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Chapter 263: 崩れるThousand BladesCannibalismの走狗

 Gordiが抜いた宝剣……そう呼ばれている割に装飾されているのは鞘だけで、剣main bodyは柄に埋め込まれた宝石以外特徴がない。

 それはEvil God (M)sealedする儀式に用いる為に必要な象徴であると同時に、Duke 家に剣を捧げるKnightである事を表していると伝わっている。


 平時においてはsealedを守るClergyman。だが、一度剣を抜けば、Knightとして戦う。

 しかし、今その宝剣が向けられているのは、彼と同じAlcrem Duke 家に仕える『Five Knights』の一人、Valdiriaだ。


 彼女はfaintedしているGordipartnerを床に転がしたまま、両手に手斧を構えた。彼女本来の得物ではないが、狭い隠しroomでは、これが限界だ。


「……他のKnightBrabatieuSergioを連れて来てはいないのか。まさか、私を一人で取り押さえる事が出来ると思っているのか?」

 Valdiriaの背後に誰もいない事に気がついたGordiが、眉間に皺を作って訝しげに彼女を睨みつける。


「いや、Duke閣下を避難させるのを優先したのか? Ralmeiaがあの-sama子では、仕方のない判断――」

「いいや、あの二人やDuke -samaにはまだ報告していない。ただ、私が万が一戻らなければ部下が報告する手はずになっているけれど」

「……何だと?」


 Valdiriaの言葉が理解できず、思わず聞き返すGordi。そんな彼にValdiriaは油断のない、しかし悲しげな瞳を向けて言った。

「自ら罪を告白して、潔く縛につけ。そうすれば、Duke閣下も寛大な措置を取ってくださる。少なくとも、あなたの妻子の事は、私が面倒を見る。Knightの誇りに誓って」


 Valdiriaは同僚のよしみで、Gordiに情けをかけ、自首する機会を与えたのだ。それを理解した彼は、目を見開き、思わず宝剣の切っ先を下げた。

「なんと……!」

 確かに自首すれば、多少の情状酌量を受けられるだろう。


 本来ならGordi本人は公開処刑。peeragepropertyを剥奪され、妻子は路頭に迷う事になるところだ。しかしGordiが自首をして、彼のこれまでのachievementが考慮されれば、彼本人は毒入りのwineを煽ると言う、衆目に死に-samaを晒されずに済む処刑方法で、そしては降爵されるだけで済むかもしれない。


「何時から、私を疑っていたのだ? あなたがBrabatieuとは別のpolicyで捜査していた事は気がついていた。だが、私とpartnerは証拠を残さず、alibiも完璧だったはずだ。そのpartnerに至っては、存在する痕跡すら無かったはず」

 しかしGordiは宝剣の切っ先を下げたものの、手放そうとはしない。そのまま尋ねてくる彼に、Valdiriaは答えた。


「貴-donoの言う通り、疑う理由は無かった。行動、金の動き、Human関係、過去の経歴、犠牲者との接点……不審な点を、私は何も見つけられなかった。あなたのpartnerに至っては、何処のguildにも……犯罪organizationにすらrecordは無かった。正直に言うと、今でもnameすら分からない。

 それなのにAssassinとして結構な腕を持っている。いったい、どこでこんなpartnerを見つけたのだか……」

 探し出し、生け捕りにした時の苦労を思い出して、内心溜め息を吐いた。


 Alcremadventurercertainly、職人など一般人として働いていた形跡のなかったGordipartner。彼はいったいどこでAssassinscout職としてのskillを磨き、どこで生活していたのか。

 本人とGordiから聞き出して、調べなければならないだろう。この事件の背景は、彼女達が想像していたよりもGiantshadowが隠れているのかもしれない。


 だが、それもGordiを自首させる事が出来たらの話だ。Valdiriaは彼が抵抗を諦めるよう、促す為に話を続けた。

Guard隊同-sama、私達の捜査も行き詰まった。だから、Brabatieuのように私も発想を変える事にした。彼は【Spiritualist】を雇って被害者の霊を探す斬新な手に出たけれど、私はそれまで理由がないからと疑っていなかった者を疑う事にした」


