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Chapter 254: Alcrem

 蟲のmonstersInstinctが強すぎて、若しくは知能が低すぎてTamerする事が出来ない。monstersと縁の無い一般人はともかく、Knightadventurerには常識だ。

 しかし、蟲の特徴を持つVida's New RacesであるArachneは当然その常識から外れる。何故なら、彼女達は蟲のmonstersではなく、蜘蛛の特徴を持つVida's New Racesだからだ。


 だから、Arachneを「Tamerした」と言うのは理解できる。


しかし、こことMoksiの間にArachneScyllaAutonomous Territoryがあるとは、聞いた事がないのだが」

 何故かGuardの代わりに手続きをしている年配のKnightが、困惑した-sama子でGizaniaと馬車から出てきたPrivelを見比べる。

 ちなみに、Privelも本来はtentacleの先端が竜の頭部になっているScylla Originなのだが、GizaniaMyuzeと同じように、magic itemで普通のScyllaに見えるよう変装している。


「旅の間にTamerしたのが本当なら、念のために事情を聞きたいのだが、いいかね? いや、Tamerしたと言い張ってVida's New Racesを違法売買する闇Slave商とか、過去に色々事件があったからね。

 certainly-kun達がそうだと疑っている訳ではないよ。あくまでも、念のためだ」

 ageのせいで頬が垂れ気味のKnightが、丁寧に尋ねる。Vandalieu達が列に並んだ時、駆けつけてきたKnightとは別のKnightで、彼は始終穏やかな態度で彼らに対応していた。


「……拙者達は物心ついた頃、気がついたら三人一緒だった。恐らく、Knight -donoの言う闇のSlave商に浚われたのだと思う」

「でもSlave商が出先で死んじゃったかどうかして、ボク達三人は洞窟に放置されていたんだよ。それで三人で協力して洞窟から逃げ出したの」


「それからは某達三人、身を寄せ合って生きて来たのでござる。人里を避け、森やDevil Nestsを旅して転々としながら。しかし、ある森でmountain banditの張ったTrapにかかって捕まってしまったのでござる」

「それで、別の闇Slave商に再び売られかけたのよ。ちなみに、あたしはmountain banditが別口で捕まえた元Humanの女Ghoulでーす」


 GizaniaPrivelMyuze、そしてKatiaが順々に「何故AlcremMoksiの間にある森に居たのか」、事情を説明する。


『そして私達が森を移動していた時、Fangが臭いで隠れていたmountain banditを捕まえ、hideoutまで案内させました』

「そしてmountain bandit団を一掃し、捕まっていた四人を助け出したのです!」

「四人とも良い娘-sanだし、皆と意気投合したから一緒に行く事になったの」

「以上ですが、何か質問はありますか?」


 更に、「Tamerされた、若しくはした理由」をSamJulianaDarciaが説明し、最後にVandalieuが年配のKnightに確認を求める。

 促された年配のKnightは、「う~む」と呻くと、VandalieuではなくSimonNataniaに顔を向けた。


「今の話は事実かね?」

certainly事実です」

「右に同じく」

 Knightに質問されるという事で緊張した-sama子の二人だが、慌てることなく事前に決めてあった事を硬い口調で述べた。


 年配のKnightはそれを見た後溜め息をついて、Vandalieuに向き直った。

「では、念のために聞くがその闇Slave商やmountain bandit達はどうしたのかね?」

「皆殺しにしました」

hideoutの場所は?」


「襲撃する時にkaa-sanが攻撃magicを何度か唱えましたし、Gizania達を助けた後、hideoutを他のmountain banditが再利用しないよう念入りに燃やして来たので、今から行っても燃えカスしか見つからないと思います。

 それでよければお教えしましょう」


 年配のKnightの追及は、この場に居ないIslaや今も彼の周囲に潜んでいるChipuras達の想定の範囲内だった。そのためVandalieuは【Golem Creationskillで森の木々を使った適当な小屋や壁を態々建て、更にそれをPrincess Leviaに焼いてもらって、「燃え落ちたmountain bandithideout」の偽装工作をしていた。


