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Chapter 32: 自分探しとRank up

 休暇三日目のVandalieuだったが、一方giant Undead達は今まで無為に過ごしていた時間を取り戻すかのように、忙しく働いていた。


「木こりはきぃーをキル!」

『ぎいいいいいいいいいい!』

 両手持ちの斧を、思い切り大木の幹に叩きつける。すると、大木……木がmonsters化したmonstersであるEntは絶叫を上げた。


 そのままズガンズガンと、最後の抵抗に枝を振り回すEntに構わず斧を振るい続け、遂にDeforestationが完了する。

「親方! この木はどうするんで?」

『材木置き場に置けぃ! 暫くMikoは休みだ!』

「う゛う゛すぅっ!」


 Undead Giant達はDeforestationしたEntの細かい枝を切り落とすと、それ等も一緒に材木置き場に運んでいく。彼らは生前から『木こり』で、その仕事はboneだけだったりちょっと肉が腐っていたりしても、テキパキと手際が良い。

「早くTalosheimからオレ達以外のmonstersを駆逐しないとなぁ!」

「ああ、折角 Mikoが来てくれたんだからな!」

『あ゛あ゛ー、早く塩を取りに行きてぇ!』


 彼らは森林のDevil Nestsに中心部以外が侵食されてしまったTalosheimを、元の廃墟に戻そうとしていた。そうしてくれれば、Talosheimの建物を元通り修理するのをOracleMikoVandalieuが手伝うと言ってくれたからだ。

『オレタチの仕事ぶりを見せてやれ!』

 元木こりを先頭に、Giant race達は縄張りを荒らすなと襲い掛かって来るmonstersを次々に倒し、木をDeforestationして行った。


 TalosheimOrbaum Elective KingdomHartner Duchyと繋がるtunnelが発見されるまで、Boundary Mountain Rangeによって外界から隔離されていた都市国だ。

 人口は王都に五千人と、百人規模の村が三つあった程度で、何と【Sword KingBorkusのような腕利きadventurerや、【SaintessJeenaを筆頭にしたtemple Warrior団以外には、専業の職業軍人や戦闘技能者が存在しなかった。


 警備兵を含めた軍人は全て兼業で、普段は鉱夫だったりFishing師だったりしたらしい。

 それだけ聞くと、如何に生まれつきMuscular Strengthに優れ頑丈なBodyを持つGiant raceの国とは言え、軍事力は低いように思える。しかし、実態は違っていた。


 Talosheimの主な産業は、一部のFarming以外は全てDevil NestsDungeonに依存していた。

 木こりはDevil NestsDungeonEntTreantHigh TreantDeforestationして木材を得る。

 Fishing師は三つ又槍で水棲のmonstersを狩る。

 鉱夫もmonstersがうようよいるDevil NestsDungeonの鉱脈から金属をMiningするため、邪魔なmonstersを自ら闘い排除する。


 そう、Talosheimでは人口五千人の大部分が腕利きの戦闘系skill所有者だったのだ。

 一部例外の筈のFarmerですら、農作物を狙う危険な猛獣を殴り殺せるだけの戦闘Abilityを持つのだから笑えない。

 その当時の実態を知ったVandalieu達は、「Mirg Shield Nationは、よくこんな国にケンカを売ったな」と思った。

 だって、約五千人の国民の九割以上が自軍のSoldierを一撃で殺せる戦闘員。それが堅牢な城塞都市で待っているのだ。


 そんな国を攻略しようものなら、自軍に数倍の犠牲が発生するのは目に見えている。

 適性のあるattributeが少ないというGiant raceの特性上magicの使い手は少ないだろうが、Mirg Shield Nation軍にしてもKnightSoldierで多くが構成されるためMageが多い訳では無い。


 きっと、Mirg Shield Nationかその背後で命令を出したAmid Empireは、Talosheimの上辺だけを見て詳しい分析をしないまま派兵を決めたのだろう。結果、一応勝ったもののMirg Shield Nationは国宝のMagic Spearも含めて歴史的損害を出した訳だ。