 発想の転換を行い、主-kunであるTakkardAlcrem Dukeやその子息、Duke 家宰、そして同僚が「もしFace-Stripping Demonだったら」と想定して、Valdiriaは捜査を行った。

 すると、Gordiのここ最近の言動に違和感がある事に気がついた。


 不審な点という程、決定的なものではない。だが、DwarfであるValdiriaは十代のShoujoのように見えるが、髪に白髪が混じり始めたBrabatieuや、Takkardよりも年上だ。Gordiの事も、先代『Knight of the Crumbled Mountain』が健在だった事から知っている。

 その経験が、おかしいと言っていた。


 そしてGordiの身辺を念入りに調べた結果、彼のに伝わる廉価版itemボックスが持ちだされており、何者かのshadowがうろついていた。

「極めつけは、あなたがsealedを守っているHoly Wastelandsに、sealedを維持するために必要だという理由で、Slave商人から犯罪Slaveが数人運ばれた事。

 Slave商人にその犯罪Slave達の似顔絵を描かせたけれど……その内一人の似顔絵が、昨日のnight発見された顔の皮と似ていた」


「彼の事は信用できると思っていたが、Memory力が良いだけではなく、口の軽いSlave商人だったか」

「『Five Knights』の権威で無理に口を割らせたから、Slave商人は責めてやるな。

 ただ、考えてみれば当然だった。犯罪organizationだけではなく、GuardKnight、更に上位のNobleが隠していた悪行を調べ出す事が出来るのは、Spy organizationCommandingするDuke閣下や、私達『Alcrem Five Knights』の者達ぐらいだ」


「確かに……ん? 待て、Valdiria。貴-sama、いったい何を言っている?」

「何度でも言おう、Gordiよ。同じKnightとしての情けだ、『Face-Stripping Demon』として捕まる前に、『Knight of the Crumbled Mountain』として大人しく縛につけ。

 裁けぬ悪を許せないという貴-donoの気持ちは、理解できる。しかし、それはKnightとして越えてはいけない一線を越えている! 貴-donoもまた、裁かれなければならない!」


 Valdiriaの糾弾は、至極真っ当なものだ。動機が正義感に根差したものであったとしても、GordiDuke 家に剣を捧げて碌を食み、力だけではなく法と権威で民を律するKnightだ。

 Knightである以上、今無理だったとしても、公に裁けるよう戦い続けなくてはならなかった。猟奇的な手段で暗殺し、それを世に知らしめて社会不安を煽るなど、もってのほかだ。


「それに、貴-donoの正義は既に破綻している! 顔を剥がれた者の中には、犯罪者ではあっても死刑に当たらない者が何人も含まれていた。それに、昨日に至っては既に裁かれた犯罪Slaveの顔の皮を剥ぎ、晒すとは……貴-donoは既に裁きを成す事ではなく、『Face-Stripping Demon』の犯行を続ける事が目的となっている!」


 そして最近の『Face-Stripping Demon』の犯行が破綻している事は、彼女が指摘した通り。これでは『Face-Stripping Demon』は正義のAssassinではなく、ただの連続猟奇殺人鬼だ。

「……くっ」

 そう糾弾されたGordiは、短く呻いて顔を歪め――


「くっはははははははっ!」

 笑い出した。

「な、何がおかしい?」

 予期せぬGordiの反応に戸惑うValdiriaに、彼は今まで一度も見せた事のないSmiling Faceを向けて言い放った。


「おかしいとも! まさか、真犯人に罪を着せるつもりで犯行を模倣したと言うのに、真犯人の分の罪も私が被るはめになりかけているのだからな!

