『God of Law and Life』Aldaは己のDivine Realmで、仲間達の元に戻り、再び試練に挑むHeinzを複雑な心境で見守っていた。
『……いつの世も、人は神の思い通りにはいかないものだな』
そうため息をつくと、『Goddess of Sleep』Millが『申し訳ありません』と謝罪した。
『説得はしたのですが、聞き入れてはもらえませんでした。ご指示通り、我々が知り得たVandalieuに関する情報をそのまま伝えたのですが……彼には我々と違うものが見えていたようです』
AldaはMillに指示を出し、Heinzの迷いを断つために自らが持ち得るVandalieuの情報を彼に開示した。
certainly Alda達Godsも、Vandalieuについて全てを知っている訳ではない。だが、Vandalieuが『Fallen Champion』Zakkartを含めたChampion四人のsoul fragmentを持つ事や、『God of Reincarnation』であるRodcorteの余計な干渉によってこのworldに遣わされた、another worldからのReincarnatorである事も告げた。
Mirg Shield Nationの遠征軍との戦いでGordan High Priestと、かつて仲間だったRileyをUndead Transformationさせ、罪もない開拓地の人々から土地とpropertyを奪い、街を襲撃した事。
Hartner DuchyでSlave鉱山を消滅させてSlaveを奪い、開拓民を扇動してRed Wolf Knight団を壊滅させた事。Sauron Duchyでは同じVida believerであるはずのRaymond Parisを殺してその死体を利用し、Pure-breed Vampire Gubamonを滅ぼし【Demon King Fragment】を奪った事。
それら全てを伝えた。……全てAlda's Faction側から見た情報だったが、全て真実である。
これでHeinzの迷いは晴れ、Vandalieuが新たなGuduranisへとなる前に討伐しなければならないと、決意を新たにしてくれるはずだとMillは思っていた。
だが、結果は逆でHeinzはVandalieuを高く評価した。
Gordan High Priestのようにreligionの厚いbelieverなら、Vandalieuの邪悪さに怒り、一刻も早く討伐しなければならないと決意を新たにするはずだった。
しかし、HeinzはVandalieuに対して、「彼はVida's New Racesはcertainly、そうでない大勢の人々も助けている」と言い、それに比べて自分はと自嘲していた。
Millは、それは違うとHeinzに語りかけ続けたが、彼の意思は治療が終わっても変わらなかった。
『構わん。我々は人々に教えを授けるが、それをどう受け取るのかは授けられた一人一人の意思に任せられている。
それに、Vandalieuの所業にはHeinzが言った通り、人々を助けている面もある』
『確かにそうかもしれませんが……それではVandalieuの存在をお認めになるのですか?』
『そうは言っていない。我の意思は変わらないが、Heinzが我と同じ意志を持つ必要はない。それだけの事だ』
かつて、Alda達Godsは教えGuiding存在としてHumanをCreationした。決して、ただ信仰を捧げさせるためのenergy源や、僕を創ったのではない。
だからHuman達には己の意思を持ち、思考する力が備えられている。だからHuman達は時に堕落し、間違いを犯すが、それはHumanの可能性の負の側面に過ぎない。
『ですが、Heinzがもし今の考えを変えなければ……』
『分かっている』
Heinzは、Vandalieuの国の将来を危険視している。VandalieuのGuidanceによって纏まっている国から、核であるVandalieuがいなくなった時、どうなるのか。
他の国でも為政者が突然倒れれば、危険なconditionになる。事前にSuccessorを定めていても、分裂し内乱にdevelopment。そのまま滅亡し、他国にAbsorptionされてしまった例は、幾つもある。
だがVandalieuの国、Vidal Magic EmpireにはHuman社会の国々には無い危険性がある。まず、Vandalieuを至高の存在であるとする、Vandalieu狂徒の存在だ。
普通の国にも為政者に熱狂的なLoyalty心を……religionと言い換えられる程崇拝する者が存在する。だが、Vidal Magic Empireにはそのような者達が、異常なほど多いのだ。その数は、こうして危険視しているAldaやRodcorteの想像を遥かに上回っている。
