Vandalieuが【Demiurge】Jobに就いた直後。
『……名称から【Familiar Spirit Advent】と似た効果のskillである事はconjectureできる。でも本当にそうなのか、そしてどれくらいの効果があって、どれくらいの時間有効なのか。それを確かめてからじゃないと、実戦では使えないわ』
そう理論武装したIslaは、EleonoraとBellmondがVandalieuの元へ駆けだしたのを見送ってから、祈るように目を閉じた。
『【Familiar Spirit Demonic Advent】、Activate!』
その瞬間、「オォォォン」という呻き声にも似た音が響き、彼女の足元から黒い光としか形容できない何かが湧き出した。
そして黒い光がIslaのbody partに吸いこまれるようにFusionし、彼女の脳裏に声が響いた。
『呼びましたか、Isla?』
それは彼女のmasterであるVandalieuの声だった。
『Vandalieu -sama!? Vandalieu -samaのFamiliar Spiritが来る事は予想していたけれど、Vandalieu -sama本人が私の中に!?』
『accurateには俺本人ではありません。魂の再構築の時に余ったfragmentでIsla達が作った、小さな俺の一人です。まあ、Familiar Spiritのような存在だと思ってください。普通のFamiliar Spiritがどんな存在なのか、砕いた時の感触と味しか分からないのであまり知りませんが』
通常、【Familiar Spirit Advent】でAdventするFamiliar Spiritはskillを所有する者の信仰対象の神が、Manaで作り上げた存在であるためegoが薄い。そのためActivateしてAdventさせても、所有者と会話するような事は殆ど無い。
しかし流石Vandalieuのsoul fragmentから創られたCloneと言うべきか、彼はIslaと会話が可能なようだ。
『ちなみに、俺が知っている事は降魔解除後main bodyに伝わるので、秘密にしたい事があるなら注意してください』
そして、やはりVandalieuの一部であるのはDemon King Familiarと同-samaらしい。
『そんな、Vandalieu -samaに秘密なんて! 私の胸の内を好きなだけ……お望みでしたら私の全てをご覧ください!』
『……いえ、Memoryや思考までは読めませんから。こうして話しかけられた、いわゆる心の声と、降魔している間あなたが見聞きした事は伝わりますけど』
そう彼が伝えると、Islaは残念そうに『そうですか』と呟いて肩を落とした。しかし、すぐ気を取り直した。
『でも、今こうしてVandalieu -samaと一つになっていると思うだけで、無限に力が湧いてくるようだわ!』
『【Familiar Spirit Demonic Advent】の効果ですね。無限ではなく有限なので注意してください。後、1levelだと数分しか持ちませんからね』
『あぁっ、事務的に説明を続けるなんて……つれない方。でもそれが……!』
『別につれなくしているつもりはありませんよ。あなたの事を思えばこそ、詳しく説明しているのです』
Islaがskillを試す前に行った理論武装。それ自体は間違っていないし、彼女に降魔しているFamiliar Spiritも同じ事を考えていた。
だから数分と言う限られた時間の中で、説明を行っているのだ。
『Vandalieu -samaが私の事を、想って!?』
『ええ、思っていますよ』
そのためIslaのNuanceがSlightly異なりそうな聞き返しも、否定しなかった。
『ではちょっとbody partを動かして見ましょうか。素振りでもしてみてください』
『はい♪』
Islaは剣を抜いて、敵がいる事を想定してbody partを動かし始める。頭の中にはお花畑が広がり、heartが止まっているとは思えない程胸がときめいていても、その動きは鋭い。
眺めている者達の目には、Islaの動きは完成された演武のように映った。……本人にとっては、Vandalieuとのdanceのつもりだっただろうが。
しかし夢のような時間はすぐに終わってしまうものだ。
『そろそろ時間なので、それではー』
そう言い残してFamiliar SpiritはIslaの中から抜け落ち、消えて行った。
『そんなっ、待って! 行かないで、Vandalieu -sama!』
底上げされたAbility Valuesが元に戻る事によって覚える以上のLost感に耐えられず、Islaがscreechをあげた。
