『God of Strings』Hilshemは重大な問題を抱えていた。いや、少し前までは『God of Heat Haze』Rubicanteも、彼と同-samaに重大な問題を抱えていたのだが、今は彼の方が重大だ。
blessingsを与え、育てていたHero Candidateの若者を、Demon King Vandalieuから遠ざける為にOracleを与えたら、何故か逆にDemon Kingが拠点の一つとしている町に向かい、Demon Kingの関係者に入れ込んでしまった。
幸い、Demon Kingの関係者は彼がblessingsを与えたEdiliaと、Rubicanteがblessingsを与えたCarlosが、Vandalieuを倒す為に育てられているHero Candidateである事は気がついていない。
……この町でadventurerとして目立ったachievementを挙げていない事が、幸いしたのだろう。HilshemとRubicanteはそう考えていた。
しかし、このFortuneは長くは続かない。Demon King Vandalieuは、その内この町へ帰ってくると予想されるからだ。
今のconditionでEdiliaとCarlosがVandalieuと出会ったら……認めがたいが、導かれてしまうかもしれない。
VandalieuのGuidanceは、Alda's Factionにとって不明過ぎる。どんな思想を持った者が導かれるのか分からないので、どう対処すればいいのか見当がつかない。
彼はVida believerをself-proclaimedしているようなので、恐らく『Goddess of Life and Love』Vidaの教義に近いものだろうと、本来ならconjectureできる。
しかし、それなら獣型や植物型のmonstersならまだしも、Undeadや知能が無いに等しいはずの蟲型のmonstersが、何故導かれるのか。彼等の知識では説明がつかない。
そのため、Alda's Factionの神であるHilshemのbelieverであるEdiliaでも、Vandalieuに導かれてしまう可能性があった。
特に、Demon King Vandalieuの関係者に入れ込んでいるconditionでは。
『だからこそ、あの町を離れるようOracleを出していたのだが、何故かほとんど伝わらない。いや、今思えばEdiliaの心が我よりも、あのShoujoが教える新しいmusicに傾いていたからだったのだろうが……。まさか、あのShoujoまでGuiderに目覚め、Ediliaが導かれてしまうとは!』
Hilshemは頭を抱える代わりに、竪琴をかき鳴らし、己の怠慢に対する悔恨と怒りを不協和音で表した。
いったい、何時の間に? 反射的にそう考えたHilshemだが、それは考えるだけ無駄である事に気がついた。
Boundary Mountain RangeやDemon continent、Alda's FactionのGodsの目が届かない場所は幾つもある。そして、Vandalieuには彼に従うEvil God (M) Gufadgarnが憑いている。Kanakoはそれらの場所に【Teleportation】し、経験を積み、Job changeしたのだろう。
どこで、何時の間に。そんな事よりも彼にとって大きな問題は、Wind-Attributeの神であると同時に弦楽器の、つまりmusicを司る彼が、KanakoがGuiderになる可能性に気がつかなかった事だ。彼はそれが悔しくてたまらなかった。
『Even now、一風変わった演奏法やUniqueな歌を歌い、独自のdanceをdance、それを広めようとしたMusicianたちは幾らでもいる。何故、彼女はGuiderとなれたのだ?
