戦いは熾烈を極めた。
夕飯時が稼ぎ時だと言う『灼熱飯』のパーパラスの焼き飯、いわゆるチャーハン。米に肉や野菜の具を混ぜて、Orc等のmonstersから取った油で炒めた香りは、一仕事終えたBody労働者のappetiteを刺激する。
また、北国であるため雪が昔から珍しくないAlcremでは、『気紛れsoup』のシングのsoupの売れ行きも好調だ。Food Stallで夕食を済ませる客には、大きな肉と野菜が入った濃い味付けのsoup。酒を飲んだ帰りの酔客には、締めに魚から出汁を取り塩で味をしめたあっさり風味のsoup。二種類のsoupで、上手く客を取り入れている。
『Chaosを握る』ミッチェムのFood Stallでは、握り飯が一定のpaceで売れていた。
彼女の商品の握り飯には-sama々な具材が包まれているが、包み紙代わりの植物の葉で見る事が出来ない。値段は全て同じで、客は何が当たるかgamblingのような感覚で購入している。
ただ、全くのgamblingではない。外れは無く、全て値段相応の具材が使われている。特に夕飯時は、昼よりも食い応えのある具材を中心に握っているらしい。
……Orbaum Elective Kingdomでは、流石に握り飯とそのproducerを、another worldの知識に同じ物があると言う理由で弾圧する事は無いらしい。Amid Empireだとどうなるかは分からないが。
夕飯時は客足が減ると言っていた『甘々甘味sweets』のトムのFood Stallも、油断できる程客は減っていなかった。
Alcrem Duchyの北部ではsugar beet、砂糖大根が栽培されており、それから砂糖をProductionしている。彼はその砂糖を使ってcaramelを作ったり、Devil Nests産の果物を使ったジャムを作り、スポンジCakeに乗せたり、間に挟んだりして売っている。
CreamやButterは使っていないが、美味しいdessertであるため食後のluxuryなdessertとして買っていく客もいるようだ。
『たっぷりsandwich』のSandyのsandwichは、確かに昼間よりは客の勢いは落ちているが、やはり楽勝とは思えない。
暗黙のruleや良識、そしてbalance感覚で縛られたVandalieuのFood Stallは、接戦を強いられていた。
「肉串と野菜串を頼む! cheeseをたっぷりかけてくれよ!」
「cheeseの串焼きを頂戴っ!」
Vandalieu達が用意した商品は、肉や野菜の串焼きに熱で蕩けさせたcheeseをたっぷりかけた、cheeseフォンデュ風の串焼きである。
『どうですか、陛下。私の火加減は♪』
『アタシがcheeseを操作しているのも、忘れないでよ』
Simon達が仕入れて来たcheeseを、Princess Leviaの絶妙な火加減で一定の温度で温め続け、更に溶けたcheeseをOrbiaが操作して撹拌する事で焦げ付きを防止する事で可能になった商品である。
「絶妙です。この調子で頼みます」
『はい♪』
『任せてっ!』
cheeseをたっぷりかけた串焼きはやや割高だが、安さを求めるならcheeseをかけていない串焼きを注文する事も出来る。
他にもSimonとKatiaが仕入れたcheeseの中に、温めた時の蕩け具合が微妙な物が幾つかあり、せっかくなのでそれでKatiaが口にしていたcheeseの串焼きにも挑戦してみた。
軽く焦げ目がつくくらいで仕上げると、美味しいと客にも好評であった。
「しかし、cheeseそのものを焼くとは……思いつかなかったでござるな」
『Kanako -san達によると、another worldではButterやcheeseを油で揚げるCookingがあるそうですよ』
「……想像を絶する食生活でござるな」
Kanako達から聞いたらしいCookingをPrincess Leviaが口にすると、Myuzeの目が遠くなった。余人には声が聞こえないPrincess Leviaはともかく、Myuzeはanother worldについて口にしないようにしているので、注意はしているようだが。
「いや、常食にしている訳じゃないと思いますよ。maybe……む?」
Vandalieuは思わず目を瞬かせた。視界に、突然『【SurveyingのMagic Eye】:10level』と文字が浮かび上がって来たからだ。
一瞬戸惑ったが、それが眼精Fatigueや幻覚の類によるものではなく、【Abyss】skillが他者のskill……【SurveyingのMagic Eye】とやらの効果を反射した結果だと感覚で理解した。
(あのRalmeiaと言うKnight、思ったより厄介な相手だったか)
そして、【SurveyingのMagic Eye】の所有者もすぐに思い至った。今も姿を消したChipurasに見張られている事に気がつかないまま、こちらを見ている何処にでもいそうな男。
『Alcrem Five Knights』の一人、『Knight of the Insight』Ralmeia。彼がそうだろう。
(nameは表示されませんが、age、性別、身長と体重まで表示されていますし。他に【Silent Steps】に、【Strengthened Attribute Values: Duty】……表示されるskillに偏りがある。Statusを全て見られる訳じゃないのか?
