Deadly Poisonの海中を、Cuatroは進む。周囲の海水をVandalieuの【Disinfect】で有毒な成分を消しながら。
「このまま……真っ直ぐ……うっ、ううっ……もうちょっと下に潜って……そう、そのまま」
そして水深千meter以下の深海なので分かり難いが、震えながら道案内をしているのは、Merfolkのfemaleだ。
pinkブロンドとでも評すのか、このworldでも珍しいpink色の髪を腰より長く伸ばし、lower bodyはSunlightが届けば虹色の光沢を放っただろうscaleに覆われている。
certainly容姿も美しく、彼女に声をかけられたらどんな船乗りでも惑わされてしまうだろう。更に、本来なら気品や威厳も漂わせていそうなのだが……。
「大丈夫? 休んでいてもいいんだよ?」
今はPrivelのtentacleに抱き止められ、宥められているので威厳も何もない。
「こ、心遣いは感謝する。だが、妾はMerfolkの長、Doraneza! 我が一族のHonoraryにかけてっ、我が神の使命をっ、やり遂げ、必ずやり遂げてみせる!」
Doranezaが何故怯えながら道案内をしているのかと言うと……彼女は驚くべき事に、Demon KingのContinentに住むMerfolkの長だと名乗った。accurateにはDemon KingのContinentに昔から住んでいたのではなく、数年前に Bahn Gaia continentで、とあるadventurerがCommandingを執った大掛かりな討伐隊に住みかを追われ、生き残った一族の者達を纏め、更に同盟関係にあったMajin Raceの一族と共に移住してきたそうだ。
Bahn Gaia continentから遠く離れたDemon KingのContinentまで、神に導かれての壮大な旅のepisodeはDoranezaに「長いから」と省略されてしまったが、つい数日前彼女達の一族が奉じている『True Evil God of Red South Sea』Marisjaferという神から、彼女はOracleを受けた。
そのOracleによって一族が代々守り、今は彼女が体内に宿している【Demon King Fragment】を使って、Vandalieu達をDeadly Poisonの海で待っていたのだ。彼らを自分達の住まいに案内するために。
だが、遥か上空で体長百meterを超えるTrue giantを始めとするDemi-GodとCuatroの戦いが始まってしまった。
海中にまで届く爆発音に、Demi-God達の咆哮や怒号、そして落ちてくる巨体。このままでは自分の上にも巨体が降ってくるかもしれないので、深く潜ろうとした時にCuatroが突っ込んできて、それを追ってRoaring LightningやGiantな岩等、-sama々な攻撃が海に叩きつけられた。
Doranezaの脳裏にこれまでの人生が走馬灯のように走ったが、彼女がCuatroにぶつかる前にVandalieuが伸ばしたtongueに絡め取られ、甲板に引っ張り上げられて助かった。
しかし、Cuatroは高位のUndeadだらけ。それも、撤退したばかりで戦意やbloodthirstを放ち、気も立っている者ばかりだ。Doranezaがそうした、並のKnightならhorrorのあまり意識を失いかねない強烈なsignに震え上がってしまったのである。
それでも使命感から震える口調で簡単なSelf introductionを済ませ、道案内を行っていたのだ。流石一族の長といったところだろうか。
「うんうん、頑張ったね。Dora -chan、偉いよ」
そのDoranezaを、Undeadではない、underwaterで呼吸と発声が可能なPrivelが宥めて、元気づけていたのである。
……口調と語った過去から、既に成人している一集団の長を幼児のようにあやすのは無礼ではないかと思うが……Doraneza本人は全く気にしていないようだ。実はhorrorのあまり幼児退行しているのか、もしかしたら気さくな性格の持ち主なのかもしれない。
「ううっ……もう良い。お蔭で落ち着いた。ところで、あの者は何をしているのじゃ?」
