Mountain Giantの死体をThunder DragonとGIANTのZombieによって放り投げられ、Kanako達とGordon・Bobby達はそれぞれ後ろに下がって距離を取った。
そしてgiantの死体を挟んで睨み合う間もなく、戦闘が再開される。
「叩き潰す！ 【Titan foot】！」
Dougが【Hecatoncheir】をActivateさせる。彼は前世、『Origin』でもMental Powerを操る強力な戦闘技能者だった。だが、『Lambda』にreincarnationしStatus systemと出会い、Martial Artsの使い方、そして編み出し方を習得した事で、より強力なWarriorへと成長した。
その一端が、【Unarmed Fighting Technique】を基にした【Hecatoncheir】専用のMartial Artsの開発だ。前世ですら戦車を薙ぎ払うMental Powerは、giantのMonstrous Strengthを上回る凶器と化した。
「【Divine Iron Wall】！ ぐおおおおお！？」
『Flame Blade』のGiant raceの盾職……accurateにはそのBodyを乗っ取ったFitunのHeroic spiritがOrichalcumのメッキを施した盾を掲げて何とかDougのMental Powerを受け止める。
その横を、他のHeroic spirit達が駆け抜けてDoug達の元に走る。
「【電光Single Flash】！」
『Flame Blade』のleaderのSwordsmanのBodyを操るHeroic spiritが、正に電光石火の一撃を放つ。だが、その一撃は透明な壁によって防がれてしまった。
「BAKANAっ！？ 『雷刃』と恐れられた俺の一撃を受け止める防御Barrierだと！？」
驚愕の声をあげるHeroic spirit『雷刃』に、Melissaはgrinningと口の片端を釣り上げた。彼女のAbilityである【Aegis】は、強固なBarrierを張るAbilityで、前世ではほぼ無敵のAbilityだと思っていた。
流石に戦略核等は試す事は出来なかったが、戦車砲やMissileの直撃にも問題無く耐え、Dougの【Hecatoncheir】等他のReincarnatorのAbilityでも破る事は出来なかった。
例外はAmemiya Hirotoの【Ignore Defense】ぐらいだった……のだが、Plutoのrunawayしたdeath attributeのManaによってその自信はあっさりと破られてしまう。
そしてこの『Lambda』ではBarrierが通じない素材が存在すると言う。【Aegis】の防御は、無敵では無くなってしまった。
Orichalcum製のArtifactも、【Aegis】を破る事が出来るWeapon Equipmentの一つだ。しかし……。
「その剣もどうせメッキでしょう。舐められているようで不愉快だわ」
しかし、流石にOrichalcumを薄くメッキしただけのPseudo-、若しくは簡易Artifactくらいは防ぐ事が出来る。
「くっ、その杖で『Transform』とやらをした途端、Barrierの強度が上がっているのか！？」
「確かにその通りだけど、そこに触れないで！」
Transform杖でTransformした事で、MelissaはAbility Valuesやmagicの行使……そして【Aegis】の強度や展開速度がEnhanced (1)されていた。
非常に優れた機能ではあるが、まだ認められない彼女はBarrierの向こうの『雷刃』を怒鳴り返した。
「その女のBarrierは、私に任せろ！」
だが、彼女が何かする前に、『Flame Blade』のBow Userの女のBodyを操るHeroic spiritが、黒い鏃の矢を放ってくる。
「っ！？」
何と、その矢はあっさりとMelissaの【Aegis】を貫通してしまったのだ。
「下がれ、Melissa！ Demon KingのEquipmentだ！」
だが矢の側面を薙ぎ払うようにして放たれたDougの【Hecatoncheir】のお蔭で、Melissaに矢が刺さる事は無かった。
