ある男が狭いroomに監禁されていた。

　程良く柔らかい寝床に、白いシーツ。白い壁に青い天井、そして板張りの床。roomに備え付けられた便所に、与えられた簡素な衣服。全てが清潔だ。

　だがここは監獄である。罪人である男を監禁しておくための。

　男はoriginally、Alcrem Duchyに店を構えるSlave商に雇われていた。仕事は真面目にこなし、雇い主と同僚からも信頼され、稼ぎも悪くなかった。問題は、そのSlave商が違法Slave……mountain banditが攫った人々をSlaveとして買い取って売りに出していた事だ。

　男は雇い主の違法な商売を知っていたし、関わっていた。気分は良くなかったが、世の中はそんなものだと思い込んでいた。

　売られる者達を助けてやろうとは思わなかったし、Guardに通報しようともしなかった。そんな事をしても自分がorganizationに消されるだけだ。

　売られる連中は、運が無かったのだ。殺されるよりは、自分達に売られる方がまだマシなはずだ。自分達が違法Slaveの売買をする事で、mountain banditに殺されるはずだった連中の命を救ってやっている。

　働き出した最初の頃はそう自分を言い聞かせていたが、その内感覚がマヒしてそんな事をしなくても、ぐっすり眠れるようになった。

　だがある日、男は雇い主と何人かの同僚と一緒に攫われ、顔を剥がされた。男はSlave商人の護衛も兼ねており、腕にはそれなりの自信があったが、黒い肌をしたGoblin達に抵抗する事も出来なかった。

　顔をknifeで削がれる激痛のあまりfaintedし、気がついたらこの監獄に入れられていたのだ。

　元通りになっていた顔と、殺されなかった事を喜んだ男だったが、そこからがHELLの日々の始まりだった。

　得体の知れない薬を毎日飲まされたり打たれたりして、幻覚や幻聴等の副作用に悩まされる。それが軽い日には、運動と称して外で半日かけて穴を掘らされ、そして半日かけて埋めるよう強制される。

　運が悪ければ、「教材」として「顔を剥ぐ練習」や「Tortureの授業」に使われる。終わった後は元通り治療されるし、食事や睡眠は確保されているから死なずに……いや、死ねずにいる。

　何処かのorganizationで犯罪Slave同然の扱いをされている。それは男も分かっていた。しかし、これでは話に聞いた鉱山送りの方がまだマシだ。

　男が死を望むようになった頃、彼はいつもの監獄や実験室ではなく、広いroomに連れて来られた。

「#27、体調はどうかね？」

　だだっ広いroomには、男を番号で呼ぶ細身に髭を生やした人物、Luciliano。そして奥の暗がりには幾つものsignを感じる。

「……今日は比較的良いな。今度はどんな薬を打ってくれるんだ、crazy bastard？」

　自暴自棄からProvocation的になっている男は、#27と番号で呼ばれる事に抵抗する意思はなかった。そんな彼に対してLucilianoは「それは結構」とだけ答えて、手元の書類に視線を落とした。

「今日は、-kunに新しい実験に付き合ってもらいたくてね。喜びたまえ、-kunは我々の審査を合格した。

　この実験の結果次第では、-kunをfrom here解放してあげよう」

「……なんだと？」

　疑いの眼差しを向けて来る#27に、Lucilianoはにたりと笑いかけた。

「-kunはこの施設の実験体の中では、比較的マシな部類だ。貧しい孤児院出身で、就職先にあのSlave商人が経営するChamber of Commerceを選ばなければ、もしかしたら真っ当に生きていたかもしれないと我々が考える程度にはね。

　そこで、この実験に協力してくれれば-kunを自由の身に……なれるとは限らないが、まあ監視付きで普通の生活を送れるようにしてもいい」

「……それで、どんな碌でもない実験をするつもりだ？」

　#27は胡乱げな視線をLucilianoに向ける。うまい話にはTrapが在るのが当たり前だ。犯罪Slaveに「解放してやる」と甘い言葉をささやいてやる気にさせ、死ぬ事が前提の危険な仕事をさせると言う話を、彼は職業柄何度も聞いた事があった。

「やる気になってくれたようで、私も嬉しいよ。私も今の内に……私をDungeonやDevil Nestsに連行し、Body的なTrainingに付き合わせ、研究が進まないよう妨害工作を企むBorkusがいない今がchanceなのでね。では、早速実験にかかろう」

