王城の窓が無いroomで行われた、Dark Elf族の視察団との移住に関する会談は、順調に進んだ。揉める要素が無かったからだ。
「Humanの社会は我々からすると何かと窮屈で、決まり事が多いものですが、ここは違うようだ。Talosheim……いえ、今はVidal Magic Empireでしたね」
そうDangarが評す程だ。
現在は『God of Law and Life』Aldaを頂点とした、通称Alda教を国教とするAmid EmpireがContinent西部を支配している。だが、長い歴史の中では逆にVida's New Racesに友好的な国家が権勢を誇っていた時も存在した。そうした国とは、Dark Elf族も交流し、後ろ盾として物資や戦力を援助した事もあった。
Dangarはそうした国家との交渉のrecordを、最Elderになる前から閲覧して知っていたので、そう評した。
「やはり、この国が新しい国だからでしょうか?」
『確かに我が国は新しい国であるため、しがらみが少ない。しかし Dangar -dono、我が国にも法律はあり、-sama々な決まり事があります』
General兼Prime Ministerと言う妙な役職にあるChezare Legstonの答えを聞くと、Dangarは意外そうな顔で「そうなのですか?」と聞き返した。
『ええ。最近も、労働基準法に何条か増えました』
「労働基準? もしや、労働に基準を設ける法律ですか? 成果が一定以上の基準に達しない労働は、労働に至らないので給与を払わなくてよいとか」
『いえ、連続で何時間まで働く事が出来るか、休憩休日をどれ程取らせるのか、最低限払うべき給与はどれくらいか、等の労働者に関する基準を定めた法律です。
我が国は生者とUndead、monstersが混在している国ですので、中々複雑でして。尤も、我が国の産業はほぼ公共事業なので、法律を守るのも定めた我々なのですが』
「なるほど……another worldの法を参考にしているのですね」
労働基準法という概念は、このworldの考えではないだろうと見抜いたDangarがそう断言すると、Chezareは『そう聞いております』と頷いた。
『ですので、Dark Elfの方々には移住後Empireの-sama々な職業についていただけると幸いです。尤も、この労働基準法は戦時下の軍人やcivil official、そしてEmperor陛下とExplorer……Human社会のadventurerに相当する者達には常時適用されませんが』
「いや、待ってほしい。今、玄孫の生活について、不安を覚えたのですが?」
「まあ、その辺りは後で本人に確認して貰うとして……Humanとしての意見ですが、移住の受け入れがスムーズに進むのは、法律の問題ではないでしょう」
兄と違いまだ生者ではあるKurt Legstonが、仕事用の顔と口調でそう誤魔化しながら説明を始めた。
「足を引っ張る政敵や、移住によって損なわれる既得権益を守ろうとする者、逆にこの機会に少しでも利益を得ようとする者の手出しが無い事。そしてEmperor陛下が貴方方の求める物を、次から次に用意できるからかと」
Human社会の国内部の政治争い、移住者が来る事で不利益を受ける者の抵抗、自らの利益を優先する者の横槍。
それに移住者達が希望する条件を、受け入れる側が満たせるかも問題だ。
「だが、我が国にはそうした者達がいない。Emperor陛下に反対する者や、異論を唱える者はいます。だが、自分の利益の為に邪魔しようという者は一人も存在しない」
Kurtの言う通り、VandalieuはVidal Magic Empireの中心である。国民は全てVandalieuのGuidanceを受けており、反乱等は考えもしない。
特にChezareのようなUndeadや、一部のmonstersやVida's New RacesのLoyalty心は狂信的だ。Vandalieuが主導する移民政策を政治的な争いに利用する事は無く、政策の結果自分が不利益を受けるならそれを「Vandalieuからの試練」、若しくは「奉仕」として受け止め、自らの利益を優先するどころか全てを差し出す事も厭わない。
尤も、完全にVandalieuの言う事を聞く訳ではない。
「それはDalton達から前もって聞かされていましたが……実際にこの国に足を踏み入れて、改めて認識しました」
Dangarは、そう言って会議室の一角に視線を向けた。そこにはただ壁があるだけだが……壁の向こうには、建設が着々と進んでいるGiant Vandalieu Idol Statueがある。かの像の建設は、Vandalieuの意思に逆らって行われている。
