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Side Chapter 41: 惑うRoyal Nobilityと、昨日を振り返る【Urðr​

 Alcrem Duchyの領都Alcremで起きた、Evil God (P) Forzajibar revival事件。その知らせはOrbaum Elective Kingdom内の全てのDuchyに、そして敵国であるAmid Empireまで駆け巡った。

 Evil God (P) revivalと討伐によってもたらされていた衝撃は、Alcrem Duchy内で起きていた『Face-Stripping Demon』事件を霞ませる程強く、Evil God (P)revived事自体を疑う者はいても、『事件の裏に何か別の真実が隠されているのではないか』と言う勘繰りもさせない程強かった。


 そのためAlcrem Duke達以外の者は真実を知らず、Vandalieu達が行った茶番劇を真実と思い込んでいる者が殆どだった。

 それは、切れ者とreputationOrbaum Elective Kingdom Prime MinisterUrgenTelkatanis Marquis、そしてMarshallFarzarickDolmad Marquisも例外ではなかった。


 Orbaum Elective KingdomElected King領、その首都にあるElected King城では現Elected KingであるCorbit Duke不在のまま、上記の二名を含めたElective Kingdomの重鎮達が集まり、非公式の会議を行っていた。


「百meter以上のEvil God (P)に、それより一回り以上大きい神の化身か……よくAlcremが無事だったものだ」

 見るからに気難しそうな顔つきの老人、UrgenTelkatanisAlcrem Duke 家からの報告を記した書類と、秘密裏に送り込まれているSpyがもたらした報告書を見比べ、そう評した。


Alcremの街は、monstersrunawayに備えるために堅牢な壁に囲まれているが、Evil God (P)には紙同然のはず。しかも、軍は精強と言えず、例外は『Alcrem Five Knights』とその直属のKnightのみ。それでいながら街、そして民に被害を出さずにEvil God (P)を討伐するとは……見事なものだな」


「いやいや、確かに街の内側は無傷で、死傷者もおりませんが、それ以外の被害はかなりのものですよ。

 『Holy Wastelands』のBorgadon templeは壊滅し、temple関係者は全員死亡したらしいですぞ。temple跡はGiantな穴に呑みこまれ、遺体の回収もままならぬとか。

 それに『Knight of the Crumbled MountainGordiが死亡しています。後継の息子も死亡しているので、Five Knightsの穴が埋まるのは何時になる事やら」


 Telkatanis Prime Ministerに対してそう指摘した、ナマズのような髭を伸ばした小太りの壮年の男。彼がFarzarickDolmadだ。

 軍人には見えない彼は、人が良さそうな顔の裏でAlcrem Duke 家が負った損失を冷静に計算していた。


 計算していたが……実は『Holy Wastelands』はBorgadon templeに偽装されたZeezoregin templeであり、temple関係者やGordi、そしてその息子もHumanCamouflageしたCamouflage Humanである。そのため、実際は獅子身中の虫を駆除出来たので、収益は黒字なのだが。


 しかも、もしCamouflage Humanの件が明らかになっていたらAlcrem Duke 家Honoraryが地に堕ちる事は間違いなかった。Duke 家に従うNoble達の中にはTakkardAlcrem Dukeの治世に不安を覚え、他のDuke 家はそれを煽ってCoup d'étatを起こさせる可能性もあった。


 それを防ぐ事ができ、GordiHonoraryの戦死扱いにして処理できたのだから、Alcrem Duke 家にとって今回の事件は歴史上稀に見る大黒字と言えるだろう。


「その辺りはどうにでもなるだろう。Alcremは、originally商業が盛んなDuchyだ。金蔵で眠っている大量の金を吐き出せば、何れtempleも再建できるはずだ。

 『Knight of the Crumbled Mountain』の穴も、AClass adventurerやそれと同等の腕を持つmercenaryを雇い入れるなりなんなりすれば、塞がる」


「だとすれば、私としては幸いですね。補助金を出さなくて済む」

 Telkatanis Prime Ministerの言葉に、Finance Lordである痩身の中年Noblenod

certainly、幾らかの補助金と暫くの間は税を調整しなければなりませんが。安普請のtempleでも建てられて、またEvil God (P)revivalでもされたら事ですから」


「確かに。Evil God (P)Alcremを滅ぼしただけで満足するとは限らなかった以上、Orbaum Elective Kingdom全体の危機と考えるべきだ」

