Gohn達を倒すよりも先に、Botinのsealedに直接到達し、sealedを解く。
このtacticsの目的は、Gohn達に追い詰められていると気がつかれず、AldaにBotinの守りは維持されていると誤認させたまま、Botinに施されたsealedを解く事にある。
正面から戦っても、Vandalieu達はGohn達を倒す事が出来る。かなりの激戦になるし、消耗もするだろう。それに生半可な実力の者は、戦いの最中で散る事になるかもしれないが。
それ以外の方法で、Gohn達をTrapに嵌めて倒せば犠牲も出ないかも知れない。しかし、追い詰められたGohn達が、そしてAldaが無茶をする可能性がある。
何故なら、Gohn達はVandalieuがBotinのsealedを解きに来たと考えてはいない。Botinの魂を喰らうために来たと思い込んでいるからだ。
今までVandalieuに魂を喰われたSubordinate Godの損失は、かなり痛いが替えが効かない訳ではない。数千年から数万年の時が必要だが、believerの中から神に至る資格がある者を選び出せば、数は戻る。
しかし、BotinのようなGreat Godの替えを育てるのは不可能に近い。仕組みとしてはSubordinate Godと同じだが、Great Godに至る程のHumanはまずいない。Subordinate Godとなってから、更に成長してGreat Godの領域に至る可能性もあるが……それは十万年程度の時間では不可能だ。
Championの一人であり、Adventurer’s GuildのFounderであるFarmoun Goldが、未だに『War-God of Fire and Destruction』Zantarkに戦闘力以外では追いついていない事からもそれは明らかである。
だからこそ、Botinが目覚めれば自身を支持すると考えているAlda達からすれば、彼女を失うのは何としても防がなくてはならない。
そのため、追い詰められればVandalieuを倒す為に何でもする可能性がある。
人跡未踏の地でDevil Nestsが広がらないようmonstersを間引きし、邪悪な神やDemon King Fragmentなどのsealedを守っているため、Defense Corpsに参加させられなかったDemi-Godをかき集めるのはcertainly、Alda自身がPseudo-Divine Realmを利用してAdventする可能性もある。
それらと戦いながら、Botinに施されたDemon Kingのsealedを解くのはVandalieuとしても避けたい事態だ。
……それに、解放されたBotinが本当にVidaのallyをしてくれるかも分からない。『Goddess of Water and Knowledge』PeriaはJulianaにblessingsを与え、Botinのsealedを解くようOracleも授けてくれたから、まず確実にVida's Factionに協力してくれるはずだ。
しかし、Botinに関しては判断材料が殆ど無いのだ。十万年前のDemon Kingとの戦いで、今に至るまでsealedされているのだから。
精々、十万年前にZakkartと同じProduction related Championである、Hillwillowを選んだと言う事しかない。
しかし、それでも問答無用でVandalieu達を……Demon King Fragmentをcountlessに宿した存在と、Undeadを敵と見なして攻撃する事はないはずだと、彼女のSubordinate Godである『God of Mountains』Borgadonは保証してくれた。
Botinは大地Mother Godでもあるので荒々しい一面を持つが、職人のPatron Godでもある。怒る事はあっても短気なGoddessではないとの事だ。
「このGartlandはDemon KingのContinentの三分の一の面積があります。Botinのsealedを避けるようにして、ちょっとContinentからはみ出ていますが。
しかし、壁から掘り進めばsealedされているBotinに繋がるtunnelが掘れるはずです」
まだ応援goodsの鉢巻きを締めたままのJullak 町長にVandalieuがそう語ると、彼は「確かにその通りです」と頷いた。
「しかし、壁の岩盤は硬いですし、何万meterも掘り進めなければなりませんよ。それに、地中のmonstersが途中何百何千と出現するでしょう。
