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Chapter 234: 火蓋が切られる、神の使いとDemon Kingの手先の戦い

 MoksiWarningが鳴り響き、領主の館と物見の塔にmonstersrunawayが起きた事を示す旗が揚がり、expressionを変えた人々が慌ただしく行き交う。

 避難する人々の顔も、逆にを守るために準備を整えるSoldierKnightadventurer達の顔にも悲壮な表情が浮かんでいた。


 最初、monstersrunawayが起きたと言う知らせがにもたらされた時は、ここまで深刻な事態だとは誰も思っていなかった。

 何故ならこのMoksiは、三万人が定住する交易都市だ。当然城壁も堅牢で、Guardの数も多い。そして何より、に滞在しているadventurerが大勢いる事が、人々の不安を小さくしていた。


 事実として、もしrunawayが起きたのがDClass Dungeonだったら、Moksiは余裕を持って耐えられただろう。運悪くの外に出ていた商人やadventurerが何人か命を落としただろうが、の中に被害が出る事は無かったはずだ。

 CClass Dungeonだった場合は、それなりの被害が出ただろうが、それでもが壊滅することは防げたはずだ。


 Adventurer’s Guildの緊急依頼によって動員されたadventurer達が、monstersを迎撃しを守ってくれる。特に今は冬であるため、十分に稼げる実力のあるadventurer達はの中に留まっている。戦力は十分揃えられるはずだ。誰もが、そう思っていた。


 しかし、その思いは物見の塔から複数のDragon……Wyvernではない、体長十meter以上のDragonが複数空を飛んでいると言う報告がもたらされた瞬間、大きくひび割れた。

 そしてに迫るmonstersaccurateな情報が入る度に、人々の顔は青くなった。


 DragonThunder Dragonである事が分かった時、Adventurer’s Guildだけでは無くMage guildTamer guildでも緊急依頼が張り出された。Earl 家に仕えるKnight全員が招集され、Guardたちは人々を避難させるために走り出した。

 そしてweak monstersでもRank5のOgre Soldierで、しかも Rank7のOgreハイGeneralCommandingしている数十匹の集団だと報告がもたらされた。Moksi Earlはそれを聞き終わった時、今日自分は死ぬのだと覚悟した。


 何故なら、このにはRank7以上のmonstersを一人で倒せるBClass adventurerが一人も居なかったからだ。

 Moksi周辺にあるDungeonは、全てCClass以下だ。そのため、BClassに昇Classしたadventurer達の殆どは、活躍の場を求めて他のに活動の場所を移す。


 昨日までなら、それで良かったのだ。討伐にBClass adventurerが必要なmonstersは、には現れないのだから。

 だが、今日からは違う。

 人々の多くはaccurateな情報は知らされていなかったが……離れたところからとは言え、DragonGIANTの咆哮が聞こえて来て、adventurerKnight達が悲壮な顔つきで走り回り、Guard達が人々に避難を促しているのだ。事態の深刻さは、自然と伝わる。


「も、門の中に、入れてくれ!」

「こっちだっ! こっちの門を使え! 中に入っても止まらず通りを進め!」

 駆け込んできたadventurerらしい十代の少年Shoujo達を、GuardKestは普段は使わない、他のNobleからの使者等を迎えるための門から、の中に引き入れた。


「お婆-sanがっ、お婆-sanが、私達を逃がす為の囮になって……!」

 息も絶え絶えのShoujoからそう訴えられたKestは、彼女に「分かった、助けに行く」とは答えられなかった。


「そのお婆-sanの為にも、今は自分と大切な人達の事だけを考えるんだ!」

 そう言って門の内側に彼女の背を押すのが精いっぱいである。このところ、地道な訓練の成果が出て来たのかメキメキとbody part Abilityが上がっているKestだが、所詮はGuardBardが題材に使うHeroのような事は、出来ない。


「……それにしても、まだ戻って来ないのか?」

「はい、の近くには居るはずなんですが」

 そして無力感を紛らわせるために、senpai Guardと言葉を交わす。彼等が待っているのは、の外に居るはずのVandalieuだった。


 Wolf-species Beast raceであるKestは、彼がに来た時からの顔見知りだが……それだけで待っている訳ではない。彼は既にMoksiの……そして近いうちにAlcrem Duchy全体にとって重要な人物になるからだ。

「もう彼の、pupilsTamed Monsterは戻っていて戦列に加わっているそうですから……もう戻って来てもいいはずなのに。一人で残って、何をしているんだか」