 死体も、以前mountain banditを倒した時にとっておいた食べ残しの人boneを、幾つか埋めておくという念の入りようだ。

 年配のKnightから報告を受けたAlcrem Dukeが調査の為の人を派遣したとしても、恐らく誤魔化せるだろう。

「何でしたら、mountain banditが持っていたお宝を見せましょうか? adventurerの端くれとして所有権は主張しますが」

 certainly、お宝も偽装用の物である。


「いや、それには及ばんよ」

 しかし、年配のKnightはそう言って確認はしなかった。確認しても意味はないと分かっていたのかもしれない。

 その代わりに、彼は何か言いたげな顔でJulianaに視線を向けた。そのまま、暫くじっと見つめる。


Knight -sama、私の顔に何か?」

 そう尋ねるJulianaは、何故見られているのか分かっていた。年配のKnightは、自分が前世のHumanだった頃のJuliana Alcremと似ている事に気がついたのだろうと。


「いや、なんでもない」

 しかし、年配のKnightは結局何も言わず首を横に振ると、Vandalieuに視線を戻した。


「分かった。そう言う事ならArachneScyllaTamerしていても問題は無い。だが、今日中にTamer guildに登録し、Tamed Monster用の印を付けるように」

 年配のKnightがそう言うと、Gizania達に対する取り調べを止めた。他のKnight、特に列に並んだ時に駆けつけてきたKnightが、「そんなBAKANA!?」と言う顔をしているが、年配のKnightは何も言わず黙殺した。


 年配のKnightVandalieu達の説明が怪しいのは分かっている。分かっているが、年配のKnightにはこの疑惑を追求し、真実を明らかにする意味が感じられなかったのである。

 何故なら、恐らく法律に違反していないから。


 確かに、Autonomous Territoryで生活するVida's New Racesが許可を得ず外に出る事は、多くのDuchyで違法だ。しかしAutonomous Territoryで生活していないVida's New Racesに関しては、何処に居ようと自由である。……単に、管理下に無いだけだが。

 そして、Gizania達はTamerであるVandalieuTamerされていると言う。なら、Gizania達はVandalieuの所有物、法律的にはadventurerが所持している武具と同じ扱いになる。


 だからGizania達を拘束し、それぞれのAutonomous Territory等に護送する等の行為は、adventurerの武具を奪うのと同じなのだ。

(それに話が嘘で、本当は別の場所でArachneScyllaのお嬢-sanと出会っていたとしても、の治安には関係なさそうだしなぁ。

 これがVida's New Racesを『Tamerした』と言い張ってに連れ込み、他のNobleのお抱えTamerに『譲渡した』という名目で売買する不法行為だったら問題だが……このお嬢-sanたちはTrainingや薬、magicで操られているようには見えんし)


 年配のKnightの経験豊かな目には、Gizania達が演技をしている事は見抜いていた。しかし、彼女達が脅迫や薬物によって自分の意志に反して嘘をつく事を強制されているようには、見えなかった。

 それに、TamerであるVandalieuは『Patron Saint of Transforming Equipment』で、母親のDarciaVidaFamiliar Spiritをその身にAdventさせる事が出来る『Holy Mother of Victory』だ。Vida's New Racesに無体な事はしないと、信じるには十分すぎるreputationである。


 これ以上調べるのは、ただ難癖をつけているのと変わらないだろう。そう判断したためだ。


「最後に確認だがこの二頭の馬も、Demon Horseだったね。Couch Driving -sanTamerじゃないそうだが、VandalieuTamerしているため大人しいと……」