 いつまで寝ている? 増えろ、partner!」


 『偽Face-Stripping Demon』だったGordiの言葉に応えて、faintedしているはずのpartnerの背中から生皮が裂けるような音を立てながら、二本の腕が出現する。

「何っ!?」

 Valdiriaの一瞬の隙を突いて、二本の腕は彼女に抜き手を放つ。その動きは素早く、手斧で払いのける事は出来なかった。


 しかし、受けたのは爪が頬を掠った程度の傷だ。Valdiriaは人外の動きを見せるGordipartnerspineを踏み折ると、その反動を利用して後退。

 Gordiの説得を諦め、敷地内に居るはずのBrabatieuSergioに事態を知らせる為の警報替わりも兼ねて、Martial Artsを放とうとする。


「うっ!?」

 だが、その瞬間whole bodyから力が抜けた。膝から崩れ落ちて、手斧も二振りとも床に音を立てて転がってしまう。

「ふぅ……危うかった。貴-samaが手斧ではなく、Halberdを持って来ていたら、腕ごと薙ぎ払われていただろうな」

「ああ、俺達の毒も……」

「体内に入らなければ、意味がないからな」


 Valdiriaが倒れた事に、Gordipartner達と共にほっと安堵の息を吐いた。『Knight of the Crumbled MountainGordiとしてではなく、彼本来の力を使えれば倒せない相手ではない。しかし、今他のFive Knightsや……Vandalieuに気がつかれるわけにはいかないのだ。


「毒……BAKANA、私は【Poison Resistanceskillを……」

 spineを踏み折ったはずのGordipartnerの背中から、腕だけではなく新たな頭部や上半身が生えつつある事に……HumanSlimeのように分裂して増えようとしている事に驚きつつも、Valdiriaは痺れるtongueで言葉を紡いだ。


 何とか懐にendureばせた解毒用のpotionを取ろうとするが、彼女の腕はboneが溶けてしまったかのように頼りなく、言う事を聞いてくれない。


「貴-samaが【Poison Resistanceskillを持っているのは、知っている。だが、我等が授けられた毒……神の毒には、【Poison Resistance】程度では耐えられなかったようだな」

「神、だと? まさか、お前達は、最近……」

「最近増えている、神's Divine Protectionを得たHero Candidate達と一緒にするな。我々は、十万年以上前からずっと一柱の神に仕えている。我々は――」


partner、前のpartnerが限界のようだ。このままだと死んでしまうぞ」

「そうだった。貴-samaに秘密を喋っている場合ではなかったな」

 Gordiは分裂したpartnerに視線を向けると、Valdiriaspineを折られた方は床に横たわったまま立ち上がれずもがいていた。


「【Rapid Regenerationskillを渡す必要もないだろう。俺に戻れ、partner

「分かった。Fusionする」

 Gordiが伸ばした手を掴むと、「ぢゅるるるる」と汚らしい音が響いた。その音に比例して、倒れたままのpartnerBodyが萎んでいき、ついには黒装束だけを残して消えてしまった。


 信じられないと驚愕しながらも、毒の効果で喋る事も出来ないValdiriaを、新しく増えた方のpartnerが乱暴に掴み、隠しroomの中に引きずり込む。

「同僚がHumanCamouflageしたmonsterだと知ると、-kunほどの人物でもshockを受けるのか? 私と貴-donoは仕事上の関係のみで、会話も最低限に抑えられていたと思うが……難しいものだな。

 姿形や言葉、Jobskillを真似ても、Humanになる事は出来んか」


 Gordiは、Humanではない。HumanCamouflageした、邪悪な神によってCreationされたMimicry Slimeに似た生態を持つraceだった。

 ただのMimicry Slimeと違い、Humanと同じようにJobに就く事が可能であり、更にHumanbody partInfestして内側から喰らう事で、そのHumanStatusを乗っ取り、skillを奪う事が出来る等、より高いCamouflage Abilityを持っている事だった。


 Valdiriaがそう説明されていたら、Gordiの正体と彼の背後にいる神に気がついたかもしれない。


 Champion Bellwood率いるChampion軍の前に立ちはだかった、『Demon KingGuduranis率いるDemon King Army。その中に、一風変わったmonstersを産みだした『Evil God of CannibalismZeezoreginという神がいた。

 その『Evil God of Cannibalism』が産みだしたmonstersは、Camouflageする事に、特にHumanや動物に姿を変える事に特化したmonstersだった。


 Demon Kingや他の邪悪なGodsが産みだしたmonstersの多くが、巨体から発せられるMysterious Strengthやタフネス、強力な炎やIce Breath、それにDeadly Poison等の特徴を持つ、単純に強いmonstersだった事に対して、Zeezoreginが産みだしたmonstersは、かなり異質な存在だった。


