monstersのrunawayによって起きたmonstersの群れと、謎の賊との戦いに勝利した日から二日後、記念のparadeが行われる事となった。
通常ならその日の内に行うが、あの戦いは『通常』の範囲から逸脱していた。Moksiの町にとって、それだけ大きな戦いだったのである。
結果的には死人は賊と、森から逃げ遅れた者が数名だけ。injure人は大勢出たが取り返しがつかない障害を負った者は一人もいなかった。敵にRank8のThunder DragonやMountain Giantがいた事を考えると、歴史に残るほど軽微な損害の勝ち戦だ。
しかし、monstersの群れの規模とその戦力を聞いた時は領主のIsaac Moksi Earlを含めて、誰もが町は滅びると確信していた。そのため、戦いが始まる前に早馬がAlcrem Dukeと周辺の領地を治めるNobleに向けて出されていた。
町を強力なmonstersで構成された群れが襲った事、恐らく町は滅亡する事、そしてmonstersの群れに対して早急に対策を取り、被害を食い止めて欲しい。そして出来れば避難する民達に手厚い保護を願う事を記したletterを携えて。
更に、早馬に乗った者達はすれ違う商人や旅人達に対して、すれ違う時にMoksiの町がmonstersの群れに襲われている事を叫んで警告する。彼等が何も知らず町に向かい、monstersに襲われる事を防ぐために。
Earlと同じように商業やMage、adventurer、そしてTamer guildもそれぞれの手段で他のbranchに連絡を取っている。
Earlと各guildの長は戦いの後、町が無事である事を知らせる連絡を各地に回す為に忙殺される事になったのだった。
同時に、賊の死体の検死と所持品の検分も行われた。
賊とは、正門に現れた二人とVandalieuを襲撃した約十人、そして森の中で『Hungry Wolf』のMichaelことMilesと戦った一人の事だ。
普通なら賊の調査にそこまで力が入れられる事は無い。賞金首ではないか、他に仲間がいないか、顔や所持品、そして本人を尋問して吐かせるぐらいだ。死体を解剖して調べるような事はしない。
しかし、Earlたちにとってその賊達……Hajime Fitunとその配下、そしてMurakami達は普通の賊ではなかった。
行動の奇妙さは改めて言うまでもないが、最もおかしいのはその実力である。
正門に現れたTamerの女とMageの青年の実力は、ただの犯罪者と考えるには高すぎた。そして物見の塔から目撃され、正門からでも伺う事ができた、Vandalieuらを襲った賊達。Milesが森の中で倒した一人も、現場を見ればBClass……いやAClass adventurer並の実力の持ち主だったかもしれない。
草原の一部は焼け野原になっていたし、Miles達の戦いの余波で樹木が倒れた事で、森にはちょっとしたOpen Plazaが出来上がっていた。
どう考えても、賊の類が持っていい力の大きさでは無い。彼らの言動の奇妙さもそうだが、得体の知れない大きな力が働いているのではないかと疑うには、十分すぎる。
そんな賊を撃退したVandalieu達やMilesの実力も、常識から大きく逸脱しているが……彼らに関してEarlは以前から尋常な存在ではないだろうと察していたし、何より彼らは賊に襲われ町を守るために戦った側だ。
そのためEarlはVandalieu達の事はとりあえず置いて、賊の詳しい調査を行う事を優先した。
本来なら尋問も行いたかったが、賊は全員死亡しているため死体の検死のみ行われた。
執り行ったのはEarl 家のお抱えMage、そしてMage guildのMageやalchemist、そして共同templeのPriestの中から選ばれた者達だ。
『Earth』や『Origin』の法医学とは異なるが、全員が人体の構造に精通した者達である。
「おかしい、これは本当に賊の死体なのか? まるで死にかけの傷Disease者か、老人のようだ。だと言うのに、organizationに大量のManaが残存している。Mageだけではなく、Manaが少ない傾向にあるはずの前衛職や盾職の賊からもだ」
「muscleや筋がボロボロで、boneも脆く、軟boneは摩耗していて、臓器の幾つかは崩れる寸前。そして、頭蓋の中は細いblood vesselが破裂したのかbloodまみれになっている。
これでは半死人ではなく、ほぼ死人です」
解剖した結果。賊の内殆どの者が、死ぬ前から既に死にかけていたconditionだったと明らかになった。
「このconditionは、【-Surpass Limits-】や【-Transcend Limits-】を繰り返しActivateさせたBerserkerの死体を解剖したrecordに酷似している。だが前衛職はともかく、何故rearguard職のMageの死体まで?」
「……たしか、昔聞いた事があります。ある神に愛されたHeroが、強力なMajin Raceを倒す為に死を覚悟で神に祈ったそうです。己の力に余る存在をBodyに降ろして欲しいと。
そのHeroのBodyに降りたのがHeroic spiritか、神のSpirit Cloneかはrecordに残っておりません。しかし、この死体のconditionはそのHeroと同じ物です」