だがVandalieu狂徒以上にHeinzが危険視しているのが、Magic Empireを支える強力なmonsters達、特にUndeadだ。
AClass adventurerでも倒す事が難しく、一度暴れ出せば山を崩し、海を割り、空を覆い、地を埋め尽くすmonsters達。それが野放しになってしまう。
Vandalieuの死後もmonsters達が、reasonを保ち続けられるならいい。知能の高いraceならそれも可能だろう。だが、monstersの中でもUndeadにそれを期待する事は……信じる事は出来ない。
何故なら、本来Undeadは正気を保っている個体より、失っている個体の方が圧倒的に多い存在だ。生前に抱えていた未練や、死の間際に意識を満たしていたhorrorやdespair、憎悪や恨みを晴らす事に支配されているか、生きとし生ける存在を等しく憎み、攻撃する事しか頭にない。
そうしたconditionからVandalieuの【Guidance】によって解放されたUndead達が、Vandalieuの後を追って自ら消滅するのならいい。だが、もしmasterを失った事に寄る悲しみやdespairから狂ったら、【Guidance】を失った事で元の野良Undeadに戻ったら、どれ程の脅威になるか想像も出来ない。
Vandalieuが存在しなくなる、数百年から数千年後の未来の、今現在よりずっと強くなった『Sword King』BorkusやBone Man、Knochen、『The Eclipse Emperor’s Hound』Islaや、attribute Ghost達。彼等が正気を失い、破壊と殺戮をばら撒けば、数え切れない数の村や町が……精強な軍によって守られた城塞であっても、瞬く間に瓦礫の山と化すだろう。
その時のHuman達に、彼等に対抗できる戦力があるか……彼らと同じ数だけのSClass adventurer相当の実力者が何人いるのか。最悪の場合、 Bahn Gaia continentの知的生命体は絶滅し、第二のDemon KingのContinentと化すかもしれない。
止めるのなら、今しかない。Alda's FactionのGodsがVandalieu達を討伐すべく戦力を集め、鍛えている今でなければ、遠い未来に在るかもしれない破滅を防ぐ事は出来ない。
だからHeinzは、今の内にVandalieuに『自分が存在しなくなった時の備えはしているのか? しているとして、それはどんな備えなのか』を訊ね、確かめるつもりなのだ。彼が答えなければ、答えがあったとしても納得できなければ、倒してでも止めなければならないと覚悟して。
だが、それはつまりVandalieuがHeinzも納得できる答えを返せば、倒さないと言う事だ。
その時Heinzはどうするつもりなのか? 彼はVandalieuの方がVida's New Racesを助けるのに相応しく、自分達よりも多くの人を助けていると評価していた。そして、自身がVandalieuにとって母親の仇である事も認めている。
それからconjectureすれば、彼は自らVandalieuに殺されようとするかもしれない。
『目覚めたBellwoodとの対話によって、Heinzが考えを変えれば……いや、過度に期待する事は出来ない』
【Guidance】の効果を失っていると言う点では、Bellwoodも同じだからだ。certainly、それに代わる神としてのcharisma性を備えているが、今のHeinzを心変わりさせられる事が出来るかどうか。
そこまで考えたAldaだったが、いつの間にか俯いていた顔を上げて首を横に振った。
『不安要素ばかり並べて思い悩んでも、状況は良くはならない。Bellwoodなら、我がChampionならHeinzに正しい道を示す事が出来るはずだ』
Bellwoodに対する信頼を感じさせるAldaの言葉に、Millは興味を覚えたようだった。
『失礼ながらAldaよ、Bellwoodとはそこまでの存在なのですか? かのHeroic Godを信じない訳ではありませんが、私は直接言葉を交わした事が無く……知っているのも、彼の強さを表す逸話が中心なので』
Millが『Goddess of Sleep』に至った時には、Bellwoodは『Evil God of Sinful Chains』と相打ちになってsealedされていた。
同じ戦闘系ChampionのFarmoun GoldとNineroadを上回る力量の持ち主であるBellwoodが、何故邪悪な神の一柱でしかない『Evil God of Sinful Chains』と相打ちになったのか、Godsの間でも話題になったものだ。
Bellwoodが油断したのか、『Evil God of Sinful Chains』が余程狡猾なTrapを仕掛けたのか……。それはともかく、彼にはHero的な演説と戦いで人々をGuiding『Heroic God』としての性質ばかり注目され、思い悩むbelieverをGuidingようなimageは薄い印象があった。
