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Side Chapter 32: 神の意思

 VandalieuBirkyneと戦う数時間前、Talosheim


 Demon King Guduranisとの戦争を戦い抜き、生き残ったTrue giantの中でも最も格が高く、強く、そして優しいとされた『Giant of the SunTalos

 永き眠りからrevived彼は、己の名を冠した国の聖域で、自らのbloodを受け継いだ子等であるGiant race達……のUndead、『Sword KingBorkusや、『Saintess of HealingJeena、『Tiny GeniusZandiaを含めた、主だった者達を集めた。


 そしてこう語りかけた。

『お前達から、この国のnameVandalieuヘイムやVandalieu Randという風に、改名するよう頼んでくれんかな?』

 そう、真剣な-sama子で。


 重要な預言か、忘れ去られてしまった太古の真実等を告げられるのではないかと思って集まったBorkus達は、Talosの発言の意味を理解するまで数秒の時を必要とした。

 そしてUndeadにならなかった父である旧Talosheim国王や、Vandalieuに憑いているFirst PrincessLeviaに代わり、第二PrincessZandiaが聞き返した。


『ええっと……マジで?』

『マジ、大マジ。真剣に国のnameを改めた方が良いと思う』

 自分達's ancestorの親、城よりもGiantBodyを持つTalosが何度も頷いた。


『畏まりました、偉大なる我らの父Kami-sama。早速Mikoに――』

『待ちやがれ』

Nuaza、それはまだ早いから』

 TalosheimChurch of Vidaの長にして、VandalieuGiant石像を事あるごとに作ろうとしては、本人に止められているNuazaが早速動き出そうとしたが、BorkusJeenaがそれを押さえ込んで止めた。


『何故です!? Borkus -donoin any case Jeena -samaまで! 手乗りMiko像の時は協力して頂けたのに!』

『小さな陛下-kun像は可愛いもん。でも、国のnameは可愛さとはあまり関係無いし』

 Nuazatempleの責任者の地位を譲った……押し付けたJeenaは、Nuazaの叫びにそう答えた。


『とりあえず、訳を聞かせてくれ。もしかして、最初から自分のnameを国のnameに使われるのが本当は嫌だったとか、そういう感じか?』

 Borkusが半分Skeletonになった顔で、器用に渋面を作る。Talosheimは十万年前、Aldaに敗れ、Goddessと共に逃げ延びたGiant race達を守るためTalosが最後の力を振り絞って創り上げた聖域から誕生した都市国だ。


 そのため今迄Borkusを含めたGiant race達は、自分達の父神の名を国名に頂く事に何の疑問も違和感も覚えなかった。だが、もしかしたら今自分達が見上げているTalosは見た目よりずっと謙虚な性格をしており、自分のnameが国名として前面に出るのは恥ずかしいとか、そういう風に感じているのかもしれない。

 若しくは、太陽を司っているGodsの一員としてUndeadVampireの国民を多数抱え、更にHell raceDvärgensHuman等が変化した新たなraceが誕生しているこの国の現状に不満があるのだろうかとも、思う。


 Talosは、つい最近まで力を取り戻す為の深い眠りについていた。そのため旧Talosheimから現在に至るまでの歴史に全く関与していない。なので、そうだったとしても不思議はない。

 そう思ったBorkusの問いに対して、Talosは溜め息をついて答えた。


『嫌では無いのだが……何と言うか、申し訳ない気分になる。ほら、儂最近まで寝ていただろう? 最初にmonsters避けの聖域を張った以外何もやっていないし、その聖域も十万年の間に儂が座ったらそれで一杯になる程度にまで縮んでしまったし。

 そんな儂の名が、Vida's New Racesの国々の宗主国の名として使われていると思うと、何て言うか具合が悪い


 どうやら、やや前者寄りの理由だったらしい。UndeadVampire等、太陽に似つかわしくない者達が国の大多数を占めている事については、意識すらしていないようだが。

 Undead Giant達は、彼がMythの時代に『太陽の光は、あらゆる存在を照らす。在るのは温もりだけで、聖邪の区別は無い』という言葉を残したとされているのを思い出した。