 Kestはそう言いながら、心配そうな顔で耳をピクピクと-sama々な方向に向ける。


 の住人の大部分にとってVandalieuは、aptitude豊かな少年Tamerでしかない。決してDragonが怖気付く『Dragon God Emperor』でも、Pure-breed Vampirespineを蹴り折る【Unarmed Fighting Technique】の達人でも、Evil God (M)を喰い殺すDemon Kingでもないのだ。

 それはKestも例外では無く、Guardでしかない彼に心配されても仕方ない。


「意外と、DragonGIANTTamerしているかもしれないぞ。どう言う訳か、に着く前に何匹かのDragonGIANTが同士討ちで数を減らしているらしいし」

「いや、流石にそんな訳が……あるかもしれませんね」

 物見の塔で目撃された、Vandalieu達を襲う謎の集団についての情報はKest達の元にもたらされていなかった。


「それよりKest、お前はまだ新米だ。避難民の護衛に回っても良いんだぞ。俺は独り身だから構わないが……お前のfamilyは避難するんだろう? ついていてやったらどうだ?」

 の壊滅は避けられないと覚悟したMoksi Earlだったが、それは領民の生存を諦めた訳ではない。戦力をかき集めてmonstersの群れと戦い、その隙に他の門から若いGuardadventurer達に護衛させ一般市民を避難させる予定だ。


 あまり早く避難民をの外に出すと、monstersの群れの注目がそちらに行ってしまう可能性があるので、避難民がを脱出するのは本格的に戦闘が始まってからになる。

 senpai Guardは、Kestにその護衛に回るよう促しているのだ。


「いえ、俺は残ります。から脱出しても、空を飛ぶThunder DragonWyvernがいるんじゃ、無事じゃ済みません」

「まあ、それはそうだが……ここに居るより生き残る可能性は高いぞ」

「大丈夫です。familyは、『Hungry Wolf』警備の人達が守ってくれますから」


 『Hungry Wolf』警備。それは『Hungry Wolf』のMichaelことMiles Rougeが、歓楽街やSlumのチンピラ達を使って立ち上げた警備会社である。

 発足して間もないが、heart mark入りの制服を着た元チンピラ達は不自然なほど統率がとれており、多少口調が荒くEtiquetteが雑な点を除けば頼りになると、reputationである。


 だが流石にmonstersの相手は荷が重く、今回は避難民の護衛に加わる事になっていた。Slumや歓楽街での避難誘導など、既にGuard並の活躍を見せている。

 ……Aggarの一件で信用を落としているGuard隊としては、頭の下がる思いである。


「それは知っているが、別にお前が一人加わったところで、大した差は無いぞ」

「そう言うsenpaiは、この前の訓練で俺に負けたばかりじゃないですか」

「言ったな。そろそろこの門は閉めるぞ! 詰め所でcrossbowを受け取って、城壁に登る! Kest、ついて来い!」

「はい、senpai!」


 Kest達が門を閉めている頃、正規の門の外ではmonsters達を迎え撃つための戦力が集結しつつあった。そう、門の内側ではなく、外側にだ。

 monstersの群れを構成するのがGoblinKoboldなら、Huge BoarHellhoundOgreだったとしても堅牢な城壁はmonsters達の攻勢を受け止める事が出来るだろう。

 しかし、敵は空を飛ぶDragonに、城壁より背が高いMountain Giantだ。城壁を頼って籠城しても、Dragonには飛び越えられ、GIANTの体当たりであっさり崩れるだろう。


 それなら門の外に戦力を集中させ、城壁には弓兵やMage等遠距離攻撃が得意な者達を並べた方がまだ使える。

「まさか、昨日まであれほど頼もしく思っていた先祖の立てた城壁を背に死ぬ事になるとは……人生は分からんな」

 Isaac Moksi Earlは、急いで引っ張り出した鎧兜を纏い、使い慣れない剣を腰に差し、軍勢をCommandingしている……事になっている。


 内陸の交易都市を任されているMoksi Earl 家の当主である彼には、戦争で軍を率いて活躍した経験は無い。実際のCommandingKnight Delegation Leaderや、Adventurer’s GuildMasterであるBellardに任せており、彼自身はお飾りである。

 それでも領主である彼が避難せずに留まると言う事実だけで、Soldier達の士気は大分保たれている。


「領主-samaは途中でguildの地下室にでも逃げ込んでください。runawayしているmonstersは、隠れ潜んでいるHumansignには鈍くなるんで、もしかしたら生き延びられるかもしれません」

