やわやわとtongueをくすぐる泡の感触が、癖になるようなcaramelの甘さをしつこくない、爽やかなものにしている。そして泡が割れる度に独特な匂いが弾けるように広がる。
今までエール等炭酸を含んだ酒を飲んだ事は幾度もあるが、この飲料はそのどれとも違っており、彼はすぐに夢中になった。意識の四分の三を持って行かれている。
『ゴクゴクゴクゴク』
『レロレロレロレロ』
『ケ~プっ。失礼、ングングング』
『これがCola……出現した『Earth』ではPizzaと並んで飽食のsymbolとされる、人を堕落させる飲み物!』
四つの内、三つの頭でマイ杯を満たしているColaを飲み、残る一つで食レポをするZuruwarnの姿に、ColaのproducerであるVandalieuは満足気に頷いた。
『喜んでもらえたようで、良かったです。正直、『Earth』のColaよりも炭酸がweakので心配だったのですよ』
Vandalieuが自作したColaは、味や匂いは彼のMemoryに辛うじて残っているColaとほぼ同じ……いや、実際には使っている甘味料がGehenna Beeの蜂蜜であるためか、味は明らかに上だ。
しかし、作り方に問題があったらしく炭酸が弱かった。微炭酸と言う程ではないが、Memoryにある炭酸飲料と比べると物足りない程度だ。
これは炭酸、つまり二酸化炭素を液体に溶かす際に『加圧』と言う工程を行えば解決できると、後になってから気がついた。
今後、樽を利用して作った試作品の装置ではなく、Cola製造の為のGolemを揃えた正規のGolem工場を稼働させられれば、-chanとしたColaを作る事が出来るだろう。
しかし、炭酸以外の味と香りはno problemのColaである。
Kanako達ReincarnatorやLegionも、「『Origin』で飲んだColaと匂いは同じだし、味は明らかに上」と太鼓判を押してくれた。……Vandalieuと違い、比較対象が『Earth』ではなく『Origin』なのは、『Origin』でColaを何度も飲んでMemoryが上書きされたからだろう。
another worldなのにColaの存在が共通しているのは、考えてみれば奇妙な事だ。だが、magicが存在する事と幾つかの歴史的出来事の有無以外は、『Earth』と『Origin』はよく似たworldだった。そのため暮らしているHumanの嗜好や、worldに存在する材料もよく似ており、その結果似た炭酸飲料が作られ、それがworld的に流行したのだろう。
実際、Colaは同じでも作っている会社は『Earth』と『Origin』では違う。
『後、飽食のsymbolはともかく、人を堕落させる飲み物と言うのは言い過ぎだと思います。あと、Pizzaも具材と生地の薄さによってはヘルシーです』
『うむ、certainly jokeだ。しかし、飽食のsymbolの方は良いの?』
『このColaのカロリーが高いのは事実ですからね。後、原材料費も高いですし』
甘味料に使っているのは、Eisen達SkogsråやLeshy、Monster Plant、Gante Entの花からGehenna Bee達が集めた蜂蜜。とんでもなく美味しいが、それ故にとても原価が高い。glass一杯で百円どころか、百Luna(約一万円)ぐらいが今は相当だ。
もしOrbaum Elective Kingdomで同じ質の原材料を集めようとすれば、数千Baum(約十万)はかかるだろう。
『今後、大量Productionが出来るようになれば製造costも下がりますし、甘味料も普通の砂糖を使う一般用と、Gehenna Beeの蜂蜜を使う富裕層向けに分けるつもりです』
『それでも高そうだ。砂糖も、『Earth』程安い訳ではないし』
Zuruwarnが言うように、このworldの砂糖の価値は高い。紙と同じで、一般人では手が出せないと言う程ではないが、日常的に使うには懐が厳しい。それぐらいの嗜好品である。
『……その砂糖、High Kobold nationから輸入しているRambutanのように、Majin nationから輸入するつもりか?』
『God of Battleflags』Xerxから尋ねられた、Vandalieuは『そのつもりです』と頷いた。
『気を使う事は無いのだぞ。汝ならSugarcaneでもsugar beetでも、Dungeonなり自分自身なりを使えば、自由に栽培できるだろうに』
『それはその通りですし、既に自分達用にSugarcaneをAbsorptionしています。ですが、やはり友好国の特産品を奪うのは浅ましいと思いますし……今やる事でも無いでしょう』
『God of Law and Life』Aldaや『God of Reincarnation』Rodcorteと戦っているなか、友好国と富を奪い合う意味は無いだろう。
『ふむ、あまり気にする事でも無いと思うが』
『そうだ。各国にCola工場を作って、その国ごとのflavorを作ると良いかもしれませんね。ご当地Cola、これはいけます』
『……商売っ気があるのかないのか、どっちなのだ?』
