GartlandのDungeonは、本来はEClassやDClass、攻略難易度の低いDungeonばかりだった。
それはDungeonを創った『Evil God of Viscera』Povaz達が、意図的に難易度を低く抑えて創ったからだ。何故なら、高難易度のDungeonを創って、それが万が一にもrunawayしたら、Gartlandはそれが原因で滅びかねないからだ。
Gartlandの広さはDemon KingのContinentの約三分の一。だが、その半分程は地底塩水湖である。そのためDungeonのrunawayでmonstersが陸地に溢れたら、住人達の逃げ場が無くなってしまう。
それに、地の底に作ったので他からのmiasmaの流入は少なく、Dungeonにmiasmaを集めて消費する必要性もない。
だからいざと言う時の避難場所兼訓練場としてEClass Dungeonを、そして-sama々な資源や食糧を得るためにDClass Dungeonを創った。
そして、天井や壁から極稀に現れる強いmonstersを倒せるWarriorを育てるために、CClass Dungeonを一つだけ作った。
これだけあれば足りるはずだったのだが、後にZorzaceibaとGiant raceが加わり、資源の必要性が増したのでDungeonを増やした。
そしてNineroadの施策によって、world中のmiasmaがDemon KingのContinentに集められて汚染が激しくなり、そのimpactはGartlandにまで届き、Dungeonの等Classが全て一段上がってしまった。
「先祖達のrecordによると、当時は大混乱だったようです」
カッカッカと蹄で音を立てながら、褐色の肌に馬のlower body、そしてscorpionのtailを持つ美女が背中に乗せたVandalieuに語って聞かせる。
「そうでしょうね。生活に必要な資源をDungeonから取らなければならないのですから、堪ったものではないでしょう」
野犬と同程度のmonstersが少数出る事に気を付けさえすれば安全だった仕事場に、突然Brown Bearと同程度に強いmonstersがcountlessに出現するようになった。そう想像すれば当時の人達の混乱もconjectureできる。
「一度上がったDungeonの難易度を下げる事は、Godsにも難しい。しかし、それでも私達の先祖たちは雄々しく戦い、環境に慣れていったのです。
今ではGodsも我々の働きと強さを認め、BClass Dungeonになった『Citadel of the Five Gods』で技を磨く事を奨励しています。
それがここなのです」
「なるほど。解説ありがとうございます」
Vandalieu達は、Gartlandにtunnelを掘る過程で現れるmonstersを、しっかり退治できる実力があると示す為、この『Citadel of the Five Gods』を攻略中だった。
彼を背中に乗せている半人半馬でscorpionの尾を持つ美女は、見届け人として同行しているGlaistigの長であるZarzalittだ。
彼女は本来山羊のlower bodyを持つGlaistigのatavismで、その先祖がAndroscorpionと結ばれた時の特徴もbody partに現れており、そのため馬のlower bodyに蠍のtailを持って生まれた。
そのためか、Statusに表示されるraceはGlaistigではなく、Pabilsagであった。
「お役に立てたのなら光栄です」
Zarzalittはそう言って会話を締めくくると、一緒にいる他の長二人が代わりに口を開いた。
「では、我々Snow Ice Giant raceの歴史も解説致そう。それは、悲しみに満ちた歴史――」
「いいえ、ここは我々Androscorpion族の歴史でしょう。糸を吐けなくなった、我々の悲劇の物語を――」
「何を言っておる! お前-san達Androscorpionは糸が吐けなくなって騒いだのはほんの数年で、すぐ順応したと歴史書に書いてあったぞ!」
「何を言っているのです、そんな訳があるはずありません! あなた達こそ、地上にいた時から氷の大地で暮らしていたと歴史書にあるじゃありませんか!」
Snow Ice Giant raceの長のZolkと、Androscorpionの長のFeltoniaは、Vandalieuをおいて言い争いを始めた。
Zolkは白く長い髪や髭、furを生やしているため雪男のようだが、よく見れば顔も体もfurとSize以外はHumanと同じだ。服の上に鎧を着こんでいるため、遠目に見てもSnow Giant等のmonstersと間違える事はないだろう。
対してFeltoniaはchocolateのような艶のある肌をした黒髪の美女で、金の装飾品で身を飾っている。そしてlower bodyが体高の低いscorpionのものなので、視線の高さはArachneよりもHumanに近い。
