Mashは孤児院の裏庭で、何人もいるbloodの繋がらない弟Imoutoの一人、Marciaが捕まえたmouseの芸を見ていた。
「Oswald、お座り! 伏せっ!」
Marciaの手に乗っている極普通のmouseは、彼女の指示に従って動いて……いない。単に、じっとしているだけである。
「よく出来ました。は~い、ご褒美よ」
しかし彼女がご褒美のPunkズを差し出すと、素早く後ろ足で立ち上がり、両前足で受け取ってガツガツと食べ始める。
「Marcia、このmouseただ食い意地が張ってるだけだ。お前、絶対Tamerしてないぞ」
その-sama子を見たMashが呆れながらそう言うと、Marciaは頬を膨らませて言い返した。
「そんな事無いもんっ、OswaldはMash兄-chanのBatよりも懐いてるもん!」
「お、俺のNightwingだって懐いてるぞっ! 俺が持ち上げても絶対逃げないからな!」
「まだ赤-chanで逃げられないだけだもん! 大きくなったら逃げちゃうもんっ!」
「そ、そんな事ないやいっ、今日も俺の手から餌を食べたんだからな!」
どうやらMarciaのmouseはOswaldといい、MashはNightwingと言うBatのchildを飼っているらしい。
何故Mash達が動物をTamerしようとしているのかというと、今孤児院のchild達の間ではTamerブームが到来しているからである。
ブームのきっかけは、Vandalieuが孤児院に寄付する際に、FangやMaroll、UrumiにSurugaといったmonstersを連れて来たためだ。
そのためchild達は生き物の少ない冬にもかかわらず、飼えそうな小動物を探してはTamerしようと試みているのである。
Marciaのようにmouseを捕まえたり、Mashのように屋根裏で育児放棄されていたBatのchildを保護したり……恐らく、春になったら冬眠から覚めたカエルやヘビをTamerしようと試みるchildも出る事だろう。
これも自分だけでは無く、小動物にエサを与えられる余裕があるほど食糧事情が改善したお蔭だ。
尚、ブームの原因となったVandalieuは、-chanとこの事態に対応している。Mash達に、「動物を捕まえたら-chanと自分に見せるように」と指示を出していた。mouseやBatからdiseaseが移らないように、【Sterilization】や【Disinfect】、【Bug Killer】のmagicをかけるためである。
「こら、喧嘩しちゃダメでしょう」
二人の口喧嘩に気がついたNunのCelisが裏庭にやってくる。
「Celisお姉-chan、だってMash兄-chanが~っ!」
「Marciaが、俺がNightwingをTamerしてないって!」
「Marcia、大声を出したらOswaldが困っちゃうじゃない。Mashも、あのBatはまだchildなんだから大人になるまで焦らず育ててあげなさい。……もうちょっと普通のnameをつけた方が良いと思うけど」
そう二人を仲裁し、Celisは顔を上げた。
「分かったら中に入りなさい。風邪をひいて――え?」
そのCelisが見ている前で、孤児院の壁を軽々と乗り越えて覆面を被った者達が中庭に降り立ったのだ。
「大人しく縛に――あれ?」
覆面を被った者達、つまりSpy達は、こちらを見て固まっているCelisや、MarciaやMashの姿を……と言うか、彼女達の姿しかない事を見てとって、思わず硬直した。
彼らが確保するはずのAggar達は、一体どこに行ったのかと。
「きゃあああああああ!? 人攫い!? 強盗!?」
だがCelisがscreechをあげた事で、我に返って気がついた。今自分達の手には、Aggar達を確保するためのWeapon Equipmentや縄が握られており、彼女達からは人攫いや強盗にしか見えない事を。
「こ、child達には手を出さないでっ!」
「引くぞっ! 撤退だ!」
「きゃあああああ!?」
「ちくしょう! これでもくらえー!」
「どうしたっ!? 何があったの!?」
MarciaのscreechやMashが投げた小石に追われながら、Spy達は大慌てで逃げ出した。screechを聞いて駆けつけたBestraに見られる前に、再び塀を飛び越える事に成功したが、内心は激しく動揺したままだった。
一体Aggar達は何処に消えたのか。
(中庭には雪が積もっていた。なのに、その雪にAggar達の足跡が残っていなかった……奴等は何処に消えたんだ!? 空でも飛んだか、霞のように消えたとでも言うつもりか!?