Guiderとは、思想。それも独自の思想だ。Vidaの教義やVandalieuの思想を歌や曲にしたのでは、Guiderになる事は出来ないはずなのに』
Vidaの教義を教え広めるだけでは、Guiderになる事は出来ない。そんな事でなれるのなら、布教活動に勤しむ全てのClergymanがGuiderになっている。広めるのが、Vandalieuの思想でも同じだ。fanaticにはなれても、Guiderにはなれない。
追従では、後に続く者ではGuiderになる事は出来ないはずなのだ。
『やはり、あのShoujo……Kanako TsuchiyaがReincarnatorであるからか? あの歌とdanceには、斬新さ以上の、今までこのworldに無かった何かが込められていると言うのか? だとすればRodcorte……Reincarnatorを送り込んだかの神を、Alda -samaが嫌うのも理解できると言うものだ』
十万年以上前、このworldにanother worldから召喚された七人のChampionは全員がGuider Jobを発現させた。それは、彼等がこのworldには無かった思想を持ち、それを広めたいと思っていたから。つまり、another worldから来た者であり、Demon King Guduranisとの戦いでAlda達が助けを乞うた存在である以上、必然だったのだ。
このworldの人々の先頭に立って戦う象徴に、今までにないWeapon Equipmentを開発し知識を広める者に、新しい戦法や訓練法を教える者になっていたChampion達。
だからVandalieuがGuiderだと判明した時も、奴がReincarnatorだからだと多くの神が思った。
しかし、Vandalieu以外のReincarnatorは、これまではGuiderに目覚めていなかった。
Rodcorteが送り込んだ二番目のReincarnator、Kaidou Kanataは一度もJob changeを経験する事なく滅んだから定かではないが、その後にreincarnationしたが既に消滅しているHajime InuiやJunpei Murakami達はGuiderになる兆しも現れなかった。
今も生存しているAsagi・Minami達や、 Bahn Gaia continentの外に出たMao SmithやKaoru Gotouda、そして前世の人格とMemoryを取り戻したばかりらしい、Hartner Duke 家の長女も同-samaだ。
だから、Hilshem達Alda's FactionのGodsとRodcorteは、another worldからやって来た存在だからといって、必ずしもGuiderになれる訳ではないと結論を出し、安堵した。
Reincarnatorの数だけ今まで存在しなかった思想が流入し、このworldの人々が感化されたら、それは人々の分裂を意味し、最悪Human同士での戦争が激化しDemon Kingどころではなくなってしまうからだ。
だと言うのに、安堵してから一年も経たずにKanakoはGuiderになった。それはHilshemにとって……そしてAlda's Faction全てのGodsにとって、恐ろしい不意打ちだった。背後から脾腹を刺されたに等しい。
何故ならば単純にKanako自身や、彼女の周囲の者達が更に力を付けること以上に、Alda's FactionのGodsのbelieverがVida's Factionのbelieverに鞍替えしてしまうからだ。
しかも、現に対Vandalieu用の戦力として成長するはずだったHero Candidateが一人……近い内に二人目も絡めとられようとしている。
『どうするべきか……Kanako TsuchiyaがGuiderとなった事は、すぐに報告しなければならない。それは当然だ。しかし、Ediliaはどうすれば?』
竪琴をかき鳴らし、不協和音を奏でながらHilshemは考える。Ediliaを見捨てるべきか、見捨てざるべきか。彼女の為だけではなく、自らの神の矜持、神としての在り方について。
合理的に考えるのなら、今すぐEdiliaを手放すべきだろう。KanakoのGuidanceを受けた以上、minionsとしては使えないと判断し、損切りすべきだ。blessingsを引き上げ、急いで新しいHero Candidateを育てなければならない。
Rodcorteなら、そうするべきだと言うはずだ。
しかし、それはbelieverに対する神の在り方として……『God of Strings』Hilshemの在り方として正しいのだろうか?
何度も考え直したが、とてもそうとは思えない。
Ediliaは、確かにKanakoが教えるmusicに惹かれた。それは罪ではない。少なくとも、Hilshemはそんな教えを説いてはいない。彼がbeliever達に説いたのは、弦のように繋がり合う事。音を持って奏であい、それによりリズムを、秩序を為す事。そして感受性を豊かにする事だ。
そうである以上、EdiliaがKanakoのmusicに惹かれた事はbelieverとして正しい。その結果、彼女はKanakoに導かれてしまったが……それもmusicとそれを披露する舞台に惹かれただけの事。
邪な誘惑に抵抗できなかった訳ではない。
『……音は決まった』
KanakoがGuiderになった事は、包み隠さずAldaに報告する。今頃Rodcorteによって、既に報告がもたらされているかもしれないが。
だが、Ediliaに与えたblessingsはそのままとする。一度導かれた者が、Guiderから離れる可能性もなくはない。Guidanceが思想であるため、そうなった事もある。
なにより、自身のbelieverとして何も間違っていない彼女を罰する道理が無い。
『後はRubicanteがどうするかだが……警告ぐらいはしておこう』
竪琴を奏でながら、HilshemはAldaへ送る伝令の準備を始めた。
muscleとは何だろうか? それは力である。そして力とはPowerである。
では、Powerとは何か? 運動する力? energy? 熱量?
