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Chapter 200: とても大切なもののための会話

 Rodcorteの依頼を受けてVandalieuを狙うMurakami達は、一億以上のdeath attributeManaを感知する【Target Radar】で彼の居場所を探るのが日課になっていた。

 death attributeManaを持つのがVandalieuただ一人であると言う想定でRodcorteが創った【Target Radar】は、意識を集中するとdeath attributeManaを持つ存在が自分から見てどの方向の、どれくらい離れた場所にいるのかが分かると言う優れものだった。


 しかしLegionの登場、そしてdeath attributeGiant magic装置(旧Scylla Autonomous Territoryにある自動Undead Transformation装置等)や、Demon King FamiliarVandalieuが創り出した事で、death attributeManaを持つ存在が増えてしまった。

 その上VandalieuLegionの【Teleportation】で-sama々な場所に移動する。そのため【Target Radar】のどの反応がVandalieuなのか、Murakami達には分からなくなってしまった。


 だが、「反応したManaの量で見分けられるようにしてくれ」とMurakamiRodcortedemandし、細かい数字は不明だが「最も大きい反応」が見分けられるように改善された。それでVandalieuが何処にいるのか分かるようになった。


「……この頃奴が留まっているのは、Alcrem Duchyか」

 【Target Radar】に反応がある場所を、手製のmapを使って確認するMurakami

 mapOrbaum Elective Kingdomの十二のDuchyElected King都があるCenter領が書き込まれている。ただそれぞれの領の境界線と都や主要な街道が記されているだけで、『Earth』や『Origin』のmapと比べるとかなり荒い。


 しかし、これでも【SylphidMisa Andersonbody partを気体に変化させるAbilityNoblemansionや大きなChamber of Commercestealth込んで書き写して作った物だ。

「意外ね。てっきりBoundary Mountain Range沿いにあるDuchyで一番南のBirgit Duchyか、逆に一番離れている最東端のJahan Duchyだと思ったのに」


 Beast raceBirgit Dukeと、Giant raceJahan Dukeが治める領の名を上げるMisa

 Alcrem DuchyElective Kingdomでも北部にあるDuchyの一つで、Sauron Duchyの東隣りに位置する。特にVida's New Racesが多い訳でも、有力な地位を占めている訳でも無い。

 Vandalieuが何かをするにしても、何故Alcrem Duchyを選んだのか分からない。


Birgit Duchyは、あいつの母親の仇のHeinzって奴が今いるらしいDuke Farzon領の西隣りだろ。だから避けたんじゃないか? 全く、【Metamorph】といいVandalieuといい、そんなに親が大切か? 俺達にとっちゃ、reincarnation先の親なんか托卵相手みたいなものだろうに」

 俺には理解できないと、首を振る【Odin】のAkira Hazamadaがそう言う。


 カッコウが行う、自分の卵を他の鳥の巣に紛れ込ませて育てさせる習性に例えた彼に、Misaは胡乱気な視線を向けた。

「別に共感する必要は無いわよ。

 話を戻すけど、Birgit Duchyじゃない理由はそれだとして、Alcrem Duchyである理由は何?」


「さあな。俺達に分からない理由があるんじゃないか? Alcrem DuchyUndead系のmonstersが頻繁に出現するDevil NestsDungeonがあるとか、手下にしたVampireの中にAlcrem Duchyを縄張りにしていた奴がいるとか」

「そんないい加減な――」


「いい加減だが、ここで考えても仕方ないのも事実だ。Rodcorteの情報はHuman社会じゃほぼ完全だが、それ以外じゃ役に立たない。しかも、俺達はその情報を全て受け取れる訳じゃない。……【Familiar Spirit Advent】で一度に聞き出せる量には限りがある。何度も繰り返していたら目立って仕方ないからな」


 MurakamiMisaの声を遮ってそう言うと、「明日からAlcrem Duchyに向かう」と予定を決めた。

「奴は十日以上Alcrem Duchy内にいる。一度Boundary Mountain Rangeの内側に戻ったが、数時間ですぐ戻ってきた。まだ何かやるつもりだろう。

 Rodcorteからはまだこのworldの神とやらと話し合いをしているらしいから、情報は無いが……終わるのをじっと待つのは時間の無駄だ」


「そうね。from here Alcrem Duchyまで間道を突っ切っても一月はかかるし……ちょっと待って。反応が急に南に動いたわ」

「ああ、俺も確認した。これは……ええっと、俺達がいるのが此処だから、Duke Farzon領か。だが俺達から見て上なのか下なのか、奴がいる高さが分からないのは何でだ?」


 戸惑いながら指でmapを指差すAkiraに、Murakamiは「決まってるだろ」と言いながら顔を顰めた。

「上でも下でも無い特殊なspaceDungeonの中にいるんだよ。だが……何でいきなりDungeonの中に【Teleportation】した? それも、今まで一度も行っていないはずのDuke Farzon領のDungeonに。まさか、母親の仇でも取りに行った訳でもないと思うが」


 Heinz達『Five-colored blades』が挑んでいるDungeonaccurateな場所を知らないMurakamiは、自分が正解にやや近い事を口にしたとは気がついていなかった。




