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Chapter 2: hard mode開始とInsanityの引継ぎ

 次の日の朝に成ってVandalieuが目を覚ましても、Darciaの姿は無かった。


『おかしい……嫌な予感しかしない。迎えに行った方が良いか』


 普通なら生後半年の乳幼児が一人で外出するなんて無謀な考えだが、どっち道このままDarciaが帰らなければ今日中にVandalieuは外に出なければならなくなる。

 まだ生け捕りにしてある野兎は一featherいるが、これも今日一日で生きbloodを飲みきってしまうだろう。その後は自力で離乳食を作らなければならないが、生後半年のstomach腸は母乳とblood以外の物を大量に受け入れるのは難しい。


『赤ん坊は、見た目よりも食べる。一日に六回から五回は食事が必要だ。特に俺の場合は、magicの練習やEndurance作りと、energyの消費が激しいからな』


 なので、Vandalieuには通常の赤ん坊よりも大量の食糧が必要だ。このまま赤ん坊らしく座して待てば、数日中に餓死する可能性がある。

 HumanではなくDhampirだから、accurateな時間は分からないが。


『じゃあ、準備を始めるか』


 ただ、Darciaを迎えに行くと言っても走るどころか歩く事もまま成らないbody partなので、色々と準備が必要だ。まず、移動のための足を確保しなければならない。


『まずは……起きろ』


 Vandalieuがそう念じると、彼本人がbloodを吸い尽くして殺した野兎がピクリと震え、何と動き出した。

 息を吹き返したのではない。周囲に漂っていた雑多な霊を野兎の死体にmagicで憑りつかせ、Undead Transformationさせたのだ。

 Death-Attribute MagicUndead作成術である。


『成功したか。まだskill levelが2だから出来るかどうか不安だったけど、Manaを多めに使えば何とかなるな。

 でもlevelが低いからなのか、作れるのはただ動けるだけの死体だけど足には成る』


 生前の俊敏さ等の特徴も無く、ただただ動くだけ。Originではこれで軍事施設からの脱走も企てたが、厳重な警備に断念するしかなかった程度の、こんなminionsしか作れない。

 しかも、野兎一featherUndeadにするのにSterilizationBug Killerとは比べ物に成らない量のManaを消費した。Statusを確認すると、Manaが一万も減っていた。

 Sterilization一回で使うManaが一なのに対して、あまりにも多すぎる。


『でも兎一featherじゃ足りないな。

 もっと起きろ。お前も、お前も、後お前も起きろ。お前もだ、さっさと起きろ』


 Darciaがロープ代わりに使っていた蔦が、蛇のように這いずる。

 Cookingに使っていた小さなknifeが、ふわりと宙に浮く。

 ガタガタと木で組まれた粗末なベッドが音を立てて震える。

 霊を憑りつかせられるのは、何も死体ばかりではない。蔦や木材、金属等の無機物だって可能だ。EarthfantasyOccult作品で見た、悪霊が憑りつき持ち主が居なくても独りでに動くWeapon Equipmentや、呪われた宝石や壺、ポルターガイスト現象で動く具等が、その発想を産んだ。

 尤も、無機物に霊を憑りつかせるのは死体に霊を憑りつかせるよりも何倍もManaを消費するのだが。


『今ので百万近く使ったな。頭が少し痛い……補給してから行こう』


 残っていた最後の野兎のbloodを吸いつくしてManaを回復し、それもUndeadにしてからVandalieuはベッドに乗ってを出た。





『起きろ、起きろ、起きろ起きろ起きろっ! はどっちだ? 人が多い場所は何処だ?』


 boneだけの鹿、furを張りつかせた熊のミイラ、頭と内臓の無い猪、何故か白bone化していた人の死体。それらが、Vandalieuが乗るベッドを運んで進んでいた。

 その光景を見た者がいたら、adventurerSoldierでない限りhorrorに震え上がった事だろう。

 Undead達を率いる、銀髪で真紅と紫紺のオッドアイの赤ん坊。恐ろしい光景だろう。

 しかし、その実態はそれほど脅威ではない。

 動物のLiving-Deadに、Living Bone。そしてUndead Transformationした道具や具類のCursed Tool……全て一匹ならFarmerが鍬を振り回すだけで撃退できるし、adventurerなら雑魚の集団と評するだろう。

 それが分かっているから、Vandalieuは先を急ぎながらUndeadの数を増やすのを止めなかった。


『森にkaa-sanが居ない』


 Undead Transformationしたfeatherを持つ虫に森を探させたが、Darciaの姿は無かった。森の中で彷徨う霊から聞き出したが、求めていた答えは得られない。

