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Chapter 232: ごと討ち取ろうとするHero達、も守ろうとするDemon King

 Moksiを拠点にしているDClass adventurer partyの一つ、『Rock Iron Party』は依頼の関係で潜っていたDungeonから、への帰路についていた。

「……妙だな」

 leaderRockは、足を止めて考え込む事はしなかったが、訝しげな-sama子で呟いた。


「妙って、何が気になるんだ? いつもよりの周りにmonstersが少ないのは、今が冬なのとVandalieu達がいるからだって納得しただろ」

 GoblinHorn Rabbit等、weak monstersの近くまで近づいて来る事は珍しくない。しかし、冬の寒さはmonstersにも等しく降りかかる。そのため、今の時期はmonstersの数が比較的減る。


 それに今年に入ってから、Devil Nestsの間でVandalieuFangSimonpupilsの訓練を行うようになった。cowardmonstersは逃げるし、Goblinのように相手の力量を測れないmonstersは訓練のついでに彼らに狩られている。

「そう言えば、Fangの奴またRank upしていたな」

「離れた所から見ても分かるほど大きくなっていたからな。Huge Hellhoundか……俺達が途中で撤退したDungeonで、時々ボスとして出現するmonstersだよな?」


Maroll達は、見た目は変わってなかったけど……Rank upしているんだろうな。……地味にshockだ」

 帰り道に見かけたVandalieu達、その中で一際目立っていたFangの姿を思い出してRockの仲間達は溜息をついた。


 初めて会った時はRank2だったFangMaroll達が、今やRank5だ。顔馴染みである彼らの成長を祝う気持ちが無い訳じゃないが、それよりも短期間で追い抜かされたことに対してEmotional衝撃を覚えているらしい。

「お前等、SimonNataniaには触れないけど……何でだ?」

「妬ましいからだ、Simonが」

「あいつ等はもう同情する相手じゃなくて、ライバルだからな」


「お前等……俺だって今が冬だってことや、Vandalieu達の事を忘れた訳じゃない。それを考えても、妙だと思ったんだ、感覚的に!」

「感覚的にって……Goblin狩りの依頼のせいで、冬でも外で狩りをする新人が増えたからか? EClassの連中や、DClassでも一人で活動している奴や、金を使い過ぎた奴等は結構張り切っているって聞いたぞ」


 Goblinmonstersの中でもBreeding力が高いため、Adventurer’s Guildでは討伐依頼が常時張り出されている。しかし、今までは旨味のある依頼だとは言えなかった。Goblinは確かにweakが、倒して得られるのは安い討伐報酬のみ。素材として売れる部位は無く、真冬に好んで狩りたい得物では無い。


 だが、Vandalieuが広めたGobu-gobuと、Gobu-gobuの材料を求める者達からの依頼によって、今まで無価値だったGoblinの肉が、少額でも買い取ってもらえるようになった。

 今までだとGoblinを倒しても一匹では木賃宿に一泊する事も出来なかったが、Dismantlingと肉を持ち帰る多少の手間と苦労を厭わなければ、宿泊だけではなく粗末ながら食事も賄える。


 金に困っている新人adventurerにとっては、や街道の雪かきよりもずっと楽な仕事だ。そのための周辺で新人adventurer達を見かける機会が、例年より多くなっている。