「gills呼吸の練習と、尋問だって」
Doranezaが指したあの者、VandalieuはCuatroのマストに【Demon King's Suckers】で張り付き、【Demon Kingのgills】で呼吸していた。魚のように口を開けてgillsに海水を当てるとしょっぱくて仕方が無いので、gillsをヒレのように体表に露出させ、流れる海水に当てて新鮮な酸素をAbsorptionしている。
ちなみに先程の戦いの結果、Vandalieuは【Vengeful Berserker】Jobのlevelがmaxedしていた。Doranezaの【Demon King Fragment】にも気がついている。
しかし Job changeやfragmentの摘出を彼女に打診するのは、Cuatroが安全な場所に着いてからにするつもりだ。
万が一、Job change中やfragmentの摘出中に襲われたら危ないし、Doranezaの【Demon King Encroachment】のlevelは低く抑えられているそうなので、一刻を争うと言う程深刻ではないと判断したからだからだ。
その結果行っているRadatelやZwoldo、Repobillisの霊を対象にする尋問である。
『……中々上手くいきませんね』
Demi-Godの霊だけあって、どの霊も格が高く、生前に【God Devourer】や【Soul Devour】で攻撃していなかったら、最後の力を振り絞って悪足掻きをしていたかもしれない。
Demi-GodはBodyを持つため、地上で活動する際に受ける制約は、神よりもずっと少なくて済む。だが、Bodyが在る事はDemi-Godにとって、弱点でもあるのだ。
神なら魂を砕かれなければ、どれだけ深い傷を負ったとしてもいつかrevivalする事が出来る。しかし、Demi-GodはHumanと同じように、Bodyが一定以上傷つけば死ぬ。
だが普通の生き物と違い、Demi-Godは死んでも時々物品に宿ったり、最後の力で呪ったり、霊だけでMaterializationして最後の悪足掻きをする場合がある。
certainly、そんな事が出来るのはDemi-Godの中でも一定以上の力を持つ者だけだが。
Radatel達にはそれ程の力は無いが、Vandalieuに情報を渡さないために、消滅前提で数秒だけMaterializationする事を選んでいたかもしれない。
『貴-samaに惑わされんぞ、Demon King! お袋の仇のallyなど、誰がするか!』
このように、Radatelは霊になってもVandalieuの【Death-Attribute Charm】、それawakened intoした【Enticement】に抵抗していた。
同じDemi-GodでもPure-breed VampireのGubamonやTerneciaとは大きな違いだが、Gubamon達は正気を失ったconditionで死んだのに対して、Radatelは正気を保っていた上にVandalieuに対して強い憎しみを抱いていた事がimpactしているのかもしれない。
『何度も言いますが、俺はお前の母親を殺したGuduranisとは別人です』
そんな憎しみを減らせないかと説得を試みるVandalieuだが、効果は無かった。
『Shut Up! 【Demon King Fragment】を集めておきながら、いけしゃあしゃあと! そんなふざけた格好で儂が気を抜くと思ったか!』
どうやら、Radatelの中では【Demon King Fragment】を持つ存在は、全てGuduranisと同罪であるらしい。恐らく、彼の父親であるBlateoも同じ考えでVandalieuに憎しみや恨みをぶつけて来たのだろう。
確かに【Demon King Fragment】はGuduranisの一部で、Infestした宿主を侵食し乗っ取ろうとするから、完全に間違っているとも言えない。しかし、Vandalieuにとっては「坊主(Demon King)憎けりゃ袈裟(fragment)まで憎い! 袈裟(fragment)を着ている貴-samaも憎い!」と言われているようで、理不尽にしか思えなかった。