　だが、Lucilianoは#27の態度をあまり気にしていないようだ。瞳を狂的な好奇心に光らせて、彼に問いかけた。

「それで、-kunはどんなfemaleが好みなのかね？」

　#27は、Lucilianoが言った言葉がすぐには理解できず、思わず「は？」と聞き返した。

「異性の好みだよ。容姿やstyle、身長、そしてrace。全てに応えるのは無理だが、できるだけ応じる準備がある。ああ、同性が良いと言う希望は実験の性質上叶えられないが」

「な、何でそんな事を言わなきゃならねぇんだ！？　idiotか！？」

　訳が分からず困惑している-sama子の#27に、Lucilianoは「何でって、そりゃあこういう事だからよ」と言って指を鳴らした。

　すると、roomの奥の暗がりから、幾人もの女が現れた。ageの頃は十代から二十代まで-sama々で、Humanが多いようだがDwarfやBeastmen、Giant race、それにElf等の姿も見える。

　だが#27は思わず引きつったようなscreechをあげた。

『ぐるぅぅぅ……』

『ア゛ア゛ア゛ァァァ』

　光の無いどろりとした瞳に、bloodの気の失せた肌。中には首や胴体に縫合した跡がある。そう、女達は全員Zombieだったのだ。

「な、なるほど、俺をこいつ等の餌にするつもりか」

　これから行われるのは処刑を兼ねた実験だ。特殊な薬品を注射した#27を摂取したZombieに変化が起こるかどうか、若しくは男がUndead Transformationした時どんなUndeadになるのか、それを確かめるための実験に違いない。

　#27はそう思った。

　生きたままZombieに貪り食われる。かなり凄惨で苦痛に満ちた死に方だが、このまま薬品漬けにされながらTortureの練習台として生かされ続けるよりは、まだいいかもしれない。

　それに、今まで何人もの罪も無いHumanを今の自分と似たような境遇に落として来たのだ。相応の最期だろう。そう思うと笑えてくる。

「好みなんてねぇよ。何人でも良いぜ、好きなだけ喰わせてやる！」

　一匹や二匹のZombieに喰われるよりも、何十匹ものZombieに喰われた方が速く死ねるだろう。そう思った彼は、そのままLucilianoに答えてしまった。

「それは剛毅な事だ。しかし、全員と言う訳にはいかないからfemale側の好みも聞いて……ふむ、希望者は七人か。まあ、丁度いいんじゃないかね」

　そう言うと、集団の中から手を上げた七匹のZombieが歩み出てきた。Zombie達は#27に近づくと、彼を掴んでroomの反対側へ連れて行く。すると、スポットライトが点灯し、それまで暗くて見えなかったKing Sizeのベッドが出現した。

　Zombie達はそのベッドに#27を押し倒すと、服を脱がせ始めた。

「……は？　な、何のつもりだ？」

　-sama子がおかしいZombie達に困惑する#27。そんな彼に、Lucilianoは答えた。

「何って、これから-kunと彼女達で生殖実験を行うのだが、何か勘違いしていたのかね？」

「せ、生殖！？　生殖ってあれか！？　あれだよな！？」

「もちろん、いわゆる子作りだが」

「idiot bastard！　Zombieとガキが出来る訳ないだろうが！？」

　このworldでは、科学が未発達で顕微鏡も存在しないため、『Earth』のように生殖の過程が解明されてはいない。

　しかし、死んだ畑に種を撒いてもchildが出来ない事は流石に知られていた。

　ただ例外もあり、Life-dead……Life-Attribute Magicで死後間もない死体を強引に生かしているcondition……なら、childを作れる事を知っていた。分類的にはUndeadだが、magicによって鼓動と呼吸をしているので、臓器は生きているからだ。

　だが、今彼の服を脱がす女達の手は冷たく、男に近づけるlipsは蒼白で、見つめる瞳に輝きは無い。死臭は何故かしないが、どう見ても完全にZombieである。

　そんな存在と交わっても、childが出来るはずがない。

「idiot bastard、だと！？」

　だが、何故かLucilianoは激高したように叫び出した。

「-kunは私と師Artisanの魔導技術を愚弄しているのかね！？　既に動物を使ったUndeadと生者の交配実験は成功している！　-kun以外を使った人体実験でも、時間の関係でまだ新生児は誕生していないが経過は良好！　-kunは可能か不可能か調べるためではなく、より詳しいdataを取るための実験に協力しているのだよ！