なお、会談の場に直接Idol Statueを見る事が出来る王城の高い階層の窓があるroomが選ばれなかった理由は、Dangarが建物の屋根に描かれた絵を見ないようにするためである。
DangarはVida's New Racesなので問題無いと思われるが……うっかり絵に付与された【Mind Encroachment】skillの効果が変な風に作用したら大変だ。
「それにChezare -dono、貴方のように生者となんら変わらないUndeadの存在。失礼ながら、Dalton達の話で最も信じられなかったのは、貴方方についての話でした」
Vida's FactionはUndeadに対して寛容だが、それはUndeadの存在を認める類のものではない。
可能なら未練を叶えてやり、Reincarnationの輪に還す事が正しいと教えている。だが、結局は倒すという点ではAlda believerと同じである。
何故なら、危険だからだ。生者を盲目的に憎み、その肉を喰らおうとするZombie、Skeletonになっても殺戮を止めないSkeleton。恨みをぶつけてくるGhost。それらと言葉を交わす事は不可能であり、Tamerする事も出来ない。
中にはLichのように会話する事が可能なUndeadもいるが、その多くは正気を失っていて要領を得ない。
極少数reasonを保っているUndeadも存在するが、そのreasonは何をきっかけに失われるか分からない不stabilityなものだし、reasonがあるからと言って生者に対して友好的とは限らない。寧ろ、逆である事が多い。
そうでなくても、多くの場合Undeadは存在するだけでDiseaseの元となるので、警戒されて当然なのだ。
DangarのようなVidaを信仰するDark Elfでも、Undeadに対する認識はそのようなものだった。
『でしょうな。Black Bull Knight団やDark Night Knightsの者から聞いていますよ』
Dark Elf族を説得する材料として、reason的なUndeadを見せたいと『Storm of Tyranny』のSchneiderから要請があった。それに応えて、Gufadgarnの【Teleportation】によって送られたのが、Knight団に属するUndeadのKnightだ。
Bone ManやBorkusでも良かったのだが……あまり高RankなUndeadを送ると、警戒されてしまう可能性が考えられたため、Rank5や6のKnightが選ばれた。
そして派遣されたKnightは、里から離れたOpen PlazaでDark ElfのWarrior達に囲まれ、幻覚でUndeadに変装している生者ではないのか等色々調べられた後、話を聞かれたそうだ。
その後酒を勧められ歓待を受けたが……それもUndeadのreasonを確認するためのものと言う側面があったはずだ。
「あの時は失礼しましたと、Knight -dono達にお伝えください。
あの子がEmperorである限り、この国は安泰のようだ」
Dangar達Dark ElfのElderたちは、Vidal Magic EmpireではVandalieu以外の存在が中心になれないと踏んでいた。
Boundary Mountain Range内部の国々の王の誰か、Pure-breed Vampire、現在Empire政府のnumber2であるChezare。誰がVandalieuの代わりになっても、Vidal Magic Empireは分裂するだろう。
それが、強いて挙げればこの国の弱点だ。
「今回の件を里に持ち帰り、移住計画を進めます。今後もよろしくお願いします」
だが、Vida's Factionの勢力を一つにし、Alda's Factionと戦うという大義名分の為には、考慮するに値しない弱点だ。
何処の国でも為政者が突然交代すれば、程度の差はあるが混乱するものだ。代替わりをきっかけに内乱が起き、国が分裂してしまった場合もある。
そうでなくてもAlda's Factionが活発な動きを見せている今、変化を恐れていては生き残る事は出来ない。
そう決意を込めて差し出されたDangarの手を、Chezareの冷たい手が力強く握った。
『certainlyです、Dangar -dono。共にEmperor陛下を支えていきましょう。永久に!』