 しかも産みだされたCamouflage Humanと呼ぶべきmonsters達は、ある種の植物が地下茎を伸ばし自分のCopyを増やしていくのと同じように、己のCopySelf Productionする事が可能だった。

 Camouflage Human達はHuman達を襲ってその姿形を奪い、Champion軍を大いに混乱させる事に成功した。


 だが、それも戦いの序盤だけだ。Champion軍が劣勢になり、Humanの数が減り一つの拠点に集中するようになると、Camouflage Human達が潜入する社会の隙間はなくなり、更に個々のHuman達自身もStatus systemを使い強くなって行ったため、Camouflage Human達はすぐに発見され討伐されるようになった。


 それを落ち目と見たのか、Zeezoreginが手柄を上げるのを快く思わなかった『Evil God of RobberyForzajibarが、その力を奪おうと襲いかかった。


 ally同士で争い始めた『Evil God of Cannibalism』と『Evil God of Robbery』を、Farmounが側面からSlash捨てて、当時 Bahn Gaia continentの北部に存在していたMountain Rangeに叩き付けた。そこにDemon King Guduranisによって、魂を砕かれかけていた『God of MountainsBorgadonが自らと々を犠牲にしてsealedし、後には岩が崩れて出来た荒野だけが残ったと伝わっている。

 これが、Gordi達歴代の『Knight of the Crumbled Mountain』達が、このAlcrem DuchyAlcrem Kingdomだった時よりもずっと前から守っているsealedlegendだ。


(そのGordiが、legendCamouflage Humanの生き残り……いや、Camouflageだけではなく、我々『Five Knights』の一員として戦える程の力を持ちあわせる、より上位の種になっている。Rank upしたのか?

 いや、それにしても、奴が言う神、Godsとはいったい? 『God of MountainsBorgadonか?)


 『God of MountainsBorgadonは、深い眠りについているとされ、現在ではEvil God (M)sealedがあるGordi達の一族が守っているHoly Wastelandsでのみ、祭られている。

(それがGordi達にOracleや啓示を下し、操っているのか? だが、何故Borgadonがこんな事を……そもそも、Borgadon自身がsealedしているのは、Evil God (P) Forzajibarではなかったのか? Evil God (M)が作り出したCamouflage Humanの末裔が何故?)


 毒で動かないbody partの代わりに目まぐるしく思考するが、Valdiriaの意識は混濁し始めていた。Gordiはその彼女の髪を掴み上げ、瞳を覗き込みながら「ふむ」と呟く。

「どう言う事だろうな。貴-donopartnerを連れて現れた時は邪魔者としか思えなかったが、今は秘密やこれからのtacticsについて、話してしまいたくなる」


Humanは自分以外の誰かに、秘密を打ち明けたがる生き物らしいぞ、partner。長く演じる内に、Humanの習性がうつったのではないか?」

「なるほど。確かに……Gordiになってから三十年以上。先代と交代して姿を変え、Humanと同じように成長し、Agingしているように見せている内に、Humanが移ったか。あり得ない話ではないな」


 Gordiは、Humanの『Knight of the Crumbled Mountain』のGordiを殺して乗っ取った訳ではない。『Knight of the Crumbled MountainGordiは、最初からこのCamouflage HumanCamouflageしていた姿とnameだったのだ。

 もっと言うなら、十万年前からこの地でEvil God (M)sealedを守って来た一族の当主やその周辺の数人は、全てCamouflage Humanである。


 Valdiriaも疑問を覚えたが、何故『Evil God of CannibalismZeezoreginが作り出したCamouflage Humanが、『Evil God of Cannibalism』のsealedを守っているのか? その疑問は当然だが、真実はとても単純だった。

 『Evil God of CannibalismZeezoreginは、sealedされていないのだ。


 十万年以上昔、Zeezoreginは確かに『Evil God of RobberyForzajibarとの戦闘中に、Farmounの一撃によって大きな傷を受け、Mountain Rangeに叩きつけられた。そこに『God of MountainsBorgadonが我が身を犠牲にsealedしようと試みたのも、事実だ。