 ちなみに、新人adventurerがやらなくなった雪かきは、Slumの住人の日雇い仕事になっている。


「そのせいでの周辺の雰囲気が、去年までとはちょっと違うからな。だからじゃないか?」

「……見覚えの無いadventurerの姿を見かける事が多いなと思ったのは、その通りだが」


 Moksiは、人の出入りが激しい交易都市だ。それはadventurerも例外ではない。隊商の護衛などをしながら新顔がを訪れ、逆に顔馴染みが旅立つ事は珍しくない。

 特に今はRockの仲間達が話したような事情もある。Rockが見覚えの無いadventurerを、何組か見かけても、あり得ないことではない。


「そうだな、特に気にするような事じゃないか」

 そうRockは考え直すと、仲間達と共にへ急いだ。




 breadっと音を立てて男が蟲Undeadを潰した。

「いいんですかい、隊長。それを潰すと、Vandalieuに場所が知れますぜ?」

「知られて困る時期は終わったからな」

 Hajime Fitunは配下である受肉したHeroic spirit達をCommandingしながら、Moksiに向かっていた。


 Hajimeは、VandalieuMoksi周辺を、縄張り同然としている事を察していた。そうである以上、下手に隠れても意味は無い。

 蟲Undeadを潰したHajime Fitunは、すぐにVandalieuが現れるような事態に成らなかった事に息を吐いた。


「前試した時と同じか。蟲Undeadfive sensesや、位置を全て把握している訳じゃないようだ。もしそうだったら、ここに殴り込んでくるだろうからな」

 Vandalieuが放っている蟲Undeadを、Hajimeはこれまでも何度か潰していた。一度目は【Marionette】で操った動物を使って。二度目は動物では無く行きずりの旅人を操って。そして三度目は今、自分自身で。


 だがVandalieuやその手下が現れる事は無かった。

「いや、単に-sama子を見ているだけか。俺達の居場所を把握して、逃がさないよう企んでいる可能性もあるな」

 実際、Hajimeが試した時はいつでも逃げられるように準備していた。Vandalieuは彼らが逃亡しないように、故意に見逃したのかもしれない。


「じゃあ、tacticsは取りやめますか?」

「それは無いですよ、隊長。俺達はいつまでこのbody partに入ってりゃいいんですか?」

 『Flame Blade』の面々のBodyに降りたHeroic spirit達や、GordonBobbyが顔を顰める。彼らにとってGordonたちのbody partは、久しぶりに得た実体だ。


 程度の差はあるが、生前の自分達のBodyよりも格段に脆弱だが、だからこそ難易度がBClass程のFitunの試練の迷宮で戦闘を楽しむ事が出来た。

 【Heroic Spirit Adventskillの持ち主などそうそう存在しないため、monsters相手とはいえ久しぶりの実戦は新鮮ですらあった。


 だが、流石に長期間過ごしたいとは思わなかった。それにmonsters相手の戦いは、決戦の為の訓練。彼らにとって前座ですらない。

 【Demon King Fragment】をAbsorptionし、Pure-breed VampireEvil God (M) Evil God (P)を倒し、『God of Law and LifeAldaが育てたHero達を追い詰め、腹心を喰らった現代のDemon KingVandalieuとその配下達との殺し合い。それが彼らにとっての望みだ。


 それを先延ばしにされれば、不満の一つも覚えると言うものだ。

「そんな訳ないだろ。tacticsはこのまま進める」

 それはHajime Fitunにとっても同じだった。


「ははっ、流石隊長!」

「浮かれるな。一旦引いても、状況は何一つ好転しない。俺達の方が不利だってことを忘れるな」

 しかしそれ以上に、一旦引いてもVandalieuに時間を与えるだけで、自分達が不利になるだけだという理由が大きかった。


を包囲して、timingを待って攻め上がれ。穴状の物は、たとえ自分で開けたとしても絶対に潜るなよ。相手にspace attributechunk of meatEvil God (M)がいる事を忘れるな」

 Hajime FitunAlda達と情報を共有していない。彼のHeroic spiritであるGordonBobby達も同-samaだ。だからVandalieuBirkyneの戦いについて、Aldaが持っているかなり小さな情報でさえも知らないままだった。


 しかし、『Trial of Zakkart』を作り出してContinent中を彷徨っていた『Evil God of LabyrinthsGufadgarnが、Vandalieu側にいる事は想像に難くないとも思っている。

 それに【Teleportation】を使いこなすLegionについても、忘れてはいない。


「蟲Undeadや霊の警戒網は気にするな。の周辺に居るHuman共も無視しろ。……殺し合いが始まれば、どうせ巻き込まれて潰れて終わりだ」

「それで隊長、そのtimingは?」


 攻め寄せているのは自分達なのに、まるで追い詰められているかのように後が無い。勝てば官軍だが、勝てなければ賊軍だ。万が一逃げ延びる事が出来たとしても、Aldaは自分達を「神に相応しくない」としてVidaに打ったのと同じ杭を刺すだろう。