「はいはい、戻って来ましたよー」
『あぁ、body partのある方のVandalieu -sama♪』
そこにJob change roomから戻ってきたVandalieuが戻って来たため、すぐ立ち直ったが。
「えー、皆-san。彼女は正気を失っていた訳ではありません。ですから、怯えないでも大丈夫です」
「そうよ、一人で会話したり、見えない敵と戦ったり、変な事を口走って突然泣き崩れたようにしか見えなかったでしょうけれど。無理だと思うけど気にしないで」
そしてBellmondとEleonoraは、Islaの奇行を見て引いていたSubordinate Vampire達や、Celisに宥められても自分もああなるのかと怯えるBestraに事情説明を行っていた。
降魔したFamiliar Spiritの声は、skillをActivateした者にしか聞こえない。彼らから見ると、Islaが正体不明の黒い輝きに包まれたと思ったら、正気を失ってしまったようにしか見えなかったのだ。
……既にVandalieuに導かれているSubordinate-born達の一部には、降魔の光景に感極まって涙を流し祈り始める者もいたが。
なお、Holly Directorが-sama子を見ているchild達は、Job change roomに繋がる広間には居なかったので、FortuneにもIslaの奇行を目撃する事は無かった。
『Evil God of Joyful Life』Hihiryushukakaの消滅は、直接見ていた訳ではないAlda's FactionのGodsや、他のDemon King Army Remnantsも察知した。
『 Bahn Gaia continentにあったHihiryushukakaのsignが消えた……?』
『どうやらVandalieuによって滅ぼされたようだな』
そして詳しい事情は不明だが、Hihiryushukakaが狙っていたVandalieuの動きが奇妙なので、やはり彼の仕業だろうとGodsは考えた。
『……この十万年、散々我々を悩ませてきたEvil God (M)も、滅びる時はあっけないものだな。自ら進んでVandalieuの餌になるとは。大人しく我々の手でsealedされていれば、滅びだけは避けられたものを』
『万が一にも、奴がVandalieuを殺せるとまでは期待していなかったが……仲間の誰一人道づれに出来ないとは、Demon King Armyも落ちたものだ』
『God of Law and Life』Aldaは、Hihiryushukakaを喰らった事でVandalieuが更なる力を付けただろう事を嘆き、God of Reincarnation Rodcorteはそう言った。
そして他のDemon King Army RemnantsのGodsは震え上がった。
『Evil god of release』Ravovifardだけでは無く、Hihiryushukakaまで滅びたのだ。Demon Kingが倒された後、上手く本来以上の力を手に入れた、現代で成り上がった力ある邪悪なGodsが、ほんの数年の間に続けて消滅した。
それはRemnantsと呼ばれつつも実際には個々に活動しているDemon King Army Remnantsとしても、危機感を覚える事態だった。
だからと言って再び力を結集して……とはならない。originally Demon King Guduranisと言う強力な支配者の存在が無ければ、価値観も生態も異なる邪悪なGodsが大規模なorganizationを形成する事は不可能だ。特にDemon King Army RemnantsとしてLambdaに残っている邪悪なGodsは、悪い意味で個性の強い者が多い。
下手に徒党を組もうとすれば、力を合わせるどころか潰し合いにdevelopmentしかねない。
それを邪悪なGodsも分かっているため、性質の近い数柱のGodsが小規模な同盟を築く程度で、大規模な動きをする事は無かった。
そして動かない……眠っていると思われていたGoddessは邪悪なGodsとは対照的に、小さな、しかし後々大きな出来事に繋がる一手に出た。
『彼女は私だけを信仰していた訳ではありませんから、繋がりはとても細かった。しかし、今の彼女のconditionはVidaや彼だけでは無く、私にも近い。
『海は全ての生命の母』というanother worldの言葉そのままですが……今なら私の力も届くでしょう』
accurateには、自分は海では無くWater-Attributeを司る神だが『God of the Seas』もSubordinate Godにいるから問題無いだろう。