Paula Priestのその証言に、解剖を執り行った者達は注目した。彼らの多くは正門での戦いに加わっており、そこでTamerの女やMageの青年のbody partが、淡く輝いていたのを見ていたからである。
Familiar SpiritやHeroic spiritがAdventした時天から降りてくる光の柱は、Moksiの町周辺ではDarciaが【Familiar Spirit Advent】を使った時以外目撃されていない。しかし、賊の実力を考えるとbody partに神のFollowersを降ろしていたとしても、不思議はないと考えたのだ。
それに賊の一人、CClass adventurerで元『剛腕』のGordonは暫く前に町で目撃されている。その際はCClass adventurerとして相応の力しか持っていなかったはずだ。短期間でBClassやAClass adventurerに匹敵する程高い力を得られるとは考えにくいので、彼がGordon本人なら何らかの存在が力を貸していたとしか思えない。
MurakamiとAkiraの死体は致命傷以外の損傷は軽微だったが、それでも賊の殆どに同じ痕跡が出ている事は無視できなかった。
そしてPaula Priest達のconjectureを裏付ける報告を、賊の所持品を調べていたalchemistがもたらした。
「Orichalcum! Orichalcumが賊のWeapon Equipmentに使われておるぞ! 特に興味深いのは、このOrichalcumのメッキが施されているMythrilやAdamantiteのWeapon Equipmentだ!
どれもこれも新しい……一年以内に作られた物ばかりだ!」
まず、賊の装備品にOrichalcum製のWeapon Equipmentが含まれている事が分かった。それも、作られて一年以内だと言う。
Orichalcumは自然には見つからず、GodsしかRefiningできず加工できないとされている魔導金属の頂点に位置する金属だ。
だからこのWeapon Equipmentを創ったのも、そして賊に与えたのもGodsという事になる。彼らの背後に神が存在している事の証拠である。
「ま、ま、Demon KingのEquipmentじゃ! 間違いない! 儂は三十年前一度【Demon King Fragment】をsealedする方法について研究していたが、その時本物のDemon KingのEquipmentを見た事がある!その時見たEquipmentとは違うが、これはDemon KingのEquipmentじゃ!」
だが、続く報告にPriest達だけでは無く同席していたKnight達も度肝を抜かれ、冷静さを失いかけた。
「何度折っても柄から新しい刃が生えてくる不思議なMagic Swordだと報告されていたが、まさかDemon KingのEquipmentだったなんて!」
「Priest -sama! 早くっ! 早くsealedしてくだされぇ!」
sealedされている【Demon King Fragment】を使い、Weapon Equipmentとして使えるよう加工したDemon KingのEquipment。その性質上、加工前よりもsealedの効力が弱まっている。
だからと言って簡単に壊れる事も無いはずだが……【Demon King Fragment】の恐ろしさはよく知られている。幾つかfragmentのsealedが解け、runawayする事件が起きている最近では特に。
「sealedと言われても、Equipmentに使われているfragmentは既にsealedされています! これ以上の措置は私達でも簡単には出来ません」
「通常ならGodsに祝福されたroomに、Orichalcum製か、Orichalcumの金属板を張り巡らせた箱に入れて保管するしかない。
ですが、共同templeではそのような本格的な設備は無く、不可能だ」
「それでは、何処なら可能なのです!?」
「確か、最も近いのはAlcremシティのAlda temple、とFitun temple、Ricklent templeですが……」
「その内、Fitun templeは今頃どうなっているか分かりませんね」
Moksiの共同templeで祭られているFitunのIdol Statueは、monstersの群れとの戦いの最中、突然割れた。そしてPaula Priest達と共に将兵の援護を行っていたFitunのPriestも、Manaが枯渇した訳でもないのに昏倒し、今もまだ目を覚ましていない。
Priestが昏倒しただけなら個人の問題だが……Idol Statueも同時期に割れている。共同templeの関係者とEarl達がつい先月に起こった、Alda Idol Statueが携えている書物のDecayとPriestがfaintedした事件と結びつけるのは当然だった。
「分かりました。とりあえずAlcrem DukeにEquipment発見の報告と、安全に保管するための援助を乞いましょう。それまでは我がKnight団がこのEquipmentに誰も近づかないよう、二十四時間体制で警備します」
「では、我々はEquipmentの出所を探りましょう。Demon KingのEquipmentは、sealedを人の手で加工して作ります。その性質上Dungeonで発見される事は無い。