だが……この失態、どう領主-samaに報告したものか)
扉から孤児院の中庭に入ったAggar達は、まず少年とShoujoを捕まえようと二人の背後からstealth寄った。背後から布袋を被せて、袋の上から口を塞ぎ、そのまま荷物のように運び出すつもりだった。
「……よく越えて来てくれた」
だがすっと銀髪を伸ばしたElfのShoujoが立ち上がり、平坦な口調でそう言いながら彼らに向き直った。
「やっぱりElfか。いつの間にElfの孤児なんて……いや、Elfは十ageから成長が遅くなるから、もしかしてNunの一人か?」
この孤児院は民営で、しかも Slumに存在している。Guardで、しかも職務熱心とは言い難い彼らがSlumの見回りを念入りにする訳が無く、そこに在る孤児院の孤児やNunのraceやnameを知っている訳はなかった。
「バカ、構うな! こいつが孤児だろうが、Nunだろうが、さっさと攫うんだよっ」
予定に無かったElfの姿を見た事で動揺した仲間を、Aggarが意外な器用さを発揮して小声で怒鳴る。それもそうだと、仲間達も再び動き出した。
気がつかれてしまったので、懐からknifeを出して脅しながら二人を捕まえようとする。
「大声を出すんじゃねぇぞ、騒いだら、このknifeでぶすっと刺してやるからな。おらガキ、さっさと立てっ!」
そして背を向けたまましゃがみこんでいる少年の肩を強引に掴んで立ち上がらせようとする。だが、繰り返し繕った跡が目立つ古着に包まれた小さな肩に男の指が音も無く飲み込まれた。
「えっ……?」
『ブグルルルル』
「う、うわぁぁぁっ!?」
十age少々の少年だとAggar達が思っていたはずのそれは、どろりと赤黒い液体に変化すると男をそのまま取り込み始めた。
「な、何だこいつっ!? た、助けてくれぇぇぇっ!?」
「す、Slimeだっ、Mimicry SlimeがガキにCamouflageしていたんだ! 早く助けないと溶かされて喰われちまうぞ!」
『ブグルルルルル!』
少年にCamouflageしていたSatan Blood Mimicry SlimeのKühlは、不機嫌さを隠さずに唸り声をあげた。
誰がお前達の臭いbloodや肉を喰うものか、自分はグルメなのだと。
それにKühlが男達を取り込もうとしているのはeating preyでは無く、拘束の為である。
「こいつっ、クソっ、槍を持ってきておけばよかったぜ!」
「うぐっ、むごおおおお!」
「早く核を探せっ! 食われる前に窒息するぞ!」
knifeで繰り返しKühlを刺す男達だが、Rank2のただのSlimeならin any case、KühlはRank11のSatan Blood Mimicry Slimeである。平均的なGuardの力量しかないAggar達が小さなknifeで幾ら刺しても、たとえ核を狙われても痛くも痒くもない。
「クソっ、おい、そのSlimeはお前がTamerしてるんだろ!? やめさせろ! でないと――」
Aggarは自力でKühlから仲間を救出する事を諦めると、Shoujoに向き直ってknifeをthrustつけた。
「そうか、お前は私に挑戦するのか。……いいだろう。無謀とも、蛮勇とも、今更罵りはしない」
ElfのShoujoの姿を模した寄り代に宿るEvil God (M)、GufadgarnはAggarを無機質な瞳で見つめた。
「何を言って……ひっ!?」
AggarがknifeをthrustつけたGufadgarnの鼻先。そこに線が現れた。その線はGufadgarnの額から、股間まで真っ直ぐ走っている。
そして何かが軋む音を立てながら、Gufadgarnが開いた。
「ひあああああああっ!?」
まるでそういう形の扉のように、Gufadgarnのbody partが縦に開いたのである。そして彼女の断面から見える闇から、Giantな蟲のArthropod Legsがcountlessに伸びてきて、Aggarを取り込もうとする。
「何故なら貴-samaは愚か者だからだ。偉大なる存在の寛大な意思によって見逃されていた事に気がつきもしない、愚かな生物に言葉を理解する事は不可能だろう」
「や、止めてくれっ! 助けてっ、嫌だっ、頼むぅぅぅぅ!」
正体不明のArthropod Legsに捕まれて引きずり込まれながら、Aggarが混乱しながら必死に懇願した。
「決断は、あの扉を潜る前に……超えてはいけない一線を超える前にするべきだった」
「ああああああああああっ!? だずげでぇえええええええ――」
しかし、Gufadgarnはそう告げるとAggarを完全に体内に飲み込み、そのまま元通りbody partを閉じてしまった。濁ったscreechが、spaceが断絶された事によって途切れる。
「あ、Aggarっ!? Aggarが喰われちまった!」
「逃げろっ、逃げるんだぁっ!」
残った二人の仲間はKühlに囚われた仲間の救出を諦め、孤児院から我先に逃げ出そうとする。
しかし、振り返ってみれば彼らが入ってきたはずの扉は消えていた。
「そんなっ!? 一体なんで……!?」