私としては、Gartlandの平和が脅かされるような事業は認められない。今の私は素晴らしいStageを見た事で、気分が高揚していますがそれは譲れません」
広大な地底spaceに存在するGartlandは、地上とは環境が異なる。雨は存在するが、台風や竜巻、雷に悩まされる事はない。大きな地震が起こる度に天井や壁の崩落が起こる。
Patron God達が創り、支えているGartlandでは大規模な崩落が起こる事は無い。しかし、全く崩れない訳ではなく、最大で家程の落石が幾つも降ってくる。
今まではそれらをmagicやMartial Artsで撃ち砕くなどして対処してきた。しかし、Vandalieuが大掛かりな掘削作業をすれば、それでは対処できない程大きく天井や壁が崩れるかもしれない。
「掘削作業に関しては細心の注意を払って行います。Povaz達と定期的に相談し、天井や壁のconditionを確かめながら進めます」
「なるほど。それなら安心ですね」
Vandalieuに導かれているJullakは、あっさりVandalieuの言葉を信じた。彼がGodsと直接対話できる事を知っていたし、Gartlandの住人の内何人かが謎's Divine Protectionを、「ヴ」だったり、「ァ」や「ン」、「ダ」に「ル」や、更には「-」がつく存在から与えられた事を知っていたからだ。他ならぬ彼自身もその一人である。
「では、現れるmonstersに関しては……退治に不安はありませんが、大規模な爆発などは起こさないでくださいね。どんなmonstersが出現するのか、今までのrecordを纏めた物をお渡しするので。
後、念のために同じmonstersが出現するDungeonでmonstersを退治して見せてください。皆もそれで安心するでしょう」
「分かりました」
こうしてGartlandからBotinがsealedされている場所を目指す、掘削事業が始まった。
「ですが、その前に、各raceの集落に挨拶回りに行こうと思うのでintroduction状を書いてもらえませんか?」
JullakはGartlandの地底塩水湖の畔にある町の長であって、Gartland全体の長ではない。
Gartland全体にimpactが出る事業を行うのだから、他の重要人物にも話を通しておくべきだろうとVandalieuは思っていた。
「Snow Ice Giant raceの長のZolk -donoなら、私と一緒にConcertを見た後、何故かBorkus -donoと酒場で飲み比べの勝負をすると言っていましたよ。AndroscorpionとGlaistigの長は、明日にはこの町に着くそうです」
しかし、どうやら長の方からこの町に向かっているらしい。
「恐らく、GodsからOracleがあったのかと。地上で何か起こっているのは、我々も気がついていましたから」
どうやら、Vandalieu達が訪ね歩く必要はないようだ。
Gartlandで掘削事業がスタートした頃、Amid Empireの都市の一つである、Marme Dukeの領都では火の手があがり、人々がscreechをあげていた。
「金貨よっ! 金貨が降ってきたわ!」
「拾えー! 拾うんだ!」
ただし、あがっているのは喜びのscreechだが。
みすぼらしい衣服を着た、やせ細った人々が空から降ってくる金貨や宝石を夢中で拾い集めている。
「幾らでもあるから喧嘩しないでねー。はいはい、今度はこっちに撒くから、下に居たら危ないわよー」
そう言いながら、midairに浮いている覆面を被った女が金を惜しげもなくばら撒いていく。顔を隠しているが、体格から見てDwarfらしい彼女は、Slum街を移動しながら適度に金を撒いて行く。
「お恵みだ、お恵みだ! ありがてぇ!」
「ええい、あの女を早く射落とせ!」
ありがたがる者がいる一方、女Dwarfに向かって矢を射かける者達もいた。この都市の治安を守るGuard達である。
「義賊気取りの盗人が! それはMarme Duke -samaのpropertyだぞ!」
そう言いながら矢を射かけるGuard達だが、女Dwarfの舞うような動きを捕える事が出来ず、矢は女の背後の建物の壁にthrust刺さるだけだ。
「だから撒いてるんだって。って、危ない! 【Dancing Wind Kick】!」
女Dwarfが蹴りを放つと風が巻き起こり、金貨を拾っている者達に向かっていた矢が吹き散らされた。
更にその風を受けて、Guard達が堪らず転倒する。地面に転がる彼らに向けて、女Dwarfは怒声と共にbloodthirstを叩きつけた。