 だが、ZeezoreginBorgadonsealedを試みた瞬間、自分よりも傷が深かった『Evil God of Robbery』を喰った。

 そして力をある程度取り戻したZeezoreginは、Borgadonsealedを打ち破り、そのままBorgadonも喰らい、Absorptionし同化したのだ。


 そして『Evil God of CannibalismZeezoreginは、『Evil God of RobberyForzajibarや『God of MountainsBorgadonから奪ったAbilityで、『Cannibalismと強奪の邪Evil God (P)』となり、その力を最大限発揮して死んだふり……自分がsealedされているようにCamouflageしたのである。

 二柱の神をAbsorption同化したとはいえ、二柱ともその時には深い傷を受けていたconditionで、『Cannibalismと強奪の邪Evil God (P)』となっても、力は全力には程遠い。


 そんなconditionで地上に出ても、一矢報いる事も出来ずChampionにやられるだけだ。なら、sealedされたようにCamouflageするしかない。

 その選択がZeezoreginを、そしてGordiCamouflage Humanを今日まで生かす事になった。


 Demon King Guduranisが倒され、その後VidaAldaが争い、更に十万年あまりの時が過ぎても、ZeezoreginCamouflageを続けた。

 『sealedを守るための使命を帯びた一族』と言う設定のCamouflage Humanを創りだし、sealedを守る神と恐ろしいEvil God (M)の逸話をHuman達に広めた。どちらもZeezoreginであるため、Human達の祈りと畏怖、両方が彼の力となり傷を癒した。


 だが、それ以外に邪悪な神らしい事……生贄を捧げさせたり、monstersを扇動してHumanを襲わせたり、worldの復興を邪魔するような事は一切しなかった。

 寧ろ、『聖地』を守るためにCamouflage Human達に指示してmonstersを狩らせ、時の為政者の元にCamouflage Humanを送り込み、国に貢献させた。


 祈りや畏怖を捧げる畜であるHumanが増える程、Zeezoreginにとっては都合が良く、逆にAlda達がCamouflageに気がつくような事は絶対に避けなければならなかったからだ。

 その邪Evil God (P)らしからぬ努力によって、BellwoodFarmoun、そして『God of Law and LifeAlda達はZeezoreginCamouflageを見抜く事はなかった。


  Bahn Gaia continentで暗躍する『Evil God of Joyful LifeHihiryushukakaや、Demon continentに巣食う『Evil god of releaseRavovifard等、活動的なEvil God (M) Evil God (P)の存在のshadowZeezoreginの存在は隠れてしまい、本当にsealedされているのか綿密な調査を行う、と言う行動はとられなかった。


 実際、Alda達がDivine Realmから探ってみても、ZeezoreginAbsorptionし、Camouflageしている『God of Mountains』のsignしか感じなかっただろうが。

 『God of ReincarnationRodcorteなら、GordiCamouflage Humanの存在に気がつく事も出来たはずだ。だが、RodcorteAldaと協力関係をEnhanced (1)したのは最近の事で、更にDemon King Army RemnantsではなくVandalieuに関する事だけだったので、今まで知る事はなかった。


 Zeezoreginの傷は既に癒え、力は取り戻している。だが、後数百年はこのままCamouflageを続けながら情報を集めるつもりだった。

 そして、新たなるDemon Kingとしてこのworldを支配するための策を実行するはずだった。策の成就は、今までの実験によって既に約束されたも同然。

 後は、機を待つ……AldaVidaが再び矛を交える大戦争が起き、両勢力が疲弊するその時を待つだけだった。


 だが、Vandalieuの存在によって急遽予定を早めなければならなくなった。


「それで、Valdiriaはどうする? このconditionでは、Vandalieuに対する戦力にはならない。同化してCamouflageするか?」

 partnerに訊ねられたGordiは、首を横に振った。


「同化するだけなら容易いが、そっくりにCamouflageするには時間がかかる。普段とは-sama子が異なる『Valdiria』を、あの疑り深いBrabatieuに見られたら面倒だ」

 彼等Camouflage Humanは、Absorptionし同化する事で相手のskillを奪い取る事ができ、それを同じCamouflage Human同士で物品のように交換する事が可能だ。