 頭が湯立つ-samaに熱く、眩暈が治らない。Manaをもう何百万使ったか分からない。でも嫌な予感が止まらない。


『もっと早くUndead作成を試すべきだった! そして作ったUndeadkaa-sanに付けるべきだった!』


 そうすれば、何処にいるのか分かった。何かあったら素早く察知する事が出来た。

 いや、そもそもこんな事が出来るとDarciaが知っていたら、もっと早く森を出て生まれ故郷に向けて旅に出られたかもしれない。

 なのに、試さなかった。skill levelが次に上がった時にしようと、安穏と過ごしていた。Darcia kaa-sanに甘えてしまった。


『早く、にっ!』


 残りMana、五千万少々。Vandalieuが率いるUndeadの群が森から最も近いEvbejiaに辿り着いたのはnightになってからだった。


 Evbejiaは村と村の間にできた小規模なで、人口二千人程。Bestero Baronetの領都である。

 その周囲はmonsters避けの外壁に囲まれ、東西南北の門からしか中には入れない。空でも飛べない限り。


『お前達は森で待機。Bone Monkeyは俺を背負え』


 森で見つけた大きな猿のboneから作ったUndead、命名Bone Monkeyの背中に掴まってこっそりと外壁へと近づく。

 たった二千人しかいない小さなで、強力なmonstersや敵対国の脅威に晒されている訳ではないので、警備体制はVandalieuから見ればザルだ。Originの軍事施設の警備担当者が見たら、憐れみすら覚えるかもしれない。

 しかし、流石にnightになれば門は全て閉じられるし見張りも立つ。

 そんな中にHuman並みの大きさのSkeleton Monkeyが近づいたら大騒ぎだ。だから、Vandalieuは門を無視して壁に向かう。

 そして、壁の石材にManaと適当な霊を押し込める。


『俺達が通れるぐらいの、穴を空けろ』


 Death-Attribute MagicによってUndead wallと化した外壁の一部が、masterの命に逆らう訳がない。ゴゴゴガガガと小さな音を立てて形を変形させ、抜け穴を拵える。

 残りMana、四千九百万。


Death-Attribute Magicskilllevel upしました】


 そんな脳内アナウンスが聞こえた気がするが、眩暈が酷い。頭痛も、まるでHammerでコメカミを絶え間なく殴られているようだ。

Bone Monkey、人気の無い路地を進め』

 かしゃりかしゃりとboneが擦れる音を立てて、Bone Monkeyが進む。その歩みはぎこちなく、背中にしがみつくVandalieuへの配慮は皆無だったが問題無い。自力で歩く事は出来ないものの、Vandalieuの腕力は既に平均的な成人maleを上回っている。Bone Monkeyの肋boneを両手で掴んでいれば、十キロも無いbody partを支える事は容易い。

 そして、殆ど明かりの無い暗いを、見回す。その視界はDark Visionのお蔭で、真昼のようにはっきりとしていた。


kaa-sanを探せ』


 虫Undeadを放して情報収集する傍ら、の中に漂う霊の内知能が残っている者から話を聞く。

 Undeadになっている訳でもない普通の一般人の霊は、余程のMental力が無ければ死後急速に劣化する。だからあまりあてに成らないと、思っていた。


『……Open Plazaに居るよ』


 だから、その答えを聞いた時は驚きでheartが止まりそうになった。


Open Plazaにっ!』


 Bone Monkeyが、がしゃりがしゃりと音を立てて疾駆する。

 そして見えて来たOpen Plazaに、Darciaの姿があった。

 あってしまった。


Vandalieu……ごめんね……』


 今にも消えそうな、霊に成って。





kaa-sanっ!』


『ごめんね、おkaa-san死んじゃった。でも、Vandalieuの事、喋らなかったよ』


『何が、あったの……?』


 鞭の痕が幾つもあるDarciaの霊は、Vandalieuが求めるままに何があったかを話した。

 Vandalieuを連れてDhampirでも殺されない安全圏であるDark Elfの里に逃げるため、旅に必要な情報をこのEvbejiaで手に入れるつもりだった。


『だって、Vandalieuはお父-sanと同じ真紅の瞳と、おkaa-sanと同じ紫紺の瞳をしているのだもの。顔を見られただけで、Dhampirだって気づかれちゃうもの』


 だから、街道は使えない。monstersの出ない比較的安全なルートを探す必要があった。

 しかし、誰かに密告されたようだ。Darcianameと人相書きがAlda神の教会関係者に渡っていて、それと時折に来るDark Elfの女adventurerがそっくりだと。

