共同templeでVidaのClergymanであるPaula Priestとの打ち合わせをした帰り道、Edmondと名乗る青年に呼び止められたDarciaは相手の話を一通り聞いた後、微笑んで答えた。
「Edmond -san、お話は分かりましたが、お断りします」
「待ってください、これは私だけでは無く貴方方にも、そしてGhoulの方々の為にもなる話なのですよ」
Darciaを呼び止め、飲食店に商談を持ちかけていたEdmondは再び彼女を呼び止めた。
「私は見ての通り商人ですが、Ghoulについてはそれなりに調べています。その際目にした資料によると、Ghoulの方はとてもchildが出来にくいとありました。しかし、Humanと交配を行った場合は、childが出来る可能性がGhoul同士の場合よりずっと高まるとか」
「ええ、それはその通りですけれど……」
「でしたら、GhoulのSacred Prostitute専門の店を開けば、Vidaへの信仰、Ghoulのrace的な問題の解決、そして利益! 全てを達成する事が出来、誰もが得をできます!」
そう力説するEdmondに、Darciaは苦笑いを浮かべた。
「『Goddess of Life and Love』Vidaへの信仰には、templeにClergymanとしてProstituteが仕え、believer達に愛を授けていたと言うrecordがあるではないですか!」
「ええっと、確かにありますが……実際に行われていたのは数千年も前の事ですから」
少なくとも、Human社会で行われていたのはそれぐらい昔の事である。Vida's New Racesの集落や、Boundary Mountain Range内部の国では事情は異なるが。
「ですから、それを今の時代にrevivalさせるのです! Vidaのtempleを建て、そこでGhoulのProstituteを働かせる。Ghoul達は喜んで働くでしょうし、客も美人ぞろいのGhoulのProstituteたちが相手なら幾らでも集まって来るでしょう!
そして客には『喜捨』として料金を払わせる。……良い案だと思いませんか!?」
それがEdmondの持ちかけて来た商談だった。幾つもの個室を用意したChurch of Vidaを建立し、Sacred Prostituteと称してGhoulの女達を働かせ、believerである男達に一night限りの愛を授け、決まった額の喜捨を寄付する。
つまり、-sama々な法律や慣習の抜け穴を突いた特殊な娼館である。
「建設費や-sama々な費用は私が持ちます。あなたは『Hungry Wolf』へのconnectionを活かして歓楽街への根回しを、そしてご子息に集めたGhoul達をTamerしているという事にしていただければ準備は整います。
後はGhoulを何人集められるかですが……あなた達とは交流があるのでしょう? この辺りから姿を消した、Ghoulの群れと。
あの二人のGhoulは、そこから連れ出した。そうではありませんか?」
そしてEdmondはDarcia達母子か、彼女達が暮らしていたDark Elfの隠れ里はGhoulの群れと交流があるのではないかとconjectureしているようだった。VandalieuがFood Stallで売っているGobu-gobuやKoboldの蒸し焼きを、Ghoulのwisdomだと言って宣伝している事も、自分のconjectureを裏付けていると彼は感じているらしい。
「……さぁ? 私には何の事か分かりません。息子が二人をTamerしてきた経緯は、Tamer guildに報告した通り、Devil Nestsの外側としか聞いていませんから」
苦笑いを浮かべたままのDarciaが言った、Vandalieuがguildに報告した内容とは、「Fang達の訓練をしている時、ZadirisとBasdiaに偶然出会った」と言う、ほぼ意味が無い報告であった。
災害指定のmonstersの目撃証言ならaccurateな報告が義務付けられるが、Tamerしたmonstersとの出会いの経緯だとこの程度でも許されてしまう。この辺りではGhoulの危険度は、基本的なRankが同じOrcとほぼ同じと考えられているから尚更である。
戦闘力はGhoulが若干高くても、Humanに対する有害さではOrcの方が上だから、balanceを取って同じと言う判断らしい。
「それは私もguildで聞いてきましたが……本当だとしたら、親としてお子-sanの交友関係をもっと把握するべきだと思いますが」
「うちの子は社交的ですから」
いよいよ苦笑いも限界に近づいて来たので、張りついたようなSmiling Faceを向けてEdmondに答えるDarcia。
「ふむ……Gobu-gobuやKoboldの蒸し焼きを態々Ghoulのwisdomだと宣伝しているからには、Ghoulに関係するビジネスか、何かを行おうとしているのだと思いましたが?」
