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Special thanks to MBA and the Users from the LBN #spoilers Discord. Without them this would not be possible.

Chapter 207: 本当に飢えている者達

 Duke Farzon領のあるDevil Nests……だった場所。そこの谷の壁に現れたDungeonの入り口を囲むようにして守っている者達は、複雑な陣形を維持していた。

 半分はDungeonの入り口から異変が無いか見張り、残り半分が外部からの侵入者が無いか見張っている。


「……tonightは、何も起きないようだな」

「昨日もnightの間は何も無かっただろう」

 背中合わせに見張りをしているのは、それぞれAlda templeChurch of Vidaが派遣したCleric-warrior達だ。だが別に関係が険悪と言う訳では無く、寧ろ良好であった。


 何故ならAlda Reconciliation Factionの力が強いtempleから派遣されたAldaCleric-warriorと、彼らの援軍に駆け付けたVidaCleric-warrior達のgroupだからだ。

 Myth的な背景だけを考えれば信じ難い事だが、Orbaum Elective KingdomではAlda believerでもReconciliation Factionは、Church of Vidaと良好な関係を築いていた。


 Hartner DuchyなどAlda templeが幅を利かせるDuchyや、裏に隠れる過激派やFundamentalismAlda believer。そう言った者達からbeliever達を守るためには、allyは多い方が良い。

 そのためChurch of VidaAlda Reconciliation Factionとは協力的な関係を維持するようにしているのだ。


 そしてDhampirを保護しているAlda Reconciliation Factionの旗頭Heinzの登場は、Alda believerの多くを過激派やFundamentalismからReconciliation Factionに転向させるきっかけになると、Church of Vidaとしては好ましく考えていた。

 ……『God of Law and LifeAldaと『Goddess of Life and LoveVidaに関する真実から考えると、皮肉なものだが。


「昨日のあれは、結局何だったんだ? 遅い昼飯を食っていたらDungeonの中から恐ろしい轟音が響くし、開拓地の祠に建立したAldaIdol Statueが一部破損するし」

 AldaCleric-warriorがぼやいたのは、昨日のVandalieuHeinzの戦いの結果起きた事だ。【World Breaker Hollow Cannon】によるDungeonの破壊と、『God of RecordsCuratosの消滅。そのimpactDungeonの入り口周辺にも及んでいた。


「分からない。相変わらずDungeonの入り口は閉じられたままだ。それからconjectureすれば、Heinz -dono達は無事、という事だろう。……最悪でも、一人は無事なはずだ」

「お前っ! なんて縁起の悪い事を!」

「私もHeinz -dono達の無事を願っているが……Dungeonの外にまで大きな物音と振動が伝わるなんて、尋常ではないぞ」


 VidaCleric-warriorが言うように、Dungeonの外と内部は別worldに等しい。入口近くで起きたものでなければ、外で大地震が起きようが、内部で大規模な攻撃magicが炸裂しようが、音や振動が伝わる事は無い。

 だが流石にDungeonの階層を何十と貫かれ破壊されると、外部にも物音が伝わるようだ。


「それにIdol Statueの破壊だ。壊れたのは一部とはいえ、やはり何かが起きたと考えるべきだ。何年か前に起きた『God of IceYupeonIdol Statueの騒ぎの比じゃない。恐らく、それらの原因となる何かがDungeonの内部で起きたのだ。そうである以上、Heinz -dono達が関わっていると考えるのが自然だ。

 安否を心配するのは当然だろう」


 Dungeonの中にいるのはHeinz達だけなのだから、Dungeonで何か起こったのならHeinz達が関係している。普通なら穴だらけのconjectureだが、このDungeonはまるでHeinz達の為に用意されたかのように出現し、そして彼らが入った後は硬く入り口を閉ざしている。

 それを考えると否定する事は出来なかった。


「それはそうだが……クソ、Dungeonの中じゃ一体何が起きているんだ? 外ではDevil Nestsの浄化と開拓が進んでも建設中と良い事が続いていたのに、これじゃDungeonの外側と内側、どちらを見張れば良いのか分からないぜ!」


 AldaCleric-warriorはそう言って嘆いた。異変が起きた時、当然だがDungeonからmonstersが溢れ出して来るのではないかと恐れ訴える声が上がった。Dungeonとはmonstersが発生し、間引かなければ増え過ぎたmonstersが外部に溢れ出て来ると言うのは、このworldの住人にとって常識だ。