「……え、ええ。移住後、一族の代表としてだけではなく、civil officialとして国政に関わる事が出来るのは幸いだと考えていますが」
思わず退くぐらい強く手を握られたDangarの目には、Chezareの後ろで微笑むKurtの顔が映った。
何故かその瞳は、新たな同類を迎えられた事を喜ぶ亡者を連想させた。
『それは良かった! 共に働く日が来るのが楽しみですな!』
そう、ChezareはDangar達を新戦力として、特にcivil officialの新戦力として期待していたのである。
Kurtや生者のcivil official達には、労働基準法が定められた事と、結婚して家庭を持った事で無茶な勤務は頼めなくなった。その穴埋めに、彼は増員を期待していたのだ。
しかし Moksiの町の犯罪organizationを潰し、organizationに繋がる犯罪者やorganizationを潰しても、Body労働用のUndeadは増えても、頭脳労働用のUndeadはあまり増えなかった。その分、彼の期待は移住者達に向けられているようだ。
「しかし、私はもう九百ageを過ぎた老齢でして。それでもHumanよりは長く生きるかもしれませんが、永久にと言う程では――」
だが、Dangarはageを理由に逃げようとする。
「Chaos Elf化すると、寿命が無くなるそうですよ。まあ、Hell raceでもそのようですが」
しかし、逃がしてなるものかとKurtが回り込んだ。
「……その、Chaos Elf化についても、後日詰めましょうか。引退したElderの何人かが今日、試す事になっていましたが、その結果も見て、日を改めて」
Dangarは、自身の敗色が濃厚である事を予感した。
外交が行われている会議室がある王城から離れた、Vidal Magic Empire首都Talosheimの郊外では、Dangar以外のDark Elf族の代表団とEmpireの親交を深める会が催されていた。
『貴-sama等、何だ、その目は!?』
「グルゥ……」
しかし、親交を深めるどころか険悪な雰囲気に包まれている一角があった。
「ガウルルルゥ……?」
「ギャウゥゥ?」
絡まれているのは、Fitunの『試練の迷宮』……現在は『Garess' Battlegrounds』と呼ばれているDungeonからrunawayによって地上に出たThunder Dragonの生き残り達だ。
彼等は『Dragon God Emperor』であり『Demon King』であるVandalieuのsignに気がつき、monstersとしての闘争Instinctから目を覚まし、Warningを鳴らす生存Instinctに従って逃げ出した者達だ。
そのため、Dragon ZombieにならずにVandalieuにTamerされ、Moksiの町から【Teleportation】によってここに連れてこられたのだ。
『おのれ、龍ですらない竜種風情が、この我を見下すか!?』
そして絡んでいるのは、Luvezfolだった。
確かにThunder Dragonは竜……monstersに堕ちた龍から産まれた劣った子孫とされる存在だ。それに対して龍はDemi-God……Bodyを持つ神である。両者を同種扱いする事は、同じ哺乳類だからという理由でmouseとHumanを同列視する事に等しい。
特にLuvezfolはmonstersに落ちた側の龍だ。Thunder Dragon達にとって父祖の同類であると同時に、恐ろしい支配者でもある。恫喝されるどころか、一睨みされただけで震え上がりひれ伏すのが普通の反応である。
『我は、Wyvernの上位種ごときではない! 我こそは『Raging Evil Dragon God』Luvezfolなるぞ!』
だが、今は特殊なsealedによってWyvernの上位種ごときと化していた。本人がどんなに強く主張しても、Thunder Dragonの目にはそうとしか映らない。
「Gyaon?」
だが、言葉を話す等Wyvernには無いはずの高い知能や、微かにだが発せられている龍のsignにThunder Dragon達は困惑していた。
『何か、変なのがいる』と。その微妙な態度がLuvezfolを更に苛立たせていたが、衝動に任せて襲いかかる事はしなかった。
『グウウウ、おのれ! Rank upしてもGreat Evil Wyvern……何故Wyvernなのだ!? せめてDragonになっていれば、まだ我が威厳も保たれたものを!』
Rank8のGreat Evil Wyvernに至った彼だが、Thunder Dragon達もRank8。実力行使に出てしまうと数の差でloseしまうのだ。
