『Vida's Factionへの橋渡し、ですか?』
Bacias達三柱のGodsの話は、Vandalieuにとって意外なものだった。
GufadgarnやFidirg等、色々な意味でEvil God (M) Evil God (P)というimageから外れた存在や、curryやColaを楽しみにするZuruwarn等、Godsに抱いていたimageとは合わないGreat Godを直に見て知っているVandalieuだが、『God of Law and Life』Aldaに与するGodsに対しては、昔からの印象を崩していなかった。
自らの教義に反するものへの弾圧や迫害は善行であるとする、独善。神の悪い imageをそのまま体現しているような存在だと、VandalieuはAlda's FactionのGodsを認識していた。
それは『God of Records』Curatosや、『God of Thunderclouds』Fitunとの戦いで、悪い方へ変わる事はあっても好転する事は無かった。
だからこそBacias達の言葉には驚きと困惑を覚えた。
『Fitunと違い敵意が無いのは分かりますし、嘘を言っているとも思いません。ですが、『God of Law and Life』Aldaを裏切ってまで、何故Vida's Factionに転向したいのですか?』
何故なら、彼にはBacias達が何を考えているのか分からなかったからだ。
彼女達が、何故か自分のGuidanceのimpactを受けている事は雰囲気で分かる。分かるが、流石に「導かれたから」で済ませてよい話とは思えない。
そう尋ねても、Bacias達は特に気を悪くした-sama子は見せなかった。それどころか、ほっと安堵しているように見える。
……最悪の場合、Vandalieuに話も聞いてもらえず喰い殺される可能性も考えていた彼女達からすると、安堵するに値する状況だった。
『certainlyお答えします。我々がNineroad -samaやAlda -samaといったそれぞれの主神を裏切ってまで、Vida's Factionに転向したい理由。それは……』
ほの暗く、ねっとりとした視線を前髪の隙間からVandalieuへ向けながらBaciasは答えた。
『あの町の建物に描かれた絵、それを見ている内に、貴方に惹かれていたからです』
そして、暫しの時が流れた。
『……それだけ? 最近のAldaの考え方にはついて行けないとか、ずっと冷遇されていたとか、実は以前からVida's Factionに近い考え方をしていたとか、先日のFitunが起こした事件で目が覚めたとか、そうした理由ではなく?』
一向に続きを話さないBaciasに、困惑を深くしながらそう重ねて尋ねると、彼女達は『そうです』と頷きながら、一歩前に出てVandalieuに迫った。
『はい。私はWind-Attributeなので以前はあまりAlda -samaに関わりませんでしたし、Nineroad -samaに見出された身ですが特別親しかった訳ではありません。冷遇は……されていた気もしますが、されていないかも知れません。
そして私がTalosheimに描かれた絵を見始めた時から、Vida's Factionに転向しあなたの下に侍る事を考えていました』
『我々はAlda -samaのSubordinate Godですが……確かに冷遇され気味だった気もしますが、originallyの神としての特性が特性ですから、気にした事はありませんでした』
『ZelzeriaはDark night、我はshadow故。Fitunのように華々しい前歴がある訳でもないので、shadowが薄いのも仕方のない事』
Bacias達三柱のGodsは、それぞれが司るものと神としての性質の問題で、Alda's FactionのGodsの中では盛んに信仰される立場にはなかった。
『God of Judgement』Niltarkや『God of Thunderclouds』Fitunを花形と評するなら、Bacias達は日陰者という事になる。
単体で祭られているtempleも殆ど無く、多くの場合はNineroadやAldaを祭るtempleにSubordinate Godの一柱として、reliefやIdol Statueが置かれるぐらいである。当然、believerの数も少なめだ。
ただ、迫害されていた訳ではない。ただ、Godsには果たすべき役割があり、Bacias達の場合はその役割が表舞台で華々しく活躍するには不向きだったというだけだ。
三柱のGodsはそう納得して、己の立場に不満を持った事はなかった。