それにAbility Valuesが、Intelligence以外は数字が常に動いている。accurateな数値が表示される条件があって、Intelligence以外はそれが満たされていないのか? 【Magic Eye of Appraisal】とは違うようだ)
【SurveyingのMagic Eye】の詳しい効果を知らないVandalieuは、話に聞いていた【Magic Eye of Appraisal】とは違う事に困惑した。しかし、誰がこのskillを使っているのかはすぐ見当がついた。
(まあ、それはともかく彼に違いない)
Amid Empireの『Fifteen Evil-Breaking Swords』よりは大分落ちるが、Alcrem Duchyの切り札である『Alcrem Five Knights』の一人。何故それが地元の名物Food Stallとの決闘騒ぎの黒幕なんてしているのかと思ったVandalieuだが、今ならその理由が大体察する事が出来る。
恐らく【SurveyingのMagic Eye】の条件が関係しているのだろう。対象を一目見ただけで全てのStatusを見抜くと伝わる【Magic Eye of Appraisal】よりも、ずっと不便なMagic Eyeのようだ。
(さて、どうしましょうか?)
情報の秘匿を考えるなら、早急にRalmeiaを始末するべきだ。どうやらsecondary nameやJob、Job Historyは表示されないようだが、それでもStatusの情報が広まるのはあまり面白くない。
だが、今すぐRalmeiaを殺すのは、躊躇われた。
『ボス、何でしたらあっしがheart麻痺に見せかけてぶっ殺しましょうか? あのbastard、隙だらけですぜ』
Kimberlyがそう提案するが、Vandalieuは『いえ、今は止めておきましょう』とTelepathyで答える。
【Abyss】が跳ね返した、【SurveyingのMagic Eye】の効果で見たRalmeiaのAbility Valuesやskillからconjectureすれば、殺す事自体は難しくないように思える。
しかし、ここはnightになっても人通りの多いCenter Open Plazaだ。殺した後、それが周囲にばれず騒ぎにならないようにするのは難しいかもしれない。
それにaccurateな数値は分からないが、RalmeiaのVitalityはそれなりに高いようで、一撃で殺しきる事は出来ないかもしれない。
(それに、これから会う事になる相手の腹心の部下ですからね。送り込んできたのは向こうでも、ここで殺したら敵対すると宣言したのと同じでしょうし。
ある程度、俺のAbility Valuesやskill等の情報が相手に渡って、Alcrem Dukeが俺の力をある程度把握した方が、今後の為には良いかもしれない)
情報が不確かなconditionよりも、ある程度Vandalieuの情報があるconditionの方が、Duke達は穏当な判断をするかもしれない。
怒らせれば、自分達もただでは済まないだけの力を持っている。そう理解している方が、慎重になるはずだ。
……Ralmeiaがどれくらいaccurateな情報を見る事が出来たのか、Vandalieuは知る事が出来ないので、若干不安は残るが。
「このアマァ! 優しくしてればつけ上がりやがって! Human -samaに対する態度ってもんを教えてやるぜ!」
突然物騒な怒鳴り声が響いた。見ると、Katiaに袖にされて激高したmercenaryかadventurerらしい酔っぱらいが、何と剣を抜いていた。
KatiaとDarcia、そしてNataniaはTransformation EquipmentでTransformして売り子やwaitressをしていたので、勘違いした男が声をかけて振られ、恥をかかされたと激高したのだろう。