「さぁ。Food Stallの経営は息子の事業で、私は口出ししていませんから」
作り笑いを維持しているDarciaの内心は、Edmondの勘を鋭いと評価すると同時に、苛立ちも覚えていた。
Edmondの勘は鋭い。だが、Darcia達の一連の動きを計画的に見過ぎている。maybe、『Hungry Wolf』のMichaelとのconnectionや、Slum街の住人からの支持、そしてDarciaがFamiliar SpiritをAdventさせ、『Saintess』のsecondary nameを得た事、そしてVandalieuが行っている全ての事。
それら全てを、大きな計画の為に入念に練られたものだと思い込んでいるのだろう。
(……全然そんな事ないのだけど)
『Hungry Wolf』のMichaelことMilesとのconnectionが有効に働いているのは、商業guildの元Sub Guildmaster、YosefがVandalieuのFood Stallの営業場所を歓楽街の裏路地に指定したからだ。Slumの住人や、孤児院との関係も、Yosefの嫌がらせが無ければ今とは変わった形になっていただろう。
そしてVandalieuの行動は……大筋は予定通りだ。だが、逆に言うと大筋以外は全て予定外である。Gobu-gobuやKoboldの蒸し焼きの販売も含めて。
だから、そこからdevelopmentしてGhoulに関係する何かを企んでいた訳ではない。
「Edmond -san、あなたのお話はよくわかりました。ですけど、私達ではあなたの期待には応えられそうにありません」
「意見は変わりませんか? かかわった者達全員に旨味のある話だと思うのですが」
「ええ、変わりません」
Smiling Faceで、しかしきっぱりと断るDarcia。Edmondの話は、確かに旨味がある話だと思う。実現すれば彼は金を稼げるし、Ghoulの女達はchildを作り易い環境が手に入るのだから。
だがそれはEdmondの知識にある、普通のGhoulの場合だ。
BasdiaやZadiris達、Talosheimに連れて行ったGhoul達の少子化問題は、childが出来にくい体質を改善するmagic itemによって、とっくに解決している。
態々Human社会の法制度上の穴を突いてまでHumanの相手を探す意味は無い。
それにVidaの信仰的にも微妙だ。確かに歴史上、templeでSacred Prostituteがbeliever達に愛を授けていた事はある。だが、娼館をtemple、ProstituteをSacred Prostituteと偽装して客を取り、商売をするのでは話が逆……いや、全く違う。
これでは統治者側に「Church of Vidaは娼館の隠れ蓑だ」等と悪印象を持たれかねない。Reconciliation Factionのimpactで力を失いつつある反Reconciliation FactionのAlda believerなどは、嬉々として攻撃材料に使うに違いない。
それどころか、同じVida believerからも疎まれかねない。
GhoulがHuman社会でmonstersだと誤解されている問題の解決には、人々にGhoulと実際に交流してもらうのが地道だが効果的だとは思う。思うが……なにも偽装娼館を建ててまで交流しなくてもと思うし。
何より……Edmondの人柄が信頼できないとDarciaは感じていた。
彼の言葉の端々から、金を稼ぐ事以外の事全てを軽んじている事が透けて見えるのだ。……まあ、商人としてはある程度仕方ないのだろうが。
それに、もし重大な問題……狂信的なAlda's Factionのbelieverや、Ghoulが町中で大量に集まる事を認められないHuman中心主義者がGhoul達を傷つけようとした場合、守ろうと言う気概があるか疑わしい。
「Edmond -san、確かに信仰にはお金は必要だと思います。私も霞を食べている訳ではありませんし、templeを維持するのもタダではありませんから。
でも、お金の為に信仰を利用するのは違うと思いますよ」
ちょっと前まで霞どころか何も食べる必要の無い幽霊だった事を棚に上げて、Darciaがそう諭すとEdmondは溜息をついた。
「……神からblessingsやFamiliar Spiritを賜る方は、皆同じような事をおっしゃいますね。では、私から一つご忠告を。
Rodriguez!」
Edmondがそう呼ぶと、別の席に座っていたRodriguezと言うnameらしい壮年の男が立ち上がった。
彼は軽装の皮鎧を着て腰に剣を差しており、ageによる衰えを感じさせない動きでDarciaの横まで歩いて来た。
「彼の名はRodriguezと言いまして、元BClass adventurerですが今は縁あって私の護衛をしてもらっています。昔は『剛剣』と呼ばれていた猛者で、昨日あなたのご友人やご子息のおpupils -sanにのされた『剛腕』とは、格の違う男ですよ」