「危ないでしょ! 狙うならあたしにしなさいよね! じゃないとこの場で殺すわよ!」
「ヒィッ!? この気迫……それに今の【Unarmed Fighting Technique】のMartial Artsは! まさか『Storm of Tyranny』の――」
「詮索無用!」
『Storm of Tyranny』のMeldinは、自分達の正体を当てかけたGuard達の隊長に向かって、再度蹴りによる衝撃波を飛ばして、死なない程度に蹴散らした。
その頃Slum街から離れた表通りのOpen Plazaに面したAlda templeでは、惨劇が起きていた。
片手でTemple Headだった肥満体の男の首を掴みぶら下げている、muscleの塊のような男。彼に向かってCleric-warrior団が驚愕の叫びを挙げた。
「BAKANAっ! 何故、何故聖なる光が効かない!?」
「奴は本当にVampireなのか!? Kijinか、Giant raceなのではないのか!?」
「おやおや、相手のraceを間違えるとは失礼な方々ですな。私は見ての通り、凡庸なVampireに過ぎませんぞ」
Zodこと、Abyssal Pure-breed VampireのZorcodrioはそう言いながら、Temple Headの首を握り潰した。飛び散る鮮bloodに笑みを深くする。
「し、Temple Headをよくも!」
「idiot者っ! 奴に近づくな!」
首から上が無くなったTemple Headの姿に激高したCleric-warriorの一人が、Maceを振り上げてZodに向かって挑みかかる。
「【Super Instant Response】! 【-Surpass Limits-】! 【Familiar Spirit Advent】! 【重剛壊】! 死ね、filthy damn monster!」
【Armor Technique】のMartial Artsやskillでbody part AbilityをEnhanced (1)し、更にFamiliar Spiritをその身に降ろしたCleric-warriorが、【Club Technique】のMartial ArtsをActivateさせてMaceを振り下ろした。
それはZodのBodyに確かに減り込んだ。Cleric-warriorの顔に、やったかと笑みが浮かぶ。
「私のbody partに傷をつけるとは、中々の一撃ですな」
だが彼の必殺の一撃は、Zodにとって掠り傷程度のDamageしか与えられなかった。
Cleric-warriorは目を見開き、顔からbloodの気が失せていく。
「くっ、何でもいいから奴を攻撃しろ! 隙を作るんだ!」
Cleric-warrior団の隊長らしい人物が、部下を救おうと攻撃を指示する。放たれた【空弾】や攻撃magicを受けて、ZodのBodyが、小刻みに震えだした。
それをCleric-warrior達は、攻撃が効いているのだと思い込み、ZodをMaceで殴ったCleric-warriorも隙が出来たと思って駆け出した。そうではなかった。
「ですが、filthy monsterですか。……raceが異なるとはいえ、妊婦や幼子も区別なく弾圧し、時には命を奪うお前達が、私をfilthy monsterと……宜しいでしょう」
Zodの震えは速く、そして大きくなって行く。青白いsparkが弾けた時、Cleric-warrior達は気がついた。あの震えは攻撃の予備動作だという事に。
「monsterらしい振る舞いを見せてさしあげましょう! 【God's Lightning】!」
Zodの怒声と共に【Muscle Technique】がActivateし、彼のmuscleから強烈な電撃が放たれる。それはCleric-warrior達の防御magicや装備をthrust抜け、Bodyを炭化させるのに十分なAttack Powerだった。
ZorcodrioはAbyss Pure-bornであり……十万年前から存在するDemi-Godの一柱。True giantや龍、Beast Kingと同等の力を持つ存在である。
更にVandalieuのbloodによってAbyss Pure-bornに変異した彼に対して、いかに精鋭でも常人が敵うはずはない。
「Zodの奴、かなり荒れてるな。あいつ、嫁とchildが出来てから落ち着くどころか、逆に沸点が低くなってないか?」
「きっと、殺されたのが自分の奥-sanとchild達だったらって考えちゃうんでしょ。Humanらしくていいじゃない。……目的を忘れてそうなのは、よくないけど」