 だから本来はDungeonの内部に入ろうとする不届き者……内部の-sama子を探ろうとするMageや、邪魔なHeinzを消そうとするAlda過激派やEvil God (M) Evil God (P)の崇拝者が送り込んでくるかもしれない刺客を見張っていたCleric-warrior達が、お互いに背を向けて正反対の方向を警戒しているのだ。


 神が創ったDungeonだとしても、内部には何かしらの試練がある筈で、それがmonstersでない保証はないのだから。

Kami-samaも、Oracleの一つや二つくれないかね? 女Kami-samaは最近revivedそうじゃないか」

「らしいな。だが、blessingsを受けた者はいてもOracleを受けたと言うPriestは少ない……まあ、姿をくらませたPriestの方が多いくらいだ」

「おいおい、いいのか? 確かに別に俺達はチクったりしないが」

「構わないさ。居なくなった奴に配慮する必要は無い」


 Church of Vidaでは近年、blessingsを受ける者や【Familiar Spirit Adventskillを獲得する者が出始めている。そのためVidarevivedと噂になっているが、それで身の危険を感じたClergymannight逃げすると言う事が起きていた。

 今までVidaはほぼ眠っていたため、間違ってもDivine Punishmentなど起こせまいと汚職に走るClergymanや……最初から犯罪目的でChurch of Vidaに入り込む者がおり、姿をくらませたのはそう言った者達だと後の調査で明らかになっていた。


 そう言う事が無くても、VidaOracleでこのDungeonの内部での事を教える事は無いだろうが。


「それに、Oracleを受けた者達もこのDungeonに関するものではなかったと言っているらしい。……そう言うそちらはどうなんだ?」

「こっちも、Dungeonの内部についてはさっぱりだ」


 AldaCleric-warriorが言う通り、Dungeonの内部やHeinzについてのOracleを、Aldaは下していなかった。

 これはAldaVandalieuに知られる事を恐れていたため、情報を秘匿していたからだ。

「だが、それだけこのDungeonの中で起きている事が重要だという事だろ。Oracleで教えて、過激派はまだしもVampireMajin Raceに、そしてDemon Kingに知られたら大変だ」


Demon Kingか。EmpireAlda templeで下ったOracleで存在が示唆されたんだったか? 正直疑わしいぞ」

「まあ、敵国のtempleだからな。所詮噂だし……でも、何かが起きているのは確かだ。そうだろ?」

「それは、そうだな。Alda側のGodsは、競い合うようにHeroを育てているようだ。何事もないなら、Godsもそんな事はしないだろうし」


 Godsがそれぞれ素質のある人物にblessingsを与えOracleを下し、Heroに育てている。その多くはAmid Empire側だったが、Orbaum Elective Kingdom側でもそうしたHero Candidate達が存在するため、噂になってはいた。この場にいるCleric-warrior達は、直接会った事は無かったが。


「そう言えば、何でVida's FactionKami-sama達はHeroを育てようとしてないんだ? revivedのに」

「それこそ神のみぞ知る、だ」

「そうだな……ああ、早く『Five-colored blades』が帰って来てくれるといいんだが。で待っているSelen -chanも、安心するだろうし」

「それは同感だ」


 互いの背中を預けながら会話を交わすAldaVidaCleric-warrior達。彼らはただ待つ事しか出来ない事を歯痒く思いつつも、日々の務めを果たしていた。




 一方その頃、Moksiの歓楽街に幾つかある裏路地ではMilesがそれぞれ両手に抱えた串焼きを貪っていた。

「ん~っ! これよ、これ。この味を求めてたのよ!」

「……ただの串焼きなんですけどね」


「ボスっ、これはただの串焼きとは言わないわっ! 肉は安物でも、かけてある下拵えが尋常じゃないもの!」

 夢中で串焼きを食べていたMilesは、そう力説した。実際、肉はRank1のGiant Rat等のmonstersの中でも売れ残った物を安く買い集めた物で、本来ならただ塩を振って焼いた程度では値段相応の味にしかならない。


 だがVandalieuは肉を【Maturation】のmagicMaturationし、更に独自の香草や果物を使ったタレに漬けこんで焼いている。しかもPrincess LeviaFire-AttributeGhost達による絶妙な火加減によってだ。