『そうか。汝が神となった時には、Bellwoodは既に眠りについていたか。……Bellwoodの言葉には、人々に訴えかけ、奮い立たせる力があった。
despairに屈した者を再びDemon King Armyとの戦いに奮い立たせ、Demon Kingへのhorrorから裏切ろうとした者を思いとどまらせる事が出来た。Zakkartのrunawayは完全に止める事は出来なかったが……彼の言葉で勇気を得て、Demon King Armyとの戦いに挑んだ者達は数知れない。
それは、Godsも同じだ』
『Godsも、ですか? Bodyを持つgiantや龍、Beast Kingだけではなく?』
Bellwoodがまさか人であった内から、Godsまでも動かしていた事に驚くMill。そんな彼女に、Aldaは『その通りだ』と頷いた。
『我を含めたGreat Godもまた、彼と言葉を交わして――』
その時、AldaのDivine Realmに別の神が姿を現した。
『Aldaよ、ご報告に上がりました』
『汝が直接か。『God of War Horns』Siriusよ』
Siriusと呼ばれた神は、まるで蛮人のような姿をしていた。狼のfurを被り、顔や胸に染料でpaintingを施し、腰には石で出来た手斧を差している。
まるでWar GodであるZantarkのSubordinate Godのように見えるが、彼はこれでも今は亡き『God of Wind and Art』ShizarionのSubordinate God、その中でも古株の神であった。
『はい。我がFamiliar SpiritとHeroic spirit達には、Botinがsleeps Continentの見張りを任せておりますので。Demon Kingも、まだAlcremにて戯れているのが確認されています。今離れても、問題はないかと。
それで肝心の報告ですが……やはりBaciasは裏切り、Vida's Factionに転じたようです。Zelzeriaと、Hamulも同じく』
Siriusがもたらした重大な報告、このworldの維持と正義の為に結束していたはずのAlda's FactionのGodsの中から、Demon King Vandalieuを後押ししているVida's Factionに寝返る裏切り者が出た。
驚愕のあまりMillは声をあげそうになったが、それを手で制してAldaはSiriusに聞き返した。
『……そうか。Bacias達のDivine Realmはどうなっている?』
『Divine Realmごと移動したようです。既に我々が接触する事は困難かと。ただ、worldの管理と維持は継続して行っている痕跡があります』
『そうか。……此度の件は、BaciasらをBoundary Mountain Range内部の監視の為に使い続けた、私の落ち度だ。Baciasの件で私以外が責任を覚える必要はないと伝え、その後再びBotinの守りに戻るように』
Siriusは目礼すると、再びAldaのDivine Realmから退去した。それを見送った後、落ち着きを取り戻したMillが案じるような声でAldaに話しかけた。
『我が主よ、十万年以上前、Demon King GuduranisにGodsが寝返った事と同じ事が再び起こるのでしょうか?』
Demon Kingのhorrorに屈したLuvezfolやBoar Beast Kingのような、裏切り者がこれからも出るのだろうか? その問いにAldaは答えられなかった。
『今は結束が必要な時。Godsにはお互いのCoordinationを密にし、VandalieuとVidaに付け入る隙を与えぬようにしなければならない』
そう口にするだけだった。だが、胸中では別の事を考えていた。
(想定以上の困難を前にすると、痛感する。たとえ神だったとしても、中心になり皆を奮い立たせる象徴が必要なのだという事が。
Heinzが十万年前のBellwoodのような象徴になってくれれば、この流れも止められるかもしれん)
式典を終えた次の日、Alcremではお祭り騒ぎの余韻が残っており、普段以上に賑わっていた。
式典当日には間に合わなかったが、Bardは新たなHero譚を作曲するために、商人は商機を求めて、各地のNobleの使いが都の無事をお祝いすると言う口実で情報収集の為に、続々と集まっている。
また、Dukeが『Holy Wastelands』のBorgadon templeの再建を約束したため、建設工事に関わる職に就こうと労働者も集まり始めていた。今はまだ近隣の村からだけだが、その内Alcrem Duchy全体から職を求めて人が集まる事だろう。