『そうかぁ……理由は分かった。でもなぁ、国のnameを変えるのは面倒臭そうだぜ』

『うん、mapを描きかえれば良いって問題じゃないし』

『これまで呼んできた分、親しみがあるしね』


 これがもし旧Talosheimの時代なら、国名の変更は簡単だったかもしれない。他の国との国交は無く、国民は五千人程度だ。

 しかし今はBoundary Mountain Range内部の国々の纏め役である「Empire」であり、Demon continentと言う飛び地も統治している。書類の数も膨大だ。

 そして何より、「Talosheim」という名称に親しみを持っている国民は、既に十万人近い。


『そこ、どうにかならんかな? 他の神にも相談してみたんだが、十万年ぶりに再会したImoutoには説教されるし、Xerxの奴には『暇だから余計な事を考えるのだ』と言われるし、Fidirgには『余裕ッスね』と僻まれるし』

 『儂だって目覚めたその日にBarrierの維持に加わったし、別に余裕じゃないわい』と、憤慨した-sama子でMajin nationPatron God、『God of BattleflagsXerxや、大MarshlandsLizardman Autonomous Territoryを守護する『Evil Dragon God of Five SinsFidirgに文句を言うTalos


Vida -samaは何て言っているの?』

『相談すると慰めてはくれるのだが……何時の間にか話の中身が愛する我が子達に関する事にすり替わっていてな。一度に数百数千の我が子の話をするものだから、儂も相槌を打つだけで精一杯だ』

 Gods、それもGreat GodHumanよりもずっと高dimensionの存在だ。countlessbeliever達の祈りを聞き、見守っている。True giantであるTalosは、Demi-Godの中では限りなく神に近い存在だが、Vidaに合わせるのは簡単ではないらしい。


『じゃあ、他のKami-samaは別に変えなくても良いよって思ってるんじゃない?』

 Zandiaがそう言いながら、Talosに気にしないよう説得しようと試みた。

『むぅ……やはり儂が気にしすぎているだけなのか』

 Talosもその方向に傾き、更に発言していないGiant raceの中に妙案を思いついた者がいた。


『おい、Borkus。お前の所のGopherに、妙案があるらしいぞ』

 Undead Giantではただ一人ninjaの名を持つZranにそう耳打ちされたBorkusは、振り返って驚いた。

Gopherっ、どうした!? 腹でも壊したか!?』

 何故なら、普段から気の強い娘のGopherTalosに向かって頭を下げたまま見上げようとしていなかったからだ。


「喧しいね、こっちは親父達と違って常人なんだっ。まだ慣れてないんだよ!」

 そう小声でGopherが訴えた通り、彼女を含めた普通のGiant race達はTalosが無意識に放っている迫力に押されて、顔を上げる事が出来ないでいた。

 Borkusは既に自分自身がGodsの領域に近づいているし、何度か神を目にしている者もいるのでTalosの目を見て直接会話する事が出来ているが、Gopher達はそうはいかない。


 GopherHartner DuchySlaveから解放された後、学校の講師等副業もしながらだが、父親のようなWarriorを再び目指していた。しかし、未だ超人の域には到達していなかった。


 TalosGiant raceの片親であり、彼が意識して出来るだけ迫力を抑えようとしているのでこの程度で済んでいるが……口を利く事も出来なくなるのが普通である。

『すまんなぁ。十万年前はしょっちゅう姿を現して、お前達の父祖に武術を教えたり、共に歌を歌ったりして慣れさせたのだったが。代わりに……』


 Talosから柔らかい光が放たれ、Gopherを包む。すると、彼女はそれまで感じていた圧力が急に和らいだように感じた。

「これは……blessingsじゃないか! こんな簡単に与えて良いのかい?」

『昔は武術を修めた子や、歌の上手い子に与えたもんだ。気にする事は無い。それよりも、妙案と言うのを聞かせてくれ』


「あぁ、分かったよ。大した案じゃないけど……Humanの国じゃ、国のnameと首都のnameが違う事の方が多いんだ。Talosheimもそういう風にしたらいいんじゃないかって思ってさ」

 Boundary Mountain Range内部の国々はほぼ都市国であるため、国のnameと都市のnameは同一で、そもそも区別しようという発想が無い。

 しかしSlaveとしてだがHumanの国で生活していたGopherは、複数のを治めるHumanの国を知っていた。


『なるほど……都のnameTalosheimのまま、国のnameを新しくするのか。それなら皆、頼んでくれるか?』

『それならTalosheimTalosheimのままだし、納得してくれる人も多いと思うよ。……陛下-kunは、新しい国のname次第だと思うけど』

 Talosの問いに、Zandianod。だが、Vandalieuヘイム等のnameVandalieuが絶対嫌がるだろうと付け加えて。


『まあ、その辺りは相談すれば良いじゃねぇか。どうせ俺達だけで勝手に変えられる訳じゃねぇんだしな。取りあえず、坊主より先にChezareKurtの奴に話を通しておこうぜ』