『五頭地!? 我に何か関係が!?』
それまでZuruwarn以上に夢中になってColaを飲んでいた『Evil Dragon God of Five Sins』Fidirgが、顔を上げる。
『ご当地だ。聞き間違えるな、確かにお前が守護するLizardman達の大Marshlandsも含まれているが。……うちのGhoul nationだと、Gante Ent flavorか?』
『Evil God of the dark Forest』Zozoganteが、根からColaをAbsorptionしながら、Fruitのように枝に連なるeyeballをうっとりとさせる。
『tentacle flavorは無いとして、米はflavorになるのでしょうか』
『我が子等の国の場合はどうなるだろうか。肉か、脂か……』
『武に生きる我が子等のご当地Cola……!? これは、今までの激闘よりも厳しい難問なのでは!?』
『まさか糸や殻を混ぜる訳にもいかぬであろうし、これはMiko -dono達のwisdomを拝借するよう、Oracleを出さねばならんかな?』
ScyllaのPatron Godにして片親である『Evil God of Slime and Tentacles』Merrebeveil、Noble Orc kingdomのPatron God『Evil God of Degenerate Corpulence』Mububujenge、Kijin nationのPatron God『God of Warriors』Garess、ArachneとEmpusaの片親であり国名にもなっている『Evil god of Carapaces and Compound Eyes』Zanalpadna。
幾柱ものGodsがColaを楽しんでいる。
『では、俺からDonaneris Queenに伝えておきましょうか?』
『そうして貰えると助かる』
『分かりました。Oracleと言えば、今日はColaの試飲会以外にもPeriaからのOracleについて、何か話を伺えないかと思って来たのですが……』
丁度良くOracleが話題に上がったので、Vandalieuは今日の本題を切り出した。
『そのOracleの意味を、汝はどう考えている?』
しかし、逆に『Magic God of Time and Arts』Ricklentに問い返されてしまった。しかし、VandalieuもOracleの意味そのものは既に当たりを付けていた。
『Alcrem Duchyから見て、この星の反対側、異-samaな形か色をした谷か峰、湾等にGoddessがsealedされている。そう言う意味だとconjectureしています』
『その通りだろう』
Vandalieuのconjectureに、過去、現在、未来、三つの姿を持つRicklentはその全てで即座に頷いた。
『Periaは知識のGoddessだけれど、言葉遊びを使った難解な謎かけは好まないの。知識は分かり易くaccurateに伝えるべきだって、彼女はとても昔から口癖のように言っていたから。
教科書の中身が比喩や暗喩ばかりで暗号文みたいだったら、child達が勉強するとき可哀そうでしょう?』
言葉の少ないRicklentに代わって、『Goddess of Life and Love』Vidaがそう説明しながら補足する。
『だから、彼女のOracleは受け取る側が出来るだけ分かり易いように、考えて工夫して出した物のはずよ。worldがround事に気がつくかは、普通なら難しかったかもしれないけれど……Julianaの周りにはあなたやReincarnatorの子達が居るから、大丈夫と考えたのでしょうね』
『なるほど』
どうやら『Goddess of Water and Knowledge』Periaは、ナゾナゾではなくクイズの方を好む性格のようだ。
『難しい謎を出すのが多いのは、寧ろRicklentとZuruwarnの方よ。Age of Gods Eraには、難しいだけで、答えに何の意味も無い謎を出した事があるくらいだし』
『それは、この世のMariを教えて欲しいと願われたので、『そんなもの我が知るか、自分で考えろ』と出来る限り難しく伝えただけだい』
『我も似たような理由だ。我も知らぬ術に手を伸ばすのなら、我が出せる最大限の謎かけぐらい、すぐに見破れなければ話にならん』
神は偉大な力と権能を持ってHumanよりも先に誕生し、人をCreationした。しかし、現在でも全知全能ではない彼らが生まれつき全てを知っている訳がない。
believerを教えGuiding Godsも、時と共に学んでいるのである。
そしてGodsがHumanを教えGuidingのは、自らの糧である信仰を得る為だけでは無い。それだけなら、GodsにとってHumanは家畜と何も変わらないという事になる。
Humanを家畜とするのなら、Ricklent達はHumanを創る時高度な知能や成長性を与えなかった。Godsを畏怖し祈るのに必要な最低限の知能のみを与え、学習Abilityを制限して、何時までもGodsが掌の上で転がせるような生物として創っただろう。