「ははははっ！ その通り！ 隊長のtempleの一つに納められていたDemon KingのEquipmentを持ちだして来たのさ！」
Bow Userの女が背負っている矢筒。それが【Demon King's bones髄】のfragmentを使ったDemon KingのEquipmentだった。その機能はsimpleで、中に矢を入れておくと、鏃に【Demon King's bones髄】から作り出したbloodを付着させ、即席のDemon Kingの矢にすると言うものだ。
つまり、【Demon King Fragment】製の矢製造機である。
「今だ！」
【Aegis】が矢によってglassのように砕け、Swordsmanが再度攻撃を仕掛けようとする。
「【Mercury壁群】！」
それまでThunder Dragon Zombieとその陰に隠れるKimberlyを援護していたKanakoが、二人の窮地に気がついてmagicをActivateさせる。
「フッ、何のつもりだ？」
しかし現れたMercuryの壁は数が多いが一枚一枚が小さくて薄く、とても『雷刃』と謳われたHeroic spirit相手に通用するようなDefense Powerがあるようには見えなかった。
Swordsmanも嘲笑を浮かべながら、Mercuryの壁ごとその裏に居るDougやMelissaを斬ろうとした。
『ばぁ♪』
だが、その銀色の表面にKanakoの顔が映り、彼女の目を『雷刃』は見てしまった。
その瞬間脳裏を占領する、冒涜的な光景！
「うあああああああっ！？ ひあっ、あぁぁぁぁ！？ ごっばぁ！？」
Talosheimの建造物の屋根に描かれた絵画や、旧Scylla Autonomous Territoryのmonolith等、Vandalieuによって【Mind Encroachment】skillの効果を込められた物品を見たMemoryを、Kanakoの【Venus】によって焼きつけられたのだ。
そして混乱してscreechをあげた『雷刃』に、Dougの【Hecatoncheir】が直撃して後ろに吹っ飛んだ。
「Vanのお蔭で、あたしの【Venus】がMental兵器に楽々進化しましたね！ Mercuryを鏡にするmagicも即興にしては良い出来です！」
そう自画自賛するKanakoだったが、吹っ飛んだSwordsmanが多少よろけながらも立ち上がったのを見て、目を瞬かせた。
「ありゃ、思ったよりもDamageがありませんね」
「今の俺じゃあ、あの盾職を押さえながらだとこれが限界だ！」
Dougが額に汗を滲ませて応える。彼の【Hecatoncheir】は、彼が認識できるなら複数の対象を狙う事が出来る。伊達にlegendの百腕giantのnameをCodenameにしてはいない。
しかし、全ての対象に全力はかけられない。【Hecatoncheir】の力を百と仮定して、それを対象ごとに割り振っているのだ。
今は、盾職を押さえ込むのに七十。Swordsmanを殴るのに三十である。
「腐ってもHeroic spiritって事ね。きっとVitalityも見た目より多いわよ、あいつ等」
Melissaが言った通りVitalityが多い為か、Swordsmanは大きなinjureを負っている-sama子は無い。顔色は真っ青だが、それはBodyでは無く、psychological要因によるものだろう。
「あの毒婦めっ、crazyタ格好でなんてエグイ事をっ！」
「油断した貴-samaが間抜けなんだ、idiotめ！ その女はMagic Eye持ちかMedusaだと思え！」
「分かっている！」
Mental力を抉られた衝撃を怒りとKilling Intentに変えて立ち直った『雷刃』が、憎々しげに毒づくのをBow Userの女が叱責する。どうやら、本来のBodyの持ち主達と、それを奪ったHeroic spirit達の力関係は異なるようだ。
「Medusaって、このworldにも居るんですねぇ。Rank upしたLamiaでしょうか？」
『毒婦呼ばわりは無視ですか？』
Kanakoの呟きに、彼女に降魔しているVandalieuのCloneがそう聞き返す。
「まあ、Hajimeの手下ですからね。あたしの印象が最悪なのは当然でしょう。あ、傷ついて見せた方が可愛いですか？」
