『Bravers』のleader、Amemiya coupleの家があるのは高Class住宅街だ。当然治安は良く、監視cameraや最新のGolem警備system(『Earth』のドローンに近い)が採用されている。
各家が常駐の警備員……軍隊経験者などを雇っている事も珍しくなく、この高Class住宅街で泥棒や強盗を働こうとするのは、刑務所か棺桶に入りたい者だけだと言われていた。
そんな昼間の住宅街の通りを、Bandaは後ろ向きに移動していた。通常時は実体を持たない彼は、音も無く地面の上を滑る-samaに動いている。まるで誰かに引っ張られているかのように。
(ここは『Earth』のJapanに相当する位置にあるJapan国……magicが存在するfantasyなworldの筈なのに、近未来SF映画のworldにしか見えませんね)
頭部にcameraを搭載している警備用Golemや、荷物の配送に来た自動運転system搭載のGolemトラック等を眺めて、そう感じる。Golemの部分をrobotに置き換えれば、本当にSFだ。実際機械も使われているので、magicと科学のハイブリットと言える。
だったら素直にrobotで良いのではないかとも思うが……残念な事にこの『Origin』ではrobotと言う言葉は一般的には使われていない。『Origin』のrobotとは、magicを使われていない珍しいGolemを意味する専門用語である。
(magicが存在する分、『Earth』より文明が進歩しているのかもしれませんね。
そうしたworldの違いによるあれやこれやはともかく……やはり今の俺のmain bodyはMe-kunになっているらしい)
後ろ向きに足を動かさず進んでいるように見える(実際には冥以外には見えないのだが)Bandaだったが、実は自分の意思で動いている訳では無い。
彼から見て約五十meter後方の冥が乗ったベビーカーを、母親のAmemiya Narumiが押すのに合わせて後方に引っ張られているのである。
Narumiが何の抵抗も覚えていない-sama子なので、Bandaは段階を踏んで試みてみたが、全力で踏ん張ってもその場に止まるのは不可能だった。恐らく、【Materialization】して地面にclawsをthrust立てsuction cupsで吸着しようと、意味は無いだろう。
『さて、距離やGolemに搭載されているMana sensorに俺が映るかどうかの検証は終わったし、後は……』
Bandaは端が耳まである口を大きく開き、tongueを伸ばした。続けて普段は髪に隠れている二本のantennaも伸ばす。
それぞれ十meter以上先まで伸びたのを確認する。
その後、一見するとコートのような飛膜を少し開き、【Demon Kingのlung】と【Demon King's Proboscis】、そして【Demon King's Horn】を使った空気銃を発射する。
発射された角は、はるか遠くに飛んで行った。certainly、実体の無い霊的な弾丸なので何かにぶつかる事は無い。
『俺自体はMe-kunから五十meterまでしか離れられないけれど、そこから更にtongueやantennaを伸ばし、切り離した一部を発射する事は可能と。この分ならmagicでも同じ事が出来そうですね。
では……戻りましょうか』
身を翻したBandaは、五十meter先のMe-kunともう一人の自分の元に戻る。その速度は凄まじく早く、走っている車にも追いつけそうだ。
『この速さもどうなっているんでしょうね? main bodyのAbility Valuesがそのまま採用されているんでしょうか? ただいま、Me-kun、もう一人の俺』
「bandaa」
『お帰り、もう一人の俺。じゃあ、元に戻りましょう』
ベビーカーの中できゃっきゃと楽しそうな-sama子の冥だったが、霊的な存在である事を活かして分裂していたBandaが一人に戻ると、しゅんとしてしまった。
「あぶぅ……bandaa……」
『Me-kun、一人に減ったんじゃなくて元に戻っただけだから、ね?』
「奥-sama、今朝から冥-chanが時々言っている『bandaa』ってなんの事だかわかりますか?」
「それが、良く分からないのよ。maybe Pandaの事だと思うけど……」
冥は今、Amemiya Narumiとお手伝い-san兼babysitterのfemaleに連れられて公園に向かっているところだった。ちなみに、長男のHiroshiは友達の家に遊びに行っている。
「う~」
『Me-kun、外やこの人……おkaa-san達がいる間は抱っこできないのですよ。驚かせてしまうから』
Amemiya Narumiをそう呼ぶ事に違和感を覚えるBandaだったが、冥の前で実の両親に隔意がある-sama子を見せたくなかったので苦労していた。
さっさと吹っ切れないといけないのだが、まだ冥に憑いて一日と経っていないconditionでは無理だ。
「じゃあ、冥-chanにはPandaが見えているのかもしれませんね。この前はワン-chanが見えていたみたいでしたし」
