修学旅行中の県立八坂高校の生徒達が乗る船が、terroristが仕掛けた爆弾によって沈没した。
この悲劇的な事故により、terroristを除いて乗員乗客の内102名が死亡した。
「ああ、冷たくて塩辛い水が無くなったと思ったら、死んだのか、俺も」
Amamiya Hirotoは、深いLost感と共に自分の死を悟った。
彼がいるのはぼんやりと明るい場所で、自分以外にも沢山の人が集められていた。分りやすく三途の川が流れていて向こう岸に美しい花畑が広がっている訳ではないが、きっとここが死後のworldの入り口的な場所なのだろう。
他に死んだ者達は、泣き喚いたりお互いを慰め合ったり、この場に友人やloverがいない事を知って安堵したり、反応は-sama々だ。
Hirotoも死にたくなかった、まだ生きたかったと泣き喚きたかったが、そうする元気も無かった。
「はぁ……結局無駄死にか」
それは、彼から離れた場所に座り込んでいるclassmateのShoujoを見つけてしまったからだ。
彼女は、Naruse Narumi。ナルとnicknameで呼ばれる、classのムードメーカーだ。Hirotoは、彼女を助けるために死んだのだ。
船が傾いて転覆しようとしていた時、手摺につかまり損ねたNarumiが落ちそうになった。Hirotoは、咄嗟に彼女の手を掴んで手摺に掴まらせて……彼女の代わりに斜めになった床を転がり落ちて壁に背中から激突し、海に落ちて溺死したのだ。
咄嗟の事だった、頭で考えての行動では無かった。今にして思えば、無謀な事をしたと思う。それでも彼女が助かっていれば、まだ自分を慰める事が出来たのだが……。
「いや、死ぬ前に善人に成れたと思おう」
どうせ自分が死んでも悲しむ者は無い。両親とは幼い頃に死別、bloodのつながったbrother and sisterも居ない。引き取ってくれた父方の伯父familyとは折り合いが悪く、「高校を卒業したら出て行け」と言われていたし、友達もloverもnone。特に伯父に関して言うなら、まだ残っているはずのHirotoの両親の遺産に加え事件の見舞金その他が入るだろうから、引き取ってもらった借りはもう返したと思って良いだろう。今までの仕打ち……実子とのあからさまな差別と、これまでの待遇を考えれば、返し過ぎているぐらいだ。
将来の夢も、「幸せになる」という漠然としたものしかない。その夢は、このまま天国で叶えればいいだろう。少なくとも、伯父とそのfamilyはいないし。
だが、現実は非常識であっても甘くは無かった。
「既に一度人生を終えた魂達よ、-kun達は選ばれた。これから-kun達には私から特別な力と、新しいDestiny、新しいFortuneが与えられる。それを使って、-kun達がいた『Earth』とは異なるanother worldで新たな人生を歩んでほしい」
maybe、Kami-samaとかそういう存在だろう。後光を背負った謎の人物が現れるなりそうHiroto達に宣言した。
どうやら天国の代わりに待っていたのはCircle of Reincarnationらしい。しかも、another worldとは驚いた。
「certainly、-kun達は私の依頼を断る事が出来る。その場合は、通常通り前世のMemoryを失い『Earth』の何処かに生まれ変わる事が出来る。
希望する者は、今名乗り出てほしい」
Hirotoはその条件で断る奴がいるのかと思ったが、一人断った男がいた。Hirotoはその男から離れていたので、何を言っていたのかは分からないが、「では、通常のReincarnationに戻りなさい」とKami-samaが言うと消えたので、断ったのだろう。
certainly Hirotoは他の大勢と同じで、神の誘いに乗るつもりだった。特別な力とやらを貰って、新しいworldで新しいfamilyの下に生まれて幸せになる。これ程希望に満ちた展開はそう無いからだ。
「では、名を呼ばれた者は私の前に立ちなさい。Endou Kouya」
「Shihouin Mari」
「Naruse Narumi」
「Kaidou Kanata」