Aggarとその仲間達は気がついていなかった。Aggarが合鍵で開けてしまった扉は、『Evil God of Labyrinths』Gufadgarnの力によって彼女が支配する迷宮に繋がっていたということに。
彼らは自分から処刑場に入り込んでしまったのだ。
『坊や達、女が欲しいのかぃ? だったら、あたしをお食らいよぉぉ』
「それとも、childが欲しいの? なら、うちの娘達とおままごとで遊んで頂戴な」
「ひっ!? ごげぇっ!?」
背後から振るわれた鋼鉄のように硬いFruitに殴られ、残り一人。
「ぎゃっ、ぎゃああああああああ!」
女と蜂の特徴が混じったmonstersに囲まれた男は、生きたままCookingされて、全滅。
『ぶぐる?』
「……Lucilianoからの注文は、『新しい実験体』が三人。Kühlが捕えたのが二人……chinのboneが砕けていても問題無いだろうか?」
「これぐらいなら治せるよぅ」
そして孤児院の裏庭に見える何処かは、静かになったのだった。
その頃Tamer guild Moksi branchのGuild MasterであるBachemの姿は、Alcrem Dukeのmansionの応接間にあった。
昨日、現Alcrem DukeであるTakkardから「話を聞きたい」と召喚状で呼び出された彼は、Tamed MonsterであるHuge Wyvernに乗って、ここまで来たのである。
「どうやら、そのVandalieuと言う少年とその母親と名乗るDark Elfは随分変わっていて、何より優秀なようだな。だが、何か事情を抱えているか、思惑を持って行動しているようだな」
そしてやや弛んだ顔つきの壮年の域に近づきつつある男、Takkardが聞きたがったのは、certainly Moksiの町に現れたElective Kingdomで二人目のDhampir、Vandalieuについてである。
BachemはTakkardから尋ねられた質問に、答えられる事は全て答えた。尤も、Tamer guildの規則で守られているVandalieuの情報は殆ど無い為、知っている事はほぼ全て話す事になったのだが。
しかし、BachemはSpyではないし、Vandalieuについて調査を行っていた訳でもない。
「Duke -sama、今私が話したのは町の者なら殆ど知っている事ばかりです。彼がTamerしているmonstersにしても、都のTamerかAdventurer’s Guildの者から、同じ話が聞けたと思いますが」
そう、Bachemが話したのは町の者なら知っていてもおかしくない程度の情報と、彼が町を出た時点でVandalieuがTamerしていたBlack Dogとマーダーラットに関する情報だけだ。
Spyなら一日とかからず調査する事が出来る程度の、Vandalieuが抱えている事情や思惑をconjectureするには至らない事ばかり。
態々、Duke 家に仕えている訳ではないBachemを呼びつける理由にはならないはずだ。
「うむ、強引に呼び出してすまなかったな。別に儂もお主がDhampirの少年……Vandalieu Zakkartの胸の内を知っているとか、探り当てる事が出来るとか、筋違いの期待をした訳ではないのだ」
BachemにはVandalieuが犯罪を企てていない限り、Duke 家へ情報を報告する義務はない。
彼が商業guildから嫌がらせを受けながらも、それをものともせずにFood Stallを営業している事。既に一人前のTamerに相応しい技量を持っている事。GoblinやKoboldの肉を使って裏路地のFood Stallを傘下に収めた事。そして彼の母親がVidaのFamiliar SpiritをAdventさせた事。
全てBachemがTakkard・Alcremに報告する事ではない。それはMoksiの町の領主であるEarlの仕事であり、Duke 家に仕える諜報organizationの仕事だからだ。
「だが、あの少年の人となりを聞けそうなのは-kunぐらいでな。どう言う訳かAdventurer’s Guildに登録しようとせんし、Moksi Earlは一度使者を寄越しただけ。商業guildに至っては……。
まさか孤児院のNunやGuardの新人を呼びつける訳には行くまい。それでBachemよ、その少年はどのような人柄をしていると思う?」
「そう言う事でしたか……しかし、私は彼を見込んでいますが、彼が私をどう思っているかは分かりません。なので確かとは言えないのですが。話した限りでは、大人のような少年だと感じました。見た目のageの割に落ち着いていて、reason的だと思います」
「ほぅ。他には何か気がついた点はあるかね?」
促されたBachemはMemoryを探るが、特別な情報は思い当たらなかった。
「無表情で口調も平坦ですが、実際にはemotionsが無い訳でも抑えている訳でも無く、単に顔と声に出ない性質なのでしょう。
それに、優しい性格だと思います。少なくとも、短気ではありません」
優しくなければ野良犬をTamerしたり、孤児院に寄付を……売名行為ではなく実際に足を運んで孤児と交流したりしようとはしないだろう。