それにEvil God (P)が残したとされる、Demon King Fragmentから発生した黒いGiant crystal群を調査するために、各地からMage guildの研究者達が派遣される事も決まっている。
当分、Alcremの賑わいは納まる事はないだろう。そうして集まって来た人々を獲物にしようとする賊も集まるだろうが、今のところ問題にはなっていなかった。
「は~い、串焼き五本お待ち」
「Gobu-gobuの串焼きでござるよ~」
そしてOpen Plazaでは、今日もFood Stallが営業していた。
「冷やしたherb tea、お待ちしました!」
「……いや、何であんたが売り子なんてやってるのさ」
恰幅の良い中年female、『たっぷりsandwich』のSandyは、apron姿で串焼きFood Stallの売り子をしているDarciaに、眉間に皺を刻んでそう話しかけた。
「まあ、Sandy -san。今日からGobu-gobuの串焼きも始めたのよ、一つどうかしら?」
「Gobu-gobuって、あの不味くないって噂のGoblin肉かい!? じゃ、じゃあ一本もらおうかね」
噂で聞いて興味を持っていたらしいSandyは、Darciaから串を一本受け取ると、早速ぱくりとGobu-gobuを食べ始める。
「ふぅん……これは……なかなか、不思議な味だね。見た目は紫でとても美味そうには見えないけど、まるで野菜みたいな歯ごたえで、塩気の利いたcheese sauceと良く合っているし……。sandwichの具にしても良いかもしれないね。
って、そうじゃない!」
もぐもぐ食べながら食感や味を吟味し、sandwichに使えるか考え、一串分食べ終わってから、Sandyは正気に返った。
「何でHonorary Nobleにまでなったあんたが、親子でFood Stallなんてしているんだいって聞いてるんだよ、あたしは!」
「そう言われても……私はadventurerじゃないし、templeで仕事に就いている訳ではないから……。それにoriginally、私は息子のFood Stallで皆と一緒に働いているから、何でと聞かれても困ってしまうわ」
そうSandyに答える、Darcia・Zakkart Honorary countess。法律上はNobleであり、今のSandyのように、平民が怒鳴りつけていい身分のHumanではない。
だが、彼女は今現在Alcremの正門Open Plazaで親子揃ってFood Stallを開き、Cookingされた串焼きを、reasonableな値段設定で売っている。
街の人々も最初は何かの冗談か、似た別人だろうと思い込もうとしたが……Darcia達に隠す気が全く無かったので、現実を受け入れるしかなかった。
そして、Darcia達に気取る雰囲気が無かったので、「まあいいか」と以前Sandy達『Alcrem Pentagram Stalls』と決闘した時のように、普通に接する事にしたのだった。
……昨日の式典を見ていない、今日都に着いたばかりのadventurerやpeddlerの中には、本当に気がついていない者も多いようだが。
「カマキリの姉-chan! こっちにGobu-gobu串とOrc串を五本ずつ頼む! 後、Fruit水のお代わりも!」
「了解でござる! ただし、某はカマキリではなくEmpusaなので、それは覚えて帰るでござるよ!」
「なあ、酒は売ってないのかい? 昨日は出してくれたじゃないかよ~」
「この都は、特別な日以外は屋外で酒を飲むのは禁止でしょ。昨日は式典で、Duke -samaのお許しが出たから出しただけよ」
もっとも、EmpusaのMyuzeやGhoulのKatiaもDarciaと一緒に売り子をしているので、Darciaの関係者である事は分かっているようだが。
Honorary Nobleになった親子が、新たに雇った店員とTamed Monsterを使って営業しているのだとでも思い込んでいるのかもしれない。
「色々あって、後数日は街から離れられなくなったでしょう? それで、折角だから滞在費を稼ぎながらVida's New RacesやTamed Monsterについて皆に知ってもらえたらいいかなって思ったのよ」
「滞在費って、Honorary Nobleなんだろう? Servant付きの大きなおmansionが貰えたりしないのかい?」
驚いたように聞き返すSandyに、Darciaは「貰えないのよ」と小さく首を横に振った。
「Honorary Earlになっても、急にお金持ちになる訳じゃないのよ。勲章が貰えて、私が伯peerageのNoble、VandalieuがNobleのyoung childと法的に同じ扱いになるだけで、領地や役職を貰える訳ではないの。年金は伯peerageのNobleと同額を貰えるけれど、うちは大所帯だから」