 そのため一串五Baumの値段以上の味が、Milestongueを愉しませていた。


「裏社会の顔役って、そんなに食事事情が貧しいのですか?」

 連絡用のDemon King FamiliarMiles達に渡してあるVandalieuだが、込めたManaを持続させるため使用時と緊急時以外眠らせている。そのため、彼らの生活の細かい事は知らなかった。……大量のManaDemon King Familiarに込めて常時通信可能にすると、Radarに頼って近づいてくるMurakami達が混乱してMiles達の方に向かってしまう危険性があるので、出来ないのだ。


organizationの本部に居るIsla達はそうでもないけど、ワタシの立場だとね……高Class店はcertainly普通の人が利用する店に入り浸る訳にはいかないじゃない? だから酒場で肉中心の食生活よ。別に肉が嫌いなわけじゃないけど、硬いし塩味しかないし、つけあわせは漬物か乾物だし……新鮮な野菜と海産物、fruitsが恋しいわ。後、味噌と醤油にmayonnaiseketchupにウスターsaucecurryramenHamburger、揚げ物に、程良い甘さのsweetsも」


 どうやらMilesの味覚はTalosheimの基準に慣れ過ぎていたらしい。そんな彼のtongueには、今食べている串焼きも若干物足りない味なのだが……それでも潜入後の食事に比べれば大分マシなのだろう。

Melissaが、Doug達が変異するかもしれないからって戻った時に、ほどお土産をお願いしたけど……ワタシが食べているところを手下共に見られるのは拙いしねぇ」


「交易都市だって聞いていたけど、やっぱりTalosheimに比べると不自由が在るのね。苦労しているみたいだし……それで『Hungry Wolf』なの?」

 DarciaMilesの食いっぷりと飢えている-sama子を、Milesの新しいsecondary nameに結び付けて尋ねると、彼は苦笑いを浮かべた。


「ちょっと急いで表社会からも見える裏社会の顔になったら、何時の間にかそう呼ばれていたのよ。突っかかって来る連中が多くて……前任者は思ったよりも人気者だったのかしら」


 Moksiは、『Hyena』のGozorofと取引していた犯罪organizationが存在していた。その犯罪organizationに名は無く、地元で大きな事をする事無く潜んでいる。秘密結社じみたorganizationだ。

 だが秘密結社も、地元で自分達以外の者が幅を利かせるのは歓迎しなかったらしい。ケチなチンピラやmercenary崩れが起こした事件が大事になった場合、自分達も巻き込まれるかもしれないと考えたのだろう。


 そうした有象無象を纏める為の、表社会からも顔が見える幹部を一人置いていた。


 その幹部に、犯罪organizationの上層部を排除して支配したEleonora達の中から、唯一適任だったMilesが成り代わったのである。Moksiで何か起きた時、直接動くために。

 ただ謎の犯罪organizationの一幹部が交代しただけだと知らないチンピラやゴロツキには、Milesが突然のボスになってしまったようにしか見えず、とても納得できなかった。


 新顔がボスだなんて認められない、どうせなら俺がボスになってやる。そんな連中が何人も発生したのである。

「それは大変だったでしょうね」

「ええ、本当に大変だったわ。……手加減して殺さないようにするのが」


 だが、そうした者達はMilesから見れば等しくただの雑魚でしかない。ボス争奪戦に名乗りを上げた者達の中にはDClass adventurer崩れやmercenary、殺し屋等もいた。しかし全員が『Hyena』のGozorof未満の連中だった。

 それに対してMilesRank11のAbyssal Vampire Marquis……AClass adventurer partyでも倒せるか分からない、legendで語られるような大物である。


 彼がその気になればMoksiそのものを滅ぼし、そのままAlcrem Duchy全体を存亡の危機に陥れる事さえ可能なのだ。

 そんなMilesにとって、チンピラやゴロツキの相手は疲れるだけの作業でしかない。


「殺してもボスは怒らないだろうけど、死体の処理が面倒だし、あまり派手に行方不明者を量産するとGuardが動いて面倒な事になるだろうし。

 仕方ないから、丁寧に赤子の手を捻るように説得して上げたの。そしたら大体何個所かbone折させるだけで大人しくなるのよね」


 挑戦してくる相手の腕を掴みとって、力を込めながらの恫喝。その間、相手が膝下蹴りをしてこようが、knifeで刺して来ようが、Milesはビクともしない。チンピラ達の力ではMilesの金属鎧並のDefense Powerを誇るArachneVandalieuの混合糸製の服と、その下にある鋼よりも強靭なBodyを傷つける事が出来ないのだ。