 何とも愚かな話だが、そんな過去とは関係無くUndead Giant達によってTalosheimからUndead以外のmonstersは次々に狩られて行くのだった。




 その頃、VandalieuAdventurer’s Guildの廃墟で、本を読んでいた。Church of Vidaや小さなMage guildbranchの書庫は火を放たれるか略奪を受けて全滅だったが、ここの書庫は放置されていたお蔭で二百年経った今でも無事な本が幾つもあった。


 maybe、戦争の名目が宗教上の事だったのでtempleの書庫には火が放たれ、小さくても独自の研究をしていた可能性があるMage guildの書庫は略奪にあったが、そういった要因が無いAdventurer’s Guildの書庫は放置されたのだろう。単に、何かする前に撤退しなければならなくなったのかもしれないが。

 そして、その無事な本の中にDhampirに関して書かれた本が残っていたはずだと、Undead Giantの一人に教えてもらったのだ。


 因みに、Adventurer’s Guildに登録した者が持てる登録証の発行ができるmagic itemも残っていたが、動かす事は出来なかった。何でも、guildの職員以外動かす事は出来ないらしい。

 ここで登録できれば称号やskill、そしてManaの事を隠したままadventurerになれたのだが、人生はそう上手く行かないようだ。


 だが、今は自分のraceに関する事を調べるのが先だ。


「これでやっと俺自身について分かる」

 今まではSubordinate VampireValenと、Dark ElfDarciaの間に生まれたという以外、さっぱりだったから機会があれば知りたかった。

 とりあえず、自分がどれくらい生きるのか、平均寿命ぐらい知っておきたい。これからの人生設計を考えるために。


 万が一Humanよりも短かったら大変だからだ。magicで寿命を延ばし、自分を【Youth Transformation】する事も出来るが「Dhampirは若さを保ったまま老けずに、三十ageの誕生日を迎えると突然死する」なんて生態だったら困る。流石に無いとは思うが、念のためだ。


「……-chanと読めるな」

 古い紙の臭いを嗅ぎながら、文字を追う。するとDhampirとは両親の素質をそのまま受け継ぐ特性がある事が分かった。

 特にもう片親もVida's New Races出身だった場合は、それが顕著になるらしい。


「つまり、俺にはそれなりに格闘や弓のaptitudeがあるのか。両親と同じように」

 DarciaArcheryValenclawsを主体にしたUnarmed Fighting Techniqueに適性があるかもしれない。Spirit Magicは、attributeに適性が無いため使えないだろうが。

 それまで存在しなかったdeath attributeに属するAnimaがいきなり発生でもしない限り。LemureVandalieuManaで作りだした使い魔なので、Animaでは無い。


「ん? もしかして……父-sanの太陽に対するResistanceも受け継ぐのか? だったら、【Bloodsucking】でVampireよりの体質になっても大丈夫なんじゃないか?」

 本には、生まれたてのDhampirVampireの弱点を一つも持たないが、【Bloodsucking】を繰り返す事で親のVampireに近くなり、力を得る代償に親の弱点も得るとある。


 しかしVandalieuの父親は太陽に対するResistanceで一目置かれた男だ。しかも Subordinate Vampireは、VampireAbilityの内Body的な物しか持たないが、代わりに太陽以外の弱点を持たないらしい。