 そう進言するBellardに、Isaacは苦笑いを浮かべて首を横に振った。


「生き延びても、運が悪ければ建物が崩れて地下室に閉じ込められたまま餓死するのを待つ事になるではないか。それにBellard、儂は大きな失態を犯した身だ。おめおめと生き延びても、Duke閣下に合わせる顔が無い」

「失態って……お言葉ですが、こんな事が起きるなんて誰も思いませんよ」

「彼の言う通りです。確かにDungeonrunawayとしか考えられない事態ですが、これは常識の範疇を超えています」


 Bellardだけでは無くMage guildMasterも異を唱える。

 確かに、Dungeonmonstersrunawayは災害と言う扱いではあるが、備えを怠った為政者の失態によって起きる人災という意味もある。

 ただ今回の場合、あまり強いmonstersは出ないはずのDevil NestsにBClass Dungeonが出現するとほぼ同時runawayしたと言う、悪質なTrapのような状況だ。


 これでは、adventurerがどれだけDevil Nestsmonstersを狩って間引いていたとしても無意味である。

 しかしMoksiという交易の中心にある都市をmonstersrunawayで失ったとなれば、Alcrem Dukeも誰かに責任の所在を求めなければならなくなるのも事実だ。


「構わん。何、いざと言う時首を差し出すのもNobleに生まれた者の務めだ。それに避難民と一緒に儂のfamilyも護衛のKnightつきで脱出させる。

 それに、儂がNobleとしての責任を果たして散れば、Duke閣下もMoksi Earl 家を法衣Nobleとして残すか、Viscountに降爵するぐらいで止めてくれるかもしれん」


 そう言うと、Isaacははっはっはと笑った。打算だらけのSelf犠牲だが、Dukeも当主であるIsaacが死ねば、まだ幼いchildを罰する事はないだろう。


「それより、戦力はどの程度集まっているのだ?」

Adventurer’s Guildでは、CClass以上のadventurerに緊急依頼を発行しました。DClass以下のadventurerは自由意思に任せています。

 CClass adventurer二十二名、DClass adventurer約五十名が集まりました」

 CClass adventurerは、一人一人がRank5から6のmonstersを倒す事が出来る。しかし Rank7以上のmonstersを一人で倒すのは難しい。DClass adventurerは問題外だ。


 だが、CClass adventurerでもpartyを組んでいたら、Rank7以上のmonsters相手でも勝てるかもしれない。


Mage guildでも、有志を募りました。攻撃magicの使い手は城壁に、回復magicや付与magicの使い手をrearguardに配置してあります。

 後、Tamer guildBachemTamed Monsterに乗って待機しています」


 Mage guildは有志を募り、そしてTamer guild branch長は、既にTamed MonsterHuge Wyvernの背に乗って、空を飛ぶmonstersを落す為に待機している。

 ちなみに、Mash達孤児院のchild達は当然避難民の方にいる。周囲の大人達が不安そうなのに対して、平然としている孤児達の姿は、周囲から妙に見えるかもしれない。


「それと、商人からも有志が」

「ああ、あの『剛剣』のRodriguezか。nameだけは儂も聞いた事がある。元とは言え、BClass adventurerが加わってくれたのは僥倖だった」


 DarciaGhoulの偽装娼館のビジネスを提案した商人、の護衛として雇われていたRodriguez。彼も平然とした態度でadventurer達の先頭で徐々に迫るmonstersの群れを見据えていた。

 本来なら、Rodriguez一人が加わっても、事態はあまり好転しない。

 BClass adventurerなら、DragonMountain Giantを一人で相手にしても勝つ事が出来る。しかし同時に二匹以上のDragonGIANTを相手にすると、勝率は一気に落ちる。


 特にRodriguezは現役では無く、元BClassだ。雇い主を守るためmountain banditや、街道に出現するmonstersを退治する事はある。しかし、強いmonstersと戦う事はほぼ無くなってしまった。

 そのため、現役時代よりも腕や体が鈍っている事をRodriguezも自覚していた。今の自分では、他のCClass adventurer並の働きしか出来ないかも知れないと。


 だが、Rodriguezはここで自分が死ぬとはfragmentも思っていなかった。それはただの誇大妄想でも、現実逃避に寄る物でもない。

(来たか。真のBClass相当以上の実力者が)

 そして、その思いは門の内側からGhoulを……BasdiaZadirisを連れ、Simon達と合流したDarciaの姿を見て、確信に変わる。


 ざわざわと彼女の事を知っている者達が、思わずざわめく。共同templeで定期的に説法を行い、歓楽街のVida通りでは売り子をしていて、更にあのVandalieuの母である彼女も有Adeptだった。

