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Chapter 1: 三度目の始まり 四度目はいらない

Amamiya Hirotoは、『Lambda』にreincarnationしました!》

Amamiya Hirotoは、ReincarnationRodcorteによって呪われてしまった!》


 そんな脳内アナウンスが聞こえた気がするが、良く覚えていない。そして、起きているとも眠っているとも言えない微睡みの中、徐々に意識が形を成してきた。


『ここは何処だ? 俺は今どういうconditionなんだ? 生きてはいる-samaな気がするけど』


 しかし、自分のconditionについては良く分からなかった。

 目を開けても視界に入るのは闇ばかりで、手足は夢の中のように頼りなくてろくに動かない。

 body part全体が温かい液体に浸かっていて、呼吸が出来ない。なのに、全く苦しさを覚えない。まるで魚にでもなったかのようだ。


『まさかとは思うけど、Human以外の生き物に生まれ変わったなんて事ないよな?』


 ありうる話だ、なんたって呪われているのだから。Humanなら何とかなるが、もし動物や魚だったら何をどうすれば良いやらさっぱりだ。

 しかし、その予感は幸いな事に外れてくれたようだ。


『――♪』


 声が聞こえる。鳴き声でも怒鳴り声でも無い、穏やかな歌声が。

 妙な具合にくぐもっていて、歌詞をaccurateに聞き取る事は出来ない。しかし、込められたemotionsは察する事が出来た。

 愛情。


『そうか、ここはuterusの中。俺は、今胎児なのか』


 どうやら、神のCursereincarnation先にまでimpactはしなかったようだ。

 reincarnationする前に流し込まれたRodcorteの事情に含まれていた、Lambda worldの断片的な知識によると剣と魔法のworldらしいので、ElfDwarfと言った他raceかもしれないが、知的生物ならno problemだ。


『でも、気のせいか歌声がJapan語っぽいような……?』


 そして、再び意識が途切れた。




 次に意識が戻った時は、もう産まれた後だった。


Vandalieuは何時も大人しいわね。助かるけど、たまには泣いても良いのよ?」


 そう話しかけながら自分を抱くfemaleを、静かに見上げていた。


『……Vandalieuっていうのが、俺の新しいnameか。Originで付けられた認識番号よりもずっと良い。

 そしてこの人が俺の三番目の実の母親か。この点でも、Originよりずっと良いな』


 Originでは気が付いたら売られていたので、文句の無い出だしである。神's Divine ProtectionどころかCurseしかない事を考えれば、奇跡だと言っていいだろう。


『さて、俺はどういう境遇に生まれついたのだろう? とりあえず、母親はDark Elfのようだけど』


 Vandalieuの目に映る母親の姿は、金色の髪に褐色の肌をした二十代前半ほどのfemaleだった。この人が母親なら将来自分のルックスにも期待が持てると思う程、顔立ちの整った美女だ。

 ただ、耳の先端がピンと尖っていた。肌の黒いDark Elfというraceだろう事は、このworldreincarnationしたばかりのVandalieuでも察しが付いた。

 まあ、ただ日焼けしただけのElfという可能性も捨てきれないが。


『まあ、それならが洞窟なのも納得できる、のか?』


 そう、二人が居るのは洞窟のようなでは無く、明らかに洞窟の中だった。

 扉を付け、furを敷物代わりに敷く等多少の工夫はされているが、あまり文明的では無い。ただ、Earthで目にしたfantasy物で出てくるElfは、自然と一体に成った生活をしていたのでこれが普通なのかもしれない。


『まあ、それよりも問題なのは俺のbody partだな』


 自分の小さく脆いbody partを包む、温かな母の腕。その艶やかでchocolateを思わせる肌を見た後、自分の丸まっちく、頼りない手を見る。

 その手は、まるでシルクのように白かった。


『何故色が違う? 耳は、尖っているようだけど』


 母親はDark Elfなのに、自分の肌が白い。自分はDark Elfでは無いのだろうか? Dark Elfの生態は知らないが、生まれた時は肌が白く、大人になるにつれてDark Elfらしく黒くなるのだろうか?

 それとも、この母はbloodのつながった母では無いのか?