「Minami Asagi」
そして次々にnameが呼ばれ、Kami-samaから特別な力やDestiny、Fortuneを受け取って、roomの外に行く。Narumiのnameも呼ばれた。
だけれど、Hirotoのnameは集まっていた人達が半分程になってもなかなか呼ばれなかった。
「Amamiya……? Amemiya Hiroto」
一瞬呼ばれたかと思ったが、違ったようだ。Hirotoとよく似たnameの人がKami-samaの前に立った。
「Amemiya……?」
聞き覚えの無いnameだった。同じ学校ならclassが違っても、ここまでnameが似ていたら知って良さそうなものだが。
偶然乗り合わせた乗客か、乗員だろうか? ageは十代後半で……背格好まで似てるな。これで顔まで似ていたらドッペルゲンガーか生き別れのbrothersだろう。
Hirotoがそう観察していると、Amemiya Hirotoは他の人が受け取った特別な力は一つか二つ、多くても三つなのになんと七つもKami-samaから特別な力を貰っていた。それも、どれもかなり大きかった。更にDestinyやFortuneも二つずつあったのを、Kami-samaが一つに纏めて渡していた。
二物どころか七物も貰うとは、これがKami-samaに愛されたHumanって奴だろうかとHirotoが思っている間にも、Kami-samaは次々にnameを呼んでいった。そして、残ったのは彼だけになった。
Kami-samaは自分の手に特別な力が残っていないのを確認してから、一仕事終えたと言わんばかりに大きく息を吐いた。
「ん? -kunは?」
そして、やっとHirotoに気が付いた。
「Amamiya Hirotoです」
訝しげな声のKami-samaに、Hirotoはnameを自分から名乗った。しかし、彼のnameはKami-samaを驚かしたらしい。
「AMAMIYA・Hiroto? Amemiya、AMEMIYAでは無く? 姓は天の宮と書いてAmamiya、nameはextensive knowledgeの人と書いてHiroto?」
細かくnameを確認してくるKami-samaに、Hirotoは嫌な予感を覚えつつも「そうです」と答えた。するとKami-samaの呻き声が聞こえた。
「しまった……似たnameだから間違えた。-kunをAmemiya Hirotoと同一人物だと思って、-kunに与えるべき特別な力を、全てAmemiya Hirotoに与えてしまった。それに課すべきDestinyも、身を守るFortuneまで彼に渡してしまった」
まさかのうっかりmissだった。一度Hirotoのnameを呼びかけていたように聞こえたのは、それだったらしい。
「だがAmemiya Hirotoはもうここにはいないから-kunの分を返してもらう事は出来ないし、-kunに与えられるはずだった力を再び用意する事も出来ない。Fortuneも、Destinyもだ」
「それはつまり、俺だけ何もnoneで、Zeroからスタートするしかないと?」
「いや、マイナスからのスタートになる。偶然やDestinyの悪戯によって助けられる事は無く、Fortuneにも恵まれる事は出来ないのだから」
Zeroスタートどころかマイナススタート。これはあんまりではないだろうか?
「じゃあ、やめます。さっきの人みたいに普通のReincarnationに戻してください」
another world reincarnationしても苦労しか待って無さそうなので、すっぱりとanother world reincarnationを諦めようと思ったHirotoにKami-samaは首を横に振った。
「既に意思確認の時は過ぎている」
「……マジですか」
だが、既に拒否権は無かった。こんなお役所仕事的な事が許されるのかとHirotoは抗議しようとしたが、徐々に自分のbody partが光に包まれていくのと同時に、意識が遠のき始めた。
「reincarnationの時が来たようだ」
そんなっ! 俺だけ何もnoneなんて、あんまりじゃないですかっ!