「そうね、childには大人とは違う風景が見えるって言うし、冥にはEven nowそう言う事があったから」
ただNarumiとbabysitterの二人の疑問は解決したようだ。深刻に悩まなかったのはBandaにとってありがたい。
そうこうしている間に公園に着いた。流石に滑り台やジャングルジム等の遊具は『Earth』や『Origin』でも変わりは無いようだ。
ただ一ageの冥がそれらの遊具で遊ぶ事は、まだない。Narumiとbabysitterのfemaleが公園に来ていたMama友やbabysitterと会話して子育てに関する情報交換をしている間ベビーカーで昼寝をするのが殆どだ。
「うちの子はやんちゃだからもう大変で、body partが持たないわ」
「やっぱり男の子は大変ね。でもうちのHiroshiったらgameに夢中で……」
「そう言えば最近のgameって、外に出ないと遊べないって聞いたけど――」
『平和ですねー。やはり俺がVandalieu main bodyではないせいで【Hell Demon Creator Path Enticement】の効果が抑えられているのか、霊が寄って来る事もあまりありませんし』
「わんわん~」
『Me-kun、あれはワンワンだった存在です。特に良くない雰囲気なので、声をかけたら危ないですよ』
そう言いながら、BandaはNarumiの顔を見ながら、彼女と話している主婦の一人に向かって、無造作に腕を突っ込んだ。
「うっ? ……変ね、疲れが出たのかしら?」
小さく呻いて戸惑う主婦のbody partにthrust入れた腕を、中身を探りながら動かす。
『既にwhole body Spirit Formですからこのまま……特に異常none。次……nerveの炎症、お薬出しときますね。次……深刻そうな肩凝りですね。解しておきますからお大事に』
次々に主婦のbody partに腕をthrust入れ、Spirit Formによる診察をする。そして腕と同じようにtongueを彼女達のbody partに挿入した後、極一部だけ【Materialization】。患部に適切な薬品成分を分泌し、簡単な治療を行っていく。
それが終わると、Bandaは短く呻いたり、急に腰の具合が良くなったり、「肩があぁぁっ」と喘いでよろめくMama友たちに戸惑っているNarumiをじっと観察する。
「皆-san大丈夫ですか!?」
どうやらNarumiは、Bandaの行動に気がついてはいないようだ。
『magicを使わなければ、この距離でも気がつかないか。じゃあ、暫くはskillとfragmentの力を中心にして行動すれば平気ですね』
【Demon King's sub-brain】と【Demon King's nerves】を使って他人のBodyを乗っ取るInfest型Demon King Familiarは、skillの使用に大きな制限を受けるが、BandaはVandalieu main bodyのsoul fragmentを使って創られた存在だ。
そのため【Materialization】skillを使えば、大体のskillを使う事が出来るだろう。
『Unique skillまで使う事が出来るかは分かりませんが。でも流石に試す為だけに他人を洗脳したり、魂を喰ったりするのはやり過ぎでしょうし』
「bandaa、まま、ずぶー?」
「Mamaがどうしたの、冥?」
『おkaa-sanには緊急に治療が必要な時以外、腕やtongueを突っ込んだりしませんよ。流石に気がつかれるかもしれないし』
そんな会話をNarumi越しにしていると、事件が起こった。良くない雰囲気の犬だった存在……犬の霊が突然飛び上がって、ジャングルジムで遊んでいたchildに噛みついたのだ。
『ぐる゛る゛る゛ぅっ!』
いくらここが治安の良い高Class住宅街でも、霊的な存在までは取り締まれない。しかし本格的な悪霊、Ghostとして生者の前に姿を現し、呪ったりMaterializationして噛みついたりといった事が出来るようになるずっと前の段階だ。
噛みつかれても傷つく事は無い。ちょっと足が滑る程度の、何て事はない不幸が起きるだけだ。
「わっ!?」
しかし噛みつかれたchildはtiming悪くジャングルジムを登っている途中だったので、足を滑らせて落ちそうになる。しかも、咄嗟にジャングルジムに掴まろうとして体勢を崩してしまった。
「わぁ~っ!」
そして落ちた。後頭部を下にして。
時間にして数秒の出来事なので、certainlyそのchildの親もNarumiも間に合わない。と言っても、ジャングルジムはそれ程高くは無い。体重の軽いchildがそこから落ちて後頭部を打っても、たんこぶが出来る程度で意外と平気かもしれない。
『ぎゃいんっ!?』
「っ!? ……?」
『でも、下手すると死んじゃいますからね』
その数秒の出来事に、犬の霊を蹴散らして間に合ったBandaは、柔らかいblubberを増やし更に衝撃をAbsorptionするfurで包んだ手をchildの後頭部と地面の間に差し入れたまま、そう呟いた。