 ……金的を試みた者もいたが、Milesが股間を守るために膝で迎撃したため、逆に彼らの脚が悲惨な事になったらしい。


 そして大抵の挑戦者は格の違いを思い知り降参する事になるのだ。


「その割には、『Hungry Wolf』なんてついていますけど?」

「ワタシの実力が信じられないって、挑戦者が増えちゃったのよ。凄いのは噂と見た目だけで、実際は金で話をつけているに違いないって、疑われたの。

 お蔭でボスが来る数日前まで腕を捻るので忙しいったらなかったわ」


 そうして多くのチンピラやゴロツキの腕にMilesの指の形をした痕が作られ、それを見た者が「誰彼かまわず噛みつく飢えた狼のようだ」と噂し、『Hungry Wolf』と呼ばれるようになってしまったらしい。

secondary nameが付くくらい怖がられた方が都合良いから気にしてないけど。ボスにもこうして会えたし……チンピラをあしらうより、EleonoraIslaの相手の方が大変だったわ」


「それはまあ、一部は俺も見ていますけど」

 Milesが成り代わったpositionは、の中を一応歩く事が出来るのでVandalieuと会う可能性が最も大きい立場である。それをEleonora達は当然欲しがったのだが……流石に彼女達では無理があった。

 裏社会に男女平等の概念がある筈が無く、女であると言うだけで舐められるのが常だ。それを覆すのは、Milesの倍以上の時間がかかるだろう。


 それを残念に思って落ち込んだりいじけたり、悔しがるEleonoraIslaを宥めるのは中々大変なようだ。Vandalieuも、彼女達に預けてあるDemon King Familiarを通して見ているのだが……特に一見素直に「私達のappearanceではゴロツキの類を纏めるのは難しいでしょう」と納得しているBellmondが重傷である。


『それよりもGuardAggarと商業guildSub GuildmasterYosefについてだ。事前に分かっていなかったのか?』

 Chipurasに尋ねられたMilesは、lipsについたタレを拭きながら答えた。


Aggarの方は聞いた事無いわね。でも賄賂を渡せば色々融通してくれるGuardが何人かいるから、その一人かもね。

 Yosefの方は……現Moksi Earlの叔父よ」


「実は大物なんですか、あの人?」

「まあ、connectionだけならね。Earl 家に生まれたけど四男で督を継げず、婿入りの話も無かったから官僚になって税関係の部署に務めた後、商業guildの職員になって、そのままSub Guildmasterになったって経歴ね。

 因みに、今はNobleじゃないわ。Earl 家の継承権を放棄しているらしいし」


 商業guildは基本的には民間のorganizationだが、商人から税を徴収して国に納める中間のorganization、いわゆる税務署としての機能も果たしている。そのため、一定数のcivil officialが職員として出向しており、複数いるSub Guildmasterの一人も政府の関係者が務めるのが慣例となっている。


 それがこのではYosefだったようだ。

 ただそうしたSub Guildmasterは大きなには一人はいるので、Yosefが特別大物と言う事は無いらしい。


「じゃあ、俺達への嫌がらせはMoksi Earlの意思でもあるのでしょうか?」

「それは無いと思うわね。先代の兄とはin any case、甥に代替わりしてからは仲が悪いみたいだし……そもそも、ボスがDhampirだって明らかにしたのは今日の昼過ぎでしょ? Moksi Earlは今日の朝からAldaIdol Statueが一部壊れて、Priestfaintedした事件の詳細を調べる為に奔走しているらしいから、そんな暇は無いはずよ」


「それもそうですか」

 どうやら、YosefMoksi Earlは繋がってはいないようだ。そうなると、この嫌がらせはYosefの独断と言う事になる。

 Milesは苦笑いを深くして、溜め息をついた。


AggarってGuardはともかく、Yosefの行動にはワタシ達も戸惑っているのよ。Dhampirってだけで、それなりに重要人物なのに、幾ら話を断られたからといって嫌がらせをするなんて」

「それなり……微妙なのね。まあ、殆どの人にとってVandalieu自身はただ珍しいraceなだけで、Alda Reconciliation Factionとあの人たちとのコネ作りに使えるってだけだからだろうけど」


 Orbaum Elective Kingdomの社会にとって、Dhampirは珍しくて希少なraceだ。そしてSClass adventurerであるHeinzを旗頭にしたAlda Reconciliation Factionや、Church of Vidaが存在を知れば保護しようとするだろう。

 しかし、立場的にはただの平民でしかない。Elective KingdomにはDhampir保護法等はないし、Dhampirを無条件にNobleに準じる者として扱うと言う法も存在しない。


