Moksiの町周辺で最初に戦いが始まったのは、Zombie化したDragonやGIANTとそれをこっそり援護するVandalieuがいる草原だ。
では二番目に戦いが始まったのは、Milesがいるmonstersの群れが通った後の森……では無く、実はGufadgarnが創り上げた、Moksiの町を模したDungeonの中だった。
「ウゴ~っ!?」
「ウウゴ! ウゴルガ!」
老婆の肉片……Legionの一部を浴びたTroll達は、Legionの人格の一つであるJackの特殊Abilityによって、Dungeonの内部へ強制的に【Teleportation】させられた。
『Origin』でJack-o'-lanternのCodenameを与えられた彼は、spaceに穴を空けなくても、触れた相手を強制的に別の場所へ連れて行く事が出来る【Limited Death-Attribute Magic】の使い手なのだ。
しかし、JackはTrollを含めた町とVandalieuに害意を持つ者を運ぶのが役目だ。戦い、始末する事が役目ではない。
「お連れの方をお探しでしたら、申し訳ありません」
戦い、始末するのは突然見知らぬ場所に連れて来られて驚き戸惑っていた二匹のTrollに話しかけた、甲高く幼い声の持ち主たち。
それが始末の担当者達だ。
「ウゴっ!? ……ガアアアア!!」
Troll達は自分達より先に姿を消した同族が無残な姿で転がっているのに気がつくと、声の主を見上げて吠え声をあげた。
それを屋根の上から見下ろしながら、担当者達の代表者にしてCommanderであるJulianaは号令をかけた。
「総員構えっ! Martial Artsを使える者は使用しっ、撃てーっ!」
「「「「おーっ!」」」」
甲高く幼い声で、声をあげながら、生前からJulianaのUnder Commandにあったfemale Knightや、死に場所を共にした女達がPseudo- reincarnationしたHalf-Minotaur達が、crossbowを撃ち、槍や斧、そして岩を投げ落す。
「うぐおおおおっ!?」
「ぐおおおっ! おおおおおっ!」
TrollのRankは5で、知能はかなり低い。だが、Mysterious Strengthだけではなく、貪欲なappetiteとVitality、そしてheartを貫かれてもすぐWeapon Equipmentを胸から抜けば再生可能という、驚異的な再生AbilityをWeapon Equipmentとするmonstersだ。
そのため、亜人型のmonstersでも倒し難さではtop classと言われている。
「【強投】!」
「【強弓】!」
だが、そのタフネスでも、Juliana達が数十人で撃つ矢や投擲Weapon Equipmentの前には無傷ではいられない。彼女達はまだ十ageに満たないappearanceまでしか成長していないが、全員が【Mysterious Strength】skillを持っており、更に生前所有していたskillを再び使えるようになった者も少なくない。
そしてJulianaの【Commanding】skillに、KanakoとZadirisのlessonで鍛えられたdance……ではなく【Coordination】 skill。そしてVandalieuのGuidanceに【Mass Strengthen Adherents】による補正。
極めつけは、戦場の構造にあった。
「ぐおおおおおっ!?」
Troll達が飛ばされたのは、四方を建造物に囲まれ逃げ場も隠れ場所も無い、中庭のような場所。そしてJuliana達は、Trollの巨体でも手が届かない、建物の屋上に陣取っている。
建造物の壁を登ろうにも指がかかる場所は無く、矢と投擲Weapon Equipmentの雨を浴びながらではとても登れない。
「ごおおおっ!」
なら、逃げ場を封じている建造物そのものを、TrollのMysterious Strengthで破壊して穴を空けるのはどうか。
「ぎゃごおおおおおっ!?」
certainly、不可能だ。この建物は一見するとただの石材だが、実際にはDungeonの壁や床と同じ材質で出来ている。Vandalieuの【Hollow Cannon】ならともかく、Trollの腕力程度では砕けるのはその拳の方である。
そして一分も持たずに、再生Abilityの限界を超え、Troll達は息絶えたのだった。
「やりましたっ、姫-sama!」
「我々の勝利です!」
喝采をあげるHalf-MinotaurのShoujo達。
Rank5のTrollを三匹討伐したとなれば、Knight団でもそれなりの手柄だ。彼女達がはしゃぐのも無理は無い。
「皆-san、落ち着きなさい!」
しかし、Julianaは彼女達を大声で叱責した。その瞬間、しんと静まるHalf-Minotaur達。