 何も知らずにに入ったDarciaは、待ち伏せていたBestero BaronetKnightと教会の僧兵、雇われたadventurer達に囲まれ、抵抗するも捕まってしまった。


『必死に戦ったんだけど、弓もSpirit Magicadventurerの人達の中に私より上手い人がいて、ダメだったんだ。

 その後、教会の人達が鞭で叩きながら言ったの、お前が産んだDhampirは何処だ、言えWitchめって』


 教会がDarciaに加えたTortureは、苛烈だった。鞭で叩き、指を叩き潰し、焼き鏝を押し付けた。

 その時の痛みが魂まで傷つけたのだろう、霊に成ったDarciaBodyに傷跡となって残っている。


『それでも黙ってたんだよ、偉いよね、頑張ったよね。

 でも、Tortureしても無駄だって思った教会の人達に今日の夕方、火炙りにされちゃった』


 Baronetと教会は自分達の手柄を喧伝するために、そしてVampireの誘惑に負けた女の末路を領民に知らしめるために、Darciaを生きたまま公開処刑にかけた。


『それで、生きたまま燃やされて死んじゃった。

 せめて幽霊になってVandalieuに会いに行きたかったんだけど、教会のGordan High Priestが、私の灰に聖水を撒いたんだ。お蔭で、会いに行くどころかここで消えないように頑張るのが精一杯に成っちゃった』


 Darciaの言葉を聞く度に、Vandalieuは自分のbody partが腐り落ちるような、視界が歪むようなdespairと無力感を覚えた。

 昨日の内に、探しに出れば間に合ったのに。もっと早くここに辿り着けば、間に合ったのに。


 母は、自分がのんびりと惰眠を貪っている間に綺麗なchocolate色の肌に鞭を受け、野兎の生きbloodを飲んで満腹になっていた時に焼き鏝を押し付けられていた。

 そして無-samaに森を彷徨っている間に、晒し者にされて生きたまま焼き殺されてしまった。

 Darciaが生きていた痕跡は、Open Plazaの石畳の上に残った灰と炭の小さなしかない。


《【Mental Corruptionskillを獲得しました!》


『もっと俺が早く成長していれば、もっとmagicの腕を磨いていれば、以前から情報を集めていれば……強くなっていればkaa-sanを殺されずに済んだのに!』


 狂おしいemotionsVandalieuMentalを駆け巡った。表情そのものは大きく変わらなかったが、sorrowに体は震え、悔しさと怒りのあまり涙が止めどなく流れた。


《【Mental Corruptionskilllevelが、2に上がりました!》


 その-sama子を、Darciaは悲しげに見つめていた。

 彼女も、本心ではVandalieuに自分が殺されるまでに受けた仕打ちを聞かせたくなかった。だが、黙っている事は出来なかった。

 何故なら彼女は消滅しかけているweak霊で、death attributemagicを使い莫大なManaの持ち主であるVandalieuの望みに逆らう事は出来なかったからだ。

 そして彼女が見ている前で、Vandalieuの下に虫Undead達が戻ってくる。虫達はEvbejia中からDarciaに関する情報を持ち帰っていた。


『お館-sama、今日の公開処刑は盛り上がりましたな』


『うむ。その上、Vampireではなく股を開いたDark Elfの方だけでも十分な手柄になる。陛下や教会の覚えも良くなり、私の昇爵も近づくという物だ』


Bestero Baronet -samaから、準の文字が取れる日も近いですな』


 上機嫌で晩餐を楽しみながらバラ色の未来に酔う領主と令。


《【Mental Corruptionskilllevelが、3に上がりました!》


『あのWitchめ、結局Dhampirの事を吐きませんでしたね』


『フンっ、母親気取りのつもりか。火あぶりにした時も、命乞いの一つもすれば良い物を。最後まで悔い改めようとしないとは、まさにWitchよ』


『今頃HELLの業火に焼かれているでしょう。それで、明日からはFive-colored blades達とDhampir狩りですか』


『赤子等放っておけばいいのでは? 乳呑児が母親から離れてもう三日目。今頃死んでいますよ』


『侮るなっ! 赤子と言ってもVampireとの混blood児だ、どんなAbilityを受け継いだか分からん! 奴の父親がSubordinate-bornならin any caseNoble-born……もしPure-bornだったらどうするつもりだ!』


『も、申し訳ありません、Gordan High Priest


『だが、Five-colored bladesを長々と雇う予算は無いし、これ以上手柄を上げられるのも拙い。それに奴らもこれ以上付き合うつもりはないだろう。所詮はadventurer、我々God of Law and Life Alda -samaの使徒とは違う。