だが、今のHumanを見ればそうでない事は分かるだろう。Godsは何れ自分達に並ぶ、若しくは超える可能性のある存在としてHuman達を創ったのだ。
『……Mage guildのMage達が、秘伝や秘術を抱えている理由が分かった気がします』
ただ、Mage達の秘密主義の由来はきっとRicklentとZuruwarnだろうと、Vandalieuは思った。
『恐らくそうだろう。現代のMage達が信仰の対象に選ぶのは、多くの場合我かZuruwarn、そして我らのSubordinate Godだと聞く。
そして我としては、Oracleは受け取った者達が自力で読み解くのが好ましいのだが』
Oracleを出した神ではないが、答えについて尋ねに来るのはズルくないか? と苦言を呈するRicklent。どうやら、彼(彼女)の口数が少なかったのはそのせいだったようだ。
『まあまあ、我々に直接聞きに来る事が出来るVandalieuが特別なのだ。受け取った者達がOracleを解くのに、出来る事をするなと言うのも理不尽では無いかな?』
しかし Zuruwarnの方は寛容なようで、そうRicklentを宥める。気分屋な神でもあるので、神としての考え方の違いではなく、ただ念願のColaを飲んで上機嫌なだけかもしれない。
『……ただ、今回は既に自分で答えを見つけていたようなので、大目に見よう。しかし、答えを見つけているのに何故Oracleについて尋ねに来たのだ?』
『念のための確認と、そして『Goddessがsleeps地』の現状と誰が眠っているのか知っていれば、教えてもらいたいと思いまして』
VandalieuがGodsのDivine Realmをsouvenir持参で訪ねたのは、Oracleの答えではなく、その先を尋ねる為だった。
既にCuatro達を【Teleportation】のmarker兼下見の為に送り込んだが、前もって情報を得られるならその方が良い。
『なるほど。そう言う事ならば、教えよう』
『……見違えるほど晴れやかになったけれど、良いの? 神に聞いても?』
Vandalieuには同じ無表情に見えるが、Vidaによると劇的に機嫌が良くなったらしいRicklentは、三つの姿全てで質問に答えた。
『我が姉にしてImoutoたるVidaよ、我が問題視したのは『答えを直接神に訊ねる』姿勢だ。この場合は情報収集をする相手が神であるだけなので問題は感じない』
『ええ~、ずっと前からだけどあなたのそう言うところ、ちょっと分からない……』
『Vida、ただの好みの問題だから難しく考えると頭が幾つあっても足りないぞ。自分の好みと自分ruleに拘らない神なんていないんだし』
そうZuruwarnが困惑するVidaの肩をtailで軽く叩く。その間にRicklentは何処からか、一冊の本を取り出して見せた。
『我もDemon King Guduranis率いるDemon King Armyとの戦いの半ばで力尽き、眠りについたため当時の詳細は知らぬ。だが目覚めてから五万年程、そして特にここ最近はZuruwarnがanother worldを受け持っている分、このworldの事を見て来た。
PeriaがOracleで指しているのは、現在では本来の名を呼ぶものも無く、また訪ねる人も無き地、『Demon KingのContinent』だ』
『Demon KingのContinentと言うと……Zantark達が居るDemon continentとは別のContinentの事ですか?』
『『Demon KingのContinent』とは、Demon King Guduranisがこのworldに対して侵略を開始し、最初に制圧したContinentの事を指す。『Beast God』Ganpaplio、『Giant God』Zerno、『Dragon-Emperor God』Mardukeが滅ぼされた地であり、このworldで最もmiasmaに汚染された地であり、BellwoodによってGuduranisが倒された地でもある』
『Demon continentは、ただContinentとその周辺全てがDevil NestsになっただけのContinentの事ね。Demon Kingとの戦争では激戦の舞台になって汚染が進み、Demon Kingが倒れた後Devil Nestsの広がりを抑える余裕が私にもAldaにも無かったから、広がりきってしまったのよ。その後、Zantark達がAlda達に対して籠城するのに役立ったから災い転じて、という感じだけれど』
RicklentとVidaがそう解説する。Mythやlegendにおいて、『Demon KingのContinent』の事は殆ど語られていない。Demon Kingとの戦いが熾烈であり、また汚染が凄まじかったためContinent本来の生態系も姿も失われてしまったためだ。
Champion Bellwoodですら、Demon KingのContinentの浄化を行うのは不可能だと判断したのか、Demon King Fragmentを回収した後は彼のlegendに登場してもいない。