「それは何となく分かりますけれど、忠告とは?」
Gordonを直接見てはいないDarciaだが、目の前のRodriguezがそれなりに強い事はその動きを見て察する事が出来た。出来たが、それだけである。
驚いたり気圧されたり、怯えた-sama子は微塵も無い。
Edmondは、自分が自信たっぷりにintroductionしたRodriguezに対するDarciaの態度に若干苛立ちを覚えながら、言葉を続けた。
「いえ、ただ……どんなに理想的なお考えをお持ちでも、時には力ですべて奪われてしまう。世の中にはそんな話が幾らでもあるのだとご忠告しようと思いまして」
まるでこの話を断ったら、Rodriguezに力ずくで奪わせるぞと言うかのように、圧力をかけようとするEdmond。
しかし、相手が悪かった。Pure-breed VampireのBodyに受肉したEvil God (M)相手にphysical battleをして、しかも追い詰めるDarciaの目には、幼児が「ボクはコワーイ悪い奴なんだぞ!」と言っているのと変わらない。
だからDarciaはSmiling Faceを崩さずに言い返した。
「でも、力ずくで奪おうとした人が返り討ちにされて、身ぐるみ剥されて犯罪Slaveとして売り飛ばされる事も、幾らでもある話だと思いますけど」
「……なるほど。確かに、Adventurer’s Guildではよくmountain bandit退治の依頼書が張り出されますね。Rodriguez、-kunはどう思う?」
「このご夫人の言う通りだと思いますよ、Edmond -san」
「そうだろう、現実は退治される数より被害に遭う者の数の方が多……何だって?」
「Edmond -san、俺はこのDarcia -sanの言う通りだと思います」
自分の耳を疑って思わず聞き返した雇い主に、Rodriguezは静かに同じ答えを返した。
驚いて硬直するEdmondに構わず、DarciaはRodriguezにSmiling Faceを向ける。
「そうですよね。じゃあ、私はこの辺で失礼しますね」
「お呼び止めして申し訳ありませんでした。ここの代金は当然こちらで持ちますので」
「まぁ、ありがとうございます。美味しい紅茶をありがとうございました」
席を立とうとするDarciaに道を開け、まるで紳士のように一礼するRodriguez。軽やかな足取りで立ち去ろうとするDarciaの後ろ姿を見て、我に返ったEdmondが彼女を呼び止めようとするが、それも彼が強引に止めさせる。
「……ふぅ、すみません、Edmond -san」
そしてDarciaが店から出て行った後、Rodriguezは口を塞いで押さえこんでいたEdmondを解放した。
「全くだっ! 一体、何故こんな事をした? -kunを使って彼女に圧力をかける事は事前に打ち合わせをしただろう。息子の方に話を持ちかけたら拒否されるだろうから、まず母親の方に商談を持ちかける事も。
だと言うのに一体何故?」
説明を求めるEdmondに、Rodriguezは青い顔をしたまま答えた。
「Edmond -san、俺達は彼女の事を他のtempleのClergyman……Familiar Spiritを降ろす事は出来ても戦闘経験は殆ど無い連中と同じだと思い込んでいたが、そうじゃない。
adventurerでもなく、普段は串焼き屋の売り子をやっているあの女は、明らかに俺より格上だ。立ち振る舞いからそれが見て取れる。武術系skillのlevelは、俺より確実に高い」
「そんな……! 【Sword Technique】skillが8levelの-kunよりも、彼女の方が格上だと……!?」
愕然とした-sama子でDarciaが去った店の扉に視線を向けるEdmondに、Rodriguezは言った。
「Edmond -san、あんたには恩がある。あんたがその金とコネで取り寄せてくれた特効薬のお蔭で、俺の倅は今も生きている。
だから俺には、あんたのためなら命も張る覚悟がある。もし龍に襲われたとしても、あんたが逃げる時間を一秒でも長く稼ぐためになら死んでやる。
だが、龍のtailを踏みつけに行くために死ぬのは御免だ。あんたの身を守るためにも」
人を模した石や土で出来たGolem達が、ただただ行き来するだけの町の紛い物、DungeonでVandalieu達は作業を行っていた。
BirkyneやHihiryushukakaとの戦いで汚れた建物の清掃や、壊れたDemon King Familiarの補充とmaintenanceが必要だったからだ。
Birkyne達はDungeonそのものを壊す事は出来なかったが、Vandalieuが使った砲台型や砲弾型Demon King Familiarは、それぞれ使い捨てだ。砲弾型は爆発するから当然だが、砲台型Demon King Familiarも弾を発射するのとその際の衝撃で、Manaを使い果たして壊れてしまうためだ。