 そう言いながら年配のKnightは、無遠慮な手つきでManeHoofの首筋を撫でる。


 他のKnightGuard達はその瞬間緊張したが……。

「ブルル」

「……フッ」

 ManeHoofは特に気にした-sama子もなく鼻を鳴らしている。


「うむ、本当に大人しいようだ。Knight団のよりもがっしりした、良いDemon Horseのようだね。

 ではCouch Driving -sanの分の通行税を払ったら、通って良し!」

 Tamed Monsterは通行税を課されないので、Vandalieu達の中で唯一guildに入っていない、Samの分のみ税を払う事になる。


「待ってください。ちょっと甘いんじゃないですかね?」

 だが、それまで年配のKnightの取り調べを黙って見ていた四い顔つきのKnightが、突然割って入って来た。

「こんな大型の、それもRank5のHuge Hellhoundやそれと同等のmonstersを何匹もに入れるのです。もっと念入りに調べるべきだと私は思いますがね」


「いや、これ以上は、その――」

「ご質問があれば、答えますが?」

 立場が四い顔つきのKnightの方が強いのか、年配のKnightは彼を止めきれないようだ。そう見て取ったVandalieuが訊ねると、彼はGizaniaJulianaTamed Monsterであると主張する者達を見まわし、Fangに近づいて行く。


「いや、質問は無い。ただ、見せてくれれば……十分だっ!」

 そして突然、Fangの前足に殴り掛かった。四い顔つきのKnightの、それなりに鋭い拳がぶつかり、それなりに重い音を立てた。


「…………っ!」

 だが、Fangは驚いた-sama子で硬直したが、それだけで自分に殴り掛かったKnightに反撃するそぶりは見せなかった。

「良し、合格だ」

 四い顔つきのKnightは、Fangの反応に満足気にnod


「粗っぽくてすまんが、高Rankmonstersを連れたTamerを初めてに入れる時は、こうして我々Knightbody partを張って試すのが決まりでな。

 このHuge Hellhoundは多少cowardなようだが、良く躾けられて……何をやっているんだ?」


 Knightが振り返ると、何故かPrivelVandalieulower bodytentacleでぐるぐる巻きにしていた。tentacleの間から、片腕だけが見えている。

「あ、アハハハハ、ボクもFangみたいに怖がりだから、驚いてVan -kunに抱きついちゃった!」

 Privelはそう答えながら、更にVandalieutentacleの中に引きずり込もうとする。


Knight -donoがいきなりあんな事をするからでござるよ。panicしたでござるな~、も~」

 更に、MyuzeVandalieuの手を押し込んでPrivelを手伝う。


「手続きが終わったのなら、拙者らは失礼しよう。いつまでも門を占領して居ては迷惑だからな」

 そしてやや急いだ-sama子で、GizaniaPrivelごとVandalieuを持ち上げるとそのまま八本の脚で門の内側に歩いて行ってしまった。


「あ、これ、通行税です。それでは失礼します」

「ウォン!」

 そしてDarcia達も税を払うと、慌ただしく去っていく。その後ろ姿に、年配のKnightが声をかけた。

「最近は『Face-Stripping Demon』って義賊気取りの殺人鬼が出て、色々物騒なんだ! そのせいで門の手続きもいつもより厳重になっていてね! すまんなー!」


 そして年配のKnightは、深く安堵のため息を吐くと、困惑した-sama子の四い顔つきのKnightの背を軽く叩いた。

「命拾いしましたな」

「ん? ああ、Huge Hellhoundの事か。何、私が最も頑丈な鎧を身に着けているし、ここでは最も【Armor Techniqueskilllevelが高い。もし暴れ出していても、私なら暫くは耐えられる」

「いえ、そうではなく……貴方があのHuge Hellhoundを殴った瞬間、襲いかかろうとしたのはTamed Monsterではなく、Tamerの少年の方でした」


「な、何っ!? そんなsignは感じなかったぞ!」

 年配のKnightの言葉に驚いた四い顔つきのKnightは、他のKnightや周囲のGuardに視線を向けるが、彼等の顔にも困惑が浮かんでいる。


「ええ、signどころか動きも私には見えませんでした。他の者も同-samaでしょう。ただ、貴方があのmonstersを殴った瞬間少年の姿が視界から消え、かと思ったらあのカマキリのような娘-sanがいつの間にか前に出ていて、Scyllaのお嬢-santentacleで少年を絡めとっていた。