 だからVandalieuはノーriskVampireの力を得られるという事だ。


「よし、これからはbloodを沢飲もう」

 今までmonstersblood抜きをする度に、bloodを吸いたい誘惑に駆られていたのだ。それをenduranceしなくてもよく、しかも力が手に入るとなれば躊躇う理由は無い。

 clawsで父-sanのように戦えるようになれば、kaa-sanも喜んでくれるだろう。


「それで肝心の寿命は……Vampireでは無い親のrace次第?」

 そう書かれていた。親によって大きく生態が異なるDhampirの寿命は、Vampireでは無い親のraceによって異なっていた。


 寿命が百年のHumanなら三百年から五百年、二百年のDwarfなら六百年から千年、五百年のElfなら千五百年から二千五百年が最大らしい。

 どうやら、大体親のraceの寿命の三倍から五倍生きられるらしい。


 因みに、これはLife-Attribute Magicで何体かのDhampirを調べた昔のSageconjectureであるため、本当かどうかは若干怪しい。だが、長生きは出来そうだ。……殺されない限り。


「そういえば、Dark Elfって何年生きるんだっけ?」

 Darciaに聞こうにも、彼女は今boneの中で眠っている。Dark Elfについて書かれた本は無いかと書庫の中をウロウロしていると、運良く探していた本を見つけた。


 三分の一程カビで読めなかったが、幸いな事に知りたい事は分かった。

Dark ElfElf族がより強くなるようにとGoddess Vidaが願った結果生み出されたraceであり、全てのAbilityElfより勝っている。

 certainly寿命も長く、Elfが五百年であるのに対して千年という長い時を生きる』


 ……最低でも三千年、最高で五千年。生き延びれば、晩年は歴史の生き証人になれそうだ。

「西暦以上の時間か……想像できない」

 時間の感覚がHumanのままだと辛いかもしれない程度には想像できるが。少なくとも、Rodcorteが約束した四度目の人生はかなり先になりそうだ。


「あの神は何を考えて俺をDhampirに生まれ変わらせたのだろうか? まあ、あいつは俺がdespairして自殺するようにとCurseまでかけて来たし、寿命云々は考えなかったのか」

 実際、Death-Attribute Magicを使えなかったらDarciaが殺された時点で彼は詰んでいた。自殺するまでも無く、餓死するしかなかっただろう。


 本にも、殆どのDhampirは寿命を迎える前に死んでしまう事が多いと書いてあった。それを考えれば、VandalieuDhampirに生まれ変わらせたのも納得できる。


「じゃあ、次はadventurerについての本はあるかな?」

 このTalosheimAdventurer’s Guild branchは、Orbaum Elective KingdomAdventurer’s Guildから導入されたという経緯がある。だからElective KingdomAdventurer’s Guildとほぼ同じ制度の筈だ。


 ここにあるのは約二百年前の資料だが、DwarfGiant raceなど二百年以上生きるraceも多いのだから、細かいところ以外は同じだろう。……二百年の間に制度の抜本的改定が行われていたら、間が悪かったと思うしかない。

「あった。……大体はMirg Shield Nationguildと同じだな」

 制度や規約は、Katiaや殺したadventurerの霊から聞いた情報とあまり変わらなかった。国は違っても同じguildという事か。


 違うのは二点。Vida's New Racesの扱いと、adventurer養成学校についてだ。

 Orbaum Elective KingdomAdventurer’s Guildでは、Vida's New Racesの内Dark ElfGiant race等はHumanとして扱われている。しかしVidamonstersと関わって産まれたraceLamiaScyllaArachneMajinや鬼、そしてVampireは基本的にmonstersとして扱われるとある。


 それらのraceHumanの害となる事が多く、また歴史的にHumanの国と激しく争ってきた過去があるためだ。

 ただし友好的な一族もあるため、国が指定する友好部族認定を受けた部族の者を傷つけてはならないと定められている。


「……うーん、Amid Empireと敵対関係にあるからといって、Vida's New Racesに関しても扱いが正反対って事は無いのか」

 ただTalosheimと交易していた事も考えると、Goddess Vidaに対する風当たりが強いとは思えない。それに二百年の間に各raceとの関係が変わっている可能性もある。


 この辺りはとりあえずHuman社会に出てから聞いてみよう。


「次は、adventurer養成学校について……まさかanother worldで学校生活をやり直す事になるとは思わなかった」

 Amid Empireとその属国に在るAdventurer’s Guildには無いが、Orbaum Elective Kingdomguildにはadventurerを養成するための教育機関が存在する。