「我々は確かにRank5のTrollを、生前でも討伐するのは困難だったmonstersを-sama々な助けを受け、倒しました。犠牲者どころか、injure人を一人も出さずに。
これは、我々にとって大きな勝利と言えるでしょう」
先程の戦果を認めつつも、Julianaは続ける。
「しかし、今生の我らの主、Vandalieu -samaにとっては小さな勝利でしかありません! 我々は既にAlcrem Dukeに仕えるKnightで無い! Vandalieu -samaのKnightを……Magical Girl Knightを目指すのなら、この程度の戦果で浮かれている暇は無いと知りなさい!」
Julianaの叱責にはっとしたHalf-Minotaur達は、緩んでいた緊張の糸を張り直す。
『……そこまで肩に力を入れなくても良いと、Jackは思うよ』
そして、若干引いているJack。自分達の事を棚に上げて、『狂信って怖い』と怯えている。
「Jack -san、次のmonstersをよろしくお願いします!」
『……ああ、Jackの声は聞こえていないんだね。ところで、Magical Girl Knightって何? Jack達もならなきゃだめかな?』
「Magical Girlであると同時にKnightと言う事です。目指すかどうかは、お任せします。納得して頂けたのなら、次の獲物をお願いします」
『Slightly納得できないけど、分かったよ。瞳-chanも、そこにあまり触れない方が良いって言っているし。
じゃあ、次も亜人型で、OgreかMinotaurあたりを飛ばすね』
「Minotaur!? 皆-san、Minotaurが来ますよ! slaughterです! annihilateです!」
「「「「slaughter! annihilate!」」」」
盛り上がるJuliana達を見上げながら、『Knightって怖い』と思いながらJackは次の獲物を運ぶため、意識を他の肉片へと向けるのだった。
そしてJuliana達からやや離れたDungeon内の別の場所には、levellingではなくmonstersの駆除に励む者達がいた。
「【Pierce】!」
Ogre Generalのheartを剣で貫いたKatiaは、更に首を刎ねて止めを刺して次の獲物を探した。
「はぁ、私も下に行きたかったなぁ。……まあ、実力以上の活躍を望むのは良くない事だと分かってはいるのだけど」
そう言いながら、Jackが新たに運んできたThunder Ligerが放つfangsと前足を、素早く避ける。
「【疾風付与】! 【Triple Thrust】!」
「Gyaon!?」
Wind-Attribute Magicでbody partの動きをAccelerationさせ、素早く放ったthrustでLigerの急所を抉って止めを刺す。
「でも……運ばれてくるのがSlightlyザコばっかりなのは何で!?」
Katia……Mirg Shield Nationの出身で、Noble Orcの集落に捕らえられていた元女adventurerで、助け出された後Ghoulになる事を選んだ彼女は、不満そうに叫んだ。
「そりゃあ、俺達が簡単には倒せないmonstersは、新しく作った下の階層に飛ばされてるからだよ」
「今は数を熟さないといけないし」
「それに、強敵は町のHumanに注目されているだろうから、Teleportationさせたら拙いだろ」
その叫びに、Hartner Duchyのcultivation village出身の元adventurer、KasimとFester、Zenoがそう説明する。
彼等はTalosheimから、Jackが運んでくるmonstersを処理するために呼ばれてきたのである。TalosheimのDemon King FamiliarがExplorers’ Guildの建物内に居たKasim達に声をかけ、GufadgarnがspaceにこのDungeonへ繋がる門を開けたのだ。
そして彼らの役目は、Jackが運んでくるmonstersを始末して、monstersの群れの規模を程良く調整する事だ。
Dungeonのrunawayで地上に出たmonsters達は、一つの群れとなって人里に押し寄せる。しかし、その群れには明確な長が存在しない烏合の衆だ。
Ogre GeneralやMountain Giant Chief等が、同族の下位に属する個体をCommandingしている場合はある。しかし、それはあくまでも同族内だけのchain of commandで、他のraceのmonstersを従えている訳ではない。
runaway時のmonstersの群れは、「Humanを害する」というmonstersのInstinctのまま、同じ方向に向かっているだけに過ぎないのだ。
そのため、monstersの群れは時が経つにつれてバラバラになる。移動速度の違いや、前のmonstersを避けようとした結果横に逸れる等して列が乱れても、monsters達は気にしないからだ。