Zodが放った電撃によって、火の手があがりつつあるAlda templeの宝物庫で覆面を被った男女……Dark ElfのDaltonと、ElfにreincarnationしたEvil God (M)のLissanaはそう話しながら目的の物を探していた。
「Humanらしいねぇ……ここにいた大勢のHumanは、殺す時そんな事考えなかったらしいが?」
「それはそれで、Humanらしいわ。悪い意味でだけど。まあ、Humanだしね」
そう言いながら、『Evil God of Degeneration and Intoxication』JurizanapipeのReincarnated BodyであるLissanaは、目当ての物を探した。宝石や金貨の詰まった箱は適当にmagic Backに放り込み、絵画や彫像も少し迷ってから放り込む。
「お前も忘れてないよな、目的?」
「いや、そう言う訳じゃないんだけど、瓦礫と一緒に埋まるのは勿体なくない? あ、あった!」
胡乱気な眼差しのDaltonから視線を逸らした先に、隠しroomの入り口を開ける仕掛けがあった。
「ここのTemple Headも、流石に肥やした私腹と一緒にする訳にはいかなかったか。ええっと、【fragment】は一つだけか。駄賃代わりとは言えシケてんなぁ」
「他はEvil God (M) Evil God (P)のsealedが三つか。【fragment】だけ持って行きましょうか。Evil God (M) Evil God (P)の方は、動かしたらsealedが解けそうだから」
「いいのか? 実はVida's Factionだったりするんじゃねぇの?」
「んー……それはないわね。確認したけど、三柱ともDemon King Armyよ。まあ、実は説得すればこっちにつく奴もいるのかもしれないけど、試みて失敗したらまたsealedするのが手間だし、ここにVandalieuはいないしね」
そして【Demon King Fragment】のsealedだけを手に持つと、崩れそうなAlda templeから脱出した。
こうした重大な犯罪に、領地をEmperorから預かるMarme Duke 家は黙っていなかった。
「貴-sama、おの――!?」
「adventurerふべひっ!?」
「助けて! 金なら幾らでもはりゃげぎ!?」
「誰がadventurer風情だ! 俺は覆面をした謎の暴漢だって言ってんだろうが!」
覆面を被った男によって、次々に黙らされていたのである。向かって来たKnightの頭を拳で砕き、胸板を抜き手で貫き、命乞いをしながら逃げ出そうとしたKnightの足を払い、転倒したところを踏み潰す。
「じ、『Thunderclap』のSchneider! いくら貴-donoでもこんな事が許されると思っているのか!?」
だが、覆面を被った男の正体はKnight達の目には明らかだったようだ。Schneiderは、そう聞いて来たMarme DukeのKnight Delegation Leaderらしい人物に向かって、鼻を鳴らした。
「許さなかったらなんだ? 俺を捕まえて牢獄に繋いで、公開処刑にでもするのかよ?」
「くっ! き、貴-sama……!」
Provocation的な物言いに、Knight Delegation Leaderは悔しげに顔を歪めながらも何も言い返す事が出来なかった。
Schneiderが暴れているのは、Marme Duke 家の城だったからだ。
彼等は不意に襲ってきた訳ではない。突然現れた『Storm of Tyranny』達は、それぞれ隠れる事なく、真正面から殴り込みに来たのだ。
SchneiderはGuardをfaintedさせ、門を叩き壊し、庭園にmagicを雨のように降らせ、出てきたKnightをslaughterした。
そして今に至る。
当然Knight達やMageはSchneiderを止めようと……はっきり言えば殺そうと試みたが、無駄に終わった。
隊列を組んだMageとKnightの攻撃magicと【Archery】のMartial Artsによって撃ちだされた矢が降り注いでも、元AClass adventurerの護衛達が束になってかかっても、Schneiderを止める事は出来なかったのだ。
Knight Delegation Leaderの脳裏に、「強制力のweak ruleは、圧倒的な暴力の前に意味をなさない」という言葉が過ぎる。