「ん? おkaa-sanと肌の色が違うのが不思議なの? Vandalieuは賢いね、もう気が付くなんて。

 でも安心して。Vandalieuはお父-sanに似ているだけで、Darcia kaa-sanの子だからね」


 優しく微笑む母、Darciaの言葉でVandalieuの疑問は解消した。自分はraceが異なる両親の間に生まれた混blood児なのだと。

 Darciaが嘘をついている可能性もあるが、疑う気に成らなかった。

 そんな事に時間とMental力を使うより、今はこの無償の愛情を疑わずに受けて、安らいでいたかった。


『それに……眠……い』


 そして、VandalieuDarciaに寝かしつけられたのだった。




 生後三か月の息子、Vandalieuは初めての育児を経験するDarciaにとって手間のかからない良い子だった。


「あ~」


 お腹が空いたらそう声を上げながら自分のお腹をポンポンと叩いたり、Darciaの胸を手で指したりして訴え、おむつの時は同じように声を上げながら腰を叩いてみせる。


「はーい、おkaa-sanのおっぱいだよ~、Vandalieuは本当にお利口だね~」


 乳房を露わにしてVandalieuを抱き上げ、母乳をやりながらDarciaは「本当に賢い子ね」と思っていた。

 certainly、これが普通でない事は分っている。幾らなんでも賢すぎると。

 しかし、彼女は自分の息子を気味悪がったりはしなかった。


『やっぱり、お父-san似……あの人に似たからかしら』


 生後三か月の赤子に不自然な賢さも、父親のblood故かと思ったからだ。

 それに、最近妙なManaVandalieuから感じる事が多い事も、彼女がよりそう思う材料に成った。父親のraceDarciaDark Elfよりも、race単位でmagicに長けていたから。


『それより気になるのは、泣いたり笑ったりしない事だけど……お父-sanが居ないから不安なのかしら?』


 Darciaが気に成ったのは、Vandalieuが赤ん坊らしく泣いたり、笑ったりしない事だった。

 彼女の愛息はお腹が空いた時も擽った時も、人形のような無表情のままだった。最初は機嫌が悪いのかなと思ったが、そういう訳でも無いらしい。

 それに、emotionsが未発達という訳でも無いようだ。ただ虚ろな表情のまま声も出さずに涙を流し続けているのを見た事がある。

 その時はdiseaseかとありったけの回復magicをかけたが、実際はただ怖い夢を見て泣いていただけらしい。


「でも、一番気になるのはおっぱいをあげる時かな。おkaa-sanのおっぱい、美味しくない?」


 そしてDarciaが最も気にしている我が子の行動は、授乳の時乳首にすぐに吸い付かず、何故か視線を彷徨わせたまま暫く動かない事だった。

 結局は飲むのだが……自分の母乳が悪いのかと不安になるDarciaだった。




 母親の乳首に吸い付き、母乳を飲むという赤ん坊にとって必要不可欠な行動をしている最中のVandalieuは、気恥ずかしさと罪悪感に悩まされていた。


『赤ん坊も楽じゃないな』


 自分の母親が若くて綺麗だったら、childとしては嬉しいし誇らしいだろう。しかし、その中身が前世とその前と合わせて約三十七年生きていた男だったら、内心はかなり複雑だ。

 Mentalは大人に近いのに、body partが赤子だから変に意識してしまう。特に、Earthで高校生をしていた時から異性に免疫が一切ない。そのため、Darciaの乳首を吸う事に妙な照れを覚えずにいられない。


『他の連中はどうだったんだろうか? Originの時はMemoryが戻ったのは生後十か月くらいだったけど』


 他のReincarnatorも、Originでは母親にオムツを替えてもらう生活に羞恥を覚えていたのだろうか?


『でも、何時までもkaa-sanを不安がらせるのはいけない。早く慣れよう』


 Vandalieuは、三人目の母親であるDarciaを早々に『自分の母親』だと、心から認識していた。そこに違和感は覚えない。何せ、三度目の人生にして初めてMemoryに残る母の愛情だ。受け入れるなと言う方が無理だろう。

 だから、最初は普通の赤ん坊らしく振舞おうと努力したのだが……無理だった。

 中身のMentalが十代後半なのに、赤ん坊の真似なんて出来るはずがない。それに、何故か泣いたり笑ったりする事が出来なかった。表情が全く動かないのだ。

 表情筋が麻痺しているのかとも思ったが、口も瞼も普通に動く。だが、自然には動いてくれない。どうやら意識して動かさないと表情が変えられないらしい。

 これもCurseのせいだろうか?