 この生態によってGordi達代々の『Knight of the Crumbled Mountain』は高い戦闘Abilityを維持し、『partner』も腕利きのAssassinと同じ水準のskillを持つ事が出来た。

 Valdiriaskillを奪い、partnerを彼女そっくりにCamouflageさせる事も出来るが……人格までは短時間でCamouflageする事は出来ない。Humanそっくりでも、HumanではないGordi達の弱点である。


「それに、同化Absorptionした対象の魂がどうなるか、分からん。この隠しroomは、霊が出入りできないようBarrierを張ってあるが……我々が隠しroomから出た後にAbsorption同化したValdiriaの霊がbody partから出たら、Vandalieuに知られる恐れがある」


「考え過ぎだと思うが、今この女を殺さなくてはならない理由がないのは同意する。では、このまま放置しておこう」

 『partner』がCreatorであるZeezoreginから与えられた、【Divine Venom Secretionskillによって作られる毒は、致死毒だが、Valdiriaの体内に入ったのは僅かな量だ。彼女のVitalityなら、死ぬまで半日はかかるだろう。


 それだけの時間があれば、彼女が死ぬ頃には策は既に終わっている。Vandalieuに情報が伝わる事はない。

 意識が混濁して動けないValdiriaを隠しroomに放置して、Gordi達は時が来るのを待った。




 郊外の別邸とはいえ、Duke 家の所有するmansionとあって、庭園は見事に整えられていた。

 Kimberly達が調べた情報通り、Blind Spotが多く外部から中の-sama子を伺う事が難しい作りだが、手入れされた庭木や花々、庭石等が上手く配置されており、後ろ暗い雰囲気を感じさせない。


(事前に情報を得ていなければ、木や池の中、mansionに潜んでいる人の多さに驚いていたでしょうね)

 Myuzeと違い【Intuitionskillを持たないVandalieuだが、Kimberly達からDukeの配置したSpyKnight達の場所と人数を聞き、そう思った。


『もしかして、こいつ等やる気なんじゃない?』

 Orbiaが思わずそう呟き、Ghost達が警戒心をあらわにする。姿を見る事は出来ないが、その雰囲気が伝わったのか、GizaniaSimonは緊張を露わにした。


「本日は儂の招待に応じてよく来てくれた。非公式の茶会故、Etiquetteは気にせず、楽に過ごしてくれ」

 garden partyの準備が整えられた裏庭で、Vandalieu達を出迎えたTakkardAlcrem Dukeがそう言ったのは、彼女達の緊張を別の意味に解釈したからだろう。


 尤も、それを言った彼自身の顔にも若干の緊張が浮かんでいたが。表情はやや硬く、呼吸も速い。心なしか顔色は悪く、髪もしなびて見える。

 彼がそこまで緊張している理由は、Vandalieuの持つ戦闘Abilityの高さと――

「初めまして、Alcrem Duke -sama。私はVandalieu Zakkartと申します。そして彼女が――」

Julianaと申します」


 牛のが生えた頭で綺麗にお辞儀をするJulianaの存在自体である。その容姿は、良好な関係ではなかったが腹違いのbrother and sisterだったTakkardには、生前のJulianaを思い出させた。そして仕草は、彼女がただ人語を話すだけのmonstersの一種と判断する事を躊躇わせるだけの、気品と教養を感じさせた。


-kunは……やはり!」

 Julianaを目にしたTakkardは、確信した。何が彼女の身に起きて今のconditionになったのか、その裏にどのような存在の意図が絡んでいるのか、それらは全く分からない。だが想像やconjectureを飛び越えて、理解したのだ。

 目の前に存在しているのは、Juliana Alcrem本人であると。


「はい、お初にお目にかかり、Tamed Monsterの身に余る光栄と存じます」

 だが、複雑なemotionsを吐露するTakkardとは逆に、Julianaは淡々とした、coldすら感じさせる態度で応じ、彼の確信を否定した。


 それはTakkardにとって、逆に確信を強めるものだったが、同時に肩の重みを軽くする態度でもあった。

 Julianaがきっぱりと前世での関わりを否定したため、意図したものではないが彼女達を死地に赴かせた責任を追及されずに済むのだから。


 無論、from hereネチネチと遠回しに攻められる可能性もあるのだが、それはJulianaも、そして彼女が信仰するVandalieuも望まない。

Duke -samaは彼女に興味があるようですが、失礼ながら彼女は私の元で育成しているTamed Monsterになります。何かご用の際は、guildを通して依頼を出していただけると助かるのですが」