それに、Aldaが創りだしたFamiliar Spiritから神に昇華したHamulはcertainlyだが、元HumanのBaciasとZelzeriaは、Alda達の説く教えや価値観、善悪の基準に疑問を持った事はなかった。
そうした事を、三柱の神はVandalieuが口を挟むtimingを与えず、一気に話しきった。
見る者が見たら……恐らくZuruwarnなら、今のBacias達は普段から話し慣れていないHumanが、突然好きな人に話しかけられて、テンパっている-sama子に似ていると気がついたかもしれない。
『ただ、疑問が全く無かった訳ではない』
『疑問ですか?』
『それ自体は些細な事かもしれない。我らの浅慮……若しくは、視野が狭いのかもしれぬ。また、此度の意見と直接の関係はない。
それでもお訊ねになるか?』
『話せる事なら聞きたいです。あなた方がどんな神なのか、知るきっかけになるでしょうから』
Bacias達のtensionに若干戸惑っているVandalieuだったが、別に不快だとは思っていなかった。Alda派のGodsにも、彼女らのような神がいるのだと知る事が出来て若干嬉しいぐらいで、会話を短く切り上げようとは考えていなかった。
彼も、Godsについては一通り知っている。Vida's FactionもAlda's Factionも、そしてEvil God (M) Evil God (P)も、nameが残っている神や、FidirgやZozogante、Gufadgarnが知っている神ならnameだけではなく性質までも。
しかし、Bacias達の事は殆ど知らない。ZelzeriaとHamulは、nameすら初耳である。十万年前の戦い以後に神に至った若い神であるため、Vida's FactionのGodsには殆ど知られず、RicklentとZuruwarnは会った事がなかった。
故に、橋渡しを引き受けるのか、拒絶するのか、それを決める前に彼女達を知る必要がある。
『では……既に察しがついているかもしれませんが、近年、Alda's FactionのGodsの間では素質のあるHumanにblessingsを与え、活躍させるようAldaから指示がありました。あなたを倒す為のHeroを育てる為に』
『それはまあ、確かに察してはいます』
それまでただのGuardや平凡なadventurerだったのに、突然Alda's FactionのGods 's Divine Protectionを得て、それまでの彼らでは考えられなかった活躍をしているHero、若しくはHero Candidateと呼ばれている若者達の噂はVandalieuも聞いている。
それがAlda達の企み……恐らく自分を倒す為のものである事は、流石に察していた。これまでも神からblessingsを与えられたbelieverが、世に出て活躍する事は数え切れない程あったはずだ。
しかし、同じ時期に十人以上もblessingsを得るのは不自然だ。Vandalieuのように、直接神にねだった結果でもなければ、Godsが何らかの目的の為に申し合わせてblessingsを与えていると考えるのが自然だろう。
『その企みに……Alda達からするとtacticsに対して、疑問を覚えたのですか?』
その質問に答えるために口を開いたのは、HamulではなくZelzeriaだった。
『はい。だって……believerをSoldierや殺し屋として育成せよと命じられたような気がしたので。
blessingsとは、神がbelieverに与える恩寵であり、援助。雄々しいWar Godや、悪と戦う正義の神、Knightの神、Heroic Godならば、believerにblessingsを与え、戦うのだとGuidingのは良いでしょう。多くのbelieverも、神から使命を得た、誉だと喜ぶでしょうから。
でも私達のbelieverの多くは異なるので……見込みがある者を選び、戦うよう導けと言われても……』
Zelzeriaの主なbelieverはProstituteや男娼、Bardや、人々を癒すPharmacist、後は寝具を作る職人の内少数で、戦闘と縁のある者はほぼいない。中には殺し屋やAssassinが教義を曲解して祈りを捧げている場合もあるが、そう言った者にblessingsを与えてHero Candidateに仕立てるのは、抵抗がある。
BaciasやHamulのbelieverも、Zelzeriaのbelieverと同じように戦いを生業にする者は少ない。まったくいない訳ではないが、かなり少数である。その少数の者に、blessingsを与えたいものがいるかと言うと、それほどの者はいないという事になる。