もしかしたら、時間をかければRadatelも魅了出来るかもしれない。数日から数ヶ月もあれば。
『じゃあ、お前はもういいです』
だが、そこまでの価値と魅力をRadatelには感じなかった。
『っ!? ギャアアアアアア!』
Vandalieuは尋問を諦め、Radatelの魂を喰らった。解放すると危険かもしれないからだ。
Demi-Godが死んだ後、その魂が何処へ行くのかは分からない。Rodcorteの元とは思えないため、神の魂が死後に行きつく場所が何処かに在るのかもしれない。もしくは、worldを循環するenergy的なものに還元され、その一部になるのかもしれない。
しかし、Radatelの霊を解放していたらその前にBlateoの元に戻り、Vandalieu達が何処に向かっているのか……Doraneza達Merfolkの存在を教えるかもしれない。
Demi-GodであるRadatelは、神と違って死んだら通常の生物と同じようにそのままrevivalする事はない。そして、魂を喰らって消滅させたい程の恨みや憎しみはない。
だが、Doranezaと彼女の一族やまだ見ぬVida's New Races達を危険に晒してまで、情けをかけ、惜しむ存在ではない。
『……味はまあまあ』
Radatelの魂はちょっと硬めの赤身肉と言う感じで、噛めば噛むほど旨味を感じる。
食い応えがあり、Familiar SpiritやHeroic spiritではなく、やはり神なのだなと思わされる。ただ、Ability Valuesのincreaseやskillの獲得は無いようだ。
『それはともかく、お前達は俺に話す事はありますか?』
視線を向けたのは、ZwoldoとRepobillisの霊だ。
『うぬぅぅぅっ!』
『ギィィィィ♪』
ZwoldoはRadatelと同じように抵抗しているが、苦しげに唸りながら悶えているので、その内堕ちそうだ。
Repobillisは、もう堕ちている。ただ、霊の損傷が大きいので情報源としての信用度は微妙だが。
そうして尋問をしていると、時折深海のmonstersの姿が見えるが、Vandalieuが視線を向けるとすぐに逃げていった。恐らく、Demi-God達の霊の存在感と、それを追い詰める彼に恐れをなしたのだろう。だが、何故か逆に近づいて来て、懐いてしまうmonstersが時々いる。
『坊主、その卵は?』
尋問が一段落したらしいと見て取ったBorkusがVandalieuに近づき、彼の頭にくっついている球体を指差して訊ねた。
『さっき流れて来たこのoctopusのような、Squidのようなmonstersに産み付けられまして。どうやら託されたようです』
ちなみに親は力尽きて死んだので、咄嗟にUndead Transformationさせた。産卵を終えると寿命を迎える生態なのか、それともただ力尽きただけだったのかは、分からない。
今はUndead Little Krakenとなって、Vandalieuの頭にくっつけた卵に新鮮な海水を吹きかけている。
『ところで、追っ手はどうですか?』
certainly、追っ手に対する警戒も怠っていない。相手はHumanではなく、強靭なBodyを持つDemi-God達だ。水深一千meterの深海でも、Deadly Poisonの海水で満ちている海域や、渦が森のように乱立する海域でも、潜って追いかけてくる可能性がある。
特にWater-Attributeに親しい龍やgiantは、魚以上にunderwaterを自由自在に泳ぐ事が出来る。CuatroはDoranezaの案内のお蔭で安全な航行が可能になっているが、龍やTrue giantなら多少の渦やDeadly Poisonは強引に突破する事で、案内がなくても追う事が出来るだろう。
だが、追っ手は今のところいないようだ。
海に潜って暫くの間は投岩や落雷等が続いたが、今では海面上からの攻撃は無いようだ。落雷だけなら深海まで届いていないだけかもしれないが、岩も落ちて来ないので、恐らくそうだろう。
『姿は見えねぇから、こっそりついて来ているって事はねぇだろう。上から一気にここまで潜って来るって事も考えられるから、警戒は続けるが……奴等も警戒してるんじゃねぇか?
