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Chapter 212: 侵食される Moksi

 複数のmonstersbloodの匂いに彼らは惹かれ、集まってしまった。

 Horn RabbitGoblin、フォレストWolfSlime、暴食羊、Impaler Ox、そしてOrc

 raceも強さもバラバラなmonstersbloodが一か所から漂ってくる原因。それはadventurerだとしか考えられない。


 Devil Nestsに狩りに来たadventurerが、monstersの死体を荷車か馬車にでも乗せたまま休憩しているのだ。

 それを理解した彼らは、早速adventurerを襲撃する事にした。Orcbloodの匂いがするからadventurer達は腕利きだ。しかし、疲れて休憩している奴らの不意を突けば勝てると彼らのleaderは考えた。


 そして見たのはmonstersほど積まれた荷車と、それに隠れるようにして座り込んでいる白髪のchildが一匹。

 彼らは自分達が想像以上のFortuneに遭遇したのだと思い込み、荷車に向かって殺到しようとした。


「ギャウウウン!?」

「ギャワン! ギャワン!」

 そうして襲い掛かった彼ら……Kobold達は、陽炎のようなオーラを纏った一頭の大型犬に蹴散らされていた。


 Kobold達は容易く弾き飛ばされ、Kobold SoldierWeapon Equipmentは掠りもしない。逆に、大型犬が纏う陽炎がKobold達の視界を歪め、素早く駆け回り強力なfangsと爪でKoboldの命を奪って行く。

「ワウゥゥゥン!」

 このままでは全滅だと、Commandingを執るKobold Generalが群れに密集陣形を取るよう号令をかけた。


 お互いを守り合いBlind Spotを無くせば、対抗できると咄嗟に判断したためだ。その命令を下したGeneralも、Commandingに従う事が出来るKobold達も、流石はmonstersの中でもCoordinationが得意なraceだと言える。

 少なくとも、下手なmountain bandit団以上の団結力である。


「ヴォウ!」

 しかし大型犬は密集したKobold達のbody partを足場にして一気に上がり、Generalに襲い掛かったのだ。

「ワウ!? ギャオォォォン!」

 Kobold Generalは咄嗟に【Shield Technique】のMartial ArtsStone Wall】をActivateさせ、盾で大型犬の攻撃から身を守ろうとした。


 しかし Humanの死体から奪った盾は大型犬の攻撃を受け止めきれずに跳ね上げられ、二撃目でGeneralの喉笛は引き裂かれた。

「ウォォォォォォォォォォォン!」

 大型犬が勝利の咆哮をあげ、群れのleaderを殺されたKobold達の生き残りがscreechを上げて逃げ出し始める。


 それと入れ替わりに、DClass adventurer partyRock Iron Party』が現れた。

「こいつは、Black Dog! Rank3のmonstersだ! 危険な奴だぞっ!」

Black? 俺には灰色にしか見えないが……いや、ちょっと待て、Rock


「毛並みの問題じゃない! あの陽炎のような【Dark Aura】がBlack Dogの証しだ。あれで敵の目を惑わし、signを消してBlind Spotから攻撃して致命傷を与える……Rankは3だがそれ以上に恐ろしいmonstersだ。奴を死神の使いだと恐れるDClass adventurerは多い。

 一匹でも油断するなよ!」


「そうじゃなくて、あのBlack Dogに見覚えが無いか? 後、オーラで見えにくいが首輪をしているぞ、あいつ。

 それに……お前-sanも早めに説明してやってくれ。驚かせた俺達も悪いが」

「すみません、でも隠れているつもりはなかったのですが」

 Black Dog……Fangが守っていた荷車の近くに座り込んでいたVandalieuは、そう言って頭を下げた。




 今日もFanglevellingも兼ねて、明日必要になる分の肉を手に入れるために大量のmonstersを狩る予定だった。

 Fangmonstersを狩るのをCommandingしているだけのVandalieuにも、Experience Pointは入っている。しかし今の彼にはRank3や4のmonstersを倒した事で手に入るExperience Pointの一割程度では、levelを上げるのに必要な量にはまったく届かない。


 ただ【Fragment Bestower】になった事で、Luciliano達が新raceに変異する度にVandalieuExperience Pointが入るようになっていた。Fangを魔犬に変異させた時にもExperience Pointが入ったので、今の彼は既にそれなりのlevelに上がっている。