 そのためYosefが法律に反しない範囲でVandalieu達に嫌がらせを行っても、それを表向きに咎める事は出来ない。しかし、それは表向きでなければ咎める事が出来ると言う事でもある。

「SClass adventurerに目を付けられたくないAlcrem Dukeが締め上げれば、一交易都市のSub Guildmasterなんてすぐ消し飛ぶわ。

 だからYosefがボスに嫌がらせをして得をする事なんて無いはずなんだけど……」


『聞いた限りだと、別に得があるから嫌がらせをしたわけではあるまい。話をVandalieu -samaに断られ面子を傷つけられたと思い、enduranceしようと思う事も無く出来る嫌がらせを行っただけだろう』

 悩むMilesChipurasはそうconjectureした。


「そんなものですか?」

『ええ、Vandalieu -sama、小Generalはそんなものです。今までこので権力を行使してきたのですから。Nobleの出身だとか学があるとかは関係ありません。

 時に人は理解しがたい理由で、愚かな間違いや凄惨な悪行を犯すものです。ほれ、生前の儂等がその最たる例でしょう』


「……生前の派閥は違うけど、Slightly頷きづらいわね」

「『Earth』でもそう言う事はありましたし、そういうものみたいですね」

 平均よりも高度な教育を受けていて、責任ある立場にいる。そうした事は間違いを犯さない保証にはならないようだ。


 実際このworldにはidiot Nobleや駄目Noble、悪徳商人等がいるし……『Earth』でも政治や官僚、宗教までscandalや犯罪が暴かれた例は幾つもあった。

 『Origin』での、Vandalieuの扱いそのものが国ぐるみの間違いだっただろうし……それを考えると、Humanとは一定数そうした者が出るように作られているのかもしれない。


「まあ、それはともかく……結局Yosef -sanはどうするの? 今はまだ困る程じゃないけれど」

Darcia -samaFood Stallの売り上げと今後もチンピラどもが絡んでくる可能性が――』

「それはMiles -sanが何とかしてくれるわよ、ね?」

 Darciaに頷きかけられたMilesは、六本目の串焼きを口に運ぶのを止めて頷いた。


certainlyよ。今日中にはこのFood Stallで『Hungry Wolf』が長話をしていたって情報が出回るでしょうし……今後も売り上げには協力させてもらうわ。手下共にも言い聞かせて――」

「じゃあ、どうせだから私は『Hungry Wolf』のMichaelの女って事にするのはどうかしら?」

「ぶほはっ!?」


 Darciaが前触れも無く発した爆弾発言に、Milesはむせ返りChipuraschinが外れた。

「なるほど、それならMilesが度々Food Stallに来てもおかしくないですし、kaa-sanが会いに行く事も出来る。『Hungry Wolf』の女と言う事にすれば、Milesの手下達はcertainly他の人達もkaa-sanに手を出さないでしょう」

 ただVandalieuは落ち着いていた。


Vandalieuも賛成してくれたし、じゃあそう言う事にしましょう」

「ちょっ!? いいの!?」

「大丈夫よ、Miles -san。あの人……Valenも今のMiles -san程じゃないけど、裏社会でそれなりの顔だったみたいだし」

 動揺するMilesに昔を懐かしむように遠い目をするDarcia


「……ボスはそれでいいの?」

「別に本当に付き合う訳ではないですし、Milesさえ良ければ。俺は信頼していますし」

 オネェ口調で口紅を愛用しているMilesだが、別に同性愛者ではない事をVandalieuは知っている。しかし、それ以上に信頼しているのだった。


「ボスっ……! 分かったわ、そう言う事にしましょう!」

 それが伝わったのか、Milesは感動に胸を高鳴らせて偽装交際を承った。

「でも芝居の為に手を繋いだり、肩や腰に手を回したりする事があるかもしれないけど、それは許してね」


「まあ、芝居ですし。それより例の謎's Divine Protectionですが、Milesのはどうです?」

 Darciaのは全ての伏せ字が解放されたので、もしかしたらMilesのも同-samaではないかと思ったVandalieuはそう尋ねた。


「ワタシの? まだ二つ字が伏せられているけど……そう言えば昨日までは伏せられているのが三文字だったわね」

 しかし、そうではなかったようだ。どうやら【Fragment Bestower】のimpactは、伏せられている文字を一つ明らかにする程度だったらしい。


「そうなの。私は伏せ字が無くなって【Vandalieu’s Divine Protection】って表示されるようになったけど、個人差があるのかもしれないわね」

「ああ、そう言う事……Talosheimに戻ったらボスのGiant Idol Statueを建設中かもしれないわね」

Miles、石像です。Idol Statueでは無く、石像です」


「でもボス、Darcia -sama以外にも伏せ字が残り一文字だった人は全部表示されているかもしれないわよ。Talosheimにいる子達とか」

「それでも石像です」


「ボスも強情ねぇ。……ああ、後Rank upした訳でもないのにrace名が変わったわ。AbyssVampire Marquisだったのに、Abyss Noble-born Vampire Marquisに変わっていたわ」

