火蓋が切られたが、実際に刃を交える前にCuatroの船首に現れたVandalieuによる、Gohn達への降伏勧告が行われた。
『今、降伏し投降するのなら命と魂の保証はしましょう、Aldaとの決着が着くまでsealedするか、こちら側で力を振るってもらう事になりますが、その後は神としての立場も認めます。
この勧告を受け入れない――』
magic itemで拡声したVandalieuの勧告は、Sirius達の勇壮な角笛や陣太鼓の音色と、Gohn達の一斉攻撃によって遮られた。
音色に込められた力によってAttack PowerをEnhanced (1)された岩や雷撃、圧縮された水の刃は、全てVandalieuが新たなDeath-Attribute Magic、【Impact-Negating Barrier】と【Magic Absorption Barrier】を凝縮して弾にした【Barrier Bullets】を大量に撃ち出したため防げたが、既に話し合いを行える空気ではない。
『どうする? Kami-sama達と約束した降伏勧告、まだ途中だったようだけれど。まだ続けるのか?』
Cuatroの前に出て船を庇うLegionのEreshkigalの問いに、Vandalieuは首を横に振った。
「いえ、originally期待していませんでしたから、もう良いです。では、行きましょう」
「おうっ! 万が一にも話し合いで片がついたらどうしようかと思ったぞ!」
「同感ですな!」
Vandalieuの言葉に同意したのはLegionではなく、その上に乗っている二人だった。GodwinとZodはLegionから飛び出すと、そのままDemi-God達に正面から突っ込んで行く。
一匹の蟻がどんな巧みな技を持っていても、一頭の象に勝つ事は出来ない。
では、一人のHumanが百meterを超えるGiant生物と殴り合う事は可能だろうか? 若しくは、神とphysical battleをする事はどうだろうか?
その答えがDemon KingのContinentの沿岸上空で繰り広げられていた。
「ぐあっはっはっはっは! 何だ、そんなもんか!?」
『ぬうう!? こやつ、本当にMajin Raceか!? 驚異的な打たれ強さだ!』
『Majin King』Godwinは、自分のbody partよりも大きなBlateoの拳や蹴りを、全て正面から受け止めていた。
雷を纏ったBlateoの拳や蹴りは、当たれば城塞どころか大地を穿つAttack Powerがあるのだが、全く堪えた-sama子がない。
「十万年前の話を聞いたが、実際には大した事ないな! Xerxの親父どころか、婆-chanのfistより柔い!」
『The One who received God's Fist』と言うsecondary nameを持つGodwinは、実際にDivine Realmで彼の王にあるまじき行いを正す為、国と一族のPatron GodであるXerxにfistを落され、その一撃を受け止めて耐えた。
それにXerxは呆れ、『こいつを王と認めたMajin Raceと民にも責任がある』として、多少の不良行為は見逃すようになったと言う。……ただ、結局Xerxは幾度か彼にfistを振り下ろす事になるのだが。
そんなlegendを持つ彼だが、実際にBlateoの拳や蹴りが柔い訳ではない。【-Transcend Limits-】や【Magic Armor King Technique】のMartial Arts、付与magicにmagic item。そして【Familiar Spirit Advent】まで使って受け止めているのである。
『貴-sama! 言わせておけば! 数千年しか生きていない青二才が!』
激高したBlateoが、大ぶりな一撃をGodwinに向かって放とうとする。これまでよりも一層Attack Powerが高まった敵の一撃を前に、彼はgrinningと笑みを浮かべた。
一方、ZodはGohnと戦っていた。
『ぬおおおおおっ!』
「ふんぬうううううっ!」
Rock Giant Gohnが雄叫びと共に放った拳と、body partごと突っ込んでいったZodのwhole bodyが衝突する。Gohnの拳は自作したらしい金剛石の籠手に覆われていたが、Zodは鎧すら身に着けていない。光沢のあるBodysuitのみだ。