上位のadventurerは、並のHumanでは束になっても敵わない戦闘Abilityを持つ。戦いは数と言う本来なら常識のはずの法則が、当てはまらない連中だ。
そんな者達が一度犯罪に走ったら、為政者はどうやって彼らを拘束し罰すればいいのか? それは多くの者達が考えて来た。
同程度の武力を為政者側が持つ事や、Adventurer’s GuildとのCoordination、上位のadventurerに社会的な地位を与える等、体制側に取り込む試み等が、その結果行われている。当然、Marme Duchyでもそれは行われている。
だが元AClass adventurerの護衛達はSchneiderによって倒され、時間稼ぎにしかならなかった。Adventurer’s Guildには伝令を出して、現役のadventurerの協力を要請しているが増援が来る-sama子はない。
そしてSchneider達を体制側に取り込む試みは、成功したと思われていた。
「あ、Aldaに愛されたあなたが何故このような無法者の真似をするのだ!? 何か不満があるのなら、世に訴えたい事があるのなら、暴力ではなく言葉で表し、法で世の中を動かすべきだ!」
「喧しい! 俺は二十ageになる前からずっとVida believerだ! 今日から世に訴えてやるよ、『God of Law and Life』Aldaの教義はおかしいってなぁ!」
「な、何だとぉ!?」
それまでAlda believerだと思われていたSchneider本人からの暴露に、Knight Delegation Leaderはchinが外れる程驚いた。Amid Empireにおいて、気に入らないNobleを表通りで撲殺する等おおよそ蛮行らしい蛮行は全てやり尽くしていた彼だが、それでもVidaのbelieverとは思われていなかった。
何故なら危険なVida's New Races……Majin RaceやLamiaの討伐依頼を真っ先に受け、Alda Grand Templeの前PopeがAldaは彼の身を案じているというOracleを三度受け取っていたからだ。
実際には、Majin RaceやLamiaの討伐依頼を真っ先に受けるのは彼女達を逃がす為で、前Popeが受け取ったOracleは「Schneiderが危険だ」と彼の身を案じるものではなく、「Schneiderは危険だ」と警告する為の物だったのだが。
「あー、すっきりした。これで毎年Alda templeに喜捨を払ったり、収穫祭とか行事の度にtempleで祈る振りをしたり、面倒な事をしなくて済むぜ。
いや~、信仰を偽るのって大変だよな。そのstressですっかり老け込んじまったが、ようやく肩の荷を降ろせる」
Schneiderはすっきりしたと言わんばかりに肩を回して、上機嫌な-sama子を見せている。覆面の下の顔は、晴れ晴れとしているに違いない。
「さて、んじゃあとっとと――」
「待て! Schneider! これを見ろ!」
Knight Delegation LeaderとSchneiderの間に、別のKnightが何かを抱えて飛び出して来た。彼はその抱えて来た何か……若いRabbit-species Beast raceのfemaleの首筋に剣を当てる。
「この娘の命が惜しければ投降し、自らCurseの首輪を嵌めろ!」
AClass以上のadventurerが重大な罪を犯した場合、その罪を裁くために作られた特製のSlaveの首輪が存在する。
人的及び経済的なcostが高く大国でなければ作れない事や、首輪が機能を発揮するためには罪人が自らの意思で……脅迫や毒薬で意識を奪ったconditionではなく、本人の自由意思で呪われる事を了承する契約書にsignし、首輪を嵌めなければならないと言う、かなり実用性の薄い代物だが。
しかし、大国であるAmid EmpireのDukeであるMarme 家にはその首輪が存在する。それを嵌めれば、Schneiderと言えどもただの囚人になり下がる。
「貴-samaっ、何を考えて――」
「Delegation Leaderは黙っていてください! どうした、Schneiderっ! 何ならまずこの女の邪魔な耳を切り落としてやろうが!?」
「い、いやぁ! 助けてっ、助けてください!」
Knight Delegation Leaderの制止を遮って、KnightはRabbit-species Beast raceのfemaleの耳を切り落とすと宣言し、femaleはhorrorのあまりscreechをあげて助けを求める。
それに対してSchneiderは言った。