『まあ、表情の事は言葉が話せるようになったらkaa-sanに相談するとして……諸々の問題もあるけどここ二か月で分ってきたことも多いな』


 DarciaVandalieuが言葉を理解できるとまでは思っていないので、詳細に自分達の身の上や現状を説明はしてくれないが、二か月も一緒に生活していれば大体の事は分ってくる。

 まず、どうやらDarciaの夫で自分の父親は酷く恐れられているraceの出身らしい事。そしてその混bloodであるVandalieuは、差別と迫害の対象であるらしい。

 そのためDarciaは人里から離れた森の中に、Spirit Magicでこの洞窟を掘って生活しているのだと。

 道理で二か月たっても母親以外の人物を一切見かけないはずだ。



『そして、俺がある程度育ったらDark Elfの里に帰るつもりらしい事と、ここは Bahn Gaia continentの北西にあるAmid Empireの属国、Mirg Shield Nationである事か。

 中々hardな生まれだけど、まあ良いか。前世よりはずっと展望がある』


 Dark Elfの里にさえ戻れれば何とかなるらしいので、とりあえずの目標はそのために力を付ける事だろう。

 そのためにハイハイもまだ出来ないVandalieuが始めたのが、magicの修行だ。

 前世では自分の意思で使えるようになった、初歩的なDeath-Attribute Magic。それがあれば母との逃避行の助けになるはずだ。そう思ったVandalieuだが、何故かmagicが上手く使えなかった。


『体が赤ん坊だからか? それともこれもCurseのせいか?』


 そう首をかしげたが、使えないから諦めようという選択肢は無い。Death-Attribute MagicCheat Abilityや他のmagicへの適性も何も無いVandalieuに与えられた、唯一のWeapon Equipmentなのだから。




「私がVandalieuStatusを見られれば良かったんだけど」


 そんなDarciaの言葉を聞いたのは、Vandalieuが生後一か月と半月の頃だった。


Status?』


 まだDeath-Attribute MagicActivateが上手くできない中、せめて首が据わってハイハイぐらい出来るようにならないかと思っていたVandalieuは、母の言葉にそんなgameじゃないんだからと思ったが……頭の中に自分のStatusが表示されて驚く事に成った。



Name: Vandalieu

Race: Dhampir(Dark Elf)

Age: age

Title: none

Job: none

Level:

Job History: none

Ability Values

Vitality: 12

Mana: 100,000,000

Strength: 10

Agility :1

Endurance :25

Intelligence :20


Passive skills

Mysterious Strength:1Lv

Rapid Healing:1Lv


Active skills

none


Curse

 Experience gained in previous life not carried over

 Cannot learn existing jobs

 Unable to gain experience independently



『うわ、Manaの多さが半端じゃないな。それに、俺の父親はVampireだったのか。後Curseが三つもあるって、あの神どれだけ俺に自殺させたいんだ』


 確認できたStatusに、Vandalieuは何度も驚かされる事に成った。

 まずraceだが、Dhampirとなっている。これはEarthで得た知識がLambdaでも当てはまるなら、Vampireとの混bloodの事を表す筈だ。

 なるほど、確かにこれは隠れ住まなければならないだろう。Lambdaでの宗教がどんなものか知らないが、Vampireとの間に生まれた混blood児を歓迎してくれるとは思えない。

 寧ろ、Monsterとして討伐されかねないのではないだろうか? 少なくとも、この辺りでは普通に命が危険なのだろう。

 そして、これから先もDhampirであるという差別と偏見が降りかかってくる可能性は拭えない。思っていた以上に人生がhard modeだった。



 次にManaについてだ。表示された位置、それにMPの表示項目が無い事から、このManaという項目がLambda worldでのMPなのだろうが、その数字は一億。

 Ability Valuesの平均は知らないが、これは幾らなんでも異常だろう。

 これがRodcorteの言っていた、Cheat AbilityFortuneDestinyを受け取れなかったので出来た『Empty Frame』に宿ったManaだろうか? OriginではStatus画面を見るような事は出来なかったので、『一流のMageの一万倍以上だ』と言う研究者たちの言葉からしかconjectureできなかったが、こうしてみると確かに凄い。


『まあ、今は無力な赤ん坊なんだけど』


 どんなにMPがあっても、magicが使えないなら意味は無い。これはDeath-Attribute Magicの習得し直しを急がなくてはならないだろう。


『後は、力は単純に力だろうし、Agilityもそのままだろう。EnduranceStaminaで、Intelligenceは単純に頭の良さじゃなさそうだな。

 maybemagicの習得や効果、Multi-CastChant Revocationに関わるAbility Valuesだろう。もしかしたら、Mental力にも関係するかも』