 『God of RecordsCuratosは戸惑っていた。

 いよいよHeinzが六十五階層、二度目のVandalieu戦に挑む。そのため確認された中で最新のVandalieuの情報を入力し、試練の為の偽物を創り上げた。


 そしてHeinz達が六十五階層の攻略を始めたのだが……そのVandalieuの偽物の動きがおかしい。

『……どう言う事だ? 私の作ったCopyはこれまで、多少の不具合はあっても完全に役割から外れる事は無かったのだが』


 戸惑いながら自身が施したprogramを確認するが、何度見直しても不備は見つからない。

 だが、実際にはVandalieuCopyは予定にない行動をとり続けている。

『これは……仕方がない。一旦下げてもう一度Copyを再起動させよう』


 そしてCopyを消滅させる操作を実行する。だが、VandalieuCopyは消えない。

 二度三度と操作を繰り返しても、何のimpactも受けていないようだ。

BAKANAっ! Copyはどれ程精巧でも私のrecordを元に再現しただけの存在、私の意思に逆らえるはずが……まさか、このCopyを動かしているのは私のprogramではないのか!?』


 Curatosが戸惑い、驚愕しているその時、Heinz達『Five-colored blades』も実は戸惑っていた。

 何故ならVandalieuが一向に戦おうとしなかったからだ。

(あいつ、何を考えているんだ?)

 戦場を縦横無尽に動き回り仲間の首を狙う『King Slayer』のSleygarと戦いながら、EdgarVandalieuの行動を訝しんでいた。


 以前彼が出現した五十階層では、GubamonTerneciaの背後に隠れながら後方でmagicと『Demon King Fragment』で攻撃してきた。

 そのmagicは特殊でEdgar達が今まで見た事が無いもので、Heinzpsychological動揺を除いても随分苦しめられた。


 だから今回も警戒していたのだが、Vandalieuは一向にmagicを使う-sama子も、【Demon King Fragment】をActivateする素振りも見せない。

 足元に転がって来たEdgar達の知識に無いKnightっぽい女の首を拾い上げ、土埃を払って塵になって消えるまでの数秒間抱いていた。


 かと思ったら、その場で足踏みを始めたり、見えない相手に向かって拳をthrust出したりしている。


『【Dragon God Killer】い゛ぃぃぃっ!』

「このGiant race Zombieっ、相変わらず厄介過ぎるっ!」

「デルっ、こっちのchunk of meatの方が厄介だぞ!」

Jenniferっ、何の競い合いをしているんだ!」


 『Sword KingBorkusの【Sword King TechniqueskillMartial Artsを、DelizahOrichalcumの盾で受け止めその場に踏みとどまっていた。Demon King Fragment製の黒いGiant剣が、Artifactの盾とぶつかり合って火花を散らす。

 一方、JenniferLegionを一人で押さえ込んでいる。


 それを眺めながら、VandalieuShadow Boxingをしていた。何処からか、HeinzEdgar以外に自分を観察している視線がある事を意識しながら。

「この視線は、Dungeonを管理している神か。

 finbumpepidermis……出ない。antenna……も出ない。body partの反応も鈍い。Statusは確認不能……やはり偽物のbody partだからでしょうか。そして目を閉じて念じてみても、本物のbody partには戻れない」

 自身のbody partconditionを確認するのが終わると、Shadow Boxingを止め、今度こそmagicを使い始めた。


 足元の小石を【Telekinesis】で上下に動かすだけだったが。


magicの使った感触は……ついさっきまでと同じ。skillStatusが見られないけれど、昨日までと同じ感覚で使える。

 つまり、偽物のbody partに本物の魂が入っているcondition? そう魂は本物、魂は……」


 何か考察し続けるVandalieuが戦闘に加わっていない分、試練の為に作られたCopy BorkusLegion達の攻撃には穴があった。Curatosが密度の高いCoordinationを行うようCopy達をprogramしていた為、Copy達の中核であるVandalieuの不参加のimpactは大きかった。


 そしてHeinz達は五十一階層以降の間に、何度もBorkusLegionと戦い倒してきていた。

『死ンジマエ゛ェ!』

「ぐううううっ!」


 Delizahは歯を食いしばってBorkusの猛攻に耐えていた。certainlyCopyと言えどBorkusは剣の達人だ。盾ごと叩き潰すような強引な攻めだけでは無く、弧を描くような巧みな技で盾をすり抜けて彼女を、そして彼女が守っているDaianaを直接攻撃しようと試みる。


 Fatigueを感じないUndeadの特性の上に、【-Transcend Limits-】、【Transcend Limits – Magic SwordskillActivateによってAbility ValuesMagic Swordの性能のEnhanced (1)

 平均よりも多少上のAClass adventurerでも、即座にslaughterされていただろう。


Millよ、Warriorに力を! 【body part Ability Extreme Enhancement】! 【Awakening】!」

「【True Instant Response】! Daianaっ、私のshadowから出ないで! 小さくて悪いけど!」

「分かっています!」


 だがDelizahはAClassでもSClassの称号に迫る力量の持ち主で、その彼女をDaianaが高位の付与magicで援護する。それによってBorkusの足止めに成功していた。


『■■■■■■■!』

 Copy Legionが、幾つもの口から同時に声を上げる事で恐ろしげな絶叫を上げる。自分のbody partを千切って投げつけ、かと思ったらHigh-Speed回転しながら体当たりを試みる。