周りの客がscreechをあげ、気がついたGuardやSimonが男を取り押さえようと走り出す。
「教えて貰わなくても、知ってるわよ!」
しかし、Katiaが動く方が速かった。剣を振り上げた男に、腰から護身用の木の棒を抜き、力強い踏み込みと同時に皮鎧に包まれた腹を一thrust。
「げうっ!?」
鎧をthrustぬけて内臓に届いた衝撃の大きさに呻く男の腕を掴んだKatiaは、強引に脚を払って地面に引き倒して取り押さえる。
「あんたみたいな酔っぱらいの扱いは、これで十分よ!」
鮮やかに危険な酔っぱらいに対処したKatiaに、客や通行人が拍手と賞賛の声を浴びせ、Guard達も「お見事です」と褒めて男の身柄を預かって、詰め所に向かって行った。
「ははっ、用心棒代わりの意味が無いっすね」
自分よりもKatiaの方がずっと腕が立つ事を見て取ったSimonが、乾いた笑い声を漏らす。
「Simon、見た目だけで判断する人の方が多いので、あなたは立派に用心棒をしていますよ。
それにしても、Katiaもすっかり立派になって……」
あの男は泥酔していた事を考慮しても、HumanからGhoulになったばかりのKatiaと同じくらいの実力だろう。それを簡単に、大きなinjureもさせずに取り押さえた彼女の成長には、目を見張るものがある。
約八年前、当時伸び悩んでいた彼女がmagicを習得するのを、Vandalieuは手伝ってきただけに、彼女の成長を実感でき感動を覚えていた。
……magicは一切使っていなかったが、この際それはどうでもいい。
『ボス、あいつもKatiaを見てますぜ』
Kimberlyの言葉に呼び戻され、Ralmeiaに視線を戻すと確かに彼はKatiaを見ていた。そして、何やら驚いているようだ。
『maybe、KatiaのStatusを見て、Ability Valuesや【Sword Technique】skillのlevelの高さに驚いたのでしょう』
Telepathyでそう返事をしてから、Vandalieuは気がついた。RalmeiaがKatiaを見ていると言う事の意味に。
彼はKatiaのAbility Valuesや一部のskillだけではなく、age、身長、体重、そしてbody partの各種Sizeの数値を見て取っている。
いや、Katiaだけではなく、DarciaやPrivel達female陣も見られているだろう。自分とSimonは別にいいし、恐らくRalmeiaが存在に気がついていないだろうPrincess Levia達GhostやGufadgarnは、Magic Eyeの対象外だろうが。
RalmeiaからすればKatiaやSimon、そしてFang達Vandalieuの仲間は全員調査の対象だ。やましい気持ちではなく、仕事として調べている筈である。
だが、Vandalieuとしては気分が悪いし、Katia達もこれを知ったら不快に思うだろう。
皆魅力的だから、思わず目が向くのは当然なのでそれについてVandalieuは何も思わない。しかし、Ralmeiaの場合はbody partのSizeや体重も把握している。これは、「当然」の範囲を逸脱している。
「始末しますか?」
「いえ、そこまでではありません。でも、機会を見てお仕置きしましょう。kaa-sanが気にしている体重や、Gizaniaの首のSizeを知ってしまった彼が悪い……」
Orichalcum製のbone格を持つDarciaは見た目より重い自身の体重を、GizaniaはUshioniにRank upして角が生えてから、首がmuscleで太くなったと気にしていた。
それを暴き立てるとは、missionであっても許されるべきではない。Vandalieuがそう思いながら視線をRalmeiaに向けると、再び彼のStatusの一部が視界に浮かんできた。
(【Mental Corruption】? さっきは無かったのに……それにこの感じ……導かれている?)