 偉い人向けの口調で、『下手な手出しはしないでほしい』とVandalieuTakkardに告げる。


「そ、それはその通りであるな。つい、知人の幼い頃に似ている気がしてな」

「そうでしたか。Duke -samaとなれば人脈も豊富でありましょうし、その大勢の中のお一人と彼女が似ているという偶然も、あるのでしょう。

 彼女はまだ幼体で、これから成長を重ね姿も変わるでしょうから、あまりお気になさらない方が良いかと」


 更に『あまり気にしないでほしい』とVandalieuが告げると、「う、うむ」と頷いた。

 これで、とりあえずJulianaの件については解決した。……解決したはずである。

 certainlyVandalieuもこれでTakkard達と信頼関係が築けたとは、思っていない。それはこれからも続くお茶会で交わされる会談で培うのだ。


「おお、そうだ。お茶が冷めてしまいますので、とりあえずどうぞ。口に合えばよいのですが」

 気を取り直し、会談を仕切り直そうとTakkardがお茶と菓子を勧める。非公式ではあるものの、お茶と菓子は出せる最高Classの物を用意したのだろう。


 給仕が淹れるお茶は香り高く、Butterや砂糖をふんだんに使った焼き菓子、Dungeon産の珍しい果物が並んでいる。

「ありがとうございます。とても香り高いお茶ですね」

 今度はVandalieuから交代して、Darciaが柔らかい微笑を浮かべてTakkardに対応する。その微笑は極めて自然だが……若干手つきが怪しかった。


 Boundary Mountain Range内部の国々では外交も熟すDarciaだが、Human社会の上流階Classmannerは完璧とは言えない。Moksi Earlとのお茶会ではそれなりに取り繕ったが、やはりEarlDukeでは覚える緊張が違うようだ。


「ヴぁ、Van、カップを取ってくれないか?」

 Human社会初体験のGizania達は更にmannerに疎く、body partの構造的なハンデもある。

 特にGiantな蜘蛛のlower bodyを持つGizaniaは、背筋を伸ばしたままだと手がtableに届かない。

「はい、どうぞ。MyuzePrivelは、鎌腕やtentacleを使っちゃダメですよ」

「分かっているでござるが……」

「ううん、二本しか腕が使えないのって、ちょっとまどろっこしいよ」


 そしてMyuzeは肩から生えた自前の鎌よりも、ずっと小さなknifeでジャムをbreadに塗り、Privelteaカップを手で持っていると、焼き菓子を一つしか持てない事に少し苛立つ。


「……別の意味で緊張するよ」

Earl -samaの時は、逃げられたんだけどなぁ」

 NataniaSimonは、「自分達は客ではありません、護衛です」と言うポーズを保ったまま、お茶に手を伸ばそうとはしない。紅茶は音を立てて啜らない、と言う程度の最低限のmannerしか知らないので、お茶会に加わりたくないのである。


Tamed Monsterの身分だとこういう時楽ね。細かいmannerは気にしなくて良いし」

「ウォン」

 Katiaはそう言って焼き菓子を食べ、FangServantが用意した肉の塊を齧る。Maroll達は、Vandalieuが次から次に渡す焼き菓子を「チューチュー」鳴きながら齧っている。


 その一同の-sama子を見て、Takkardと給仕をしているServant達の緊張感が、更に緩んで行く。Vandalieu達の態度から、自分達に敵意を持っている可能性は低いと感じたのだろう。

 それなりの緊張は必要だし、これからの会談の結果次第で色々と変わるが、それでもAlcrem Duchyの存亡をかけた戦いが今日勃発するような事はないと思ったのかもしれない。


 心なしか、Takkardの顔色も良くなっているように見える。

「ところでDuke -sama、別邸に死にかけている人がいるようですが、ご存知ですか? 良ければ治療いたしますが」

 Vandalieuが突然そんな事を言い出したので、すぐ青くなったのだが。


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