なお、Androscorpionには小型種やLarge-buildはおらず、一種のみのようだ。
「貴-samaらAndroscorpionはGartlandの砂漠に見事に適応し、砂漠ではCentaurより早いと謳われているではないか! それにオアシスの水を使ったFarmingで成功している! 砂を砂岩にするmagicを使って、見事砂漠に黄金の都市を作りあげた! 羨ましい限りだなぁ!」
「貴方達Snow Ice Giant raceはGartlandの寒冷地帯に適応し、凍土と氷のKingdomを築いているではありませんか! 確かにFarmingには向きませんが、Hugeトナカイやスノーベアを家畜化し、Giantなmonstersを倒して肉やfurを取り、氷の都市で豊かに暮らしているではありませんか! ああ、羨ましい!」
「なにをぉっ! 貴-sama等Androscorpionはlower bodyのscissorとtailの"poisonous needle"をWeapon Equipmentにし、上半身でmagicを唱えるmagic Warriorが多く、精強ではないか!」
「貴方達Snow Ice Giant raceも、body part Abilityに優れている上に、Water-Attributeのmagicが得意なMageが多く、その勇猛さは砂漠にまで届いていますよ!」
「……これは口喧嘩なのでしょうか? まあ、それぞれのraceのreputationを聞けるのは面白いのですが」
Zarzalittは苦笑いを浮かべながら、しかし「二人の言っている事、それ自体は本当です」と保証した。
ZolkとFeltoniaはどうやら自分達が苦労している事をappealし、Vandalieuに自分達が暮らす都市、若しくは集落に来てもらうのが狙いらしい。だが、そのまま言い争いを始めたため、お互いを褒め合う妙な口喧嘩になってしまったようだ。
ちなみに、口喧嘩に参加していないZarzalittが長を務めるGlaistigの集落はGartlandの壁沿いに存在する。山羊のlower bodyを持つ彼女達は、壁を器用に移動して鉱石資源をMiningし、壁から染み出て来る地下水を利用して段々畑や棚田でFarmingを営んでいるらしい。
そしてWarriorとしては身軽なLight WarriorやBow Userが多く、Spirit Magicの使い手も少なくない。Snow Ice Giant raceやAndroscorpionに負けない、強豪raceのようだ。
……実際、もし仮にHumanがGartlandに攻め込んできたとしても、余程戦力を投入出来なければHumanは敗退するだろう。
何せ戦場になる場所が場所である。Snow Ice Giant raceは極寒の雪山で、Androscorpionは砂漠。そしてGlaistigに至ってはHumanでは歩く事もままならない切り立った壁だ。まともに戦う事も出来ないだろう。
塩水湖の畔に在る町は例外だが、住人がそれぞれの集落に逃げてしまえば良いだけの事だ。
偶然だろうが、Gartlandは戦闘系ChampionやDemi-Godのような規格外の存在以外に対しては、戦略的に優れているようだ。
「「Vandalieu -donoに先に来てもらうのは、うちだ(です)!」」
「Zarzalitt -san、二人とも何故これ程俺に来てもらいたいのか、知っていますか?」
口喧嘩を止めない二人を見て、VandalieuはそうZarzalittに訊ねた。彼は、この誘致合戦がescarlateしない内に止めたかったのだ。
何故なら、二人が「Vandalieuの像を建てる」と言い出すかもしれないからだ。既にMerfolkの集落と、地下塩水湖の畔の町に像が立てられる事になっているのに、これ以上増えては堪らない。
しかし、尋ねられたZarzalittにも心当たりはないようだった。
「特には思い当たりません。不治のDiseaseにかかった者がいるとは聞いていませんし、困窮しているということはないはずです。
Doranezaのように【Demon King Fragment】にInfestされている者も、居ないはずです」
Merfolk族の長であるDoranezaが、一族と同盟を結んでいたDediria達Majin Raceを連れ、 Bahn Gaia continentからGartlandまで逃げるため、仕方なくsealedを解き自らにInfestさせた【Demon Kingのmucus glands】。それをVandalieuが彼女を死なせずに摘出した事は、Gartland中に知れ渡りつつある。
だが、GartlandにはDoranezaが来るまで【Demon King Fragment】自体が存在しなかった。
Povaz達元Demon King Armyの四神は、【fragment】の元となったDemon King Guduranisが破れた直後に逃げ散っている。倒された後Bellwood達に肉片ごとにsealedされたfragmentを入手する時間は無かった。