 それはElective Kingdomの方がadventurerの数が多く、更に彼らの活躍が必要なDevil NestsDungeonの数が多いからだ。

 certainly adventurerが全てSelf責任の職業である事は、Elective Kingdomでも変わらない。immatureadventurerが無謀なAdventureの果てに死んでも、責任が国やguildに生じる訳でも無い。


 adventurerになるのは余程腕に自信がある者か、食い詰め者……孤児や若い内に職を失った者、業や督を継げない農や商の三男四男といった連中なので、言っては悪いが居なくなっても社会に大きな損失とはならない者達だからだ。


 ただ、昔登録したばかりのadventurerの内過半数が一年以内に死亡してしまい、殆どがDClass以上になる前に引退してしまうという事が続いたらしい。

 流石にそこまで行くと外聞が悪いし、優秀なadventurerの数が増えないとguildとしても困る。食い詰めた連中がadventurer稼業に悲観して、ならいっそと犯罪者になられたら国にとっても大問題だ。


 更にDevil NestsDungeonに発生するmonstersを間引く者がいないと、貴重なmonstersの素材や産物が手に入らないどころかmonstersの大氾濫が起きてしまうという国の維持に関わる問題にまでdevelopmentしかねない。


 そこで国が補助金を出しadventurerの養成学校をorganizationした。ここである程度の知識、そして何より戦闘力を培わせて新人adventurerの死亡率を下げようという訳だ。

 この試みは大成功で、新人adventurerの登録一年以内の死亡率は酷い時の五分の一以下に落ち、DClass以上に昇格するadventurerの割合も数倍以上高くなった。


 また国も優秀なadventurerを専属の護衛やお抱えMageとして雇う事が出来、良い事ばかりだったらしい。

 そこまで読んでVandalieuは顔を上げた。

「ここで怪しいとか思う俺は、性格が悪いんだろうな」

 一年以内の死亡率が下がったのは分かったが、二年目からはどうなっているのか? DClass以上に昇格するadventurerの割合って、結局何倍になったのか?


 そもそも具体的な数字が全く出て来ないのは何故?


「まあ、いいか」

 adventurerになりたいのは理想や純粋な夢があるからでは無い。単純に最も簡単に手に入る身分保証だからで、更に今までしていた事……monstersmountain banditを狩るだけで金が稼げるからだ。

 そして何より、adventurerは他の職に就くよりachievementを上げやすい。


 なので仄かに見え隠れするAdventurer’s Guildの暗部は無視して、Vandalieuadventurer養成学校の制度に関して書かれている部分に視線を落とした。

 学校は単位制で、一年から三年通う事が出来る。最低限の単位を取得し、学校長の許可があればいつでも卒業する事が可能。


 入学条件は特に無く、入学金と授業料が払えればいい。先払いできない場合は卒業後、adventurerとして活動しながら返すという後払い制度もある。

 そしてVandalieuにとって最も重要なのは、未成年者に関する記述だ。


『ただし、未成年者はadventurer養成学校を卒業していなければFClass以上に昇格する事は出来ない』

 Adventurer’s Guildでは、adventurerを実力やachievementによって八つの等Classによって分けている。一番下のGClassは、guildの登録証を持っているだけの新人で、受けられる依頼はの中の戦闘が発生しない……Japanでいう日雇い仕事しかない。しかも、報酬の相場はJapanよりもかなり安い。


 戦闘が発生する可能性がある依頼は、例え野外での薬草収集であってもFClass以上でなければ受けられない。

「つまり、上を目指すために金とachievementが欲しいなら未成年の俺はadventurer養成学校に入らなければならないという事か」

 現在三age間近のVandalieuは、当然未成年者だ。Elective Kingdomに行くのはあの王城の地下にあったResurrection Deviceを手に入れてDarciaを生き返してからと決めているが、それでも十年以上かけるつもりはない。