『いえ、俺はどちらかと言うとcrazyタ格好って言葉の方に怒りを覚えます』
「designは基本あんただものね……私は納得だけど」
KanakoにAdventしているVandalieuのCloneに、Melissaがそう呟く。本来AdventしているFamiliar Spiritの声は、その体の主にしか聞こえないのだが、VandalieuのCloneの場合は同一人物の一部だからか、【Familiar Spirit Demonic Advent】をActivateしている者同士なら声を聴く事が可能だった。
『……Melissa、FrillsとLacesと動物の耳カチューシャと、フワフワのファーを追加しましょうか？』
「止めてよ！ そんなことしたらDarcia -sanに言いつけるから！」
あまり有効な使い方はされていないようだが。
「おいっ、それより援軍はまだか！？」
盾職にかけていたMental Powerを弾かれたDougが、焦った顔つきでVandalieuのCloneに訊ねる。Bow Userの女は、Kanakoが出した鏡代わりのMercuryを順調に射抜いて潰しており、Gordon・BobbyとMage、そしてscout職の女はThunder Dragon Zombie達を倒している。
『こりゃダメだ、俺じゃ間合いを詰められたらどうにもならねぇ』
Kimberlyが隠れ蓑であるDragon Zombie達が全滅したため、Kanako達の所に戻ってくる。
『死体は残ってるんで、またUndead Transformationしちゃくれませんかね？』
『できますが、難しいですね。残っていると言っても、バラバラではちょっと』
Kanako達に降魔しているVandalieuが、Gordon・Bobby達によってただの死体に戻されたDragonやMountain GiantのZombieを見て言う。
『遠目にもZombieだと分かってしまいますからね』
「……そうか、まだ外聞を気にできる状況なんだな。だが、Kimberlyがいても俺達じゃこれ以上はきついぜ」
Dougが言う通り、彼等だけではHeroic spirit達を相手取るのは難しい。彼らもHajimeと同じReincarnatorではあるし、このworldにreincarnationしてからもそれなりに経験を積み、鍛えて来た。
しかし、目的と環境が異なる。
Murakamiから離反したKanako達三人は、Vandalieuに取り入るために行動してきた。その過程で便利なadventurerの身分を手に入れ、それなりに経験を積んだが、Hajimeのようにlevellingに時間を費やした訳ではない。
そしてVandalieuにTalosheimへの亡命を認められた後も、戦闘Abilityだけを集中して高めてきたわけではない。花火作りや、Kanakoに限って言えばIdol活動等、-sama々な活動をしてきた。
それでもVandalieuからGuidanceとblessingsを得て、Transformation Equipment等の装備を受け取り、更にraceをChaos ElfやHell raceに変化させたため、三人ともＡClass adventurer相当の力を手にいれた。
そのため、【Heroic Spirit form】する前のGordon・Bobby達なら問題無く勝てただろう。
だが、【Heroic Spirit form】された今では不可能だ。Heroic spiritはGodsに仕えるFamiliar Spiritの中でも、武力を担当する存在だ。その多くが神から直接創られるのではなく、believer達の中から武勇に優れている者を死後に昇華させた存在であるため、Heroic spiritと呼ばれFamiliar Spiritから区別されている。
そのため、多くのMageや学者はHeroic spiritの力はRankに例えると１２から１４程だとしている。下ClassのEvil God (M) Evil God (P)と同じか、上回る戦闘Abilityを持っているのだ。
本来ならHeroic spirit達は-sama々な制約があり、地上でその力を振るう事はほぼ出来ない。それらの制約を、believerを廃人にしてBodyを乗っ取る事で取っ払ったのが、Gordon・Bobbyたちだ。