考えた末に、彼は「それら全てだ」と結論付けた。
「【Muscle Technique】は奥が深いですね」
「こら、Vandalieu。今はお茶の時間なんだから、リラックスしないとダメよ。見える範囲のDemon King Familiarも、休ませてね。Legionも、お願い」
『『『『「はーい」』』』』
Vandalieuはmuscleと【Muscle Technique】習得のために作った"muscle and bones"型Demon King Familiar……boneとmuscleだけの人体模型を彷彿とさせるDemon King Familiar達へ向けていた思考を、目の前に広がる食事へと戻した。
いくつかのchunk of meatに分裂して練習していたLegion達も、一つのchunk of meatへ戻った。
彼等の前には、Dungeonの中で過ごすteaタイムには、似つかわしくない物がずらりと並んでいる。三種類の紅茶と、coffeeが入っているポットに、人数分のteaカップ。フワフワのpancakeの山に、トッピングするためのジャムとButter、syrupとcheeseに果物。
しかし、それにVandalieuが手を伸ばす事はない。
『Bocchan、紅茶にはmilkですか? それともlemon? それともcoffeeにします?』
『pancakeは、Butterとsyrupでしたよね』
代わりにLiving High-Leg ArmorとLiving Bikini ArmorのMaid sisters、SalireとRitaが給仕を行っている。
『ふ~、ふ~、なかなか冷めませんね』
『はい、Bocchan、アーンしてください』
そして、そのまま食べさせてくれるのである。
「Van兄-chan、食べさせてもらって赤-chanみたい」
「木のおば-san、僕、このcoffeeってやつ嫌い。甘いのない?」
「あるよぉ。お飲みぃ」
「Van……お前のfamily serviceってなんか変だと思う」
孤児院のchild達もpancakeを食べているが、食べさせてもらっているVandalieuを面白そうに眺めていたり、Eisenに甘い飲み物をねだっている。
ねだられたSkogsråのEisenは、背中から生えた枝になっている林檎に似たFruitを掴みとり、握り潰して空のポッドに手作りの果汁juiceを注いで振る舞った。
こうしてVandalieuが受けているfamily service、それは「family同然のMaid達にserviceされる」事である。彼が座っているのは、もちろんDarciaの膝の上……ではない。
「Van、少し重くなった気がするな。大きくなったか?」
「muscleの量が増えたのかもしれませんわね」
「紅茶に蜂蜜をいれる?」
「林檎juiceもお飲みよぅ」
隣り合って座っている、GhoulのBasdiaとTareaの上である。そして周りにはjuiceのお代わりを作っているEisenと、蜂蜜を口から出すGehenna BeeのQueenであるQuinnが侍っている。
Darcia、そしてMashより二つから三つ年上程度に見えるZadirisは、孤児院のchild達と一緒にVandalieuの正面に座っていた。
「Mashや、儂の膝の上にでも座るか?」
「年上ぶんなよ、Zadiris。俺はもうchildじゃないぜ」
「とっ、年上じゃっ! 儂はお前の三十倍近く生きている、大人なのじゃぞ!」
「絶対嘘だ! 大人はあんな恥ずかしいポーズしない!」
三百ageのZadirisに言い返す十一age児のMash。ちなみに、彼の言う恥ずかしいポーズとはグーにした両手で口元を隠し、上目づかいで見つめるポーズである。
「あ、あれはdanceの一部なのじゃから、仕方ないじゃろう!? それにKanakoとDarciaもやっておったし!」
「Darcia -sanは、Vanのおkaa-sanだろ。それに、同じ曲を歌ってたBasdia姉-chanはやってなかったじゃん」
「プッ……くくくっ!」
「Mash、あれは私が似合わないから他の振り付けを割り振られただけなんだ」
Zadirisを年上だとSlightly信じていないMashに、必死に真実を主張するZadiris。その-sama子に思わず吹き出すTareaに、母のfollowを入れるBasdia。
「そうなのか、ヴァ……ン……。お前がやると、ちょっと目が怖いぞ」
Basdiaの言葉を聞いて、Vandalieuに確認しようとしたMashが見たのは、口元を両拳で隠した親友だった。彼がやると口元を隠した分、眼の存在感が増す。