Honorary Nobleとは、achievementを遂げたadventurerや平民に、Nobleと同じように扱うというHonoraryを与える、と言う制度である。そのため、勲章と身分、そしてpeerageに応じた年金を受け取る事が出来るが、それだけだ。
civil officialや武官としての職を斡旋される訳でもなく、certainly領地も無い。
だが、考えてみれば当然で、Honorary Nobleになる者にはそれまでの生活が在り、特にadventurerの場合はBClassやAClass adventurerである事が多く、既に並の法衣Nobleを上回るpropertyを持っている事も珍しくない。
それにHonorary Nobleには、非Nobleのachievementに報いる為とはいえpeerageを簡単に与えて、Nobleが増え過ぎたら後々の統治に支障をきたすので、それを防ぐためと言う側面もある。
そのため、Honorary Nobleにpeerageに相応しいmansionや金銭を与える制度は無かった。
「certainly、Evil God (P)討伐の報奨金は別に受け取っているから、本当にお金に困っている訳ではないのよ」
「じゃあ、後者の理由……Vida's New RacesとTamed Monsterに親しみを持ってもらうため、かい?」
MyuzeやKatiaに声をかける-sama子を見ると、その試みは概ね成功しているようにSandyには思えた。
他の面々は――。
「わー、脚がワキワキ動いてるー」
「揺れなーい」
「あまり拙者から身を乗り出さないようにするのだぞ」
child達を蜘蛛のlower bodyにつけた特製の鞍に乗せて、Food Stallの周りを大きく一周するArachneのLarge-buildのGizania。
Sandyが『Earth』のAmusement Park等を知っていれば、ミニSLを思い浮かべたかもしれない。
「「「チュー」」」
「赤いmouse!」
「今度は銀色のmouse -chan!」
「俺は白いmouse!」
一方、Maroll、Urumi、Surugaの鼠三sistersは、三匹並んで地面に腹を付けて平べったく伸びており、大勢のchild以外にも見物人を集めている。
「「「チュッチュチュチュー!」」」
そして、Maroll達が一斉に後ろ足で立ち上がる。すると、Marollの腹の下敷きになっていたVandalieuの姿が露わになる。
「正解は赤いmouseのMarollの下でしたー! 当たった子には木苺をあげるから手を出してねー!」
どうやら、Vandalieuを下敷きにしているのはどのmouseか、賭け……と言うよりクイズを行っているようだ。
可愛らしい服装の小柄なShoujo……いや、Dwarfのfemaleがchild達に籠から木苺を配って行く。
SandyはVandalieuがFood Stallから離れた場所に居たので、驚いてFood Stallを覗いてみると……串焼きを焼いていたのはVandalieuと同じくらいの背丈の、Julianaだった。
「なんだい、Juliana -chanが焼いていたのかい」
「はい! 私も頑張らないといけませんからっ!」
「そうかい、頑張るんだよ。おば-chanも応援しているからね……って、そうじゃなくて」
娘より小さなJulianaがお手伝いをしている姿に、ほっこりしたSandyは、我に返るとDarciaに向き直って訊ねた。
「理由は分かったけど、良いのかい? 別にFood Stallを開かなくったって、皆があんた達に興味を持っているんだから人は集まるよ?
それに滞在費だって、あんたなら近くのDevil NestsやDungeonに行けば、十分稼げるんじゃないのかい?」
Sandyの言葉を否定する理由はない。実際、SimonとNataniaはArthur達とFangを連れて、Adventurer’s Guildの依頼を受けてDevil Nestsで狩りと採集を行っている。
それにDarciaかVandalieu、片方一人だけでもついて行けば、滞在費を十分賄えるだけの収獲が望めるだろう。
「それはそうなのだけど……今の私はadventurerじゃないし、こうして働くのも好きなの」
Darciaがそう言うと、Sandyは苦笑いを浮かべて今度こそ引き下がった。
「そう言われちゃあ、何も言えないね。世の中に仕事は幾らでもあるけど、好きな方法で稼ぐのが一番だからね」
そう言って納得するSandyに、Darciaは微笑みながらnodが……実は嘘をついているので、多少罪悪感を覚えた。
「でも、気を付けるんだよ。中にはHonorary NobleなのにFood Stallを営業するなんて気にくわないって、妙な言いがかりを付けに来る輩がいるからね。