深追いしたら、また坊主の大技を喰らうんじゃないかって』
『それに、奴らも無傷ではありません。starfishは討ち取り、貝も最低でも重傷。他のgiantや龍もほとんどが傷を負っているでしょう。
逃げるのなら、逃げて欲しいというのが奴らの今の心境かもしれません、ヂュオォォ』
会話に入って来たBone Manがそう発言する。
確かにと、Vandalieuは逃げ出す前のGohn達の-sama子を思い出して頷いた。あの時は、【World Breaker Hollow Cannon】を敵が多い場所に向かって一薙ぎした。その結果、直撃した敵は少ない。Bone Manが止めを刺した『Starfish Beast King』Repobillisぐらいだ。
しかし手足に余波を受けて傷を負い、得物が損傷してしまった者は数多い。それに、Vandalieuは三柱のDemi-God、『Thunder Giant』Radatel、そして『Great Vortex Dragon God』ZwoldoとStarfish Beast King Repobillisの霊を捕えていた。
あの集団の中では中心的な立場にあったとは思えない三柱だが、敵の総数が三十柱以上だと想定しても、約一割の戦力減、重傷者が戦えないconditionならそれ以上に戦力は下がる。
それに深い傷を負ったDemi-God達では、思うように動けないはずだ。
『なるほど。連中は俺達を待ち伏せしていましたし……俺達が逃げたと見せかけて、自分達と同じように待ち伏せているのではないかと警戒しているのかもしれませんね』
自分達が行ったtacticsを、そのままそっくり返される。Gohn達にとって、それは警戒に値する展開のはずだ。
それにGohnが率いていたDemi-God達の中には、海の中が苦手な存在も多かった。『Rock Giant』であるGohn本人はcertainly、天候を司るgiantのBlateo、そしてBorkusが重傷を与えた金色の鎧を着たgiant等は、海での戦いは避けたいだろう。
『だが、油断は禁物かと。先ほど数柱の神もAdventしていましたから』
『遠くに見えた援軍の連中は無傷だろうしな。それに、中には頭にbloodが上って突っ込んでくる奴もいるかもしれねぇ。
True giantには大らかな奴も多いが、短気な単細胞も多いってMythで聞いたしな』
『ああ、Borkusの言う通りだ』
Giant raceのZombieであるBorkusは、そう言いながら暗い深海の海を見つめて言う。Mikhailも、そう同意する。『……おい、Mikhailよ。ふと思ったんだが、JeenaやZandiaの嬢-chanは-donoってつけるのに、何で俺は呼び捨てなんだ?』
『忘れたのか? お前が呼び捨てで呼べと言ったんだぞ』
『ああ? そうだったか?』
『そうだ。それに、仕えている主-kunの婚約者を呼び捨てで呼ぶのは、抵抗がある。正直、『-dono』でも馴れ馴れし過ぎるのではないかと思っているぐらいだ』
『……堅物だな、お前。俺と同じadventurerだったはずだろうが』
『生前はNobleとの取引も多く、Etiquetteも学んだ。Borkus、Human社会はTalosheimのようにrustic者に寛容ではなかったんだ』
『それはともかく、JeenaやZandiaの呼び方は当人同士が納得していれば、別に何でもいいと思いますよ』
Emperorの婚約者を呼び捨てで呼ぶ。国が国なら不敬罪だが、Vidal Magic Empireでは今更である。国家元首のVandalieu自身も、呼び捨てや愛称で呼ばれる事も多いのだし。
Borkusやこの場に居ないZadirisなんて、坊主、坊やと今でも呼んでいる。
『ボス! Merfolkのお姫-sanの言っていた、デカい渓谷が見えてきましたぜ!』
船首で進路を見ていた『Four Captains of the Dead Sea』が声を上げる。
「妾は姫ではないのだが……せめてnameで呼んでくれぬか? もう成人しているのだ」
『そりゃすまねぇ』
Undeadにも慣れて来たのか、それともBorkus達のbloodthirstが消えたからか、Doranezaがそう抗議した。
「そうだよね、もう成人してるよね」
「ん? どうした、Privel、-sama子がおかしいようだが?」
「何でもないよ、本当に何でもないんだよ。たださ、ボク、気がついたら姫になっちゃってて、どうしたら姫ではなくなるのかなって」
「えっ? 何の話じゃ?」
「Dora -chanは何か知ってる? skillのnameはもう仕方ないにしても、まだRank up出来るはずだから、race名はどうにかしたいんだよね」