Orichalcumの武具以上に希少な物です。各templeやMage guildに問い合わせれば、何処から持ちだされたのか判明するでしょう」
「遺跡で眠っていた物を賊が発掘した可能性や、どこかの秘密部隊や邪悪な神の教団が所有していた可能性もありますが、だとしても確認は必要ですからね」
「分かった。後は彼等と戦った者達からの事情聴取だが……Earl -samaも同席し、限られた人員で行われる予定なので、後日となる」
一般的にはGuardやAdventurer’s Guildの職員が行う事情聴取に町の最高権力者が同席し、関わる人員を制限する。
Vandalieu達の口から公には出来ない重要な真実が述べられる事を、Earl達が考えている証拠であった。
Minotaur Kingの巣で手に入れたDemon King FragmentをRicklent templeに預けた『True』Randolphは、そのままAlcrem Duchyを出てOrbaumのCenter、Elected King領に戻っていた。
十年に一度行われる選挙で各Duchyから選ばれるElected Kingの直轄地だが、実際はElected Kingに仕えるMarquisやEarl達の領地である。
Prime MinisterのTelkatanisやMarshallのDolmadなど、警戒すべきNobleも多いが現Elected King出身のDuke 家以外のDukeの力が及びにくい地でもある。そのためRandolphは、ここ数年Elected King領に隠れ家を設置していた。
……辺境の田舎の方がNobleからの干渉を避けられるが、それだと情報が手に入り難い。気がついた時には国が滅亡の危機に瀕している、なんてこともあり得る。
国難に際して立ち上がり、災禍を避けて逃げるためには情報が必要なのだ。それに、早く気がつけば自分だけでは無く友人知人を助ける程度の余裕もあるだろう。
そして彼は適当な酒場で食事をとっていた。
「『God of Records』に続いて、『God of Thunderclouds』もか。Vampires serving Evil Godsのorganizationも壊滅conditionのようだから、『Evil God of Joyful Life』もどうなったか怪しい。
……Elective Kingdomの滅亡より先にGodsの方がどうにかなりかねないとは、どうしろと言うのだ」
だが、とても穏やかに食事を楽しむ気分では無くなっていた。
Randolphは神に祈るのを止めて久しい。久しいがIdol Statueが砕け散り、Fitun templeのHigh Priestが説法の途中で昏倒し、更に倒れるPriestやClericが続出するような事件が起これば、耳に入る。
耳に入るが、accurateに事態を把握できているとは言い難い。自分の手の及ばない所で、重大な事件が立て続けに起きている事は分かるが。
Elective Kingdomが滅亡するような事になっても生き残る自信が、Randolphにはある。しかし、Godsがどうにかなるような未曾有の事件……それこそDemon King Guduranis率いるDemon King Armyとの戦争や、AldaとVidaの戦いのようなworld規模の危機が起きたら、対処できる自信は流石に無い。
Bahn Gaia continentから脱出する事は出来ても、このworldから脱出する事は出来ないからだ。
中途半端に事態の深刻さを想像できる自分が恨めしい。
「あのHigh Priest -samaもageだったからな」とか「いやいや、きっとtempleの厨房で腐った材料を使ったんだろう」「へぇ、じゃあIdol Statueが砕けたのは、お供え物が腐っていたからか!」等と酒場で騒いでいる能天気な酔客を羨む日が来るとは思わなかった。
「……あの町に残っていれば、何か分かったかもしれないな」
彼はMoksiの町に立ち寄らずNataniaとJulianaの二人を、HellhoundをTamerしている隻腕の男に預けて、騒ぎ出した【Demon King Fragment】のsealedを持って立ち去った。
その後の出来事は、詳しくは知らないが……聞こえて来るのは与太話としか思えない噂ばかりだ。
曰く、Alcrem DuchyのMoksiという町で、Dark Elfの女PriestがVidaのFamiliar SpiritをAdventさせた。
曰く、商業guildのサブMasterがそのDark Elfを毒fangsにかけようと汚職Guardを使ってTrapにかけようとしたが、領主に仕えるKnightが成敗した。
曰く、Moksiの町のFood StallではDhampirの店主がGoblinやKoboldの肉を出していて、信じ難い事に飛ぶように売れている。
曰く、Dhampirの凄腕Tamerがいて、希少なraceや新種のmonstersを次々にTamerしている。
これらの噂の半分は嘘だろうとRandolphは思っている。しかし、残りの半分は真実だろうとも思っていた。特に、最後の噂に関しては。
「MoksiにDhampirが居る事は事実らしい。そして俺が見たHellhound……あの時見た男はDhampirでは無くHumanだったが、あれは俺の早合点だったかもしれない」