「お、親父が根回ししてる……!」

『明日は大雨……いや、豪雪だな』


 こうしてTalosheim Empire改名の動きは始まったのだった。




 Pure-breed Vampire Birkyne、そして『Evil God of Joyful LifeHihiryushukakaの消滅は Bahn Gaia continent中に散っていたVampires serving Evil Godsの間に瞬く間に広がった。

 その直後に起きた混乱は、激しかったとも言えるし、静かだったとも言える。


 Orbaum Elective Kingdom側に存在していたBirkyneの拠点や、犯罪organizationを裏で操るために各地に配置されていたNoble-born Vampire達の多くは、逃亡を選んだ。与えられていたmissionや、支配していたorganizationを放棄して自分一人、若しくはごく少数の側近を連れて隠れ潜み、生き延びる事を狙う。


 Noble-bornに置いて行かれたSubordinate-born達は、砦のSubordinate-born達のようにVandalieuへのLoyaltyVidaへの帰依を誓いながらVandalieuの追っ手を待つ者。自分達を搾取していたNoble-bornがいなくなった事を好機と捉え、残されたorganizationを乗っ取ろうとする者、何も気がつかないままmissionを続ける者など-sama々だった。


 そのためOrbaum Elective Kingdomではこの後、統率が乱れた犯罪organizationの構成員が起こした事件が頻発し、同時に潜伏場所を暴かれたVampire達との戦いによって治安が悪化するが……治安の悪化は一時的な物で、多くのorganizationGuardKnightadventurer達の働きによって壊滅する事になる。


 Vampire達が恐ろしいのは、Humanと同じくorganizationだって動き、戦闘に関する高い技術を持ち、装備も整え、何よりもDevil Nestsでは無く中に潜んで陰謀をなすからだ。

 それがorganizationを放棄して単独から数名で動き回っていたり、慣れないorganization運営に失敗してボロを出したり、自ら強みを捨ててしまった。Humanにとっては正に獲物である。


 逆にAmid Empire側のVampires serving Evil Gods達は殆ど混乱しなかった。中にはElective Kingdom側のNoble-bornのように逃亡を企てる者や、despairのあまりVandalieuの手の者に惨たらしく殺されるよりはとsuicideする者もいたが、多くの者はその場に居座った。

 Vandalieuが、Amid Empire側にまで追っ手を放つ事は無いだろうと考える者が多かったからである。


 実際、VandalieuAmid Empire側に行こうとは思わなかった。originally Amid Empire側のVampires serving Evil Godsの拠点やorganizationには大したものが無く、放置しておいても問題は無いと判断されたためだ。

 childを集めるための孤児院やProstitute館等はあるが、Moksiの孤児院のように【Demon Kingshadow】で操られている者はいなかった。

 Birkyneも、VandalieuAmid Empire側に現れるとは考えていなかったようだ。


 ……代わりに、幾つかのorganizationVandalieuから情報を得た『Storm of Tyranny』のmemberやその仲間の手によって壊滅させられたが。


 Vandalieuは、治めてもいない国……特に敵国の治安維持のために各地に配置され、更にそこから逃げ散ったVampire達を追う労力を払う義理は感じなかった。

 それは各地を治める領主やその旗下のKnightSoldierAdventurer’s Guildの仕事である。


 それでもBirkyneの腹心達に準ずる実力を持つVampire Viscountや、Birkyneの趣味のTortureによって殺戮人形と化したSubordinate Vampireの保管施設など、放置しておくと危険だと思われる者や場所には対処したが。

 その過程でSubordinate-born-samaに命乞いをするため拠点に残っていたNoble-born Vampire等と遭遇する事もあり、その日のnightはなんだかんだと忙しかったようだ。