その後起きたVidaとAldaの戦いでも、Povaz達は戦い自体に関与していなかったので、Vida's Factionが守っていた【fragment】を奪う機会も無かった。
尤も、もし手に入れていたとしてもPovaz達はGartlandを創る前に【fragment】を放り捨てていただろう。
Guduranisのrevivalを望んでいる訳ではなく、『Evil God of Joyful Life』Hihiryushukakaや『Evil god of release』Ravovifardのように独自の勢力を築き、このworldのGods全体と敵対し続けるつもりもない。
Povaz達はVida's Factionに迎えられるのを待ち、それまでVida's New Racesを密かに匿いながら守護し続ける事を選んだ。そうである以上、【fragment】はWeapon Equipmentとしても使えないただの危険物でしかない。
それは後に合流したZorzaceibaとGiant race達にとっても同じだった。
そのためGartlandには、【Demon Kingのmucus glands】しか【fragment】は存在しない。
他にZarzalittが思いつく事と言えば、地上にいるAlda's FactionのDemi-God達だが、それも今すぐどうにかしなければならない程切迫した事態には陥っていないはずだ。彼等がGartlandの存在に気がつき、今日明日にでも攻め込むと言う訳ではないのだし。
それに、Vandalieuを態々自分の所に連れ込む意味がない。
そうZarzalittが悩んでいると、ZolkとFeltonia自らVandalieuを誘致したい理由を口にした。
「「次のConcertのVenueは譲らん(りません)!」」
どうやら、誘致してVandalieu自身に何かしてもらいたい訳ではなく、自分達の集落でConcertを開いてほしかったようだ。
「想定していたより、Kanako達は観客の心を掴んでいるようですね」
そう言うVandalieuだが、ZolkとFeltoniaは重度のIdol fanになった訳ではない。Concertに付随するGuidanceを、できるだけ速く自分達の一族にもたらそうとしているのである。
body part Abilityがincreaseし、levelが上がり易くなり、skillの取得補正も手に入る。しかも、VandalieuのGuidanceは対象が広く、WarriorやMageだけではなく一般人にも有効だ。
body part Abilityが上がり、skillが取得しやすくなれば非戦闘員の仕事の効率が上がり、生活が豊かになる事に繋がる。職人Apprenticeが通常の何倍も速く腕を磨いて一人前になるのだから、その経済的な効果は計り知れないのだ。
「しかし、それは俺よりKanakoに言うべきではないでしょうか?」
「そうですよーっ! 何でわたしを居ないもの扱いするんですか!? 【Continuous Shooting】!」
そう言いながらKanakoは、Tyrant Madman達に向かって何本もの矢を射かけた。
BClass Dungeon『Citadel of the Five Gods』を攻略中のVandalieu達だったが、実際にmonstersと戦っているのは会話に参加していないKanako達だった。
「そもそも、何でVanは戦わないんですか!?」
「そう言えば、BorkusやJeenaも居ないな。まあ、俺は初めて見るmonstersと戦えて楽しいからいいんだけど」
「じゃあ、Madman系はキミに全部任せていい?」
「そう、ありがとう、Doug」
泥のような肌と、fangsが並んだround口だけの頭部を持つ人型のmonsters Madman。その中でも、五万年前まで最も強いとされていたTyrant Madmanである。その強さはRank5で、BClass Dungeonに出現するmonstersとしては規格外にweak。そして既にBClass adventurer以上の力を持つKanako達にとっては、大した敵ではない。しかし、常に粘度の高い体液を肌から分泌しており、その体液がヘドロと同じ悪臭を放っているのだ。
「いや、それは流石に……くそ、さっさと倒すか。【Hecatoncheir】!」
「同じヌルヌルでも、Van -kunの方はいい匂いなのにね。Breath行くよー」
「分かった。返りbloodは私が防ぐわ」
体液で汚れたくないKanako達は遠距離攻撃主体で戦っていた。
五meter程の巨体で迫ってくるTyrant Madmanを、Melissaの【Aegis】で作った絶対防御のbarrierで押し留める。