Darcia -donoではないか。あなたはadventurerではないのだから、ここで命を賭けなくとも……」

「いいえ、このには大勢の友人がいますし、息子もまだ戻って来ませんから。それに、これでも故郷ではmonsters退治は得意な方だったんです。

 彼女達も力を貸してくれますから」


「私達はVanTamed Monsterだからな」

「まあ、そのTamer本人は居ないが……問題無いじゃろう。ここはの外じゃし」

 そう口々に言う彼女達の手には、今まで見せた事のない杖や斧が握られている。


「それに領主-sama、それほどdespair的な戦いにはならないかも知れませんよ」

 そう言われてIsaacが改めてmonstersの群れを見ると、に向かってくるDragonの数がだいぶ減っていた。一部、何故か草原の方に向かっているDragonもいるので油断はできないが……それでも一度に相手にするDragonの数が減るだけでも、吉報である。


「これは……やれるかもしれん。Darcia -dono、ところで、ご子息が戻って来ないとは一体? それに『Hungry Wolf』は?」

 一部にはBClass adventurer並の実力を持つと見抜かれている『Hungry Wolf』のMichaelは、大きな戦力になる。そして基本的にはTamerとしての実力しか知られていないが、得体の知れない部分があるVandalieuにも、Earlは期待していた。


「お館-sama、流石にそれは……」

 十age少々の少年にまで頼るのはどうかと、Knightの一人が諌める。彼のように思う者もいるが、Tamed MonsterTamerCommandingがなければ本領を発揮できないというのが一般的な常識だし、状況はひっ迫している。Earlの言葉に違和感を覚える者は少なかった。


「ええっと、Michael -sanはちょっと所用で……息子は友人と草原に残っています」

「な、なんとっ! それは……まさか、DragonGIANTの一部が草原に向かい、同士討ちを始めたのは彼のお蔭なのか!?」


「はい、maybe、竜種やgiantを混乱させる毒のCompoundingをあの子は知っていますから。あの子は昔からAlchemyが得意ですから」

 Darciaが言った嘘に、そうだったのかと後ろで控えているSimonが目を見張り、Nataniaがすっと顔を逸らす。


「そんな毒があるのですか!? しかも、空を飛ぶDragongiantに盛る事が出来るとは……!」

 そして同じく驚愕に目を見開くMage guildMaster。彼は、VandalieuSimonNataniaにしたように義肢を安価で配り、magic itemの義肢の価値が下がってしまうのではないかと危惧し、organization的に圧力をかけようとしている張本人である。


 確かに、Slumにはbody partに障害があって満足に働けない者達もおり、その中には手足を損なっている者もいる。そうしたものに義肢を配るのは、このVandalieuがしてきたことを考えれば、確かにやりそうだ。

 しかし、実際にはVandalieu達が作る義肢と、Mage guildalchemistが作るmagic itemの義肢は別物なのだが。彼等がかけている圧力に、意味はほぼ無い。


「はい、Elder秘伝の毒です。あの子は三ageになる前から、すり鉢でMagic Stoneを砕きながら【Alchemy】の修行を始めて、七ageになる前から里のWarriorから【Throwing Technique】を学んでいましたから」

 そう誤魔化すDarcia。実際にはそんな毒は存在しないし、指導したのはDark ElfElderWarriorではなく、彼女の視界の隅で誇らしげな顔をしているGhoulElderと、その娘のWarriorだが。


 しかし、「息子がUndead Transformationさせ、操っているんです」と真実を告げる訳にもいかないので、仕方ない誤魔化しである。

「何と……一体どんな毒なのですか!?」

「すみません、扱いが難しい毒で私は触った事が無くて、管理は息子がしているんです。それに、まさかDragonGIANTが出るとは思わなかったので、そんなに沢持っていないはずです」


 なのでMage guildMasterに聞き返された時は、Darciaは内心冷や汗を流していた。彼女はそんなに嘘が得意ではないのだ。今も、頬が引きつらないよう必死だ。

「むぅ、もしその毒があれば、戦況はこちら側に大きく傾くものを……」

「扱いが難しいと言っているだろう。Darcia -donoの心情も思いやらぬか。ご子息の元に駆け付けたいだろうに、彼女は我々と共に戦ってくれようとしているのだぞ!」