それにその爆発で起きる煙や煤で、Dungeon内の建造物が黒く汚れてしまう。汚れた程度ではこのDungeonの性能に差は無い。しかし、このDungeonに誘い込んだ敵には暫くの間は本物の町だと誤解してもらった方がやり易い。
次に使う時も、Birkyneと戦った時のように、動揺している間に一撃を浴びせて仲間と分断し、各個撃破出来るかもしれない。
だから清掃も、爆発で付いた煤を落しても本物の町よりもきれいにならないようにしないといけないのだ。
「それは分かりますけれど……雪と寒さはどうにかなりませんの?」
「無理です」
Transform杖をActivateしてBodysuit姿になっているTareaに、Gufadgarnは首を横に振って応えた。
「このDungeonは、本物のMoksiと同じ気象と気温になるように設定している。本物の町で雪が降れば雪が、雨が降れば雨が降る」
「それは聞きましたわ、ですけど敵が来ない間だけでもどうにかなりませんの?」
「出来なくはない。だが、このDungeonの階層は平均的な階層の倍以上の広さがある。もしDungeonを適温にしてしまったら、気温や気象を元通りにするのに一日以上かかってしまう。
なので、暖房はそれぞれ工夫をしてもらいたい」
「確かに、町一つ温めたり冷やしたりするのは大変ですわね。仕方ありませんわ、Van -samaで暖を取る事にしましょう」
「Transformation EquipmentをActivateしていれば、これぐらいの寒さはどうにかなるはずだが?」
そうTareaに声をかけるBasdia。見かけはミニskirtやBodysuit状で、とても寒そうに見えるTransformation Equipmentだが防寒性能も付与されている。
実際、TransformしているTareaには真冬の雪空でも「やや寒い」と感じても凍える程のcoldは感じられない。
「心の暖の問題ですわ。あなたもおkaa-san達と一緒に後輩の指導に当たって来たらどうなの?」
「私は良いんだ、もう今日の分のlessonは済ませたからな。Juliana達の指導は、kaa-sanとKanakoに任せる」
「……よし、これで大丈夫。Tarea、あなたも知っての通り俺は体温が低いので、暖は取れないと思いますよ」
それまで砲弾型Demon King Familiarを作り出し、自走砲台型Demon King Familiarに装填する作業をしていたVandalieuはそうTareaに答えた。
『main body、折角つけたこの脚だけど……maybe、砲弾を撃ったら衝撃で壊れると思うよ』
自走砲台型Demon King Familiarは、【Demon King's Jointed legs】を蠢かせてそう答えた。
「一度目を撃つまで動くなら十分ですよ。
それでkaa-san、Edmondって人の話はどうなったのですか?」
「ええ、それがね……Tarea -sanもBasdia -sanも聞いて。悪徳商人って訳じゃなさそうなんだけど……」
Darciaが昼間にEdmondから持ちかけられた話を説明すると、VandalieuよりもBasdiaとTareaが先に口を開いた。
「何と言うか……昔の焦っている頃の私なら良い話に思えたかもしれないが……」
「微妙な話ですわね。以前なら聞く価値もあったと思いますけれど。それと、そのEdmondって方が思っているほど皆は喜ばなかったと思いますわよ」
Ghoul達も、childが出来るなら相手は誰でも良いと言う訳ではない。彼女達には彼女たちなりの好みが在る。
そう、強さだ。
Edmondがどんな客層をtargetに狙っていたのかは不明だが、male adventurerやKnightでもない限りGhoulのfemale達の食指は動かない。戦闘Abilityの無い商人や、だらしのない酔っぱらいは男として見られない可能性すらある。
それにGhoul達は性に対して開放的だが、別にプロのProstituteと言う訳ではない。そのまま客の相手をさせれば、大小-sama々なtroubleが起きていただろう。
「あと、Moksi EarlとBachem -sanの心労が凄い事になりそうです。特にBachem -sanはBasdia達の正体を薄々察しているようでしたし」
Tamer guildのBachemは、Vandalieuが申告した通りBasdiaをGhoul Warrior、ZadirisをGhoul Mageとして判断してTamed Monster用の首輪を渡した。
ただそれは、彼の経験やIntuitionから二人がRank4や5とは思えないけれど、二人の本当のraceが何なのか彼の知識に無いから、Vandalieuの申告内容を否定できなかっただけに過ぎない。