(【Fragment Bestower】って意外とExperience Pointを稼ぎやすいJobかも知れませんね。後、昨日EleonoraIslaが始末した『賞金稼ぎHunter』のAbelExperience Pointも結構多かったですし。……HumanHumanを殺した場合手に入るExperience Pointって、少な目になると聞いたのに、一割でも結構入って来たような感覚があったのは、気のせいに違いない)


 そうした事情の為、Vandalieulevellingは考えなくても良かった。

 ただ当初の予定では朝早くから昼過ぎまでずっと時間が使えるはずだったが、諸般の事情で予定が変わってしまった。MoksiVandalieuがこっそり配置している警戒網のEnhanced (1)をしなければならなくなったのだ。


 単に監視用のGolemUndeadを増やすだけなので、さほど手間はかからなかったが、数分で終わるほど簡単ではない。

 だから短い時間で大量のmonstersを誘きだす為に、Vandalieu達は狩ったmonstersblood抜きを一か所に留まったまま行う事にした。


 周囲に漂うmonstersbloodの匂いは、飢えたmonstersを集める。そうして集まって来たmonstersを、FangGuidanceimpactで上がったbody part Abilityを活かして、時にはEisenKühlなどの援護を受けてmonstersを狩り続けた。

 そして当然のようにRank upしたのだった。


Black Dogですか……Rock -san達から聞いたところ、珍しいmonstersみたいですよ」

「ウォン」

 嬉しそうなFangの頭を撫でるVandalieutailを振っている-sama子は、ただの大型犬にしか見えない。特に陽炎のようなオーラを抑えているので、尚更だ。


 Rockによると、あのオーラにはHumansense of fearを煽る効果があり、Black DogBodyだけでは無くMentalも攻撃してくる厄介なmonstersらしい。

「……monstersにとっては、俺程では無いみたいですが」

 Vandalieuは最近まで気が付かなかったが、そのFangよりも彼はmonstersにとってhorrorの対象であるらしい。


 Demon系のmonstersに恐れられているのは以前から自覚していたが、どうやら低いRankmonstersは総じてVandalieuを恐れているようだ。

 cowardな草食獣が肉食獣を避けるように、正気を失う程飢えていない限りweak monstersVandalieuに近寄ろうとはしない。


 そしてこのに最も近いDevil Nestsに出現するmonstersの殆どが、Vandalieuを恐れる「weakmonstersなのである。だから狩りの間、Vandalieuは荷車の近くでsignを消す事に徹していたのだ。もしmonstersが集まり過ぎたら、signを表すつもりだったが。

 ただ、そのせいでRock達が駆けつけた時に対応するまで時間がかかってしまったが。


「でも、少しやり過ぎましたね」

「ウォン……」

「お気になさらず、私にとっては喜ばしい事です」


 前もって大きな荷車を用意していたのだが、Fangが倒したmonstersの数が多く、肉や素材が乗りきらなくなってしまったのだ。

 そこでRock達と別れた後、Gufadgarnを呼んでspaceを繋いでもらい、荷車に乗りきらない分をに運ぶことにした。


 因みに、領主が放ったSpyDevil Nestsの中まではついて来ていない。恐らくVandalieuを見張る事よりも、自分がDevil Nestsmonstersに見つかり戦闘になる事で彼に気づかれる事を避ける為だろう。


しかしGoblinKoboldの肉は不要では? 耳を削ぎ落とした後捨て置けば良いと思いますが」

 ただGufadgarnが運んだ物の大半は串焼きに使うどころか、本来食用に適さないmonstersの肉などだった。それこそ今日の食事にすら事欠くSlumslumsの住人でなければ、見向きもしない。


「それにあの孤児院に寄付するのなら、もっと上質な食料を差し入れた方が良いのでは?」

 臭くて硬いGoblin肉や、それより若干マシ程度のKobold肉でも、毒がある訳ではない。肉は肉だから飲まず食わずよりは良いだろう。特にNunたちが食事を切り詰めてもchild達に満足な量の食事を用意できなかった、あの孤児院ならそんな肉でも喜んで受け取っただろう。