そのため、Moksiの町に迫るmonstersの群れも一塊では無く、ある程度左右に広がって町に向かっていた。群れの大部分は、Darcia達が待ち構える町の正門に向かって直進するだろう。
しかし群れの本流から別れた数十匹のmonstersが、城壁を壊して町の中に入ってしまう可能性がある。Darcia達の本来の実力なら、それも対処できるのだが……実力を隠さなければならない以上、後手に回るしかない。
そこで本流から離れたmonstersをLegionやGufadgarnがこのDungeonにTeleportationさせ、KatiaやKasim達が駆除しているのだ。
「まあ、だから苦戦するようなmonstersを割り当てても困るのは分かるけど……あ~っ、これが終わったら私も首輪して外に連れて行ってもらおうかな~!」
Katiaはそう話しながら、新たに出現したLesser DemonをSlash殺す。
「私は死んだ事になっているだろうけど、Mirg Shield NationのDClass adventurerの情報が伝わっているとは思えないし。Ghoulになったし行けるでしょ!」
「あ、私も行きたい! VahbiとJadalも連れて、皆で町を歩くのって楽しそうじゃない!?」
「Bilde、それは楽しそうだけど……Vandalieuに変なsecondary nameが増えそうね」
Katiaの思いつきに、Earth-Attribute MagicでサCyclone Bullを倒したBildeが賛同する。しかし、VandalieuをPapaと呼ぶBildeとBasdiaの娘達の姿を想像して、Katiaは頷き返す事は出来なかった。
「あっ、いいな~。俺達、Hartner DuchyのAdventurer’s Guildから除籍処分を受けてるから、表に出にくいのに!」
「Fester、別に町に出ても良い事は何も無いだろ。Vandalieuの新しいpupilsには興味あるけど」
Ghoul組の話をFesterが羨ましがり、それをKasimが窘める。
「Human達が治める国の町に少し興味はあるが……まだ尚早だな」
『Ghoulを連れて歩くだけでも、ちょっとした騒ぎになるくらいだものね。Empusaや私達Undeadはとても地上には出られないわよね』
そうKasim達と同じpartyの、カマキリの特徴を持つVida's New RacesのEmpusaのWarrior Gaolと、Hero ZombieのGerdaが口々に言う。
実際、EmpusaはHuman社会ではmonstersとして認識されている上、遥か以前に絶滅し古文書の中にしか存在しない。そしてGerdaを含むUndeadは、Human社会の常識ではTamerする事は不可能とされている。
Human社会に出れば、幾らVandalieuがTamerしていると言い張っても大騒ぎになるだろう。
「それに、町に居る間は口を滑らせないように注意しないといけない。Talosheimはcertainly、Boundary Mountain Rangeの内側の事は秘密なんだから。
……俺はFesterが口を滑らせたらと思うと、怖くてとても町に出たいとは言えない」
『「た、確かに!」』
「えぇ!? ちょ、待って、俺ってそんなに口が軽い奴だと思われてるのか!?」
「日頃の行いのせいだな。さて、次のmonstersが来る前に、Magic Stoneだけでも取っておくか」
周囲のblood生臭い状況を無視して、どこかのんびりと会話を交わすKasim達。
彼らとは離れた場所ではBlack Goblin ninja達がHigh-Speedで跳ねまわり、真正面から敵を暗殺すると言う、暗殺の概念が揺らぎかねない方法でOgreを倒し、Maid服姿で奮戦するVampire ZombieのMagisaが三目犀の首を捻り、AnubisとOrcus達がHill GiantやRock GIANTをバラバラに粉砕していた。
しかし、monstersの群れには彼らの実力でも楽には倒せない個体も存在する。
そうした倒すまでに少々の時間が必要なmonstersは、Gufadgarnが新たに追加した階層に送られる。そこでKasim達を上回る猛者が処理する予定だ。
ただ、Kasim達の実力は既に並のBClass adventurerを超えているため、Fitunの『Trial's Dungeon』から発生したmonstersの駆除には、今まで必要が無かった。
『強敵っぽいから、こっちに連れて来たよ』
そんなJackの声と同時に、Humanの男と女の二人組が姿を現すまでは。
「っ!? ちぃっ、こいつがLegion……Jackか!」
「ここは、一体!?」
自分達の身に何が起きたのか理解し、いつの間にか靴に着いていた肉片を咄嗟に剥し、周囲を見回す。