その間にKanakoの弓、DougのMental Powerで操っているVandalieuから以前貰った彼の腕、そしてPrivelのtentacleの先端に付いたDragonの頭部が吐き出すIce Breathによって、Damageを与えて倒していく。
Vitality旺盛で【Physical Resistance】や【水・Earth-Attribute Resistance】skillを持つTyrant Madmanも、その猛攻には耐えられず、一匹、また一匹と数を減らしていく。
「いや、Kanako -san達に声をかけなかったのは、戦闘中に話しかけては邪魔だろうと思っただけで、決して無視していた訳ではなくてですね……」
「ええ、Championの残した言葉に、将を射るにはまず馬からという言葉がありますし、Kanako -san達を招くためにはVandalieu -donoをまず誘う事かと思いまして」
どうやら、Vandalieuは馬であるらしい。
「ひひーん」
「似せる気のない声真似するな! 見たくなるだろ!?」
「でも、結構的を射ていますね。VanがConcertを開く場所を決めたら、そうなるでしょうし」
Concertを開くには、Vandalieuの意思決定が必要だ。先日のGartlandで初めて行われたConcertでは呼ばれなかったが、移動VenueのKnochenに、照明や伴奏を行うDemon King Familiarの運用にはVandalieuの協力がかかせない。それに、衣装でもあるTransformation Equipmentは彼の手によるものだ。
certainly Venueに使える舞台か、舞台を準備する時間と資材、そして演奏者の手配が出来ればKanakoだけでも開けるが……Snow Ice Giant raceが暮らす寒冷地帯や、Androscorpionが暮らす砂漠にStageがあるかは微妙だ。
そして、Kanakoはあまり長くMoksiの町を開けられないので、時間は限られている。
そこまで事情を察した訳でないが、ZolkとFeltoniaは「やはり」と頷いて、Zarzalittの背に乗るVandalieuを再度見つめる。
「やはりそうなのか。では、我が故郷に立派な像を――」
「ええ、我々Androscorpionが暮らす砂漠に大きな像を――」
「あの、それは誘い文句にはなりませんよ」
「「像を建てないので、よろしくお願いする(します)」」
「Kanako、schedule空いていませんか? 詰まっているようなら、俺一人でも歌ってdanceます」
Jullak 町長から自分の像が建てられると知った時のVandalieuの反応を聞いていた二人は、像を建てない事を誘い文句として利用していた。
「Van -kunが一瞬で陥落した!? しかも歌って踊る事も辞さないの!?」
「……逆に見てみたいわね、そのStage。歌っていうよりも朗読になりそうだし、Demon King FamiliarだらけでConcertなのかhorror showなのか分からない有-samaになりそうだけど」
驚きながらも、Tyrant Madmanを倒していくPrivel達。Dougが【Demon King's Claws】や【exoskeleton】に覆われたVandalieuの腕で、最後の一匹のトドメを刺して戦闘は終了した。
「それで、肝心の何で俺達だけ戦っているのかって質問の答え、まだだったよな?」
若干荒い口調でそう尋ねる彼に、schedule調整を始めようとしているVandalieuの代わりに、Zarzalittが答えた。
「それは、あなた達にtunnel工事中に出現するだろうmonstersに対処するだけの力があるかどうか確認するためです。
工事はVandalieu -donoが居ない間も続くそうなので、彼以外の者の実力も念のために知っておきたいと思いまして。
ちなみに、Borkus -dono達が居ないのは、彼等はRank10以上だと聞いたので、証明するまでもないと考えたからです」
Gartlandの壁や天井の岩からは、worm系や蟻型、mole型のmonstersが、濡れた土からはMadmanのような正体不明のmonstersが出現する。そして土や岩自体がGolemと化し、遥か昔の化石がUndead Transformationする。
それらのRankは低く、日常的に現れるのはRank1や2。日頃から鍛えているVida's New Races達にとっては、簡単に倒せる雑魚でしかない。
しかし極稀にRank5のTyrant Madmanの群れや、Giantな大食い芋虫であるGluttony wormが出現し、数百年から千年に一度、Rank7以上のmonstersが現れる。
この『Citadel of the Five Gods』は、Gartlandに出現する高Rankのmonstersと戦うためのDungeonなのだ。現在はCClassからBClassへ難易度がincreaseし、Rank7以上のmonstersが出るようになったが、それでもtunnel工事の際に出現するmonstersと戦う予行練習には丁度良い。