　以上の事から私はidiot bastardではない！　crazy bastardかcrazy、もしくはMadと呼びたまえ！」

「な、何言ってんだ、こいつ！？」

　#27は怒鳴り散らすLucilianoに、horrorを覚えた。まるで話が通じない、意味が分からない、理解できないと。

　だがそうしている間にもZombie達によって#27は衣服を脱がされ、冷たいBodyが押し付けられ……そして絹を裂くようなscreechがあがった。

「大袈裟だね。何人でも来いと言った時の威勢は何処へ行ったのかね。童貞でもあるま……いや、その可能性もあったか？」

　大勢の半裸の異性を前に舞い上がり、つい大口を叩いてしまった。そう考えると、同じ男としてやや可哀そうな事をしてしまったかもしれないと、Lucilianoもほんの少しだけ思った。

　彼は感覚が一般人から、大きくずれている自覚があった。しかし、Vandalieuにpupils入りする前はHuman社会でややgreyながら社会生活を営んでいたのだ。他人がどう思うか、想像する事が出来る。

　……想像した心理が、当たっているとは限らないが。

「男としての自信をLostし、Emotionalに不能になられると実験に支障をきたしてしまう。とりあえずVigor剤と媚薬の準備をしておこう」

　Lucilianoはその-sama子を観察しreportを書く手を止めて、#27に投与する薬を準備にかかった。

　その後、VandalieuからDemon KingのContinent到達と、その地底worldに到着した事、更にTrue giantと龍、そしてStarfish Beast Kingの死体が手に入ったと聞き、彼の興味は#27の実験からそちらに向かうのだった。

　実験は継続されたが、行為の間中Lucilianoに観察されずに済むようになった事は、#27にとって幸いだったかもしれない。

　その頃のDemon KingのContinent。『Rock Giant』Gohn率いるDefense Corpsは、事前に造り、外から見えぬよう偽装した拠点で、防衛体制を整える為集まっていた。

『……目的は果たした。奴等がsealedされたGoddessに近づくのを防ぎ、守った』

　Gohnは、Aldaの命でVandalieuからBotinを守るためにDemon KingのContinentにDefense Corpsをorganizationした。その目的は、sealedによって身動きが出来ないBotinの魂を、Vandalieuが喰らう事を防ぐ事だ。

　だから、Vandalieuを倒す事が出来ず、それどころか大した損害も与えられずに逃げられたとしても、負けではない。

　寧ろ、追い返す事に成功したのだから、目的を達成した、勝利したと言う事も出来る。

『ぐうううう、俺の脚が……』

『脚の一本や二本でガタガタ抜かすな！　今繋いでやる！』

『Halinshevが虫の息じゃ！　どうにか殻を繋ぎ合わせねば死ぬぞ！』

『う、ううっ、ぐぅぅぅっ……ぬぁぁぁ……』

　だが、仲間達のconditionを顧みれば、とても達成感や勝利の高揚感を覚えられるconditionではない。

　Vandalieuが放った【World Breaker Hollow Cannon】でのSingle Flashに、BorkusやMikhail達の奮闘や、Demon King Familiarの攻撃によって、多くのTrue giantや龍が傷つき、特に『Beast King of Shells』Halinshevは貝殻を砕かれ瀕死の重傷だ。

　Demi-God達のBodyは、その巨体に相応しい強靭なVitalityで支えられている。だが、一日で四肢が生え変わるような再生Abilityを持つ者は少ない。

　certainly、その内再生するが……自然治癒に任せていると数年から数十年、それ以上かかる事もある。

　だからGohn達は懸命に負傷者を治療していた。失ったflesh and bloodを補うために狩ったmonstersの肉を喰らい、千切れた手足を縫い合わせ、海で手に入れた薬効のあるGiantな海藻を包帯代わりにして傷に巻く。

　そして戦いに出遅れた分を取り戻そうと、『God of War Horns』Siriusや『God of War Drum』Zepaonが聞く者の自然治癒力を活性化させる曲を奏でていた。