 そのためAdventurer’s Guildに登録する頃でも未成年の筈だ。

「学校……今度は楽しい学校生活が送れるだろうか?」

 自信は全く無かった。


 Earthでの少年時代は、伯父も流石に義務教育は受けさせたし、高校にも「公立以外許-san、落ちたら働け」と受験の時に散々プレッシャーをかけてくれたが、通う事が出来た。

 しかし小学校の頃はそんな庭環境だから学友をに誘う事も出来ず、また遊びに行く事も伯父の拳が怖くて出来なかった。そもそも、psychological要因で挙動不審だったので友達が全く出来なかった。


 その上Instructorからも受けが悪く、成績は普通だったのだが何故か問題児というimageが付きまとった。そのまま中学まで状況は変わらず、ある程度伯父に反抗できるようになってきた高校時代ではVandalieu自身「明るく楽しい学校生活」を諦めていた。


 そんな自分が学校で友達を作る事が出来るだろうか? UndeadGhoul以外とのcommunication Abilityには、まだ自信が無いのだが。

「新発見のmagicの使い手として一躍注目を浴びた俺は、学友たちの憧れの存在に……ダメだ、想像できない」

 逆に異端視され距離を置かれる光景しか想像できない。


「……いいんだ、Bocchiでも。別に華やかな学校行事がある訳でも無いし、そもそも単位制なんだから居心地が悪ければ最低限の単位を取って、卒業してしまえばいいんだし」

 後はSam達とmonstersの討伐やDungeon攻略で金とachievementを稼げばいいじゃないか。友達だってたく-san居る。だってGhoul Kingなのだから。

 寧ろ勝ち組じゃないか。


 そう心の予防線を張って、本を閉じた。ああ、学校行きたくない。


 暗くなった気分を紛らわせるために、Bone Man達の所に遊びに行こうと思った彼が本を元あった場所に戻すと、偶然ある本が目に入った。

Undeadについての考察?」

 Vandalieuはその本を手に取り、読書を続行する事にした。




 Bone Manを含めたVandalieu手製のUndead達は、戦っていない時はSamの近くで遊び兼訓練をしている。

 仲間同士で模擬戦をしたり、Bone Monkeyが投げる石を避けたり、Bone BirdmidairでアクロバティックなFlightを披露したりしている。


『ぢゅうぅぅ……』

 そんな中、一体だけRank3のままRank upできず仲間に置いて行かれているBone Manに、Vandalieuは声をかけた。

「今日はお前が強くなれるかもしれない方法を見つけたので、試したいと思う」


『ぢゅ……?』

 背中に弓を、腰に剣を下げ、皮鎧に盾を持ったBone Manは見かけだけなら立派なSkeleton Warriorだが、実際にboneに宿っているのは鼠の霊だ。

 そのためかBone ManSword TechniqueShield Techniqueskilllevelを1のまま、それ以上上げる事が出来なかった。levelが百に到達してもRank3のままなのも同じ理由かもしれないと、Vandalieuは本を読んだ後に思った。


『強力なUndeadが発生する条件はいくつかある。その中で最も多いのが、死体とそれに宿る霊が同一、若しくは相性が良い事だ』

 このLambdaでは、死体がUndead Transformationしてもその死体に宿っている霊は生前の物ではない事がある。


 別人どころか、Humanでは無く動物の霊が宿る場合も多い。だが、そうした場合は大抵Rank1か2のweak Undeadにしかならないのだそうだ。

 Humanの霊が猛獣やmonstersの死体に宿ったとしても、猛獣の反射nerveや闘争Instinctがいきなり備わる訳では無いし、そもそもbone格が異なるbody partを動かすだけで精一杯だろう。


 そこにHumanに無い器官……長いtailや翼、第二の頭なんてあったら持て余すだけだ。


 それはHumanの死体に動物が宿っても同じ事で、余程頭の良い動物でなければ手を使う事は出来ないだろうし、四足獣だったら二足歩行すら出来ない。道具を使うなんて論外だ。


 Humanの脳を獣に、獣の脳をHumanに移植するようなものだと想像すれば分りやすいだろうか?