「ひ、ヒィィィ! もうダメだ、despair的……いや、終わりだ!」

 長く伸ばした髭を三つ編みしたDwarfが、雑巾を破り捨てたようなダミ声で絶叫をあげ、頭を抱えた。

「ど、どうしたんだ、Zean -san!?」

 Zeanと呼ばれたDwarfの絶叫に驚いたReincarnator、【Mage Masher】のAsagiMinamiが研究室に駆け込んでくる。


「おぉ、Asagi -kun! 聞いてくれ! 検証実験の結果、私の仮説が間違っている事が証明された!」

「なっ、何だって!?」

 Asagiの顔からbloodの気が引き、悲壮感が滲んだ。


「だが、安心してくれ。私は証明された結果から新たな仮説を組み立てた!」

「本当か!?」

「うむ、諦めるにはまだ早い。研究は失敗の積み重ねだ。私の新たな仮説によると――」

 顔にbloodの気が戻ったAsagiに、Zeanが己の仮説を説明していく。その-sama子を、Asagiに遅れて研究室にやって来た【Ifritah】のShouko Akagiと、【Clairvoyance】のTatsuyaTendouが微妙な顔で眺めていた。


「……これで幾つ目の仮説だっけ」

「さぁ。百を超えたあたりから数えてないからな」


 Vandalieuを危険視するAsagi達は、【Demon King Fragment】対策の研究を行う事にした。Vandalieuに対抗できる知識と技術を発見し、それを各国に広める。それによって各国のPower balanceを取り、Vandalieuが将来戦争等大規模な軍事行動を取れないようにしようと考えたのだ。

 しかし、研究は難航した。


 当然である。Rodcorteから他のworldより劣っていると見なされている『Lambda』だが、それでもこのworldHuman達が、十万年以上経っても発見できていない知識と技術を開発しようというのだから。


 Asagi達も前世でただ戦闘訓練やterroristとの戦いに没頭していた訳ではない。それぞれ大学を出たし、特にmagicに関する知識は一般人よりもずっと深い。特にTatsuyaは、爆弾処理や医療に【Clairvoyance】を活かす為、-sama々な専門知識を身に付けていた。


 しかし、研究対象は【Demon King Fragment】である。『Origin』に存在しなかった、更に『Lambda』とは異なるworldから現れた侵略者、Demon King Guduranisの肉片が変化したものだ。明らかに『Origin』の科学、そしてmagic体系の外に在るものだ。研究の難航は、Asagi達も最初から予想していた。


 そのため研究の協力者を探した。このworldMythlegendmagicAlchemyに精通した者を。

 そうして巡り合った一人が、今Asagiに仮説を説明しているZeanであった。Mage guildの窓際部署で、奇説珍説を唱えては、自分でそれが間違っていると証明する事を繰り返す変人Mageである。


 これまでは【Demon King Fragment】には、とにかくOrichalcumを使うしかないと言う通説だった。だと言うのに、それ以外に有効な方法を研究しようと言う奇妙な三人組に、Zeanは喜んで協力を約束した。

「……優秀な人ではあるんだよな。閃きはあるし、検証を怠らないし間違いはすぐ認める。短期間で百以上も説得力のある仮説を続けて立てられるだけでも、大したものだと思う」

 実際、Zeanはある種のGeniusなのだろうとTatsuyaは言う。仮説の検証と否定を繰り返す内に、それなりの成果も上げている。


「でも、仮説が間違っていると分かる度に深刻な-sama子でscreechをあげるのは止めて欲しい」

 そうShoukoは言って、溜め息をついた。お蔭で、「Zeanの仮説は間違っていた」という点しか印象に残らず、二人は彼のscreechを聞く度に徒労感を覚えていた。


 ZeanMage guildで窓際部署に追いやられていたのも、maybeそのせいだろう。言動のせいで、誰にも優秀だと気がつかれなかったのだ。

 ただ、Asagiとは何故か気が合っているようだ。maybe、目標に向かって諦めずに進み続けると言う暑苦しい点が共通しているからだろう。


「そう言えば、最近『sponsor』はどう?」

「特に変化は無い。定期的に研究の状況を何処かに知らせているだけだ」

 この【Demon King Fragment】研究は、このDuchyを治めるBirgit Duke 家からの援助……そして監視を受けていた。


 何せ研究対象が【Demon King Fragment】である。扱いを間違えれば、研究者がfragmentInfestされて暴れ回り、街が壊滅するなんて事が十分あり得る危険物だ。

 本来ならAsagi達のようなadventurerに許される事ではないのだが、RodcorteDivine Realmに居る仲間、Aran達からの助けもあってrunawayした【Demon King Fragment】を首尾よくsealedしたachievementで、認められた。