あの隻腕の男はTamerでは無く、その関係者。そして本当のTamerは、その場を離れていたDhampirだったかもしれない。
ただ、だとしても最近起きた事件にそのDhampirが関わっている根拠は無い。希少なrace出身の、才覚に恵まれた人物だからと言って、worldの中心に居る訳ではないのだ。
しかし、Randolphには確信があった。
「今考えてみれば【Demon King Fragment】が騒ぎ出したのは、そのDhampirがTamed Monsterの元に戻ろうと近づいて来たからかもしれない」
あの時、町から遠ざかった途端【Demon King Fragment】は大人しくなった。そして、それからRicklent templeに預けるまでsealedが破れそうになる事も、【Demon King Fragment】が騒ぎ出す事も無かった。
あれはsealedが弱まっていたからではない。あの町に何かが……【Demon King Fragment】がsealedにimpactを与える程渇望する何かがあるのではないか。
それが、噂になっているDhampirかもしれない。そして、昔は数百年に一度あるか無いか程度だったのに、最近は度々runawayしている【Demon King Fragment】の目的。
そんなものはrevival以外にあり得ない。
「考えられるのは、そのDhampirが【Demon King's Core】だとか、main bodyかそれに類するfragmentをbody partにInfestさせている事。そんな聞いた事も無いfragmentが存在するならだが」
【Demon King Fragment】は同じfragmentを探し、Fusionしてrevivalしようとする。それがRandolphの産まれる何万年も前から伝えられてきた話だ。同じfragmentなら、どんな部位のfragmentでも関係無い。
heartだろうが、小指だろうが、fragmentにとっての重要度は変わらない。特定のfragmentを目指して集まるなんて、聞いた事が無い。
だから【Core】と言うfragmentは存在しない確率が高い。したとしても、templeでは無くGodsが直接sealedしているはずだ。Demon Kingの魂同-samaに。
「だとすると、こっちの方が突拍子は無いが……」
(DhampirそのものがDemon Kingのmain bodyなのかもしれない)
後半は声に出さず、胸の中だけで呟く。このconjectureが当たりでも外れでも、Spirit Magicで自分の声が周囲に聞こえないようにしていたとしても、軽々しく口に出して良い事では無いからだ。
「幸いfragmentはもう手元に無い。直接調べてみるか」
流石にworldの危機は放置できない。Randolphはtableに代金を置くと、旅支度をするために席を立った。
paradeは盛大に行われた。楽団が楽器を奏でる中、先頭を歩くのはVandalieu……では無くDarciaである。
そしてZadirisとBasdiaが続き、VandalieuはMilesと更にその後ろを、SimonやNatania、Kanako達三人組、そしてFangやMaroll達と一緒に歩いている。
「おお、『Holy Mother of Victory』-samaだ!」
「Holy Mother -samaーっ! お蔭でうちの人が助かりました! ありがとうございます!」
「あれが噂の『Holy Mother of Victory』-samaか。一部じゃ鋼母-samaとか、猛母-samaとか呼ばれているらしいから、どんな女傑かと思ったが……」
「何だ、お前-san、今朝町に来たばかりなのか? 歓楽街の店に行けば、Holy Mother -samaはいつでも微笑んでくださるぜ」
「へぇ……そいつはいいな。それで、店のnameは? あと一晩でどれくらいかかるんだ?」
「Food Stallに店名なんてあるかい。串焼きに使う肉は毎日変わるから、値段は自分で聞くんだな」
「は、Food Stall? 串焼き?」
一部に妙な勘違いをした者もいるが、町の人々からの注目はDarciaが最も高い。何故なら町を守るため正門に集まった全ての将兵とadventurer、mercenary、Mageの前で大活躍したからだ。
ただmonstersと戦うだけではなく同時に付与magicでallyをEnhanced (1)し、回復magicでinjure人を癒し続けたからだ。
「『Giant Splitter』もいるわよ!」
「『Owner of the Magical Staff』もだ! paradeに参加させる事だけじゃなく、先頭groupで歩く事を許すなんて、Earl -samaも粋な事をするじゃないか!」
そしてDarciaと同じく正門で戦いに参加し、Knightやadventurerを奮起させたBasdiaとZadirisが続く。
Mage guildのMage達よりも巧みな術でmonstersを倒し、allyを援護したZadiris、そして賊の一人がmagicで創り上げたgiantをSlash倒した、Basdia。
二人とDarciaの活躍は、戦いに参加していた者達だけではなくMoksiの町で暮らす者のほぼ全員が伝え聞いていた。