だが、この階層には光が無く、暗闇が支配していた。HumanのadventurerのBodyを使っている二人の目には、何も映らない。
そのため、signで周囲の存在を探る事にした。二人は、『Gale Demon Slash』のKizelbainと同じ小隊で行動していたHeroic spirit達だ。この仮宿のようなBodyでも、闇の中でそれなりに戦う事は可能だ。
(ドジを踏んだものね……敵はどこ!? 隊長から聞いたJackのAbilityなら、【Teleportation】先を自由には設定できないはず!)
(必ず近くに、奴らの仲間がいるはずだ)
二人を含めたHeroic spirit達は、Hajime Fitunから『Origin』でのLegion……reincarnationする前の『The 8th Guidance』のmemberについての情報も与えられていた。
彼女達がどんなAbilityを持っているのかだけではなく、念のために生前どんな姿だったのかも、簡単にだが教えられていた。Hajime Fitunが最後に得た情報ではLegionはあのchunk of meatの姿のままだったが、もしかしたら生前と同じ姿にTransformできるかもしれないと考えたからである。
originally正体不明な謎の生命体なのだ。appearanceを変化できるようになったとしても、おかしくは無い。
だから地面に転がっていたのがValkyrieの頭部だったら、Heroic spirit達はLegionに気がついて【Teleportation】させられる事は無かったかもしれない。
しかし、Legion達はHeroic spirit達の、Fitun達のtacticsを読んでいた訳ではない。確かに自分達、ShadeやIzanami以外の姿をHajimeが『Flame Blade』やGordonに教えている可能性があるとは、考えていた。
けれども、自身が管理するDungeonをSpace-Attribute Magicで繋ぎ、更にrunawayを引き起こし、自身に祈りを捧げるbeliever達もいるMoksiの町を危機に陥れるようなtacticsを実行するとまでは考えていなかった。
ただ、HajimeはVandalieuが町の外に居るtimingを読んで仕掛けてくるだろうと、予想していただけだ。
その予想に対する備えとして、Legion達は『Evil God of Evil Blood』Tuberisのfanatic達に襲われ、皆殺しにされた小さな村の被害者達の死体をFusion Absorptionし、その姿に変装して町の周辺で見張っていたのだ。薬草の採取やGoblin狩りを行う新人adventurerのように偽装して。
『Rock Iron Party』のRockが気にしていた、見慣れない新人の半数以上がLegionだ。そしてrunawayが起きた時、我が身を盾にして逃げ遅れた者達を助けたのも、彼等である。……分離したCloneであるため死なないし、CloneでもTrollに殴られた程度では、当たった部分の肉が飛び散るだけで、すぐ再生する。
Legionにはboneも内臓もbloodも無く、全て「肉」なのだから。
そしてValkyrie達は自分達を踏みつけたり、一部を口に入れたりしたmonstersをDungeonにTeleportationさせていると、adventurerらしい者達が近づいてきた。
しかし、怯えも慌てもせず、町の危機に駆けつけようとする-sama子も無い彼らの話す言葉に耳を立てると、どうやら町を襲うつもりらしい。しかも、体捌きと装備から見るに中々の手練れだ。
そのため、強そうな賊だと判断したJackがこの階層に【Teleportation】させたのである。
それは実際、間違ってはいなかった。
「何!?」
暗闇一色だったspaceに、突然パっと光が走ったのだ。その瞬間、男は光の正体に気がついた。
「あれはBraham! 確か奴は町の東側に居たはず――」
『おう、そうだぜ。『Moonlight Purple Spark』のBrahamと言えば、敵軍からnight襲を受けても、皆殺しにして返り討ちにした古強者って聞いてたが……今はどう見ても二十ageそこそこの若造だがな』
暗闇の奥から響いてくる低く、怒りが込められた声に二人は驚きを強引に意識の外に押しやった。
『見た目が違うのは仕方ないよ。だって他人の……believerのbody partを乗っ取っているそうだしね』
しかし、続いて聞こえた女の声を聞いた瞬間、思わず後ずさっていた。
口調も声も最初の低い声よりも優しげなのに、最初の声を上回る迫力があったからだ。
『二人とも、特にJeena姉ぇ、冷静にね』
そして三つ目のShoujoの声から、二人は声の主たちの正体をconjectureした。
(『Sword King』Borkusと、『Saintess of Healing』Jeena、そして『Tiny Genius』Zandiaか!)