 そうconjectureしてみると、他のAbility ValuesよりもAgilityが特に低いのにも納得だ。生後一か月半、首がまだ据わっていないため、ハイハイどころか自力で寝返りも打てない赤ん坊の動きが素早い訳がない。

 逆に、それを考えれば他のAbility Valuesは赤ん坊でlevel0なのを考慮すると、Mana程じゃないが高い水準にあるのだろう。

 流石Dhampirという事か。


 次にskill。これはVandalieugame知識で、Passiveが普段から意識しなくても効果が発揮されるskillで、Activeは使わない限り発揮されないskillだと目星が付いた。


Mysterious StrengthRapid Healing、か。これもDhampirだから習得出来たskillなんだろうな。gameでいう所の、race特性という奴か。

 しかし、やっぱりDeath-Attribute Magicskillが無いな』


 赤ん坊らしく殆ど何も無いskill欄だが、VandalieuEarthOrigin、合計で約三十七年の人生を生きた人物だ。他にも何かskillが、特に前世で初歩までは自力で習得したDeath-Attribute Magicskillがあっていいはずだ。

 それが無いのは、その次の欄にある三つのCurseのせいだろう。


Experience gained in previous life not carried overCurse、これのせいだろうな。これで前世とその前の経験をskillとして持ちこせない訳か。

 他の二つも、ろくなものじゃなさそうだな。きっと、Jobを取得するのとlevelを上げる時に、大きな障害になるはず』


 何せ、自分に自殺を促すためにRodcorteが寄越したCurseだ。きっと厄介極まりない物なのだろうと、Vandalieuは溜め息をついた。


『でも、大人しく死んでやるという選択肢はない。そうである以上は、まず生き延びるための力を付けないと。

 早速今日もDeath-Attribute Magicの習得を目指して……あ……ダメだ……ねむ……』


 生後一か月半のVandalieuは、赤ん坊らしく睡魔に敗北したのだった。

 結果、一度習得に至った経験があるのにDeath-Attribute Magicの習得まで想像以上の時間がかかった。




《【Death-Attribute Magicskillを獲得しました!》


 鳴り響く脳内アナウンス。

 生後三か月、やっと首が据わり始めた頃にVandalieuはようやくDeath-Attribute Magicを習得する事に成功した。


Manaをなんとか術の形にしようとして失敗する事約二か月。努力が実ったか』


 とは言っても、まだ使えるのは範囲内の微生物を消滅させる『Sterilization』と、その虫バージョンの『Bug Killer』。後触れたManaAbsorptionするBarrierを張る『Magic Absorption Barrier』等々、目に見える効果が無い物ばかりだ。

 Darcia kaa-sanmagicが使える事をappealしたいが、それは難しい。目の前で彼女のmagicを『Absorption』して見せればimpactも強いだろうが、Vandalieuの見える範囲でSpirit Magicを使う-sama子が無いのだ。

 煮炊きに使う火を起こすのに、火種をSpirit Magicで作るぐらいはしているのだろうが……。


『ようやくお座りが出来るようになったこの体では、roomの中も十分に見回せない』


 やれやれ、どっこいしょと息を吐きながらベッドの上でお座りをしている彼を、その母が「なんだかお爺-sanっぽいね」と笑っているのだが、それは気にしない。


『ただ、外に出してくれるようになったのはありがたい。いい加減暇で死にそうだった』


 生後三か月になったお蔭か、Darciaは晴れの日にはVandalieuを抱いて外に出る-samaになっていた。

 それはVandalieuの成長の過程で外に出て刺激を与えた方が良いという判断と、そろそろ食料の備蓄が心もとないので外で採集を行う必要があるという理由だった。

 ただ最初に外に出る時、Darciaは異常なほど慎重だったのをVandalieuは覚えている。

 Darciaは洞窟の扉をほんの少し開けて、隙間から漏れ出てくる細いSunlightVandalieuの指先を軽く触れさせることから始めたのだから。


「良かったっ! Vampireの弱点を受け継いでないっ!」


 そう言えば父親はVampireだったと、歓声を上げて喜ぶDarciaを見て思い出すVandalieuだった。あまり父親に似すぎるとSunlightも浴びる事が出来ないとは、Dhampirというのはつくづく厄介な生まれだ。