その質量の差は誰が見ても明らかだ。見物人がいれば次の瞬間、Zodがflesh and bloodを撒き散らし破裂するように絶命するのを確信しただろう。
『ぐおおおおお!?』
「ぬおおおおおおお!?」
だが、そうはならなかった。Gohnは右拳に走った電撃に驚愕の声をあげ、Zodは拳の衝撃を受けて元の方向へと弾き飛ばされた。しかし、bloodは一滴も出していない。midairに留まり、不敵に口元を歪めている。
『むうぅっ、十万年前より電撃の強さが増しているだと!? それに、その姿は……そうか、貴-samaもしたのだな、『Transform』を!』
その-sama子を見たGohnは、自分の知る彼……十万年前の戦いで、countlessの攻撃を受けて尚倒れなかったPure-breed Vampire Zorcodrioを上回っていると気がついた。そして、彼の姿からVandalieuの配下の一部が持っていた装備を思い出して叫んだ。
「その通り。私もつい先日、このTransformation EquipmentをVandalieu -donoから頂いたのです」
Zodの身を包むSuitは、Vandalieuが彼の為に造り上げたTransformation Equipmentである。その使い心地は、素晴らしいの一言であった。
『Mother God of the Earth and Craftsmanship』BotinにすらDefense Equipmentは不要と言わせた、Zodの強靭過ぎるBody。その堅牢なmuscleとそれに耐える最硬のbone格にとって、Orichalcum製のDefense Equipmentすら動きを阻害する拘束具でしかない。
それは彼がPure-breed Vampire、そしてAbyssal Pure-breed Vampireとなり、更にMuscular StrengthがEnhanced (1)され、高い再生Abilityまでも獲得してからは、ますますその傾向が高まった。
そんな彼に有用だったのが、肌にフィットする……つまりmuscleの動きを一切阻害しない伸縮性にとんだ、液体金属の鎧。VandalieuのTransformation Equipmentだった。
Defense Powerを高め、攻撃magicを防ぎ、更にZodがmuscleを振動させて起こす電撃が無駄に拡散するのを防いでくれる。【Increased Defense Power while Unarmored: Very Large】skillの効果が喪われるので、結局Defense Power自体は落ちるのだが、その分Attack PowerやAgility性、何より【Muscle Technique】のAttack Powerが向上している。
Zodにとって最高の鎧であり、Weapon Equipmentだ。Equipmentの対価として、【Muscle Technique】の教授をVandalieuに求められたが、それは彼にとって負担でもなんでもなかった。
『ぐぬうっ! VandalieuはGuduranisに強さは及ばんが、それ以外は遥かに超えた厄介なDemon Kingだと言うのは、誠のようだ!』
そう呻くGohnの右拳、金剛石の籠手の下には酷い火傷を負っている。ZodがTrue giantと同じDemi-GodであるPure-breed Vampireだったとしても、恐ろしいAttack Powerだ。
十万年前のZodも、電撃を放ったが……GohnにとってはDefense Powerと耐久力以外は脅威ではなかったというのに。
『Gohn -dono、装備頼みの痴れ者如き、私が始末してやりましょう!』
そのGohnの横を、『Beast King of Marine Birds』Valfazがそう叫びながら飛び出していく。
『ま、待て、Valfaz!』
Giantなseagullに似た鳥の姿を持つValfazは、Vida's Factionについた『Bird Beast King』Lafazの子の一人だ。Demon King Armyとの戦いで邪悪な神とFusionして生きながらえた父Lafazを、偉大なる父祖である『Beast God』Ganpaplioの仇と一つになってまで生き恥を晒した面汚しであると訴え、本来新たにBeast Kingの座に就くはずだったbrothers sisters共々排斥した中の一柱である。
(誰が待つものか!)