Heroic spirit達はHumanとは時間の感覚が異なる。そのためMirg Shield Nationの遠征軍と戦い、元『Five-colored blades』のmemberの『Green Wind Spear』のRileyを屠り、旧Scylla Autonomous Territoryに出現したUndead GiantのSwordsmanを、約二百年前Hartner Duchyと友好関係にあったTalosheimのAClass adventurerだと見破るのは容易かった。
そうなれば、彼が一緒に居る女とShoujoが何者かconjectureも出来る。
なら取るべき選択肢は一つだ。
「【Heroic Spirit form】! 【True Instant Response】! 【破城凶棍撃】!」
「【Heroic Spirit form】! 【火炎付与】! 【疾風の鎧】! 【火炎風獣推参】!」
二人は……『Anti-Fortress』のWarrenと、『Thunder Fire Mage』Yahannaは、tacticsを放棄してBorkus達を倒す事に全力を尽くす事を選んだ。
逃げてこのspaceから脱出を試みても、BClass adventurer程度の実力しかないBodyでは、瞬殺されて終わりだ。なら、このBodyを失う事になっても全力で戦い、Vandalieuの戦力を削るしかない。
【Heroic Spirit form】の瞬間激しく輝き、その後もwhole bodyから淡い輝きを放つ二人によって、BorkusやJeenaの姿が明らかになり、そこにWarrenと、Yahannaのmagicによって創りだされた獣が突っ込む。
『ぐ! 思い切りだけは、良いね!』
Yahannaの付与magicと自身の【Armor Technique】でEnhanced (1)されたWarrenの【破城凶棍撃】を、JeenaはGiantな円盾で受け止めた。だが、一撃で城壁を吹き飛ばし、瓦礫すら残さなかったと謳われるMartial Artsを受け止めきれず大きく後ろに押し込まれる。
『切る手札が他人のBodyなら、躊躇いもしねェってか!?』
Borkusは獅子に似た火炎風獣を黒いGiant剣で迎え撃ち、逆に押し込んで行く。燃え盛る炎をものともせず、振り下ろされる両前足を剣の一振りで切り裂き、fangsを剥く頭部を柄で叩き潰し、残った胴体も蹴散らす。
「我がManaを生命の炎に、雷の鋭さを角に変じて現れよ! 【雷炎大獣群推参】!」
しかし、そのままYahannaに接近する前に、更なる獣が彼女のmagicによって創られる。Borkusはclicking tongueをして、Yahannaへの接近を一端止めた。
明らかにWarrenがJeenaを倒し、戻って来るまでの時間稼ぎが目的だが、放置すればrearguardのZandiaに獣の群れが向かう事は明白だったからだ。
だがYahannaが雷と炎で出来た獣の群れを創ったのには、別の目的があった。
(from here見えるだけでも、Brahamと私達を入れて十人以上が此処に【Teleportation】させられ、戦っている。彼らと合流できれば勝てる!)