「いや、そのつもりはありません。寄付用は別にあります。これは、Gobu-gobuや蒸し焼きに使うかもしれないと思いまして。

 最近近くで営業しているFood Stallの店主たちが俺達を視る目がきついですし、もしかしたらchanceかもしれません」


「……他のFood Stallから向けられる視線が、何故Gobu-gobuchanceに結びつくのか私は理解しかねますが、全ては我が主、Vandalieuの御心のままに。

 ですが一つ宜しいでしょうか?」


「何でしょう?」

「今日のように狩りを続けるのでしたら、荷車もそうですが、参加する者の数をもっと増やすべきかと」

「キャウンキャウンキャウン~っ」


 Gufadgarnの提案に、Fangが切なそうな声をあげて抗議する。自分だけでは不十分だと言われたと解釈したのだろう。言葉にするなら、「そりゃ無いよ、姉御」と言ったところだろうが。

 しかし彼女にそのつもりはなかったようだ。


Fang、我が同胞よ。お前の力に不足があるから言ったのではない。Human達が傍から見た場合、不審に思うのではないかと案じたのだ」

 今日狩りに参加したのは、VandalieuFangだけという事になっている。少なくとも、Rock達『Rock Iron Party』との門を守るGuard達はそう考えている。


 更に彼らは、Vandalieuは戦闘をほぼFangに任せる体制で狩りをしていると思っている。Vandalieumagicや武術で戦闘に加わっているとは想像もしていないだろう。

 それで今日のこの戦果である。Fangだけでこれ程の、同格や格上のmonstersまで複数倒している事に彼らも感心するだろうが、同時に不安に思うのではないか。


 そう説明するGufadgarnに、VandalieuFangは「なるほど」「ワン」と頷いた。

「傍から見ると、俺が調子に乗って危険な狩りを行っているように見えると。確かに、戦闘を担当しているのがFangだけでは、Rank3のBlack Dogになっても不安が残りますね」


 monstersは常に一定の数以下が、順番にFangに向かって現れるとは限らない。寧ろ、一度に別々のmonstersgroupが出現し、Fangが他のmonstersの相手をしている間に無防備(に見える)なVandalieuに向かって襲い掛かる。

 そんな最悪の事態をRockKestは想像するのではないか。そしてKestはただの新米Guardなので想像しても心配されての出入りの際に注意が増えるぐらいで済むかもしれないが。Rock達は同じDevil Nestsで活動しているadventurerである。


 「今日は一緒に狩りをしよう」と付いて来ようとするかもしれない。気持ちはありがたいが……それは都合が悪い


「確かに……しかし kaa-sanは講演がありますし……きっと今後もちょくちょく頼まれる事になるだろうから、いつも一緒に狩りをするわけにはいかない」

 今日は共同templeで明日行われる講演の準備で忙しいDarciaは、一度だけのつもりだろう。しかし Vandalieuは今後も講演を頼まれる事になると確信していた。何故なら、彼はマザコンであるためDarciaの魅力を高く見積もっているからである。


「ウォンっ、ウォンウォンっ!」

RitaSalireですか? 二人は……まだUndeadTamerしたと言って通じるか分かりませんからね。

 でもEleonora達は犯罪organizationから動かせない、Milesから用心棒をintroductionしてもらったりAdventurer’s Guildで募集したりするのは、結局Rock達と狩りをするのと同じように都合が悪くなるから意味が無い。……なら、結局RitaSalireに頼むしかないですか」


 どうにかしてKest達に二人をHumanだと思わせるしかないかと、Vandalieuがその方法を考えているとGufadgarnが再びspaceに穴を空ける。

「いえ、問題なのはHuman達が認識している戦力の数であるため実際の実力は問題無いかと。ですので、この者達を『狩りの帰りにTamerした』と言い張ってはどうでしょうか? 丁度このDevil Nestsにも出現するmonstersです。

 さあ、我等が主に姿を見せろ、我が同胞達よ」


 spaceの穴から、『Evil God of Labyrinths』が呼び出した三匹のmonsters達が現れた!