そんな奴は――」
「妙な言いがかりとは、それこそが言いがかりと言うものだ」
Darciaに忠告しようとするSandyの声を、彼女の背後から発せられた、arroganceさが滲んでいる男の声が遮った。
反射的に振り返ったSandyは、自分の後ろに立っていたのが護衛のKnightを二名引き連れた、見るからにNoble然とした青年である事にギョッとしてその場を飛び退く。
「まぁ、すごい」
そのSandyの身軽さや、彼女が言いかけた忠告がすぐ現実になった事、そして青年が『言いがかりをつけて来る嫌なNoble』の見本のような姿である事、全てにDarciaは思わず感嘆の溜め息を漏らす。
それをどう解釈したかは不明だが、青年は得意気に鼻を鳴らし、Darciaに向かって慇懃に一礼した。
「お初にお目にかかる、Darcia・Zakkart Honorary countess -dono。私はPiscott・Olranb Viscountと申します」
「これはご丁寧な挨拶をありがとうございます。それで、ご注文はお決まりですか?」
それに対してDarciaは朗らかにそう応じて注文を取ろうとした。
何の迷いも見られない対応に、思わずPiscottと護衛のKnight達の動きが硬直する。
「ふ、ふざけるな! Food Stallで売られているような粗野なCookingが、Olranb Viscount 家当主であるこの私の口に合うとでも思うのか!?」
「まあ、それは残念だわ。じゃあ、私は他のお客-sanの注文を取りに行かないといけないので、失礼します」
そうPiscottに小さく一礼して、動けなくなっていたSandyを連れてその場を離れようとしたDarciaだったが、彼女達の前をKnight達が立ち塞がった。
「Piscott -samaに対して、無礼だぞ!」
「何処へ行くつもりだ!」
剣こそ抜いていないが、武装したKnightの恫喝にSandyは震え上がり、Darciaは……深いため息を吐いた。そして、彼女が少し本気を出せばすぐchunk of meatに出来るKnight達のmasterへ視線を向ける。
「まだ何かご用でしょうか? それとも、ご注文が決まりましたか?」
「-kunは、私をidiotにしているのか!?」
「いいえ、Food Stallの売り子として、相応しい対応をしているつもりよ」
DarciaはPiscottをidiotにしているつもりはなかった。だが、今彼女は串焼きFood Stallの売り子、いわゆるwaitressだ。Piscottがお客ではなく注文しないのなら、それ以上応対する理由が無い。
彼女もここが何処かのDancing会のVenueで、Nobleとして出席している立場だったらもっと他の対応をしていたのだろうが。もしくは、Piscottが先にDarciaに用件を言えばいいのだが……。
「くっ、やはり私をidiotにしている! Honorary Noble位を得て、我々Nobleの仲間入りをしたと高慢にも思い上がっているのかね!?」
「いえ、本当にそんなつもりでは……あの、それでご用件は?」
しかし、Piscottに用件を言い出す-sama子がないので、Darciaは仕方なく促した。
彼女にとって、Piscottをidiotにしても面白い事は一つも無い。主従共に大声を出して他の客を怯えさせるし、仕事の邪魔をするので、出来るだけ早く立ち去って欲しいと言うのが正直なところだ。
「ぬぅ、いいだろう。私は、Honorary Noble位を得た-kunが我々Nobleの端くれとして、困る事のないようにと指導するのが真のNobleの務めだと、こうして注意をしに来たのだ!」
「……まあ」
本当にHonorary Nobleになった私が、Food Stallの売り子をしているのが気に食わなくてやって来るNobleがいるなんてと、Darciaは驚いた。
だが、Piscottは自分の言いたい事をDarciaが察したのだと誤解した。
「フッ、どうやらやっと理解したようだね。-kunが、如何にNobleとしての品位を貶めているかと。分かったのなら、下らないFood Stallを畳みたまえ。ご子息にも、下賤な見世物を止めさせろ。
-kunには私がOlranb Viscount 家当主として、責任を持ってNobleに相応しい立ち振る舞いを教えよう」
そう得意気に言うと、Darciaの肩に手を置こうとする。その瞬間、space attributeのGhost達がOlranbの背後のspaceを揺らめかせ、人気のない路地に潜んでいたBragaが短剣を抜き、Myuze達がそれとなく客やchild達の視線を遮ろうとする。
「その役目に、貴-donoは相応しくないと思うが?」
しかし、その前に冷たい女の声によって、Olranb Viscountは手を止めた。
「何だ、貴-samaは? 小汚い平民が、この私を誰だと――」