落ちる瞬間に、その手だけを【Materialization】させたのである。
異変に気がついたchildの母親が駆け寄って来た。痛みが無く後頭部に触れたもこもことした柔らかい感触に戸惑うchildを抱き上げて、injureをしてないか確認している。
「bandaaっ♪」
それと交代で戻ってきたBandaをはしゃいだ-sama子の冥が迎える。
「打ち所が良かったみたいね。injureが無くてよかったわ」
「ええ、本当に」
childにinjureが無さそうな事に安堵するNarumi達の-sama子を見て、Bandaはなるほどと呟いた。
『やはりfragmentを操作するだけなら、Amemiya Narumiにも感知されないみたいですね』
Bandaにとって最優先すべきは冥だ。更に、冥以外には自分の存在は出来るだけ隠し通さなければならないとも思っている。他人の命を守る事でも、ましてや正義の実践でも無い。
しかしそれは冥以外の誰も助けず、何もしないで見捨てると言う事では無い。
『力ある者には責任が伴う……なんて考え方は嫌いですし、Me-kunに教えるつもりはありません。ですが簡単に人を助けられるのに、それをしない俺の姿を見せ続けるのは教育上問題です。これから彼女が身に付けるべき社会的道徳や情緒、他人に共感するAbilityの発達に大きな障害になるかもしれない』
誰にでも優しいphilanthropy主義者になる必要は無いが、出来れば明るくて人を思いやれる女の子に育ってほしい。
……単にVandalieuと同じ性格のBandaが、見捨てるのに抵抗を覚えるからという事もあるが。
『それに、どうせ俺の存在はかなり高い確率で数年内にばれますからね』
そう言って溜め息をつくBandaが見つめるのは冥の母親、Amemiya Narumi……他人とEmotionalに繋がりMemoryやfive sensesを共有できる【Angel】のAbilityを持つReincarnatorだ。
Kanako達から聞いた彼女の力を冥に使えば、Bandaの存在はあっさりばれる。
Narumiも無意味に娘に力を使う事は無いだろうが……娘にしか見えない謎の友達の存在に疑問を覚えれば使うだろう。
そうならない場合もあるが……今度は冥の特異性に周囲のHumanは気がつくはずだ。
「ワンワン?」
『大丈夫、悪いワンワンは俺が脅かしたら何処かに逃げて行ったから』
彼女はdeath attributeの適性を持っていて、しかも霊的な存在が見える。
Plutoの力を胎児のconditionで受けたのが原因なのか、冥は『Origin』ではもう一人もいないはずのdeath attributeの適性を持っている。何故そうなったのかBandaには分からないが、事実は事実である。
それがどれくらいのものなのかは分からない。Pluto達のように、magicを一つだけ特殊Abilityのように使えるだけなのか、Vandalieuのように【Death-Attribute Charm】まで獲得して複数のmagicを取得し使う事が出来るのか。
しかし、それが判明すればworld中が彼女に注目する。【Braver】のAmemiya Hirotoと【Angel】のNarumiの娘である以上、いきなり捕まる事は無いだろうが……Death-Attribute Magicを習得する事を目的にしている【Avalon】のRokudou Hijiriが黙っている事は無いだろう。
その結果起こるtroubleによって、やはりBandaの存在は明らかになるだろう。
『俺よ……別に恨む訳じゃないけど、こっちも状況がhardです』
「bandaa」
『ところでMe-kun、Me-kunではなく冥-chanと呼んだ方がよくないですか?』
「う……うぅ~っ」
「どうしたの、冥? 急に泣きそうになって……お腹が減ったの? 眠い?」
『分かりました、これからもMe-kunと呼びますね。ほーら、antennaですよー』
RodcorteのFamiliar Spiritに、つまり天使になってから数年が経ったMachida AranやShimada Izumi、そしてEndou Kouyaは、Circle of Reincarnation systemのmaintenanceをある程度行う事が出来るようになっていた。
本格的な調整は無理だが、発生したerrorを解決する程度は出来る。その程度だ。
『何とか鎮まったわね』
『まさか『Origin』の方でerrorが起きるとは……Undeadの大量発生でもあったのか?』
そのお蔭で、突然errorを起こしたCircle of Reincarnation systemのmaintenanceを行う事が出来た。
『もしUndeadの大量発生なら一大事だがその-sama子は無いよ。Rokudouのrecordを見ても、death attributeの実験を行った-sama子はない』