戦いとは縁のない生活をしているbelieverの中には、戦闘やmagicのaptitudeが眠っているのに気がついていない者もいる。だが、彼等にblessingsを与えて「Demon King Vandalieuと死力を尽くして戦え」と命じるのは、神の試練としても酷だ。
彼女達の教義は、非暴力を殊更尊んではいないし、身を守るためにWeapon Equipmentを手に取る事を禁止せず、正義の為に立ち上がるのは尊いと教えている。だが、武勇を高く評価するものではないのだから。
『だから最初、私とHamulはHero Candidateとなるbelieverを選びませんでした。我々のbelieverが少ないのは、他のGodsも知っていたので、単に素質ある者が見つからなかったのだろうと思ったのか、咎められる事もなかったので』
『単に、忘れられていただけかもしれないが』
そう言うZelzeriaとHamulだが、彼女達はArthurのImoutoであるKariniaと、心の友のBolzofoyにそれぞれblessingsを与えているはずだ。そう思っていると、今度はBaciasが口を開いた。
『……Aldaが唱える通り、本当にこのworld全体の危機だとするなら私達の疑問は小さい事。己の教えに拘るあまり、world全体の存続に寄与する事に背く行為かもしれません。
当時の私はそう考え、辺境の村でHunterをしている青年、Arthurにblessingsを与え、しかし具体的な指示は与えず見守っていました。Aldaが唱える通り、worldの危機なら私がそう導かなくても、Arthurは自らの意志で他のHero Candidate達と共に戦うだろうと』
『なるほど。あなた達の疑問は理解しました』
自らの教義がAlda達のtacticsと合致しなかった。そのBacias達の疑問と出した答えは、Vandalieuにとって好感を覚えるものだった。……tacticsのtargetにされている事を含めても。
Bacias達の判断は、軍隊やorganizationに例えるならただの反抗だ。しかし、彼女達は人ではなく神である。believerに現実ではなく、理想であり人生を生きる上でのguidelineを唱えるべき存在である。
現実的な問題で教えを破ったり、曲げたりするのは、人のする事だ。問題が片付いた後で、believerが許しを求める事も含めて。
certainlyそれでworldが滅びたら元も子も無いが、その判断もbelieverがするべきもので、神はその判断を見守るだけで十分だとVandalieuは思う。
『それはともかく、疑問と今回の話とは関係ないんでしたっけ?』
『はい。Talosheimに描かれた絵を目にして、あなたに膝を折り、侍りたい。つまりVida's Factionに転向したいと思い、それを抑えられなかった結果です』
本当にあまり関係無かった。
『思いを同じくしていたZelzeriaとHamulを誘い、あなたが向かうと聞いていたAlcremで接触するようにと、Arthurに頼んだのです』
『そして私はKariniaに、HamulはBolzofoyにblessingsを与えたのです』
『Boundary Mountain RangeにはBarrierが張られているため、我々は内部に入る事が出来ず、直接接触する事が出来なかったので、こうするしか、選択肢がなく……Alda -samaやRodcorteなる神に気がつかれる前に、接触しなければならなかったので』
Vida's Factionへの転向を決めてからは、素早く動いたようだ。Boundary Mountain Rangeではなく、Barrierに覆われていないDemon continentにBacias達が向かうという選択肢もあっただろうが……Bacias達からすると、Arthur達を介してVandalieuと接触する方が、まだ安全に思えたのだろう。
Alda達のtacticsに反抗したのに、危険を冒してtargetに接触させるのは良いのだろうかとVandalieuは思ったが、それにはBacias達なりの考えがあった。
『Fitunと同じAlda's Factionの神の、blessingsを与えられたbelieverと思われている方が、Arthur達は危険なのではないかと思いました』
『むぅ、確かに』
Vandalieu自身には、Alda's FactionのGodsが育てているHero Candidate達を今の内に始末しよう等と言う考えは無い。
確かに将来的に敵対する可能性が高い相手だが、それはAlda's FactionのGodsに祈りを捧げるKnightやSoldier、adventurerやmercenary全員に、その可能性がある。Moksiの町でGuardのKestや、Tamer guildのBachem、Simonと良い仲になりつつあるalchemistのJessieも、出会う前はそうだった。