そうした経緯で『Beast King of Marine Birds』となっただけに、Valfazを含めたAlda派の鳥系のBeast Kingは、Godsの間で武勇やfeatherの美しさよりも狡猾な陰謀家という点で評価されている。
それがValfazには不満だった。
十万年前は、確かに狡猾に立ち回った。それは、武勇では本来Beast Kingの座に就くはずだった兄や姉に勝てなかったからだ。
しかし、十万年経った今は違う。長い年月をかけて経験を積み、鍛えて来たのだ。武勇で勝負したとしても決して負けはしない。だというのに、周りからの評価が変わらないのは、武功をあげる機会が無いからだ。
だからこそ、彼はBotinの護衛部隊に加わった。そして、Vandalieuが乗っているかもしれないCuatroよりも、危険が少ないZodを狙う。
『死ねェ! whole bodyをバラバラにしてやる!』
鋭い嘴とclawsがZodを襲った。
それはZodに命中し、彼を更に上空へと跳ね飛ばした。だが、それだけである。
『やった……なにっ!?』
「その意気や良し……いえ、意気だけは良し、でしょうかな」
Valfazの攻撃は確かに当たった。しかし、ZodのEquipmentに守られたBodyには、ただの打撲程度のDamageしか与えられなかったのだ。それも、【Super Rapid Regeneration】によって一秒もかからず癒えた。
「そして私を自分の上に跳ねあげるとは、愚かな。 【God's Lightning】!」
Marme DuchyのAlda templeでも放った【Muscle Technique】のMartial Artsが、炸裂する。【Revenge: Battle against Alda’s Forces】skillに加え、Transformation Equipmentによって拡散が防がれ収束した【God's Lightning】は、本物の落雷を遥かに上回るAttack PowerでValfazを貫き、断末魔めいた絶叫を轟かせた。
『ぐあああああっ!?』
同時に、Blateoが拳を抱えてscreechをあげた。見れば、右手の大木よりも太く鉄よりも遥かに頑丈なはずの指が親指を除く四本全て折れ曲がっている。
「はっはっはぁ! 引っかかったな! 貴-sama等giantは図体がデカすぎて、Blind Spotが多すぎるのだ! 自覚の足りない間抜けめ!」
それはGodwinのCounterによるものだった。拳によってBlateoの視界から、自身が隠れた瞬間に拳を作っている指を攻撃したのだ。
『いかん! 下がれ、Blateo! 貴-samaはこの前の傷が癒えきっていまい! Nabanger、Blateoと代われ! 儂はValfazを助ける、残りの者は援護しろ!』
『Iron Giant』NabangerがBlateoを、そしてGohnがwhole bodyから白煙をあげるValfazを助けようと突出し、他のgiantやBeast Kingが援護する。だが、Cuatroの砲撃が彼等を押し止める。
「行くぞ、Zodに続けぇ!」
accurateには、撃ちだされた砲弾とその上に飛び乗ったSchneider達によって止められる。
『な、何だと!?』
『BAKANA! 爆発する弾に乗って来るだとぉ!?』
驚愕し、目を剥くGohn達。砲弾に関する知識をほとんど持たない彼等にとって、Schneider達の行動は自殺行為にしか見えなかった。
『同感です』
そして、砲弾型Demon King Familiarのproducerであり、宿らせたCloneのmain bodyであるVandalieuも驚いていた。
『なんて無茶な事を。どうやって船に戻るつもりなんですか?』
砲弾型Demon King Familiarは、当然だが敵への片道切符だ。逃げ回る敵を追尾する事は出来るが、Cuatroに戻る事は出来ない。
「善処してくれ!」
『……はぁ。分かりました』
「よし、代わりにadventurerのsenpaiとしてGiantなmonstersと戦う時の心得を、俺達がlectureしてやる!」
締まらない会話を交わしつつも、砲弾型Demon King FamiliarはGohn達を追尾し、爆発する。以前の偽Cuatroの自爆を連想したのだろう。Gohn達は回避やSchneider達への警戒よりも、撒き散らされる破片を防ぐために防御を固める事を選んだ。あの偽Cuatroの爆発は、それほど彼らを苦しめていたようだ。