すると、Ralmeiaはいつの間にかVandalieuに導かれていた。
「拙者の首がどうかしたのか?」
Food Stallの横でPrivelやJulianaと一緒に、歌を歌っていたGizaniaがVandalieuの呟きに気がつき、そう尋ねた。しかし彼女に答える前に、新たな客がFood Stallに並ぶ。
「肉と野菜の串を四本ずつ。cheeseかけで」
見るからに厳めしい顔つきをした大男だった。目つきは悪く、眉間に刻まれた深いしわが気難しそうな印象を与える。何より、太い首に盛り上がった肩、そしてmuscleでゴツゴツとした腕。
あの裏路地からletterを投げて来た男、Arthurであった。
「毎度―」
そう答えながら、Arthur達が接触して来てもいいように用意していたletterの返事を串焼きと一緒に渡す。
それを終えた時には、RalmeiaはOpen Plazaから逃げ去っていた。まるで何かに追われているかのような-sama子で駆けだしたので、Open Plazaの人々は彼の背に困惑の視線を向けていた。
そして、やはりArthurも串焼きを受け取るとsignを消して去って行った。まるでネコ科の大型肉食獣のようで、背後にDarockが憑いていなければ、Vandalieuも見失っていたかもしれない。
このnightの決闘の勝者は、僅差でVandalieu達が一位だった。
Cookingの味もあるが、DhampirやArachne、Scylla、そしてJuliana等見た事の無いraceの見物ついでに串焼きを買っていく客や、TransformしたDarciaやKatia、Nataniaを目当てにした客、それにMaroll達mouse三sistersの芸等、物珍しさに惹かれて串焼きを買った者が多かったらしい。
「ScyllaやArachneのお嬢-sanの歌とか、あのTransformとか、ややズルいと思わなくもないけど……それも込みで決闘を申し込んだのは私達だから、納得するしかありませんね」
「あの酔っぱらいが余計な事をしなければ、勝機もあったのですが……偶然を商機に変えるのも商人の腕の内ですからね」
総売上と客数が二位のミッチェム、三位のパーパラスがVandalieuの勝利を称える。
「いやいや、商品も中々のもんじゃったよ。特にcheeseの串焼きはコゲが堪らんな」
どうやらトムは、決闘の最中にこっそりVandalieuのFood Stallの串焼きを購入していたようだ。maybe、人に頼んだのだろう。
「トム爺-san、決闘相手の売り上げに貢献するなよ……」
「仕方ないじゃろう、次に食べる機会があるか分からんのじゃから」
「何でしたら、まだ串がありますけど要りますか?」
「本当か!? 頼むぜ! 今度はcheeseを使ったsoupでも考えてみるか」
「あんたも食べたかったんじゃないかい、シング。まあ、あたしも興味はあったんだけどね」
そう口々に言いながら、結局シングやSandyも残っていた串焼きを買っていく。Vandalieuも、彼等のFood Stallの売れ残った商品をすべて購入した。
「しかし、あんた沢山持ってくね。あたし等は儲かるから良いけどさ」
「拙者達は、見た目通りよく食べるからな」
Cookingを大量に購入したVandalieuに不思議な顔を向けるSandyに、Gizaniaがぽんっと自分の腹を叩いて見せる。それに合わせてFangやMaroll達が鳴き声をあげると、「なるほどね」と納得した。
実際にGizania達はよく食べるが、本当は今も留守番をしているBraga達が食べる分である。
「では、これから一週間よろしくお願いします」
そう言って決闘に勝った証しに、ロゴ入りの布を配って行く。これから一週間、『Alcrem Pentagram Stalls』は、Vidaの聖印であるheart markをFood Stallに掲げて営業する約束だ。
「俺達は一週間経つ前にAlcremを出てしまうと思うので、返さないで良いですよ。布巾代わりにでも使ってください」
「いやいや、お前-san達の名声が広まっている内はFood Stallに飾らせてもらうつもりじゃよ。あのMoksiの『King of the Stalls』、『Patron Saint of Transforming Equipment』と鍔競り合った証しじゃとな」
「まあ、名声が悪名になったらすぐ外すから、気にするなよ。じゃあ、お互いこれからも商売に精を出すという事で」
そして握手を交わし、Vandalieu達と『Alcrem Pentagram Stalls』の決闘は穏やかに幕を閉じたのだった。
その頃、帰還したRalmeiaの姿を見たAlcrem Duke達は、とても穏やかとは言えない心境だった。
「Ralmeia、その姿はどうしたのだ!?」
Takkard・Alcremが見たRalmeiaは、理知的な顔つきのまだ三十前後で自分よりずっと若い男だった。
しかし、今のRalmeiaは別人のようにやつれた上に黒かった髪から色が抜け落ち、まるで老人のようだった。
「Duke閣下っ、一大事です。あのDhampir、いえ、あの一団と事を構えてはなりません! 襲撃、暗殺はもっての外! 謀で陥れるのも、同-sama!