AldaだけではなくChurch of Vidaでも禁断の地として伝え、Mage guildの資料にもaccurateな位置を含めた情報が何一つ残っていない。
そのため、現在のHumanの多くが存在を忘れ去ったか、Demon continentと混同しているContinentである。
『そこに、我等が姉にしてImoutoたる『Mother God of the Earth and Craftsmanship』Botinがsealedされている』
『Botinですか。やはり、Periaではなく?』
眠っているGoddessは、Julianaにblessingsを与えOracleを下したPeriaではなく、Botinであると告げられても、Vandalieuは驚かなかった。
Oracleに、『我がsleeps』ではなく『Goddessがsleeps』とあったので、もしかしたらPeria以外のGoddessかもしれないと予想していた。それを今まで口にしなかったのは、単にJulianaがOracleを受け取る際にOracleの解釈を誤解したか、Periaが伝えきれなかったため一人称が変化した可能性があったためである。
『そうだ。Periaが眠っている地には、先日我が訪ねた。Fitunと同程度の若さのGodsを中心とした護衛団がAldaから派遣されていた』
『それは、見張りの間違いでは?』
『当人達は護衛のつもりなのだろう』
『なるほど。では、Botinの周りにも護衛がいるのですか?』
『以前調べた時はAlda's Factionの軍神が集まっていた。Oracleにある、『chin』にも。だが『Demon KingのContinent』には他にもいくつかsealedされている神や、GanpaplioやMarduke、Zernoの遺物、Demon King Armyの邪悪な神や強力なmonstersが存在していると考えられるので、他の場所にもGodsやその使いが配置されていた。
それに、Aldaは既に我とZuruwarnがVidaに与していると知っている。我にBotinのsealedの場所を知られぬよう策を巡らせているだろう』
『後、私が眠っている間に何処かから移り住んだ私のchild達が地下に住んでいるから、彼女達を探している……って可能性は低いわね。maybe存在に気がついてもいないでしょうし』
どうやら、十万年前はいなかったVida's New Racesが『Demon KingのContinent』の地下で暮らしているらしい。Bellwoodすら匙を投げ、Human達が存在を忘れさったContinentにすら棲みつくとは、流石Vida's New Racesである。
『sealedを直接守っている神は、『Rock Giant』Gohn、『God of soldiers』Zares等が居たが……今もそうかは不明だ。今の我では迂闊に近づく事は出来ない故に。
ここに、情報を記しておいた。【Perfect Recording】を獲得した今の汝なら、Divine Realmから戻ってもMemoryにとどめる事が出来るだろう。……ただ、あまり過信しない事だ』
『神は神の視点で物を見る。上から下を見る分には何もないように見えても、海や地面の上を進むと上からは見えなかった穴があるなんてザラだから』
『ありがとうございます』
Ricklentが差出した本をありがたく受け取り、そのままのみ込むようにして体内に収納する。
そしてVandalieuは一礼してDivine Realmから退去しようとしたが、それまで機会を待っていたらしいFidirg達に引き止められてしまった。
『待ってほしい! 我等にも話がある!』
『Vandalieuよ、汝に我等が力を貸し与え――』
『頼みを聞いてくれっス!』
『Fidirg、ぶっちゃけ過ぎ』
『ええっと、何でしょうか?』
困惑した-sama子でVandalieuが立ち止まると、Zozoganteがcountlessの瞳を輝かせながら言った。
『端的に言うと、Gyubarzoの杖が羨ましい』
『え、欲しいのですか?』
『いや、杖が欲しいのではなく、杖になりたいと言う意味で羨ましい』
『……そっちですか』
樹のEvil God (M)に杖になりたいと言われて、Vandalieuは若干困惑した。GyubarzoはVandalieuに滅ぼされた『Evil God of dark seas』で、杖は彼のboneの一部を加工して作った物だ。
その経緯を考えると、杖その物を欲しがるならともかく、杖を羨む理由が分からない。
『FidirgとLioen、皆もですか?』
Vandalieuが訪ねると、二柱とも『うっス』『うむ』と頷いた。
『……そんなbody partを張らなくてもいいのでは?』
Zozoganteは樹の神なので、丈夫な枝を一本貰えば良い。しかし、他の神はboneを使わなければならないので痛そうだ。
『ZozoganteもFidirgも、まず要点を説明なさい』
Merrebeveilは太いtentacleによるface slapでZozoganteとFidirgを窘めながら、Vandalieuに説明を始めた。