そしてTamerは短気だったら務まらない職業だ。あれほどTamed Monsterを懐かせるには、相性もそうだが根気も必要だっただろう。そうBachemは考えていた。
「なるほど。やはり、実際に会って話した者の意見は貴重だな。貴重な意見に感謝するぞ、Bachem」
それに対してTakkardは深く頷いた。彼はBachemについてよく知っており、その眼力は信用に値すると判断していた。
……Moksi Earlからの報告が、微妙だったと言う理由もあるが。
(報告書には、常に仮面のような無表情で虚ろな瞳をしており、Humanらしい意思を感じられない。母親の操り人形ではないかとあったが、少なくとも人形ではないようだ。
残る問題はVidaのFamiliar SpiritをAdventさせた母親の方だが……)
「では、母親の方はどうかね?」
「母親の方とは、直接話した事はありません。彼女はTamerでは無いので……共同templeで講演は聞きましたが、それだけです。ですが、悪い reputationは聞きませんな」
「ふむ……品行方正とは言い難い男と交際していると聞いているが?」
Familiar SpiritをAdventさせてから、一部ではSaintessのように扱われるようになったDarciaだが、その前は『Hungry Wolf』のMichaelの女だと言う噂があった。その事を言っているのだろうと解釈したBachemは、首を横に振った。
「『Hungry Wolf』のMichaelの事なら知っていますが、一方的に言い寄られているだけのようです。Food Stallの場所が歓楽街ですから、目をつけられるのも無理はないでしょう。
それに、Michaelと言う男も噂程悪い人物とは思えません。……私がguildのMoksi branchを任されるようになってから、今のところ最もマシな歓楽街の顔役ですよ」
それがBachemの見解だった。Takkardもそれを強く否定するつもりはないのか、「そうか」と深くnod。
「そもそもFamiliar SpiritをAdventさせる事が出来るのだから、善性の人物であるのは疑いないな。Alda過激派やBellwood fanaticはVidaを邪悪と罵って憚らないが……そうであるならAldaがrevivalを許す筈もない」
Takkardが言うように、Vidaのrevivalは「AldaがVidaの罪を許したため」と解釈されている。
真実とは大きく異なっているが、AldaをGodsの長と信じる者達からすれば、AldaのDivine AuthorityがAlda以外によって解かれる事はあり得ない事なのだろう。
(もしJulianaが無事だったなら、良い橋渡しになったかもしれんが……いや、考えまい)
自身の依頼によって、Randolphに『救われて』いるはずの末のImoutoの事をTakkardは思い出した。
Julianaは昔からGoddessを幅広く、その中でも特に熱心にVidaを信仰していたらしい。らしいと言うのは、Takkardは彼女個人の事を深くは知らないからだ。
Takkardの父、先代Alcrem Dukeが十年前突然「お前の腹違いのImoutoだ」と彼に引き合わせたのが、Julianaだった。そして、彼と家臣一同の反対を押し切って認知しAlcremの姓を与え、Duke 家の一員にしてしまった。
流石にDuke 家の継承権はJuliana本人に放棄させたが、それでも大騒ぎになった。連れてきた父は数か月後にはポックリ逝ってしまうし、Julianaは市井で暮らしていたのでNobleとしての教養は無い。彼女を利用してDuke 家に縁を結ぼうとするのはマシな方で、Trapに嵌めてDuke 家の力を削ごうとする者達を退ける等、乗り切るのは大変苦労した。
どうにかNobleの令嬢としての体裁を整えたが、生まれの微妙さから簡単に嫁に出す訳にもいかない。それで本人の希望もあってKnightとして採用したが、そこでPrincess Knightと称えられるほど活躍してしまった。しかも彼女が主に信仰していたのは、『Goddess of Life and Love』Vidaである。
そのせいでまた彼女を使って政治的な問題を起こし、Alcrem Duke 家の力を落とそうと考える者達が現れてしまった。
故に、TakkardはMinotaur Kingの群れに囚われた彼女を無理に助けようとはしなかった。Randolphは何故Duke 家の権力と財力を使って彼女を助けようとしないのか疑問に思っただろうが、この国にDuke 家はAlcrem以外に十一もあり、更にCenterにもDukeよりも厄介な連中が存在している。
そういった者達は、Takkardが彼女を意図的にTrapに嵌めたと主張して、Minotaur Kingに囚われた悲劇の姫として担ぎ出し、利用し……その後捨てる可能性は高い。
特に、CenterのDolmad Marshallはこうした陰謀を得意としている事をTakkardは知っていた。