 何種類ものmonstersと戦ってきた熟練のadventurerでも戸惑わずにはいられない、他にない奇妙な行動pattern


chunk of meat bastard! 何度やられたと思ってんだっ、お前のネタはもう割れてんだ、皆の邪魔はさせない!」

 だが、Jenniferは即座に対応し、Copy Legionの行動を抑え込んでいた。そう、Copy Legionの役目は巨体に似合わずHeinz達を攪乱し、翻弄する事にある。


 脂を含んだchunk of meatを投擲し、timingを見てchunk of meatYomotsushikomeYomotsuikusaに変化させ、動けなくなったところを発火Abilityで葬る。

 体当たりを多用して単純な攻撃patternに慣れさせたら、突然【Teleportation】で他のCopyBorkusSleygarの近くに現れ、DelizahEdgarを圧殺する。


 通常のWarriorのように組み合うには質量が大きすぎ、それでいてmidairを浮遊し勢いを付けて行動できるLegionだから出来る戦法だ。

 しかも、それを先読みして一撃必殺の攻撃を放てば、その瞬間受けた分と同じだけのDamageを直接返して来る。

 距離を無視し、回避や防御すら意味が無い。LegionDamageを受けた瞬間に、自分がDamageを受ける事が決定してしまうのだ。


 JennifercertainlyHeinz達もLegionを相手に何度も敗北した。そして敗北する事が前提で、勝つためでは無く攻略の糸口を探るために挑むようになって、やっと攻略法を見つける事が出来た。

「【鋼貫抜き手】! ッ!」

 風を纏ったJenniferの抜き手が、Legionの上半身の一つを吹き飛ばしそれが生えていた球体を抉る。それと同時に放たれた蹴りが、他の上半身の一部に軽く当たる。


『■■■■■!』

 Legionはすぐに『Counter』をActivateするが、Jenniferに跳ね返ったのは肉を大きく抉った抜き手では無く、軽い、痣にもならない蹴りの衝撃だった。


 『Counter』が最後に受けた攻撃のDamageしか返せない事に気がついたHeinz達が考えたのが、この「強力な攻撃を放つ時は、必ず軽い攻撃をすぐ後に当てる」というtacticsだった。

 他にも発火Ability対策の為に、Weapon Equipmentに付与magicをかけるなどして脂が付かないようにしている。


「クソっ、やっぱりダメか!」

 だが、そこまでしてもJenniferにはLegionの攪乱を足止めする事しか出来ない。何故なら、彼女が与えたはずのDamageは、Legionの【Super Rapid Regeneration】によって即座に回復してしまう。

 本来は二人以上が組んで行うtacticsであるため、LegionRegenerative Powerを上回るAttack Powerの技を放てないのだ。


 それを他の『Five-colored blades』のmemberも分かっているので、出来るだけ早くJenniferに加勢したいのだが……DelizahDaianaBorkusの猛攻を防ぐのに精いっぱいで、中々攻勢に出られないでいる。EdgarSleygarを追い続けるのに忙しい。


 そしてHeinzEleonoraIsla、そしてMilesの三人と切り結びながらBellmondの攻撃を凌ぎ続けていた。

「すまんっ、持ち堪えてくれ!」

 蒼い炎を上げるMagic SwordIslaEleonoraの剣を防ぎ、Bellmondの切断糸を避け、数少ない隙を突いて斬撃を繰り出す。


 既にVampire Zombie達は倒したが、厄介な四人が残っていた。一人一人は、Heinzの技量なら余程油断しない限り倒す事が出来るし、一対四の今でさえ持ち堪えている。

「死になさいっ、Demon King Vandalieu -samaの為に!」

『よくも手下共をやってくれたな、その綺麗な顔の皮を剥いでやる!』

「その前に、首にkiss markを付けてあげるわぁ! 【鋼咬】!」


 黒い剣やclaws、当たればkiss markどころか首を噛み千切られそうなfangsHeinzは避け、反撃を繰り出そうとする。

「おや、足元がお留守ですよ」

 だがBellmondの指から伸びる糸が翻り、巻きつこうとしたのを回避するために反撃の機会を逸してしまった。


 回避しなければ、糸がHeinzの頭を輪切りにしていただろう。

「おっと失礼、足元ではなく頭でしたね」

「くっ」

 嘲笑を含んだBellmondの声に、Heinzの表情に苛立ちが浮かぶ。


 Heinzが今まで相手にしてきたEvil God (M)派のVampire達は、上位の者になればなるほど協調性に乏しく仲間同士のCoordinationは粗雑だった。

 しかしこの四人は息の合ったteam workを発揮し、お互いの力を最大限発揮している。しかも、どう言う訳か全員body part Abilityが異常に高くMartial Artsmagicを次々に放ってくる。


 本来ならそれはHeinzadventurerHuman側の強みの筈なのだが……彼等は分断されDelizahDaiana以外は個別に戦う事を余儀なくされている。

 尤も、固まったままではBorkusの猛攻とLegionの攪乱、そしてSleygarの背後からの暗殺に対応しきれないと言う問題があったが……。


(私達の強みを封じる。そんな試練か……だが、だとしたら何故彼は動かない?)