「そうなると、次は恩賞か。だが……厄介な事だ」


 Marquis以上の上Class Noble達が目を落としたのは、Alcrem Duke 家からもたらされた報告書だ。

 achievementのあった者にどれくらいの恩賞を与えるのかは、Alcrem Duke 家の裁量だ。KnightSoldierの昇進や昇給、新たな領地を与える事や、勲章の授与も、余程極端な事をしない限り、他のDukeCenterNoble達は口出ししないのが慣例である。


 だから恩賞に関しては殆ど事後承諾で、前もって連絡して来る事はほぼ無い。

 しかし書類には、そのほぼ無い事が、『Evil God (P)の討伐、再sealedに多大なachievementを挙げたDark ElfDarciaに、姓とHonorary Earl位を与える』と記されていた。


Honorary Earl位か、Noble位なら許可はこちらで出す決まりである以上、却下する事も可能だったが……それにしてもEarlとは大きく出たな」

 Honorary Noble位は、Nobleでない者が多大なachievementを挙げた時に与える一種の称号だ。世襲も出来ず、Noble位は当主の死亡と同時Elective Kingdomへ返還される。


 だがそのNoble位と同じ権限が与えられており、毎年年金も与えられる。Honorary Nobleから更にachievementを挙げて、本物のNobleになった者も歴史を振り返れば何人もいる。

 だからこそ、Dark ElfHonorary Countessは厄介に思えた。


「千年の寿命を持つDark Elf……我々の孫が引退する時期になっても現役か」

しかも、我々は彼女にHonorary Earl位を与えられる事に対して口出しできないのに、彼女はHonorary Earl位を得てさえしまえば、我々に対して幾らでも口出しする事ができる。面倒だな」

「ええ、Alcrem Dukeに仕える伯peerageNobleと同等ですからね。限度はありますが、こちらも無下には出来ない」


 DarciaHonorary Earlになると、Telkatanis Prime Minister達も彼女をNobleとして扱わなければならない。

 彼らが無条件に従わなければならない程の地位ではないが、正規の質問状には何らかの答えを返さなければならないし、正式にappointmentを取られたら面会しなければならない。


 平民だからと、強権を振るえなくなるのだ。


「諸-kun、問題はそこではない。厄介なのは、彼女がVida's New Racesであり、VidaFamiliar Spiritを降ろす事が出来るSaintessである事だ」

 Telkatanis Prime Ministerが問題視していたのは、彼女がVida believerVida's New Races達の象徴になってしまう事だ。


 Telkatanis Prime Minister達の多くは、今のOrbaum Elective Kingdomを良しとし、大きな変革を望まない保守層である。Vida's New Racesが台頭するような展開は、歓迎出来なかった。

 しかし、その言葉にLord of Foreign Affairsは異議を唱えた。


「ですが、originally Alcrem DukeDuke Farzon程ではありませんが、Alda Reconciliation Factionに気触れていました。今回も、Reconciliation Factionとしてのポーズの為にDark ElfHonorary Earl位を与えたのではないでしょうか?」

 かの言葉を聞いたNoble達は、そうかもしれないと頷き合った。

 『Blue-flame Sword』のHeinz達によって、最近急速に勢力を強めたAlda Reconciliation Factionも、Telkatanis Prime Ministerにとっては歓迎しがたい変化だ。


 それは彼等の善悪の価値観や宗教観に反するからではなく、彼等がHumanであり、Nobleである……既得権益を享受する側であるためだ。

 だが、Alda Reconciliation Factionが主流になる変化ぐらいなら、まだ許容範囲内だ。Reconciliation Factionは現在の体制を維持しながら、Vida's New Racesの待遇を改善していく思想だから。


Spy達からの情報によると、このDarciaと言うDark Elfと息子のDhampirは、Reconciliation FactionではなくVida Fundamentalismを標榜しているそうだ」

 だが、Telkatanis Prime Ministerが口にした言葉はNoble達の許容範囲内を超える事態を想像させるのに、十分だった。


「げ、Fundamentalism!? 聞いた事がありません。それはいったいどのような思想なのですか!?」

「私もありませんが、conjectureは出来ますな」

 ざわめくNoble達の中で、比較的落ち着きを保っているDolmad Marshallが髭をしごきながら口を開いた。


「恐らく、あらゆるVida's New RacesHumanと同等に扱う事を求める主義主張の事でしょう。Dark ElfBeast raceGiant raceRyuujinDhampircertainlyCentaurHarpyArachneScylla……そしてVampireも。