口ぶりからconjectureすると力を発揮できる時間には限界があるようだが、それまで自分達が持ち堪えられるか難しいようにDougには思えた。
「出来れば、Cloneだけじゃなくてmain bodyにも助けに来て欲しいぐらいだぜ！」
『残念ながらまだ俺も時間がかかりそうなので、彼女達に期待しましょう』
「彼女達？」
その頃、一旦後ろに下がってGordon・Bobbyたちと合流し態勢を整えた『雷刃』達が、今度は全員でKanako達を倒そうと弓矢で狙い、呪文を唱え、Weapon Equipmentを身構えていた。
しかし、それまで誰も関心を払っていなかった存在が突然動きだし、立ち上がった。
DragonとGIANT Zombieによって投げつけられた、Mountain Giantの死体である。
『おおおおおおおおおおおお～！』
唸り声をあげながら立ち上がろうとするGIANTに、『雷刃』がclicking tongueをした。
「チッ、即席のUndead如きが！ 死体に戻してやる！」
「おいっ、待て！」
起き上がりかけているGIANTに攻撃をしようとする『雷刃』を、Gordon・Bobbyが制止する。
「俺に命令するな！ 【飛雷刃】！」
しかし『雷刃』は彼の制止を顧みることなく、斬撃を飛ばすMartial Artsを放つ。その技によってGIANTは、起き上がる前にbody partをBisectionされて再び地面に沈む。『雷刃』はそう確信していた。
『おぉ！？』
実際、GIANTは斬撃によって深く傷ついた。『雷刃』はそれを見て会心の笑みを浮かべ……次の瞬間blood飛沫を上げた。
「ごぶっ！？ な、何故俺が傷を！？ いつ、誰が攻撃してきたのだ！？」
「idiot bastard！ あれは奴等だ！」
そう、起き上がろうとしていたのはZombie化したGIANTの死体では無い。GIANTの死体の肉をeating preyしAbsorptionし、なり代わったLegionだったのだ。
『奴等とは失礼ね。私達は、見ての通りちょっと変異したMountain Giantよ。』
背面と違い、muscle繊維が剥き出しになった前面に張り付く幾つもの肉人形の頭部の内一つがそう主張する。
『いつもの姿だと、遠目にも異-samaだとバレてしまうので、今日はgiantに変装してみた』
『実際、bone格だけはMountain Giantのものだしね』
『ハハハハハハ！ 外面を取り繕うのも大変だ！』
分裂して町の周辺にTrapを仕掛けていたLegionの人格達だが、既にHeroic spirit達は殆どDungeonの中で、その必要もない。そのため、Isisと合流して援軍に来たのである。
「な、何がGIANTだ！ どんな変異を起こしても、そんな禍々しい姿になる訳が無いだろうが！」
Gordon・Bobbyの叫びに、Kanako達も思わず頷きそうになる。しかし、Legionは取り合わない。
『Kanakoにdanceを習ったお蔭で、自分以外のbone格で動けるようになったんだよ』
『Jackの言う通りよ。だから思う存分、あなた達に向かってステップを刻んであげる！』
『遠慮しないで我々のdanceを盾で弾き、剣で切り裂き、槍で穿つと良い。その度に、何度でも私が返そう。先ほどの斬撃のように』
『レッツdance！』
LegionはGordon・Bobby達に対して全力で【Charge】を行う。EreshkigalのCounterを恐れて迂闊に迎撃も出来ず、逃げ惑うHeroic spirit達を薙ぎ払った。
「は、速い！？ あの巨体でなんて速さだ！」
「こ、これがKanakoのdance lessonの効果なのか！？ お、俺も受けようかな」
Heroic spiritの一人がLegionの異-samaなまでの速さに目を見開くが、彼女達を良く知っているはずのDougにとっても驚愕に値した。
大地を砕くような踏み込みに、土砂ごと吹き飛ばすような蹴り。約十meterと言う巨体が、力強く、しかし軽々と躍動している。
これこそdanceの力――なんて訳は無い。
「danceじゃなくて、giantのbone格を使っているお陰よ。今までLegionは肉だけだったから、Muscular Strengthはあっても支えるboneが無い分Muscular Strengthを活かせなかった」