『……これで、一月もあれば全員元のconditionに戻るはずだ。Halinshev以外はだが』

　愛用の角笛をVandalieuに破壊されたため、口笛で代用していたSiriusが演奏を中断して、Gohnに話しかけた。

『やはり、Halinshevは無理なのか？』

『死にはしない。だが、割れた貝殻は我々では治せない。元通りに戦えるconditionになるまで数十年から百年はかかるだろう』

『そうか……Halinshevの子らへ応援を頼まなければならんな』

　believer達が死後昇華して神やFamiliar Spirit、Heroic spirit等になって加わる神と違い、Demi-God達をどれだけ厚く信仰してもbelieverが死後Demi-Godになる事はない。

　Bodyを持つDemi-God達は、believerを昇華させるのではなく子を作り新たな仲間やFollowersを増やすのだ。

　『Giant God』Zernoや『Dragon-Emperor God』Marduke、『Beast God』Ganpaplio等Great Godは、自然のenergyや自らのflesh and bloodから直接子に当たる世代のDemi-God達を生み出した。そうして、Gohnや『Lightning Giant』Blateo、『Ocean Dragon God』Madroza、そしてHalinshevやRepobillisが誕生した。

　しかし、Gohn達はZerno達程には神秘的な方法で子を成す事は出来ない。そのため、多くの場合同族や他のDemi-Godと子を成す。Age of Gods Eraは、神と交わって子を成した例もある。それだけに、Demi-God達は自身のbloodlineに強い誇りを持っている。

　それを応用したのが、Vidaだ。彼女はDemi-God達と交わり、Demi-Godではなく、Giant raceやBeast race、Ryuujin等の人を生み出した。

　だからこそ、Demi-God達の中にはVida達の行為を嫌悪する者も多い。親よりも力の劣るraceを生み出しただけではなく、仕方なく共闘したとは言え、憎きDemon King ArmyのEvil God (M) Evil God (P)にまでbody partを開いた事に、bloodと誇りを汚されたと感じ、怒りを覚えている。

　GohnもそんなTrue giantの一柱だが、今はVidaへの怒りを封じて、戦力をどう立て直すか苦心していた。

『Repobillisの子等だけではなく、Halinshevの子等からもか。それぞれ最も親に近い子は、親に代わって自分達のFollowersを治めているから動かすのは難しいぞ。Beast Kingの統制下から離れたFollowersがmonstersと化したら、一大事だ』

『それはそうだが……二番目以下に複数来てもらい、数で補うしかあるまい』

　RepobillisとHalinshevのFollowersは多いが、Beast Kingである親と同等なのはDemon King Guduranisとの戦いを親と共に生き残った、それぞれ一個体ずつだけだ。

　他の子等はDemon Kingとの戦いの後に産まれた若い個体だけで、Demi-Godと呼ぶにはweak者ばかり。一体では、RepobillisとHalinshevが抜けた穴を塞ぐ事は出来ない。

『なら、Peria -samaの護衛隊から応援を呼んではどうだ？』

　『Goddess of Water and Knowledge』Periaが眠っている聖域にも、Gohn達と同程度の規模の護衛部隊が配置されている。Periaの腹心である『Goddess of Streams』Pargutaltaは動かないだろうが、龍やTrue giant達は即戦力になる。

『いや、それは危険だ。VandalieuがPeriaを狙わないとは限らん』

　今回VandalieuはDemon KingのContinentに現れた。しかし、Periaの魂を狙っていないとは限らない。

　寧ろ、実は全てVandalieuのtacticsで、Demon KingのContinentにAlda's FactionのGodsの注目を集めておいて、本命はPeriaであると言う事も考えられる。

『しかし、他に救援の当てがあるのか？　時間があれば他のDemi-God達が新たに加わるかもしれないが……』

　GohnはAlda's Factionに属するDemi-God達に、広く声をかけた。だが、全てのDemi-God達が動ける訳ではなかった。

　それぞれ危険なDevil Nestsが広がらないよう抑えていたり、Humanでは攻略が難しい場所に出現したDungeonでmonstersが溢れないよう間引いたり、【Demon King Fragment】や邪悪な神のsealedを守ったりと、Demi-God達も決して遊んでいる訳ではないのだ。

　certainly、事の重大さは理解しているが、それで目を離した隙に重大な事態が起きてしまえば、worldを危険に晒す要因が増えてしまう。

『確かに。……十万年前の戦いでsealedした、Vida's Factionのgiantや龍、Beast Kingを説得してallyに付けられればいいのだが、主に相談できんか？』