 Heinzは、未だに戦闘に加わろうとしないVandalieuに違和感を覚えた。彼等が分断されても持ち堪えていられるのは、彼が何もしていないからだと分かっていたからだ。

 これは試練だというのに、何故? まさか戦闘中に難易度を調整している訳でもないだろうに。


 だがそんなHeinzの疑問を察しているのかいないのか、Vandalieuは戦いを観察しながら自分で自分の指を軽く傷つけ、bloodの玉が出来るのを確認していた。

「自傷が出来るのか。なら、suicideも出来てしまいそうですね……うーん、やはり魂が、俺の魂が鍵か。【Out-of-body Experience】……【Materialization】……ちょっと違う」

 Cloneを作ってみては消して、それを繰り返し始める。


 そうしている間に、戦いの流れが変わった。


「【Infinity Slash】! これまで何度相手をしてると思ってる! いい加減慣れるぜ!」

 矢で足を射抜かれ地面に縫い付けられたSleygarが、Edgarの短剣によるcountlessの斬撃で切り刻まれる。

「そして……【Rapid Fire】!」

 そのままSleygarの破片が地面に落ちる前に、Edgarは速度重視の矢をHeinzSlashかかったEleonoraに向けて放った。


「こんな矢が――がはっ!?」

 Eleonoraが反射的に矢を避けたが、その結果彼女達のCoordinationに致命的な隙が生じさせてしまった。Heinzは袈裟懸けに振るった剣で彼女の胴体をBisectionすると、残ったIslaMiles、そして流れを取り戻そうと足掻くBellmondに対して一気に攻勢に出た。


 そこからは早かった。一度傾いた流れを逃すまいとHeinz達はMilesBellmondIslaと倒して行き、Delizah達にEdgarが、JenniferHeinzが合流。

 Legionの異常なまでのVitalityRegenerative Powerには苦戦したが、最後には五人の力を結集して倒す事に成功した。


 それを成し遂げた時点で、彼等『Five-colored blades』は『Fifteen Evil-Breaking Swords』の『Five-headed Snake』のErwinや『Light Speed Sword』のRickertよりも強くなったと判断していいだろう。


「さっきの合わせ技、Dungeonじゃ無かったら迂闊に出せないから使いたくないんだけどな。……周りの地形が変わり過ぎる」

「一面はげになってしまいましたからね。ここが外だったら、が幾つか割れて崩れるか……Boundary Mountain Rangeの向こうのmonstersが出てきかねません。……尤も、それが彼なのかもしれませんが。Demon King、と呼ばれていましたし」


 Edgarがぼやき、Daianaが呼吸を整えながら、しかし油断なくただ一人残ったVandalieuを見つめる。

 彼は、Heinz達の攻撃の余波から自分を守る以外は何もしていないように彼等には見えていた。


『偉大なる……Demon King……Vanダ……ばんさ……い』

 残っていたEleonoraの上半身が、そう言い残して塵となって消える。

 それを見送ってから、Vandalieuは口を開いた。


「もう終わってしまいましたか。じゃあ、よければ少し話しませんか? 戦う前にお互い時間が必要でしょう?」

 そうVandalieuが問いかけると、Heinz達の顔に驚愕が浮かんだ。

「……俺、そんなにおかしい事を言いましたか? お前達は皆の偽物を倒すのに随分消耗したでしょうし、俺にはまだ考察と練習が必要です」


 そう言いながら【Out-of-body Experience】しては戻りを繰り返すVandalieu。その-sama子を見ていたHeinzは、彼が今までのCopyとは違うのだと気がついた。

-kunは、本物のVandalieuなのか?」

「ええ、body partは他の偽物と同じですけど、中身は本物です。ああ、何故そうなったのかは秘密なので聞かないように。

 ……うーん、霊じゃないんですよねー」


 Heinzの問いに答えながらも、試行錯誤を止める-sama子の無いVandalieu。そんな彼にHeinzは思いつめた顔で再び質問しようとした。

「なら、教えて欲しい。-kunは――」

「俺はお前達が捕まえてfanaticに渡したkaa-sanDarciaの息子です。Hartner Duchyで城が傾いた事件の真犯人も、旧Scylla領を支配しているのも、TerneciaGubamonを滅ぼしたのも、俺です」

「っ!?」


「ああ、やっぱり話しているとイライラして集中が……うーん、怒りを集中力に変えるのって久しぶりだから上手くいきませんね」

「……【Demon King Fragment】と、Undeadについては?」


「【Demon King Fragment】はHartner Duchyで二百年前、濡れ衣を着せられたTalosheimGiant raceの霊を解放するために向かった城の地下で見つけて、最初の一つを偶然手に入れました。その後は、Terneciaみたいな敵を倒して手に入れていますね。

 Undeadは……少なくとも、さっきまでお前達が戦っていたのは全員俺の仲間です。前の時にいたTerneciaGubamonは除きますけど」


 質問には答えるが、【Demon King Fragment】の入手方法など一部は黙っておくVandalieu。話しをしましょうとは言ったが、「正直に」とは言っていない。

「何故、そんな事を……私達が-kunのおkaa-sanを殺したからなのか? だから-kunは憎しみのあまり、邪悪な【Demon King Fragment】を求め、悍ましいUndeadを創り、Evil God (M)派のVampireと結託したのか?」