「まあ、Vanから貰ったPseudo- bone格を使ってlessonはしていましたから、lessonの効果も多少はあるかもしれませんけどね」
MelissaとKanakoの言う通り、Legionの速さと力は、danceでは無くbone格を得た事でmuscleを支える柱によってMuscular Strengthが纏まった事によって生み出されていた。
『ＧＡＡＡＡＡ！』
「ぐっ！？」
Giant raceの盾職が咄嗟にLegionの蹴り――を避けきれず、咄嗟に盾で防御しようとする。【Heroic Spirit form】を使用しているため、明らかに質量とmuscle量が違う一撃も踏みとどまる事ができた。
「お、おおおおおおおっ！？」
だが、盾で蹴りを受け止めた衝撃をCounterで返され、森に向かって吹っ飛んで行く。しかし、Legionも無傷では無かった。
『……早速boneが折れたね』
『ええ、脚のboneが幾つか。Rank８のmonstersのboneじゃあ、脆過ぎね』
Mountain Giantのboneが、耐えきれず折れ始めているのだ。所詮借り物のboneなので痛みは無いが、代わりに【Super Rapid Regeneration】skillの効果も及ばない。
「boneが折れればあの動きは出来まいっ、それまで耐えるぞ！」
「早く使い魔を創れっ！ 俺はその間に他の連中をやる！」
それに気がついたHeroic spirit達が動きながら対応し始める。
「させるかっ、まずはMageをやるぞ！」
そうはさせないと、Doug達もLegionのfollowへ動き出す。
そして戦いの最中、重傷を負って身動きできなくなっていた『雷刃』はLegionに踏み潰されていた。Bodyが破壊された『雷刃』の魂は光の玉となり、本来の居場所であるDivine Realmに戻ろうとする。
しかし、天に上りきる前に、何かが魂のincreaseを止めた。
『お帰りの前に、当家のmasterがご挨拶したいそうなので、少々お待ちください。……なんちゃって！』
『父-sanっ、出してください！』
そして魂は何かの中に引きずり込まれ、消えたのだった。
時は少々遡り、Kanako達からやや離れた場所でVandalieuとHajime Fitunの戦いは続いていた。
「ハハハハ！ 分かるぜっ、これもこれもこれもっ、お前にとっては大きなDamageでは無いってことがな！」
【God form】によって受肉した神としての力を解放したHajime Fitunの剣は、完全にVandalieuを圧倒していた。
彼が左右の腕でOrichalcumの曲刀を振るう度、Vandalieuに傷が増える。服の下に展開している液体金属の鎧や【Demon King's exoskeleton】を切り裂き、【Demon King's bones】すら切断する。
刃を受け止めようとしたclawsごと指がSlash飛ばされ、脚に刃が喰い込む、腕の肉が削がれる、肩からbloodを流させる。
その度にHajime Fitunのbody partは、【Karma Curse】によって、Vandalieuに与えた痛みをそのまま覚える。だが、彼はその痛みで怯むどころか、覚えた痛みの大きさでVandalieuに与えたDamageの度合いを測るguidelineとして利用していた。
そのguidelineによれば、今までHajime Fitunが与えた傷はどれもこれも大した事のない傷ばかりだ。
「だが……これならどうだ！ 【紫電円月】！ 【連刃閃】！ 【Guillotine Slash】！」
「【Steel Body】、【Whip Tongue】、【鞭俊打】、【Death Bullet】」
Hajime FitunがMartial ArtsをActivateし、一層攻勢を激化させる。その攻撃はどれもこれも人体の急所を狙った物だった。それに対してVandalieuは【Armor Technique】で防御を固め、伸ばしたtongueで【Whip Technique】の、袖から伸ばした【Demon Kingのtentacle】でUnarmed Fighting Techniqueの、そして指先から【Death-Attribute Magic】を放って対抗しようとする。