そう悔しがる彼の腹に向かって、軽やかに拳が振るわれる。
「Luvez、お友達とは仲良くしないとダメでしょ! めっ!」
Half-Noble OrcのPauvinaの裏拳による衝撃が、Luvezfolの腹にthrust刺さる。彼は思わず『ぐぼはっ!?』とscreechをあげ、その場に地響きを立てながら崩れ落ちた。
『そ、そいつらは、友達では……!』
しかし、諦めずそう主張しようとした彼に静かな声がかけられる。
「そう言わず、新しく仲間になった彼等を受け入れてくれませんか?」
Dark Elfの代表団と話していたはずのVandalieuである。LuvezfolとThunder Dragonとの揉め事(実際には、彼が一方的にThunder Dragonに絡んでいただけだが)に気がついて、やって来たのだ。
『っ!?』
「でも、どうしても無理なら……仕方ありませんね」
『いいえっ! そんな事はありません! つい大人気ない態度を取ってしまったが、我にとって竜種は同胞も同然。喜んで新たなbrothers達を迎え入れましょうぞ!』
仕方ないから、今度こそ始末される!? そう思い込み、必死に取り繕うLuvezfol。
「そうですか。なら――」
仲良くできないようなら、仕方ないのでThunder Dragon達はLuvezfolから離れた場所に配置しよう。そう考えていたVandalieuは頷きながら手を伸ばした。
その手が内側から弾けるように変化し、何本ものtentacleになる。
「偉い、偉い」
そのブラシ状の毛が生えたtentacleで、Luvezfolのbody partを撫で始めた。
『あああああああ!? 怖心地良いぃぃぃ~……』
一瞬で自分を絞め殺せる【Demon Kingのtentacle】によるお手入れに、Luvezfolが怯えながらも嬌声を漏らす。
「うんうん、良い子良い子」
『ぐぁあああああああ……』
Pauvinaまで撫でるようにmassageを始めたので、最早抵抗の余地は無い。
一連のやり取りを見守っていたThunder Dragon達も、「自分も、自分も」とVandalieuやPauvinaにすり寄り、じゃれつき始めた。
「あああああああぁ~っ!」
だが嬌声をあげているのはLuvezfolだけではなかった。
「くっ、あっ、ああっ、うあああっ!?」
「大丈夫です、何も怖い事はありません。enduranceしないで、感じるままに……」
Darciaの腕の中で、一人のDark Elfのfemaleが嬌声をあげながら、Chaos Elfへと変異していく。
「あぁ~! ……ふぅ。今まで、体験した事の無い感覚だったよ。これで、もうあたしはChaos Elfになったのかい?」
露出度の高い、ボンデージのようなleather fashionのDark Elfだったfemaleは、熱が籠もった息遣いでそう尋ねる。
「はい。Statusを確認して貰えば、確実です」
「そうだね。それと、あたしに敬語は必要無いよ」
「でも、Ridelia Elderと言ったら私の里でも有名でしたし……」
「今はElderを引退した、ただの古臭い婆さ。皇母-samaが敬語を使うような相手じゃないよ。
その証拠に、里の連中に心配無いからさっさと腰を上げなって急かす為に、こうして自分の身で試しているんだよ」
Darciaに抱きしめられているfemaleは、先日までElder衆の一人だった、Dalton 's ancestor母のRideliaだった。既に引退した彼女が代表団に加わっているのは、本人が言ったようにChaos Elfへの変異を我が身で試す為だ。
代表団には、彼女以外の元Elder衆が何人かそのために参加している。
「お、本当に変異しているね。【Rapid Regeneration】に【Mysterious Strength】、【Chaos】か。おいおい試すとして……こうしてChaos Elfになったからには、あんたはあたし's ancestorだ。ますます敬語を使われる理由はないね。
気安くリア-chanと呼んどくれ」
「急に態度を変えるのは難しいけれど……頑張りますね、リーデリ……リア-chan」
「婆-chan、勘弁してくれ」
有名な元Elderの言葉に逆らえないDarcia。-chan付けで自分を呼ばせる祖母の姿に、頭が痛そうなDalton。
「うんうん、あんたは良い娘だね。それに比べてお前は全く、あたしに若作りを止めて欲しかったら、曾孫の顔をさっさと見せな!