Heinzっ、俺達は依頼を――」


「いいえ、あなた達がkaa-sanを捕まえなくても……kaa-sanが誰にも捕まらず、殺されなかったとしても俺はUndeadを作り、【Demon King Fragment】を探し求めたと思いますよ。Eleonora達と出会えたかは、分かりませんが」

 Heinzの質問を遮ろうとしたEdgarを無視して、Vandalieuはそう答える。

 実際death attributeMageであるVandalieuは、Darciaが無事でも何時かUndeadを創っていただろう。そして何時の日か【Demon King Fragment】をAbsorptionしていたはずだ。


 何故なら彼は産まれた時点でVida達から期待されており、Rodcorteに死を望まれ、Alda's Factionと敵対する宿命にあったのだ。

 時期が多少遅れる事はあっても、平穏な人生は歩めなかっただろう。……それが無かったとしても、Vandalieuの性格と莫大なManaの問題で、波乱万丈な人生以外のルートは存在しなかっただろうが。


「後、Edgarでしたっけ? お前の言う通り、お前達は依頼を受けただけ。Amid Empireの法律に則った、Adventurer’s Guildの正規の依頼を受けて、法を犯したkaa-sanを捕えた。

 犯罪でも何でもない、当然の事をしただけだ。そう言いたいのなら、その通りです」


 出来るだけ時間を引き延ばしたいVandalieuは、饒tongueに説明しながら答えている。だが、一向にHeinzEdgarの顔に浮かんだ驚きと困惑が無くならない。

 Vandalieuにとってはそれでも別に構わないのだが、まるでこちらの話を聞いていないような態度に見えて苛立ちが強まった。


「……あなたは、Heinz達を恨んでいないのですか?」

 苛立っているのだが、Vandalieuは無表情で口調も普段より多少雑になっただけだったので、表面上落ち着いて見える。それを誤解したDaianaがそう問いかけるが、彼は当然「そんな訳ないでしょう」と答えた。


「絶対に殺します。俺はあなた達が悪だからでは無く、二度と俺の大切な存在を奪われないために殺すのです」

 そう宣言したVandalieuの光の無い濁った瞳の奥に、Heinzは何か恐ろしい存在が潜んでいるように感じて寒気を覚えた。


「待ってくれっ、昔はともかく、今のHeinzAlda Reconciliation Faction……Vida's New RacesVida believerとも協力しあうべきだと考えてるんだ! Church of VidaともCoordinationしてて……お前だってNiarkiSelenを見ただろ!? あのDhampirの女の子だ!

 だから、Heinzは二度とお前の大切な奴を奪ったりなんかしない!」


 Heinzに代わって、Jenniferが一歩前に踏み出しながらそう訴える。それを聞いてはっとしたDaianaが、反射的に声を上げた。

「待って、彼はさっき――」

「俺はさっき、あなた達が戦っていたのは全員俺の仲間だと言いましたよね? つまり、Heinzは俺の大切な仲間、family同然のUndeadVampireGhoul……Majin RaceKijinmonstersを殺さないと言う事ですか?」


 Daianaの声を遮って、VandalieuがそうJenniferに質問を返すと彼女は顔を強張らせた。

Undeadが、大切な仲間だって? そんなの……」

「異常だと思うのなら、それだけ俺とあなた達の考え方は異なっていると言う事です。まあ、これは俺の方が少数派なのでしょうけど」


 death attributeMageであり、死者を魅了する事が出来たVandalieuにとって、死者は生者よりも身近で親しみを覚える存在だ。だから、Undeadを生きているHuman-samaに「大切だ」と感じる事に違和感を覚えない。

 そんな彼はHeinz達が質問に答えないのを見ると、その場でステップを踏みながら小さく頷いた。


「やはりUndeadは許容できませんか」

「……ああ、-kunにはすまないが。死者と生者は、交わるべきじゃない。それが私の……人として正しい在り方だ。それだけは譲れない。

 -kunがどうやって強力なUndeadを創る事が出来るのかは分からないが、そんな事は止めるべきだ。死者を冒涜するべきじゃない。正しいReincarnationに彼等を還すべきだ」


 Heinzが今言ったのは『Lambda』では常識的で、しかも正常なUndeadに対する認識だ。ただ、彼はVandalieuならUndeadTamer可能だとか、そうした今までの常識には当てはまらないという事を説明しても、考えを変えないだろう。

 そう予感させるだけの強い意志が込められていた。


「そうですか。他に聞きたい事はありますか?」

 それは想定通りだったので、特に関心も反感も抱かなかった。そのまま会話を続けるVandalieuに、今度はDaianaが応じた。

「あります。『Holy Mother』と呼ばれている人に心当たりは?」


「それはkaa-sanの事でしょうね。何故そんな質問を?」

「あなたが自分の母親を『Holy Mother』と……あなたは一体今何をしているのですか? そして何を持ってあなたの母親は『Holy Mother』となったのですか?」

 自分の問いには答えず、質問を続けるDaianaVandalieuはどう答えるべきか考えた。


 大事な会話のためとはいえ、Darciaの事を全て話すのは憚れる。特に彼女がrevived事は、Heinzの「正しいReincarnation」云々に引っかかりそうだ。別に彼の機嫌を取るつもりはないが、激高して会話を打ち切られるとまだ困る。