「その代わり、-kunの魂には他のReincarnatorと違い大きな『Empty Frame』がある。その『Empty Frame』に特別な力の代わりに、GiantなManaが身に着く事だろう。magicに対する適性が無いため、これからreincarnationするanother world『Origin』に存在するattribute魔法は習得できない。よって、宝の持ち腐れではあるが」
もしかしてそれは慰めのつもりか!? Manaがあってもmagicが身に着けられないって、本当に宝の持ち腐れじゃないか!
「-kunには本当にすまないと思っている。力とDestiny、Fortuneに恵まれないせいで-kunはとても苦労するだろうし、恵まれた環境で育つ事も出来ない。magicが使えないせいで将来も限られる。前世以上の孤独に苛まれ、閉塞感に喘ぎ、苦しむ事になるだろう。だが諦めず、誰かを恨まず、前向きに生きて欲しい」
無茶言うな!
そう罵る事も出来ず、Amamiya Hirotoの二度目の人生が始まった。
Kami-sama……RodcorteがHiroto達を送り込んだanother worldの名は『Origin』。Earthとよく似た、しかし科学とmagicがFusionしたworldだった。
『Origin』に生まれ変わった100人のReincarnator達は、Earthとの違いに戸惑いつつも新しい両親の下で、-sama々なFortuneに助けられ、与えられた特別な力を活かし、Destinyによって再会を果たし、認められていった。
reincarnationについてはReincarnator同士だけの秘密にしていたが、何時しか彼らは100のChampionと呼ばれた。
101人目を除いて。
Rodcorteは、EarthやOriginといった複数のworldにおいて、魂のReincarnationを司る神だった。彼は人々に直接信仰される事は無く、ClergymanにOracleを授ける事も無く、worldにAdventして奇跡を起こすなどの手段で介入する事も出来ない。
出来るのは魂のCircle of Reincarnationを管理し、極稀に干渉する事だけだ。しかし、Rodcorteはその干渉を殆どした事が無かった。
Circle of Reincarnationのsystemは良くできており、Rodcorteの調整が必要な事態は殆ど起きなかったためだ。
しかし、最近ある問題が起きつつある。
彼がCircle of Reincarnationを管理するworldの内一つだけが、他のworldと比べて大きく遅れていたのだ。
他のworldが順調にdevelopmentする中、問題のworldだけが長い間足踏みを続けていた。
magic、武術、文学、化学、工学、芸術、食文化。-sama々な分野でdevelopmentと失伝を繰り返していた。
国も同じで戦争を繰り返し、千年以上続いた試しが無い。時たまHeroの出現等で小国同士の戦争に勝った国が大国に成り、いずれ疲弊して国内を纏める事が出来ず小国に分裂してまた争う事を繰り返していた。
たとえ国々が平和を維持していたとしても、強力なmonstersの出現等によって戦争より大きな被害が出てしまう。
そのworldを直接管理し人々をGuiding Godsも存在する。しかし、以前another worldから現れた狂ったDemon Kingからworldを守るために、Demon Kingとは別のanother worldから召喚し助力を願ったChampion達と共に戦って以来、力を殆ど取り戻せていなかった。中には消滅してしまったり、そこまでではないが神としての位を落としてしまった神までいる始末だ。
このworldを何とか前に進めなければならない。今は停滞で済んでいるが、何かのきっかけで一気に衰退とDecayに陥りかねない。
そして管理するworldのdecreaseはCircle of Reincarnationする魂の数を減らしてしまうため、Rodcorteにとっても危機であった。
どうすれば良いかと思案するRodcorteは、他のanother worldを管理する神からある噂を聞いた。
他のworldから魂を前世のMemoryとCheat Abilityを持たせてreincarnationさせたら、worldが驚くほどdevelopmentし、良い方向に進みだしたという噂だった。