 狩りはEvbejiaHunter達を道案内にして、Baronet -donoKnight達と共に行う』


『分かりました』


 教会では、DarciaWitch呼ばわりしたHigh Priesttemple Knight達が彼女を忌々しげに罵り、自分を見つけて殺すための相談をしていた。


《【Mental Corruptionskilllevelが、4に上がりました!》


『今日の仕事は楽だったな。あのDark Elf、弓やSpirit Magicの腕はそこそこだったが、精々DClass程度だったし、俺達の敵じゃなかったぜ。

 なぁ、Heinz


『どうしたの、Heinz? -sama子がおかしいけど』


『……いや、なんでもない。ただどうにも後味が悪くてな』


『あのDark Elfに同情してるのか? 俺達Five-colored bladesleaderにして、secondary name持ちのBClass adventurerが甘い事言うなよ』


Vampireの誘惑に負けたのか、Unaging不死に成りたかったのか知らないけれど、あのDark Elfの自業自得よ。気にする事ないわ。

 それに、この依頼を受けようって言ったのはあなたよ。Blue-flame SwordHeinz -san?』


『それはそうだがな、Earlからのintroduction状を見せられたんだ。仕方ないだろう』


『まあ、稼いだ金で酒を飲んで、飯を食おうぜ。倒したmonstersの肉を食うのと一緒さ、こうするのが供養って奴さ』


 Darciaを捕まえるために雇われたadventurer group、『Five-colored blades』は、彼女を捕まえて手に入れた金でご馳走を貪り、それを供養だと言った。


《【Mental Corruptionskilllevelが、5に上がりました!》


『カンパーイ! Baronet -samaHigh Priest -samaに乾杯!』


『はっはっは、Orbieの根暗にも乾杯!』


『おい、誰が根暗だっ!』


『お前だよ、お前っ。に来る美人Dark Elfに一目惚れして、振られた腹いせに襲おうと後を付けるようなHunter仲間がいて、俺は誇らしいぜ』


『なんだよ、そのお蔭であの女が手配書にあったWitchだって分かったんだろっ!』


『でも、勿体なかったよな。あんな美人を火あぶりだなんてよぉ。それで、明日はDhampir狩りで小遣い稼ぎか。どうせ主役はKnight -sama達だろうけど、道案内で小銭ぐらいは貰えるだろうしよ』


『何言ってんだ、俺達でDhampirを捕まえるんだよ。そうすれば小銭どころか、大金が手に入るぜ』


『お前、まさかあのDark Elfの隠れが何処にあるか、言ってないのか!?』


『でかしたぜ、Orbieっ! Dhampirを捕まえれば、教会にMage guildSlave商人に、好きな所に売れるぜ!』


 Darciaを密告したHunterたちが、下卑た笑い声を上げながら今度は自分を捕まえて売る算段をしている。


《【Mental Corruptionskilllevelが、6に上がりました!》


『良い子にしないと、Witchみたいに火あぶりにされてしまうよ』


Dhampirの方は見つかっていないのか。不安だな、早く退治されればいいのに』


Vampireが報復に来る事は無いだろうな?』


Vampireが出るwineなんて噂が流れたら大迷惑だ。さっさと終わって欲しいね』


 そして人々……ごく普通に日常的な生活を過ごす人々の言葉。その中に、Darciaに同情するものは無い。


《【Mental Corruptionskilllevelが、7に上がりました!》


 何という事だろう。

 Vandalieuは、worldが自分を中心に回っているとか世の中が善意に溢れているなんて思った事は、三度の人生で一度も無い。

 しかしここまで非情とは、ここまで悪辣とは、思ってもみなかった。

 EarthOrigin、そしてLambda

 三度も人生を生きているのに、何故一回も幸福に成れないのか。ただひたすら奪い、苛み、耐える事を強いるのか。


 どの人生でも、悪い事は何もしていないのに掛け替えの無い存在が失われ、その代わりに得る物は何も無い。

 本当に存在した神でさえ、救おうともしない。


『ごめんね、Vandalieu……』


 そして、Vandalieuの目の前からもう一度Darciaが失われようとしていた。


『もう、おkaa-san限界みたい』


 ただでさえ薄いDarciaの姿が、揺らめき、声も不鮮明になって行く。彼女のSpirit Formが現世に留まる限界に近づいているのだ。


『待ってっ! kaa-san、逝っちゃダメだっ!』


 このままでは死後のworld、あのReincarnationRodcorteの下にDarciaが行ってしまう。LambdaでもVandalieuが母親を喪ったと知れば、奴は笑うだろう。もっとdespairしろと、さっさと諦めろと、嘲るだろう。Darciaの魂の前で。それだけは嫌だった、とても容認できない、耐えられない。


