauvinaが見ると、Luvezfolのtailに何か白いbone状の物がthrust刺さっていた。
「Mythril鉱脈に混じっていた何かを、Golem Transformationする時に取り込んでいたようですね」
『とりあえず、殴るぅ!』
panic conditionに陥ったLuvezfolをPainに任せ、PauvinaとRapiéçageがMythril Golemに攻撃を集中させる。
Adamantite Golemは、Vandalieuが放った怪光線によって沈黙した。
「キュイイ……キュ!?」
沈静効果のある"scale powder"を浴び、ぐったりと地面に横たわるLuvezfolのtailから、Painが刺さっていたbone状の何かを引き抜く。
しかし、何かに驚いてすぐその何かを放り出してしまった。
「どれどれ」
「Vandalieu、危ないぞ! 我たちが! お前がpanicになったら誰も止められん!」
「いえ、【Danger Sense: Death】に反応はありませんし、俺は【Status Effect Immunity】で、【Soul of Multiple Different Appearances】ですから。あ、でも念のためにZarzalitt達は離れていてください」
「はいっ! 皆、一時退避!」
Vigaroの警告にそう答えながら、Vandalieuはその何かを拾い上げた。Zarzalitt達Glaistigを下がらせて、観察する。
その何かは、boneのfragmentのようだった。化石と化していない……boneとしての強度と粘度を保っている白boneである。
しかし、tunnelの先端は地上に程遠い地中奥深くだ。普通のboneが、化石にならず発見されるはずがない場所である。まさか地上で発生したMythril Golemが、一万meter以上も地中を掘り進んできたとも思えない。
何より、このboneのfragmentに含まれているManaは尋常なものではなかった。
「どうやらDemi-God、それもValfazやRadatelとは比べ物にならない程格の高いDemi-Godのboneのようですが、何か分かりますか?」
そうVandalieuに訊ねられたLuvezfolは、横たわったまま答えた。
『それは……全ての龍の父、『Dragon-Emperor God』Marduke -samaのboneだ』
《【Golem Creation】skillのlevelが上がりました!》
――――――――――――――――――――――――――
・Name: Rapiéçage
・Rank: 10
・Race: No-Life Abyss Chimera Zombie
・Level: 90
・Passive skills
Dark Vision
Rapid Regeneration:10Lv(UP!)
Deadly Poison Secretion:10Lv(UP!)
Physical Resistance:9Lv(UP!)
Magic Resistance:8Lv(UP!)
Monstrous Strength:2Lv(Mysterious Strength awakened into!)
Enhanced Body Part: Entire Body:8Lv(UP!)
Strengthened Attribute Values: Creator:7Lv(UP!)
Strengthened Attribute Values: Guidance:4Lv(NEW!)
Mana Enlargement:1Lv(NEW!)
・Active skills
Electrify:8Lv(UP!)
High-Speed Flight:7Lv(UP!)
Unarmed Fighting Technique:10Lv(UP!)
Whip Technique:6Lv(UP!)
-Transcend Limits-:1Lv(-Surpass Limits- awakened into!)
Coordination:7Lv(UP!)
Long-distance Control:8Lv(UP!)
Sewing:2Lv(UP!)
Armor Technique:4Lv(UP!)
・Unique skill
Corpse Infringiment
Vandalieu’s Divine Protection
Vida’s Divine Protection(NEW!)
・Name: Yamata
・Rank: 10
・Race: Hell Dweller Orochi
・Level: 88
・Passive skills
Dark Vision
Mysterious Strength:10Lv(UP!)
Deadly Venom Secretion (Fangs):10Lv
Magic Resistance:5Lv(UP!)
Underwater Adaptation
Dragon Scale:10Lv(UP!)
Super Rapid Regeneration:1Lv(Rapid Regeneration awakened into!)
Body Extension (Neck):7Lv(UP!)
Strengthened Attribute Values: Creator:6Lv(UP!)
Strengthened Attribute Values: Guidance:4Lv(NEW!)
Mana Enlargement:1Lv(NEW!)
・Active skills
Singing:7Lv(UP!)
Dancing:5Lv(UP!)
Parallel Thought Processing:8Lv(UP!)
Scream:9Lv(UP!)
Long-distance Control:7Lv(UP!)
Unarmed Fighting Technique:6Lv(UP!)
-Surpass Limits-:10Lv(UP!)
Aura of Fear:6Lv(UP!)
Mana Control:2Lv(UP!)
No-Attribute Magic:2Lv
Multi-Cast:4Lv(UP!)
Water-Attribute Magic:3Lv(NEW!)
Wind-Attribute Magic:3Lv(NEW!)
Life-Attribute Magic:2Lv(NEW!)
・Unique skill
Vandalieu’s Divine Protection
Vida’s Divine Protection(NEW!)