『ぬぅっ! 奴らは!?』
『何処だ!? それに破片も仕込まれていないだと!?』
衝撃と爆炎に耐えたNabangerや龍が、見失ったSchneider達の姿を探して、煙を薙ぎ払うように腕やtailを振るう。
「まずは攪乱! フゥ~!」
その煙が薄くなると同時に、ElfではなくEvil God (M)本来の姿に戻ったLissanaが窄めたlipsから濃い桃色の吐息を放つ。その吐息は霧となり、彼女から吐き出されたとは思えない程広範囲に、Demi-God達をすっぽり覆い隠すように広がる。
『かはっ!? これは……毒酒! 『Evil God of Degeneration and Intoxication』Jurizanapipeか!?』
『ぬぅ! ElfではないだろうとAldaもおっしゃっていたが、まさか貴-samaだったとは!』
常人が浴びれば二度と目覚めない毒酒の霧に巻かれ、Demi-God達は咄嗟に目を閉じてしまった。
「【大氷巨槍】! そして、絶対に正面から戦わねェ!」
「【Lightning飛天蹴り】! 狙うのは関節の側面か裏の弱点!」
そこに霧の中に潜んでいたDaltonがmagicで創りだした氷山の如きGiantな氷の槍が『Ocean Dragon God』Madrozaの腹をthrust、SchneiderがNabangerの膝の側面に蹴りを叩きこむ。
蛇に似た胴体を二つ折りにして氷の槍にthrust上げられたMadrozaが濁ったscreechをあげ、膝を破壊されたNabangerが顔を歪める。
「そして、敵が体勢を立て直す前に離脱!」
最後にmidairを歩く事が出来るmagic itemを装備していたMeldinが、DaltonとSchneiderを回収する。Lissanaの毒酒の霧を散らすと位置がばれるため、Flightを可能とするmagicが使えないので、回収の為に待機していたのだ。
『はいはい、Vandalieuに変わって善処しに来たわよ』
『さあ、帰還するぞ、勇士達よ!』
そして彼女達をLegionが迎えに現れた。
『おのれぃ! あの年寄り気取りのHuman風情が!』
『ま、待ちなさいっ、そのchunk of meatに迂闊に手を出してはなりません!』
GiantなLegionに膝を砕かれた恨みをぶつけようと、Nabangerが自前の槍を投擲しようとするが、Madrozaがそれを止めた。
Legionには、かつて『Fifteen Evil-Breaking Swords』の一人だった『Light Speed Sword』のRickertを倒したCounter、相手から受けたDamageをそのまま返すCurseのような力がある事を、Demi-God達は知っていたからだ。
『くっ!』
Demi-God達のbody partはGiantで、それに似合ったMysterious Strengthと強靭さを持つ。だが、その分小回りが利かない。
『Five-colored blades』のHeinzは、『AldaのTrial's Dungeon』でLegionのCopy相手にCounterへの対抗策を実行していた。それは大技を繰り出した後、Counterされるよりも早く小さな傷をLegionにつけるというものだった。
最後に受けるDamageは、小さな傷と同程度という事になる。
だが、Nabangerの巨体ではそれにならう事は出来なかった。呻いてValfazのrescueに戻る。
だがCuatroが再び砲撃を始め、更にVandalieuが【Hollow Cannon】や【Death Cannon】を撃ち始めた事で、容易に近づく事が出来なくなってしまった。
『拳を片方潰したぐらいで、いい気になるな!』
Blateoが電撃をGodwinに放つが、Valfazを蹴って踏み台にしたZodがその間に入る。
「【Electrify】! Godwin -dono!」
「おうっ! 合わせるぞ!」
身を挺してGodwinを庇ったかに見えたZodだが、Blateoの電撃は彼のbody partを焼かず、まるでAbsorptionされたかのようにそのmuscleの中に消えた。
次の瞬間、大気を振るわせるほどの力強さで発電したZodと、呪文を唱えたGodwinが同時に叫んだ。
「【業God's Lightning】!!」
「【獄炎魔獣推参】!!」