 Autonomous Territoryからnew-racesを解放し、それぞれの長にNoble位を与え、自由な商取引と移動する自由を与えるようにとdemandするのではないかと」


 Dolmad Marshallの言葉の衝撃に、Noble達は思わず押し黙った。Humanより寿命が長いVida's New Races達が、特にVampireのようにbody part的、magicAbilityに優れ、不死性に恵まれたraceNobleとなり政治に加われば、間違いなく一大勢力を築き、Orbaum Elective Kingdomを内側から乗っ取って、Vida's New Races中心の国にしようとするだろう。


 legendの『Mercenary KingVeldが築いたKingdomよりも強権的な、Vida's New Racesが出来上がるのだ。


「出来ればAlcrem Dukeを止めたいところだが、口を挟む口実が無い。それに、DukeEvil God (P)討伐のHeroの働きに報いない訳にはいくまい。

 既に問題のDark Elfを一つ救っているようだしな」


 TakkardAlcrem Dukeの思惑は不明だが、無視できないachievementを挙げた者への見返りを渋る訳にはいかないだろう。

Gordiが欠けた分、民衆も新しいHeroを求めるでしょうからな。……いっそ、DukeがそのDark Elfを新しい『Alcrem Five Knights』の一人として抱え込んでくれれば、Alcrem Duchy内にimpactは留まるのですが」

 Dolmad Marshallはそう言いながら、彼自身もそれはないと思ったのか、首を横に振った。


 彼と同感だったらしいFinance Lordも、書類を見ながら口を開く。

「そのDark ElfKnight以外で他にachievementを揚げたのは……DhampirTamed Monster扱いでAlcremに滞在していたArachneScyllaGhoul……それにEmpusaという亜人型のmonstersか。Tamed Monsterでは、勲章やHonorary Noble位を与える訳にはいきませんな。

 それにTamer guildMasterや、Arthurという男が率いるEClass adventurer partyもいたようですが、Heroに仕立て上げる程のachievementではなかったようです」


 出来ればAlda Reconciliation Factionの者に、Elected Kingの名で勲章を与えるなどしてHeroに仕立て、Darciaとのbalanceを取りたかったのだが、それは不可能だと改めて確認して息を吐く。


「やれやれ、近年増えた素質のある若者達……Hero Candidate達はいったい何をしていたのやら。Alcremにも、十人以上いたはずでしょうに」

「いや、『TrueRandolphこそどこで何をしていたのだ。Evil God (P) revivalのような大事件こそ、SClass adventurerの出番ではないか」


 Alcrem Duchyに目障りな存在が誕生する事が避けられない事を悟ったNoble達は、口々にHero Candidate達やRandolphの名を出してventを始めた。


 実際、AlcremではHero Candidateと呼ばれていた者達への賞賛は、今はDarcia達に向けられている。彼等はEvil God (P)revivalする前にAlcremから旅立っただけで、Evil God (P)に恐れをなしから逃げ出した訳ではない。しかし、不在のHeroより、Evil God (P)を討伐した者達に賞賛と尊敬が向けられるのは当然の事だった。


Hero CandidateとやらがGods 's Divine Protectionを得ているのなら、Evil God (P) revivalの予兆に気がつきAlcremに集まってもいいだろうに」

 そうNobleの一人が毒づくが、彼もHero Candidate達がそのGodsOracleによってAlcremから旅立ったとは、思わなかった。


「諸-kun、既に起きてしまった事を嘆いても仕方がない。Honorary Noble位を与えられるのが、息子の方でなかった事を、せめてもの幸いとしようではないか」

 そしてTelkatanis Prime Ministerは、そう言って場を纏めようとした。確かに、Dark Elfよりも更に寿命が長く、更にAlda Fundamentalism者のnerveを逆なでする、DhampirHonorary Nobleが誕生するよりは、今の状況は幾分マシと言える。


「ははははっ、Telkatanis Prime Minister閣下、流石にそれはありますまい」

 しかしNoble達の多くは彼の言葉に同意するどころか、笑い出した。


ArachneScyllaはともかく、新種のmonstersを何匹もTamerしている点や、Transformation Equipmentなるmagic itemを発明した点からするに、母親同-sama aptitude豊かな少年なのでしょうが、未成年ですから」