そして『Goddess of Water and Knowledge』Periaは、彼女にblessingsと伝言を与えた。
この事を彼女が彼に伝える事が出来るようになり、それを聞いた彼が動き出す時までの間は、眠っているふりを続けて待ちましょうと思いながら。
「皆、心の準備は良いか!? 俺はまだだからもうちょっと待ってくれ!」
「……Fester。お前、父親になったんだからもうちょっとしっかりしろ」
「な、なあ、【-Surpass Limits-】とかと同じ感覚で良いんだよな?」
『ええ、そうよ、Kasim。生きていた頃Familiar Spiritを降ろした時は、その感覚だったわ。……maybeね』
「み、Familiar Spiritを降ろすのは初めてだ。大丈夫なのか?」
Vandalieuが【Demiurge】にJob changeしてから数日後、Talosheimでは数十人の【Familiar Spirit Demonic Advent】skillを獲得した者達が集まり、一定の距離を取って並んでいた。全員武装しているので、これから武道大会でも始まりそうな-sama子だ。
「意気込んでいるところ悪いが、実験開始までもう少し待ってくれ。Demon continentや他の国の協力者達とtimingを合わせなくてはならないのでね」
しかし実際に行われるのは、武道大会では無く検証の為の実験だ。LucilianoがGoblin通信機を幾つも持ちながら、各地と連絡を取り合っている。
一度に大勢が、それもある程度別々の場所で『Familiar Spirit Demonic Advent』skillをActivateさせ、Familiar Spiritを呼んでも問題無く効果は発揮されるのかという実験である。
(……普通の神がこのような実験をされたら、Divine Punishmentの一つや二つ下しかねんな)
believerの身で神の限界を測ろうとする、不遜な行いのように彼には思えた。その本人がこの検証実験を提案したので、今回はその心配はないが。
(いや、そもそも普通だったら同じ国にこれ程大勢blessingsを持った者がいるはずがないか。……気安くばらまくにも程がある。
っと、言うか何故我にまで……)
『我は、本当に何をやっているのだ……』
その一員と化している『Raging Evil Dragon God』Luvezfolは、遠い眼差しで自身が置かれた状況を顧みていた。
『Dragon-Emperor God』Marduke配下の龍の一頭だった彼は、このworldを裏切りDemon King Guduranisにつき、そして数年前までDemon King Army Remnantsの一柱だった。
そして彼とは逆にDemon King ArmyからVida側に寝返った、『Evil Dragon God of Five Sins』Fidirgが支配していた大Marshlandsを奪ってLizardmanの信仰を独占していたら、Vandalieu達に奪われた。
その後は彼にとっては転落の一途だった。 Bahn Gaia continentから逃げ出す途中で『Storm of Tyranny』にsealedされるし、その後はDemon continentで『Mountain Queen Dragon God』Tiamatやかつての仲間に醜態を晒すわ……。
(それでも魂を喰われたRavovifardやHihiryushukaka等よりは大分マシなのは間違いない……間違いないのだが……)
Luvezfolには、信念の類は無い。あるのは、生き延びたいという強い欲求のみだ。だからDemon King Armyに寝返ったし、Vandalieuに命乞いもした。命の為なら誇りは二の次三の次にしてきた事は、自覚している。
だがこの状況を顧みると、正直もう少し誇りを大切にして生きるべきだったのではないかと思わなくはない。
「皆、緊張しないでも大丈夫だよ! Advent……って、言うか降魔するのはVan -kunの一部だからね!」
「一体化すると言っても、Memoryや心の奥底までは読まれないのは普通の【Familiar Spirit Advent】と同じらしい。ZanalpadnaからのOracleにもあったから確実だ」
「そうそう、だから-kunも安心してね!」
そう周囲の者達に声をかけて、安心させようとしているScyllaとArachne……ScyllaのElderの娘のPrivelと、Queenの娘の一人でLarge-buildのGizaniaの言葉も、Luvezfolの憂いを拭う事は出来ない。