信じがたい噂だった。たった一人が、前世のMemoryとCheat Abilityを持っていたとしても、worldにそこまで大きなimpactを与えられるとは。
だが、この前例は試す価値があった。問題のworldではDemon Kingと戦うため、Godsがanother worldから何人かのChampionを召喚している。その召喚は生きているanother world人を直接召喚するTypeで、Cheatという程's Divine Protectionは与えられなかったがそれでも彼らはDemon Kingとの戦いに勝利した。
更にDemon Kingとの戦いで殆どのChampionが命を落としたものの、その短い間でもいくつかの成果を残している。
そしてこの試みを実行に移すとすれば、Demon KingやEvil God (M)等が存在しない今こそが好機だ。神と刺し違えるような超常の存在と戦うような事が無ければ、更にCheat Abilityを与えれば、Champion達は更なる成果とdevelopmentをworldに残せるはずだ。
幸いにして彼の権能を活かせば死者の魂を問題のworldに送り込み、reincarnationさせる事は幾らでもできる。前世のMemoryを持たせたままというのも、そう難しい事では無い。
Cheat Abilityに関しても、今まで貯める一方だった神の力を使えば用意できる。
だが、reincarnationさせるのが一人だけでは心もとない。念のために、百人ほど送り込もう。
そしてRodcorteの準備が終わった頃に、timing良く百名ほどのJapan人が死んだ。彼が聞いた噂では、reincarnationした魂の前世は科学技術と経済がdevelopmentした、独特な文化を残す島国出身だったらしい。Japanと条件は同じだ。
神が縁起を担いでどうするとツッコミを入れる者もいなかったので、Rodcorteはferryで死んだ魂から悪人を除いたJapan人達の魂をreincarnationさせる事にした。
ただし、問題のworldとは別のanother world、『Origin』に。
Rodcorteは万全を期すために、魂達に経験と知識を蓄えさせるための練習台として、Originを選んだのだ。
そしてOriginで第二の人生を終えた者達を、新たな力やDestinyを与える等の調整を施したうえで問題のworldに再びreincarnationさせる。
ここまで慎重を期すれば、きっと上手く行くだろう。
しかしこうした事に慣れていないRodcorteは、小さなmissを犯してしまう。そのmissが、後々まで彼の思惑に響く事になるとは、神であっても予見できない事であった。
その前触れのように、Rodcorteの前に第二の人生を終えたReincarnatorの魂が現れた。
reincarnationした順によって若干の違いはあるが、それでも天寿を全うしたにしては早すぎる再会だ。だが、その魂が最初に現れるだろう事は、Rodcorteも予想していた。
「やはり天寿を全うできなかったか、Amamiya Hirotoよ」
現れたのは、101番目のReincarnator、力もDestinyもFortuneも無い、Amamiya Hirotoの魂だった。
Rodcorteの前に再び現れたAmamiya Hirotoの魂は痛ましい程に傷つき、そして禍々しいManaを纏っていた。
「殺すっ、あいつらを殺してやるっ、生まれ変わっても絶対に許さないっ! あんたもだ!」
HirotoはRodcorteが神である事も構わず、殴り掛かっていた。
OriginにおいてAmamiya Hirotoは、ある軍事国家に生まれた。
恵まれた人生は歩めないと言うRodcorteの言葉通り、彼は産まれた時から不遇だった。
母親はProstituteで、実の父親は彼が生まれる前に母親を捨てた。そして母親は新しい男を見つけ、その男がまだ赤ん坊のHirotoを、酒代のために売る事に反対しなかった。
Hirotoを買ったのは、政府の非合法な研究を行う研究所だった。そこでの検査で、HirotoがOriginで使われるmagicにどんな凡人よりも適性が低い事が明らかになった。
Originでは土水火風に加えて光、生命、spaceの力を使う七attribute magicが使われている。その七attributeの内、最低一つは相性が良いattributeがあるのが常識だ。