『難しい事が分かっているのに尋ねるな。Alda -samaが試みても、連中が首を縦に振るはずがない』

　約十万年前のAldaとVidaの戦いでは、monstersに堕ちずDemi-Godとしての格を保っていたTrue giantの多くはVida's Factionについた。それは生き残っていたTrue giantの内で、最も強かった『Giant of the Sun』TalosがVida's Factionだったからだ。

　そのためGohn達Alda's FactionについたTrue giantは、少数派だった。同じ事は龍にも言う事ができ、『Mountain Queen Dragon God』Tiamatを慕う龍や、その子はほぼVida's Factionについた。

　Gohn達Alda's FactionについたDemi-God達も数としては少なくはない。ただ、全体としては少数派だった。

　だが、戦いにはAlda's Factionが勝った。つまり、戦いの中でsealedされた者だけではなく、死んだVida's FactionのDemi-Godも少なくなかったという事だ。

『親brothersを殺された彼等達が、簡単に改心するとは思えん。奴らの意思を無視して操る事も、可能といえば可能だが……Vandalieuの母親はVida’s Incarnationだ。戦闘の途中で正気に返り、敵に戻る事も考えられる』

　Siriusの説明に、Gohnはならば仕方ないと納得した。originally敵とは言え、同族を操るのは気が進まなかったのであっさりと引き下がった。

　だが、これ以上の戦力を短い時間で集めるためには常道では難しいのも事実だった。

　GodsがHero Candidate達を育てている今なら、Humanを当てにする事も出来るはずだったが……このDemon KingのContinentの位置と環境がそれを不可能にしている。

『まさか、ここにきてNineroadの施策が裏目に出るとはな』

　Demon King Guduranisを倒した後、Bellwood達に率いられたChampion軍はDemon KingのContinentを徹底的に浄化した。よりaccurateに評すなら、破壊と評すべきかもしれない。

　Demon Kingの宮-donoに邪悪なtemple、菌類の森に、黒い砂漠。そうした建造物や土地をChampion軍は徹底的に破壊し、全てただの荒野に変えた。Demon King ArmyのRemnantsやmonstersが利用しないようにと。当時のGohnやSirius、そして今はVandalieuの背後に控えるGufadgarnもそれに加わった。

　結果、十万年前のDemon KingのContinentはmiasmaによる汚染から救われた。……草木一本生えない荒れたContinentになったが。

　しかし、Demon KingのContinentに再びDevil Nestsが発生する事は明らかだった。何故なら、Botinを閉じ込めるDemon Kingのsealedがあったからだ。sealedから僅かに洩れるDemon KingのManaが、miasmaとなってContinentを汚染していく。

　放置すれば、Demon KingのContinentは元通り……いや、元以上のDevil NestsのContinentと化してしまうだろう。

　だがその後、Heroic GodとなったBellwoodも含めてGodsはworldの復興にかかりきりになり、無人で生物が存在しないDemon KingのContinentを気に掛ける余裕を失った。Vidaとの戦いで更に消耗した彼等に、Continentに常駐してmiasmaによる汚染を防ぎ続けるmissionを、果たす事は出来なかったのだ。

　その間もBotinのsealedを解こうと-sama々な努力がなされ、定期的にmonstersを間引き、Devil Nestsを薙ぎ払ったが、全ては徒労だった。Botinのsealedは解けず、Devil Nestsは広がり続けた。

　そして五万年が経つ頃には、Demon KingのContinentの自然は回復していた。ただ、countlessのmonstersが生息するDevil NestsのContinentとしてだが。

　そこでNineroadがある策を思いついた。

『Demon KingのContinentにはZantarkらVida's FactionとDemon King ArmyのRemnantsが潜むDemon continentと違い、我々の脅威は存在しない。それを利用して、あのContinentにworld中のmiasmaを集めてはどうだろう？

　そうすれば Bahn Gaia continentはcertainly、空や海のDevil Nests化を抑えられえるはずだ』

　既にBellwoodは眠りについており、Farmounは出奔していたため、彼女に異を唱える者はいなかった。

　そしてworld中のmiasmaの多くがDemon KingのContinentに集まるよう細工され、多くの地でDevil Nestsの拡大が緩やかになった。

　逆に、Demon KingのContinentは現在のようにDemi-Godでもなければ踏み入る事も難しいContinentになってしまったのである。

『今、あの時の判断をどうこう言っても仕方あるまい。miasmaをこのContinentに集中させた事で、今に至るまで多くの土地が正常に保たれ、Human達が繁栄しているのだからな』