それどころか、逆に深くなった。こんな小娘共に心配される程、己は矮小な存在に成り果てたのかと。
だが、それも仕方がないだろう。今のLuvezfolは体長十meter前後の、Wyvernの姿をしているのだから。
『Storm of Tyranny』にoctopus beatingりにされsealedされた結果、彼は本来の龍のBodyでは無く、今の脆弱なWyvernのBodyに閉じ込められてしまった。
一般人から見れば、Wyvernは恐ろしいmonstersだ。力は強く、fangsとclawsは鋭く、scaleは堅牢。そして空を飛び、Breathを吐く個体も多い。
だが龍であるLuvezfolから見れば、自分達の劣った子孫である竜種の中でも最下Classの種でしかない。
力もfangsとclawsも、そしてscaleとBreathも評価するには全く至らない。飛ぶ速さは飛竜と呼ばれるだけあって中々だが、Humanが猿のAgilityさを褒める感覚と同じでしかない。
そして知能が獣並と来ては、もう子孫として認識するのも難しい。……まあ、彼は水と地のattributeに親しい龍なので、Wyvernの直接の親ではないが。
(Demon Kingに命じられて何度か子を残した事もあるが、我の子孫は水棲の竜が多かったな。そう言えばScale Kingの奴、すっかり我の事を忘れて、SkeletonのPetと化しおって。知能は竜にしては高かったはずだが……)
Luvezfolが現実逃避気味に思考をあさっての方向に向けていると、その背に大きな手が触れた。
「大丈夫だよ~、Vanは怖くないよ~」
そのままゴリゴリと彼のbody partに指がめり込む。
『ぐおぉ~!? ぱ、Pauvina -sama! 何を!?』
体長十meterのLuvezfolのbody partに気軽に触れる事が出来る人物……約身長三meterのHalf-Noble OrcのShoujo、Pauvinaの突然の暴挙に彼は目を剥いた。
「うん、Luvezが緊張しているみたいだったから」
Vandalieuが初めて行ったPseudo- reincarnationの結果、Noble OrcとHumanのbloodが混じった混bloodとして生まれたPauvinaは、Humanより大分成長が速い。身長は三meter前後になってからあまり伸びなくなったが、body partの大きさを考慮に入れなければ十代前半のShoujoに見える。……すっかりVandalieuを追い越している。
『ご心配いただき、ありがたき幸せ! ですが、私は大丈夫です!』
そしてLuvezfolの直接の上司が彼女だ。……大多数の者達は「飼い主」と認識しているが。
先程まで誇りを捨てた事を若干後悔していたのに、その後悔すら即座に捨ててへりくだるLuvezfol。それにはPauvinaがVandalieuのImouto分である事もあるが、彼女自身が今のLuvezfolぐらいなら軽く捻り殺せる実力を持っているのも大きな理由だ。
龍のInstinctとして、自分より強い存在をどうしても上位者として認識してしまうのだ。
彼女はNoble Orc由来の恵まれたbody part Abilityに、最近はMagical GirlなるJobに就く事を目指してmagicの修行までして一定の水準まで修めている。
尤も、「この方が皆の力を引き出せるから」と【Magical Girl】の前に【Tamer】になって、【Strengthen Subordinates】skillを獲得する事を選んだが。……その【Strengthen Subordinates】skillの対象になってしまっているのが、今のLuvezfolの立場である。
(それにこいつ、この約一年の間にこのbody partの弱点を知り尽くしている! 何て厄介なbrother and sisterだ。兄の方も、何を考えて我にblessingsなんぞ――)
『うおおお~っ! お止め下さいっ、どうか、どうかお止め下さい!』
ボキボキと音を響かせても止まらないPauvinaに、堪らず懇願するLuvezfol。しかし彼女は「え~?」と何故止めて欲しがるのか、理解できないらしい。一向に指を止める-sama子は無い。
「だって、凝ってるよ? コリコリってしてるし」
LuvezfolをVandalieuから預けられてから、PauvinaはLuvezfolのWyvernと化したBodyの弱点……何処をmassageすればFatigue回復に効果があるのかを、知り尽くしていた。
主にFidirgからの情報提供と、実践によって。
(お、おのれFidirgめ! 最近頭が四つに戻って、あと一つ戻れば完全体だからと調子に乗りやがって!)