『貴の文字が増えただけではないか。それに、既にPure-breed Vampireの方々はAbyss Pure-bornに変化しておるぞ』


「変化は変化でしょ、あんたはGhostになったから関係無いのでしょうけど、今頃Bellmond達も変化しているかもしれないわね。

 実際、name以外は何も変化していないようだけど」

 これもtimingを考えると、Vandalieuが【Fragment BestowerJobに就いたimpactだろう。


「なるほど。後でTalosheimに残ったVampire達にも聞いてみましょう。ところで、時間は大丈夫ですか?」

「確かに、あまり長く話し込むのも問題ね……じゃあ、串焼き三十本テイクアウトで」

「はいはい」


「出来ればHorn Rabbit肉とGiant Rat肉を半々で頼んでいい? ウサギの方もヘルシーで美味しいけど、鼠の方の脂とコクも美味しいから。後別のタレとかsauceある?」

「はいはい。でも別のタレやsauceは無いので、今後検討してみます」


 そしてMilesDryingさせた木の葉で十本ずつ包んだ串焼きを受け取った後、周りの他のFood Stallに「騒がせたな」と『Hungry Wolf』のMichaelとして詫び料と一緒に声をかけて回り、nightに帰って行った。恐らくあの串焼きは手下や……Eleonora達に振る舞うのだろう。

 この日はMilesのお蔭で売り上げ的には既に黒字になったのだが、その後何人かの客が串焼きを注文し、話しかけてきた。


 どうやら、『Hungry Wolf』がこのFood Stallで何を話していたのか気になった情報屋の類のようだったので、VandalieuDarciaは先程の取り決め通り、「Darciaが『Hungry Wolf』に口説かれた」と伝えたのだった。




 に戻ったVandalieu達はFood Stallを納屋に入れると、いわく付きらしいそこに入った。

『お帰りなさいませ、BocchanDarcia -sama

『掃除は完璧ですよ!』

 そこはTartarus Maid ArmorSalireRitaによって、しっかり掃除されていた。


 実はこの二人、DarciaMoksiに来た時に背負い袋の中に入っていたのだ。

 Maidらしい装飾が付いている、High-leg型とBikini型の露出過多な鎧を着たBishoujoとしか思えない彼女達が背負い袋の中に、しかも二人とも入るのは無理に見える。

 しかしRitaSalireLiving Armor系のUndeadである。鎧こそがmain bodyであり、中身はMaterializationしたSpirit Formでしかないのだ。


 そのため中身を引っ込めて鎧だけになり、背負い袋に詰めればDarcia一人でも十分持ち運べる。もし荷物検査されても、二人が黙って動かなければただの鎧にしか見えないはずだ。

 Weapon Equipmentでは無くDefense Equipmentだし禁制品と言う訳ではないので、maybe問題にはならなかっただろう。……High-legBikini型の鎧の所有者だとDarciaが思われるだけで。


「ご苦労-sama。何か変わった事は無かった? 前の住人がいたとか」

『いえ、Ghostは出ませんでしたよ。mouseの一匹もいませんでした』

mouseは私達がいるから逃げただけかもしれませんけど。野生の勘で』

「そうなの……幽霊mansionだったら面白いと思ったのだけど」

 Ritaの返事を聞いてDarciaが残念ねと呟く。


kaa-san、このの霊はもう大体俺の周りに居ますから」

「そう言えばそうだったわね」

 霊を見る事が出来る者しか分からないが、Vandalieuの周りにはcountlessの……本当にcountlessの霊が纏わりついている。多くは小さな光の点のようなconditionになっているが、まぎれも無く霊だ。