そのため、「敵になりそうな奴は殺せ」を徹底すると、「異教徒は殺せ!」と殺戮を行うのと変わらなくなってしまう。
それに、実はVandalieu達はHero Candidate達をaccurateに選別する方法を持っていない。
「神's Divine Protectionを得た」と喧伝しているHero Candidate達の割合は、全体から見れば少ない。そうしている者は、最近頭角を現している事以外に特徴が無い。額や手の甲に紋章が浮かび上がるとか、そんな分かり易い印は存在しないのだ。
そのためHero Candidateを探し出そうとすると、大量の人員が長い時間をかけて調査しなければならない。もしくは、それらしい者は一人残らず始末するかだが……blessingsとは関係無くaptitudeを持っていただけの若者まで殺す事になるだろう。
流石にそれはダメだろう。
それに、先程のBacias達の話を聞くとHero Candidate達の多くは、今の時点では神からblessingsを与えられただけのbelieverだ。実際にVandalieu達と敵対したり、Vida's New Racesを迫害したり、そうした事を企んだりしていないのなら、彼等を殺す理由が無い。
しかし、Bacias達からするとVandalieuのそうした考えは分からないので、believerの安全の為にも接触しておきたいと考えても無理はない。
『それに……失礼ながら、最悪の場合は考えましたが、KariniaやArthur達がそうなる事はないだろうと確信していました』
『それは、何故ですか? これまでの行動を振り返ってみても、俺は敵にはかなり残酷ですよ。最近は、犯罪者の顔を生きたまま剥ぎ取らせ、死ぬまで人体実験に利用し、死後もGolemやUndeadにして労働力として利用していますよ?』
当局に自首して大人しく絞首刑になるか、犯罪Slaveとして鉱山で死ぬまで労働する方がまだマシだろうと思える末路である。犠牲者の霊達のウケは良いが、傍から見れば鬼畜外道の行いだろうという自覚が無い訳ではない。……あまり重視していないだけで。
そんな危険な人物である事を告げても、Bacias達は動揺しなかった。
『Arthur達は、犯罪者ではないので』
『Karinia達には、あなたに敵対的な行動はとらないよう伝え、しっかり伝わっている事も確信していたので』
『何より、あなたは敵には残酷でも、敵と認識した者以外にはそうではない』
Bacias達はTalosheimの建物の屋根に描かれた、【Mind Encroachment】skillの効果が付与された絵によって惹かれたが、何もそれだけでVida's Factionへの転向を決めた訳ではない。
VandalieuがAldaを神の頂点とするAlda教のbeliever達を無差別に殺し、人々を全てUndeadにしてしまうような、Aldaが語る通りworldにとっての脅威だったら幾ら惹かれても転向する事はなかっただろう。
そうではないと三柱で結論を出したから、-sama々な準備を行った末にここに彼を招いたのだ。
『なるほど。分かりました。橋渡しと言っても俺に決定権は在りませんが、Vida達にあなた達の事は伝えます』
そこまで言ってくれるのならと、VandalieuはBacias達を信じる事にした。彼女達がspyではない確証は無いが、神にはそうした腹芸が得意な存在が少ないように思える。
それに、疑い続けても切りはない。
『Barrierに入るだけならGufadgarnに頼めばすぐですが、勝手をする訳にはいかないので、暫く待ってもらう事になりますが……その間大丈夫ですか?』
AldaにはVandalieuと違い、Godsを滅ぼすような力は無い。しかし傷つけて力を奪い、動きを封じる『Pile of Law』と言うDivine Authorityがある。
それを刺されやしないかと案じるVandalieuに、Bacias達は『恐らく大丈夫でしょう』と答えた。
『RodcorteにArthur達四人のMemoryが読まれないよう、細工をしているので……AldaもGodsが誰にblessingsを与えたのか、全ては把握していないはずです』
数人ならBarrierを張らなくても、情報がRodcorteや他の神に渡る事を防ぐ事は出来る。
もっとも、それは監視cameraに布を被せて誤魔化すようなものなので、RodcorteがLambdaの人類を一人一人注意深く監視し続ける、優秀な監視者ならすぐ気がつかれてしまっただろうが……今のところその-sama子はない。