「すぐに分かる」

 それを考えるとHajime Fitunの口は、両端を無意識に釣り上げ弧を描くのだった。




「今日までよく俺を信じてついてきてくれました。今の二人なら、十分義肢を使いこなせるでしょう」

 VandalieuMoksiからやや離れたいつもの草原で、Simon達の訓練を行った。それが一段落した頃に、彼は唐突にそうSimonNataniaに告げた。


「ウォンっ」

「「「チュッチュゥチュウ~♪」」」

 Fangが「良くやった」と褒めるように小さく吠え、Maroll達がお祝いの歌を歌い始める。彼らも訓練でskill levelを上げ、Rock達の見立て通りRank upを果たしている。


 originally牛と同じくらい大きかったFangは、今ではBuffaloより一回り以上大きくなっている。一方Maroll達は変わっていないように見えるが……戦闘態勢を取れば変化は明らかになるだろう。


「え、いや、なんて言うか……マジですかい、師Artisan?」

「冗談じゃなくて?」

 一人前だと祝われている二人は驚いたように目を瞬かせ、Vandalieuに確認していた。


「本当ですよ。二人とも【Spirit Form Warrior】と言う新Jobに就き、義肢を生身のBody以上に使いこなせるようになったじゃないですか」


「いや、でもそのJobって師ArtisanJobの下位っていうか、一段下っぽいJobなんじゃ?」

「【Spirit Warrior】との違いはともかく、Spirit Formを駆使するのに都合の良いJobを獲得した事に違いはありません。それは誇るべきです。

 それに実力もついています。十日前は自力でKoboldの群れを倒しましたし、五日前はDevil Nestsの端でOrcを一匹ずつ狩り、そして昨日は謎のHuge Stone Golemを倒したでしょう?」


「あぁ、あの師Artisanが何処からともなく連れて来た、あの」

「謎の……ねぇ?」

 義肢で四肢を失う以前と同じように、そして以前以上に戦えるよう、Vandalieuは二人に模擬戦だけでは無く実戦も経験させていた。


 最初はHorn RabbitGoblin等の雑魚から、十匹ほどのKoboldの群れ、Rank3のOrcと相手の強さを上げて。

 そして最後に戦わせたのが、Rank4のHuge Stone Golemだ。これはVandalieuが【Golem Creationskillで作った物では無く、Moksiを模したDungeonで発生した個体をGufadgarnが【Teleportation】させたものだ。VandalieuGuidanceや【Mass Strengthen Adherents】のimpactを受けてはいない、Rank4の額面通りの強さだ。


 certainly Vandalieu達にとっては一幾らの雑魚に過ぎないが……SimonNataniaにとっては強敵である。二人とも四肢を失う前はDClass adventurerで、一人では一度にRank3のmonstersを一匹倒せる程度の実力しかなかったのだから。


 それなのに昨日二人はRank4のmonstersを、楽勝と言う程ではないが十分な余裕を持って倒す事が出来た。

 これはつまり、二人が四肢を失う以前よりも実力を付けている事を意味している。


「その結果を見れば、修行を一区切りするには十分だと思いますが」

「いや、オレ達は師Artisanの事だから、一区切りつける前に仰々しく『卒業試験だ』とか言ってそれっぽい事をするんだろうなって思ってたから……」

「あっさり卒業って言われても、ちょっと……」


 まだ戸惑っている-sama子の二人に、Vandalieuも頷いた。

「俺もそう考えてはいたんですが、ちょっと予定が変わりまして。卒業試験は後回しにする事にしました」

 どうやら、考えてはいたらしい。


「そう言う訳で、これが卒業の印です」

 Vandalieuはそう言いながら、荷車のcarriageに被せていた布を勢い良く引く。すると、明らかに鉄とは異なる金属で出来た義肢が姿を現した。


「こ、これは!?」

「俺とある人達の合作です」

 TalosheimBlacksmithDataraと、GhoulArms Artisan Tarea、そしてVandalieuの技術が込められたDeath IronHell Copper等の液体金属製の義肢だ。液体金属を鍛え上げ、【Demon King Fragment】の素材と組み合わせ、magicを込めた一品である。


「初めて見たけど……これが……凄い。こんなの、オレ貰っていいのかな?」

「ありがたい……ありがたいですが師Artisan、これが尋常な品じゃないのは、俺でも分かる。本当にいいんですかい?」


「ええ、今二人が使っているの武具店で購入したfullプレートArmorの四肢の部分を加工した物とは、性能は段違いの筈です。一本でも売れば、本物の四肢と変わらない性能のmagic itemの義肢が何本でも手に入るでしょう」