(少し前まで若いSauron Dukeを傀儡にしようとしていたらしいが、肝心のSauron Dukeの治世が上手くいっていない-sama子。次期Prime Ministerを狙う奴としては、我がAlcrem Duke 家の弱みを握っておきたいはずだ)
何も知らない操り人形にJulianaを担ぎ出させて、Duke 家の威信に傷をつけた後、親切面をしたDolmadが出てきて操り人形ごとJulianaに何らかの対処をして、事態を収拾する。酷いマッチポンプだが、奴ならそれぐらいしかねないとTakkardは確信していた。
それに保守派のTelkatanis Prime Minister -donoもVidaがrevived impactで、民衆の支持がAldaでは無くVidaに傾くのではないかと気にしているようだった。
政治と宗教は表向き別々のものだが、歴史上Vida信仰を掲げながら実際にはただの反乱分子の集団だったorganizationは幾つもある。
数年前にも『Five-colored blades』にLamiaが創り上げたorganizationが壊滅されている。Prime Ministerが民の急激な信仰の変化を危惧するのも無理はない。
JulianaはVidaだけを信仰していた訳ではないが……そうしたorganizationのsymbolに利用されないとも限らない。
(Nobleの陰謀や反乱分子に利用されて辱められるよりは、いっそ楽に……いや、全ては我がDuke 家のHonoraryと政の為。これもNobleの家に生まれた……家の一員にされた者の宿命だ。許せ、Juliana……ん?)
そこまで考えたTakkardは、ふと視線を感じて、Bachemの背後に視線を向けた。
「どうかしましたか、Duke -sama?」
怪訝そうな顔をして尋ねるBachemの背後には、誰もいない。人はcertainly、生き物が隠れられそうな物陰も無く、タペストリーがかけられた壁があるだけだ。
「いや、お主の背後から視線を感じたのだが……気のせいであろうな」
そう言われたBachemは、冗談めかして言った。
「そう言えば、噂で聞いたのですがDuke -samaは幼少の頃、Duke 家お抱えのSpiritualistから『素質がある』と言われた事があるとか。
まさか、霊が見えたのではありませんか?」
「ハハハハ、冗談を言うな。確かに昔は霊が見えた事もあるが、今ではsignも感じんよ」
そう笑いながらも、内心では「まさかJulianaか?」と思ってしまったTakkardは、それを忘れる為にやや冷めた紅茶を口に含んだ。
だが忘れるまでも無く、その日のうちにその思いは間違いだとTakkardは知る事になった。
Isaac Moksi Earlから伝書鳩によってもたらされた報告に、VandalieuがJulianaらしいfemaleを保護していると書かれていた事で。
尤も、それは彼にとっては吉報とは言い難かったが。
「悪いね、Masterは今日不在なのよ」
Tamer guildに立ち寄ったVandalieuは、そう受付のfemale……共同templeに来ていたBachemの奥-sanに言われた。
「はい、町の門で出かけていると聞きました。ですが今日はTamerしたmonstersを見て欲しいのではなく、新しい首輪を買うのと、Job changeをするために来たので……」
「新しい首輪? もしかしてまたRank upしたの? 凄いわね、うちの旦那が百年に一人のGeniusだって言うだけはあるわ。
それでどんな首輪が欲しいの?」
聞かれるままにFangやMaroll達の特徴を説明する。するとMaroll達はやはり新種だったらしく、とても驚かれ報奨金がguildから出る事になった。
新種のmonstersを発見し、それを生け捕りにするか、存在を証明できる部位を持ち帰るなどして報告した場合報奨金が出るのは、Adventurer’s Guildだけでは無かったらしい。
「報奨金はTamer、adventurer、Mageの三guild共同で出すから、この後Adventurer’s GuildやMage guildに報告しても報奨金は貰えないから注意してね」
新種のmonstersはTamerやAdventurer’s Guildはcertainly、Mage guildにとっても新しい研究対象になりうるので重要情報らしい。
「しかし一度に三種類も……もしかして旦那が言っている以上の逸材かもしれないね。-kun、Tamer guildに就職するつもりない?」
「すみません、今は他にやりたい事があるので」
「そうか~。見ての通り、Tamer guildは何時も人手不足でね。短期でもいいから、その気になったら頼むよ。商業guildなんかより、よっぽど厚遇するからね」
通常の家畜を扱う準組合員までならともかく、monstersを扱う正規の組合員はAdventurer’s Guildの組合員の数と比べると少なくなる。
そのため有望なTamerは常に必要とされているのである。