だが、tongueとtentacleは輪切りにされて切り刻まれ、【Death Bullet】は弾き散らされ、Vandalieuのbody partに刃がthrustたてられる。
「tongueも、tentacleも、お前にとってはすぐ生える代物だ、返ってくる痛みも少ない！ だが……！」
scimitarの切っ先が脇腹を抉り、内臓を引き裂く。scimitarの刃が、首を半ば切断する。そして腕の間を掻い潜ったscimitarが、薄い胸板を貫く。
だが、その返ってきた痛みも大きくは無かった。目の前のVandalieuはbloodだらけで、毒に変化したblood液が大量にHajime Fitunのbody partにかかり、【Abnormal Condition Resistance】でもNullificationに出来ず肌がチリチリと焼かれる感触がある。
しかし、それだけだ。
「やはり大した傷じゃないか！ 分かっていたぜ、【Death Scythe】ってReincarnatorの力を受けても死ななかったんだろう！？ 脊椎を半ば切断されて、heartに穴が空き、臓物を掻き回されてもお前にとっては大した事の無い、すぐ治る傷なんだろう！？ だが――うおっ！？」
「しゃっ」
切断されたtongueからbloodを吐いたまま、Vandalieuは両手で自身の胸を貫いているscimitarを挟み込んだ。そして、何と、scimitarを圧し折ろうと試みる。
Hajime FitunのscimitarはOrichalcum製だが、Vandalieuのboneやskin、exoskeletonは【Demon King Fragment】だ。この体勢なら折る事が出来る。
Hajime Fitunは当然もう片方のscimitarでVandalieuにSlashかかろうとする。しかし、body partが動かない。
「これはっ、bloodを凝固させたのか！？」
鎧と服が赤く染まるほど浴びたVandalieuの【Demon King's Blood】が瞬間的に凝固して、彼の動きを妨害したのだ。
その間に、Vandalieuはscimitarを圧し折る事に成功した。Orichalcum製とは思えない程、鈍い音を立てて刀身が砕ける。
「よくも俺の愛刀を！ ……なんてな！ 【Demon KingのEquipment】、Activate！」
「っ！？」
だが、黒い刀身が即座に出現した。
「【雷身】！ 【Dark night円月】！」
Hajime Fitunは雷をwhole bodyから放射するmagicで凝固した【Demon King's Blood】の拘束から脱すると、Orichalcumのscimitar……Orichalcumの刀身を被せてsealedしていた【Demon KingのEquipment】を振るってMartial Artsを放った。
その斬撃はVandalieuの無防備に見える頭部を捉えた。【Demon King's Fur】の頭髪と【Demon King's bones】の頭蓋boneに食い込み、額に出現させた【Demon King's Eyeballs】を真っ二つに割る。
「ギャアアアアアアア！ ァァァアアアアアアハハハハハァ！ やったぞ！」
その瞬間、【Karma Curse】の効果でHajime Fitunの頭部に彼でも耐えられない激痛が走る。
今までの痛みとは一線を画する、魂が歪むような痛み。それを認識して彼は、Vandalieuに致命傷を負わせた事を確信する。だが、返りbloodを再び大量に浴びる事を警戒して、仰け反るVandalieuから反射的に距離を取った。
そのお蔭で忠告が間に合った。
『右に飛べ！』
「っ！？」
聞き覚えのある憎い男の声に、Hajime Fitunは反射的に従った。それは【Intuition】に従った選択だった。
それと同時に、彼が先程まで居たspaceを三本の怪光線が通り過ぎた。VandalieuがGyubarzoの杖と両掌に作った【Demon King's Eyeballs】から光線を放ったのだ。
気力を振り絞り、道連れにしようとしているのかと思ったHajime Fitunだったが、Vandalieuは避けた彼に向かって更に【Death Bullet】をSustained Fireしてくる。
「致命傷じゃなかったのか！？」