ZodがBlateoの電撃をAbsorptionし、更に自身のmuscleで発電した電撃を返し、それにGodwinがmagicで生み出した悪魔めいた姿の炎の獣が、なんとNabangerに向かってthrust進む。
『なっ!? ぐがああああああ!?』
『兄者!?』
雷に打たれ、炎の獣に突っ込まれたNabangerは猛烈な勢いでDemon KingのContinentに向かって落ちていった。彼のbrothersである『Bronze Giant』Luburgが追いかけて行ったが、間に合いそうにない。
一方、Valfazは海面に落ちる寸前に意識を取り戻し、再び空に舞い上がった。そして急いで離脱しようとするが……その彼に海中から襲い掛かった存在がいた。
『おおおおおおおおおん!』
海の中にばらばらになったconditionで隠れていたKnochenである。
『ぐああああああ!? や、やめろぉぉ!』
彼は『Beast King of Marine Birds』だ。だが、underwaterが得意な訳ではない。特に、重傷を受けたconditionでcountlessのboneに襲われながらでは泳ぐ事も出来ないだろう。
しかも Knochenには、Peteが食べ残した龍のboneや、Vandalieuが与えた【Demon King's bones】が幾つも混じっている。それらは強靭なfeather毛を貫いて、彼の体内に潜り込んだ。
堪らずscreechをあげるValfazの耳に、Vandalieuの声が届いた。
『Valfaz、ですね? あなたの父、Lafazから不肖の息子に慈悲をかけてほしいと頼まれています』
『な、何だと!? み、見逃してくれるのか?』
『ええ、certainly。Knochen、一思いに縊り殺してください』
『っ!?』
Knochenがboneで出来たbody partをValfazの首に巻き付け、それを大きく捻る。ゴキュリと音を立てて、Valfazの首が捻られた。
『Lafazに頼まれた通り、魂は見逃します。Gufadgarn、Valfazの死体を回収。その後、帰還を試みてください』
「はい、偉大なるVandalieuよ」
Valfazの頭部の近くに浮いていたDemon King Familiarの声も、Evil God in the backであるGufadgarnにとっては彼が唯一信仰する存在の言葉だ。決して聞き逃さず、Cuatroの甲板に現れた。
Valfazの死体を回収すると同時に、Cuatroや、まだ戻っていないZodやGodwin、Schneider達を乗せたLegionの背後のspaceが揺らめく。
『させぬ! 今こそ我らの真価を見せる時!』
だが、それまで加勢したいのを抑えて待機していた『God of the Reflexions』Larpan達space attributeの神が、Gufadgarnの【Teleportation】を妨害する。spaceの揺らめきは緩慢になり、それ以上の変化が起こらなくなった。
『今だ! Vandalieuが乗る船を叩け!』
『Valfaz! 仇を取ってやるぞ!』
Gohnの号令に従って、Demi-God達がCuatroに乗るVandalieuを倒そうと動き出す。撤退を試みたという事は、何らかの要因で戦闘を継続する事が難しくなった証拠だと、Gohn達は解釈したからだ。
彼等、Defense Corpsの主目的はBotinをVandalieuから守る事だが、このままHit & Run戦法を繰り返されたら、Gohnの策が実を結ぶ前に戦力が削りきられてしまう。
ここで倒す、それが不可能でもせめて痛手を与えなければ、近日中にまた攻めて来るに違いない。撤退するのなら手を出さないなどと、甘い事を言っている余裕は無いのだ。
「偉大なるVandalieuの読み通り、【Teleportation】を止められました」
「そのようですね」
一方、Vandalieu達に動揺は見られなかった。撤退が失敗し、殺到してくるDemi-God達を前にしても平然としている。
「どれくらいで【Teleportation】できそうですか?」
「このままなら、三分程後になります。ですが、まだ敵のspace attributeの神には余力があるかと」
「Legionがいますからね。Legion、Teleportationを試みてください」
Cuatroの砲弾による弾幕と、Vandalieuの目から放つ怪光線や、【Barrier Bullets】、【Death Cannon】でGohn達の攻撃をなんとか止めているが、すぐにでも突破されそうな戦況で、冷静に言葉を交わす二人。声をかけられたLegionも、彼女達に乗っているSchneider達にも、焦った-sama子はない。