Bocchan、土地や人に強く憑いている霊以外は皆引き寄せちゃいますからね。それはともかく……結局こののいわくってなんだったんでしょう?』

「人が住む度に凄腕の殺し屋がやって来て、Disease死に見える毒を盛るとかだったら嫌ね」

Darcia -sama、それ幽霊より怖いです、マジで』


「……床下に何かありますね。【Danger Sense: Death】にうっすら反応があります」

 その後調べてみたら一階の床と地下室の間に隙間があり、そこにカビが発生していた。毒性の強いカビのようで、これが引っ越した住人が一年以内にDisease死してしまう原因だったらしい。


 後で調べて分かった事だが……こののいわくも真実と言う訳では無かった。実際にはDisease死では無く借金で逃げ出した者や、一年以上住んだ後普通に引っ越した者もいたらしい。

「まあ、俺達にとっては幽霊よりもカビの方が厄介ですけど。【Disinfect】、【Sterilization】」

 だがVandalieuが念を入れてmagicでカビを消し、【Golem Creationskillで隙間を完全に塞いだので、実害の無い、いわくつきのになったが。


『尤も、Bocchanがいれば何処でも幽霊mansionですけどね』

『私達もいますし、Princess LeviaOrbia -sanGhostも沢いますからね』

「さらに言えば、これから本格的に改装しますからね。外観は変えませんけど」


 そしてVandalieuはまず全体をGolemにした。宣言通り外観は変えず、建てつけの悪い扉や軋む床を直し、更に侵入者対策を行う為だ。

 自体がGolemなら、【Silent Stepsskillを極め、存在感を絶つSuperior Skillの【Nihility】にAwakeningさせた超人的なAssassin、『King Slayer』のSleygarでも気がつかれずに侵入する事は難しいはずだ。


「荷物と資材をお持ちしました、Vandalieuよ」

 そしてtimingを見計らっていたかのようにGufadgarnspaceに穴を空けてやって来る。彼女はTalosheimから改装用の資材や荷物を運んできたのだ。


「ありがとう、此処で資材やWeapon Equipmentを揃えるのはboneなので助かります」

「身に余る光栄です」

『本当に助かります! 流石にHalberdGlaiveは持ちこめませんでしたからね』

『普通のWeapon Equipment屋で新しく買うと、maybeすぐ折れちゃいますからね。ありがとうございます、Gufadgarn -san

 それまで丸腰だったSalireRitaが嬉しそうに自分の得物を受け取った。彼女達の力は、既に普通の鉄製のWeapon Equipmentでは耐えきれない程に鍛えられているのだ。


 そしてVandalieuは受け取ったHell Copperを使って、を補強していく。

「これでの外からmagicMartial Artsで攻撃されても耐えられるでしょう」

Reincarnatorの方はともかく……Pure-breed Vampireの方はこのの守りを一撃で破壊する事も不可能ではないと考えますが?」

 GufadgarnBirkyneの事を殆ど知らないが、他のPure-breed Vampireからその力をconjectureしたようだ。


「それはそうですが……Birkyneぐらいになるとこのの壁の外から攻撃する事も出来るでしょうからね。

 それには地下室に作るDungeonで対応しましょう」

「なるほど。地下室にDungeonを創り、緊急時のShelter及び戦力の供給源にすると」

「……いえ、出来るだけ等Classは低く作るので、戦力にはならないかと」


「場合によってはこのから回収する余裕が無いかもしれないものね」

 下手に等Classの高いDungeonを創ったら、それでこのMoksiが大変な事になりかねない。上手くDungeonを取り込んで迷宮都市としてやって行けるようになるなら良いが……その過程でこのから近いSlum街の住人は住む所を失いかねないので、それは気の毒だ。


 それにDungeonmonstersを戦力として使わなくてはならない局面になった時点で、は壊滅conditionか、それが避けられないconditionに陥っているはずだ。

 そうならないためのDungeonを創るのだから、それでは意味が無い。


「まあ、階層を広く作らないといけないのでEClassに抑えられるかどうかですね。じゃあkaa-san、俺は地下室でDungeonを創る……前に、ちょっとの裏手まで行ってきます」

の裏手に? じゃあ、Gufadgarn -sanが持ってきてくれた晩御飯が冷めない内に帰ってくるのよ」

「はい」




 久しぶりに人のsignが内部に在り……更に微妙だが異質な存在感を漂わせ始めたに構わず、犬が一頭飢えていた。

 Slum街で生まれたこの犬はbrothers達と、そして母親を喪いながらも、どうにか成犬になるまで生き延びてきた。しかし最近ライバルやpredator達との争いに敗れて餌を得られず飢えに苛まれ、いつの間にかこの場所に行きついたのである。