「なるほど、そう言う事か。じゃあ、五階までVandalieuだけで戦っていたのに、途中から変わったのは、蟲に懐かれ過ぎて、攻略にならないからじゃなかったのか」
このDungeonに出現する蟲系のmonstersは、現れる端から次々にVandalieuにTamerされていった。
坂道を登っていたら、壁からGiant Pill Bug、Gart Ballが出現して轢かれ、かと思ったら蟻型のmonstersであるGart Antから口移しで蜜を献上され、Gart wormには巻きつかれ、Gart Spiderからは強制的に巣に招かれたりした。なお、全てGartlandでしか確認されていないmonstersで、 Bahn Gaia continentで確認されている似たmonstersよりRankが1高い。
……彼等が出現した時、【Danger Sense: Death】に全く反応しなかったので、もしかしたら蟲達はVandalieuの前に現れる前から勝手にTamerされていて、飼い主にじゃれ付く犬のように飛び出して来ただけかもしれない。
それはそれで恐ろしい話だが、今は全員Vandalieuのshadowの中である。
「まあ、それもありますけどね。力はもう十分証明できたでしょうし、そろそろ交代しますか?」
「いや、切りが悪いから次の中ボスまでは俺達がやろう。最近body partが鈍っていたし」
Vandalieuの提案をDougは断るが、彼だけではなくMelissaやPrivelも同意見のようだ。
「Concertよりは楽だからいいわ」
「まだちょっと物足りないしね。それとVan -kun! 四本足も悪くないと思うけど、ボクは八本なんだからね!」
ピシッとZarzalittに釘を刺すPrivel。彼女の言葉を聞いて、Zarzalitt達三人はVandalieuに驚いたような顔を向けた。
外のworldでは脚の形や長さではなく、数の多さが魅力に繋がるのか!? そんな思いが込められている。
「はいはい、分かっていますよ」
Vandalieuが否定しない!? 彼女の言葉は真実だったのか!? そんな驚愕を三人は共有していた。
「さっきの言葉、絶対誤解されてると思いますよ。まあ、面白そうだから解かなくてもいいですけど」
Kanakoはそう言って、Doug達の後に続いた。
その後、彼女達は後悔する事になる。
何故ならこの後、Tyrant Madmanを超える真のMadman系最強種、Rank8のAbsolute King Madmanが、恐ろしい量のmucusを纏ってDungeonの中ボスとして出現したからである。
『Citadel of the Five Gods』で実力を示したVandalieu達は、tunnel工事を開始した。
tunnelの大きさは、出現したmonstersと戦う事も考えて、Borkus達Giant raceが三人並んでも不自由なく戦える広さと高さにした。二車線道路も楽々敷ける規模のtunnelになりそうだが、monstersと戦いになって無茶をして崩落したら事なので、広さには余裕を持つ事になった。
だが、工事だけをしている訳にもいかないので、Vandalieuは体制を整えるとAlcremに戻り、shadow武者を務めたKühlやDarcia達と合流した。
そして現在ただの荒野と化している『Holy Wastelands』跡地に再建する、Borgadon templeに関する会議をTakkard・Alcremと行った。
templeの外観は以前のものからあまり変わらないようにし、しかし内装と装飾、Idol Statueを大きく変える事は既に決まっている。Gordi達Camouflage Humanの巣窟だった居住区はcertainlyだが、一般のbelieverが祈りに来ていた通常のtemple部分もである。
以前のtempleでは、BorgadonはAlda's Factionの神として祭られていた。BorgadonのIdol Statueの他にも、Great GodであるBotinや他のAlda's Factionの土attributeの神、そしてGodsの長であるAldaや、Heroic God Bellwoodの像やreliefが祭られていた。
それを全く逆に、Vida's Factionの神としてBorgadonを祭るtempleに変えるのである。
Botinを祭るまでは同じだが、Vida's Factionに付いた土attributeの神と、AldaではなくVidaの像と更にRicklentとZuruwarnのreliefを建立する。
そして、BellwoodではなくBotinが選んだChampionであるHillwillowの像を建てるのだ。