視線を他に巡らせると……pump upしたままでホットCakeを頬張っていたZodが、Mashの頭より大きな拳で同じポーズをとっており、どう見てもファイティングポーズだった。
給仕をしていたRitaも同じポーズを取っており……死蠟のような肌の色のせいで、ゾッとするような不吉さが感じられる。
Gufadgarnは見ていても虚無感しか覚えないし、Legionはchunk of meatの姿では何をやってもchunk of meatである。そしてMashは――。
「うわあああ! 俺に化けてそんなポーズとるなよぉっ! お前等も笑うなぁ!」
『ぷぐぶるる』
自分にCamouflageしていたKühlを、腕を振り回して追い払い、child達の無evilな笑い声に文句を言って止めさせると、一転してMashはZadirisに向かって優しげな眼差しを向けた。
「……俺が間違ってた、Zadiris。頑張れよ!」
「何故そうなったのかは分からんが、まあ、分かった」
納得していない-sama子だったが、Zadirisも頷いてMashとの和解に応じたのだった。
『Mash -kun、私達は久しぶりにMaidらしい事を満喫しているんです』
『最近のBocchanは留守がちで、新しいfemaleの所に入り浸って……』
「そうですわ、私に会いに来てくださる時は、仕事の時だけ……」
「child達の前で誤解を招くような事を言わないでください。確かに、新しく知り合ったfemaleのいる国に出入りしていますけど」
たしかにDoranezaやDediria、ZarzalittにFeltoniaと知り合ったし、Gartlandに最近出入りもしている。しかし、後ろめたい事をしていた訳ではない。
「それにTarea、Transformation Equipmentの打ち合わせをした後、massageをしたりご飯を食べたりしているじゃないですか」
「Vandalieu、Tarea -sanはもっと構ってほしいのよ。それにSalireとRitaとは、最近一緒にAdventureしていないでしょう? Zadiris -sanとBasdia -sanも。今度、Gartlandに行く時は、一緒に連れて行ってあげてね」
「なるほど……分かりました。じゃあ、次にDemi-God達を引っ掻き回しに行く時は、五人とも一緒に行きましょう」
『『やったー!』』
「そう言えば、最近はStageと言う名の戦場にしか立っていなかったの。body partは鈍らんが、勘が錆びるかもしれん」
「舞は武に通じると言うが、実戦から遠ざかり続けるのは本意ではないからな」
「や……ちょっと待ってくださいます!? 私、非戦闘要員ですわよね!?」
歓声をあげるSalireとRita、Super Excitingした-sama子のZadirisとBasdia。だがTareaは青い顔をしてVandalieuを引っ張る。
「大丈夫ですよ、Tarea。ちょっとした実戦形式の訓練です」
しかし、Tareaの参加は既に決定事項のようだ。
Darciaはその-sama子を微笑ましそうに眺めている。
「Van兄-chan、ノムウツカウはだめよ」
「Marcia -chan、Vandalieuは大丈夫よ。ねえ?」
「はい。bloodを飲む、大砲を撃つ、新しいmonstersを飼うぐらいにしておきます」
「普通だったら、それも止めた方が良いのだろうけれど……-kunは普通じゃないからな」
Vandalieuの飲む撃つ飼うに、孤児院のNunの一人、Bestraが頬を引き攣らせた。
「Bestra姉-chanは、Vanを止める前に、Celis姉-chanと一緒にSurgeryを受けるのが先だと思う」
「ま、Mash! Surgeryは別に急がなくていいって、Vandalieu -sanも言っているでしょ!?」
「そうだぞ、Mash! それに、私達は太陽も平気だから、急ぐ理由はないんだ!」
Bestraと同期のNunであるCelisが、慌ててSurgeryを受けるのを遠ざけようとする。二人は一見するとHumanだが、実際にはSubordinate Vampireだった。
Pure-breed Vampire Birkyneの戯れで【Sunlight Resistance】skillを習得させられ、洗脳され自分もHumanだと思い込まされていた。
Vandalieuによって洗脳は解かれ、二人はMemoryを取り戻すと同時にVampireである事も自覚した。しかし、【Sunlight Resistance】skillを持つため、特段不自由を感じる事なく過ごしている。