 Moksiに帰ったVandalieuは、門でちょっとした事情説明とTamer guildで追加の首輪を三つ購入して、tonightの分の仕込みを済ませた。

 そしてDarciaFang達と一緒に、Slumの孤児院へ寄付と慰問の為に訪れていた。


「おーい、皆肉が来たぞー!」

 Vandalieu達が孤児院の門に姿を見せた途端、昼下がりを庭で過ごしていた孤児達が殺到する。実は昨日の内に串焼きに使わなかった肉を寄付していたので、しっかり覚えられていたのだ。

 そしてchild達の先頭で元気な声をあげているのは、以前Food Stallから盗みを働こうとしてFangに取り押さえられた少年、Mashである。


Mash! Vandalieu -sanって呼びなさいっ! すみません、私が至らないばかりに礼儀がなっていなくて……」

「まあまあ、Celis -sanchildは元気が一番ですから。Vandalieuもちょっと驚いただけで……ねえ、Vandalieu?」

 ペコペコ謝るNunCelisMashを迎えに来た彼女をDarciaが宥める。


「まあ、流石にnameは呼んで欲しいですけど」

「悪かったって。俺とお前の仲だろ?」

「……え?」

 馴れ馴れしくMashに肩を叩かれたVandalieuは、思わず聞き返した。しかし MashSmiling Faceのまま、続けた。


「何だよ、俺達友達だろ!」

 友達。その言葉がVandalieuの心に響いた。そう、友達。Kasim達年上の友達とは違う、同年代のchild同士の友達。


「はい、俺達は友達です」

「おう、当然だろ!」

 再び馴れ馴れしくVandalieuの肩に手を置くMash。最初は盗みを働こうとしたのに調子がいいが……彼はこの瞬間、Vandalieuに『友達』として強く認識されたのだった。


child同士ってすぐに仲良くなるのね」

「そ、そうですか? Vandalieu -san、ずっと表情が動かないし声も平坦ですけど……もしかして嫌がっているんじゃ?」


「そんな事無いわ。Vandalieuはちょっと思っている事を顔と声に出すのが苦手なだけだから。ほら、あんなに楽しそう」

 Darciaにそう言われて、Celisは改めてVandalieuを見てみたが……Mash達に「claws見せろよ~」とはやし立てられている。


「は、はあ……そ、そうですか?」

 イジメられているようにCelisには見えたが、母親だから分かる息子の胸の内とか、そう言うものなのかもしれない。child達の姉代わりだと思ってやってきたが、自分もまだまだだと彼女は思った。


「うわっ、思ったより長いな」

「何でも切れるの?」

「はい、このように果物の皮も簡単に剥けます」

「「「おおお~っ!?」」」


「更に硬い果物の殻もこの通りスパッと切って、更に中身を穿り出す事も簡単」

「「「おおおお~っ!!!」」」

 どこかの買い物番組のように自身のclawsを披露するVandalieuは、実際イジメられているとは思っていなかった。


「ねぇ、その果物何処から出したの!?」

「袖の中に仕込んでいたのです」

 実際にはたった今、【Tree Caster】のJob効果で生やした物である。


「凄いっ、食べて良い!?」

「どうぞどうぞ」

「お姉-chanありがとう!」

「え、お前女だったのか!?」

「お兄-chanですよー。Mash、俺は男です」


 第二次性徴期を迎えても声が高く、そして髭が全く生えていないVandalieuの性別をchild達は見分けられなかったらしい。

「お兄-chanは、そのclawsmonstersを退治したの?」

「いえ、主に退治したのはこのFangです」


 Black DogFangintroductionされ、child達が「強そう!」と歓声をあげる。Human嫌いのFangは反応が薄いが、オーラを抑えたまま大人しく座っており、苛立った-sama子は無い。

「じゃあ、こっちのでかいmouseは?」

 そしてMashが指差したのは、大型犬と同じ大きさのFangとほぼ同じ体躯をした、三匹のGiant mouseである。


「ヂュー」

 白、黒、灰色のそれぞれ異なる色をした、Great giant ratである。つぶらな瞳、antennaの役割を果たすヒゲ、細長いtail。どれも大きさ以外はmouseそのものだ。


「彼女達はMarollUrumiSuruga。今日狩りの帰りに見つけてTamerしたGreat giant ratです」

 この三匹が、Gufadgarnの推薦したRank2のmonstersである。

 certainlyGufadgarnが捕まえて飼いならした訳ではない。originallyは三匹ともVandalieuLucilianoが行っていた、Undeadと生物の交配実験の結果生まれ、Blood potionを飲んでmonsters化した実験動物である。