 それに、Darciarevived事を知ったHeinz達が「じゃあもう我々を恨む事は無いじゃないか。生き返ったのだから」等と言い出したら本当に困る。


 その時はVandalieu自身が激高して、会話を打ち切ってしまうだろうから。


「俺がMirg Shield NationからBoundary Mountain Rangeの内側に逃げ込んだ事ぐらいは、掴んでいますか? そこで滅亡したTalosheimを復興しまして。今ではEmperorをしています。その俺の母だから、『Holy Mother』です。

 それはともかく、俺からも質問していいですか?」


「その前に俺からも一つ聞きたい! あの、『Demon King』ってのは……やっぱりお前がAlda神のOracleにあった『Second Coming of the Demon King』なのか?」

 bluntに話題転換を図るVandalieuに、Edgarがそう確認する。彼等にとって神の試練であるこのDungeonVandalieuが出現し、他のCopyDemon Kingと呼ばれている以上、ほぼ確定だと彼も分かっているが、本人の口からききたかったらしい。


「……Alda達は俺をそう呼びたいみたいですね。実際、【Demon King Fragment】を副作用無く使っていますし。

 では俺からも聞きますが、お前達はReconciliation Factionと名乗っていますが、本当にそうなのですか? 先程の戦いでは幾ら偽物相手とはいえ、かなり容赦が無かったように見えますけど」


 Edgarの質問に対して雑に答え、その後に質問を投げかける。するとHeinzは質問の意図がすぐには分からなかったのか、数秒黙考した後答えた。


「このDungeonでは、神の御業で本物そっくりな偽物が敵として出現する。私達はそのDungeonを六十五階まで攻略してきたから、その偽物を倒すのに慣れきってしまった。

 言葉での説得は、偽物には無意味だ。現れたのがHumanVampireでも、倒さなくてはならないんだ」


「そうですか。では、このDungeonの外ではGhoulMajin Raceを殺してはいないと?」

 Vandalieuが重ねてそう質問すると、DaianaJenniferの頭に疑問符が浮かんだ。Vida's New Racesながら邪悪でmonstersと変わらない存在とされているMajin Raceはともかく、GhoulVida's New Racesとはどう言う事だ? と。


「……-kunがそう確認すると言う事は、GhoulはやはりVida's New Racesだったのか」

 だがHeinzは驚きつつも納得した-sama子で頷いた。

Heinzっ、どう言う事だ、GhoulUndeadVariantだってAdventurer’s GuildでもMage guildでも、templeでだって教えているじゃないか!」


「落ち着いて、Jennifer。改めて考えてもみて、Undeadchildを作る訳無いでしょう」

 既成概念が乱されて声を荒げるJenniferを、Delizahが抑える。

 そう、普通のUndeadは生殖活動の結果子孫を作ったりは出来ない。死体やSpirit Formなのだから当たり前だ。

 だが社会的にUndeadVariantmonstersとされているGhoulchildを作り、世代を重ねる事が出来る。

 そしてTamerする事が出来、Tamerが従わせたGhoulJobに就ける事が出来る。


 それらが可能なのはHumanだけで、HumanDwarfElfでは無いのならそのraceVida's New Racesと言う事になる。


 冷静に考えれば、GhoulVida's New Racesではないかと気が付けるはずだ。ただJenniferDaianaは、「Ghoulはそうした事が出来る特殊なUndeadなのだ」と教え込まれた常識を疑わず、考える事自体をしなかったのだ。


「そんな、では私達は……Reconciliation Factionを名乗りながらVida's New Racesを手にかけていたというのですか!?」

「そうだ、Daiana。だが、それでも私達はAlda Reconciliation Factionだ」

 しかし Heinzは取り乱すJenniferDelizahに対して逆に落ち着き払っていた。そして、瞳に強い意志を取り戻してVandalieuに対して宣言する。


「私達はAlda Reconciliation Factionだ。これからもVida believerVida's New Racesとも手を取り合っていく。だがそれは無条件にVida's New Racesを優遇する訳じゃない。

 私達はadventurerであり、Humanであり、神を奉じる者だ。法を犯し、人々を襲うならHumanだろうとVida's New Racesだろうと、見逃す訳にはいかない」


「……坊主、俺達は何度もGhoulの集落を討伐したし、Majin Raceを倒してguildで討伐証明を換金してきた。何故なら、そいつらはHumanを襲っていたから討伐依頼が出ていたからだ。

 それが悪いか?」


 HeinzEdgarはそう宣言した。彼等はHuman社会に自らを置いたadventurerだ。だからHuman社会の法秩序を守る事を当然としている。

 Vida's New RacesHumanを襲うなら、Humanmountain bandit-samaに討伐する。


「いえ、悪くは無いでしょうね」

 Vandalieuも、それには異論はない。彼は別にVida's New Races以外のraceを、差別し迫害したい訳でないのだ。adventurer partypeddlerを襲ったGhoulが返り討ちに遭っても、文句をつけるつもりは無い。


「でも、その討伐したGhoulの集落の全員が害をなしたという証拠を集めましたか? まさかいきなり襲撃して皆殺し何てしませんよね。

 仮に全員が犯罪者だったとしても、集落に赤ん坊やchildがいた場合は-chanと保護していますか? また、adventurerの方から素材やSlaveとして売るためにGhoulを襲った連中が返り討ちに遭った場合も、Ghoulの方が悪いと決めつけてはいませんか?」