 最近各地に現れたGods 's Divine Protectionを得たHero達の一員だと、Duke 家Asagi達を誤解したのも大きかったが。

 一応神(Rodcorte)'s Divine Protectionは受けているので、あながち間違いではないのだが。


 そうしてそれなりの援助を受けられたが、代わりにDuke 家からの監視が置かれる事になった。その監視をTatsuyaは【Clairvoyance】で見抜き、逆におかしなところは無いか見張っていた。

 だが、今までは特段おかしなことは無かった。


maybe、今回のscreechでまた報告に行くだろうからまた見てみるけど……いつも通りだろう」

 Tatsuyaは監視が報告しているのはBirgit Duke 家Humanだろうと考えていた。originallyの目的が目的なので、それを問題視もしていない。


 だが実際には彼らの研究に援助する事を決めたDuke 家に仕える臣や、ZeanintroductionしたMage guildの職員等、所々にPure-breed Vampire Birkyneの意思が存在していた。

 臣や職員本人も気がついていない程、迂遠な方法で動かされていたため、Tatsuya達は誰一人気がついていない。


 Divine Realmに居るAran達は、『Lambda』のRodcorteCircle of Reincarnation systemに魂が属しているHumanの情報を見る事が出来る。しかし、此処はBeast raceDukeが治めるBirgit Duchyだ。他の領よりVida's New Racesが多く、Aran達でも情報を追い切れなかったのだ。


「でも念のためにお願い。私とAsagiは、新しい仮説の検証に必要な素材か何かを調達する事になるだろうから」

「分かった。……Duke 家からの援助が打ち切られないよう祈ってくれ」

 そう会話する二人だが、暫く彼らはZeanの仮説の検証では無くadventurer稼業に駆り出されることになる。Birkyneを失ったVampires serving Evil Gods達の混乱によって引き起こされた事件が、Birgit Duchyの各地で起きたからだ。


 runawayした【Demon King Fragment】をsealedした実績のある三人をDuke 家が見逃すはずが無く、sponsorからの依頼ではAsagi達も受けない訳にはいかなかった。

 そして複数のNoble-born Vampireを討伐したachievementにより、形だけの昇Class試験を経てAsagi達はBClass adventurerとなるのだった。


 ちなみに、Vandalieuが彼らの研究所に【Teleportation】して現れる事は無かった。Asagi達の研究は、Vandalieu自身にとっては不都合ではある。しかしVandalieuAbsorptionしていないfragmentrunawayして暴れまわる事がある現状、必要な研究だと判断したらしい。




 Birkyneと『Evil God of Joyful LifeHihiryushukakaが消滅してから数日が経った頃。

 Moksiから、Minotaur KingReignしていたDevil Nestsを挟んで隣にあるItobam。そのAdventurer’s Guildで活動しているadventurer party、『Flame Blade』の面々はDevil Nestsでの狩りにいそしんでいた。


「クソ……十万Baumなんて払えるかよ!」

 Giant raceで盾職の男が、素材を剥ぎ取り終ったmonstersの死骸を蹴りつけて、そう怒鳴り声をあげた。

「十万だぞ! 稼ぐのに何年かかると思ってんだ!? Minotaurでも狩れってのか!? 俺達はDClassだぞ!」


Minotaurを十匹狩っても返せないよ。一人十万だからね」

「私達五人で合計五十万……MinotaurMinotaurでも、Kingでも討伐しないと一匹では無理ですね」

 荒れる盾職の男に、Humanscout職の女とHalf-ElfMageの青年がそう補足する。


「落ち着け、まだ一人十万Baumだと決まった訳じゃないだろ」

「そうよ。十万は最悪の場合で、それよりも軽くなる可能性が高いってguildは言ってたじゃない」

 それを宥めようと声をかけたのが、leaderであるHumanSwordsmanの男。そしてWolf-species Beast raceBow Userの女だ。


 彼ら『Flame Blade』は、party memberに加えたNataniaを囮にしてMinotaurから逃れた罪を、guildから追及されている最中だった。

 Nataniaを囮にして逃れた彼らは、Itobamに帰りつき、guildDevil NestsMinotaurが大規模な群れを作っている事を報告した。


 その時彼らに向けられた視線は同情的だった。仲間を助けられなかった無念を想い、それでも生き延びて情報を持ち帰った事をguildや他のadventurer達は評価したのだ。