しかし、Hirotoには相性が良いattributeどころか、適性があるattributeが一つも無かった。つまり常識を超えた凡人以下の劣人という事になる。
だが研究所のHuman達は、Hirotoが常人を遥かに凌駕する強大なManaの持ち主である事に気が付いた。
attributeに適性が無いのにManaが高い。これは研究者たちにとって大きな矛盾だった。そしてその中の一人がふと思いついてしまった。
「この被験体は相性の良いattributeが無いのではなく、この被験体に相性の良い未知のattributeをまだ我々が発見していないのではないか?」
そこから彼らの研究が始まり、Hirotoが前世のMemoryを取り戻したのもこの頃だった。
数年に及ぶ人体実験の結果、彼らは死という八番目のattributeを発見した。研究者たちはHirotoに発見したdeath attributeのmagicを習得させ、脳を含めた人体改造を施し、研究と実験を繰り返した。
「死ねぇぇぇぇっ!」
だが、Hirotoの置かれた環境は悲惨の一言に尽きた。
前世のMemoryを取り戻した時には体内に爆薬を仕込まれ、命を握られていた。そして周囲にいるのは、HirotoをHumanでは無く実験動物としか見ない研究者たち。
言葉や文字の読み書きといった、Hirotoから見れば今更習う必要のない基本的な教育は受けられたが、自由は全くなかった。
それどころか反抗的な態度を取れば、電気shockを受けて床に倒れて痙攣するしかない。
栄養はあるが囚人よりも質素な食事と、研究者たちの言う通りにする事をdemandされる実験だけの日々。
Hirotoがdeath attributeのmagicに目覚めてからも、彼は研究所から出る事は出来なかった。
Hirotoはdeath attributeのmagicを身に着け、死に物狂いで力を手に入れた。それを可能としたのはHirotoの努力と、他のattributeに適性が無い者しか身に着けられないという、death attributeの特性だった。
幾つものmagicを開発し、Hirotoは研究所と研究者達、そして彼らを擁する国に貢献してきた。しかし、彼らは最後までHirotoの働きに報いようとはしなかった。
彼らはHirotoの有用性を認めると同時に、彼の反抗を恐れていたからだ。それはHirotoが役に立てば立つ程、大きくなって行った。
体内の爆薬はheartだけではなく脳にも埋め込まれ、胴体には逃亡防止のGPSが、右のeyeballは特殊なcameraが埋め込まれた義眼と入れ替えられ、耳と口の中にはどんな小さな呟きも聞き逃さないように特殊な盗聴器が仕込まれた。
必要以上にEnduranceを付けないように、食事はより制限された。roomは狭く、実験以外では出る事を許されなかった。
death attributeのmagicをより使えるようにするため、Manaをより高めるため、-sama々な名目で体に改造を施した。
仲間を作って脱走や反抗を企てないように、彼の周囲に特定のHumanが長く居ないように見張りや直接指示を告げるオペレーターも、交代させていた。
そして最終的には脳に非人道的な処置を行い、body partとManaのcontrolを切り離して自分達の人形にしてしまった。
その時Hirotoは十ageにも満たなかった。その頃から彼は自分の意思では指一本動かせないHELLを、十年以上過ごす事に成った。
そんなconditionが約十年続き、それでもHirotoのMentalがDecayせずにいられたのは彼のdeath attributeに魅かれて集まって来た死者の魂達の慰めと、【彼女】達ならこのHELLから助け出してくれるという希望があったからだ。
しかし、Hirotoは死んでしまった。
前任者を上回る成果を出そうとした新任の研究者の無謀な実験に、耐える事が出来なかったのだ。
だが、皮肉な事にHirotoは死によって自由を取り戻した。彼が持つManaの主導権がBodyの死によって、Hirotoの魂に戻ったのだ。
Hirotoは憎しみにthrust動かされるままに自らのBodyをUndead Transformationし、暴れまわった。
自分の人生を弄んだ連中を引き裂き、命乞いをする研究者を雑巾のように搾り、軍関係者を嬲り殺してやった。
そして研究所の関係者全員を殺して復讐を遂げんと荒ぶるHirotoの前に現れたのが、懐かしい面々だった。
『おお……っ!』