「それも怪しいと私は思いますが。幾らDhampirと言っても、その少年はあまりに幼すぎます。とても噂通りのachievementを自力で遂げているとは思えません」

「なるほど。彼の背後にいる何者か……Dark Elf等のVida's New RacesTameralchemistが、自分達のachievementを少年のものとして、偽っているという事ですな」


「確かに、そのDhampirが優れたalchemistなら、同時に優れたMageであるはず。それなのに、Mageとしてのachievementが無いのは不自然だと思っていましたが、そう考えれば納得がいきますな」

「個人的な武力は、中々のようですが。の外で襲いかかって来た、Alda過激派らしい賊を返り討ちにしているそうですし。尤も、その戦いぶりも誇張されているでしょうから、あてにはなりませんが」


 口々にDhampirの少年、VandalieuachievementAbilityに対して疑問を呈するNoble達。彼らはVandalieu達を直接見ておらず、情報も伝聞に頼っている。そのため、彼等がこれまでの人生で培った『常識』で、考えやすい答えへ流れてしまうようだ。


 実際、VandalieuEvil God (P)との戦いに加わったという報告は無いのだが……。


「いやいや、Prime Minister -donoの言う事も尤もだと思いますよ。Dhampirの少年がHonorary Noble位を得ていたら、母親はもちろん背後のVida's New Racesの権力者達の傀儡となり、Alda Reconciliation Factionと手を結んでVida's New Racesの地位向上の為の運動がより激しくなっていた可能性がありますからね」

 そして、Finance Lordがそう纏めた。


 Telkatanis Prime MinisterはそんなFinance Lordたちに対して、気を悪くした-sama子も見せずに言った。

「私のつまらない冗談で場を和ませられたのなら、幸いだ」

 その言葉によってNoble達がまた小さく笑いだす。Dolmad Marshallも彼等と同じように笑いながら、その内心ではTelkatanis Prime Ministerの発言の意図について考えていた。


(やはりPrime Ministerの発言は、この場に居る者がどれ程Dhampirの少年……Vandalieuについて知っているか、試す為か)

Dolmad Marshallはその役職上、各Duke 家が抱える軍に強力なコネがある。それによって、軍関係ならちょっとした諜報organization並の情報収集が可能だ。


 それで彼は今回のEvil God (P) revivalに際した事件を調べてみたが、おかしい事に気がついた。Evil God (P)を再び封じるために出現したという、Borgadonの化身。その化身が現れる前に、Evil God (P)と何者かが戦っていたらしいのだ。

 最初は、『TrueRandolphBorgadonの化身が現れる前に駆け付けたのかと思ったが、それにしてはおかしい。


 彼が駆けつけていたのなら、事件後の不要な調査やPursuitを防ぐため、Alcrem Dukeにだけは話を通す。それなのにDukeが送って来た報告書に彼の名が無いという事は、Evil God (P)と戦ったのは彼以外の何者かだ。

 その何者かについて、Dolmad Marshallは調査した結果、彼の目に留まったのはVandalieunameだった。


 Vandalieuについて、Dolmad Marshallは過去に一度、Amid Empireが流した偽情報だと断じた事があったが……それは早計だったかもしれない。

 偽情報ではなく真実だったとして、Amid Empireに現れたVandalieuと、Alcrem Duchyに現れたVandalieuが同一人物だったとして、Hartner Duchyのあるに彼が現れた事が確認されてから約四年……いや、五年か? それだけの時間を経て、何故彼はAlcrem Duchyに姿を現したのか。


Prime Minister閣下は、より詳しい情報をお持ちのようだ。私も、もう一度Vandalieuと言うDhampirについて、探ってみるとしましょう。

 思わぬ切り札になるのか、それとも早いうちに排除すべき存在なのか、知らないままでは危険ですからね)




 Dolmad Marshallがそう内心で思惑を巡らせている頃、Sauron Dukeの当主となったRudelSauronは、報告書に目を通すなり、叫び声をあげた。

「中止だ! Alcrem Duchyに滞在しているDark ElfDarciaと、その息子を招くのを中止しろ!」


「か、畏まりました! すぐにChurch of VidaTemple Headへ使いを出します!」

 蒼い顔をしてそう返事をするDuke 家宰に、Rudelは更に続けた。

「都に居る全てのKnight Delegation Leaderと、宮廷Mage長に重要な会議を行うと伝えろ! 後、Alcrem Duke 家Hartner Duke 家に使いを――」