 試行錯誤を繰り返した結果、ちょっとしたlegend Class magic item並の性能となっている。


 【Aegis】のMelissa曰く、「これが貰えるなら、四肢の一本ぐらいなら喜んで切り落とす奴は数え切れないでしょうね」との事である。


「あ、ちなみに色は自由に変える事が出来ます。なので、普段は普通の鉄のように見せておくと良いでしょう」

 なので、慌てて隠蔽機能を付け加えてある。

「それと、勿体ないから受け取らないと言う選択肢はnoneでお願いします。これ、二人のSizeに合わせて作ったOrder-madeで、しかもSpirit Formskillが無いとただの金属製の義肢でしか無いので」


「そう言う事なら……遠慮無く」

 SimonNataniaは暫く迷ったが、以前から「いつかとっておきの義肢を渡す」と説明されていたので、結局は義肢を受け取った。


 義肢を固定するbeltを外し、宿らせていたSpirit Formを古い義肢から抜いて、新しい義肢を装着する。その途端、古い義肢との違いを実感する。

「凄い! 重さはそんなに変わらないはずなのに、軽く感じる! 関節も滑らかだし……もしかしTransformとかも出来るの!?」

「できますよ。Simonも、次に戦う時に『Transform』と言いながら、義手にManaを通してみください」


 義肢を装着し、はしゃぐNatania。彼女の周りで輪になって踊るMaroll達。彼女とSimonにそう短く説明するVandalieu

 それを聞きながらSimonは眉間に皺を刻み、何かを迷うように押し黙った後、唐突にVandalieuへ向かって頭を下げた。


「師Artisan! 折り入ってお願いがあります! どうか、俺に全てを話してもらえませんか!? 実は――」

「先月貰ったと喜んでいたblessingsの伏せ字が取れて、俺のnameが表示されたとかでしょうか?」

「へい、まだ完全じゃないですが……それに今までは敢えて聞きませんでしたが、師Artisanは妙なところがあり過ぎる! 【Spirit Form】や【Materialization】、【Long-distance ControlskillについてもJessieに聞いたら、義肢を動かすのに使えるなんて話は聞いた事が無いって教えてくれました」


「まあ、でしょうね。敢えて説明はしませんでしたけど」

 originallySpirit Form】や【Materialization】等のskillは、ほぼUndead専用と言っても過言ではないskillだ。それ以外のmonstersや、ましてや普通のHumanが覚えている事はほぼ無い。【Long-distance Controlskillに至っては、絶対に不可能だ。


「それで思ったんですが、師Artisanは、もしかして……」

Simon、続きは後にしましょう」

「師Artisan、俺は今話して欲しいんだ!」


Simonっ、そんな事言ってる場合じゃないって!」

Nataniaっ、あんたは師Artisanについてもう知ってんだろう? だったら黙っていてくれっ! 師Artisan、俺はどうしても――」

「GYAOOOOOOO!」


 Nataniaを振り払うようにして、再度Vandalieuに迫るSimonだったが、彼の声は空に響く咆哮によって遮られた。

「えっ?」

 Simonが思わず上を見上げると、冬の澄んだ青空を舞う、体長十meter以上のDragonの姿があった。


「な、な、な、何だ、ありゃあ!?」

「特徴からconjectureすると、Rank8のThunder Dragonですね。ところでSimon、話はどうします?」

「そんな場合じゃないでしょう!? DungeonでもDevil Nestsでもなんでもない、のこんな近くに竜種が、Dragonが出たんですぜ!? 何でもっと早く気がつかないんですかい!?」


「だから、オレがそんな場合じゃないって言ったじゃないか!」

 実はNatania達は、Simonより先にDragonに気がついていた。彼は頭を下げていたため、気がつくのが遅れたのである。


 そうして騒いでいるとSimon達の姿が目に入ったのか、Thunder Dragonは地上に顔を向け、鋭いfangsの並んだ口を開けた。

「GYUAOOOOOOON!」

 その奥から白く輝く稲妻のBreathを吐いた。Flame Breathよりも効果範囲が狭いが、その分速く、狙いもaccurate


Kimberly

『了解でさぁ!』

 だが、そのBreathの前に、【Wind-Attribute Nullificationskillを持つSchwarz Blitz GhostKimberlyが姿を現した。