『じゃあ、いったい何が起きたの? 『Origin』にはVandalieuはいないのよ』
Circle of Reincarnation systemに重篤なerrorやBugを起こさせる原因は、Vandalieu。Rodcorteだけでは無く、泉達にもそんな認識があった。
Rodcorteのsystemは本来完成度が高く、定期的にmaintenanceさえしていればVandalieu以外の原因でerrorやBugが起きる事は無いのだ。
『そうだよな、幾らあいつでもanother worldからanother worldに飛び回るなんて事は……前言撤回。おい、Josephのrecordを見て見ろ』
『何かおかしい事でもあったのか? 確かに急に不眠症や幻聴幻覚が快方に向かったのは、大きな事だと思うが』
『違う、夢だ。夢のrecordを見て見ろ!』
『夢?』
RodcorteのCircle of Reincarnation systemを通して見る人々のrecordには、個人が見た夢のrecordも含まれている。ただ、不stabilityで理不尽な夢のrecordだ、Rodcorteはcertainly、泉達も滅多に見る事は無かった。
だがAranに言われてrecordを見た泉とKouyaは、絶句して硬直した。
Josephの夢のrecordはその時だけとても明瞭で、細部まで見分ける事が出来てしまう、countlessの人体やDemon King Fragmentで構成されたbody partのgiantの姿が在った。
『これは……何だ? 姿の割に、何と言うか……』
『Josephをとても気遣っているように見えるわね。この甲高い鳴き声は……言葉なの?』
どうにか思考を再開させた二人は、異形のgiantに関して分析しようとした。ただJosephが凄まじい悪夢を見ただけでは無い。それにしては、このgiantの存在感は異常だ。
誰もすぐにその正体がVandalieuだとは気がつかなかった。それまでRodcorteもそうだが、Humanが起きている間のrecordばかり見て、夢のrecordはほとんど見なかったからだ。
しかし、推理を繰り返していく内に彼以外には無いだろうと言う確信が深まっていった。
『……maybe、Vandalieuだ。Rokudouの実験に使われている被害者のrecordも見てみたが、被害者たちもJosephと同じnight、同じ夢を見ている。【Metamorph】もだ』
『これがVandalieu? 『Lambda』にreincarnationする前は、death attributeのManaを纏っている事以外は人の姿形をしていたと聞いたけど……待って、じゃあさっきまでのerrorはJoseph達の魂が導かれたからなの?』
『Lambda』と同じ事が『Origin』でも起きたのかと驚く泉だったが、Kouyaが『いや、まだ導かれてはいない』と答えた。
『Josephたちが導かれたなら、私達は彼のrecordをもう見る事が出来なくなっているはずだ。だから、まだそれは無い。恐らく、Kanako達のように複数回の接触が必要なんだろう。
だから次に同じ事が起きなければ、Joseph達はRodcorteのCircle of Reincarnation systemに留まるはずだ』
『次、か』
その次は絶対に、起きる。そうKouyaとAranは確信していた。一度another worldのHumanの夢に現れたのだから、それを妨害出来る存在がいない以上、Vandalieuがまた同じようにJosephやMari達の夢に出る可能性が高い事は明らかだった。
それを察していてもどうする事も出来ず、更にJosephやMari……特にMariにとっては導かれた方が幸せだろう事も分かるので、Aranは自虐的な笑みを浮かべた。
いっそ毎night毎night夢に出てくれないかなと。
『まって、ならerrorは何故起こったの? Joseph達がimpactを受けただけでまだ導かれていないなら、errorは起きないはずよ』
だがそんな笑みは泉の言葉を聞いて吹き飛んだ。
『確かにそうだ。もしかしたら誰か導かれた奴がいるのか』
『Reincarnatorじゃない。recordを見る事が出来るのは、もう全員確認してある。Plutoのfanの方か?』
『その辺りはRodcorteも注意を払ってなかったから、どれくらいいるのかも分からないものね。確認するわ』
systemを使って調べ出すAran達だったが、Pluto達『The 8th Guidance』を信奉する者達のrecordは全員見る事が出来た。
なら一体誰が導かれたのか。手がかりを無くしたAran達は、Joseph達の夢のrecordを改めて見直した。
すると【Metamorph】のShihouin Mariの夢に行きついた。
『もしかしたら、Vandalieuは誰かと会話しているんじゃないのか? この黒い何かと』
『これは、childか? child……もしかしたら!』
Aranは慌てた-sama子であるrecordにaccessしようとして……出来なくなっている事に気がついて確信した。