『怪しまれている可能性はありますが……既に私達は自身のDivine Realmを元あった場所から切り離しているので、すぐに追う事は出来ないかと』
『worldの維持管理は切り離したDivine Realmで行う事が出来るので、暫くは誤魔化せるかと』
どうやらBacias達は、自身のDivine Realm……仕事場兼住居ごと出て来たらしい。重要な仕事は続けているので、Alda達が既に怪しんでいたとしても、気がつくまで暫くかかるし、追手が差し向けられても彼女達を見つけるまで時間がかかるだろうという事だった。
『では、最後に聞きたいのですが……あのMiriam -sanって、何者なのでしょうか?』
最後にVandalieuが気になったのは、Arthur達の仲間のMiriamだった。BaciasがArthurに、ZelzeriaがKariniaに、HamulがBolzofoyにblessingsを与えている。なら、四人目のMiriamはどんな理由でArthur達の仲間になっているのかと、気になったのだ。
Arthur達にとってMiriamは心の友だが、Godsにとっては別の意味があるかもしれない。
『ここに居ないKami-samaがblessingsを与えているとか?』
その質問に対してBacias達は思わずbody partを強張らせ、視線をVandalieuから逸らし、やっと口を開いた。
『特に、そう言った事はなく……完全な偶然と、成り行きで。Destinyと、言い換える事も出来ますが』
『彼女がmonstersに襲われ危機に陥った時、偶然Arthurが近くにおり、助けられたのをきっかけに行動を共にするようになったようです』
『村から出た事の無かったArthur達にとって、外の社会を知る彼女は良い指導者であり、leaderとなった』
『……なるほど。Godsすら予期しなかったDestinyの悪戯だったと』
Arthur達とMiriamの出会いは、仕掛けも何もない偶然によるものだったようだ。特にaptitudeに恵まれている訳でもない、Arthur達よりも少しsenpaiと言うだけの新人adventurerでしかない。
(しかし、短い期間でArthur達から心友と呼ばれる程の信頼を寄せられているのだから、きっと良い人なのでしょう)
しかし、Vandalieuは多少のaptitudeの有無よりも、そうした人柄の方が重要だと考えている。なので、Arthur達の心友であるMiriamを高く評価し、彼女に尊敬の念を抱いた。
自分も彼女のような、生きているHuman相手に有効なcommunication Abilityをいつか身に付けたいものだ。
『話は分かりました。では、Arthur達はこの後どうするつもりですか? 何か指示があるなら、俺が伝えますが?』
そう尋ねるVandalieuに、Baciasは首を横に振った。
『彼らの自主性に任せようと思います。ですが、彼等はadventurerを続ける事を選ぶでしょう』
閉鎖的な村で、同じ村人達からも距離を置かれていたArthur達三人にとって、外のworldは危険と驚愕に満ちている。だが自由で、何よりも刺激的に感じているはずだ。
Bacias達が新たな使命を与えなくても、Arthur達は村に帰って元通りの生活をするという選択肢を選びはしないだろう。
『分かりました。では、彼等にはそのように伝えます』
動きを止めた数秒後、Vandalieuは「ちょっと待っていてください」と言って、彼の背後から突然現れたElfのShoujoと何事か話しだした。
Arthur達に分かったのはそれだけだったが、彼等に与えられた神の使命は無事終わったと彼によって伝えられた。
「あの数秒の間に神と邂逅し、言葉を交わしていたとは……あなたはDemon Kingではなく聖人か!?」
「Godsと直接言葉を交わす等、真のHero、legendのChampionのようじゃ」
驚くArthurとBolzofoyに、Gufadgarnは相変わらず無表情なままだが得意気に胸を逸らした。
「仕える神同-sama、見所のあるHuman達よ。偉大なるVandalieu Zakkartを称えよ」
「「はは~」」
素直に称える二人と、KariniaとMiriamにVandalieuはBacias達の意思を伝える。
「あなた達の自主性に任せるそうです。信頼されていますね」
「えっ? 丸投げされただけじゃないんですか?」
「いいえ、自分達が口を出さなくても大丈夫。信じて任せて問題ない。そう信頼しているから、自由にしなさいとBacias達も任せたのでしょう」
believerを信頼できないのなら、Bacias達はこの機会にあれやこれやと指示を出してVandalieuに伝えて貰っていただろう。そうではないのだから、Arthur達は神に信頼されているのだ。