 稲妻のBreathKimberlyにぶつかるが、雷はこのworldではWind-Attributeに分類される。そのため、Kimberlyには何のDamageも与えない。


「【黒雷】」

「GYAAAAAAAA!?」

 そしてVandalieuの【Dead Spirit Magic】によって焼かれ、Thunder Dragonは墜落したのだった。


「さ、Thunder Dragonが……そんなあっさり」

 黒い雷に貫かれたThunder Dragonが音を立てて地面に墜落するのを見たSimonが、呆然とした-sama子で呟く。

『ちなみに、その義肢は耐電仕-samaなんで、生身だった時と比べて電撃に弱くなるなんて事は無いそうですぜ』

「そ、そうですかい。そりゃあ、ご丁寧にどうも」


 戻ってきたKimberlyにそう教えられても、そう礼を言うだけだ。彼がGhostである事に気がついていても、驚きで思考Abilityが止まっているのかもしれない。


「……話には聞いていたけど、凄い」

 一方Nataniaも、Vandalieuが見せた実力の片scaleに驚いていた。Simonと違い、Vandalieu達の事情や目的を知っていた彼女だが、彼が自分達に訓練を付ける以外で力を振るうのを自分の目で見るのは、これが初めてだったのだ。


「さて、Simon。真実の説明ですが、そんな場合ではないので、後でいいのでしたね?」

 一方、VandalieuSimonから獲った言質を活用していた。

「へっ? ええ、まあ……」

 まだ頭の働きが鈍っているSimonが、思わずnod


「ありがとう、Simon。実際今はそんな場合ではないので、助かります」

 そう話すVandalieuが、に最も近いDevil Nestsの森を指差す。そこから先程と同じThunder Dragonや、Mountain Giant、重武装のOgreTrollMinotaurが続々と姿を現すところだった。


 そのどれもが狂乱した-sama子で咆哮をあげながら、駆けて行く。

DragonGIANTに、OgreTrollに、Minotaurの群れ!? あのDevil Nestsにあれほどのmonstersがいる訳がないってのに、何故!?」

Dungeonrunaway!? で、でもあのDevil NestsにあるのはDClassとCClassだけで、Rank8以上のmonstersが出るはずないのに!」


 そしてmonstersの群れの殆どが、Moksiへ向かって行くのに気がついて、Simonが短いscreechを上げた。

 Moksi周辺には複数のDevil Nestsと、Dungeonが存在する。だが、どのDungeonもCClass以下だ。そのため、にいるBClass adventurerはほんの数人……それもBClass全体から見れば、下の方に位置する者ばかり。


 つまり、に存在するadventurerでは、あの群れと戦うには戦力が足りないのだ。

「このままじゃがっ! 師Artisan、さっきのスゲェ雷は、後何回使えます!?」

「【黒雷】なら、ほぼ回数無制限です」

「そりゃあ、そうか。あんな大magic、そう何回も……ええぇっ!?」


「でも、俺はmaybe monsters以外も相手にしないといけなくなるので、俺はKimberly達と一緒に残ります。Simon達は戻ってください。kaa-san達と合流して、を守るように。それを卒業試験という事にしましょう」

「そ、そんな、師Artisan! こいつと二人でここに残ってもって……Ghost!?」

『ボス、もうちょっと早く事情を説明しても、良かったんじゃないですかね?』

 驚き続けて目を見開いた表情のまま顔が固まっているSimonに、Kimberlyは同情的な視線を向けてそう言った。


「俺も彼を信頼してない訳じゃなかったのですが、切り出すtimingが掴めなくて。試験が終わったら謝ります。

 それはともかく、をよろしく」

「いや、だから師Artisan……」

「分かったっ! 別にオレ達が居なくてもDarcia -sanだけでもどうにかなりそうだけど、やってみるよ!」

 Simonの言葉を遮って、Nataniaがそう返事をした。


「ガルルルゥ!」

 言葉を遮られて一瞬黙ったSimonを、Fangが「いいから来い」と言うように服の裾を咥えて、雑に荷車のcarriageに放り込む。

「おわぁっ!? し、師Artisanぉぉぉっ!?」

「「「ぢゅっぢゅ~っ!」」」

 そのまま荷車を引くMaroll達によって、へ運ばれていく。


「じゃあ、師Artisanも頑張れよ!」

 そしてNataniaFangの背に乗って、Simon達を追い掛ける。

「戦う時は、-chanと『Transform』するんですよー。……さて、大物を幾つか潰しておきましょうか。runawayしているconditionでは、bloodthirstMagic Eyeでの威嚇も効果が薄いでしょうし、下手にmonstersとしてのInstinctを刺激するとHumanに対して更に凶暴になりかねないから、普通に倒しましょう」