「じゃあ、これからおkaa-sanと外に出ようね」


 そう言ってDarciaに連れ出された外は、Vandalieuが言葉を無くすほど(最初からしゃべれないが)感動的だった。


『おお……worldが……自然が……広い!』


 洞窟の外は森になっていて。空気が良く澄んでいた。

 太陽は明るく、空は抜ける-samaに青く、雲は純白で、木々は青々と茂っていた。

 なんでも無い森の風景なのだろうが、前世のOriginではAmemiya Hiroto達にトドメを刺される直前まで狭い飼育roomに二十年閉じ込められていたのだから、Vandalieuの目には全てが美しく輝いて映った。


「ふふ、お外が気に入ったみたいだね」


 無表情なのは相変わらずだったが、周囲の風景を夢中で見つめる息子が喜んでいるのを理解したDarciaは、散歩ついでに採集を行った。

 certainly、弓やSpirit Magicで獣を狩る-samaな危険な事はしない。食べられる野草や木の実、茸を幾つか採集し、獣を取るためのTrapを幾つか仕掛けたくらいだ。

 そうして手に入れた物は殆どDarciaの口に入り、そして極一部がVandalieuの離乳食になるのだった。


『複雑な気分だ』


 一日一回、spoon一杯分程の量だが若くて美人なDark Elfの母に「あーんして」と食べさせてもらえる。しかし、その分授乳の回数と量が減る。

 このsenseiき残るために、Dhampirにとっての危険地帯からDark Elfの里に向かうための旅に出るためには乳離れが必要とは言え、成長とは何とも悩ましい物だ。

 因みに、味は離乳食より母乳の方が美味い。





《【Death-Attribute Magicskillが2Lvになりました!》

《新たに【Abnormal Condition Resistance】、【Magic Resistance】、【Dark Vision】、【Bloodsuckingskillを獲得しました!》


 Vandalieuが生後五か月になると、Darciaは息子を置いて数時間を空けて森で採集を行うようになった。


「後少ししたら、kaa-sanの生まれ故郷に行こうね。そのための準備をするから、寂しくてもenduranceしてね」


 そう言ってを出て獣を狩り、こっそり村に行って流れのadventurerだと偽って生活必需品を手に入れているのだと言う。長い時は半日帰らない時もあったが、生き延びるためには必要な事なので仕方がない。

 赤ん坊を残して半日も留守にするなんてと、Earthなら文句も言われるだろうがVandalieu本人は不満には思っていなかった。何故なら、全ては自分を守るためなのだから。


 周囲の助けも無くたった一人で赤ん坊を育てる。しかもVampireとの混bloodなんて厄介なchildを。

 今まで父親の姿を見ていない事から考えると、Vampirecommunityの助けも無いのだろう。HumanVampireとの混blood児を忌避するのと同じか、それ以上にVampireの側も忌避し、迫害の対象としているという事は良くある。人権という価値観が浸透しているはずのJapanでだって、外国人とのハーフに対する差別意識が存在するのだ。このLambdaで異race同士の混bloodなら当然だろう。


『そうなると父親の顔を見る事は出来そうにないな』


 maybe、生きてはいないだろうから。

 以上の事を考えると、情を排除して合理的に考えるならDarciaVandalieuを見捨てた方がずっと賢く、楽に生きられる。

 その方が身軽だし、負担も少ない。暫く経ってほとぼりが冷めたら、何食わぬ顔で生活すればいいのだ。childが欲しければ、他の国に行くなり、Dark Elfの里に帰るなりして、それから新しい男でも見つければ十分なのだから。

 それなのに危険を冒してまで息子を見捨てないのは、Vandalieuの父親を、そして彼自身をDarciaが愛しているからだろう。


『陳腐だけど、愛されているって幸せだな』


 その幸せを糧に、Vandalieuは努力を継続していた。

 起きている時間はmagicの修行、手足を動かしてEndurance作り、それと発声練習を行った。その結果、Death-Attribute Magicskill levelincreaseし、Darciaの目に効果が見える術を使えるようになった。


「凄いっ、まだ赤-chanなのにmagicが使えるなんてっ! VandalieuGeniusだねっ♪」


 そう技術の向上を喜ばれる事の、褒められる事の、何と嬉しい事だろう。


 まあ、他のskillを幾つか覚えたのは努力では無く成長の結果だったようだが。


 Abnormal Condition Resistance、毒やdisease、睡眠不足や飢餓、magicなどによって与えられる諸々の不調や致命的なconditionに対するresistance skillは、Vampireの父親のimpact