 そのため、Moksi Earlが話を遮ってくれたのには、思わずほっと息を吐く程安堵した。

「も、申し訳ない」

「いえ、良いんです。それよりも、そろそろ備えましょう」


 謝罪するMage guildMasterにそう流すと、Darciaは迫りくるDragonGIANT、それ以外にもOgreTrollなどのmonstersの群れを見つめた。

 当初予想された数よりもだいぶ減っているし、DragonGIANTの中にはVandalieuによってZombie化した元同族と戦って、傷を負っている個体も多い。……それどころか、最初十頭以上と言われていたThunder Dragonの数が、僅か三匹にまで減っている。


 それに気がついた将兵やSimonは、希望が見えて来たと顔色を良くした。だが、それとは逆にDarciaは内心困っていた。

 何故なら、本気でやればすぐ片づけられそうなmonstersばかりだったからだ。

 certainly Bodyを変化させる【Chaosskillは使えないが、それでもThunder DragonMountain Giant程度なら、今の彼女は苦戦せずに倒せる。


 しかし、あっさり倒してしまうとVandalieuと、Reincarnatorとの対決に水を差してしまう。

「どうしましょう。適度に引き延ばしながら、犠牲者も出さず、時間をかけて退治するなんて器用な事、出来るかしら? 私、自信が無いわ」


「まあ、私も無いが……levellingの監督をしていると思おう。防御に徹して、monstersを倒すよりも翻弄して傷を与える事を優先すれば、何とかなるはずだ。を守るために命を賭ける覚悟を決めている彼らに対しては、失礼だと思うが」


「尤も、それが出来るだけの演出が無いと不自然じゃし、ある程度本気にならねばこの人数をカバーするのは無理じゃ。Darciaは【Familiar Spirit Advent】、儂等はEquipmentで『Transform』……くれぐれもMagical Girlの事を口にするでないぞ。

 Human社会にまで広まっては、いよいよdespair的じゃからな」


『もし、monsters達を倒し終わってしまったら、我が迷宮のmonstersを追加しましょう。Golemばかりなので、奇妙に思う者も出て来るでしょうが、真実に至る事は無いかと』

 BasdiaZadirisの頼もしい言葉に、Gufadgarnからの緊急時対策に若干緊張が解れたDarciaは、迫りくるmonstersの群れを前に杖を天に向かって掲げて見せた。


「……【Familiar Spirit Advent】!」

 本来ならVidaも降ろせるDarciaAdventを求められたFamiliar Spiritは、彼女の事情を察したのか、いつもより輝きが強く見える光の柱を立てて、DarciaBodyに降りたのだった。




 Hajime Fitunの配下であるHeroic spirit達は、手筈通りMoksiを破壊しようと、行動を開始していた。

 の東西南北から囲むように、を目指して注意しながら移動していた。

「おい、その木の下を通るな。アーチ状になっている」

「面倒ね。これだからspace attributeMageは嫌いなのよ。ally側に居るなら大好きだけど」

Legionに、『Evil God of Labyrinths』、そしてまだ見ぬBoundary Mountain Range内部のSpace-Attribute Mageか……いいねぇ、相手にとって不足noneだ」


 彼らはspace attributemagicを警戒していた。Space-Attribute MagicFire-AttributeWind-Attributeと違い、攻撃magicに乏しい。しかし、その分他のattributeとは違う強みがあった。

 それは、異なるspacespaceを繋ぐ【門】を使ったTrapだ。これにはまると、どうしようもなくなる。


 炎の玉や電撃を受けても、余程のAttack Powerでなければ彼らは死なない自信があった。だが、Space-Attribute Magicで物理的に遠く離れた場所に飛ばされたら、その時点でretireだ。

「楽しむのは良いが、油断はするなよ。数が少ないのはこっちだ、一人飛ばされるだけでも、戦力は大きく低下する。

 monstersの犠牲者か」


 Heroic spirit達が進む先には、森の木に引っ掛かるようにしてバラバラになった死体が散乱していた。

「おい、そんな物放っておけ」

「いや、どこかおかしい。何で放置されている? monstersの群れにやられたなら、食われていないとおかしい」


 死体は確かにバラバラで、胴体に納まっていたはずの臓物は残っていなかったが、それ以外の四肢や頭部は無傷に見える。だが、runawayしているmonsters群に殺されたとすれば、まだ損傷は少ない方だ。

 確かにGiantDragonGIANTだったら、獲物のfragmentぐらい見逃してもおかしくない。だが、群れにはOgreや、特にBad Eatingで知られるTroll、他にも肉を好む獣型のmonstersが多く含まれていた。