 しかし、そう続けると落ち着きを取り戻しかけていたJenniferの顔が引きつった。どうやら、何か覚えがあるらしい。

 adventurermonstersの群れを討伐する際は、childどころか妊婦でも容赦せず殲滅する事が推奨されている。恐らく、Heinz達もそうしてきたのだろう。


Majin Raceに対しても、非が在るのはHumanの方かもしれないと考え、調べた事はありますか? 話し合いを試みた事は? まさか『集落を発見したから、被害が出る前に討伐した』なんて、彼らが何もしていない内から襲い掛かったなんてことはありませんよね?」

 続けて尋ねると、Daianaが口を開こうとしては何も言えず閉じるという行動を何回か繰り返した後、視線を逸らした。


 Orbaum Elective KingdomでもMajin Raceは危険なmonsters-samaの存在とされているので、姿が発見されれば被害が出ていなくても討伐依頼がAdventurer’s Guildに出される。

 Heinz達もそうした依頼を受けた事があるようだ。


 まあ、ここまではVandalieuも強く責めるつもりは無い。何せ自分自身もOrbaum Elective Kingdom側に住むGhoulMajin Raceを、全て救えている訳では無いのだから。


Heinz、お前達三人がOrbaum Elective Kingdomに密入国する時通ったはずのSauron Duchyで、Scylla raceAutonomous Territoryに押し込められて不当な扱いを受けていた事は知っていますか。

 Hartner Duchyに居た時、Duke 家Talosheimから避難してきた避難民を捕え、二百年以上Slaveで不当にSlaveとして扱っていた事を知っていましたか。

 それで具体的に、Alda Reconciliation Factionのお前達は……kaa-sanが死んだ事を美談にして利用しているお前達は何をしましたか?」


 だが、これは責めるに値するとVandalieuは思っている。GhoulMajin Raceの時とは完全に異なり、何の罪も犯していないVida's New Races達が、不当に扱われ差別されているのだ。Alda Reconciliation Factionを謳い、当時既に上Class adventurerで、自分達の名声にDarciaを利用しているHeinz達は、何かしら動いて然るべきだったのではないか。

 一介のadventurerに過ぎない、何て言い訳は認めない。


(おっと、いけない。早口になってしまった。貴重な会話なのだから、不自然にならない程度にゆっくり話さないと。奴等も黙ってしまいましたし。

 でも、もう少しで上手くいきそうなんですが。もっと、fundamentalな自分自身を外に出す感じで――)


「……-kunは、だからHartner Duchyを混乱の渦に叩き落とし、Sauron DuchyScylla Autonomous TerritoryUndeadの戦力で占領したのか? Giant raceの霊やSlaveScylla raceの為に」

 その時黙り込んでいたHeinzが口を開いたが、それはVandalieuの質問の答えでは無かった。


「質問を質問で返すのはどうかと思いますが、その通りです」

-kunは、自分が何をしたのか分かっているのか!?」

「……? 分かっていますけど」

「いや、分かっていない!」

「…………そーなんですか」


 胡乱気に言い返すと、HeinzVandalieuに対して握った拳をthrust出して熱弁を振るい始めた。

-kunのやった事は、確かにVida's New Racesの為だろう! SlaveScylla達は解放され、Hartner Duke 家Sauron Duke 家は手痛いしっぺ返しを受けた。さぞ気分が良いだろう!

 だが、その為にどれだけ大勢の人々が巻き込まれたと思っているんだ、-kunは!?」


 そして二つのDuchyでどんなことが起きているのかを、Heinzは語って聞かせた。

 Hartner Duchyでは傾いた城の大規模修繕の費用、Slaveが消滅した事で収入が減った事、そしてNiarkiの南に建造された新たな砦のArchitecture費用。それを賄うために大幅な増税が民草に課された。

 Sauron Duchyでは度重なる旧Scylla Autonomous Territory攻略の失敗の為に多くの犠牲と戦費が失われ、周辺の村々では被害を受けたのか人が全員居なくなる失踪事件も起きている。


 だが、それは全てVandalieuが既に知っている事だったりする。

(Hartner Duchyの方は、俺が増やした極小Dungeonが予期せず村々の小遣い稼ぎの場になっていますし、『Vidaの土像』でそれなりに援助しているんですけどね。

 Sauron Duchyの失踪事件も、実際にうちの国に集団亡命しただけの事ですし)

 そんな事を考えるVandalieuだが、Dungeonを創れる事や自国の内情をHeinz達にいう事は出来ないので黙っている。


-kunのやった事は、HumanVida's New Racesの対立を深めただけだ! このままでは何れ、決定的な破局が……HumanVida's New Racesの戦争が起きてしまう、それが分からないのか!?」

「分かっていますよ。Amid Empireには宣戦布告しましたしね。Orbaum Elective Kingdomとも……別に戦争をしたい訳じゃありませんし、避けられるなら避けたいですが、そうなったらなったで仕方がないでしょう」

「っ!?」


 あっさり戦争になる可能性を肯定したVandalieuに、熱弁を振るっていたHeinzの動きが止る。


「待ってください。国と国とでは無く、race間の戦争になるのですよ? それがどれだけ悲惨な事になるか、想像できないのですか?」

「想像は出来ますが……だから今まで不当に搾取し弾圧してきた側に被害を与えないようにしないと、人助けをしてはいけないと? Hartner Duke 家Sauron Duke 家の今までした事を忘れて水に流して?」