「整列」

「ヂュ~」

 Undeadとの交配の結果生まれ、Blood potionmonsters化したお蔭か、Maroll達のVandalieuに対するLoyalty心は強固だ。しかもappearanceからはその特異な生まれを判別する事が出来ず、普通のGreat giant ratにしか見えない。


 そしてGreat giant ratGoblin程ではないが、数が多いmonstersだ。Vandalieuが偶然出会ってTamerしたと言っても、Fangと言う前例があるため誰も強く否定する事は出来ない。

 Tamer guildMasterBachemも怪しんだ-sama子は見せなかった。


「撫でても大丈夫?」

「乱暴にしなければ大丈夫ですよ。ヒゲや耳を引っ張ったりしないように」

 Vandalieuがそう言うと、child達は大人しいMaroll達を撫で始めた。孤児院のchild達にとってmouseは慣れた存在だが、後ろ足で立ち上がると自分達より大きいGiant mousemonstersは好奇心を十分に刺激したようだ。


「チュウゥン♪」

 Maroll達はそんなchild達に対して、高い鳴き声をあげて可愛さをappealし、艶やかな毛並みのbody partですり寄って甘え始める。

 いわゆる、serviceである。


「可愛い~っ!」

「え、こいつ等最初は『ヂュー』って結構低い声で鳴いてなかったっけ?」

 child達の中では年長なMashだけはMaroll達のあざとさに気が付いたようだが、他のchild達は愛想の良いGiant mousesistersに夢中である。


 そしてMarollUrumichild達を背中に乗せてHorse Ridingならぬ乗mouseごっこを始めると、その隙に末っ子のSurugaFangにさっと駆け寄り、何とtailでペチペチと叩き始めた。

「キャウン!?」

「ヂュッ! ヂュゥッ! チュゥウン♪ ヂュ~っ!」

「キャウンキャウン!? ……ウゥ~、ワ、ワウゥン♪」


 そして、会話らしきものをした結果、Fangが今まで聞いた事が無い程媚びた鳴き声をあげながらchild達に近づいて行く。

 どうやらSurugaFangに、「あたし達が愛嬌を振りまいてHumanの仔を懐柔しているのに、後輩のアンタが何もしていないとは何事!? 縮こまって、それでもオスなの!?」と叱りつけたようだ。


 そしてRankは上なのにSurugaの迫力に負けたFangが、渋々child達との交流に向かったらしい。

「なあ、今のっ! 今の見たか!?」

「どうしました?」

 Mashが飼い主の筈のVandalieuに声をかけると、彼は何故か年少のchild達を三人程背中に乗せたまま腕立て伏せをしていた。


 どうやらDhampirの力の強さをappealしているらしい。

「うわぁ、お前腕細いのに力があるんだな。Celis-chanが乗っても大丈夫なんじゃないか? お前の十倍くらい重いだろうけど」

Mashっ、何を言い出すの!? わたしはそんなに重くありません!」


「でも無理かー、姉-chan最近太ったもんな。あ、でもBestra-chanだったら乗せても平気だと思うぜ、Celis-chanより痩せてるし、いへえっ!?」

 Mashの後ろから静かに歩いて来たCelisと同じくらいの年頃の、釣り目がちな顔つきのNunが彼の頬を抓った。


Mashidiotを言ってCelisをからかう暇があるならこれから肉を食糧庫に運ぶから手伝いなさい。Celisも、いちいち動揺しないで、叱りつけないと」

 Celisに比べると大分ぶっきらぼうな口調で話す彼女がBestraらしい。

Bestra……ありがとう。分かってはいるんだけど……」


「何だよ~、Bestra-chanだって昔はルド兄-chan達にからかわれてキャーキャー言ってたくせに」

「昔は昔、今は今! さっさと手伝え!」

「は~いっ、行こうぜ」

「はーい、さっさと済ませましょう」


「えっ!? Vandalieu -sanは良いんですよっ」

「そうですよっ、昨日に続いて寄付してもらって、感謝してもし足りないぐらいなのに!」

 極自然にMashと一緒に食材を運び始めるVandalieuを、BestraCelisが慌てて止めようとする。


 しかし彼はmagicで手早く加工した干し肉や、毛布代わりに使えるfur等が乗った荷車をせっせと押して行く。

「お気になさらず、俺は力持ちですから。それに俺の事は呼び捨てでいいですよ、二人とも俺より年上じゃないですか」


「いえ、Food Stallで働いていますし……それに立派なTamerですから」

「そうですよ。寧ろ、わたし達よりしっかりしていますよ」

 しかし BestraCelisはそう言って荷車を押すのを手伝う。どうやら二人はVandalieuageよりも、商業guildに仮登録中である事や、Tamerである事を評価しているようだ。