「うちの人もWyvernを卵から育てて、若い頃は『Flying Dragon User』なんて呼ばれて有名だったんだよ。数年前に品種改良で生まれるようになったLesser Wyvernじゃなくてね、本物の野生のWyvernだからね。しかも Rank upまでさせたし。
今でもDuke 家からお呼びがかかるぐらいだしね」
「……それは俺に話して良いんですか?」
「良いんだよ、どうせLesser Wyvernも躾けられないヒヨッコ竜Knightの教練をしてくれないかって打診されているだけだろうからね。去年も一昨年も、その前の年も同じ理由で呼ばれたんだよ?」
Lesser Wyvernと言うのは、本来竜種で最も下等なはずのRank5のWyvernを小型化したRank4のmonstersらしい。Wyvernと比べて人に懐きやすいため、現在の竜KnightはまずLesser Wyvernを躾けて、乗りこなすそうだ。
そしてRank upさせれば普通のWyvernになるので、直接Wyvernを飼いならすよりは時間はかかるがより高い確率でTamerできるらしい。
……因みに、FangやMaroll達もRank4である。
「っと、話し込んで悪いね。報奨金と首輪を用意しておくから、その間にJob changeしておいで」
そして、そう奥-sanに言われてVandalieuはJob change roomに向かった。
「……奥-sanにもBachem -san同-sama、Golemや霊を付けておくべきかな」
もしかしたら、自分の知人友人をBirkyneやMurakami達が狙うかもしれない。その危険性を考えて、Vandalieuは彼らが使う小物をGolem Transformationしたり、彼らの背後に霊を憑けておいたりしていた。
常に見張っている訳では無く、危険が及びそうな時に気がつく事が出来るように。……まあ、気休めよりややマシな程度の手だが、打たないよりはずっと安心できる。
「それはともかく、Job changeを……」
気分を切り替えて、Tamer guildのやや小さなJob change roomの水晶に触れる。
《選択可能Job 【Whip Tongue Calamity】 【Vengeful Berserker】 【Dead Spirit Mage】 【Hell King Mage】 【Divine Enemy】 【Fallen Musha】 【Insect Nin】 【Destruction Guider】 【Dungeon Master】 【Demon King】 【Chaos Guider】 【Hollow King Mage】 【Eclipse Cursecaster】 【String User】 【Demon Ruler】 【Creator】 【Demiurge】 【Pale Rider】 【Tartarus】 【Aramitama】 【Hell Battery Cannoneer】 【Magic Wand Creator】 【Soul Fighter】 【God Destroyer】 【Dream Guider】 【Qliphoth】 【Hell Beast User】(NEW!) 【Spirit Tuner】(NEW!) 【Artisan: Transformation Equipment】(NEW!)》
何時もの事だが更に新Jobが増えている。
「【Hell Beast User】はFang達のお蔭かな? 【Artisan: Transformation Equipment】はTransform杖を何本も作ったから。そして【Spirit Tuner】は……整体師の霊バージョンだったとしたら、SimonとNataniaの修行が捗るかもしれませんね」
そう考えると迷うが、夢で導いたりblessingsを与えたりする事が多いのでそれを少しでも意識して行えるようになった方が良いだろうと、初志貫徹する事を決める。
「【Dream Guider】を選択」
《【夢道Enticement】、【Guidance:夢道】skillを獲得しました!》
《【夢道Enticement】、【Guidance:夢道】skillが、【冥魔創夢道Enticement】、【Guidance:冥魔創夢道】にintegrationされました!》
《【冥魔創夢道Enticement】、【Guidance:冥魔創夢道】のlevelが上がりました!》
・Name: Vandalieu Zakkart
・Race: Dhampir(Mother: Goddess)
・Age: 11age
・Title: 【Ghoul Emperor】 【Eclipse Emperor】 【Guardian of the Cultivation Villages】 【Vida's Miko】 【Scaled Emperor】 【Tentacle Emperor】 【Champion】 【Demon King】 【Oni Emperor】 【Trial Conqueror】 【Transgressor】 【Black Blood Emperor】 【Dragon God Emperor】