獣を照明代わりにして、Yahannaは周囲と自分達が置かれた状況を把握した。
自分達以外のHeroic spirit達も、【Heroic Spirit form】をActivateしてVandalieuの仲間達と戦っている。Heroic spirit本来の力で戦っているのに、圧倒されず持ち堪えているVandalieuの仲間達は驚愕に値する。しかし、Yahannaはこの状況を不利だとは考えなかった。
他のHeroic spirit達と合流し、Coordinationして戦えば、Vandalieuの仲間の中でも高い戦闘Abilityを持つ者達を倒し戦力を大きく削り取る事が出来ると考えたのだ。
しかし、その考えは甘かった。
『【風走り】! 今だよ、Borkus!』
『おうよ! どっこいせっとぉっ!』
何と、それまで獣の群れと戦っていたBorkusが、巨体からは想像できない身の軽さで高く跳躍したのだ。壁が消えた獣の群れは、Yahannaに創られた時に与えられた命令に従って、Zandiaへ向かって襲い掛かる。
それと入れ替わりに、Borkusは、ZandiaのWind-Attribute Magicによってmidairを走って間合いを詰め、Yahannaに向かってSlashかかった。
『【Dragon Slayer】!』
「ら、【Thunder God壁】!」
得意技のMartial Artsをmagicで創られた防壁で防がれ、Borkusが憎々しげに、しかし楽しそうに口元を歪める。戦闘を楽しむ趣味は、Fitun達だけでは無く彼も持っていた。
『magicだけでこの技を防いだ奴は初めてだ! 外道の割にやるじゃねぇか!』
(Vandalieuは隊長から『甘い』と聞いていたけれど、その手下は仲間を危険に晒しても術者を先に殺しに来るとはね。だけど、そう甘くはいかない!)
Yahannaは呪文の詠唱を続けながら、彼女のmagicで創った獣の群れがZandiaを蹂躙し、倒す事を確信した。
『Tiny Genius』Zandiaは、BorkusやJeenaと比べて一段下だ。そして接近戦が得意だと言う話は一切聞かない。【Chant Revocation】でmagicをBarrageしても、獣を倒しきる事は出来ないだろう。
「Transform! 【Familiar Spirit Demonic Advent】! 行くよ、陛下-kun!」
『はーい』
そのYahannaの予想は、あっさりと裏切られた。
Zandiaが掲げた杖の一部が、「Transform!」の掛け声と共に分離変形して彼女のbody partに巻きつき、dressとLeotardを掛け合わせたような形状に変わり、更に足元から闇の光としか言い表せない何かが吹き出し、纏わりつく。
『【氷Demon King獣群推参】!』
そして氷で出来た、Monstrosityの群れをmagicによって作り出す。countlessの眼、出鱈目な数のArthropod Legs、不規則に生えた角等、悪夢の中にしか存在しないだろう異形が、Yahannaの獣の群れを蹴散らしていく。
「な、何て悍ましい!」
思わずscreechをあげるYahannaに、Zandiaは反射的に言い返した。
『ええっ!? 可愛いでしょ!?』
異形のMonstrosity達のモデルは、VandalieuのDemon King Familiarだった。
『……俺も可愛いとは思いませんが』
「Yahanna!?」
VandalieuのCloneの声を遮るように、Warrenが仲間の名を呼び、下がるか一瞬にも満たない刹那の間、迷った。
このままでは自分がJeenaを倒しきる前に、彼女が倒されてしまう。だが、Jeenaは彼の攻撃に防戦一方で、Halberdを振るう余裕も無い。あと少しで押しきれるとWarrenは読んでいた。
どちらを優先すべきか迷うWarrenの、ほんのわずかな隙をJeenaは突いた。
『【Shield Bash】!』
身長約三meterの彼女だからこそ使えるGiant円盾をthrustだし、Warrenを僅かだか後ろに下げさせる。彼は反射的に踏みとどまろうとするが、続けてJeenaが叫んだ。
「【Familiar Spirit Advent】!」
なるほど、ここでFamiliar Spiritを降ろして仲間がYahannaを倒すまで足止めするtacticsかと、Warrenは誤解した。
しかし、光の柱はWarrenのすぐ横に落ちた。
「っ!?」
『【槍撃脚】!』
慌てて横を見たWarrenに向かって、thrust刺すように放たれるJeenaの光り輝く爪先。咄嗟に盾で受け止めようとするが、その盾を蹴り砕いて胴体に減り込む。
『や~いっ! 引っかかった!』