BachemがVandalieuを信用していなかったら、強引にでも申請を却下していた可能性もある。
……その直後に偽装Church of VidaとSacred ProstituteにするためにGhoulを大勢町に連れ込むような事をしたら、流石に彼の許容量を超えてしまうだろう。
「そうよね。でも安心して、話は-chanと断って来たから。Edmond -sanは少ししつこかったけれど、護衛のRodriguezって人が見る目のある人で助かったわ。
だから迷宮に閉じ込めたり、肉団子や肥料にしたりしちゃダメよ」
「……御意」
GufadgarnがDarciaに短く答える。Edmond達が、数日で不良GuardのAggarを総白髪にした迷宮行きを免れた瞬間である。
「ところで、あのJessieと言うalchemistはどうなった? 私とkaa-sanの毒を受け取った後は、VanにSimon達の義肢の作り方を教えてくれとせがんでいたようだが」
「Alchemy的に教える事は何も無いと説明したのですが、中々諦めてくれません」
「あの義肢を作るのに必要な技術は、Alchemyと言うよりBlacksmith師の領分ですものね」
Gordonとの決闘騒ぎでNataniaやSimonの活躍を見たalchemistのJessieは、生身と同-samaに動き、更に意思一つで分解し、再結合も可能な義肢へ興味を移していた。
だがあの義肢そのものは、ただの金属製の義肢でしかない。動かしているのは装着者のSpirit Formである。
「いい御嬢-sanよね。Mage guildがVandalieuに圧力をかけようとしているのに、気にせず皆に接してくれて。
彼女がGhoulの人達や義肢の正しい情報をMage guildに伝えて、誤解が解けるといいと思わない?」
「kaa-san、それは中々難しそうですけど……Ghoulのreportを纏めてguildに提出する事を交換条件に、訓練を見学してもらうと良いかもしれませんね。
今は……何故かSimonと一緒ですね」
Simonの義手に仕込んであるDemon King Familiarの反応を見ると、Jessieはいま彼と一緒にいるようだ。どうやら、Slum街を出てroomを借りるために不動産屋を巡っているSimonとばったり出会ったらしい。
そしてそのまま「義手を見せてくれませんか?」と、Simonの周囲に付きまとっているようだ。
「……まあ、Simonとはnightに店でもう一度会いますから、その時まで付きまとっていたら話を持ちかけてみましょう」
「Simonが捲かない限り、付きまとっていそうだな」
「maybe捲いたりはしないんじゃないかしら。Adventurer’s GuildのMasterの娘-sanなんだし」
Jessieとの遭遇がSimonにとってロマンスなのか、それともtroubleなのか微妙なところである。
「ところでVan、Experience Pointはどうだ? TalosheimではIdol Statueが建設中の筈だが」
「……日々高まっています」
【Demiurge】Jobに就いてDemi-Godとなってから、何もしていないのにExperience Pointを手に入れlevelが上がる事が頻繁にあった。
そこで原因は【Demiurge】Jobに関係があると考えると……人々のVandalieuに対するreligionがExperience Pointになっているのだろうとconjectureされた。
試しにGufadgarnに祈ってもらったら、その途端Vandalieuのlevelが上がったので確実であろう。
そのためTalosheimのChurch of Vidaの現責任者であるNuazaが以前から求めていた、Giant Vandalieu像建立計画に大義名分が出来てしまい、遂に計画が始動してしまったのだった。
今も『建立反対』や『像をもっとコンパクトにしよう!』と書かれたplacardを持ったDemon King Familiar達を無視して、Talosheim国民が自主的にIdol Statue建設の為に働いている。
『Giant of the Sun』Talosが生きたGiant重機として作業を手伝ったり、態々Vida’s Resting GroundからPure-breed Vampire達が作業を手伝うために集まってきたり、しまいにはBoundary Mountain Range内部の各王が親善の為建設現場を慰問しに来るらしい。
各国の王や代表者が大小の石材から一つ選んで運び、建立に協力すると表明すると言う式典も行うようだ。
「偉大なるVandalieuよ、その大いなる慈悲によって偶像を作る事をお許しください」
「これも国民の意思よ、Vandalieu」
「そうですね、Gufadgarn、kaa-san」
暴-kunにならないよう、民の意思は尊重しなければならない。Vandalieuとしては、もうGiant Idol Statue建立を止める事は諦めるしかないのだった。