「ぷ、Privel、落ち着け、目が据わってきているぞ」
そうしている内に、Cuatroが入る事が出来る程広い海底渓谷が姿を現した。
「この渓谷の底を進めば、我が神によって、人……Vida's New Racesにしか見えないよう、Barrierが張られている洞窟がある。その洞窟を進んだ先が、妾の第二の故郷じゃ」
『念のために聞きますが、進んだ先に空気はありますか?』
『certainlyある。その地で暮らすのは、妾達Merfolkだけではないからな』
洞窟の入り口は見つかったが、Vandalieuに大きな傷を残した。
洞窟の入り口は、案内人のDoranezaとPrivelがすぐ見つけた。Barrierで隠されていなければ、それだけ大きく目立つ洞窟だったのである。
『見えましたよ、本当に見えたんです。ただ、すごく薄っすらと、見間違いかなって思う程薄くですけれど』
ただ、Vandalieuの目にはほとんど映らなかったのだが。この出来事は、自分はHuman(Vida's New Races)であると言う彼の自負に、大きなshadowを落とした。
『気にする必要ないよ、陛下-kun! 私なんて全く見えなかったから!』
『ええ、全く見えませんでした!』
『Privelには見えたのにねー。やっぱり元Scyllaじゃダメかー』
『元Giant raceもね。でも、Kami-samaのBarrierって凄いよ。magicのsignも感じなかったよ』
そして元Giant raceのJeena達Giant race Zombieや、Princess Levia達attribute Ghostにも、洞窟の入り口は見えなかった。どうやら、生前が何であれ現在Undeadだと見えないらしい。
『おお、俺にも全く見えなかったぜ』
『当然ですが、私にも見えませんでした』
『ヂュオォ……』
そしてBorkusと、当然生前Humanだったり、mouseの霊だったりするMikhailやBone Manも見えなかった。他のUndeadも同-samaである。
Chipuras達も見えなかったそうなので、Islaが居ても見えなかっただろう。
『……まあ、そうですね。気にしても仕方がないですよね。ありがとう、皆』
皆に慰められて、Vandalieuは何とか立ち直った。
こうなると新しいVida's New Races……Chaos ElfやHell race、DvärgensやHell Beast raceは見る事が出来るのか気になるところだと彼は思った。
「これは我が神、Marisjaferが妾に案内をするよう遣わす訳じゃな」
「そうだね。ボクが乗り合わせていたのは偶々だし」
Doranezaの言う通り、もし彼女達が奉じている神がVandalieu達に直接Contactを取ったとしても、これでは洞窟の入り口に気がつかなかったかもしれない。
恐らく、monstersやAlda's FactionのDemi-Godを警戒して張られたBarrierなのだろうが……Doranezaと合流できず、Privelも居なかったら、洞窟の場所だけを教えられても気がつかなかっただろう。
『まあ、それはともかく。どれくらいで着きますか?』
「妾が普通に泳いで約三時間だが、この船は妾より早い。もうすぐのはずじゃ」
洞窟に入ってから、変化の乏しいround筒状の内部を曲がったり潜ったりしながら進んでいる。既に方向感覚は効かなくなってきている。
Doranezaが応えてからしばらくした頃、前方に上から明るい光が差し込むspaceがあるのに気がついた。
「あれじゃ。あれが洞窟の出口じゃ。そのまま前進して、海面に浮上すると良い」
『了解! bastard共、浮上の準備をしておけ!』
それまで暗く、時折目の無い魚や透明な海老を見かける程度だった海が、光に近づくにつれて賑やかになる。
そして洞窟の出口から出ると、そこは普通の……いや、生態系が豊かな海のように見えた。
大小-sama々な魚が群れをなして泳ぎ、海底には美しいCoral礁や、大型の海藻の森がある。
『ぎぃぃぃ?』
だが、海面から浮上したCuatroは戸惑うような声をあげた。この海は、accurateにはこの場所にはこれまでCuatroが航行してきた場所とは、大きく異なる事が分かったからである。
上を見上げると、雲がある。しかし、青い空ではなく硬そうな鉱物の天井があった。太陽だと思っていたのは、宙に浮かぶ光輝く球体である。そして周囲には壁があり、地下水が滝となって海に降り注いでいる。
「かひゅぅぅ……『Earth』の映画や、小学校の図書室で読んだAdventure小説に在りましたね。こんなの」
それまで止めていたlung呼吸を再開し、gillsを仕舞いながらVandalieuは地底worldを見回して言った。