『Kouya、泉、誰が導かれたのか分かった。AmemiyaとNaruse、二人の娘の冥だ』
『そっちか。……たしかに、recordが見られなくなっているな』
『まさか彼女だなんて……ノーcheckだったわ』
Kouyaや泉達が『Origin』で生きている者達の内、頻繁に-sama子を見ていたのは自分達と同じReincarnatorと、その周囲の関係者、そして『The 8th Guidance』の崇拝者達のrecordだ。冥は全くのノーcheckだったのである。
冥もAmemiya HirotoとNarumiのchildである以上関係者でもあるが、何分まだ一ageだ。彼女自身のrecordを見るより、両親であるAmemiya coupleやbabysitterのrecordを見た方が情報を得やすかったのだ。
『あいつも意図的にやっている訳じゃないだろうが……どうする? Rodcorteのbastardは気がついてないはずだが』
『会談中だからね。……Aran、Rodcorteは帰って来た後気がつくと思うか?』
『いや、俺達が言わない限り気がつかないだろうな。errorはもう修正したし、導かれたのはReincarnatorじゃなくてその娘だ。奴の関心の外だ』
Reincarnatorが持つAbilityは、魂由来の力だ。そのためbloodによって遺伝しない。
Body的な素質は普通に遺伝するし、『Origin』ではattributeの適性は両親と重ならないが、magic的な素質は遺伝がimpactすると言う説が一般的だ。
だがbody part Abilityとmagicの素質はRodcorteにとっては重要では無い、あの神が重視するのは、Abilityである。
実際、『Origin』でも『Lambda』でもbody part Abilityとmagicの腕と素質だけならReincarnator達より優れた者がいない訳じゃない。『Thunderclap』のSchneiderや、『True』Randolph等がそのいい例だ。
だから両親から優れた素質を受け継ぐかもしれないが、Amemiya 家のchild達Hiroshiと冥にRodcorteは無関心だ。
『……じゃあ、黙っていましょう。あいつが帰って来た後私達のrecordを事細かに調べたら、露見するけど』
『どうせそんな暇は無いだろ。もしかしたら、Josephが導かれるまで気がつかないかもな』
Rodcorteは、これからReincarnatorを対Vandalieu用の戦力としてAlda's Factionに提供する。そのために、Reincarnator達に言う事を聞かせるための仕掛けを施す筈だ。
反抗的なReincarnatorをMemory Lost――自分の事はname以外思い出せないが、身に付けた格闘技やAbilityは使えると言う都合の良いcondition――にして、reincarnation先をAldaのtempleにする。そして大人のbody partでreincarnationしたReincarnatorは、何も分からないまま、Alda教のClergymanに「おお、よくぞ参られたChampionよ!」と持ち上げられながら都合の良いChampionとして刷り込まれる。
そんな手段を実用化するために。
Rodcorte単独では、経験や技術だけを残してMemoryを消すような器用な事は出来なかった。しかし、Alda's FactionのGodsが協力するならそれも可能だ。
Reincarnator達がRodcorteのCircle of Reincarnation systemに属し続けているのなら。
『いっそのこと、みんな導いてくれると助かるんだけど……それを言うのは幾らなんでも厚顔無恥よね』
『俺達はあいつを殺した側だからな。Rokudouはcertainly、Amemiyaも絶対導かれないだろうし……』
『ともかく、今はsystemの理解を深める事に集中しよう。あまり私達がAmemiya Meiに注目していると、気がつかれかねない』
『Origin』でBanda -kunが冥-chanをantennaであやしている頃、『Lambda』のVandalieuは若いBeast raceのGuard、Kestの勧め通り『Starling Inn』にroomを取っていた。
『Starling Inn』は新米adventurerや新人peddler、immatureなBard等が主に利用する宿だ。売りは裏通りの木賃宿並の価格設定で、それなりに清潔なroomに泊まる事が出来て、朝食にcup一杯の水と硬いbreadが出る事である。
そして、大roomで一泊十Baum。
あの汚職GuardのAggarに渡した賄賂と同額である。
「何故でしょう、凄く損した気分です」
「……やっぱり肥料にするかい?」
「気のせいでした、全然損はしていません」
耳の中から聞こえるEisenの声に小声で返答しながら、Vandalieuはそれらしく見えるよう形だけ整えた荷物を置く。