既にBardが歌の題材にしているほどである。
certainly、Dark ElfであるDarciaとGhoulであるZadirisとBasdiaにparadeの先頭を歩かせる事に、難色を示す者はいた。
accurateには、Darciaは仕方ないにしても、あのGhoul達はparadeのもっと目立たない所を歩かせればいいのではないか。少なくとも、Knight団より前に歩かせるべきではない。そうEarl 家の家臣が何人かが主張したのだ。
Moksi Earlにも、政敵が存在する。その政敵にOrbaum Elective KingdomでmonstersとされるGhoulを、己の家に仕えるKnight団よりも高く評価するのを見せるのは、隙になるのではないか。
そう危惧したのである。
しかし、その他ならぬKnight達が「彼女達の前を歩くような恥知らずな真似は、Knightの誇りにかけてできません。どうしても歩けと言うのなら、我々はparadeが終わるまで健康上の理由で暇を頂きます!」と主張したため、反対した家臣たちも黙るしかなかった。
「『Flying Sword』のSimonや『Iron Cat』のNataniaもいるな。俺、あのSimonと依頼で組んだ事があるんだぜ」
「はいはい、去年草むしりの日雇い仕事で一緒だったってオチの話でしょ。知ってるわよ」
「Nataniaのあの走り、Human業じゃなかったね。mouseのmonstersとのCoordinationは痺れたぜ」
「おい、あのHellhound、なんだかデカくなってないか? mouseのmonstersも-sama子が前と違っているような?」
「Rank upしたんだろ。激戦だったらしいし。何でも、戦いに参加した連中は全員Job changeしたらしいぞ」
「そんなにExperience Pointを!?」
「ああ、俺の知り合いも成長の壁を越えたって喜んでたよ。何しろ、Rank5や6のmonstersが数え切れない程いて、DragonやGIANTも居たからな」
「そりゃ凄いな。この町からDClass adventurerが居なくなるんじゃないか? 昇Classで」
「いや、幾らなんでもそれは無いと思うが……CClass adventurerが増えるかもな」
少なくとも、町の防衛力は数割上がったと言われている。特に、それまではあまり精強では無かったKnight団やGuardが一段強くなったのが大きい。
とは言っても、流石にまた同じ質と規模のmonstersのrunawayが起こってもKnight団とGuardだけで対応できる程ではないが。
一方、それ以外の先頭groupを行く者達に対する町の者達の印象は、やや薄かった。
「なあ、あの男、『Hungry Wolf』のMichaelだよな? 何でparadeの前の方にいるんだ? Hungry Wolf警備の活躍は知っているが、それを表彰するにしてもそんな前じゃなくても……」
「それとあのDhampirの、確かVandalieuって言ったっけ。Holy Mother -samaが活躍したからって、親の七光りが過ぎるんじゃないか?」
「それ以外のあのDark ElfとElf、それにあの褐色の少年は誰だ?」
Vandalieu達は正門の戦いに参加しておらず、戦いを目撃したのも物見の塔のGuardが二人、それも遠目からなので、一般人にとっては活躍した印象が薄かったのだ。
そのため、実際には敵方の首領であるHajime Fitunを倒したVandalieuよりも、Darcia達の活躍の方が知れ渡り、評価されていた。
「kaa-sanとZadiris、Basdia、pupilsに仲間が評価されて誇らしい」
Vandalieu自身は、それを全く気にしていなかったが。寧ろ誇らしげですらある。
「……まあ、お前の事だから細かいこだわりは無いだろうと思っていたけど、気にならないのか? 俺は若干気になるぞ。出来れば、こそっと抜け出たい」
観衆に「誰だ、あいつ」扱いされているDougは、歩きながらそうVandalieuに話しかけた。
手柄に関してVandalieuが気にしない事については、Dougも疑問に思わない。Hajime Fitunがただの賊では無く、受肉した『God of Thunderclouds』本人である事を黙っていた時点で、世間からの評価がどうなるかは想定出来たからだ。
それに、Vandalieuなら手柄を立てたければ幾らでも立てることが出来る。Orbaum Elective Kingdomの港から出航し、とっくに到達しているDemon continentと往復して見せたり、Elected King領にあるAClass Dungeonを一人で攻略して見せたり……近場で良いなら、森の中に在るだろうmonstersのrunawayを引き起こしたDungeonを探して攻略すれば、簡単に歴史に残る上に派手な偉業を打ち立てられるからだ。
Dougが気になったのは、他人からの視線に晒される事である。悪意は無いが困惑の視線を向けられる事は、あまり心地良い物では無い。
「大丈夫ですよ、時間と共に評価はされます」
しかし、Vandalieuはそう言って、観衆の方を見るよう視線で促す。
「知らないのか? 正門に現れた賊が居ただろ。その賊の仲間が他にも町の外に居て、彼等はそれと戦ったんだぞ」