「それはそうだが、やり過ぎってもんがあるだろ! Amid Empireだけじゃなくて、Continent中を敵に回すつもりか!?」

「どうしても避けられないのなら、仕方ないかなと」


 DaianaEdgarの問いにVandalieuはそう答えた。


「それに、Aldarace間対立を起こす気満々ですよ。FarmounによるとAldaの理想は、monstersmonstersを産み出すDevil NestsDungeon等が存在しない、Demon King Guduranisが現れる前のconditionにこのworldを戻す事らしいですし」


「そんな事は誰でも知ってるさ。templeで読み書きを習う時に何度も聞くからな。過激派のtempleじゃ、BeastmenGiant raceDark Elfも皆殺しだってな。

 だが、それをどうにかしようとあたし達Reconciliation Factionが……って、今Farmounって言ったか? まさか神FarmounOracleを受けたって言うつもりか!?」


「いえ、直接会いましたよ。Farmounは今、Zantarkと共に在ります」

「か、神と邂逅した!? それに堕ちたGreat GodZantarkと共にって、どう言う事――!?」

 驚くJenniferは更にVandalieuから話を聞き出そうとしたが、その時動きが止まった。

 彼女の見ている前で、Vandalieuの腕が奇妙なchunk of meatに包まれたからだ。

 ビクビクと脈打ち、硬質な突起物やeyeball、口、何かの管が出鱈目に生えている。


「な、何だそれは!?」

「いや、実は俺もこの見た目には驚いていますが……とりあえずもう時間稼ぎは必要無いので殺し合いましょうか」

「……やはりこの会話は時間稼ぎの為だけのものか。-kunは、私達と話し合うつもりは無いのか……!」


 眉間に皺を刻むHeinz。その間にも、Vandalieuの腕を包む異形は彼のbody part全体に広がっていく。

「収穫はありました。お前達Reconciliation Factionは何処まで行ってもHuman側の立場で、俺はVida's New RacesUndead側の立場。

 お蔭で分かり易くなりました」


 つまりAlda Reconciliation Factionは、Vida's New RacesHumanと同じ権利を求めるのなら役に立たないのだ。特に、Rankを持つraceには。

 彼らに任せていたら、Vida's New RacesHuman中心の社会秩序に対して、邪魔にならない程度にしか救済されない。


 それでもいないよりはずっとマシだろうが……少なくとも、旗頭のHeinzを滅ぼすのを諦めなければならない程の価値は無い。


「……最初から殺し合うつもりで、他の偽物と私達が戦っている間body partの調子を確かめていたのか。だが、そのbody partは何だ!?」

 顔まで異形の何かに包まれ、成人male並の大きさになったVandalieuは答えた。


『これはMaterializationした、俺自身の魂。霊ではありません、俺の存在のfundamentalなものです。

 前は偽物のBodyと偽の意思でしたが……今回は本物の魂だけでお前達三人を滅ぼす!』


 そう言い終るのと同時に、Vandalieuは鋭い踏み込みでHeinzに向かって殴り掛かった。




《【Unarmed Fighting Technique】が、【Soul Breaking Arts】にAwakeningしました!》




Name: Heinz

Race: Human

Age: 28

Title: Blue-flame Sword】 【New Vampire Hunter】 【Sword Saint】 【One who tears through the darkness】 【Holy Mother Killer】(NEW!)

Job: Undead Slayer

Level: 20

Job History: Apprentice WarriorWarriorSwordsmanMagic Sword UserMagic WarriorHoly WarriorAvengerSword SaintHoly GuiderSealing Magic SwordsmanHoly Sword UserImmortality SlayerLight-Life magic

Ability Values

Vitality: 86,800(8,000UP!)

Mana: 56,223+(11,244) (15,220UP!)

Strength: 10,800(1,350UP!)

Agility :14,509(1,980UP!)

Endurance :14,960(1,285UP!)

Intelligence :9,962(2,165UP!)


Passive skills

All Ability Values Augmented (2) : Large(UP!)

Abnormal Condition Resistance:9Lv

All-Attribute Resistance:10Lv(UP!)

Strengthened Attack Power while equipped with a sword: Very large

Mana Cost Reduction:10Lv

Detect Presence:8Lv(UP!)

Strengthened Attribute Values while equipped with metal armor: Very large

Guidance: Holy Path:5Lv

Mana Enlargement:2Lv(UP!)


Active skills

Radiant God Swordsmanship:8Lv(UP!)

Holy Light Armor Technique:5Lv

-Transcend Limits-:10Lv

Transcend Limits – Holy Sword:2Lv(UP!)

Coordination:10Lv

Light-Attribute Magic:10Lv(UP!)

Life-Attribute Magic:10Lv(UP!)

No-Attribute Magic:2Lv

Mana Control:9Lv

Clergyman:6Lv

Heroic Spirit Advent:3Lv(UP!)

Etiquette:4Lv

Surpass Limits: Magic Armor:5Lv(UP!)

Chant Revocation:1Lv(NEW!)


Unique skill

No-Life Killer:1Lv

Alda’s Divine ProtectionGreat Hero’s Destiny

Evil Suppression:6Lv


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