それと、折角元Elder衆で試す奴を決めたのに、先んじて変異したそこの二人! 【Chaos】skillは使えるようになったのかい!?」
「は、はい、何とか!」
「わ、私はもうちょっとかかりそうです」
Rideliaに怒鳴られたDarciaの両親、ZeresiaとFidarilが慌てて姿勢を正す。二人は、腕が甲殻類の鋏になっていたり、背中から翼が生えていたり、body partの一部が【Chaos】skillの効果によって変化していた。
娘であるDarciaとの再会を、抱き合って喜んだ二人だったが、その際Chaos Elfに変異してしまった。どうやら、娘を受け入れた事が「Chaos Elf化を受け入れた」のと同じ効果をもたらしたらしい。
Dark Elf達にとっては予想外の出来事だったが、別に深刻でもなければ重大でもない出来事だ。
「そうかい。一旦里に戻った後、【Chaos】skillについて皆に説明する時に手伝ってもらうから、今はもういいよ。後の時間は好きにしな。娘と孫と、語らっておいで」
なので、Rideliaも二人を罰するような事は考えなかった。
「はい、ありがとうございます」
「ではお爺-san、お婆-san……他人行儀かな? お爺-chan、お婆-chan? 流石に今の俺のageでじぃじとかは無いと思いますが」
Luvezfol達へのご褒美を終えたVandalieuが戻ってきた。腕も元の形状に戻っている。
「好きな呼び方で構わないが、迷うようならとりあえずお爺-san、お婆-sanでどうだろうか?」
「では、そのように。俺の事も好きに呼んでください」
「じゃあ、Van -chanでどうかしら?」
「Fidaril、この子にも立場があるんだ。皆の前でそれでは――」
「構いませんよ」
「いいのか!? そ、そうか。なら俺はVanと呼ぼう。それで、さっき話そうとした事は何かね?」
「はい、既に話は聞いているかもしれませんが、お爺-sanとお婆-sanに改めてintroductionしたい人達がいます」
Vandalieuの告白に、ZeresiaとFidarilはついに来たかと姿勢を正した。
今日初めて会った孫に、婚約者が、それも複数いる事はDalton達から聞いていた。一国のEmperorなのだから、婚約者ぐらいはいてもおかしくない。それが複数だったとしても、そう言うものなのだろうと考えている。
Dark Elfの場合でも一夫多妻、一妻多夫は珍しいがいなかった訳ではないし。
それに異raceであっても問題無いと、二人は思っている。originally Vandalieu自身が娘のDarciaと異raceの若者との間に生まれた孫なのだし。
「まず、bloodは繋がっていませんがImouto同然の存在であるPauvinaです」
しかし、最初にintroductionされたのは婚約者では無くImoutoだった。
「初めまして、Pauvinaです!」
元気に挨拶する三meterの金髪Shoujoに目を丸くするZeresiaと、「まぁ♪」と嬉しそうにするFidaril。
「姿には気がついていたが、てっきり彼女が婚約者かと……」
「後、RapiéçageとYamataとQuinn、そしてLegionとJulianaです。Legionは一部弟も混じっていますが」
『初め、ましてぇ……』
『『『まして~♪』』』
「よろしくお願いします」
「色々戸惑うと思うけれど、気を強く持ってね」
「畏れ多いですが、身命を賭してお仕えします!」
ずるりとVandalieuの【Demon Kingのshadow】から出てくるRapiéçageとYamata、そしてQuinnとLegion、Juliana。
RapiéçageはPauvinaのshadowに隠れていたり、Yamataは九本の首の先に接合された美女の上半身しかshadowから出さなかったり、LegionはPlutoの姿と人格にTransformしていて、出来るだけ二人がshockを受けないように気遣っているのがうかがえる。
だが、複数のHumanとmonstersの部位を縫い合わせて創られた合成Zombieや、九人の美女の上半身、身長三meterのfemaleと蜂の特徴を併せ持った美女の姿にZeresiaは驚きを隠せず目を丸くした。義理のImoutoのはずなのに、何故か身命を賭けると言うJulianaの言葉の奇妙さに気がつかない程だ。