現れた数十人の姿に、Hirotoは喜びの声を上げた。彼らの顔に、見覚えがあったからだ。
顔立ちは若干変わっていたが、彼らの多くが前世でのclassmateや同学年の学生、そして引率のInstructor等である事はHirotoには分かった。
その中には、あのNaruse Narumiも居た。
Hirotoと同じくOriginにreincarnationした仲間達。彼女達こそが、Hirotoの希望だった。
きっといつか自分を仲間達が見つけてくれる、きっといつか助けに来てくれるはずだ。Hirotoはこの二十年ずっとそう信じていたのだ。
ずいぶん遅かったが、文句は言うまい。再会を喜び、これから第二の人生をやり直そう、きっとできるはずだ、こんなにも大勢の仲間が助けに来てくれたのだから。
Hirotoは喜びと希望に打ち震えながら、彼女達に向かって一歩踏み出した。
「総員、攻撃開始!」
だが、そのHirotoに向かって仲間達のleaderらしい青年の号令と、同時に放たれた攻撃magicが叩きつけられた。
『待てっ!? 何で俺を攻撃するっ!? 俺は仲間だっ、俺は仲間なんだぞ!?』
Hirotoの叫びは降り注ぐ業火に、風の刃に、thrust刺さるcoldに、打ち据える雷にかき消された。仲間達に無警戒に近づいたHirotoは、彼らの攻撃magicの前になすすべも無く傷つき、倒れた。
「随分とあっけないな。凶悪なUndeadが発生したと聞いていたのに」
「なあに、俺達百のChampionの内三十人も揃ってんだ、苦戦するはずないさ」
倒れたHirotoの頭上で、聞き覚えのある声が言葉を交わす。
百人? 百人だって? 違うっ! 百一人だっ、俺も入れて百一人だ!
そう声を出したかったが、もう喉を切り裂かれていたため呻き声を発する事も出来ない。
Right Armは黒く焼け焦げて炭化している、Left Armも何処かに行った。足は何時の間にか捥げていて、左脚は視界の隅で肉片になっている。
頭も胴体も、酷い有-samaだ。
「苦戦しなかったのは、このUndeadが気を緩めたからよ。death attributeのmagic……恐ろしいmagicだわ」
唯一動かせるeyeballで声のした方を見ると、そこにNaruse Narumiが立っていた。前世の姿よりも成長してShoujoから大人のfemaleに成って。
「ああ、彼もこの研究所の犠牲者だ」
その隣に、号令を下したleader格の青年が立っていた。二人の距離感から、Hirotoには青年とNarumiの関係が親密な物であると、Intuition的に分ってしまった。
「きっと、俺達に殺して欲しかったんだろう」
「そうね、Hiroto」
Hiroto……? Hiroto? Amemiya Hiroto!? 奴が、Amemiya Hiroto!?
「せめて、これ以上苦しまないよう消滅させましょう」
「それが彼に出来る、唯一の事だ。Narumi、僕に合わせて」
ふざけるなっ! 何でお前がそこにいるっ!? 俺の分まで力とDestinyとFortuneを持って行ったくせにっ! なんでそんなHero面で俺に止めを刺そうとしている!?
なんでお前なんだっ、何でよりによってお前なんだ!
俺の第二の人生が悲惨だったのは、全てお前のせいなのに! 百のChampionだと? 俺だけをのけ者にして、俺を殺すのか!?
声なき声で罵声を上げても、HirotoとNarumiの手から放たれた眩い光に抵抗する事も出来ず、Hirotoは塵に成って消えてしまった。
「それもこれも全てお前のせいだっ! 何が神だっ、何が第二の人生だっ、お前は俺を前世以上のHELLにthrust落としただけじゃないかっ!」
黒い霧のような物を纏わりつかせたHirotoの拳は、Rodcorteにかすりもしなかった。それが人と神の差というものだ。
「-kunには、本当に悪い事をしたと思っている」
以前と同じ事を言いながら、Rodcorteは荒れ狂うHirotoの魂に、彼の抱えた事情を伝えた。神の力で伝達された情報は、一瞬でHirotoの頭の中に浸透する。
「……つまり、三度目があると?」
「そうだ。これはOriginに-kun達がreincarnationする時、既に仕込んである。今度は拒否する機会は無いし、私が中止させる事も出来ない」
何とも理不尽な話である。しかし、Hirotoにとってその話は渡りに船だった。
「そうか……だったら次のworldで奴らを殺してやるっ! 俺を殺した奴らを、一人残らず殺すっ!