certainly、Bloodsucking衝動はあるが、Vandalieu達がblood液を融通しているので問題にはなっていない。そんな彼女が受けるSurgeryとは、whole bodyに残る火傷や傷の痕を消す為の強引な整形Surgeryだった。
「Surgeryは怖くありませんよ。ただ、俺のbloodから作ったBlood potionを飲みながら、痕が残っているskinを削ぎ落とすだけです」
「凄く痛そうです!」
「何度聞いても、Tortureの類としか思えない」
VandalieuのSurgery内容の説明に対して、CelisとBestraはそれぞれ首を横に振った。実際、口を割らない捕虜のTortureとして、治癒magicをかけて傷を治しながらTortureを加えると言う方法がある。
「経験者として言わせてもらいますが、あのSurgeryはTortureではありません」
しかし、Celis達よりも前に似たようなSurgeryを受けたBellmondがそう口を開く。
danceの振り付けの時は、全力でsignを消し自らの存在を隠していた彼女だが、この時は雄弁に自身の経験を語った。
「痛みは確かにありますが、些細なものです。それよりも何本も飲まされるBlood potionによってBodyは活性化され、再生Abilityが高まり、新しいskinがすぐ作られます。
感覚としては……少し痛痒い、というものでした」
そう言いながら、Bellmondは頬を染めて瞳を潤ませ、ほうっと吐息を漏らした。
……明らかに、「痛痒い」事を思い出した顔ではなかった。
「Bellmond -sanったら……ここにEleonora -sanがいなくて良かったわ」
Darciaが言うように、もしEleonoraがこのお茶の時間に参加していたら、child達の教育にかなり悪い体験談が披露された事だろう。
「ほら、姉-chan、大丈夫だってtail姉-chanも言ってるぜ」
pancakeに夢中でBellmondの顔を見ていなかったMashがそう言うが、CelisとBestraは「絶対イヤ!」と目で訴えている。
しかし、無言のアイContactを読み取るのは、Vandalieuが苦手にしている事の一つだった。
「なんなら、Isisが最近考案したSurgery法もありますよ」
二人の視線に気がつかず、Legionの人格の一つ、Isisに話を振るVandalieu。
『ええ、考案したのは方法だけで、具体的な手順は全てVandalieuにしか出来ないけれど』
pancakeを取り込むのを止めて、Isisは自分の近くに生えていたBaba Yagaの上半身を使って実演を始めた。
『ちょっと、Isis! 何するんのさ!?』
『まず、こうやって首の後ろで切開。Vandalieuの【Demon King's nerves】と【blood vessel】を、患者のものと縫合。これで患者の生命を維持しながら、首から下のBodyを乗っ取るの。これで患者は痛みや快か……痒さから解放されるの』
そう言いながら、Baba Yagaの首の後ろを開いて、nerveやblood vesselに見立てて適当に創った肉の管を断面にthrust刺していく。
IsisもBaba YagaもTransformせず、肉で出来たマネキンのような姿のままなので凄惨さはないが、妙なグロテスクさがあった。……Celis達だけではなく、孤児院のchild達ですらLegionに慣れているので、怖がっている者は一人もいないのだが。
『Surgeryの間、Vandalieuは患者が感じるはずだった痛みを感じる事になるけど、彼なら大丈夫。そうしてSurgeryが終わったら、nerveを繋ぎ直せば元通りよ。後遺症も試した時はなかったわ。……Surgery後、実験に使った被検体が例外なく変異したけれど、あなた達の場合は問題ないわよね』
mouseで試したら、術後Giant Ratに。猿で試したら、術後Rank2の猩々(しょうじょう)に。mountain banditで試したら、熱狂的なVandalieu fanaticのHell raceになった。そのため、Human社会で身分を隠して活動する時は、絶対に施せないSurgery法だ。
しかし、CelisとBestraなら施しても平気だろうとIsisは語った。……首を切開すると聞いて、近代的な医療知識のないCelisとBestraは青ざめているのだが。