ツボを突かれながらそう心の中でFidirgを呪うLuvezfolだが、Fidirgにとっては心外だろう。
同じ龍という事で、FidirgにLuvezの世話の仕方(飼い方)を尋ねにPauvinaが来た時、彼は困り果てていたのだから。
『えっ? いや、同じ龍って言っても我はaccurateには『このworldの龍に似たanother worldの生物の神』なので……』『サンShowウオにイモリの生態を聞くようなものです』『正直、あのヤロウの生態なんて知らない……ああっ、泣いちゃダメッス! 何とか頑張るから待ってほしいッス!』『とりあえずWyvern! Wyvernはどこ!?』
そしてDungeonで生成されたWyvernを五つの内revived四つの頭にそれぞれ咥えて生け捕りにし、それで調べたのだ。
決して、『女の子にmassageされて悶え喘ぐがいいッス』と、嬉々として教えた訳ではない。
『なれ……ろ』
『ろろろろ~♪』
party……と言っていいのかHumanから見ると微妙だが、同じPauvina付のRapiéçageとYamataが虚ろな瞳でLuvezfolを眺めている。
RapiéçageはVandalieuが発見した『Divine Spear of Ice』のMikhailの仲間の死体やmonstersのpartsをツギハギして創られたChimera Zombie。YamataはPure-breed Vampire Terneciaが九の首を持つHydraのVariantの死体の頭部を、それぞれraceが異なる美女の上半身とすげかえて創ったHydra Zombie。
どちらもUndeadなので、massageのAttack Powerはあまり理解できていないので悶えるLuvezfolに対して、あまり同情していない。
『キュオン』
そして最近蛹からgrown wingsして、wormからGiant蛾に成長したPainを加えたmemberがPauvina partyのregularである。場合によってLegionやSam等が此処に加わる事になる。
このpartyでの活動は、Luvezfolにとって悪い事ばかりでは無く、利益ももたらしていた。一番助かったのは、Demon continentから連れ出されVida's FactionのGodsとも直接会わずに済むようになった事だが、それ以外にもlevellingにつきあう事で、何度かRank upする事が出来た。
当初はPauvinaを乗せて飛ぶ事も出来なかったが、Rank upした今では完全武装の彼女も軽々と……まではいかないが、乗せて空を飛ぶ事は出来る。
とは言ってもWyvernからHuge Wyvern、そしてGreat Wyvernになっただけで、Wyvernなのは変わらないのだが。
Tamer guildのMaster、『Flying Dragon User』のBachemが見れば驚くだろうが、Wyvern全体を下に見ているLuvezfolにとっては、Rank5から7に変わったとしても、所詮Wyvernでしかない。
とは言っても、周りの連中にちょっと本気で殴られたら撲殺されてしまうひweak生き物だった頃からは、かなりマシなconditionだ。後は、翼とは別に前足が生えれば文句は無いのだが。
しかし次のRank upでDragonになれるかも――。
(は、いかんっ! このままでは眠ってしまうっ!)