 その点を考えればBone Manに宿った鼠の霊は、規格外に優秀だといえる。鼠一のGeniusだと言っても、過言では無い。

 originally鼠は前足を器用に使うが、それでも剣や盾、そして弓矢まで使いこなすのだから。明らかに並のGoblinよりは頭が良い。


 しかし残念ながら限界がある。まあ、霊だから百年単位の時間をかければ超えられるかもしれないが流石にそんなには待てない。

 なので、Vandalieuは考えた。「Humanbody partmouseの脳を移植したconditionBone Manに、更にHumanSpirit Formを積んでやれば問題は解決するのではないだろうか?」と。


 追加するSpirit Formは長い年月が経ち、魂から剥がれおちた人格もemotionsMemoryも含まれていない抜け殻を厳選する。幸いな事にここは古戦場でもあるので、その手のSpirit Formは簡単に集まった。

「じゃあこれからSpirit Formを追加するぞ」

『ヂュ……ヂュオ゛オオオォ……』


 Spirit Formfragmentを入れていくと、まるでスポンジが水を吸うように入れた分だけドンドン入って行く。

 Bone Manも苦しむ-sama子は無く、それどころか心地よさそうにchinboneを鳴らし眼窩に灯った青い炎を明滅させているので、Vandalieuはどんどん入れていく。


『グルグル?』

『ゲエ゛エエエエ……』

 仲間の-sama子を興味深そうにBone WolfBone Bird達が見守る中、Bone Manbody partである人boneに宿るSpirit FormAcceleration度的に増えて行く。

 そして、それは突然起こった。


「うん!?」

 カチリと、何かが嵌った気がした。まるで箱の中に放り込んでいたpuzzlepieceが、偶然噛みあって完成したような感覚。


『ヂュウ゛ウウウウウゥ……あ、主……主ぃぃ……』

 body partが光り出すとか、禍々しいsignが放たれるとか、そういった派手な演出は無かったし姿形もSkeleton Warriorのままだったが、何とそれまで濁った鼠の鳴き声しか出さなかったBone Manが、言葉を喋りだした。


「もしかして、Rank up?」

 monstersは、Rank upする事で知能が劇的にincreaseする場合がある。単にlevelを上げる過程で経験を積み、学習した結果頭が良くなったのをadventurerが勘違いした例も多いが、中にはmagicを使うようになったり、突然言葉を話しだしたりするようになるmonstersも居る。


 その多くがUndeadだ。

 Rank upした事で魂が不死者のBodyに馴染み、生前のMemoryや技術を思い出すからだ。


『ヂュウ゛、主よ』

 はいと返事する代わりに鼠っぽい濁った声で鳴き、Bone Manは頷いた。

『主の御業によって、私はRank4、Skeleton KnightRank upいたしましたヂュウ゛』

 怒鳴ったら迫力があるだろう豊かなバリトンで、流暢に話すBone Man。語尾がちょっと残念だが。


 しかし、その口調は何処から来たのだろう? 立ち居振る舞いが妙に洗練されて……もしかしBone Manに入れたSpirit Formfragmentに、Mirg Shield Nation軍のKnightか何かのものが混じっていて、そこからかもしれない。

 妙な怨念や憎悪に引きずられないように、抜け殻のようなSpirit Formを厳選したつもりだったが、Bone Manの霊と結合した拍子にMemoryが蘇ってしまった可能性がある。


 しっかり【Death-Attribute Charm】のimpact下にはあるようだが、Mirg Shield NationKnightとして振る舞いだすとBorkusTalosheimUndead Gianttroubleになるかもしれない。