「俺の弟がGuardをやっているんだが、凄かったらしいぜ。賊が町に向かって放ったMartial Artsやmagicを防いだって話だ」
賊の強さに関しては、大体がBClass、若しくはAClass adventurerに匹敵すると言う事が既に知れ渡っている。正門の前に現れた二人がAClass相当で、他がBClass相当だろうと。
Earl達が流した誤情報が、BClass adventurer相当でもかなりの脅威なのは変わりない。
「あのchildがか!?」
「いや、聞いた話だと防戦一方だったらしいけどな。距離をおいて何か投げたり、magic itemから光線を放ったりしたらしい」
「主に戦ったのは、きっとあの三人さ。特にあの御嬢-san方は、Holy Mother -samaと同じ『あれ』が出来るらしい」
「本当か!? 実は娘が『あれ』を見たいって夢中なんだ! 今日もやってくれないかな~」
「うちの息子もだぜ。それに聞いた話じゃ、領主-samaのご子息もfanらしい。きっとCenter Open Plazaでやってくれるさ」
「それより、その『あれ』に必要な杖や斧は、あの『King of the Stalls』Vandalieuしか作れないらしいぜ。噂じゃ、秘伝の製法がどうとか、Unique skillがなんたらって話で」
「……要領を得ない話だが、確かに『Genius Tamer』の周りの奴らは大体持ってるな」
「他にも、町に向かってくるDragonやGIANTの内、何匹かを毒か何かで混乱させて、攪乱したらしいわよ。確かに戦ってはいないけど、町を守った立役者には違いないわ」
「そもそも、『Giant Splitter』と『Owner of the Magical Staff』をTamerしているのはあの少年だしな。『Iron Arm』と『Iron Cat』を鍛えたのも彼だそうだし」
観衆のそこかしこで、Vandalieu達を評価する声が聞こえる。それに続く形でDoug、そしてKanakoやMelissa、Michael(Miles)を称える声も。
「……SNSやtelevisionが無くても、情報ってのは広まるもんだな」
「当たり前です。一昨日は特別にOpen Plazaで、そして昨日からは歓楽街でお店を開いて、あたし達がどれだけ話を広めたと思っているんですか」
「結局Transformまでしたものね……お蔭でお客-sanに何度同じ質問をされたか、もう覚えてないわ」
Dougの呟きに観衆に向かってSmiling Faceで手を振るのを止めずに、口だけでそうKanakoが返した。Melissaも、疲れた声でそう続ける。
Kanako達は別に狙って情報操作をしたわけではない。ただ話題の人物が気軽に行ける場所で店を開いており、話しかけやすそうな店員が居たので、集まった客達が好奇心のまま質問をした。それに答えていただけである。
そしてparadeはCenter Open Plazaに着き、そこでIsaac Moksi Earlや町の高官や各Guild Masterたちに出迎えられる。
「じゃあ、皆行くわよ!」
「……うむ、仕方あるまい」
「憂鬱だわ」
「……肩身が狭いったらねぇんですが」
「オレ達、ちょっと毛色が違うんじゃないかな?」
「いいから、timingを合わせて行きますよ!」
「「「「「Transform!!」」」」」
Darcia達がHaoriっていた上着を脱ぎ、一斉にEquipmentを掲げてTransformする。Equipmentから液体金属がSlime状になって離れ、SimonとNataniaの義肢も同じく形を変える。
観衆からは割れんばかりの歓声が響き、KnightやSoldier達も彼女達の勇姿を熱狂的に称える。
「……凄い光景よね。『Earth』や『Origin』でも、こうなの?」
「childはそうだが、大人はここまでじゃないと思うぜ」
「Equipmentの製造者として、とても誇らしい」
Miles達がそれぞれ所感を述べる。
Transformはしたが、流石にこのまま説法(Concert)をする事は無く、観衆が鎮まるのを待って領主であるMoksi Earlが演説を始めた。
paradeの一日前。
Isaac Moksi EarlとKnight Delegation Leader、そして数名の高官によって行われた事情聴取は、一人一人では無く全員揃って行われた。
それは聴取側であるEarl達に、無理に情報を聞き出そうという意図は無いと言う無言の宣言であった。
それに対してVandalieuは、話して構わない事は大体話している。
Reincarnatorや受肉していたHeroic spirit、神について。そして自分達の正体については話さない。
物見の塔から見えたVandalieu達の奇行……爆発はAlchemyで作ったmagic item、怪光線は杖の機能の一種、鞭状の物を振り回していたように見えたのは、袖に隠していた鞭を使っただけ。高度なMartial Artsを使い、賊に何度も斬られたように見えたが、服以外無傷に見えるのは目の錯覚。
Kanakoの【Venus】は気がつかれていなかったのでしらばっくれ、Dougの【Hecatoncheir】は「【Telekinesis】の効率の良い使い方を先祖代々研究しています」と、Melissaの【Aegis】は「magicで創ったBarrierです」と嘘をついた。