 『Flame Blade』の面々も、当然Nataniaの脚にknifeを投げた事は言わなかった。不意を突かれて襲撃され、負傷したNataniaを置いて逃げるしかなかったと、guildへは報告した。


 だからguildMinotaurの群れ対策に乗り出した時も、邪険にはされなかった。

 weak個体でもRank5のMinotaurは、『Flame Blade』の五人の実力では一匹相手取るのがやっとだ。だから直接Minotaurと戦うのは彼らより高い実力を持つadventurer達になる。だが襲われた場所までの道案内以外にも物資のtransportationやその護衛等、戦闘以外の重要な役目を割り振られた。


 それはguildから見て『Flame Blade』が仲間を失い、その事をsorrowながらも冷静さを失わない信頼できるpartyに思えたからだ。

 『Flame Blade』は、この仕事を果たしてCClass昇格への足掛かりにしようと意気込んでいた。


 だがMinotaurの群れ対策teamは、動き出す事は無かった。その前に、Minotaurの群れは壊滅したと言う報告がMoksiAdventurer’s Guildからもたらされたからだ。

 しかも、その報告をしたのは『Flame Blade』の面々が捨て石にしたNataniaだった。彼女はMinotaurの群れ以外にも、『Flame Blade』にされた裏切りについても報告し、guildは調査に乗り出した。


 『Flame Blade』の面々は別々のroomで再度Nataniaを置いて行った状況を尋問され、話した内容の僅かな差異を突かれてボロを出し、自分達の悪事を吐いてしまった。


 その途端周囲からの評価は一転し、『Flame Blade』は優れたadventurer partyから、仲間を捨て石にする外道の集まりだと軽蔑の視線で見られるようになった。

 そして先程から彼らの話題に上っている「一人十万Baum」という言葉は、Nataniaに彼らが支払う事になる賠償金の額だ。


Minotaurに追われていたのは本当だし、それなら魔が差すのも理解できる。重要な情報を持ち帰ったのは事実だし、情状酌量の余地もあるって――」

「そんなのは、俺達が自暴自棄になって首を括られたら困るから言っているだけに、決まってるだろ!」

 leaderの言葉を盾職の男が怒鳴って否定する。


「私達が支払う額が、そのままあの女への見舞金になる訳ですからね。あまりに少ないと、ItobamAdventurer’s Guild branchの予算から幾らか払わなくてはならなくなる」

「でも、実際いくらかは割り引かれるでしょ。……半分になっても苦しいけどね」

「チッ、guildめ。昔の事まで穿り返しやがって……」


 実は『Flame Blade』が仲間を犠牲に生き延びたのは、Minotaurの群れが初めてでは無かった。partyを結成してから五年目、Natania以外にも三人の仲間を犠牲にしている。

 その犠牲になった仲間は、全員がNataniaと同じ六人目のmemberだった。


 新人adventurerの頃から組んでいる信頼できる五人の仲間と、後から加わった六人目。犠牲にする一人を選ばなくてはならない時、六人目以外の五人が誰を選ぶのか考えるまでも無いだろう。

 そうした『Flame Blade』の五人を、guildもこれまでは怪しんではいなかった。だが、彼らの手慣れた手口を考えれば、真実を察せられると言うものだ。


 guildの調査員からの心証は、極めて悪かった。

「ですが、少し妙ですね。普通ならもっと時間をかけて調査するはず……それに、一人十万の賠償額も過去の例を比べても高い。一体何故?」

「はっ、どうせMoksiguildのお偉い-sanに取り入ったんだろ。賠償金の幾らかを渡すとかなんとか言ってな!」


 奇妙に思うMageHalf-Elfに、Giant raceの男がそう吐き捨てる。彼らはNataniaがどんな状況で助けられ、今どんな境遇にあるか詳しくは知らなかった。

 ……Duke 家の依頼で動いていた『TrueRandolphらしきadventurerに、Dukeの末ImoutoKnightと一緒に助けられた事。Vandalieuに保護され、Moksi Earlとも面識が出来ている事等は当然知らない。


 だがguildは違う。『Flame Blade』が知らない内に重要人物になっているNataniaとその保護者に、最大限配慮した結果、迅速かつ徹底した調査と重い賠償金が課せられる結果になった。