「やっぱり男は仕事か~。なあ、Vandalieu、俺にTamerか戦い方を教えてくれよ」

「俺のTamerSelf流なので自信がありませんが、戦い方で良ければ」

Mashっ、Vandalieu -sanに迷惑を……え、良いんですか?」


 話しながら食糧庫に向かうVandalieu達を見送りながら、Darciaは建物から遅れて出て来た孤児院のDirectorと話していた。

「そうですか、此処はVidaの……」

「ええ、そうです。このdevelopmentし、そのshadowのようにSlumが広がり始めた頃に初代Directorが『ここにこそ、愛が必要だ』と私財を投入して建てたのが始まりです。この建物も、歴史だけはあるのですよ」


 眼帯を左目に着けている事と痩せている事以外、柔和で何処か気品のある婦人と言った雰囲気のDirectorが修繕の跡が所々見える孤児院を指差して微笑む。

Dark Elfの方には、歴史と言う程ではないとは思いますが」

「いえ、私はまだ若輩者ですから」


「まあ、そうなのですか。あんなしっかりした息子-sanがいるので、てっきり……一度childの教育について、お話を聞きたいものです」

「そんな、私は大した事をしていません。息子には、苦労をかけてばかりです」

 そうDirectorに答えたDarciaは、ふとVandalieuとのこれまでの日々を思い出し……本当に苦労をかけてばかりだとやや落ち込みかけた。


「それより、もしかして共同templePriest -samaや領主-samaとの関係が良くないのではありませんか?」

 しかし落ち込んでいる場合ではない。Directorとの会話は彼女と友好的な関係を作る以外にも、情報収集の側面もあるのだからと持ち直した。

 そのためDirectorDarciaの内心には気づかなかったようだ。


「やはり分かりますか。初代DirectorVida Fundamentalism者でしたからね。共同templePriest -samaは、Reconciliation Factionですから。

 以前はAlcrem Duchy全体がVida's New Racesに対して厳しい姿勢で、BeastmenGiant raceの孤児も受け入れていた当院とは関係が悪かったのです」


 Alcrem Duchyは今から三百年程前、当時のDukeの令嬢が賊に襲われて命を落とすと言う悲劇が起きてしまった。そして令嬢を乗せた馬車の一行への襲撃が当時はいたBeast raceKnightの情報漏洩が原因であり、襲撃した賊の約半数がBeastmenGiant raceVida's New Racesで構成されていた事が、更なる悲劇を呼んだ。


 娘を溺愛していた当時のDukeは領内のThief狩りに力を入れると同時に、Vida's New RacesKnightGuardcivil official等公職にある者達を追放し、「Vida's New Racesを公職に就かせてはならない」と子孫へ遺言を残したのだった。


 当時のDukeElected Kingを二期務め、Alcrem Duchyを繁栄させた善-kunであり人望があった事が災いし、追放されたVida's New Races達の多くが「いつか正気に返ってくれるはず」と大人しく身を引いた。

 そして次代のDukeも姉を失った悲しみから父の政策を維持した。


 そして最近まで続いていたのだ。共同templeVida信仰はそのimpactで、Alda believerに友好的な態度を取る者達が代々Priestを務めるようになり、孤児院とは疎遠になってしまったらしい。

「当院には見ての通りBeast raceGiant raceの子もいますから。尤も、歴代の領主-samaからは、こっそりとですが援助を頂いているのですよ。maybe、情けよりも政治的な理由だと思いますが……」


「そうでしょうね」

 DarciaFangMaroll達と遊ぶBeast raceGiant raceの孤児を見て、Directorの言葉に頷いた。

 完全に迫害すると領内のVida's New Racesが反政治勢力として結束してしまう恐れがあり、食い詰めて犯罪者になられても困る。

 しかし Dukepolicyを改めてくれないので表立っては援助し難い。だから過去の領主たちはこっそりと行っていたのだろう。


「でも、今なら関係の修復は可能なのでは?」

 今はAlcrem Duchy全体でVida's New Racesでも公職に就く事が可能になっている。Wolf-species Beast raceKestGuardを務めているのがその証拠だ。