「やってみりゃぁいいんじゃねぇか? 何なら両方とも一度に、スパッとよ」
兎の耳を手で一つに纏め、もう片方の手で切断するジェスチャーまで交えて。
「な、何だと!?」
Schneiderの返答にKnightは驚愕に目を見開いた。
「出来ないのか? じゃあ、俺が代わりにやってやるか」
「「っ!?」」
そして、Schneiderは一瞬でKnightとfemaleの眼前に踏み込むと、腕を振った。
「【Single Flash】」
【Sword Technique】のMartial ArtsがActivateし、SchneiderのknifehandによってKnightとfemaleのbody partが切り裂かれる。
「ぐああああっ!?」
だが、若いRabbit-species Beast raceのfemaleの口から出たのは絹を裂くようなscreechではなく、太い男の断末魔の叫びだった。姿も床に崩れ落ちる前に、黒い短剣を握った若いHumanの男に変わる。
「な、何故気がついた……?」
胸から大量のbloodを流しながら訊ねるKnightに、Schneiderは事もなげに言った。
「幻術で頑張ったようだが、Rabbit-species Beast raceの体臭がしなかった。それに、お前が現れた時、あの胸の大きさなのに揺れないのはおかしい。
若造が、俺が何年女好きをしてると思ってんだ?」
幻で声まで偽った仲間を人質に見せかけ、自分が殺されても仲間がCurseの短剣で始末する。決死のtacticsをそんな理由で見破られたKnightは、「無念っ」と呟いて倒れた。
「idiot者が……そんなtacticsが通用する男ではないと言うのに。だが、よくやった」
目の前で部下が倒されたKnight Delegation Leaderはそう言いつつも、剣を抜いた。
「あの『Thunderclap』のSchneider相手に十秒以上稼いだのだ。Aldaもお前の働きを認めるだろう。
さあ、次は私の番だ! 立ち会ってもらうぞ、Schneider!」
「いや、別にあんたはどうでも良いんだ。もう殺す予定の奴は殺したし」
「な、何だと!?」
決死の覚悟でSchneiderの足を止めようとしたKnight Delegation Leaderに対して、Schneiderは手を振った。
「いや、俺達の目的はもう済んだからな。あのとっ-chan坊やのガキ、新Dukeならとっくに逃げたから、あんたが命を張って時間を稼ぐ必要もないぜ。
そこでfaintedしてる若造共を拾って、どこかに行けよ。……いや、俺が引き上げりゃいいのか」
そう言いながらSchneiderは踵を返し、Knight Delegation Leaderに対して背を向けて歩き去って行こうとする。
「どう言う事だ、確かに生きている!? 我々を見逃すと、情けをかけると言うのか!?」
胸板を切り裂かれた事で出blood量は多かったが、今はfaintedしているだけの部下のKnight達にpotionをかけながらKnight Delegation Leaderが叫ぶが、Schneiderは「勘違いするな」と答えた。
「今のsponsorが殺しに厳しくてね。巻き添えはExtreme Strength none、殺すに足る理由の無い奴も殺すなって言うんだ。Amid EmpireのDuke本宅とAlda templeを襲撃してだぞ。
ただ、『殺すに足る理由』についての判断は一任するって言うんで、引き受けた。あんたは先代のidiotを諌める役回りだったし、その若造は見たところまだ新米だから大した事はやらかしてねぇだろうから、殺す理由が無い」
Zodが襲撃したAlda templeのTemple Headやtemple Warrior達は私腹を肥やし、weak立場のVida's New Racesの者達を迫害していたので、殺した。
Guardは上の命令に従っていただけだろうから、とりあえず殺さない。
他に殺したKnightは、前にVida's New Racesの集落を焼き打ちした事のある別のKnight団所属のKnightだったので殺した。
他に殺したKnightやNoble、Mageもそんな理由で殺し、半殺しにした者達は理由が無かったので殺さなかった。
意識のある者のいないmansionの廊下を歩きつつ、Schneiderは自分が空けた壁の穴の向こうから、大きな音が響いて来たのを聞いてむっと呻き声を漏らした。
「Zodの奴、雷を落としたな。templeが倒壊するのは構わないが、火事になったりしないだろうな?