『んー、ダメだよ。邪魔されているって言うより、掴まれて動けない感じだよ』
『Jackの【Teleportation】が邪魔されるなんて……!』
「Space-Attribute Magicには、敵の手足をその場に固定して動きを封じるmagicがあるから、それの改良版だろうな。前に一応忠告しただろ」
「でも、Gufadgarnの術の妨害と同時だから、一分も経たずにTeleportation出来ると思う。まあ、それより先にあっちが突破してきそうだけど」
Lissanaが言う通り、弾幕や怪光線に耐え、【Death Cannon】をmagicで防ぎ、【Barrier Bullets】を巨体によって生み出される莫大な運動energyで振り切って、Demi-God達が迫ってくる。
「では、偽Cuatro型Demon King Familiar、Pierce。皆は、俺のshadowに」
Cuatro……偽Cuatroの船尾が、Vandalieuの言葉に応じて爆発。その衝撃を推進力にして、Demi-God達に向かってPierceを敢行する。
『分かったわ。さ、Schneider -san、皆、降りてくださいね』
「Zodっ! Godwinっ! 置いてくぞ!」
「おおっと、それは勘弁願いたいですな!」
そして、偽Cuatro型Demon King Familiarから飛び降りたVandalieuのshadowが光を無視して広がり、そこにSchneider達が飛びこんで行く。
一方、自分達にAccelerationして突っ込んでくるCuatroに気がついたGohnは、叫んだ。
『いかん! あれは偽物だ! 爆発するぞ!』
「ああ、その通りさ。燃えちまいな!」
midairでTransformしてVandalieuに抱きついたBaba Yagaが、偽Cuatroに搭載されていた大量の脂を爆発燃焼させたのは、その直後だった。
Flashと爆音に押されて海面に落ちる前に、Vandalieuは【Flight】で減速し、海面のすぐ上で停止した。
「Teleportation出来そうですか?」
「可能です」
「Larpanって奴が、あたしらの妨害から他のgiant共を守るのに切り替えたからだろうね」
「じゃあ、Gohn達は手傷を負っていても死んではいないでしょう。……GohnやBlateo、Siriusよりも厄介ですね」
【Teleportation】の妨害よりも、Gohn達を守る事を選んだLarpan。Gohn達が壊滅しては【Teleportation】を妨害しても意味はないと、素早く判断したその手腕は、単純な強さよりも厄介だ。
「でも、Larpan達がどれくらいの時間【Teleportation】を妨害できるのかは分かりましたから、帰りましょうか。とりあえず、Moksiの地下Dungeonに」
「……他の町じゃダメかい?」
「仕方ありません、先にMajin nationに行ってGodwinを返しましょう」
「やった! 愛してるよ、Vandalieuっ!」
Moksiの町にNameless Heroesの像が建てられて以降の、彼女達の気持ちも分かるし、自分がCommandingしたtacticsの結果でもあるので、VandalieuはLegion達の希望を優先するようにしていた。
『何だと!? 儂、今日は家に帰りたくない気分なんだが!?』
『お家でお嬢-sanが待っていますよ。あと、今この瞬間もあなたの代理として派遣した、俺のCloneが働いているのですが』
『うおーん!』
『おおーん』
しかし、shadowの中から叫ぶGodwinは、甘やかさなかった。彼の嘆きの声に合わせるように声をあげるKnochenを回収し、Gufadgarnの【Teleportation】によってVandalieu達は撤退した。
《【Murder Healing】、【Self-Reinforcement: Murder】skillを獲得しました!》
《【Constant Mana Recovery】、【Strengthened Attribute Values: Ruling】、【Strengthened Attribute Values: Target of Faith】、【Murder Healing】、【Self-Reinforcement: Murder】、【Simultaneous Multi-cast】skillのlevelが上がりました!》