……Legionが通常のchunk of meatの姿で現れていたら、腰が抜けていたかもしれない。
「まあ、孫が沢山増えて嬉しいわ♪」
Fidarilはそう声を弾ませるが、目が回っている。混乱しているらしい。
「おkaa-san、お父-san、どうしたの? 大丈夫?」
そして二人の-sama子に心配そうにするDarcia。……どうやら、彼女の中の常識はかなり怪しい段階に至っているらしい、若しくは、両親がHuman社会の一員ではないから大丈夫という判定が、彼女の中でなされているのかもしれない。
「は、はは、何でもないとも。ちょっと驚いただけさ。うん、俺も【Chaos】でbody partを変化させられるようになったし、孫も腕をtentacleに変化させていたし、大丈夫だとも」
色々自分に言い聞かせながら、繰り返しnod Zeresia。だが、思わずDaltonに視線を向けて抗議した。「できれば、前もって教えて欲しかった!」と。
視線を受けたDaltonは、目で「どう説明しても嘘っぽくなる気がしたから、ぼかして伝えるしかなかったんだ!」と答える。
「婚約者ですが……この場に居ない人も多いので、おいおいintroductionします。大勢いますから」
GhostのPrincess LeviaやOrbiaは実はこの場にいるし、呼びに行けばZandiaやJeena、PrivelやGizania達、Moksiの町に居る面々もすぐ連れて来る事が出来るが、敢えてしなかった。
祖父母のpsychological動揺が大きいので、少しずつ慣らしていった方が良いだろうと思ったからだ。
「そ、そうか、やはり大勢いるのか。はははは」
実際、Zeresiaは限界に近かった。婚約者以外にも孫の犬をself-proclaimedするIslaや、僕である事に誇りを持っているEleonoraやBellmondを、そして殺戮Maid達をintroductionされたら意識が危うくなりかねない。
「随分生き急いでいるねぇ。まあ、あんたの境遇じゃあ生き急ぐのも無理ないか。それに、種を全く撒かないうちの孫よりゃいいか」
Rideliaは年の功なのか、最初こそ驚いたがすぐに冷静さを取り戻したが。
「寿命も無くなったんだから、もっと気長に待てよな……」
婉曲的に責められているDaltonは顔を顰めてそう呟いた。
「でも、好きなだけ撒いて、後は世話もしないSeed-Providerにならないように気をつけるんだよ」
「こっちに飛び火しやがった!? くっ、自業自得な上に、反省しちゃいるが言い訳出来ねぇ! その通りだから気をつけろよ!」
「はい、その点はSchneiderを反面Instructorにしようと思います」
こうして Bahn Gaia continent西部のDark Elf族の、Vidal Magic Empireへの移住は進んで行くのだった。
その頃Moksiの町近くの森では、Spirit Magicで空を飛んでElected King領からやって来たRandolphの姿があった。
「さて、いつもの『Ralph』は知られているからな……」
Natania、そして隻腕の男にも、彼が変装したHumanの男『Ralph』の顔と声を知られている。恐らく、Adventurer’s Guildや領主の手の者にもnameと似顔絵は回っているだろう。
彼が来た目的の人物であるVandalieuには、正体を教える事になっても構わないが……それまでは余計な騒ぎは起こしたくない。
そう考えているRandolphは、彼はいつもとは違う変装をするために、itemボックスから髪と瞳の色を変えるmagic itemのpiercingを取り出して、耳にその場で穴を空けて嵌める。
傷はSpirit Magicで治し、Randolphは喉を抑えて声の調子を整えるために、発声練習を始める。
「あああ~♪ ……もう少し高い声の方が良いか。あー、あぁー~♪ よし。
私は、故郷の森を出て旅をしているElfのBard Rudolf。adventurerではないが、自衛のために初歩的なmagicを嗜んでいる。
Moksiの町の噂を聞いて、興味を覚えて来た。これで行こう」
普段より一段高い声でそう『Rudolf』の設定を決めたRandolphは、町に向かって歩き出したのだった。