コリを解されるのが気持ち良すぎてまどろみかけていたLuvezfolは、はっとして目を開いた。
このままでは、本当にただのPet転落だ。生き延びる為に誇りを捨てた自分だが、元龍である。いつか「元」の字を取ろうと狙っているのに、「龍」の方を失ってどうする。
「そう言えば、LuvezもSpirit Cloneを派遣したりblessingsをあげたりしてたんだよね?」
『砕……かれて、いた。Van、ダルーに撃たれて』
『今は、Bone ManのDragon、Leo』
ふとPauvinaが、Luvezfolが過去にblessingsを与え、【Spirit Clone神Advent】skillをScale Kingが持っていた事を思い出す。
ここ一年で前よりも流暢にしゃべるようになったRapiéçageと、歌っていない時は若干たどたどしい口調のYamataが補足する。
「なのにVanのFamiliar Spiritを降ろせるの?」
『はい、問題はない……っと、思います』
正直、prideやらtraumaやらを抉る話題なので話したくはないLuvezfolだが、massageからPauvinaの関心を逸らすためなら、饒tongueにもなる。
『今の我はこのWyvernのBodyにsealed……退化しているconditionにあり、Pseudo-的なreincarnationを強制されています』
『Storm of Tyranny』がLuvezfolに施したのは、強制reincarnationのsealedだ。『Goddess of Water and Knowledge』Periaが『Magic God of Time and Arts』Ricklentと共に編み出した秘術を基にした物だ。
本来はEvil God (M) Evil God (P)を無力な動物や植物に強制的にreincarnationさせ、revivalするまでの時間を先延ばしにするためのものだ。
それを『Storm of Tyranny』はBodyを持つ龍であるLuvezfolに使った結果、無力な動物では無く彼のBodyの一部とFusionして退化し、Wyvernになってしまったのだ。
その時点で、sealedは本来なら失敗したはずだった。無力どころか、Rank5のmonstersにしてしまったのだから。……『Storm of Tyranny』の前にはRank5は無力な動物に等しかったため、手も足も出なかったが。
だがそうしてBodyを得た結果LuvezfolにもStatusが表示されるようになり、いつしかそこには【Vandalieu’s Divine Protection】が表示されるようになった。
何故blessingsを与えられたのかは、繰り返し考えても理解できなかった。しかし、それで分かった事がある。
『その結果、我は神としての格は零落……Demi-Godと呼べない程弱体化したのです。そのため、他の神からblessingsを与えられ、Familiar Spiritをbody partに降ろす事が可能になってしまった……なったのでしょう。
Vandalieu -samaのDemi-God化に関しては、何とも言えませんが』
Luvezfolの解説を、ふむふむと頷きながら興味深そうに聞き入るPauvina達。その手は彼の狙い通り、止まっている。
「キュオー、キュオン?」
かなり奇妙な、甲高く響くような鳴き声をあげるPain。この鳴き声の意味は、Pauvinaにも分からない。
『Demi-Godとはなにか、だと?』
だが何故かLuvezfolには理解できるらしい。
『Demi-Godとは、Bodyを持たない純粋な神ではないが、Humanや通常の鳥獣の枠に収まらない存在の事だ。我のような龍、TalosのようなTrue giant、そして獣の王とPure-breed Vampire。これらが代表的なDemi-Godだ』
他にもRank13以上のmonstersや、Vida's New Races、SClass adventurer等は広い意味ではDemi-Godと呼べるだろう。神に匹敵するとか、神の領域に足を踏み入れたとか、神の如く畏敬の念を払われているとか、そう言った意味で。
「でも、Pure-breed Vampireの人達は誰かにblessingsをあげたりしてないよ?」
『Pauvina -sama、Demi-Godにも格の違いがあるのです。ただ神に匹敵する強さを持っているだけの者もいれば、純粋な神の如く自身のDivine Realmに住み、believerにOracleを下しblessingsを与えられる者。そしてFamiliar SpiritやSpirit Cloneを創り出し、派遣できる者等に分かれるのです』
不思議そうに聞き返すPauvinaに、Luvezはそう説明しながら暗に「昔の自分は凄かったのだ」と主張した。
「なるほど。Demi-Godという括りは、随分大雑把なもののようだ。raceや役職的な物と言うより、一定の水準以上にあるものを一括りにして呼ぶ時に使う、尊称のようなものか。
思い返してみると、Godsの序列は大体大雑把なものだが……もっと厳密に序列を分けようとは思わなかったのかね?」
『貴-sama、いつの間に!?』
音もsignも感じさせずに出現したLucilianoに驚愕しつつも、Luvezfolは会話を続けるために彼の質問に答える事にした。