「そもそも、俺はあの雌猫を仲間に加えるのは反対だったんだ!」

「反対だった? 口説こうとして振られたのは誰だったかしらねぇ?」

「今更言っても仕方ないだろう! 今更どうにもできない以上、少しでも稼いで賠償金を早く払い終えるしかないんだ!」


 言い争いを始めた仲間を叱責するleaderだが、自分達DClass adventurerが十万Baumと言う金額を稼ぐのがどれだけ難しいか、理解していない訳では無かった。

 日々の生活費を切り詰めるにしても、body partが資本の仕事だ。食事を切り詰めすぎてEnduranceを失う訳には行かない。商売道具である武具だってケチる訳にはいかない。


 そして仲間殺しの悪名を背負った『Flame Blade』を、真っ当な商人は避けようとするだろう。他のadventurerも組みたがらない。

 そのため割りの良い依頼は来ないし、他のadventurerと組んで大物のmonstersmountain bandit団を討伐するのも難しい。


 最終的に賠償金が幾らになるのかにもよるが、支払うのに何年かかる事か……。

Kami-samaにでも縋りたい気分だぜ……」

「お前等が『Flame Blade』だな?」

「!?」

 唐突に聞こえた聞き慣れない声に驚いて身構える『Flame Blade』達の前に、一人の男が現れた。


 髪を逆立てた、精悍と言うべきかabnormalと言うべきか迷うような顔立ちの、今にも崩れそうなボロボロの皮鎧を着た男だ。よく見てみればまだ少年と呼べるageだと気がついたかもしれないが、その瞳に宿っているギラギラとした濁った光がBodyの幼さを打ち消していた。


「仲間を見捨てて賠償金を支払わなければならない、哀れな負け犬。『Five-colored blades』に憧れていたようだが、その分じゃ賠償金を払い終える前に無茶をして死にそうだな」

 自分達の状況をあざ笑うかのような態度の男に対して、盾職の男が前に出ながら怒鳴りつけた。


「テメェ! 見ない顔だが何者だ!? 俺達をidiotにするとタダじゃすまないぜ!」

 それに対して男は口を三日月形にしてgrinningと笑いながら、答えた。

「俺の名はHajime Inui。『God of ThundercloudsFitunHero -samaだ。喜べ、貴-sama等が縋った神の力で、お前達を『Five-colored blades』と同じHeroにしてやるぜ!」

 Hajimeがそう高らかに宣言し終わるのと同時に、彼から稲光が放たれた。


 『Flame Blade』の五人のscreechDevil Nestsに響いたがそれを聞いた者は無く……彼らはある意味で『Hero』になった。




 『Origin』のある国の高Class住宅街の、ある一室で幼い少年が「む~む~」と唸り声をあげていた。

 彼の前には小さなスポンジで出来たBallが置かれており、壁には紙に描かれた的が張り付けられていた。

 どうやら少年は、手足を使う以外の何らかの方法でスポンジBallを投げ、壁の的に当てようと試みているらしい。


 この『Origin』にはmagicが存在するため、Wind-AttributemagicBallを飛ばすような事が可能だが……少年が求める方法はmagicでは無かった。

 何故なら少年の背後には一冊の本が置かれており、そこには『不思議Power指南書』と書かれていた。


『……百のPowerの訓練法について分かり易く解説。これであなたも『Bravers』。magicのあるworldでも、この手の本があるとは驚いた』

 どうやら、『Earth』で言うところの超Abilityに関する本らしい。


『実際magicでは無い特殊な力を持つ『Bravers』が存在しているのだから、こういう本が出てもおかしくない……のか? 見たところchild向けの本のようだし、著者も本気でPowerが身につくとは考えていないだろうけれど』

 本の内容はどう読んでも、いい加減なものだった。Mental集中やimage Training等の言葉が多用されており、具体的な訓練法については何も書かれていない。


 これでAbilityが手に入るなら、world中のHumanBraversになれるだろう。

「む~……ダメだぁっ!」

 案の定、少年も失敗したようだ。


「はぁ……やっぱり俺には父-sankaa-sanみたいな力は無いのかなぁ……いいや、まだだ! まだ他の修行を試してない!」

 少年はそう言って折れかけた心をSelf修復すると、次の挑戦の為に本を探し始めた。


「あれ? ページが違う。風でめくれたのかな?」

 そう首を傾げつつも、少年はあまり深く気にせず本を読み始めた。

『その本の位置だと、暖房器具の風は当たらないのですけどね』

 少年……Amemiya Hiroshiに、Bandaは聞こえないと知りつつもそう呟いた。


 どうやらHiroshiは、自分に両親のような特別な力が無い事を気にしているらしい。彼の両親であるAmemiya HirotoNarumiは『Bravers』の中心人物で、world的な有Adeptheroなので無理は無いだろう。