 しかしDirectorはゆっくりと首を横に振った。


「中々そう上手くはいきません。制度は変わっても、人の心までは……特に共同templeAldaPriest -donoとは過去に少々揉め事が」

「そうですか、それは――」

 child達には悪いけれど、好都合ね。Darciaは口に出さずそう胸中で呟いた。


 DarciaVandalieuは反Alda Reconciliation Faction……どころか、反Alda's Factionである。孤児達が飢えずにHumanらしい生活が出来る事は大事だが、色々援助した結果「Alda Reconciliation Factionと仲が良いVida believer達の仲間入りが出来ました!」と言われるのは微妙なのだ。


(つまり、この孤児院をVida Fundamentalismのまま維持して、共同templeVida believerを私達の方に引っ張れば良いのよね。そのためには明日の講演会、頑張らないと!)

「どうかなさいましたか?」

 Directorに尋ねられたDarciaは、にこやかに「いえ、何でもありません」と本当に何事も無いかのように答えたのだった。




 そしてその日の夕方、串焼きFood Stallの開店準備をしている時に事件が起きた。

 VandalieuFood Stallに向かって、同じ通りで営業しているFood Stallの店主達が集まって来たのだ。彼らが漂わせる只ならぬsignFangFood Stallshadowから姿を現し、Maroll達も身を低くする。


「あの、何か……?」

 戸惑うDarciaに店主達は言った。

「どうか勘弁してくれっ!」

「頼む、頼むから止めてくれ!」


 そう言って頭を下げたのだ。ますます困惑するDarciaに、彼らは訴えた。

「あんたのFood Stallの串焼きは、美味い上に安すぎる! しかも今日の肉は昨日よりも大きいじゃないかっ、猪……まさかOrcHuge Boarの肉じゃないだろうな!?」


「そんなもんを同じような値段で売られたら、俺達が出しているGoblinKoboldの耳入り肉団子のsoupやクズ野菜と肉の切れ端のsandwichなんか、誰にも見向きされなくなっちまう!」


 串焼きを焼く手を止めずに、Vandalieuは店主達に話しかけた。

「肉をSelf調達しているので、仕入れ値がタダで加工も全部自分達でやっていますからね。それでうちの串焼きの値段が下がった結果、危機感を覚えたと」

 貧しいSlumの住人でも、同じような値段で美味い物が食えるなら選ぶのは美味い方だ。しかも Vandalieuの串焼きは安いだけでは無く、一串に刺さっている肉の量も多い。


 しかも今日用意してきたのは店主の一人が言い当てたが、OrcFangが倒したRank3のmonstersの肉である。歓楽街とSlumを繋ぐ裏通りどころか、の入り口近くの表通りのFood Stallcertainlyしっかりした店舗の飲食店で出される食材である。


 そんな串焼きに、自分達が扱う安さと量で不味さを誤魔化している商品で立ち向かえるはずがない。その店主たちの判断は正しいと言える。

「ああ、その通りだ! どうせお前等、それなら俺達が余所に行けばいいと思ってんだろう!?」

「お前等は仮登録だからfrom here動けないが、俺達は商業guildの決まりじゃどこででもFood Stallがやれるからな!」


「でも、実際には行く場所が無いのね。表通りで今の商品が通じる訳がないし、他のFood Stallの店主から見た目が悪いからって追い出されるかもしれないし、Slumの奥の方に移って営業すると売り上げが落ちるから、とても生活出来ないのね」


「そ、そうだ! あんた達は、なら俺達がもっと努力してこんな不味いCookingじゃなくて、もっと美味いCookingを作って、小汚いFood Stallを新しくして、表通りで新しく営業すれば良いんじゃねぇかとか、他にもっとマシな仕事を探せば良いとか、そう思ってんだろう!?」


「それが出来たらやっていると言う話ですよね。色々事情がありそうですし……mercenaryadventurer稼業でbody partを壊してBody労働が出来ないとか、学が無くていい仕事に就けないとか、前科があるとか。