苛立ちと共に声の主に視線を向けたPiscottは、色とりどりの飾りが付いた可愛らしい服を着たDwarfのfemaleを見て、目を丸くした。
「せ、『Thousand BladesのKnight』Valdiria・Redgouda countess!?」
そう、クイズのassistantをしていたDwarfのfemaleは、鎧を脱ぎ可愛らしい服を着たValdiriaだったのだ。Piscottは慌てて姿勢を正し、護衛のKnight達も急いで主-kunに倣う。
自分よりも歴史のある、そして上の家柄のNobleで、更にDukeの側近であるValdiriaを前にしたPiscottの顔から、見る見るうちにarroganceさが剥がれ落ちていく。
「な、何故こんな所に!?」
「見ての通り、大恩あるDarcia -samaのお手伝いをしていたのだ。Knight団は副職を禁じているが、無償故に問題はない」
「そ、それでそのような恰好を?」
「ほぅ。そのような、か。貴-donoはNobleの品位について強い拘りがあるようだが……私がその品位を汚しているとでも?」
明るいpinkや水色のcolorfulな、そしてフワフワして可愛いone piece dress姿のValdiriaに睨まれたPiscottは、彼女が放つ冷たい怒気に押されるように後ずさり、額に浮いた冷や汗を飛び散らせるような勢いで首を横に振った。
「宜しい。では、貴-donoがDarcia -samaの指導役に相応しくない理由を教えてやろう。
Firstに! 面識すらない間柄のNoble 家当主に面会するのに直接出向くのは、戦時中でもなければ重大なmanner違反だ! 前もって使者を遣わし、appointmentを取れ!
第二に! 他家の当主を恫喝し、立ち塞がるKnightを叱責しないのは何故だ!? 主-kunの程度が知れると言うものだ!
そして最後に、ご夫人に馴れ馴れしく触れようとするなど言語道断! 出直して来いっ、青二才が!」
「ヒ、ヒイィ!? も、申し訳ありませんでしたぁ!」
Valdiriaの怒声を受け、Piscottはscreechのような声で謝罪すると、走って逃げ出した。Knight達も、「Piscott -sama!」と慌ててついて行く。
「いいぞーっ、Valdiria -sama!」
「いよ、鬼教官!」
いけ好かないNobleを追っ払ったValdiriaに、野次馬から惜しみない賞賛が贈られた。そして一旦Food Stallから距離を取ろうとした人々も、戻って食事を再開する。
「我がDuchyに仕えるNobleの一人が、恥ずかしいところをお見せしました、Darcia -sama」
「いいえ、Valdiria -sanのお蔭で助かったわ。ところで……」
「ええ、どうやら奴はDarcia -samaに良からぬ事を考えて近づいたようです。Honorary Nobleは一代限りであるがため、自分達より下と考える輩はどこのDuchyにもいますが……奴はDarcia -samaの美貌と名声を利用しようとしたのでしょう」
Valdiriaが口にしたのは、Noble社会ではありがちな事であった。Honorary Nobleのpeerageがどれほど高くても、代々peerageを継いできた自分達の方が格上の存在だと考えるNobleは多い。
先祖代々仕えて来たNoble達にとって、突然現れたHonorary Nobleが自分達と同等に扱われるのは、面白くない。実際、代々領地を治め、-sama々な役職についているNobleは国に対して貢献をしている。更に政治的なinfluenceやconnection等は多くの場合Honorary Nobleよりも持っているので、完全な間違いではないのだが。
それにしても、自分を真のNobleとself-proclaimedして、Honorary EarlのDarciaを直接侮辱するのは、やり過ぎであった。
「いえ、そうではなくて、私の事は-sama付けじゃなくて、Darciaって呼んでいいのよ?」
「ほ、本当ですか!? でも、そんな、いきなり呼び捨てなんて……!」
何故か頬を染めてbody partをくねらせるValdiriaに、Darciaは「どうしたのかしら?」と首を傾げる。
そしてSandyは、「全く、冷えた胆もあんた達のやり取りを聞いてすっかり戻っちまったよ」と言って、笑いだした。
『ジャア、くいずノ続キヲシマスヨー……ブグルル』
それを眺めていたVandalieuの姿をした存在は、そう言って仕事に戻った。
その頃、Godsの目を欺いた本物のVandalieuは、Selenに出す返事を書くのを中止して、顔を上げた。
幽霊船Cuatroの甲板から、遥か彼方にだがshadowが見えて来たからだ。それを認めて、彼は満足気にnod。
「Demon KingのContinent、発見」