上半身だけのJeenaは、lower bodyによって蹴り飛ばされたWarrenに向かって、そう笑った。彼が突っ込んで【破城凶棍撃】を放った時、Jeenaは既にlower bodyを分離して上半身のみでmidairに浮いていたのだ。
そしてZandiaがlower bodyを【Light-Attribute Magic】で創った幻shadowで隠し、JeenaはGiant円盾でWarrenの視界を遮りながらchanceを待っていたのだ。
「がはっ、クソっ、何でもありか、monster共め!」
しかし、Warrenも【Heroic Spirit form】している。蹴り一発では……内臓が潰れて大量に吐bloodするだけで、まだ死にはしない。
Warrenはそのまま倒れるどころか、蹴り飛ばされたのを利用してJeenaからそのまま離れ、Yahannaの防壁を破ろうと剣を振るうBorkusに肉薄しようとする。
『チッ、やってる事は外道でも実力はHeroic spiritか! 仕方ネェ! 連戦は諦めるか!』
それを見たBorkusは、この二人を速やかに倒し、変装して地上のVandalieu達の助太刀に行くと言う企みを諦めた。
『【Familiar Spirit Demonic Advent】! 行くぜ、坊主っ!』
地上で事情を知らない者が見れば白熱した、知っている者の目にはしょっぱいと映る、時間稼ぎ目的の遠距離戦を繰り広げていたVandalieu達とHajime Fitun達。
「……チィっ!」
「……そろそろ良さそうですね」
二人はほぼ同時に、時間稼ぎの止め時だと判断した。
Vandalieuの場合は物見の塔から感じていた視線が無くなり、町の正門でDarciaが【Familiar Spirit Advent】を使用して、自分達に向けられる目が減った事。
そしてHajime Fitunの場合は……町を囲むように配置した配下のHeroic spirit達全員が、町以外の場所に【Teleportation】させられるか、町に辿りつく前に【Heroic Spirit form】を使用した事を知ったからだ。
「少しだけ、本気で戦いましょうか」
「全力じゃないのか?」
「Doug、全力を出したら森で戦っているMilesを巻き込んでしまいますし、この辺りの地形が変わってしまいます」
「-kunの本気って、ただ全力を出すのではなくて、死に物狂いって意味なんですね……」
Kanakoが若干引き攣った笑みを浮かべ、Vandalieuは【Demon Kingのshadow】からGyubarzoの杖を取り出す。
「テメェ等! 全員【Heroic Spirit form】だ! ここで死力を振り搾れ!」
そしてHajime Fitunの号令でGordon・Bobby達も【Heroic Spirit form】をActivateさせる。
こうして本格的な戦いが始まったのだった。
――――――――――――――――――――――――――
・Name: Borkus
・Rank: 13
・Race: Zombie Legend Hero
・Level: 49
・Title: 【Sword King】 【Reaper of the Former Scylla Autonomous Territory】(NEW!)
・Passive skills
Dark Vision
Monstrous Strength:5Lv(UP!)
Physical Resistance:9Lv
Strengthened Attack Power while equipped with a sword: (Large)(Sword weapon equipped, then Attack Power Enhanced (1) awakened into!)
Strengthened Defense Power while equipped with non-metal armor: Medium(Non-metallic armor equipped, then Defense Power Enhanced (1) awakened into!)
Intuition:6Lv(UP!)
Mental Corruption:5Lv
Self-Enhancement: Guidance:4Lv(UP!)
Magic Resistance:1Lv(NEW!)
・Active skills
Sword King Technique:5Lv
Unarmed Fighting Technique:10Lv(UP!)
Archery:7Lv
Armor Technique:10Lv
-Transcend Limits-:5Lv(UP!)