「お待ちください」


 しかしRudelの叫びは報告書を彼に提出した人物によって遮られた。

Hartner Duke 家に使いを出すのは、会議が終わってからでも宜しいかと」

「それも……そうだな。Knight Delegation Leader達と宮廷Mage長に重要な会議を行うと伝えてくれ。頼んだぞ」

 それによって多少落ち着きを取り戻したのか、Rudelは声を抑えて改めて宰に指示を出すと、深いため息を吐いた。


 そして宰がroomから退出した事を確認してから、頭を抱えて声を絞り出した。

「……まさか、VidaFamiliar Spiritを降ろす事が出来るDark ElfClergymanの、その息子がAutonomous TerritoryScyllaElderと繋がっていたとは」


「ええ、私も覚えのあるnameを思わぬところで目にして、驚きました」

 Rudelが読んでいる報告書は、Sauron Duke 家に仕えるSpy達がAlcremで手に入れた情報に、報告書を提出した諜報organizationの長が注釈を加えたものだった。


 それにはAlcremVandalieuが連れていた、ScyllaShoujonameと似顔絵があった。問題はそれが、Scylla Autonomous TerritoryScyllaの中でも有力なElderだったPeriveilの、娘の一人、Privelと同じnameと顔をしていたのだ。


「他人の空似の可能性を考えましたが……偶然にしては出来過ぎているかと」

「確かにそうだ。だが、この報告書が正しければ、我々は虎の尾を踏み続けているのかもしれん」

 VandalieuPrivelの母Periveilが繋がっているのなら、彼の母親であるDarciaScyllaと繋がっているはず。


 そして、今も旧Scylla Autonomous Territoryを占領しているResistanceたちとも。Rudelがそのachievementを認めず、それどころかAmid Empireと繋がっていると判断し、leaderの『Liberating Princess Knight』もろとも死んだ事にして闇に葬った者達だ。

 更に、何度も旧Scylla Autonomous Territoryを制圧しようとmercenaryadventurerを送り込んできた。尤も、全て撃退されてしまったので、今では調査と監視に留め、領土奪還のためのtacticsを練り、戦力を集めている最中だが。


 実は、その戦力としてもRudelDarciaの協力を期待していた。

「私は危うく、虎に『お前の縄張りを奪うのを手伝ってくれ』と言うところだったのか……。しかしVidaUndeadの軍勢を許容したと言うのか? 確かに、『Fallen ChampionZakkartの前例はあるが、あれとは事情が異なるだろうに」


「さて、その辺りは何とも。旧Scylla Autonomous Territoryの奥深くに送り込んだSpyは、誰一人として帰って来ませんので。

 ただ、Vidaを頂点として仰ぐGodsの中には、Zakkartの誘いに乗った邪悪なGodsが含まれていると、Alda templeでは語られているそうですが」


「なるほど……会議の後、Hartner Duke 家にはVandalieuについての情報提供を依頼し……Alcrem Duke 家にはどこまで知っているのか、そして何のつもりなのか探りを入れなければならんな」

 DarciaHonorary Earl位を与えるという、Alcrem Duke。彼はVandalieuScyllaについて……Vida's New Racesについて、どれほど知っているのか。


 もし、Alcrem Dukeが全てを知っていて、それでなおVida's New Races側に付くとしたら、最悪だ。

 Sauron Duchyは南東の旧Scylla Autonomous Territoryと東のAlcrem Duchyから挟み撃ちを受ける事になる。北は岩、西は敵国、頼みの綱は南のHartner Duchyだが、どれだけ期待できるのかは分からない。


Dolmad Marshallにも連絡を……いや、あのナマズ髭の言葉を聞いたばかりに、この苦境に立たされているのだ! 迂闊に情報を与えるのは危険か? だが、Hartner Duchyに期待できないのなら……クソ、今のElected KingCorbit Dukeは頼りにならないし、どうすればよいのだ!?」


 考えている内に再び口調が荒くなり、叫び出すRudel。諜報organizationの長は、今度は彼が落ち着くのを無言で待つ事にした。




(あたし、KatieHartner。もうすぐ五ageになる女の子。将来は、立派な政略結婚の道具になる予定)