『厳密な序列分けか。我はGodsの意思や考えを代表する立場でもないが、そんな物Humanにとって、そして我々にとっても何の意味も無い。寧ろ有害だ。
故に、誰も行わなかったのだ』
「Luvez、もう少し詳しく説明して」
『……Demi-Godも含めて神としての力を十段階評価にした場合を想像してみてください。同じattributeの神なら、Humanは利益を期待して評価の低い神よりも高い神の方に目を向けるのではないかと。
神の性質も教義の内容も二の次にして』
believerの立場からすれば、力の強い神を選べるのは利点かも知れない。しかし、直接Evil God (M) Evil God (P)に支配されるmonstersでもあるまいし、神から直接恩恵を受ける者等全体から見れば僅かだろう。
『God of Law and Life』Aldaを例に挙げれば分かり易いだろう。このworldで最も多くのHumanが信仰しているGreat Godだが、そ's Divine Protectionを受けている者は一万人もいないだろう。全体の一percentを遥かに下回る。Familiar Spiritを降ろす事が出来る者は更に減り、Familiar Spirit以上の存在を降ろせる者となると片手で数えられる程度だ。
殆どのbelieverは、blessingsを受け取る事が出来ないのが実情だ。それを考えれば、信仰するのが力のweak神でも変わりは無い。
しかし、多くのHuman共はそれに気づかないだろうとLuvezfolは思った。
(もっとも、厳密に序列を分けられた場合、我も下の方になるから困るのだがな)
分けられる神としても、堪ったものではない。教義や守護し司る対象、これまでその神を奉じて来た者達のachievement等を無視して、神としての力の大小だけしか見られなくなるのだから。
力のweak神でも、信仰を集められれば年月はかかるが神としての力を増し、believer達にblessingsを与え、Familiar Spiritを作る事が出来るようになる。
しかし力の強い神ばかり注目されるようになったら、それも難しくなる。強い神は強いというだけで力を増し、weak神はどれだけ正しく、心優しくても力が弱まる一方になる構図が固定化してしまうかもしれない。
上記の理屈で神を選んだと仮定すると、『God of Law and Life』Alda一択になる。人々が知る中で、最も神としての力が強いのはAldaだからだ。最近までsealedされていたVidaなんて見向きもされなくなってしまう。
「なるほど。本来blessingsは少々努力したくらいでは手に入らないものだし、Familiar Spiritを呼ぶskillも簡単には得られないものだ。だからそればかりに注目して神をえり好みするのは、信仰とは言えないという事か。
神としての立場からの貴重な意見をありがとう。大いに参考になった」
『付け加えておくが、Vandalieu -samaは例外だ。あの方は、我の知識の範疇を超えている。
それとLuciliano、貴-sama等自身も世間一般の普通のbelieverと同じだと思うな。他のGodsからblessingsを受けている者が多い貴-sama等も、例外だ』
納得してメモを取っているLucilianoに、Luvezfolはそう付け加えた。
普通、Humanは生きている間はFamiliar Spiritを創る事はcertainly、誰かにblessingsを与える事は出来ない。少なくとも、Luvezfolは聞いた事が無い。
LucilianoはLuvezfolの説明をメモし、その横ではPauvinaが「なるほど」というかのように繰り返し頷いている。
「そうなんだ。ところでLuvez、あたしの事は呼び捨てで呼んでいいし、口調も普通で良いよ」
『いえ、そんな恐れ多い……』
「あたしの事は、パウって呼んでいいよ」
『タメ口……きけ』
『キサマ、とか呼ぶ?』
「キュ~オン」
『いえいえいえ! 恐れ多いので』
LuvezfolはPauvina達の提案を、全力で拒否した。
「それとね、人によって態度を変えるのは良くないって。変える場合でも、そんなにあからさまにしない方が良いと思うってVanが言ってたよ」
『ひぃっ!? 見ておられる!?』
『Evil God of Joyful Life』を喰い滅ぼした新たなDemon Kingに、素行をcheckされている。それを知ったLuvezfolは、screechをあげながらキョロキョロと周囲を見回すが、当然それでVandalieuが見つかるような事は無い。
何故なら、実験の為にこのVenueの近くにDemon King Familiarは配置されていないからである。
『さて、興味深い話も聞けたところで、時間だ。Demon continentのDoug -kun、Majin nationのIris -kun、旧Scylla Autonomous TerritoryのSleygarとHaj -kun達から、準備が出来たと言う連絡が来た。
では、カウントダウンを開始する。十から数えて、零と私が言ったtimingに合わせてskillをActivateするように!』
magic itemを使って声を拡大したLucilianoの声が響き渡り、カウントダウンが始まる。
(待てっ! 今のconditionでFamiliar Spiritを降ろしたくない!)