『要は、Artifactを作ってもらいたいと言うお願いです。
本来Artifactは我々神自らの手で鍛え、Spirit CloneやFamiliar Spiritを宿らせ完成させてから、believerの手に与えます。ですが、貴方ならTransformation Equipmentを作る要領でArtifactに相応しい入れ物を作る事が可能です。そこに我々がSpirit Cloneを宿らせれば、それだけで完成します』
『なるほど。入れ物になる武具を俺が作れば、その分皆の負担が減ると』
『ぶっちゃけると、そうです。神にも得意不得意はあるので……Great Godともなると、ある程度何でも器用にこなせるそうですが』
神になったBellwoodは、自らの名を冠したHoly Sword Nemesis Bell等のArtifactを数多く残しているし、『God of Law and Life』AldaもHeroにArtifactを授けた逸話が幾つもある。『Goddess of Life and Love』Vidaも、Artifactと言う訳ではないがResurrection DeviceやOrichalcum製のDragon Golemを残している。
だがFidirgやZozogante、Lioenのように力のweak神がArtifactを作るのはそれだけで一苦労なのだ。
それに、作れるArtifactも神としての権能や特性のimpactを受ける。例えば、Zozoganteなら、木製で生命attributeの力を増幅し特に植物を操る機能を付与した杖のArtifactなら、比較的短時間で良い物を創る事が出来る。
だが、金属製でLight Attributeの力を増幅する機能を付与した斧のArtifactを創ろうとすれば、杖を創る場合の倍以上の時間と労力を費やしても、上Class adventurerの収入ならもっと良い物が買えると判断される程度の、Artifactとは名ばかりの物しか出来ない。
だが、VandalieuがSpirit Cloneの入れ物に当たる武具を製作すれば、GodsはSpirit Cloneを負担するだけでArtifactを創る事が出来るのだ。
『しかし、そこまでして何故Artifactを創りたいのですか? 俺は助かりますが、Spirit Cloneはcertainlyですが、Familiar Spiritを創るのも簡単ではないでしょうに』
VandalieuのSpirit Clone、若しくはCloneであるBandaを創った結果、彼のManaの総量は一億程減っている。かかったcostはそれだけだが、それは彼の魂が特異、若しくは異常な形状をしているからで、他の神が同じ事をしようとすればMana以外にもBodyの一部を抉り取ったようなDamageも受けるはずだ。
そこまでして何故Artifactを、Gyubarzoが羨ましいと言うだけで創ろうとするものなのか? そう疑問に思うVandalieuに、Merrebeveilは答えた。
『貴方がGyubarzoの杖を使う事で、人々の関心がGyubarzoに集まっているのをこの前のparadeで感じまして。信仰的に、美味しいと思いました』
どうやら、Vandalieuが思っているより『羨ましい』と言う動機は強かったらしい。
『これがVida -sama達なら……Gufadgarnでも納得できるのですが、Demon King Army Remnantsで我と我が子等の宿敵で、しかも既に滅ぼされrevivalする芽も無いGyubarzoでは、もったいないと言う思いを抑えがたいのです』
Merfolkの片親であり、Merfolk nationのPatron Godでもある『God of the Seas』Tristanがそう言うと、他のGodsも一斉にnod。
『certainly、Vandalieu -dono達の力になりたい気持ちもあります。と言うか、Vandalieu -donoがAlda達のHeroに勝つ事は、我々Vida's FactionのGodsの勝利にとっても重要なので。
そう言う訳で、Artifactを創って頂きたいなと』
『今すぐとは言わぬ。全てのArtifactを自ら使う必要もない。時間のある時に、仲間の装備品としても創って頂ければ幸い』
Godsはそう述べてVandalieuの返事を待つように、じっと彼を見つめる。それに対して、Vandalieuは応えた。
『どんな武具にしても、誰が使っても、Transformation EquipmentにしてMagical Girlのcostumeにしても構わないと言うのなら、Artifactの器づくりを引き受けましょう』
最後のMagical Girlのcostumeと言う部分に対しては予想していなかったのか、Lioenが呻き声を漏らし、傍で聞いていたZuruwarnが面白そうだと笑い出すが、誰も否と言わなかったのでその条件で引き受ける事にした。