「まあ、今日決めなくてもいいでしょう。時間はありますから……それで、明日は二人共Mash達と同じ訓練から始めましょうか」
その言葉を聞いてCelisとBestraは理解した。これは、自分達がnodまで繰り返されるのだと。
森を出て街道で合流したVandalieu一行が、Moksiの町に社会的に戻ってから、Alcrem Duchyの政治は忙しく動き出した。
Takkard・Alcrem Dukeが、GhoulをmonstersではなくHumanの一種として扱う事と、Duchy内でのVida's New RacesのAutonomous Territory制度を廃止する為の法整備を始めたのだ。
これが実現すれば、Ghoulは狩られるmonstersからadventurerと同じ人となり、討伐や戦利品の略奪をするような真似をすれば、mountain banditと同じ行為としてadventurerでも罰せられるようになる。……逆に、Ghoulが正当防衛以外でadventurerを殺したり、女を攫ったりした場合は、Ghoulも人として罰せられるようになる。
尤も、Alcrem Duchy内のGhoulは既に殆どVidal Magic Empireに移住済みであり、この法整備はZadirisやBasdia、TareaにKatiaがTamed Monsterではなく人として自由に出歩き、各種guildに登録できるようにするのが主目的だ。
それより政治的に大きいのは、Vida's New RacesのAutonomous Territory制度の廃止だ。廃止とだけ聞くと、まるでこれまで認めていた自治権を取り上げ、追い出すように思えるかもしれない。
だが、実際はこれまでRankを持つVida's New Racesを『Autonomous Territory』と称した一画に押し込め、通行や通商、移住の自由を認めず、各guildへの登録も禁止していた体制を改め、人と同じ権利を与えるという差別撤廃のための法であった。
そしてこのAutonomous Territory制度の廃止によるimpactは、Alcrem Duchy内にAutonomous TerritoryがあるVida's New Racesだけに留まらない。他のDuchyにAutonomous TerritoryがあるVida's New Racesも、Alcrem Duchyに逃げ込めば自由になる事が出来るのだ。
本来なら、Orbaum Elective Kingdomを構成する十二のDuke 家は、他の領内で罪を犯した者を自領で発見した場合は、速やかに身柄を拘束し、手配しているDuchyへ引き渡す事となっている。
しかし、法では「死罪及び犯罪Slaveに落とすような重罪を犯した者のみ」と記されている。Autonomous Territoryから脱走した程度では、重罪とは言えないのだ。
それでも他のDuke達はTakkard・Alcrem Dukeに引き渡しを求めるだろうが……Vandalieuと非公式の同盟を結んだ彼が、それに応じるはずもない。
Tamer guildでのGhoulを含めたStatusにRankを持つ、Vida's New Racesの扱いは微妙だが……Even now本物の主従関係なのか、それとも見せかけだけで実際は対等な友人やloverなのかは、当人達しか分からなかった。そのため法整備よりも優先して改革を行う必要はないと思われたのか、Alcrem Duke 家からの働きかけはなかった。
Tamer guildで「Vida's New RacesをTamed Monsterにしてはいけない」と規約を変えるのは、Adventurer’s GuildでGhoulやScylla、Arachneのadventurer登録を認めるよう規約が変わるのと、同時期になるだろう。
Duchy政府の動きを察知したAlda templeが、早速抗議しているが、「これは政治の、世俗の問題。Clergymanの皆-samaの口出しは、無用」と跳ね除けている。
そしてまだ一般の人々は、Alda believerにとっては暴挙、Vida's New Racesにとっては一大改革となるこの法改正を知らない。
だが、Alcrem Dukeに仕えるNoble達は賛成派と反対派に割れ、そのNoble達とblood縁関係にある他のDukeに仕えるNoble達、そしてElected King領のNoble達へとimpactが広がって行き、Orbaum Elective Kingdomの政界は、大きな渦に呑み込まれていく。