 Magic Resistance、攻撃magicから受けるDamageの緩和等の良くないimpactへのresistance skillは、Dark Elfrace特性でDarcia kaa-sanも持っていた。

 Dark Visionは父母両方からの特性で、星一つないDark nightでも昼間のように見る事が出来る。


 そしてBloodsuckingは言うまでもない。他の歯よりも異常に速く生えてきた犬歯……fangsが上下とも生えそろった時に習得していたskillだ。


「やっぱり生えてきたのね。Vandalieu、本当はしない方が良いのかもしれないけど……」


 息子にfangsが生えた事に気が付いたDarciaは、そういうと狩で捕まえた兎の首をknifeで落した。そして滴り落ちるbloodを木で作った皿に溜めて、言った。


「はい、飲んでみて」


kaa-san、正気ですか?』


 口元に持ってこられた皿から臭う鉄臭さに、Vandalieuは半眼になってDarciaを見た。

 sauceの材料にbloodを使ったり、マムシやスッポンのbloodを酒で割って飲んだりする事はEarthでもあった。そう知識では知っているが……乳幼児に獣のbloodを飲ませるのは、育児に悪いのではないだろうか? そう思うが、彼女は気を変えるつもりはないらしい。


『まあ、試すか』


 きっと不味いだろう。そう思いながらtongueを伸ばすようにして兎のbloodを少し飲む。しかし、意外な事に不味いとは思わなかった。


『あれ? 飲める。鉄の匂いは感じるけど、それほど臭くは無い……寧ろ美味い?』


 酒で割った訳でも香辛料で臭みを抑えた訳でも無いのに、兎のbloodVandalieuにとって母乳のように飲みやすく感じた。

 驚いていると、Darciaが伸びてきた髪を撫でながら教えてくれた。


Vandalieuはお父-sanと同じで、bloodを飲む事が出来るの。でも、bloodを必ず飲まないといけない訳じゃないから、お腹が空いてもおkaa-sanが居ない時だけ飲む-samaにしてね」


 なるほど、やはり半分はVampireだという事か。そしてDhampirが忌避される訳だ。

 でも、今は離乳食の種類が増えた程度に考えておこう。




 そして生後半年を迎え、Vandalieuがハイハイが出来るようになった頃。その日、DarciaVandalieuに留守番を任せて、近くのまで遠出に出ていた。


kaa-sanは俺の赤ん坊にしては不自然な頭の良さを、肯定的に解釈しているから助かる』


 magicが使える事も含めて、DarciaVandalieuの不自然さを全て「凄い」と喜んでくれるが、それ以上疑ったり戸惑ったりはしなかった。


「やっぱりDhampirって凄いのね」


 そう言っていたから、Vandalieuの異常さは全てDhampirだからだと思っているのだろう。変に詮索しないでくれるのは、とてもありがたい。

 だって、説明しようにも生後半年の赤ん坊に会話Abilityは無いからだ。発声練習は続けているが、まだしっかりとした言葉にならないのがもどかしい。

 それさえなければ、事情を話したいのに。


Rodcorteの事とか、前世の事とか、Amemiya Hirotoの事とか』


 VandalieuEarthで目にしたライトノベルや漫画では、another worldからreincarnationしてきた等の事情は秘密にする事が多かった。しかし、彼はその定石を破るべきだと考えていた。少なくともDarciaには、それも出来るだけ早く話すべきだと。

 だって、彼女は自分の母親なのだから。


『普通のreincarnationとかanother worldトリップなら俺も話さないって選択肢を考える。でも、俺の場合は違う。これから百人の俺と同じanother worldからのReincarnatorが、それもCheat Ability持ちがやって来る』


 Amemiya Hiroto達、Originで自分を探そうともせず、見捨てて殺した連中。奴らもOriginで死んだら、このLambdareincarnationするはずだ。

 それが何時になるかは分からない。Vandalieuが前世で死んだ時奴らは二十age前後に見えた。だから奴らが死ぬまで、事故にでも遭わない限り五十年以上かかるだろう。だがOriginLambda、異なるworldに流れる時間が同じ速さだとは限らない。