・Job: Dream Guider
・Level: 0
・Job History: Death-Attribute Mage、Golem Transmuter、Undead Tamer、Soul Breaker、Venom Fist User、Insect User、Tree Caster、Demon Guider、Archenemy、Zombie Maker、Golem Creator、Corpse Demon Commander、Demon King User、Nether Guider、Labyrinth Creator、Creation Guider、Hell Healer、Disease Demon、Magic Cannoneer、Spirit Warrior、Fragment Bestower
・Ability Values
Vitality: 124,978 (25,757UP!)
Mana: 4,799,781,976+(3,359,847,383) (1,178,128,303UP!)
Strength: 15,508 (1,650UP!)
Agility :11,066 (1,417UP!)
Endurance :16,983 (2,576UP!)
Intelligence :23,527 (1,271UP!)
・Passive skills
Monstrous Strength:1Lv
Rapid Regeneration:8Lv
Hell King Magic:5Lv
Status Effect Immunity
Magic Resistance:9Lv
Dark Vision
冥魔創夢道Enticement:8Lv(UP!)
Chant Revocation:8Lv
Guidance:冥魔創夢道:8Lv(UP!)
Automatic Mana Recovery:10Lv
Strengthen Subordinates:10Lv
Deadly Venom Secretion:(Fangs, Claws, Tongue):1Lv
Enhanced Agility:7Lv
Body Expansion (Tongue):8Lv
Strengthened Attack Power while Unarmed: Large
Enhanced Body Part (Hair, Claws, Tongue, Fangs):9Lv
Thread Refining:7Lv
Mana Enlargement:7Lv(UP!)
Mana Recovery Rate Increase:8Lv(UP!)
Strengthened Attack Power while activating a Magic Cannon : Medium
Vitality Enlargement:10Lv(NEW&UP!)
Strengthened Attribute Values: Ruling:1Lv(NEW!)
・Active skills
Bloodwork:10Lv(UP!)
-Transcend Limits-:6Lv
Golem Creation:5Lv
Hollow King Magic:3Lv
Precise Mana Control:1Lv(Mana Control awakened into!)
Cooking:8Lv(UP!)
Alchemy:10Lv
Soul Breaking Arts:2Lv
Simultaneous Multi-cast:1Lv(Multi-Cast awakened into!)
Surgery:8Lv
Realization:2Lv(UP!)
Coordination:9Lv
Super High-speed Thought Processing:4Lv(UP!)
Commanding:9Lv
Thread-reeling:6Lv
Throwing Technique:8Lv
Scream:7Lv
Dead Spirit Magic:8Lv
Demon King Artillery Technique:2Lv
Armor Technique:7Lv
Shield Technique:7Lv
Group Binding Technique:5Lv
Surpass Limits: Fragments:6Lv
・Unique skill
God Devourer:6Lv
Deformed Soul
Mind Encroachment:8Lv
Labyrinth Creation:3Lv
Demon King:4Lv(UP!)
Abyss:7Lv
Divine Enemy
Soul Devour:6Lv
Vida’s Divine Protection
Gods of Earth's Divine Protection
Group Thought Processing:5Lv(UP!)
Zantark’s Divine Protection
Group Manipulation:5Lv(UP!)
Soul Form:3Lv(UP!)