【God Iron Form】、【Flame Iron Arm】」
不意に【Armor Technique】のMartial Artsとmagicを使って腕をEnhanced (1)したSchneider。次の瞬間、風が虚空を裂いて彼の腕に一筋の切り傷が刻まれた。
「……相変わらずの出鱈目ぶりだな。俺の剣を素手で受けて掠り傷とは」
そしてSchneiderの視界に、突然片刃の長剣を下げた壮年の男が現れた。
「俺にMartial Artsも使わず傷をつけておいて、どっちが出鱈目だ。確か、今は四剣だったか?」
「明らかに貴-samaだ。俺が十剣だった頃から容姿が全く変わっていない。Humanではないなと確信していたが、寧ろ貴-samaがparty唯一のHumanとはどう言う事だ?」
壮年の男の正体は、Amid Empireが抱える秘密部隊『Fifteen Evil-Breaking Swords』の一人、『Phantom Killer』のLeonardo。
Commanderである零剣を除けば、現存するmemberで最も長く十五剣を務めている男だ。
「唯一って、MeldinはDwarfで、LissanaはElfだろ。それにDark ElfもHumanの内に入れろよ、Alda believerが。……まあ、ZodをHumanに数えられない気持ちは分からんでもねぇけど」
「戯けが。あの娘がElfでない事等、分かっておるわ。貴-sama等は泳がされていただけに過ぎん」
「はっ! 釣り上げる竿も無い癖に、泳がしていたとは言ってくれるぜ。正直に、自分達では対処できないので指を咥えて見ていましたって言ったらどうだ、偏屈爺?」
「フッ、声を荒げるな。ageを取って堪え性が無くなり、攻撃的になったようだな、若作り爺。貴-sama、BaronやViscount程度ならまだしも、帝位相続権を持つDuke 家を襲撃するとは、ただでは済まん事は分かっているはずだな?」
Leonardoの言葉には、Schneider達自身……Adventurer’s Guildからの追放や首に賞金がかけられる事だけではなく、彼と関わりの深い者達の命が危険に晒される事が含まれていた。
『Fifteen Evil-Breaking Swords』ともなれば、Adventurer’s Guildでも把握していないSchneiderの女やchild、友人知人の居場所も掴んでいる。
「おう、やれるもんならやってみな。……もっとも、テメェにあのMountain Rangeを越えられるかは知らねぇが」
だが、Schneider達もそんな事は分かっている。既に彼らの深い関係者は、Amid Empireが手を出せないBoundary Mountain Rangeの内側、Vidal Magic Empireに移住済みである。
「……チッ、定期報告を寄越した部下共は、貴-sama等に寝返ったか」
それをだいたい察したLeonardoは、苦い顔でclicking tongueをした。
「まあな。ああ、何ならちょっとした顔見知りや知り合いでも俺の縁者って事にして吊るすか? だったら、目の前に昔からの顔見知りがいるんで、手伝ってやるよ」
「いやいや、それには及ばんさ!」
SchneiderとLeonardo、【Super Instant Response】や【Lightning thrust】、【八shadow斬】と、お互いにMartial ArtsをActivateさせた二人のshadowが交差した。mansionの壁が余波で切断され、床が砕け、爆発が起きたように瓦礫が周囲にはじけ飛ぶ。
「狙いはDuke 家が秘匿していた【Demon KingのEquipment】とtempleの【fragment】か」
Schneiderのマントの下には、mansionに隠されていた【Demon KingのEquipment】の一つがあった。
「残念だったな。三つあったEquipmentの内の一つしか手に入らんで。残り二つは俺が回収した。templeの【fragment】も、新Popeの命で共に殆どGrand Templeに移送された後だ。
あとは、ついでにDuke達が冤罪や言いがかりでSlaveに堕としたVida's New Racesの解放と言ったところか」
Schneiderはそう語るLeonardoに、「違うね」と答えた。
「俺達の目的はMarme Duke共が権力を笠に着てSlaveに堕としたVida's New Racesの解放! その次に殺し! そのついでに【Demon King Fragment】と【Equipment】を拾って集めていたって訳だ!」
Schneiderの言葉に、てっきり新たなDemon King Vandalieuにfragmentを集めて来いと依頼されたのだろうと考えていたLeonardoの目が、やや見開かれる。
「それじゃあ、あばよ! このまま勝ち逃げさせてもらうぜ!」
そしてSchneiderは、一目散に逃げ出した。既に目標は達成されており、助けたVida's New Races達は安全な所にいる。
なら、一対一で強敵と戦う意味はない。
Leonardoは、正に『Thunderclap』の如く走り去るSchneiderを追いかけようとしたが、深追いは禁物と思い直して立ち止まった。
「俺でも五人一度に相手をするのは無理か。Emperor陛下……新Emperorにも深追いはするなと言われているし」
現Emperorは、未だMashkzarだ。しかし、既に実権は彼の手から離れつつある。
『Fifteen Evil-Breaking Swords』は、既に新しいEmperorに従っていた。その新しいEmperorが、Alda Grand Templeの新PopeであるEileekの傀儡であり、そのEileekも神の傀儡である事はLeonardoの目から見れば明らかだったが……。
「Erwin辺りならMashkzarについただろうが、俺には知った事じゃない。それに、今の立場の方がSlash甲斐のある奴が多い」
Leonardoはそう言うと、長剣にtongueを這わせ付いたSchneiderのbloodを舐め取った。