「そうなんですね……Kami-samaに信頼されるなんて、やっぱりArthur -san達は凄いですね」
そう感心するMiriamの肩に、Kariniaが手を置く。
「それは違うわ、ミリー。あなたもよ。ここまで私達が来る事が出来たのも、使命を果たす事が出来たのも、あなたと言う心友がいたからだわ。Kami-samaも、きっと分かっている筈よ」
「いや、そんな事ないですよ。私にはblessingsも無いし、Kami-sama達も私については何も言っていなかったですよね?」
「三柱のGodsは、あなたの事を『Arthur達の良き指導者であり、leader』だと評価していましたよ」
「ですよね。ほら、私なんて……ええええええ!? Kami-samaが私を、そう言っているんですか!?」
VandalieuがBacias達、accurateにはHamulがMiriamを評していた言葉を伝えると、目を剥いて驚かれた。
Godsと直接会って言葉を交わす事に最近慣れきっていたVandalieuは、これが普通の反応だったなと思い出しながらMiriamに対して頷いた。
「わ、私が良き指導者で、leader……」
伝わる時にHamulが述べた時と若干Nuanceが異なってしまった気がするが、しっかり伝わったようだ。
「あれ? それってArthur -san達をこれからもよろしく頼むとか、そんな感じですか?」
しかし、日頃から彼らに振り回されているMiriamは、舞い上がる事はなかった。はっとして、Godsもそこまでは頼んでいないのに、そう予感してしまう。
「まあ、ともかくこれからもよろしくお願いします。友人として」
「あ、はい」
そしてMiriam達はこの日、『Demon King』の友人になったのだった。
VandalieuがArthur達と出会っている頃、Duke 家に『Face-Stripping Demon』の捜査の為に雇われた【Spiritualist】の男が、泡を吹いて倒れるという事件が起きた。
目を覚ました彼が言うには、今Alcremは恐ろしい程の霊の群れに包まれているconditionなのだという。
何処もかしこも霊がいて、じっと見つめている。
「まるで古戦場……いや、あの世そのものだ! この都の人口よりも多くの霊で満ちている! とても『Face-Stripping Demon』の被害者の霊を探すどころではない」
「むう、これも何者かの陰謀なのか!? いや、【Spiritualist】でも霊と交信する事は出来ても操る事は出来ないはず……だとすれば、いったい!?」
『Knight of Roaring Flames』Brabatieuがそう唸るが、Alcremの都にcountlessの霊を放ったのはcertainly Vandalieuである。
そして目的は、一向に偽『Face-Stripping Demon』の被害者の霊が見つからないので、町中に霊を放って怪しい人物が居ないか監視して貰う事にしたのだ。
しかし、それでも偽『Face-Stripping Demon』の手がかりは得られなかった。Vandalieuが来た事で、犯行を止めて潜伏しているのか、霊の目を誤魔化す何らかの方法を知っているのか。
「……『Face-Stripping Demon』に関しては、暫くはいい。それよりもVandalieu Zakkartについて何か語っている霊はいるか?
何でも良い。性格、人柄、癖、Human関係……どんな下らない事でも構わん」
一方Brabatieuは『Face-Stripping Demon』から、Vandalieuに関する調査を優先する事にしたようだ。しかし、そう尋ねても【Spiritualist】の男からは碌な答えは聞けなかった。
「はあ、それなら……訊ねた途端こちらを無言で睨みつけて来る霊がいたかと思えば、ひたすら『素晴らしい』とか『最高だ』と褒めちぎる霊がいて……結局、要領を得ません」
「……くっ! 死人の口を開かせようとした我々が愚かだったということか!」
「あんたにしては柔軟に頭を使ったと思うけどね……それより、ValdiriaとGordiは何処に行った? Ralmeiaが目を覚ましたけど、こっちも何を尋ねても意味が分からなくて困っているんだ」
『遠雷のKnight』のSergioが訊ねると、Brabatieuは振り返りもせずに言った。
「知らん。どちらも、重要な要件だそうだ」
「……重要な要件ねぇ。明日会うSClass adventurer相当のmonster以上に重要な要件は、そうないと思うけどねぇ」
『Alcrem Five Knights』とVandalieu。どちらも調査に関しては進展が無いまま、非公式なお茶会を迎えたのだった。