 私に分かったのはそれだけです」


 四い顔つきのKnightFangを殴りつけた瞬間、Vandalieuは彼にsignを消したまま襲いかかろうとした。それを防ぐために、MyuzeKnightとの間に割って入り、Vandalieuは反射的に動きを止めた。その刹那の隙を突いたPrivelが、背後からVandalieuを絡めとった。

 Fangが硬直していたのは、Knightに怯えていたからではない。Knightの背後で起きたHigh-Speedの攻防を見て、驚いていたのだ。


 そうconjectureする年配のKnightに対して、四い顔つきのKnightはそんなBAKANAと、苦笑いを浮かべた。

「考え過ぎだろう。確かに、噂ではあのDhampir自身もそれなりにやるそうだが、母親と一緒にmonstersrunawayに立ち向かった訳ではないだろう。

 離れた所から毒や薬でmonstersを惑わし、火事場泥棒を狙ったmountain banditを撃退した程度だ。我々にsignを悟らせず、目にも止まらぬ速さで動くなど、無理だろう」


 四い顔つきのKnightが言ったように、噂ではVandalieu自身の戦闘Abilityは高くないとconjectureできる。それは、賊がOrichalcumを装備したAClass adventurer以上の実力者だった事を、Moksi Earlが一般には隠しているからだ。


「……考え過ぎですか。だと、良いのですが」

 そう年配のKnightが言うと、四い顔つきのKnightGuard達はそうだそうだと頷き、次の旅人の審査に取りかかった。

(考え過ぎだったら、あの御嬢-san達の妙な態度はいったいなんなのでしょうな。まあ、どの道あのTamed Monsterだと言うJuliana -samaそっくりなmonstersの娘同-sama、儂の手には余る事だ。

 それに、上への報告はもう行っているようだし)


 年配のKnightが視線を巡らせると、いつの間にかVandalieuが街道に現れた時馬に乗って駆けだしたKnightの姿がなくなっていた。




 Alcremに入ったVandalieu達一行は、人々から注目されていた。

 人口百万人の大都市であり、拠点にしているadventurerも多いAlcremには、Beast raceGiant raceだけではなく、Dark ElfRyuujin等も珍しいが存在している。


 Tamerも同-samaで、Moksiとは違いRank3や4のmonstersTamed Monsterにした者が数十人guildに所属している。更に、Lesser Wyvernを駆って空を飛ぶ竜Knight達がorganizationされており、大きな祭りでは編隊を組んでの上空を飛び、Alcrem Duke 家の威厳と武力を誇示している。


 しかし、流石にArachneScyllaを見るのは多くの人々にとって初めてであるため、思わず足を止めて一行を見つめ、指差し、ざわめいていた。


「気持ちは分かるけど、ダメでしょ。Fangenduranceしていたのに、あなたが動いたら」

「そうでござるよ。幾ら気がつかれずに仕留める自信があったとしても、あの場ではpatienceが肝要でござる」

「くぅん、べろべろべろ……」

「わぷ、へぶっ、ちょっ、tongueがっ!」


 そうした注目を無視して、DarciaMyuzeが穏やかな口調でVandalieuに言い聞かせ、Fangが慰めるように舐めまわしている。

 VandalieuはまだPriveltentacleが首から下に絡みついているため、大きなFangtongueが舐めているのは、主にPrivelの方だが。


「……俺も、別にあのKnightを闇に葬ろうとした訳ではありません。【Unarmed Fighting Technique】のMartial Artsを使ったならともかく、ただのpunchFangを傷つけられるはずがありませんから」

 bloodthirstを放たなかったVandalieuだが、それは彼があの四い顔つきのKnightを殺すつもりが無かったからだ。


「では、何をしようとしたのだ?」

 そうGizaniaに訊ねられ、Vandalieuは答えた。

「自分でも驚くほどの激情を覚え、それを抑えられなかったので、真正面に回り込んで睨もうとしました」

 あのKnightFangを殴りつけた瞬間、何故かVandalieuは激怒した。彼の、【Unarmed Fighting Technique】のMartial Artsを使った訳でもないただのpunchでは、Fangを傷つけられるはずがない事は分かっている。