それを【Demon KingのEquipment】で叩き落としつつ、Hajime Fitunが顔の中心に深い傷を負っているVandalieuに驚愕する。
「しゅへ……俺が今、脳を使ってないのを忘れましたか？」
今のVandalieuにとって、脳は急所でも何でもない。ただの灰色のchunk of meatである。破壊されても何の支障も無い。
ただ、【Demon King's nerves】で傷つけられた時に覚える痛みを激増させ、Hajime Fitunが致命傷を与えたと誤解させ、油断させ不意を突こうとしただけだ。
それが失敗したとしても【Death Bullet】のBarrageを続けていたVandalieuだが、不意にmagicのActivateが止まった。
「これは、Abilityか。【Detect Life】、【Screw Projectile】」
magicが妨害されている訳では無く、Activateするまでの時間が引き伸ばされるように遅れている。それを認識したVandalieuは、指から【Death Bullet】では無く……【Demon King's Horn】を手に生やし、投げknife大の大きさのそれを生命反応に向かって投擲した。
「チッ、気づかれたか！」
「避けろっ、防ごうと思うな、避けるんだ！」
空気が揺らめき、背の高い草しか無いと思っていた一角に、Vandalieuには微妙だが、Hajime Fitunにとっては見知った二人の、少年と言っていいageの男が転がり出て来る。
「テメェっ、MurakamiにHazamadaか！ 殺っ……何をしに来た。俺の邪魔をするつもりか？」
反射的に覚えたKilling Intentを抑え、Hajime Fitunがかつて自分を裏切った仲間へ、Vandalieuへ視線を向けたまま尋ねる。
「邪魔？ そんなつもりはない。お前がVandalieuを殺すのを助けてやろうと思ってな」
【Chronos】でVandalieuのmagicのActivateを遅らせたJunpei Murakami、そして数秒先の未来を予知してHajime Fitunへ警告した【Odin】のAkira Hazamada。
二人はVandalieuと、そしてHajime Fitunからのbloodthirstに冷や汗を浮かべて答えた。
Adventする前にVandalieuに砕かれないよう、指輪に宿らせた、RodcorteがManaを使って創ったFamiliar Spiritをbody partに宿してAbility Valuesを上げても、今の二人ではVandalieuとHajime Fitunには敵わないからだ。
(ＢClass adventurerに匹敵するぐらいには鍛えたつもりだったが……全く足りない。Cheat Abilityが無かったらと思うとゾッとする。
頼むから、まず俺達を殺してからタイマンを続けよう何て言いだすなよ)
「おい、Hajimeを乗っ取ったKami-samaよ、俺達の目的は知っているな？ Rodcorteが条件を緩和した、誰がVandalieuを殺しても、報酬が手に入る。
Hajimeはともかく、あんたとは何の恨みも無いはずだ。俺達の力を利用して、あんたがVandalieuを殺す。そうしないか？」
「ほう？ あの尻軽共とは違うってのか？」
「……今なら俺とその関係者を狙わないと誓うなら、他のContinentにでも逃げるのなら見逃しますが？」
MurakamiとAkiraに向かって、それぞれ話しかけるHajime FitunとVandalieu。Hajimeは憎々しげに、Vandalieuは無表情の中にも呆れを滲ませている。
「脳を傷つけられ、heartに穴を空けられ、首を半分まで切断されてもこうして立っていられる俺を殺すよりも、賢い判断だと思いますけどね」
更に、Vandalieuはそう言って、既に跡も残らず再生した顔を指で撫でながら言う。Mao Smithのように距離を取り、関わらないようにするのなら自分も放置しておく。そう忠告するのが、彼にとって元担任Instructorと同じReincarnator達に対する、最後の義理だ。
尤も、そう言いながらもMurakami達が本当に退くとはVandalieuも考えてはいない。magicで周囲の生命反応を探り、死霊達に呼びかける時間を稼いでいるのだ。