「為政者が国民にGiantな像を『建立される』……普通、逆ですわね」
「そう言えば、Demon continentでもTalosheimに負けないGiantなVanの石像を建てる計画が進行中らしいぞ。Tiamatが主導して」
「Demon continentでもですか? それは止めたい。けど、Pseudo- Main Body-type Demon King Familiarがいないから直接意思を伝える事ができないのですよね」
「Tiamat -samaったら、自分と同じくらいの大きさのVandalieuの像が欲しくなったのかしら。
あら、あの光は?」
その時、Dungeonの町のOpen Plazaに相当するところから煌びやかな光の輝きが見えた。そして歌声が聞こえてくる。
「そうです! その調子です! 皆-san素質がありますよっ、未来のMagical Girlはあなた達です!」
「うむ、将来……数か月後から来年が楽しみじゃ」
そこではTransform杖をActivateさせTransformしているKanakoとZadirisが、Julianaや生前彼女の部下だったHalf-MinotaurのShoujo達に歌とdanceのlessonを指導していた。
「はい、皆-sanのようなMagical Girlになれるよう、頑張ります! そうでしょう、皆!」
「「「はい! 目指せ、Magical Girl!」」」
生まれ変わる前はJulianaを含め、殆どがKnightだったはずだが、今や彼女達はMagical Girl Knight団を目指して情熱を燃やしていた。
「微笑ましい光景だな。将来はMagical Princess Knight Half-Minotaurとか、そんな感じのraceになるのだろうか?」
「かもしれませんね。まだchildなので、大人になるだろう来年まで色々stabilityしませんが。……もしかしてHalf-Minotaurでは無く、他のraceになるかもしれませんし」
何処か遠い眼差しで未来のMagical Girl達のlessonを眺めるVandalieuとBasdia。しかし Tareaが胡乱気な視線を向けたのは、Zadirisだ。彼女はLight Princess Magicを使用してスポットライトや光の乱舞等、本番さながらの演出を行いJuliana達の士気を上げている。
「それよりも私が気になるのは、あの人が本気でMagical Girlを辞めようとしているのかと言う点ですわね。とても、疑わしいですわ」
Magical Girlの数を増やし、自分は適切なtimingでTransformするのを控え、「姫」や「Magical Girl」と無関係なraceとJobへ変わる事を目指す。
その予定だったはずだが……ドツボにはまりつつあるのを察していた。彼女以外の全員が。
歓楽街の裏路地。一カ月と少々前までここはSlum街から働きに来る者が、不味いが安い食事を買うためのFood Stallが数件あるだけの薄暗く、如何わしい雰囲気の場所だった。
「いらっしゃい、いらっしゃい! 今日のGobu-gobuのsoupも良い味が出てるよ~!」
「Koboldのsandwichはいかがかね~! 食べ応えのある黒breadでは-sanだのと、高いが柔らかい白breadで挟んだの、二種類があるよ~!」
しかし今ではpinkのheart markが描かれたFood Stallの店主達が、景気の良い客引きの声を響かせる何処か異-samaで、だが陽気な通りに生まれ変わっていた。
「あれ? 秋に来た時はこんな通りなかったよな?」
広い範囲を旅していて、数か月ぶりにMoksiの町に立ち寄った者は驚き、目を瞬かせる。
「ここが噂のVida通りか! よし、全Gobu-gobu Cooking制覇だ!」
「おう、行って来い! 吐かずに達成できたら百Baumだ!」
逆に噂を聞いてやってきた者達は、度胸試し兼賭けを行うために通りに入っていく。そして想定したより美味いGobu-gobu Cookingを食って、男は百Baumを手に入れる事になる。
Slum街のFood Stallの店主達を救ったGobu-gobuやKoboldの蒸し焼きを売る、Vidaの聖印を飾るFood Stallが集まるこの裏路地は、Moksiの町の新たな名物になりつつあった。
「いつもの香草sauceと胡桃sauceの串焼き、五本ずつね。お待ちどうさま」
「今日はWalking Mushroom sauceの肉と茸の串もありますが、如何ですか?」
「まあ、首領のLoverとか隠し子よりはマシだけど。はい、林檎sauceのsteakお待ち」
そしてその通りを入った半ばの、Dhampirの少年の店主と、美人Dark Elfの母親の売り子がいる串焼きFood Stallは、今や完全に観光名所と化していた。