Luvezfolは内心でそんな叫びをあげるが、無情にもカウントダウンは続き、集まった者達が【Familiar Spirit Demonic Advent】をActivateさせた。
Luvezfolも、後ろ暗い事があるからFamiliar Spiritに思考を読まれたくないと怪しまれるのを避けるため、仕方なく【Familiar Spirit Demonic Advent】をActivateする。
地の底から現れたVandalieuのFamiliar Spirit……Cloneはそんな彼の狼狽し、乱れた心の声がだだ洩れになっている思考を読んでこう言った。
『なんなら、俺の事もVanって呼んでみますか?』
それを純粋な提案では無く、ある種の脅しだと解釈したLuvezfolは、白目を向いてfaintedした。
意識を失う者が一人でたが、それ以外にaccidentは無く検証実験は終了した。【Familiar Spirit Demonic Advent】はVandalieu main bodyからどれだけ距離が離れていても、また同時に大勢が使用しても問題無くActivateし、main bodyのVandalieuにも悪impactは出ない事が判明したのだった。
VandalieuがMoksiの町を訪れ、Food Stallを開いてから一カ月が経った頃。
Adventurer’s GuildのGuild Master、BellardからNataniaと、そして仲間としてVandalieu達に連絡があった。
『Flame Blade』が賠償金を全額払い終ったと。
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・Name: Pauvina
・Race: Half-Noble Orc
・Age: 8age
・Title: 【Next Generation's Mahou Shoujo】(NEW!) 【Demon User】(NEW!) 【Dragon God Princess】(NEW!)
・Job: Tamer
・Level: 71
・Job History: Apprentice Warrior、Warrior、Club Warrior、Heavyweight Warrior、Beast Warrior、Guardian Warrior、Hell Armor Heavy Club Warrior、Apprentice Mage、Mage、Magic Club Warrior
・Passive skills
Dark Vision(Night Visionから変化)!
Mysterious Strength:10Lv(UP!)
Enhanced Vigor:1Lv
Physical Resistance:6Lv
Blunt weapon equipped, then Attack Power Enhanced (1) : Large(UP!)
Strengthened Defensive Power while equipped with metal armor:大(UP!)
Strengthened Defense Power when equipped with a Shield: Large(UP!)
Mental Resistance:5Lv(UP!)
Intuition:3Lv(UP!)
Self-Enhancement: Guidance:4Lv(NEW!)
Mana Enlargement:1Lv(NEW!)
Strengthen Subordinates:2Lv(NEW!)
・Active skills
Club Technique:9Lv(UP!)
Throwing Technique:4Lv
Armor Technique:7Lv(UP!)
Shield Technique:6Lv(UP!)
-Surpass Limits-:5Lv(UP!)
Housework:1Lv
Unarmed Fighting Technique:4Lv(UP!)
Dismantling:2Lv
No-Attribute Magic:2Lv(NEW!)
Mana Control:3Lv(NEW!)
Earth-Attribute Magic:3Lv(NEW!)
Magic Club -Surpass Limits-:2Lv(NEW!)
Singing:1Lv(NEW!)
Dancing:2Lv(NEW!)
Magic Fighting Technique:1Lv(NEW!)
Familiar Spirit Demonic Advent:1Lv(NEW!)
・Unique skill
Garess’s Divine Protection
Vandalieu’s Divine Protection
Mububujenge 's Divine Protection(NEW!)
Tiamat’s Divine Protection(NEW!)