出来る限り良好な関係を、それが無理ならせめて不可侵……距離を置き、お互いに関わらないよう、密約を交わすべきと具申致します!」
会議室に入って来たTakkardに、Ralmeiaはそう必死に訴えた。だが、その直後急に口の端を釣り上げると、笑い声をあげ始めた。
「関わらない? ハハハ、距離を置く? ヒヒッ、とても無理だ、あれほどの力を持つ存在から、どれだけ距離を空ければ、関わらずにいられると言うのだ? アッハハハハハァ!
私達は、あの瞳から逃げられない! 逃げられないのですよ、閣下ぁぁぁ!」
狂ったように笑い声をあげるRalmeiaの姿に、他のFive Knightsの面々は沈痛な眼差しを向け、Takkardは思わず呆然と立ち尽くした。
「誰かっ、Ralmeia -donoはお疲れだ! roomに通し休ませて差し上げろ! 侍医とMageに体調を調べさせ、治療させるのだ」
代わりに家令が人を呼び、Ralmeiaを会議室から別のroomに運ばせる。彼の笑い声が聞こえなくなってから、Takkardは我に返った。
「あれは、どう言う事だ? Ralmeiaに何が起こったのだ?」
「分かりませぬ。Mentalにimpactを与える毒物かと思いましたが、【解毒】のmagicも効果がありませんでした」
「何か、恐ろしい幻術でも見せられたのかもしれません」
『Knight of Roaring Flames』Brabatieuと、『遠雷のKnight』Sergioも苦い口調で答える。
「Ralmeiaの部下達は全員正気だったので、話を聞いていますが……彼が何故ああなったのかは、要領を得ません。ただ、閣下が来る前、正気に近いconditionだった彼が紙にこれを書いていました」
『Thousand BladesのKnight』Valdiriaが差し出した紙にTakkardが視線を落とすと、そこにはやや乱れた筆跡でRalmeiaがSurveyingしたVandalieu達のStatusの一部が書かれていた。
「これは……! 本当なのか? 万を超えるAbility Valuesに、高いlevelのskill。彼の仲間も、この数字が真実ならかなりの強さだ!」
「ええ。今まで我々は、『Alcrem Five Knights』が揃ってかかれば勝てると思っていました。ですが、この数字が確かならFive Knightsが揃おうが、Duke軍の全戦力を投入しても勝ち目は薄いでしょう」
『Knight of the Crumbled Mountain』Gordiがそう纏める。Takkardも、彼と同じように考えていた。何かあっても、Vandalieuと敵対し、すぐに戦う事になってもFive Knightsが揃っていれば楽勝とは言えなくても、彼等を止める事が出来るはずだと。
しかし、それは大きな間違いだったようだ。
「まさか、彼がRandolph並の実力の持ち主だったとは。……話し合いのpolicyを変える必要があるな」
明け方、Vandalieuは、『Goddess of Water and Knowledge』PeriaのOracleにあった地点に向かっているCuatroに乗っているBone Manから、通信機で珍しいmonstersが出現するようになったと呼び出された。
『中々の強敵で、私でも簡単には倒せない相手なのですが、最近は群れで現れるようになりまして。お蔭で日が昇っても海中に中々潜れないのです』
『まあまあ強いんだがよ、それを抜きにしても中々面白いmonstersだからお前等を呼んだんだ』
『とんでもないの、間違いだと思うが』
「面白い、ですか?」
「Borkus -sanやMikhail -sanがそう言うって事は、余程変わったmonstersなのね」
「それはin any case……一面海だ! Dungeonの中にも海はあるけど、これはこれで凄い!」
遥か下の海面を見つめるVandalieu達の横で、Privelがはしゃいだ声をあげる。それに答えた訳ではないだろうが、海面が不自然に波打つ。
そして、海面からGiantなKrakenが出現し……そのまま海面から空を飛ぶCuatroに向かって飛び上がって来た。
「Krakenが、空を飛ぶ!?」