 ライバルとpredatorとは、この犬以外の野良犬と……Slumの住人達であった。

 Slum街の住人にとって犬は残飯をFishingるライバルであると同時に、立派な食料だ。犬がfamilyと生き別れたのもSlum街の住人達に肉として狩られたからである。

 そのため犬はすっかりHumanを恐れるようになっていた。originally野良犬だったため、母犬からHumanに対する警戒心を持つよう育てられてはいたが、今の犬の目にはHumanは恐ろしいpredatorにしか見えなかった。


 だから人気の無い空きの裏に居たのだ。このままでは犬は自力で餌を取る事も、Humanがいる通りでゴミをあさる事も出来ず、飢えて死んでしまうだろう。

「実験台はmouseでも良かったんですけどね、犬でも構わない訳ですからね……おいで」

 その前に、音も無くVandalieuが現れた。その手には小さな干し肉がある。


「っ!? ……グルルル~っ!」

 飢えた犬は瞳に力を取り戻すと、fangsを剥いて唸り声を上げた。当然Vandalieuの手にある干し肉には気がついているが、それよりも彼自身に対して警戒し、威嚇する事を選んだのだ。


「こういう時は……怖くないって言うんでしたっけ?」

 そう言いながら、Vandalieuは威嚇する犬に恐れず手を近づける。

「ガウッ!」

 犬は反射的にその手に噛みついた。干し肉では無くVandalieuの手に、whole body全霊の力を込めてfangsを立てる。


「っ!?」

 だが犬にとっては驚いた事に、Vandalieuからは何の反応も無かった。痛みに驚いて手を引っ込める素振りもなく、ただただ噛まれ続けている。

 そして犬が噛みついている手も異-samaだった。……どんなにfangsを立てても、bloodが出ない。skinが破れないのだ。


「よしよし、そんなに甘噛みしなくても良いですよ。……まさか本当に効果があるとは。言ってみるものですね」

 そんな事を言いながら、犬の頭をもう片方の手で撫でるVandalieu。その瞳の奥で、何かが蠢いているように犬には感じられた。


 犬は悟った。こいつはHumanではないと。


「……クゥン」

 噛むのを止めた犬は、Vandalieuの赤くもなっていない屍蠟のように白い手を舐める。

「良い子ですね。お腹もすいてきましたし、早速晩御飯にしましょう……その前に少し綺麗にしましょうか」

「ワン!」

 そして犬はVandalieuについてに入って行ったのだった。







Skill explanation:Vandalieu’s Divine Protection


 神ではないはずのVandalieuから与えられるblessings。先日まで伏せ字で隠されていたが、彼が【Fragment Bestower】にJob changeした事がきっかけで、伏せ字が最後まで解放されるようになった。


 blessingsとして普遍的な特典……成長の壁を突破する難易度の緩和等の他に【Abnormal Condition Resistance】や【Physical Resistance】、【Venom Secretion】、【Night Vision】や【Dark Vision】等々、後天的には獲得し難いskillの獲得に若干の補正を得る事が出来る。

 もっとも、簡単にそれらのskillを獲得できるわけでは無く、努力や意外なきっかけによって獲得できる可能性が高まる程度である。




Skill explanation:Seduction


 いわゆるnightの技術。通常の男女の営みでは無く、一方が一方を愉しませるためのskillであるため、通常のloverや夫婦関係では覚える事が出来ないskillである。

 Prostituteや男娼、又は後宮の妾等がこのskillを習得している。5level以上で習得している場合、高Class Prostituteとして敬われる事になり、Slaveであっても粗末な扱いをされる事は決してない。




Skill explanation:Love-making


 性交を通じて対象のVigorを高め、気力を充実させる術。健康法の一種であるが、その効果はskillになる程確かなものである。そのせいか、長くこのskillの対象になり続けた者は、【Peerless Vigorskillを獲得する可能性が高まる。


 高levelでこのskillを獲得している妾を囲う権力者の寿命は長く、子孫も繁栄すると言われ、Royal Nobilityがこぞって求めた時代もあった。

 ただこの技術を人々に伝えたのが『Goddess of Life and LoveVidaであると言うlegendが残っており、それを理由に初代Amid Empire Emperorが【Love-making】禁止令を定めた。


 ただ三代目のEmperorが禁止令を全面的に撤回したため、現在では違法ではないが現在でも Bahn Gaia continent西部ではこのskillの使い手は少なくなっている。


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