これまで、『Fallen Champion』とされてきたZakkartだけではなく、Production related Champion達はtempleで大々的に祭られる事はなかった。精々、それぞれのChampionを選んだGreat Godのtempleで、十万年前のMythを記したreliefや絵画が飾られているぐらいだ。
恐らく、AldaやHeroic GodとなったChampion Bellwoodを信仰する勢力が幅を利かせているため、another worldの知識や技術を導入しようとしたProduction related Championを信仰する事は避けたのだろう。
そんな中Hillwillowの像をtempleに建立することは、Vida's Factionにとっては大英断であり、Alda's Factionにとっては歴史に残る暴挙だ。Godsの反応は地上に生きる人の子には想像するしか出来ないが、同じ人の子の反応は想定できる。
Alcrem Duchyの人々の多くは驚くだろうし、Dukeに反抗的なNobleは政争に利用できる格好の材料として扱うだろう。そしてAlda believerは穏健な者であっても、良い気分はしまい。Clergymanではない日和見主義のDukeが、Alda Reconciliation Factionの次はVida's Factionにおもねるつもりだと思うに決まっている。
Takkard・Alcrem Duke個人だったら、絶対にしない判断だ。しかし、ここ最近髪が豊かになり、肌の張りも取り戻し若返ったように見える彼は、Vandalieu達の要望を二つ返事で受け入れた。
何故なら、非公式にだがVandalieuが、ひいてはVidal Magic Empireの後ろ盾が自分にある事を確信し、-sama々な形の援助が期待できるからだ。
それに、Duchyの極端にreligionが強くない普通の人々は、驚いてもすぐ順応するだろうとconjectureされた。Borgadon templeは大きく変わったが、それ以外のtempleには表面上何の変化もないし、何かを強制される訳でもない。
そして本来なら最も強固に反抗しそうなBorgadonのClergyman達は、全員Camouflage Humanだったので死んでいる。
そのため、会議で問題になったのは二つ。一つは、Hillwillow像のdesignだった。これまで、少なくともここ一万年は誰も像を創っていないので、神や偉人のようなお決まりのimageが存在しない。
本人と面識のあるBorgadonやVida達にVandalieuがどんな姿だったのか尋ねてもいいが、どんなに本物に近づけても見る者がHillwillowの像だと分からなければ意味がない。
そこで、Bellwoodを主役として残されたlegendにある描写に、Botinが彼に与えた専用のMyth Class装備を装備させたHillwillowの姿の像を作る事となった。
そしてもう一つの問題は……会議の中休みに昼食としてVandalieuが出した灰色の肉のsteakが、『Evil God of Cannibalism』Zeezoreginの憑代の肉だった事である。
Duke曰く、「大変美味だったが、出す前に言ってほしかった」との事だった。
そしてArthur達を加えたVandalieu一行は、予定以上に長く滞在する事になったAlcremから旅立ち、Moksiの町へ戻るのだった。
Vandalieuを乗せた馬車が街道から外れ、森の中に消えてから数分が経った頃。Demon KingのContinentの沿岸では『Rock Giant』Gohnが苦虫を噛み潰したような顔をして空を見つめていた。
『……やはり来たか』
青い空を飛ぶ、Cuatro……そしてその横には肉で出来たGiantな球体と、それに乗るMajin Raceの男。そして……SunlightをものともしないVampire。
「Gohn! Blateo! Madroza! Vandalieu -donoがBotinの魂を喰らうに違いないなどと、勘違いも甚だしい! そのような理由で我らの前に立ちはだかるのなら、かつての戦友と言えど容赦は出来ませぬぞ!」
「儂としては立ちはだかってもらわんと困るがな! ようやく回って来た出番だ! 思う存分暴れさせてもらわんと、割に合わん!」
『人を足場にして言ってくれるよ、まったく』
既にpump upしているZodに、Boundary Mountain Range内部のMajin Raceの王Godwinが、Legionに乗って攻めて来たのだ。
『Zodめ……狂ったVidaだけでは飽き足らず、Demon King Fragmentを集め神の魂すら喰らうVandalieuの走狗に成り果てるとは! 容赦できぬのは、儂等の方だ!』
『突出してはなりません、Blateo。それよりもまずあの船が本物か、前回のような偽物なのか見極めなければ』
『だが、そのためには仕掛けなければならん。行くぞ、本物だと分かるまでは爆発に警戒するのを忘れるな!』
こうして三戦目の火蓋は切られたのだった。