 しかし、今思い出しても不可解だが、あのKnightに対する激しい怒りを覚えてしまった。

 なので、Knightの正面に回り込んで睨みつけようとした。……対象にhorror心を覚えさせる【Demon King's Demon Eye】で。

 Vandalieuは周囲に人がいるので何で睨もうとしたか口に出さなかったが、Magic Eyeを使おうとした事を察したDarcia達は苦笑いを浮かべた。


 ちなみに、以前DarciaProstitute扱いした成金風の男は、Vandalieuがかなり加減して【Demon King's Demon Eye】で睨まれた途端、screechをあげながら逃げ出している。


Bocchan、それは下手をするとhorrorのあまり発狂しかねませんぞ』

「そうね。あの人はKnightだから、普通の人よりは耐えられるかもしれないけれど……大騒ぎになっていたわね」

 SamDarciaがそう囁き合う。実際、あのKnightがあの場で廃人になったり、失禁しながら逃げ出していたら、大騒ぎになっていただろう。


 その場合、VandalieuKnightに何かした物的証拠は無くても、話を聞かれるなど更に足止めされていたはずだ。

「はい、誠にすみません。PrivelMyuze、止めてくれてありがとう」

「何の何の、Van -donoの気性は分かっているでござるからな」

「うん、気にへぶっ、しなくふぇっ、Fangっ、そろそろ止めて~!」


「では、あのKnightは私が始末しておきましょう」

「……Gufadgarnの姉御、始末はちょっと。今奴に何かあったら、師Artisanが疑われちまう」

 spaceの狭間に潜んでいるため声だけのGufadgarnを、Simonが止めた。突然声が聞こえても驚かず、冷静に対処できるようになっている。彼も、短期間で随分と染まって来たようだ。


「それにほら、弁護する訳じゃないけど、あのKnightも仕事だからさ。手続きに時間がかかったのも、『Face-Stripping Demon』のせい……つまり……だし」

 ごにょごにょと、誰のせいなのかの部分を口の中で呟くNatania。彼女の言う通り、『Face-Stripping Demon』がいなければ、門に何人ものKnightが配備される厳戒態勢はとられなかったはずだ。


「あと、あの四い顔のKnightは、性根が腐ったような人ではないと思います」

 そしてあのKnightを最も弁護したのは、前世では広い意味で同僚だったJulianaだ。

「あのKnightは殴る対象を選ぶことが出来ました。触れたらfurが熱かったり、手に刺さったりしそうなMarollSurugaを避けるのは当然ですが、あのKnightが選んだのは凶暴なHuge Hellhoundだと偽ったFangでした。

 一番弱そうに見えるはずの、私ではなく」


『もしあのKnightがその気なら、反撃されても平気そうなJuliana -sanを選ぶことが出来たが、敢えてFangを選んだのだから、悪意があった訳ではないだろう。そう言いたいのですな?』

「はい、そう言う事です」

「言われて見れば確かに……いや、それなら拙者でも良かったのでは?」


Gizania -donoはただのLarge-buildArachne(と、偽っている)でござろう。あのKnightから見て、Gizania -donoRank4、FangRank5。Fangの方が丈夫だと思ったのでござろう。

 それに、Gizania -donoは女子でござるし、あのKnight -donoも殴るのは気が進まなかったのでござろう」

「なるほど。確かに、良い人かは分かりませんが、悪い人では無さそうですね。改めて止めてくれてありがとう、PrivelMyuze


 あのKnight悪い人ではない。そう纏まったのを確認して、Gufadgarnの声も「では、生かしておきます」と言って途切れる。これで謎の四い顔つきのKnight失踪事件は、未然に防がれたのだった。