-kunがこのmessageを聞いているという事は、前世の人格とMemoryが戻った事を意味する』

(おとーさまはHartner Duke 家の当主、Lucas Hartnerよ。おかーさまは正妻で、あたしは長女だから、未来の旦那-samaは他のDuke 家Successorか、最低でもMarquis以上のNobleになりそう)


『このmessageは、-kunが前世の人格とMemoryを取り戻した時に自動的に再生される』

(まだ四ageだけど、文字の読み書きとかEtiquetteの基礎を習っているの。でも、それよりあたしはKnightadventurerになりきって遊ぶ、ごっこ遊びが好きだったみたい。

 それで今日はこれから……はいはい、降参よ)


「黙って聞けばいいんでしょう」

 KatieHartner、前世の名を【Urðr​】のKei MackenzieというShoujoは、頬杖を突いて脳内に響くRodcortemessageに大人しく耳を傾けた。


 messageでは、Statusに調整を施した事や、Active skillsを5level分自由に取れる事、そしてHartner Duke 家Vandalieuと因縁のあるなので、彼の攻撃に備える事等が告げられる。

『最後に、私に強く祈る事で私へのmessageが届くかもしれない。後、【Familiar Spirit Adventskillを使う事で、情報の交換や、伝言のやり取りが可能だ。

 messageを聞き終わったらどちらかを試して欲しい。【Familiar Spirit Advent】は目立つskillなので、前者を推奨する』


 それを最後にRodcorteの声が聞こえなくなると、Katieはどちらもしないままroomの天井を見上げて考えた。


「……面倒くさ。正義のallyは、前世で十分だし……そもそも、コイツがやらせようとしている事って、正義じゃないし」

 Katieは怠そうにそう呟くと、過去を見る事が出来る【Urðr​】のAbilityで、自分の五分前の姿を映しだした。


 そこには、西洋人形のようなBishoujoが映っている。Duke令嬢……この国の制度ではPrincessと呼ばれる事も多い立場だが、name負けはしないルックスのはずだ。

 『Earth』で行われていたBishoujo Contestでも、良い線まで行けるかもしれない。


「小国のOhime-sama相当の生まれを用意してくれたし、そもそもreincarnationして貰えなかったら、『Earth』のテロで死んで終わりだったから、恩を感じていない訳じゃない。でも、【Gungnir】のKaidou Kanataの敵討ちの為に、Vandalieuと殺し合いはしたくないわね」


 Katieも、Kaidou KanataVandalieuに魂を砕かれた経緯は、Rodcorteから知らされていた。

 それだけに、Kanataの敵討ちをしようなんてつもりは、fragmentも持っていなかった。


「だけど、Vandalieuか……との因縁って、ご先祖-samaTalosheimOhime-sama達を裏切った事だけよね? お父-samaが他に何もしてないといいけど……」

 それよりも気がかりなのは、Vandalieuと自分のの関係である。Hartner Duke 家Talosheimを裏切った事は、Kanataが滅ぼされた状況を知らされた時に、ついでに教わっていた。


 それだけなら、今の当主であるLucasが先祖の過ちを認めて謝罪し、Princess Levia達のHonoraryを回復すれば和解の可能性もあるはずだ。その結果、もしかするとLucasは隠居するしかなくなるかもしれないが、それでもKanataのように殺されるよりはましなはずだ。


 前世の人格とMemoryを取り戻したと言っても、生まれてからのMemoryが無くなった訳ではない。KatieLucasを父と認識しているし、愛情も感じていた。


「お父-samaに聞いても、五age前の娘に話してくれるはずはないわよね。最近、妙にピリピリしているし。【Urðr​】で調べるにはその場所に一度は行かないと。映す度を調整すれば融通は利くけど……とりあえず、お父-samaの執務室に行けばわかるかしらね。

 そう言えば、他の皆はどうしてるんだろう? TanakaSamejimaは同じ時期にreincarnationしたはずだけど……はあ、それを聞くにはRodcorteに祈らないといけないのか」


 ああ、毎日のお稽古とおやつの事を考えて、爺を困らせて、お母-samaみたいな奥-samaじゃなくて、お父-samaみたいなカッコイイ軍人になりたいって憧れるだけですむ、昨日に戻りたい。

 そう思うKatieだったが、過去を司るGoddessの名を冠した【Urðr​】のAbilityを持つ彼女でも、時を戻す事は出来ないのだった。


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