(空気に混じった反応は【Sylphid】だとして、【Super Sense】は何処に行ったのやら。余程上手く隠れているのか……もしかして別行動？
まあ、こいつ等を殺した後魂を喰う前に余裕があったら、聞き出しましょう)
未来を読んでいるAkiraが小さくnodのを確認してから、Murakamiが応える。
「これからGodsを二分する戦いが起こりそうだって時に、このContinentから逃げたくらいで済むと思うのか？ Demon Kingとの戦いに駆り出されて、今より不利な状況で戦う事になるのが関の山だ。
だったらあの裏切り者共みたいに、お前の足を舐めてでも命乞いすれば良かったかもしれないが……無理だな。俺達とお前は合わない。根本的に」
もしVandalieuが前世以前の全ての事を水に流すとしても、彼のやり方とは合わない。Murakamiは今まで知る事が出来たVandalieuの行動から、そう判断した。
Talosheimにもし亡命する事が出来ても、今更善良な一般市民になれるとは思えない。それが利益に繋がるなら他人を蹴落とし陥れる事を、自分は抑えられないだろう。
Vandalieu達がMoksiの町を守るために今行っている事も、BAKANA行為だと感じる。町の安全に注意せず戦っていれば、自分達が介入する隙も無かっただろう、と。
だからもしVandalieuに降っても、破滅するのは目に見えている。Murakamiが裏切るか、それより先にVandalieuが彼を排除するか。良くても、その前にMurakamiが自分からTalosheimから出奔するぐらいだろう。
「他の連中も、同じ理由で尻軽と裏切り者の真似はできないようだ。
そう言う訳でKami-samaよ、敵の敵は利用できる。このDemon Kingを殺すまでは、お互いの力を利用しあうべきだと思わないか？」
そう尋ねられたHajime Fitunは、確かにその通りだと考えた。先ほど危うい局面を助けられたからではないが、有用ではある。
それに、彼の目的はVandalieuとKnight同士のような誇りある決闘をする事では無い。rule無用の殺し合いを楽しむ事だ。それはMurakami達が加わったところで、何も変わらない。
……この嫌悪感とKilling Intentを抑えられればだが。
【Karma Curse】によって受け続けている激痛を受けながらの戦いは、Hajimeの意識を抑え込んでいるFitunのMental力を徐々にだが削っていた。
「良いだろう。こいつを殺すまでは共闘だ」
こうして、Demon Kingとの戦いの前に異なる勢力の者達が力を合わせる事になったのだった。
「それは良かった」
そして、それをDemon KingであるVandalieu本人が誰よりも喜んでいた。
「直接believerを使い潰す、Demon King Army Remnantsのような手口にoriginally怒りを覚えていましたが……裏切り者はともかく、あの三人の事を尻軽だの俺の足を舐めただの言われると、自分でも意外なほどKilling Intentを覚えていたので」
そう述べるVandalieuに、Murakamiが尋ねた。
「だったらどうする、この草原と森ごと俺達を纏めて吹き飛ばすか？」
「【space壁】」
『ウォォォォォン……！』
Murakamiの問いに応えるように、Vandalieuは、『Trial of Zakkart』で死亡しGufadgarnに数十年の間囚われた事でspace attributeのGhostと化した死霊達に【Dead Spirit Magic】を使い、自分を中心に、spaceの壁を建てて一定のspaceを隔離する。
「Akira！？」
「チッ、見えなかったっ！ だが脆い壁で囲っただけ――ヤバイっ！ 【Chronos】で遅らせろ！ Hajimeは何でもいいからmagicでBarrierを張れ！」
Akiraが数秒先の未来を予知し、screechをあげる。
「【Blood Infection】、お前達だけを纏めて貪り殺す」
それまでVandalieuが撒き散らしてきたbloodが、Hajime Fitunによって切り落とされてきたtongueや指が、肉食性微生物に変化し、紅い煙のようにReincarnator達に襲い掛かった。