「そう言えば、あのKnightってもしかしJuliana -sanの知り合い?」

「いえ、全くMemoryにありません。前世の私の立場は微妙だったので、あまり人脈を広げると周囲に疑心暗鬼を煽る者がでる可能性があったので、私が率いていた隊以外のKnightとは、仕事以外ではあまり交流しないようにしていましたから」


 Julianaはそう答えたが、「ですが」と続けた。

Knight達の方は全員私の事を知っていたと思います。継承権は無くてもDuke 家の一員ですし、femaleだけで構成されたKnightの一隊は私の隊だけで、何かと有名でしたから。ですが、やはり深く面識がある訳ではないので……気がついたのは、あの年配のKnightだけだったようです」


 今のJulianaの姿は、tailを除けば生前の彼女がchildだった頃とそっくりだ。だが、Knight達は彼女を幼少期から知っている訳ではなく、Duke 家Shoujo時代の彼女の肖像画が飾られている訳でもない。

 二十age前後のfemaleの十age前の姿を見ても、似ていると気がつかない者もいる。その程度である。

 ……今は九age程に見えるJulianaが、更に成長を続ければ似ているどころかそっくりだと気がつく者は、どんどん増えるだろうけれど。


 そう言う意味では、Julianaが成長しきっていない今の内にAlcremに来たのは正解だったかもしれない。


「じゃあ、Vandalieuも落ち着いたようだし、まずはHungry Wolf警備の人達が用意してくれた倉庫兼住宅で、ビビ-san達と合流しましょう。あたし達は、今日中にVandalieuTamer guildに行かないといけないし」

 Katiaがそう言って出発を促す。するとFangが、やっとVandalieu(主にPrivelだが)を舐めるのを止めた。


「や、やっと止った。じゃあ行こうか、Van -kun

Privel、もう落ち着いたので放してくれませんか?」

 未だにtentacleでグルグル巻きのVandalieuだった。




 Talosheimをはるか上空から監視している……監視していると偽っていた『Goddess of Rain CloudsBaciasが、自身のHeroであるArthurの耳に届いた人々のざわめきから、時が来た事を悟った。


『来た……凶兆の体現者が』

Alcremに、Dark nightの先触れが……』

shadowの化身たるものが……現れた』

 同時に、彼女の周囲に二柱の神が現れる。本来ならそれを見て驚くはずの他の監視役のGodsは、二柱のGodsが司る力によって、意識を他の事に向けており気がつかない。


『貴女が囁いた通りAlcremに姿を現しましたね。ああ、早く直接お招きしたい……』

 一柱はGoddessで、黒く艶やかな髪と瞳をし、顔以外の全ての肌を黒い衣服で覆った、しかしそれでもElfらしからぬ豊かな胸や腰付きを隠せていない。


 彼女が『Goddess of the Dark NightsZelzeria


『耐えよ、Zelzeria。我等が欲に負け、Demon Kingに降らんとする企み事、まだ知られるわけにはいかぬ。せめて神としての務めだけでも果たさねば……』

 一柱は、一見するとEvil God (M)の類と見間違いかねない姿をしていた。目も鼻も輪郭さえもなくのっぺりとした頭部の、黒い人shadow


 彼が『God of ShadowsHamul


『そうね……Demon Kingが仕掛けたTrapに魅入られ、本当に正しい事なのか確信もないまま欲に負け、believerblessingsを与え、使者に仕立てた。おおよそ神の行いとは思えない、最低の所業を犯しているのだもの。

 果たすべき役割を果たし続けられるようにしないと』

 そしてZelzeriaHamul、二柱の神を巻き込んだ『Goddess of Rain CloudsBaciasはいつもの陰気な、しかし熱を含んだ口調で話す。


『まずは、私のArthurに――』

beloved Kariniaに――』

『我がBolzofoyに……ところで、もう一人は如何にする?』


『……Arthur達に任せようと思うの』

『……そうね、あれもこれもと指図するのは良くないわ』

『では、Bolzofoy達の自主性に任せよう』


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