 そもそも日々の生活に手一杯で普通の食材を仕入れてFood Stallを新しくする資金が足りないと」


「何でそこまで事情を分かってんだよぉぉぉぉっ!?」

 交互に店主達の事情を言い当てるDarciaVandalieuの前に、泣き崩れた。他の店主達もすっかり情けない顔つきで脱力している。

 ……最初は警戒していたFangも、可哀そうな生き物を見る目で店主達を眺めていた。


 ちなみに、VandalieuDarciaが店主達の事情を分かっている理由は、アドバイザーのChipurasが『串焼きをあまり安くし過ぎると、こういう事が起こるかもしれません』と二人に教えたからである。


 商業guildSub Guildmasterや相談役としてHuman社会に潜入していた彼の仕事の一つは、人生に躓いた者達に手を差し伸べ、自分以外に頼る者が無いと言う状況に持って行き、-sama々な用途に利用する事だった。

 そのため、彼らのような者達の身の上は大体予想がつくそうだ。


「なら、こうして俺達が頼み込んでいる事情も分かるよな?」

「私が『Hungry Wolf』のMichaelに口説かれているから、荒っぽい事が出来ないのね。ごめんなさいね、あなた達を追い詰めるつもりはなかったのだけど……」


「いいって……Michael -sanは、前の奴と違って良い人だしな」

「ショバ代は月に一回しかdemandしないし、揉め事が起きたら-chanと収めてくれるし」

「手下の連中も、-chanと金を払うようになったし」

 どうやら『Hungry Wolf』のMichaelことMilesは、Slumの住民から慕われているらしい。


「でも、そこまで分かっているなら頼む。『Hungry Wolf』の旦那はともかく、あんたの息子はもうmonstersTamerするぐらいaptitudeのあるTamerじゃないか!」

「仮登録なのは知ってるが、それがダメでもadventurerになるなり、そのまま狩りをするなりしていれば十分暮らして行けるだろ。

 俺達はこれがダメだったら野垂れ死にだ!」


「そう言われると思いまして、別の選択肢を用意しました」

「えっ?」

 Vandalieuは荷車に乗せて持ってきていた大きな石製の壺を指差して、困惑する店主達に提案した。


「新しい商品とその作り方を教えるので、うちのチェーン店……系列店になりませんか? 具体的には、Food StallVidaの聖印を描いてくれれば良いです」


 Moksiの住人に対して、Vandalieuの侵食が眼に見える形で現れるようになったのはこの時からだった。




Name: (MarollUrumiSuruga)

Rank:

Race: Great giant rat

Level: 70


Passive skills

Night Vision

Abnormal Condition Resistance:1Lv

Enhanced Body Partfront teethfurtail:1Lv

Enhanced Agility:1Lv

Rapid Healing:2Lv

Strengthened Attribute Values: Creator:2Lv

Self-Enhancement: Guidance:2Lv


Active skills

-Surpass Limits-:1Lv

Whip Technique:1Lv

Armor Technique:1Lv


Unique skill

Van■■■'s Divine Protection




 Undeadと生物の交配実験の結果生まれたmouseの三sistersが、Blood potionを舐めた結果変異し、その後更にRank upした存在。

 appearanceは通常のGreat giant ratだが、Rank upする前後に-sama々なskillを獲得した。


 戦闘になると【Armor Technique】の【石体】や【Instant Response】でDefense Powerや反応力を高め、素早い動きで長いtailを鞭のように使って攻撃し、それを掻い潜って近づいてくる敵にはfront teethで迎え撃つ。


 certainly、通常のGreat giant ratは【Abnormal Condition Resistance】や【Rapid Healing】等のskillは持っていない。

 更に通常の個体よりもずっと知能が高く、VandalieuCreatorとして崇めている。




Name: Fang

Rank:

Race: Black Dog

Level: 85


Passive skills

Dark Vision(Night Visionから変化)!

Mysterious Strength:2Lv(UP!)

Detect Presence:2Lv(UP!)

Intuition:1Lv

Self-Enhancement: Guidance:1Lv

Enhanced Body Partfangs、爪:1Lv(NEW!)

Mental Resistance:1Lv(NEW!)


Active skills

Silent Steps:2Lv(UP!)

Dark Aura:1Lv(NEW!)

Scream:1Lv(NEW!)


Unique skill

ヴァ■■■■'s Divine Protection


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