Dismantling:6Lv
Commanding:3Lv(UP!)
Coordination:9Lv(UP!)
Instructor:2Lv(UP!)
Transcend Limits – Magic Sword:5Lv(UP!)
Surpass Limits: Magic Armor:3Lv(NEW!)
Familiar Spirit Demonic Advent:1Lv(NEW!)
・Unique skill
Vandalieu’s Divine Protection
Talos’s Divine Protection(NEW!)
・Name: Jeena
・Rank: 12
・Race: No-Life High-Priestress
・Level: 53
・Title: 【Saintess of Healing】 【Saintess of Muscle】
・Passive skills
Dark Vision
Mental Corruption:6Lv
Monstrous Strength:2Lv(UP!)
Physical Resistance:9Lv(UP!)
Mana Enlargement:1Lv(Augmented Mana awakened into!)
Strengthened Attribute Values: Religious Faith:10Lv(UP!)
Shield equipped, then Defense Power Augmented (2) : Medium(Shield equipped, then Defense Power Enhanced (1) awakened into!)
Poison Resistance:5Lv
cold Resistance:3Lv(UP!)
Self-Enhancement: Guidance:3Lv(NEW!)
・Active skills
No-Attribute Magic:7Lv(UP!)
Life King Magic:3Lv(UP!)
Mana Control:9Lv(UP!)
Halberd Technique:10Lv
Holy Shield Technique:4Lv(UP!)
-Surpass Limits-:10Lv(UP!)
Magic Shield -Transcend Limits-:2Lv(Surpass Limits: Magic Shield awakened into!)
Familiar Spirit Advent:5Lv(UP!)
Long-distance Control:9Lv(UP!)
Spirit Form:7Lv(UP!)
Chant Revocation:4Lv(UP!)
Coordination:5Lv(UP!)
Unarmed Fighting Technique:3Lv(NEW!)
Singing:1Lv(NEW!)
Dancing:1Lv(NEW!)
・Unique skill
Healing Effect Enlargement:9Lv(UP!)
Vandalieu’s Divine Protection(NEW!)
Vida’s Divine Protection(NEW!)
Talos’s Divine Protection(NEW!)
・Name: Zandia
・Rank: 12
・Race: No-Life Magical Princess
・Level: 27
・Title: 【Tiny Genius】 【Magical Girl under the Moon】(NEW!)
・Passive skills
Dark Vision
Mysterious Strength:2Lv
Magic Resistance:6Lv(UP!)
Mana Enlargement:1Lv(Augmented Mana awakened into!)
Mana Recovery Rate Increase:10Lv(UP!)
Automatic Mana Recovery:6Lv(UP!)
Staff weapon equipped, then magic Attack Power Augmented (2) : Small(Enhanced Magic and Attack Power when Equipped with awakened into!)
cold Resistance:2Lv(UP!)
Enhanced Attribute Values: Transformation:4Lv(NEW!)
Self-Enhancement: Guidance:4Lv(NEW!)
・Active skills
No-Attribute Magic:10Lv(UP!)
Life-Attribute Magic:10Lv(UP!)
Light-Attribute Magic:10Lv(UP!)
Fire-Attribute Magic:10Lv(UP!)
Water-Attribute Magic:10Lv(UP!)
Earth-Attribute Magic:10Lv(UP!)
Wind-Attribute Magic:10Lv(UP!)
Space-Attribute Magic:10Lv(UP!)
Time-Attribute Magic:10Lv
Precise Mana Control:3Lv(UP!)
Dismantling:2Lv(UP!)
Chant Revocation:8Lv(UP!)
Aura of Fear:4Lv(UP!)
Staff Technique:2Lv(NEW!)
Singing:4Lv(NEW!)
Dancing:4Lv(NEW!)
Familiar Spirit Demonic Advent:1Lv(NEW!)
・Unique skill
Genius of Magic
Ricklent’s Divine Protection
Vandalieu’s Divine Protection(NEW!)
Zuruwarn’s Divine Protection(NEW!)
Diana’s Divine Protection(NEW!)