「じゃあ、前世のMemoryを思い出したか?」

 確認してみると、Bone Manは「ヂュウ゛、覚えております」と頷いた。


『あれは、familyのために食料を持ち帰った時でした。奴は私の不意をthrust、襲い掛かって来ました。成す術も無く振り回され、嬲られ、止めも刺さずに放置されたのです。奴は、私のfamilyを喰らって既に満腹になっており、私を嬲ったのはただの『遊び』に過ぎなかった。

 邪悪なるあの猫めが! ヂュオ゛オ゛オオオオオオオオ!』


「……うん、猫ってそういう事するよね」

 必要も無いのに命を奪うのはHumanだけだなんて、それこそfantasyだという事が経験者の口から分かった。

 それはin any caseimpactを受けたのは口調だけでMirg Shield NationMemoryも無いらしいから大丈夫だろう。


 ついでにVandalieuは、犬猫どっちも好きで『何時かPetを飼う』事も夢の一つだった。

「でも無意味に猫を殺さないように」

『ヂュウ゛、畏まりました、主』

 聞き分けが良い子で助かった。将来Orbaum Elective Kingdom猫大量殺害事件が起きる未来は、回避されたのだ。このLambda猫が居るかまだ知らないのだけど。


 この日はもういい時間になっていたので、Bone Man達と遊んで過ごした。Vandalieuが投げたmonstersboneBone WolfBone Bearが競い合って取に行き、咥えて戻ってきたり、Bone Birdの爪に捕まれて空を散歩したり、Bone Monkeyに毛づくろいされたりして楽しい時間を彼は過ごした。


『ヂュオ゛オ゛ォォォォォ!』

 狩りから返ってきたRitaSalireは、雄叫びを上げながら全力疾走しているBone Manを見て首を……傾げたのだろう。物理的にも視覚的にも無いけど。


BocchanBone Manが走ってるけど……あれは?』

『何かのTraining……にはならないわよね』

 boneが全力疾走しても心lung機能は鍛えられない。


「ああ、ちょっと思いつきで作ったら思いのほか気に入ってくれたみたいで」

『……何で?』

maybeBone Manのベースになっている鼠の霊に、ハムスター的な習性があったからかも」

『ハム……スターって、星?』


 Vandalieuがふと思いつきで余った材木から【Golem Transmutation】で作った回し車の中で、Bone Manは暫くの間嬉しそうに走り続けていた。




Name: Bone Man

Rank:

Race: Skeleton Knight

Level:


Passive skills

Dark Vision

Mysterious Strength:2Lv

Strengthened Attribute Values: Loyalty:1Lv(NEW!)

Spirit Form:1Lv(NEW!)


Active skills

Sword Technique:2Lv(UP!)

Shield Technique:2Lv(UP!)

Archery:2Lv(UP!)

Silent Steps:1Lv

Coordination:1Lv

Commanding:1Lv(NEW!)




 Spirit Formを追加された事でRank upしたBone Man。通常Skeleton Knightは生前KnightだったHumanUndead Transformationしたmonstersだが、Bone Manの場合は鼠の霊がベースでありながら『特定の人物にLoyaltyを誓っている』事と追加されたSpirit FormKnightの物が含まれていた事で、このraceRank upした。


 appearanceは変わらないがAbility Valuesと知能がincreaseし、更に今まで経験は積んでいてもlevelを上げられなかったskilllevel upしている。

 更にJob: Knightが習得するPassive技能、【Strengthened Attribute Values: Loyalty】を習得している。このskillLoyaltyを誓った対象(多くは主-kun)の命に従っている間、自身のAbility ValuesEnhanced (1)するskillで、Bone Manの場合はVandalieuが主-kunとなる。


 Skeleton Knightは多くの場合武術系skillCommanding skillを高め、配下を率いる事でRank5のSkeleton Generalや、6のSkeleton LordRank upするが、生前や死後国王やEmperor等の一国を支配する地位を持つ存在に仕えている場合、Skeleton Baron等のNobleの名を持つUndeadRank upする場合もある。


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