BirkyneとHihiryushukakaを倒した後、正体を隠して犯罪organizationに潜入し続ける理由が無くなったEleonoraやBellmond、Melissaがただ暇を持て余しているよりはと、Food Stallの手伝いに来ているのである。
「焼き加減と言うのは奥が深いな、Van」
「Basdia -san上手ですね、私なんて自分で作ると、いつの間にか半分ぐらい焦げちゃうんですよ!」
「……Jessie、儂が思うにそれはCookingの途中で別の事に気を取られているからではないかの?」
「Jessie、手伝ってもらうのがだんだん不安になって来るのですが」
そしてBasdiaとZadiris、そして何故かJessieまで加わっていた。ちなみに、Nataniaは家でRitaとSalire sistersと一緒にJuliana達の世話をしている。
Eleonora達の服装は首領の護衛や秘書兼Loverと偽っていた時のものでは無く、冬らしい温かい普段着だったがそれでも美女とBishoujo揃いなのは間違いない。
そのためmale客が次々にやって来ては串焼きを買って行く。……VandalieuがDevil Nestsでの狩りを続行しているため、値段の割に良い肉とsauceを使っているので、純粋にCooking目当ての客もいるが。
「そんな事言わないでください、師Artisan! 私頑張りますからっ!」
そんな中で目が覚める程の美女と言う程では無く、どちらかというと野暮ったい雰囲気のJessieは若干浮いていた。
「いや、まだpupils入りを認めた訳じゃありませんし」
「師Artisan!?」
「……pupilsにしても、教える事が殆ど無い事は説明したでしょうに」
これはやはり一度Simon達の訓練に連れて行き、義肢について詳しく見せる必要があるかもしれない。諦めず食い下がって来るJessieにVandalieuはそう思った。
「Jessie -san、師Artisanを困らせちゃいけない。それにあんたみたいな御嬢-sanが歓楽街を出入りしているなんて、親父-sanが知ったら心配しますぜ」
「Simon -san、父-sanの事は気にしないでください。私はもう成人しています、childじゃありません。何処で働こうと私の勝手です」
「ですがねぇ、親ってのは何時まで経ってもchildの事が気にかかるもんなんですよ。俺も随分心配をかけ続けてしまいましてねぇ。そんな親不孝はするもんじゃないですぜ」
「Simon -san……もしかして、十年以上会っていなかったごfamilyの事ですか?」
「ええ、最近やっとletterを書く覚悟が決まりましてね。最後のletterを出してから、やっぱり十年くらい経ってるんで、死んだと思われていてもおかしくないんですがね」
「ごめんなさい、私ったら無nerveで……」
「いや、気にしないでください。事情ってもんは、人それぞれ。俺も御節介でした」
不動産屋を巡っている途中で偶然遭遇し、そのまま話し込んでいたらしいSimonとJessieは、ここでも話し込み始めた。
「何かドラマがあったみたいね」
「ドラマがあったみたいですねー」
「おお、これが『二人だけのworld』か。二人とも凄い集中力だ、私達の声が全く聞こえていない」
それを近くで眺めるDarciaとVandalieuはデバガメ気分で、Basdiaは純粋に感心していた。
尚、SimonはFood Stallの手伝いではなく、Darcia達にちょっかいをかけようとする酔っぱらいを追い払う用心棒的な役割だったのだが、あまり役立っていない。
「グルルル」
代わりにFangが大活躍していた。牛と同じ大きさの灰色の犬が小さく唸ってfangsを見せれば、それだけで酔っぱらいは酔いが醒めた-sama子で逃げて行く。
その酔っぱらいの後ろ姿を見送りながら、Vandalieuは首を傾げた。
『まだReincarnator達が仕掛けて来ないし、偵察もされている-sama子が無い? 空気も普通ですし、Fangも反応しないから【Sylphid】も居ないようですし……待つだけでは無くもっと自分から攻めに行くべき頃合いでしょうか?』
そう思うVandalieuの脳裏に、突如アナウンスが響き割った。
《【True Ruler of the Red-Light District】のsecondary nameを獲得しました!》
「何故?」
思わず聞き返すVandalieu。しかし、手は休まずに串焼きを焼き続けていた。
――――――――――――――――――――――――――――――――
・Name: Darcia
・Race: Chaos Elf Source
・Age: 0
・Title: 【Witch】 【Holy Mother】 【Monster’s Parent】 【Vida’s Incarnation】 【Empress Dowager】 【Saintess】(NEW!)