『それはそうだが……ん？　Nineroadの施策……Nineroadか。戦力の足しにはなるか。RepobillisやRadatelと違い、失っても惜しくはないし』

　何かを思いついたらしいGohnに、Siriusは何をするつもりなのかを問い、彼の発した答えに驚いた。prideが高いDemi-Godが思いつくような方法ではなかったからだ。

　しかし、確かに戦力の足しになるかもしれないとSiriusも納得し、AldaとNineroadに報告するためにDivine Realmへと戻った。

『今戻ったぞ、brothers達よ！』

『よく戦ってくれましたね。さあ、これを飲んで少しでも傷を癒すのです』

　Siriusの姿が消えた頃、Blateoと『Ocean Dragon God』Madroza、そしてVandalieuとの戦いに加わっていなかったDemi-God達が戻ってきた。

　彼らは己のbloodから作った秘薬をinjure人に呑ませ、破損した武具を鍛え、代わりの角笛を作り始める。

『弟よ、今その傷も鎧もなんとかしてやるぞ』

『うぅ、兄者……』

　『Iron Giant』Nabangerが、Borkusと戦い深手を負った『Bronze Giant』Luburgに秘薬を飲ませ、鎧の修繕を始める。

　戦力の補充の目途もつき、これで再びVandalieuが現れるまでに体制を整えられそうだ。そう胸を撫で下ろしたGohnに、Blateoが驚くべき事を訊ねて来た。

『それで、何時Vandalieuを追撃するつもりだ？　まさか、このまま逃がすとは言うまいな？』

『な、何を言っている！？　追撃だと、そんな危険は犯せないと言ったはずだぞ！』

　GohnはVandalieu達が海中に逃げた時、無謀にも彼等を追おうとするBlateoをholdstopい絞めにして止めていた。それは海中ではBlateoが得意とするRoaring Lightningが拡散してしまう事と、Vandalieu達に返り討ちに遭う危険性が高いと判断したからだ。

　しばらくしたらBlateoも落ち着き、Madroza達と協力して負傷者の手当てに当たっていたので理解してくれたかと思っていたが……そうではなかったようだ。

『何を言っている！　守るだけでは奴らを倒す事は出来んぞ！』

『その通りです。今回は退ける事は出来ましたが、次は彼等も相応の戦力を揃えて来るはず。こちらから打って出なければ』

　それどころか、MadrozaまでBlateoに同調してしまう。十万年以上前のGuduranisとの戦いで妻を失ったBlateoと同じく、Madrozaも夫を失っている。そのためか、彼女もBlateo同-samaにDemon Kingを激しく憎悪していた。

『それに、倅の仇を見逃せと言うのか！？』

『Zwoldoは、愚かしくも我が子です。この恨みを堪えよと！？』

　何より、直情的な性格が合うのかもしれない。

　だが、そもそもDemi-Godの多くは直情的だ。だからGohnにとっては不味い事に、Blateo達に賛同する声がちらほらとあがり始めた。

　しかし、Gohnとしてはそれを認める訳にはいかない。一緒に彼らを止めてくれただろうSiriusが居ない事を悔やみながら、口を開く。

『idiotを言え！　今から追いかけたところで、Gufadgarnの【Teleportation】で何処かに逃げていたら無駄足だぞ！　それに待ち構えていたら各個撃破されてしまう。

　我々が奴を退けられたのは、数の力があったからこそだという事を忘れるな！』

　もし一柱、若しくは二柱でVandalieu達に挑んでいたら、GohnだけではなくBlateoとMadrozaでもloseいただろう。

　負けるまでにそれなりにVandalieu達を苦戦させ、消耗させ、もしかしたら傷を負わせる事も出来るかもしれない。だが、結局は負けるだろう。

『だが、先程十柱で仕掛けた時、手応えがあった！　戦えている、このままいけば勝てると言う手応えがな！』

『今から動ける者全員、約二十柱で追って仕掛ければ、今度こそ奴らに勝てるはずです』

　そう訴える二柱に、Gohnは眩暈を覚えた。その手応えのあったtacticsを、何処の誰が台noneにしたのかと指摘したかったが、それをすると二柱が益々激高しそうなので、それは堪えた。