Majin nationで嫌がるGodwinをIrisと官僚たちに引き渡した後、Schneider達をTalosheimでshadowから出した。
「ところで、adventurerとして経験豊かなSchneiderに相談があるのですが、ちょっといいですか?」
「何だ? Gartlandって所で厄介なmonstersでも出たのか? 食べ方が分からないとか」
「Madmanの上位種が……ではなくて、最近levelが上がってもAbility Valuesが上がらないので、変だなーと」
VandalieuがSchneider達に相談したのは、【Destruction Guider】になってからAbility Valuesが上がらない事だった。
levelは今まで通り、仲間が手に入れたExperience Pointの一割ほどが手に入るので上がっている。だが、Ability Valuesが……Manaでさえ全く上がっていない。
「Ability Valuesが上がらない? 力だけとか、Intelligenceだけじゃなくて、全部か?」
「全てのAbility Valuesが、全く上がっていません」
「全部が全く、か……幾つかだけなら聞いた事があるが、全部上がらないってのは初めて聞いたな」
Ability Valuesのincreaseには、個人毎の素質とJobによる成長率が密接に関係していると言われている。同じ【Apprentice Warrior】Jobに就いた場合でも、力が最も上がった者もいれば、Agilityの方がincreaseした者もいる。中には、力もAgilityもEnduranceも、全てあまり上がらなかった者もいた。
それぞれPower Fighterに、Speed重視のLight Warriorに向いた素質の持ち主で、最後の一人はそもそもBody的なaptitudeに乏しく、Mage向きの素質の持ち主だった。
汎用性の高いApprentice系Jobでもこうなので、Ability Valuesの上がり方が極端なJobの場合、特定のAbility Valuesが全く上がらないという事は十分あり得る。脳筋Typeの力自慢が【Berserker】Jobに就いてlevelを百まで上げても、Intelligenceは1点も上がらなかった、などだ。
「だけど、全てのAbility Valuesが上がらないとなると……余程向いてなかったんじゃねぇか?」
「いえ、五つ目のGuider Jobなので向いていない事はないと思います」
「ぽろっと、凄い事を言うな、お前。じゃあ、originallyそういうJobなんじゃねぇか? 成長率が極端に低いとか。
でなきゃ、お前-sanが老いて脳も含めて成長の余地がないかだが……六十代が近づいてきている俺がlevel upでAbility Valuesを上げられるのに、十代に入ったばかりのお前-sanが老いているとは思えねぇ。幾ら俺と同じ総白髪だったとしてもだ」
「俺は、生まれつき白髪ですから。まあ、Job changeして-sama子を見てみます」
既に【Destruction Guider】のlevelはmaxedしている。今日の戦いで大量のExperience Pointが入ったからである。
「そうか。じゃあ、何かあったらまた相談してくれよ」
そういってSchneiderは歩き出した。これから、先日自分達が解放した元Slave達の-sama子を見て、その後はfamilyとの時間を暫く過ごすそうだ。
明後日にはまたSlaveを解放するために、鉱山を襲撃しに出かける予定だからと、Gufadgarnに【Teleportation】を頼んでいた。
Vandalieuは「働きすぎでは?」と尋ねたが、「いや、お前-san程じゃねぇよ」とSchneiderは返した。
その後、Vandalieuは本来の予定通りに、Moksiの地下DungeonにGufadgarn達と向かった。Alcremを発ったばかりなので、Moksiの町に居ると不自然だからだ。
彼は、先に【Teleportation】で来ていたSamのcarriageにあるJob change roomでJob changeをした後、次の攻撃の為の準備をする予定だった。
「Vandalieu! カナ-chanが大事な相談があるみたいなの!」
だが、Darciaの言葉でその前に優先すべき予定が出来た。