『もしかしたら、学校でからかわれたりしているのかもしれませんね。

 将来根深いcomplexになるかもしれません。ImoutoMe-kunは俺が憑いているので、ある意味特別という事になるだろうし……familyの中で自分だけと、疎外感を覚えるようになるかも』


 そう呟きながら、Bandachild roomの壁をすり抜けて、livingbabysitterfemaleと一緒にchild向け番組を見ているMe-kun……Amemiya Meiの所に戻った。彼女から約五十meter以上離れられない彼だが、と近所ぐらいなら自由に出歩く事が可能だ。


bandaaっ、かえる、かえるっ」

「冥-chanは、蛙-sanが好きなのね」

 液晶……かは不明だが、画面に映っているchild向けの動物番組で、カエルがtongueを伸ばすのを見て、冥がキャッキャと歓声をあげていると思って、babysitterがそう言う。


 しかし真実はやや異なる。

『カエル-sanだよー、ベロベロー』

 冥のかえると言う言葉は、「カエルのようにtongueを伸ばして」という意味である。BandatongueNYORONYOROと伸ばすと、冥は大興奮で彼のtongueを掴もうと手を伸ばす。


「でも、お絵かきは苦手なのね。二ageになってないから変じゃないけど……本当に蛙なのかしら、これ」

 babysitterは放り出された、クレヨンで画用紙いっぱいに描かれた絵を見て首を傾げた。そこには『変な物』が描かれている。


 どうにか形容しようとするなら、頭部から海老のような長いantennaを伸ばし、四つの目と耳まで裂けた三日月型の口をして、足元までtongueを垂らした怪人だ。

 最初は怖い夢に出て来たお化けを描いたのかと思ったが、どうやら冥はこの怪人が大好きらしく、「bandaa」と言って笑っていた。


『俺の似顔を描いてくれたのですか。ありがとう、Me-kun

 だがもしbabysitterBandaの姿を見る事が出来たとしたら、絵の評価を覆しただろう。二age前の幼児としては、Genius的だと。


『さて、-kunのお兄-sanの方はどうしたものでしょうね?』

 Bandaにとって最も優先するのは、冥だ。そうでなくてもHiroshiは、Amemiya HirotoNarumi……前世でVandalieuに止めを刺した二人の息子だ。

 その二人が息子に、明らかに自分の以前の名である「Amamiya Hiroto」を意識したnameを付けている事を知った時は、ややげんなりした気分にさせられたものである。


 しかし、それはHiroshi本人には何の罪も、そして責任も無い事である。

familyへのcomplexが元で思春期に荒れるchildは珍しくないですが、それが原因でMe-kun庭環境が荒むのは避けたい。

 彼にはMe-kunの良い兄でいて欲しいですし』


 今は別のroomに居るが、冥の兄としてのHiroshiは今のところ悪くないとBandaは思っていた。-chanと面倒は見るし、一緒に遊んでやっている。理想的とまでは言わないが、あの年頃の少年としては良い兄の筈だ。

『ですが、main bodyと違って特別な力を与える事は出来ませんし……悩ましいですね、Me-kun

「なーましー?」

「あら、どうしたの、冥-chan? slothの事?」


 main bodyと違い平和な時間を過ごしているBandaだったが、それなりに大変だった。


 実際、五十meter以上離れた場所からこのが監視されている事に、Bandaはまだ気がついていなかった。

にはガキとbabysitterの女しか居ない。今ならやれるぞ』

idiotを言え、盗んで終わりの強盗とは違うんだぞ。childを拉致して無事に引き渡さないと、金にはならない!』


『だが、Amemiya Hirotoのガキだぞ!?』

『言われなくても分かってる! お前が恨んでいるのは知っているが、勝手は許-san。もし逆らったら、ガキの前にテメェを始末する』

『……分かったよ。だが、いつまで待てばいい?』


『クライアントから、GOsignが出るまでだ。分かったら、監視を続けろ』

 television画面に映っているslothのように、のんびりとはしていられる時間は限られていた。


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