 彼等のappetiteDungeonで訓練を繰り返してきたHeroic spirit達が知っている。その彼らが、進路の途上に転がっている肉を放置する事に、Heroic spiritの一人が違和感を覚えた。

 しかし他のHeroic spirit達は意見が異なるらしい。


nerve質になり過ぎだ。どうせ、硬い婆の肉を嫌がったとか、内臓だけ喰って満足したとか、そんなところだろ」

「私は寧ろ、やっと死体が転がっていたって安心したけどね。どう言う訳か、今まで死体の一つも転がってないから、気になっていたのよ」


 そう言いながら、足を止めずに進んで行く。

「……たしかに、何でここまで死体の数が少ない?」

 しかし足を止めたHeroic spiritは、さらに大きな違和感に気がついた。死体の数が少なすぎるのだ。


 今は冬で雪も積もっているから、Devil Nestsで狩りをするadventurerの数が少ないのは当然だ。しかしMoksiの規模から考えれば、他に仕事の無いadventurerが何十人かいるはずだ。特に、tacticsが始まったのは午前中だった。朝方依頼を受けて狩りや採集に赴くadventurer達が、仕事をしている時間帯である。

 そうしたadventurerの死体が異常に少ない。まるで誰かが避難でもさせたように。


 いや、無いのは死体だけでは無い!

bloodが、一滴も無い? 飛び散っていないのはcertainly、死体が着ている服にも……待てっ! これはTrapだ! 下がれ!」

 異常性に気がついて仲間を引き止めようとしたHeroic spiritだったが、彼等が反応するよりも早くその姿はふっと消えてしまった。


「はっはっはっはっはー! 気がつかれてしまったか! 私にしては珍しく静かにしていたと言うのにな!」

 突如老婆の首が笑い出した。それで一人残ったHeroic spiritも確信した。

「貴-sama……Legionか! その喧しい話し方は、隊長が言っていた『Valkyrie』だな!?」


「む! やはり我々の情報を聞いていたか! この前Fusionしたご老人の姿を借りていて正解だったな!」

 老婆の頭部が、若く美しい白い髪と肌をしたfemale……Valkyrieの物に変化する。飛び散っていた肉片が蠢き、彼女の元に集まりFusionを始めた。


「貴-samaの仲間は、では無い何処かに我等が同胞Jackの力で送り届けた! さあ、どうする? 一人で我々と戦うか!? それとも仲間を助けに行くか!?」

「……決まっている」

 煽るように尋ねるValkyrieに対して、Heroic spiritは駆けだした。……猛Speedで、Valkyrieを避けて、に向かって。


「貴-samaを無視して、tacticsを実行する!」

 仲間を失ったのは痛いが、戦争ではあり得る事だ。重要なのは、Trapにかかった後、どうするかだとHeroic spiritは考えていた。

 一人でも、に至れば……城壁に穴を空けるだけで大騒ぎだ。Demon Kingは大事なを守るために、更に戦力をに差し向けるに違いない。


 しかし、隠密性をかなぐり捨てて走るHeroic spiritの前に、大男が立ちはだかった。

「貴-samaは、Miles Rougeか!」

「あら、アタシのreal nameを知っているのね」

 Vandalieuも、Legion達だけでHeroic spirit達がに接近するのを防げるとは考えていなかった。


 そのためMiles達はの外に配置されていたのだ。

「ちぃっ! ……もっとの近くで使いたかったが、致し方ない」

 Heroic spiritは足を止め、Milesから距離を取った。そして気合を入れて叫ぶ。


「【Heroic Spirit form】、Activate!」

 その瞬間、Heroic spiritwhole bodyが輝き、Intimidation感が膨れ上がる。

「このBodyだけの力ならin any case、俺の……『Gale Demon SlashKizelbainの本来の力があれば……Noble-born Vampireごときに遅れは取らん!」

 beltに差していた二振りの短剣をそれぞれ抜き、Milesに向かって構える。


 だが、Milesは紅を引いたlipsで不敵に笑った。

Noble-born Vampireごときねぇ……でも確かにこのままだときつそうだし、アタシも奥の手を切りましょうか。……【Familiar Spirit Demonic Advent】!」

「っ!?」

 その瞬間、Milesの足元から噴き出した闇色の光が彼を包み、Heroic spiritは思わず息を飲んだ。


「さあ、神の使いとDemon Kingの手先の戦いを始めましょうか!」

『……人聞きの悪い事を言いますね』

 Milesにしか聞こえない声で、VandalieuCloneは呟いた。


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