GIANTに潰されたように見えたのに無傷で戻ってきたIsisは、運良くgiantに直撃する事は無かったが、衝撃でfaintedして倒れていただけ。物見の塔から見えなかったのは、何かのshadowになっていたからだろうと説明した。
尚、彼女達の身分は、既に一度町の門を出入りしているため深くは疑われなかった。Kanako達はadventurerで、Isisはただの旅人で、全員Vandalieu、そしてDarciaの知人と言う扱いである。
……門番をしていたGuardから詳しく聞きとれば、当日正門を出入りしていない事が分かるはずだ。しかし、Kanakoがmonstersの群れが迫っていると知って、門が混乱している内にVandalieuを迎えに行くために外に出たと言ったため疑われる事は無かった。
そしてKimberlyについては、「通りすがりに助太刀してくれたadventurerで、Wind-Attributeの付与magicを使っていた。町に入らず何処か行ってしまいました」とだけ答えた。一瞬姿を現したOrbiaに関しては予定通り「Dark Elfの隠れ里の大Elderが施してくれた秘術です。詳細は分かりません」と述べた。
ほぼ嘘だが、賊に関してはそれなりに答えている。敵がFitunのHeroic spiritの名を名乗っていた事や、Heroic spiritをAdventさせていた事。使用していたMartial Artsやmagicの名称までaccurateに答えた。
その狙いが、Vandalieuの首だった事も。
「なるほど……どうやら賊は、『God of Thunderclouds』Fitunが選び、blessingsやHeroic spiritを貸し与えたHero達だったようだ。monstersのrunawayに関しても、もしかしたらかの神の意思が働いていたのかもしれないが……そこまでは分からん」
全てを聞き終えたEarlは、疲れた表情でそう纏めた。
「各地でFitun神の像が割れ、Clergymanが倒れているらしい事が耳に入っている。恐らく、この件でAldaから罰を受けたか、それともHeroが倒された事でFitun神main bodyに何かあったのか……それはともかく、僅かな時間でCClass adventurerだったGordonや、DClassの『Flame Blade』達を、Heroic spiritをその身に降ろせるほどのHeroにする事が出来るとは。最終的にはBodyが耐えきれず死んだとしても、恐ろしい話だ」
賊の内身元が分かっているのは町に来た事があるGordonと近くの町で活動していた『Flame Blade』のみで、それ以外の賊の身元はまだ判明していない。
HajimeやMurakami達はAdventurer’s GuildのCardを何処かに置いて来たのか持っておらず、正門に現れた二人とKizelbainが受肉したbody partの持ち主は、Vandalieu達も知らない。
しかし、Hajime達はAdventurer’s Guildに登録していたので、身元はいつか判明するだろう。……【Sylphid】で体が気体になっていた為最初から誰にも目撃されず、死体も残さなかったMisa Andersonは難しいだろう。しかし、そもそもEarl達は彼女の存在を知らないので特に問題にはならないはずだ。
「もう同じ事は出来ないと思います、領主-sama」
深く溜め息をつくIsaacに、Vandalieuは偉い人に話す時の口調でそう述べた。
「何か根拠があるのかね?」
「私が戦った賊のHajimeと言う人物が、Gordon達が強くなったのは自分のお蔭だと言っていました。これはconjectureですが、彼は特殊なUnique skillか何かを持っており、それでGordon達を短期間で成長させたのではないでしょうか」
【Marionette】の事を黙ったまま、特殊なUnique skillとして説明するVandalieu。
Earlは「なるほど、Unique skillか」と言ってnodと、とりあえず納得したようだ。
「少なくとも、今日明日同じ事が起こる事は無いか。……ではVandalieu Zakkartと皆よ、貴重な証言と情報の提供に感謝する。
これからも、よろしく頼む」
Earlはそう言って、Vandalieuに握手を求めた。
昨日の事を思い出して、Milesは演説を続けるEarlを見ながら呟いた。
「てっきりワタシ達に町から出て行くように言うかと思ったけど、宜しく頼む、ねぇ」
賊……FitunのHero達だろうとほぼ固まった者達の狙いが、Vandalieuの首だった。つまり、先日の事件はVandalieuが町に居るから起こされたようなものだと、Earlは知ったのだ。
そうである以上、Earlは自分達を町から追放しようとするだろうとMilesはconjectureしていたのだが、それは見事に外れた。
「それも考えなかった訳では無いのじゃろうが、意味が無いと思ったのじゃろう」
「もうこの町は、Vanに対して人質として使えると知られている。なら、我々を追放しても『敵』が町を狙わない保証は無い」
「だから、師Artisan達を追い出すんじゃなくて、allyで居続けて貰おうって事か。……おNoble -samaの考える事はややこしいなぁ」