Demon King's Demon Eye
God of Origin’s Divine Protection
Ricklent’s Divine Protection
Zuruwarn’s Divine Protection
Perfect Recording
Surpass Limits Soul:1Lv
Mutagenesis(NEW!)
・Demon King Fragment
blood、角、suction cups、ink sacs、carapace、scent gland、Luminescent organs、blubber、chin、eyeball、proboscis、fur、exoskeleton、Arthropod Legs、antenna、claws、compound eyes、gills、auxiliary brain、bump、blood vessel、tongue、lung、fin、Venom glands、bone、skin、jewel、Magic Eye、nerve、stomach、epidermis、feather
・Curse
Experience gained in previous life not carried over
Cannot learn existing jobs
Unable to gain experience independently
「毎日kaa-sanのbloodを飲んでいるお蔭でlevelが上がった【Bloodwork】と獲得した【Vitality Enlargement】skillが、ついでにAwakeningするかもしれないと思ったけれど、そう上手くはいかないか。
それと、Ability Valuesが全て一万を超えましたね」
Statusを確認したVandalieuは、そう呟くとJob change roomを後にしたのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
・Name: Gufadgarn
・Rank: 13
・Race: One Closest to an Evil God
・Level: 78
・Title: 【Evil God of Labyrinths】 【Vandalieu's Closest Evil God】 【Vandalieu Believer】 【Champion Lunatic】 【One who Imposes Trials】
・Passive skills
Special Five Senses
Camouflage:ElfのShoujo
Rapid Regeneration:10Lv
All-Attribute Resistance:10Lv
Strengthened Attribute Values: Vandalieu:10Lv
Strengthened Attribute Values: Guidance:5Lv
Mana Enlargement:5Lv
・Active skills
Super Precise Control of Dimensional Magic:10Lv
Dimensional Magic:5Lv
Trap:10Lv
Silent Steps:10Lv
Coordination:10Lv
Commanding:1Lv
・Unique skill
Grotesque Mind:10Lv
Evil God of Labyrinths:10Lv
『Evil God of Labyrinths』Gufadgarnの寄り代。彼女の意思と、力の一部が宿っている。神である彼女の経験をskill化したもので、偏りが激しい。
appearanceは完璧にElfのShoujoであり、見た目や体臭、signからその正体を見破る事は至難の業だが……その体内はDungeonと化しており、そこに神になる前の姿を模した寄り代のmain bodyが隠れている。
・Name: Kühl
・Rank: 11
・Race: Satan Blood Mimicry Slime
・Level: 67
・Title: 【Fake-Vandalieu】(NEW!)
・Passive skills
Blunt Damage Nullification
Hunger Resistance:3Lv
Predator's Super Restoration:1Lv(Predator’s Restoration awakened into!)
Body Form Precise Manipulation:3Lv(Body Form Manipulation awakened into!)
Karmic Venom Secretion:1Lv(Venom Secretion awakened into!)
Magic Resistance:7Lv(UP!)
Mysterious Strength:10Lv(UP!)
Physical Resistance:5Lv(UP!)
Self-Enhancement: Guidance:5Lv(UP!)
Strengthened Attribute Values: Camouflage:2Lv(NEW!)
・Active skills
Silent Steps:7Lv
Bloodwork:8Lv(UP!)
-Surpass Limits-:10Lv(UP!)
Grow:6Lv
Unarmed Fighting Technique:6Lv(UP!)
Coordination:5Lv(UP!)
Charge:3Lv
Parallel Thought Processing:6Lv(UP!)
Long-distance Control:6Lv(UP!)
Infest:4Lv
Camouflage:3Lv(NEW!)
・Unique skill
Vandalieu’s Divine Protection
Satan Blood Mimicry SlimeにRank upしたKühl。触れられなければバレない程、高いCamouflage化Abilityを持つにいたった。
ただ最も得意なCamouflageはVandalieuらしい。
○Job解説:Fragment Bestower
導いた対象に自らの一部(Body、Spirit Form問わず)を他者に与え、変異を誘発させるJob。既にJob(職業)と呼んでいいのか不明だが、Status上にはJobとして表示される以上Jobである。
このJobの変異はHumanからVida's New Racesへの変異等、親であるGoddess Vidaを含めたこのworldのGodsのimpactを受けていない変異を指す。
Demon KingやEvil God (M) Evil God (P)の力に近い。
そのため、このJobに就く事が出来るのはVandalieuのみだろう。