 そう声をかけてpupils達を見送ったVandalieuは、地響きを立てながらに向かうGIANTや、空を飛ぶDragonを眺めながら、【Demon King's Blood】で銃身を作った。


「あなたも手伝ってください」

『……GRUuu』

 そして視線も向けずに下される指示に、Thunder Dragon Zombieはゆっくりと立ち上がった。




「きははははははははっ! bastard共、これが合図だ! monsters共の立てる土煙と、巻き込まれた連中のあげる断末魔が狼煙代わりだ!

 これじゃあ、幾ら蟲Undeadを放とうが、霊の警戒網を作ろうが、何の意味も無いだろう!」

 Hajime Fitunが、Moksiに向かって行くmonsters達の後ろ姿を指差しながら、狂笑と評すべき笑い声をあげていた。


 Thunder Dragonを始めとしたmonstersは、Moksiの周辺のDevil NestsDungeonに生息する個体では無い。monstersは全て、FitunDungeonで発生した個体だった。

 Dungeonの管理者であるFitunが、自身の『試練の迷宮』の入り口を配下のHeroic spiritの一人にSpace-Attribute Magicでここに繋げさせた後、故意にrunawayさせたのである。


 結果、受肉したBodyをダメにして配下が一人Divine Realmに戻ったが、必要なcostだ。

 certainly Rank8前後のmonstersが、Vandalieuに通用するとは思っていない。

 ただVandalieuが、や周辺で狩りをしていたadventurerを守るために戦力を分散させると読んだからだ。


Undeadや蟲のmonstersを除いてrunawayさせるのは手間だったが……チっ、早速死体をZombie化させたか。それに竜種の動きが鈍いな。Tiamat’s Divine Protectionでも得たか? だが、多少の効果はあるだろう」

「じゃあ、隊長。俺達はを守るために立ち上がったDemon Kingを倒すんで?」

「なんだ、文句でもあるのか?」

「当たり前だ!」


 GordonBobbyが、非道なtacticsを実行したHajime Fitunに食って掛かった。

「聞いた話じゃ、Demon Kingの側近もかなりの強さだそうじゃないですか! そんな獲物をmonstersに相手させるなんて。それだったらを襲撃する役は、俺がやりたかったぜ!」

「そうだよなぁ。戦場になったの連中相手に、美味しい思いをするのも戦争の醍醐味ってもんだしな」

 だが、文句があるのは「非道さ」に対してでは無かったようだ。他の受肉したHeroic spirit達も同意見のようで、誰も本気でHajime Fitunを非難しようとはしない。


 恐らく、他の場所に配置されているHeroic spirit達も同じようなものだろう。

 このtacticsでも文句を言わない戦場のHero、戦狂い達を選んでHeroic spiritとしてきたFitunにとっては、当然の反応だ。


「ククク、これからDemon Kingを相手に戦うんだ、他の楽しみは諦めろ。オラ、進むぞ。monsters共に追いつかないよう注意しろ。俺は奴らをrunawayさせただけで、操っている訳じゃないからな。それに、Murakami達がどんな横槍を入れて来るか分かないから、油断するな!」


 そして進んで森を出ると、Mountain GiantDragonの屍が動き回り、生きているmonstersを蹂躙している光景が目に入った。

 それ等のUndeadの奥で、白い少年が黒い雷や炎を放って、更に死体を増やしているのも。


「見つけたぜ……戦闘開始だ、bastard共! Demon Kingを討ち取るぞ!」


 certainly Vandalieuも、Hajime Fitun達に気がついた。

 このmonstersrunawayのせいで、放っていた蟲Undeadは潰されるなど滅茶苦茶にされ、霊達も混乱している。

 だがmonstersrunawayそのものについては気がついていたし、このtimingで不自然なmonstersが群れ単位で現れるなんて妙な事、確実に自分に関係する事だろうと察しがついていた。


「もうちょっと手段を選べないのですか? Hero共」

 そう言いながらVandalieuが両手を左右に開くと、彼のshadowが一気に広がる。そしてshadowから這い出るように数人の人shadowが現れ、Hajime達を出迎えた。




―――――――――――――――――――――――――――――――――――




Name: Fang

Rank:

Race: Huge Hellhound

Level: 21


Passive skills

Dark Vision

Mysterious Strength:4Lv(UP!)