VandalieuがDivine Realmを訪れている為瞑想していたTalosheimの聖域。『Giant of the Sun』Talosが眠っていた、常に温かな太陽の光に満ちている場所で瞼を開くと、周囲は闇に満ちていた。そして柔らかかったりモフモフだったり冷たかったり、所によっては硬く、ぷるぷる。そして良い匂いがした。
「く~」
「ぢゅ~」
『くおおおおん』
「キシャァ」
「ブグルルル?」
『主よ、お戻りですか』
どうやら、Vandalieuが瞑想している間にDarciaやMaroll達やQuinn、KnochenにPeteやKühl達が集まり、彼を中心に団子状に丸まっているらしい。
頭蓋boneだけ外してVandalieuの近くに置いて待機していたBone Manによると、最初にDarciaが横に座り、次にMaroll達が寄り添い、身長三meterのQuinnが彼女達ごとVandalieuを抱え込み、更にboneの集合体UndeadであるKnochenやGiantな大CentipedeのmonstersであるPete、そしてSlimeのKühlが集まって来て、そのままDarcia達は眠ってしまったようだ。
「よく潰れませんね、俺達」
外からはcountlessのboneの山で丸くなってsleeps大Centipedeにしか見えないconditionらしい。
『Knochenは【Architecture】skillを持っていますので。それに、Kühlのbody partが緩衝剤になっているようです』
「そこまでしなくても……いや、皆にはこの頃寂しい思いをさせてしまいましたからね」
Human社会では災害指定種のKnochenはcertainly、未知のmonstersであるQuinnやKühlはおおっぴらに外に出られない。その分Vandalieuと一緒に居る時間が減っていた。TalosheimにDemon King Familiarは幾らでも居るが、彼女達の感覚だとやはりVandalieu本人の方が良いのだろう。
『ヂュ、外側ではEisenが花の香りを送り、Fangが控え、背後にGufadgarnが控えています』
……団子の外にも居るらしい。
『それと先程Kanakoが来て、文字通り自分が入り込む隙が無いと知るとclicking tongueと『次は負けませんからね!』と捨て台詞を残して去って行きました』
「……そうですか」
『後、ご友人のMash達もbooingをしながら戻って行きました。今頃はPauvina達とLuvezfolで遊んでいる事でしょう。
それで主よ、早速ご報告したい事があるのです。私、つい昨日Rank upし、race名がEmperorから変わったのです!』
「おお、それは良かったですね」
Bone Manは自分がSkeleton Blade Emperorである事を、Vandalieuに対して不遜だと常々不満そうにしていた。Vandalieu本人は全く気にしていなかったし、それを伝えていたのだが……本人が気にしている以上どうしようもない。
それが変わったのなら、間違いなく朗報である。
『これより私は、Rank13、Skeleton Blade Kaizerです。ヂュオォォオオオ!』
雄々しく自らの新たなrace名を名乗るBone Man。……EmperorもKaizerも、確か同じような意味ではなかったろうか?
「それは良かったですね」
しかし、VandalieuはBone Manが嬉しそうだったので、突っ込まないことにした。originally Bone Man本人しか気にしていなかった問題なので、本人が解決したと思うならそれで解決なのだ。
実際、VandalieuはEmperorだろうとKaizerだろうと気にしない。ただ仲間が強くなった事を祝うだけである。
『ヂュ、今前方からTalos -donoが困った顔つきで覗き込んでいます』
「このままだと、帰って行くお客-sanが増え続けますね。……って、Talos?」
『Vandalieu Zakkartよ、我が子等の大恩人よ。今、儂は姿の見えないお主の心に直接呼びかけるような力は無いので、寝息を立てている者達を起こさないよう出来るだけ気を付けながら声をかけておる』
やや控えめだが十分大きい声が外から響いてくる。どうやら、TalosはDarcia達を起こさないように気を使っているらしい。
「ギシャ?」
「ちゅうぅん?」
だがgiantの声なので抑えても十分大きく、PeteやMaroll達が目を瞬かせながら起き出した。
「ん~」
Darciaに起きる-sama子は無かったが。
「はい、聞こえています。それで、何かご用でしょうか?」
『うむ。Divine Realmから戻ってきたばかりで、更にfamilyのskinshipの時間を邪魔して悪いのだが、提案があるのだ。
中々伝える踏ん切りがつかなかったのだが……この国の国名を、TalosheimからVandalieu大Empireとか、大Vandalieu Magic Empireとかに変えちゃ、その、ダメかなって……?』
徐々に声から力が失われていくTalosに向かって、Vandalieuは両手を合わせて言った。
「……頼むから、勘弁してください」