 もしかしたら、Lambdaで一日が流れる間にOriginでは一年が過ぎているかもしれないからだ。

 そこまでではないだろうが、絶対に奴らはこのLambdareincarnationしてくる。それを防ぐ手段は、Rodcorte本人だって持っていない。



『問題は、奴らがreincarnationする前にRodcorteの奴が何を言うかだな。俺は、あいつの前で奴らを殺すって叫んでいた。だから俺が死ぬ前に奴らがreincarnationする事に成ったら、奴らに警告くらいは出すだろう』


 なんたって、Rodcorteの目的は奴らによってこのworlddevelopmentさせる事だ。その前に殺されたら困るのだから、絶対にVandalieuの事を教えるはずだ。

 すると奴らにとってVandalieuは脅威だと警戒される。一応前世の前世は平和なJapan育ちのJapan人だから、まず話し合おうとかOriginでの事を謝罪しようとか、そういう穏便な警戒なら良い。

 だが、こっちを見つけ次第殺して脅威を排除しようとする奴がいないとは言えない。Originで自分が想像を絶する悲惨な人生を終えた-samaに、奴らに何があるか分からないからだ。

 例え正義のallyらしい事をしていても、凶悪なterroristや犯罪organizationを相手にしていた期間が長ければ、どうなるか分からない。


 そう、正義のally。これが拙い。


『死ぬまでの間だけど、確かあいつらはUndeadが発生したと言う知らせを受けて、俺を殺しに来たはずだ。なら、Cheat Abilityを活かして国際的に活躍する正義のallyとか、そういう事をしているんだろう。アメコミheroみたいに』


 そして自分はVampireとの混blood児、Dhampir

 奴らがJapan人らしい平和主義やphilanthropy主義、人権尊重のMentalを発揮してくれれば問題は無い。しかし、このLambda worldの、それもアンチVampire、アンチDhampirの価値観にかぶれたらそれだけで危険だ。

 Cheat Ability者が最大百人も敵になるなんて、堪ったものじゃない。


 それに巻き込まれるのが、Darciaだ。何も知らないままだと危険だし、理不尽すぎる。だからこそ、Vandalieuは自分の事情を話さなければならないと考えていた。


『それを理由にkaa-sanが離れるなら、それも仕方ない』


 たった半年の付き合いだが、DarciaVandalieuにとって初めてのMemoryに残る母親だ。こんなに自分を慈しんでくれた人は、今までいない。


『まあ、出来たら離れたくないけど』


 そのためなら、奴等への復讐も……まあ、今更許したり和解したりする事は不可能だが、距離を置くぐらいで許してやろう。

 それほどまでに、VandalieuDarciaに入れ込んでいた。生まれ変わってから妙に頭がすっきりしている事も関係しているが、母親の為なら復讐を諦めても良いと思っていた。


 これからある程度成長したら、Darciaに全てを打ち明けよう。それからはEarthOriginで手に入れた知識とDeath-Attribute Magicを使って、それなりに豊かに暮らせれば十分幸せだろう。

 後はCheat Ability持ちの連中がこのworldのために頑張るのを眺めていれば、それで良い。


 そう思いながらハイハイをして、Endurance作りを続けるVandalieuだったが、ふと空腹を覚えた。


bloodでも飲むか』


 籠からDarciaが生け捕りにした野兎を一feather、掴み上げる。生後半年でも、流石Mysterious Strength skillもちのDhampirという事か、思った以上に簡単だ。

 そして抵抗する兎に『Sterilization』や『Bug Killer』をかけて衛生conditionを良くしてから、噛みつく。


bloodも美味いけど、やっぱりkaa-sanの母乳の方が美味いな』


 痙攣する野兎のbloodを容赦無く吸って空腹を癒しながら、Vandalieuは母の胸を恋しがっていた。


 その日、戻ってくるはずの時間になってもDarciaは帰らなかった。




Name: Vandalieu

Race: Dhampir(Dark Elf)

Age: 半年

Title: none

Job: none

Level:

Job History: none

Ability Values

Vitality: 18

Mana: 100,000,600

Strength: 27

Agility :2

Endurance :33

Intelligence :25


Passive skills

Mysterious Strength:1Lv

Rapid Healing:1Lv

Death-Attribute Magic:2Lv(NEW)

Abnormal Condition Resistance:1Lv(NEW)

Magic Resistance:1Lv(NEW)

Dark Vision(NEW)


Active skills

Bloodsucking:1Lv(NEW)


Curse

 Experience gained in previous life not carried over

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