俺が最初に死んだんだろう!? だったら俺が最初に二回目のreincarnationをする訳だっ、だったら俺が一番有利だっ、今度はこっちが奴らを殺してやるっ!」
先に大人になって、力を付け、後からreincarnationしてくるAmemiya Hiroto達をchildの内に見つけて殺してやる! それなら特別な力を何も持たない自分でも可能なはずだ。
「さぁ、早く調整って奴を施してくださいよ、Kami-samaっ。今度こそはFortuneもDestinyもあるよなっ? だって俺が最初に死んだんだ、誰かと間違えたなんて事はもう無いだろう!?」
「……-kunに与える力は無い」
しかし、RodcorteはHirotoの魂を軽く押すように、ぽんっと掌で押し出した。
「えっ?」
それだけでHirotoは徐々にAccelerationしながら、何処かに向かって落ちて行く。
「この場で出来る調整は、新たに何かを加える事のみ。だが、-kunに力を与える事は出来ない」
「なんで!? また俺だけ何もnoneなんて、そんなの有りなのか!?」
「-kunに、他のReincarnatorを殺される訳にはいかないからだ」
Rodcorteは徐々に小さくなって行くHirotoに声をかけながら、すまないと詫びた。
「-kunが他のReincarnatorを殺しては、worldのdevelopmentが妨げられてしまう。-kunのOriginでの死は、不幸の積み重ねだった。Amemiya Hiroto達が-kunの存在に最後まで気がつかなかったのも、それと同-samaだ。しかし、それを言っても-kunは納得しないだろう」
Hirotoが船で死んだ後Originにreincarnationする前に居たのは、魂達が集まっていた場所の端だった。そのため、Hirotoの事を誰も見ていなかった。
更に魂達の中で一人だけreincarnationを拒否した人物がいた。
とどめに、Hirotoがreincarnationしたのは最後だった。
そのため、Amemiya Hiroto達はHirotoがいなくても「偶然生き残っていて、自分達と一緒に死ななかった」、若しくは「あの人と同じようにreincarnationを拒否した」のだと思われてしまった。
更に、再会した時Hirotoの姿は度重なる人体実験のせいで顔がすっかり変わっており、Narumiも気が付く事が出来なかった。
「全ては私の不手際が招いた不幸だ。諦めず、誰かを恨まず、前向きに生きて欲しいと-kunに願ったが、それが不可能な人生を歩ませてしまった。
-kunはOriginで、death attributeの発見と新たなmagicのdevelopmentによって、Originのdevelopmentに寄与した。その-kunに何の報酬も渡せず、三度目の不幸な人生を歩むと知っていながらreincarnationさせる事を許して欲しい」
許せるはずが無いという意思が、遠のきつつあるHirotoの魂から発せられるのを感じられる。
「なので、私が出来るのは-kunが罪を犯す前に愚かな復讐を諦め、suicideするよう促す事だけだ」
すると、Rodcorteの手の上にヘドロのような物が出現する。そしてそれは、次の瞬間Hirotoに命中していた。
「!!!!???」
激痛に絶叫するHirotoに、Rodcorteは告げた。
「それはCurseだ。決して解けない。このCurseによって、-kunは新しいworldでも力を得る事は出来ないだろう。だが、四度目の生では辛いMemoryを全て洗い流し、通常のReincarnationに戻す事を約束しよう」
Rodcorteの嬉しくない約束に反論する時間も無く、Hirotoの意識は途切れた。