『確かにそうだが、Vandalieu達は余裕を残していた。それに、Gufadgarnの力で既に『Teleportation』で何処かに逃げているかもしれん』

　そう言うと、追っても無駄足になる可能性が高いとBlateoも理解していた。だが、それでも彼は納得できないようだ。

『では、この隙を突くようAldaに進言するのはどうだ！　奴が次にここやPeriaがsleeps地、Alcremと言うHuman共の街に姿を現したら、奴の拠点を……Boundary Mountain Rangeの内部を攻撃するのだ！』

『たしかに。神が通れぬBarrierも、我々Demi-Godならば物理的に通る事が可能です。何なら、Godsが育てているHero Candidateとやらを抓んで持って行ってもいいでしょう。これなら――』

『……本気で言っているのか？』

　GohnはBlateoとMadrozaの、現実味の薄い思いつきに溜め息を吐いた。

　Blateo達の思いつきは、確かに実現できれば、そして勝てるなら、確かに有用な策だ。しかし、現実的には難し過ぎる。

　まず、既に一度Sirius達GodsはVandalieuに欺かれている。Alcremに居るVandalieuを偽物だと看破できず、Gohn達に合流するのが遅れてしまった。

　神の目とは言え、地上を見る時はAdventでもしていない限り、believerの目を通して見る事しか出来ない。そのため、believerと同じように……人と同じ程度にしか見る事は出来ない。

　再びVandalieuが姿を見せたとしても、神にはそれが本物かどうか、見分けがつかないのだ。町中にいるのは偽物で、実はBoundary Mountain Range内部に本物がいる。なんて事も起こり得るのだ。

　次に、Boundary Mountain Rangeを攻める為には、Boundary Mountain Rangeを物理的に越えなければならない。Bodyを持つDemi-God達は、海を泳ぎ、地上を走り、空を飛んで、Mountain Rangeを越えなければ攻め込めないのだ。

　体長約百meterのTrue giantや、同じくらい大きい龍やBeast Kingがそんな事をすれば、まず接近する前にVandalieuとVida's FactionのGodsに気づかれる。

　そしてMountain Rangeに辿りつく前に、Vandalieuが戦力を率いて襲い掛かって来るだろう。

　だが、Space-Attribute Magicで【Teleportation】してVida's Factionの本拠地を急襲する事も出来る。前触れも無く現れたAlda派のDemi-God達が攻め込めば、Vida's Factionも防ぐ事は出来ないはずだ。

　だが、Boundary Mountain Range内部にはPure-breed Vampire達が約二十人いる。その多くはBarrierを維持するのにかかりきりだと思われるが、Demi-God達がBoundary Mountain Range内部に攻め込めばそれどころではないと出て来る。

　他のVida's FactionのGodsも、座して死を待つのは御免だとAdventし、邪悪なGodsも戦列に加わるに違いない。

　そして起こるのは約十万年前と同じ大激戦だ。そして以前と同じようにAlda's Factionが勝ったとしても、多くの神が犠牲になれば、結局このworldは滅びてしまう。

　約十万年間AldaがBoundary Mountain Rangeを見張るに留め、内部に攻め込まなかったのはそう言う理由からだ。

　そして現在、VandalieuによってVidaがrevivalし、RicklentとZuruwarnまで敵に回っている。一方、こちらはBellwoodが眠り、Farmounは出奔した。

　これまで想定されていた以上の犠牲が出るだろう。

『むぅっ……だが、Vandalieuは死者の声を聴く。RadatelとZwoldo、Repobillisが我々の事を売るとは考えたくないが、惑わされるかもしれん』

『我々の情報を手に入れたVandalieuが、再び攻めて来るのを待つのは危険ではないのですか？』

　確かにその通りだとGohnも認めた。だが、失われた戦力をRadatel達が知らない方法で補充する目途は既に立っている。

『半月……いや、十日でいい。儂に時間をくれ。このContinentの、monstersに堕ちたgiantや竜をかき集める』

　だが、今すぐに補充できる訳ではない。Gohnはそれまでの間、Vandalieuが再び現れないよう、今は亡き父、Zernoに祈りを捧げるのであった。