『ごめんね、こんな風にもっと沢お話ししたかった。Vandalieuが大きくなって、大人になった姿を見たかった。お嫁-sanを貰って、childが生まれて、沢幸せに成った姿を見たかったよ』


《【Mental Corruptionskilllevelが、8に――9――成長限界に達しました!》


『解ったよ、kaa-san


 残りのMana、四千五百万。それをVandalieuDarciaSpirit Formに注ぎ込んだ。

『えっ、あっ、あ、ああっ? ヴぁ、んだ、あああああっ!』

 Undeadを作る時の要領で、Darciaの今にも消えそうな儚いSpirit FormManaを注ぎ込む。穴の空いたバケツに水を流し込むような物だったが、幾ら穴が空いていても水が莫大なら効果はある。


『後は、kaa-sanの魂がPossessionする憑代があれば……』


 適当な石や道具、boneではいけない。それではDarciaの人格を長い時間保つ事が難しくなる。

 本来なら本人の遺体が最も好ましいが、灰にされてしまった。


『何かないか』


 Bone Monkeyに灰のを探させると、焼け焦げたboneが見つかった。それは、Vandalieuの小さな手の中にも収まってしまう-samaな、小さなfragmentだった。


『これでいい。kaa-san、この中に』


 膨大なManaを流し込まれているDarciaは、そう望む息子の言葉に逆らおうとした。

 何故なら、それがこの子の為だから。

 悲しいけれど、自分はもう死んでしまった。Undeadに成っても、生きていた時とは違う。そんな自分が傍にいるのは、息子の為に成らない。寧ろ、悪impactを与えてしまう。

 だから、本当はもっと傍に居たいけれど、涙を堪えて離れようとしたが――。


《【Death-Attribute Charmskillを獲得しました!》


 傍に居たい傍に居たい傍に居たい、ずっと一緒に居たい! この子の近くから離れたくないっ!


『解ったわ、kaa-sanはずっと一緒だよ』


 思考が一色に塗りつぶされ、Darciaは嬉々として自分のremainsの中に宿った。


『これで、kaa-sanSpirit Formだけだけど取り戻した。いつか、新しいbody partを作ってあげるからね』


 Spirit Formを維持するManaと憑代が揃ったが、所詮はbonefragmentだ。今のDarciaは自力で動く事も難しい、Vandalieuが声をかけるまで眠り続ける事しか出来ないconditionだ。

 だから、もっとDeath-Attribute Magicの腕を磨いてDarciaが生前と同じように生活できる器を用意する。きっと。


『でも、その前にこいつ等に復讐しないと』


 Baronetとその臣たちに、教会の連中に、adventurerに、Hunterたちに、人々全てに、復讐を。

 しなければ気が済まない、このまま奴らが何の罰も受けないなんて筋が通らない、あまりにも不条理だ。


『でも、今は……限界だ』


 残りManaが、もう一割も無い。頭が痛い、喉が渇いた、空腹だ、眠い……生後半年のbody partで、無茶をし過ぎた。


『ごめんよ、kaa-san。復讐は、後で……Bone Monkey、来た道を戻れ』


 Bone MonkeyVandalieuを抱え上げると、そのままカシャリカシャリと音を立ててEvbejiaを出た。穴の空いた外壁はVandalieu達が通ると元通りに成り、待機していたUndeadの集団も大人しくBone Monkeyの後に続いた。

 人々はまだ知らない、恨みを買ってはならない相手から、高値で大量の恨みを買ってしまった事を。



《【-Surpass Limits-skillを獲得しました!》

《【Rapid Healingskilllevelが、2に上がりました! 【-Surpass Limits-skilllevelが、2に上がりました! 【Abnormal Condition Resistanceskilllevelが、2に上がりました!》



Name: Vandalieu

Race: Dhampir(Dark Elf)

Age: 半年

Title: none

Job: none

Level:

Job History: none

Ability Values

Vitality: 18

Mana: 100,000,600

Strength: 27

Agility :2

Endurance :33

Intelligence :25


Passive skills

Mysterious Strength:1Lv

Rapid Healing:2Lv(UP!)

Death-Attribute Magic:2Lv(UP!)

Abnormal Condition Resistance:2Lv(UP!)

Magic Resistance:1Lv

Dark Vision

Mental Corruption:10Lv(NEW!)

Death-Attribute Charm:1Lv(NEW!)


Active skills

Bloodsucking:1Lv

-Surpass Limits-:2Lv(NEW!)


Curse

 Experience gained in previous life not carried over

 Cannot learn existing jobs

 Unable to gain experience independently


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