Detect Presence:3Lv(UP!)

Intuition:2Lv(UP!)

Self-Enhancement: Guidance:3Lv(UP!)

Enhanced Body Partfangs、爪:4Lv(UP!)

Mental Resistance:2Lv(UP!)

Fire-Atribute Resistance:2Lv(NEW!)


Active skills

Silent Steps:3Lv(UP!)

Dark Aura:3Lv(UP!)

Scream:3Lv(UP!)

Charge:3Lv(UP!)

Coordination:4Lv(UP!)

Flame Breath:4Lv(UP!)

-Surpass Limits-:2Lv(NEW!)

Dancing:1Lv(NEW!)


Unique skill

Vanダ■ー's Divine Protection





Name: Maroll

Rank:

Race: Blazing Fire Rat

Level: 35


Passive skills

Night Vision

Abnormal Condition Resistance:2Lv(UP!)

Enhanced Body Partfront teethfurtail:4Lv(UP!)

Enhanced Agility:4Lv(UP!)

Rapid Healing:3Lv(UP!)

Strengthened Attribute Values: Creator:4Lv(UP!)

Self-Enhancement: Guidance:3Lv(UP!)

Murder Healing:2Lv(UP!)

Heat Immunity


Active skills

-Surpass Limits-:4Lv(UP!)

Whip Technique:3Lv(UP!)

Armor Technique:3Lv(UP!)

Charge:4Lv(UP!)

Coordination:3Lv(UP!)

Mana Control:3Lv(UP!)

Projectile Fire:4Lv(UP!)

Singing:1Lv(NEW!)

Dancing:1Lv(NEW!)

Familiar Spirit Demonic Advent:1Lv(NEW!)


Unique skill

Vandalieu’s Divine Protection

flaming heatfur:5Lv(UP!)




Name: Urumi

Rank:

Race: Snow Rat

Level: 34


Passive skills

Night Vision

Abnormal Condition Resistance:2Lv(UP!)

Enhanced Body Partfront teethfurtail:3Lv(UP!)

Enhanced Agility:3Lv(UP!)

Rapid Healing:3Lv(UP!)

Strengthened Attribute Values: Creator:3Lv(UP!)

Self-Enhancement: Guidance:3Lv(UP!)

Murder Healing:2Lv(UP!)

Frost Immunity


Active skills

-Surpass Limits-:4Lv(UP!)

Whip Technique:3Lv(UP!)

Armor Technique:3Lv(UP!)

Charge:4Lv(UP!)

Coordination:3Lv(UP!)

Mana Control:4Lv(UP!)

Projectile Fire:4Lv(UP!)

Singing:1Lv(NEW!)

Dancing:1Lv(NEW!)

Familiar Spirit Demonic Advent:1Lv(NEW!)


Unique skill

Vandalieu’s Divine Protection

frozen waterfur:5Lv(UP!)




Name: Suruga

Rank:

Race: Steel Rat

Level: 33


Passive skills

Night Vision

Abnormal Condition Resistance:3Lv(UP!)

Enhanced Body Partfront teethfurtail:5Lv(UP!)

Enhanced Agility:2Lv(UP!)

Rapid Healing:5Lv(UP!)

Strengthened Attribute Values: Creator:3Lv(UP!)

Self-Enhancement: Guidance:3Lv(UP!)

Mysterious Strength:2Lv(UP!)

Body Stretching(tail):1Lv(NEW!)


Active skills

-Surpass Limits-:5Lv(UP!)

Whip Technique:3Lv(UP!)

Armor Technique:5Lv(UP!)

Coordination:5Lv(UP!)

Projectile Fire:2Lv(UP!)

Singing:1Lv(NEW!)

Dancing:1Lv(NEW!)

Familiar Spirit Demonic Advent:1Lv(NEW!)


Unique skill

Vandalieu’s Divine Protection

iron armorfur:5Lv(UP!)


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