Milesに、ZadirisとBasdiaがそうEarlの考えをconjectureして聞かせ、最後にNataniaがそう言って顔を顰めた。
「後、町の人達の事も考えたと思うのよ。それで私達が居なくても、もう関係無いと思ったのかもしれないわ」
襲われる前からVandalieu達は、Moksiの町に受け入れられていた。歓楽街での商売やSlumでの事業、共同templeでDarciaが見せた【Familiar Spirit Advent】。
真実を知らない民草からの名声が既にあり、monstersのrunawayを鎮めた事で更に高まっている。
町のVida believerは増え、Adventurer’s Guildではadventurerや一般市民からの声に応えてGhoulの討伐依頼をボードから外している。
ここまで人気と名声があるのなら、Vandalieu達が追放されたとしても『敵』は町から狙いを逸らす為に、Vandalieu達が自ら町を離れただけだと考えるかもしれない。その場合、結局『敵』から狙われる事になる。
だったら、追放してもVandalieuとの関係と民草の自分の領政に対するemotionsが悪化するだけで、良い事は何も無い。
「しかし……どうにも慣れないッスね。俺には過分なHonoraryだと思うんでけどね」
そう口元を引き攣らせるSimonに、Vandalieuは囁いた。
「Simon、俺が治めるEmpireに戻ったら、またparadeです。今のうちに慣れた方が良いですよ」
Simonは事件の後、真実を全てVandalieuから聞かされていた。それは彼の想像を超えており、まさか自分がEmperorにpupils入りしていたとは夢にも思わなかった。だが、今更「俺は何も知りません」なんて恩知らずな真似が出来るはずが無い。
「……それ、俺が出る必要は無いんじゃないですかね? 道の脇で歓声をあげてるんで、お構いなく……」
「抵抗するとpeerageを与え、サー・Simonにしますよ。養子にして、プリンス・Simonと呼んでも構いません」
「勘弁してください、師Artisan」
そんな心温まる師弟の囁き合いが終わる頃、Earlの演説も終わりが見えてきた。
「では、これより我がMoksi Earl 家よりachievementを称えて勲章を与えるものとする」
Orbaum Elective Kingdomでは、peerageを贈る権限を持つのはDuke以上の者だけだ。世襲できない一代限りのHonorary Noble位でもそれは変わらない。
ちなみに、与えられる勲章の格についても規則があり、最上Classの白金勲章を与えられるのはElected Kingのみ、黄金勲章は十二のDuke 家の当主、そしてMarquisからBaronまでの領主が与えられるのは銀勲章までだ。
「『Holy Mother of Victory』Darcia・Zakkart、『Patron Saint of Transforming Equipment』Vandalieu Zakkart、そしてNameless Heroesに銀勲章を授けるものとする」
Earlから発せられた、『Nameless Heroes』と言う正体不明な言葉に、聴衆がどよめく。
そしてKanakoやDougは口元を押さえ、Melissaは溜息をつく。
「monstersの群れが町に迫る時、逃げ遅れた者達が居た。その者達が町へ逃げる時間を稼ぐため、我が身を犠牲にした者達が居る。それは少年Shoujoや老いた老人達であった。
彼らの遺体は発見されず、また名を誰も知らない。恐らく、生活に困窮したSlumの住人だったはずだ。彼らの勇気、そして良心を称えたい、彼らこそ、真のHeroであると! そしてここに儂は宣言しよう。Slumの貧困対策により力を入れて取り組み、儂の代の内に解決して見せると!」
聴衆から歓声があがる。その中には、謎の老婆に助けられた少年Shoujo達が目に涙を浮かべているのが見えた。
ちなみに、『Nameless Heroes』の石像が建立予定である。
Earlとしては、純粋に彼らの行為に感動したと言う思い以外にもDarciaに向き過ぎている領民の心を自分に取り戻す事や、貧民対策を行う事に対して反対意見が出ないよう支持を得る事、そしてFitunのHeroを差し向けただろう『敵』……神に対して、「真のHeroは彼等だ」と言うため。複数の狙いがあるはずだ。
「Isisというか、Legionも大変ね」
しかし称えられるLegionとしては、罪悪感に耐えかねたらしい。Isisがparadeにいないのは、活躍しているところを目撃されなかったのと……そう言う訳である。
一方、DungeonでHeroic spirit達と戦った者達は家で留守番をしているか、Talosheimで行われるparadeや……その後Vandalieuに打ち明けられる国名の改名について準備する為、国に戻っていた。
『Bocchan達の晴れ姿、見たかったですねー』
『何度も見ているから、一度くらいいいじゃないですか。Talosheimのparadeは、もっと盛大ですよ』
RitaとSalireがそう話している横で、ふとJulianaが口を開いた。
「あの、今Oracleの意味が分かりました。maybe、女Kami-samaが居る場所についてだと思います」