「どう思いますか、Gufadgarn?」
「……申し訳ありません、私の知識に、この地下spaceに関する事は何一つありません。確実に言えるのは、十万年前にはここは存在しなかったはずだという事だけです」
ElfのBishoujoにCamouflageしている寄り代は、underwaterで呼吸する事が出来ないという事で潜underwaterは亜spaceの中に籠っていたGufadgarnは、驚いたように周囲を見回しながら答えた。
「Guduranisが倒された後、地下にRemnantsが潜んでいないかも徹底的に調べたので、確実です。当時のDemon KingのContinentの地下に、これ程広大な地下spaceはありませんでした」
「なるほど。やはり、EarthのAdventure小説とは違いますね」
『Earth』の地底奥深くに、Giantな空洞があり、そこには太陽の代わりになる光源と空気、水が存在する。
Adventurerの一行は、洞窟探検に挑戦する内にそんな地底worldに足を踏み入れてしまう。そこには地上では見た事も無い生物や絶滅してしまった生物、それに古代文明の痕跡やら原始人がいたりする。
Adventurerの一行はそんな地底worldから地上へ脱出する事を目指し、Adventureを重ねる。
細かいところは忘れてしまったり、別の作品と混ざったりして判別できないが、そんな内容だった気がするとVandalieuは思った。
「ですが、恐竜や奇怪な生き物が存在するこのworldでは、いまいち地底worldの凄さが分かりませんね」
「ピュイィ!」
「いや、another worldの物語と比べられても……いやいや、汝は本当にanother worldからreincarnationしてきたのか? いやいやいや、それよりもそのShoujoは……いやいやいやいや! その変なSquidだかoctopusだかわからん、微妙な生き物は何じゃ!?」
突っ込みどころが多すぎて半ば混乱しているDoranezaに訊ねられたVandalieuは、どう答えたものか首を傾げた。
「another worldからreincarnationしてきた事をどう証明したらいいのでしょうか? 今まで疑われた事がないので、最近は何も考えていませんでした」
「another worldからやって来たと言う話を、何故疑われない事が前提になっている!?」
Doranezaは思わずそう聞き返すが、今までVandalieuが打ち明けた相手は……Vidal Magic Empireの国民は特に疑うことなく信じたので、何故と言われても答えようがない。
「だって、Van -kunがそう打ち明けてくれる前から、彼はanother worldから来たとしか思えない程不思議だったし、色々作っていたし」
accurateには、Privelが言ったように告白する前に「自分がanother worldからreincarnationしてきた存在である」と言う証明を済ませていたから、誰も深く疑わなかったのだ。Vandalieuは無自覚だったが、順序が逆だったのである。
「味噌や醤油を出せば信じて貰えます?」
「ミソやshowユ? そう言えば、Zakkartが遂に作り出す事が出来なかったと言うChampionのworldの調味料があると、legendに残されていた。showユか。
それを持っているなら、確かに。じゃが、お主の言うshowユが魚から作る物であるなら認めぬぞ」
どうやら、このworldでanother worldからReincarnatorである事を証明するには、醤油を作れば良いらしい。
『魚醤はダメなのか? 美味いぜ?』
「魚から作る物は、妾達Merfolkや海辺に暮らすVida's New Racesも作っていた。偶々作り方を先祖が発見してな。Human達のFishing村でも魚の酢、ウオズやギョズと呼んで作っているところもあったそうだ」
実は魚醤に似た物が、このworldでも作られていたらしい。ただ、海辺だけに限られているようだ。
製造方法に問題があるのか、痛みやすいのか、流通の問題か、流行ってはいないらしい。
「それで、そのKrakenの幼生はなんじゃ? monstersを連れ込むのは、あまり……いや、今更言う事ではないか」
Doranezaは、VandalieuとPrivel以外全員がmonstersである事を思い出して溜め息を吐いた。この状況ならKrakenの幼生の一匹や二匹増えても、誤差でしかないだろうと諦めたようだ。
「ちょっと前に産み付けられた卵が孵化しまして。玉のようなのでTamaと……なんて名づけましょうか?」