・Job: Transforming Warrior
・Level: 25
・Job History: Magical Girl、Life-Emperor Mage、Magical Idol、Magic Staff Transformation
・Passive skills
Dark Vision
Magic Resistance:10Lv
Physical Resistance:10Lv
Abnormal Condition Resistance:10Lv
Monstrous Strength:6Lv(UP!)
Super Rapid Regeneration:5Lv
Vitality Enlargement:9Lv(UP!)
Mana Enlargement:7Lv(UP!)
Automatic Mana Recovery:7Lv(UP!)
Mana Recovery Rate Increase:7Lv(UP!)
Self Super Enhanced (1):Vandalieu:1Lv(Self Enhanced (1) awakened into!)
Self-Enhancement: Guidance:10Lv
Strengthened Attribute Values: Creator:5Lv(UP!)
Strengthened Attribute Values: Ruling:3Lv(UP!)
Allure:8Lv(UP!)
Strengthened Attack Power while equipped with a bow: Medium
Strengthened Defense Power while equipped with non-metal armor: Medium
Strengthen Follower:1Lv
Enhanced Attribute Values: Transformation:4Lv(NEW!)
・Active skills
Cooking:5Lv
Housework:5Lv
Hunting God Archery:2Lv(UP!)
Hearth-Style Dagger Technique:2Lv(UP!)
Unlimited Arm Transformation Works:1Lv(Unarmed Fighting Technique awakened into!)
No-Attribute Magic:5Lv
Precise Mana Control:1Lv
Life Emperor Magic:3Lv(UP!)
Water-Attribute Magic:10Lv
Wind-Attribute Magic:10Lv
Spirit Magic:6Lv(UP!)
Dismantling:2Lv
Spirit Form:2Lv(UP!)
-Surpass Limits-:3Lv(UP!)
Chant Revocation:6Lv(UP!)
Coordination:7Lv
Goddess Advent:3Lv(UP!)
Clergyman:3Lv(UP!)
Dancing:3Lv
Singing:3Lv
Surpass Limits Magic Staff:3Lv(UP!)
Staff Technique:4Lv(UP!)
・Unique skill
Vida’s Incarnation
Life Attribute Gods’ Divine Protection (Those allied with Vida)
Chaos Elf's Ancestor
Vandalieu’s Divine Protection
Divine Metal Skeleton
Magic Eye of Regeneration:5Lv
Chaos
・Skill explanation::Unlimited Arm Transformation Works Luciliano著
【Chaos】skillによってbody partを変異させながら戦う事で本領を発揮すると思われる、Unarmed Fighting TechniqueのSuperior Skill。
このskillにAwakeningするにはUnarmed Fighting Techniqueを修め、更にbody partの一部を-sama々なmonstersや獣の部位に変化させるだけでは恐らく不可能だ。
変化させた部位を振り回すだけでは無く、Unarmed Fighting Techniqueの一部として十全に使いこなす事が出来て、初めてAwakeningする条件が揃うと思われる。
Chaos Elf以外にもMimicry Slime等が獲得する可能性はあるが、tailやgrip talon、翼の扱い方を教えてくれる師Artisanの存在が不可欠だろう。
・Skill explanation::Life Deception、Magic Erosion、Fake Reincarnation、Lackey Creation
【Demon King】Jobに師Artisanが就くと同時に獲得したskill。名称からconjectureすると、Demon King Guduranisがこのworldに現れた直後に行った事をskill化したものではないかと思われる。
生命をあるべき自然の形から歪め、worldをManaで汚染して侵食、Reincarnationの輪を模倣し、従僕たるmonstersをCreationした。
この一連の流れを再現する事が可能なskillだったのだろう、本来なら。しかし、全て師Artisanが既に持っていたskillにintegrationされている。
……つまり師ArtisanはDemon King Guduranisがやった事と同じ事が実行可能、若しくは実行していた事になる。
流石はDemon Kingと言うことだろうか。