二匹のKrakenの幼生は、透き通った白いbody partをしており、頭部……accurateには腹部なのかもしれないが……の形はoctopusやSquidに在るようなヒレがあり、脚は十本だった。
大きさは占い師が使う水晶球に十本の脚が生えた程度。これが大きくなると船より大きなKrakenになるとは、信じられない大きさだ。
「じゃあ、Gyokuでどう? スフィアだと将来Squidっぽくなった時に困るし」
「そうですね。ではTamaとGyokuにしましょう」
「「キュイィ~!」」
新たに誕生した生命に名を与えて慈しんでいると、地下spaceの海……厳密には地底湖と言うべきなのかもしれないが……そこを進むと陸地が見えてきた。
『ここは随分広いんだね。本物の海みたいだよ』
「流石にそこまでではないが、大きな湾が幾つか入るぐらいの広さがあるぞ。海の恵みも豊かじゃ。妾達が初めてここに来た時、新参者を排斥するどころか是非住んでくれと歓迎されたぐらいだからの。
ただ、陸地の方が広いらしいが」
同じVida's New Racesである事以外、縁もない余所者を歓迎する。たとえDoraneza達が数十人に満たない小集団だったとしても、余裕がなければ出来ない事だ。
そして陸地が近づいてくると、港が見えてきた。そこには大勢の人々が集まっていた。
白いfurの生えたGiant raceに、一見するとCentaurのように見えるraceに、蟲のlower bodyを持つrace、それに一人だけだがMajin Raceの姿も見える。他にもHumanやBeast race、Elfもいるようだ。
彼らは戸惑った-sama子でざわめきながら、Cuatroを眺めている。
「あれが此処の人達ですか?」
「うむ、各raceの長が神のOracleに寄り招かれた汝らを出迎えに集まったのじゃろうが……-sama子がおかしい?」
Vandalieu達も地底worldの住人達の反応に戸惑っていると、Cuatroの近くの海面からMerfolk達が顔を出した。
「貴船に、Doraneza -samaは乗船しておられますか!?」
Merfolk達の先頭にいる、額から頬にかけて傷跡がある壮年の男のMerfolkが声を張り上げた。
「おお、Bastian! ここだ! 妾は帰ったぞ!」
どうやら彼はDoranezaの腹心らしく、彼女は駆け寄……る事はlower bodyの形状の問題で出来ないので、Privelに運んでもらって顔を覗かせる。
「おお、ご無事でのご帰還、何よりでございます! ところで、皆が使命は成功したのかどうか、不安がっております!」
「何故!? 見ての通り、妾は-chanとこの者達を案内して来たぞ!」
聞き返すDoranezaに、Bastianは答えた。
「Oracleには天を翔ける船とありましたが、このGiantな船は飛んでおりません!」
「はっ、確かに!」
どうやら、港に集まった人々は、CuatroがOracleと違い天を駆けていなかったので、Oracleの成否が分からず困惑していたようだ。
「そこまで急いでいませんでしたからね。海も平和ですし」
『陛下-kun、もう港が見えてるけど……ちょっとだけ飛ぶ?』
「そうですね。Cuatro、ちょっとだけ飛んでください」
『へ、へい。Cuatro、ちょっとだけ浮上! その後ゆ~っくり、航行!』
『ぎいぃ……』
微妙な声を上げ、Cuatroが海面から十meterぐらい浮上し、ゆっくり港に入って行く。
それによって、やっとOracleが達成されたと理解した地底worldの人々は歓声をあげたのだった。
・Monster explanation::Little Kraken Adventurer’s Guild著
Krakenのchildではなく、小型なKrakenである事を表していると考えられている。体長は3meterから4meter程で、Rankは4。小型な分Krakenよりもweakが、動きが素早い。更に、小型であるがため浅い近海に出没する事があり、Little Krakenの方が一般人には身近な脅威となっている。
ただ、やはり基本的には遠洋の深海を住処としており、その生態は謎に包まれている。
一説には、Little Krakenの成体が成長し続けると、大型帆船をも沈めるKrakenになるとも唱えられているが、定かではない。
ちなみに、貝やstarfish、魚や鮫、海生哺乳類のBeast Kingは存在するが、一部の虫や頭足類のBeast Kingの存在を確認できる文献は存在しない。
遥か昔に死んだため現在にrecordが残っていないのか、それとも……。
この事からSquidやoctopusを「魔の魚」と呼び、このworldに現れた邪悪なGodsが作り出したmonstersが退化したのが、Rankを持たないSquidやoctopusだと主張する学者も存在する。