ここは複数の客が雑魚寝する大roomだが、まだ昼間であるためVandalieuしかいない。……いや、Bardらしい男が楽器を入れたケースと添い寝するように眠っている。
『幾ら勧められたからって、言われた通り安宿に泊まらなくても良かったんじゃない? この大roomってnameの小room、アタシが脚を広げたらそれだけで一杯になっちゃうよ』
『そりゃあ、Orbia -sanの脚は長くて八本もあるから……でも確かに天井が低いですね』
ScyllaやGiant race出身のGhostであるOrbiaやPrincess Leviaが、それぞれの感想を述べる。
「certainly勧められたからじゃありません。浮浪児と間違えられないよう、念のためにroomを取っただけです」
そしてVandalieuのような貧しい身なりのchildが怪しまれず泊まれる宿は、安宿だけだったのだ。
「とりあえず商業guildに登録するための準備を整えて、家を借りるまでの仮拠点です」
目立たないようMoksiの町に入ったVandalieuだが、このままずっと目立たずにいようとは思っていない。
商業guildに登録するために必要な商売を始める準備をして仮登録を済ませ、不動産屋でボロ小屋でも良いから家を買う。
そして三か月間Food Stallで串焼きでも売って過ごすのである。
普通に既存のChamber of Commerceに雇われて働くと自由が効かなくなるし、拠点が安宿ではOrbia達と気兼ねなく会話を楽しみ、MilesやEleonora達と会うのは難しい。
そして、Murakami達が町中で仕掛けて来た時に宿に迷惑をかける。
certainly社会的な立場がweak事によって起きる信用問題は、Miles達からの情報と金銭によるゴリ押しで黙らせる。既に金さえあればFood Stallを譲ってくれそうな男や、家を売ってくれる不動産屋の目星はついている。
しかしそれらの事をまだchildで身寄りが無い筈のVandalieuが行うと、何をどうしても目立つのだ。
だから町に入った後は、ある程度目立っても仕方ないと考えていた。
「順調に事が進めば、泊まるのは今日だけで済むでしょう。三か月後には、Human社会での身分か、MurakamiとBirkyneの首のどちらか、若しくは全てが手に入るでしょう」
「なるほど……では、早速Food Stallの購入に出かけるので? それとも一度Talosheimに戻ってJob changeしますか?」
Vandalieuは丁度Moksiの町に入った直後に『Spirit Warrior』の百levelに到達していた。恐らく、TalosheimのDemon King Familiarが稼いだ経験のimpactだろう。
「Job changeは商業guildでしようかと。ただ、その前にanother worldの俺がどうなっているのか、交信できないか試してみようと思います」
既に夢での出来事はGufadgarn達にざっと話してある。そこでCloneを作り、そのまま別れた事も。
それはVandalieuにとっては、「ここでお別れかもしれないし、寂しがっているから」と言う何気ない理由で行った事だったが……『Evil God of Labyrinths』Gufadgarnが絶句する程の事だったらしい。
「そうですね、至急確認すべきかと。何せ、魂を分けたのですから」
そう、VandalieuはClone……Bandaを作るのに自分の魂を分けたのである。常識なら、Godsにしか出来ないはずの事をやってしまったのだ。
ただVandalieuの調子に変化は無かった。Vandalieuはバラバラに砕かれたChampion四人分の魂をRodcorteが強引に一つに纏めた魂を持つため、多少魂を分けても平気だったのではないかと言うのがGufadgarn達のconjectureである。
「まあ、StatusでManaの最大値が一億程減っているのは確認しましたけどね。せめてそれが向こうのCloneに行っていると良いんですが」
【Mana Enlargement】skill分も含めると一億五千万もManaが減った事を嘆きながら、Vandalieuは瞑想する-samaに目を閉じた。
「body partの方はよろしくお願いします」
そして意識を集中する。
だが、やはりいくら念じても呼びかけても『Origin』に居るはずのCloneを、Vandalieuは確認する事が出来なかった。
しかし body partの感覚が薄くなって行くのを覚え、気がつくとVandalieuは見覚えのある山地に立っていた。
「……ここは『Origin』じゃない。このworldの、旧Scylla Autonomous Territory」
『Origin』にも似たような場所はあるのかもしれない。しかし、見間違えようがなかった。確かにあの時の……『Liberating Princess Knight』Irisが致命傷を負わされ、『Five-headed Snake』のErwinを殺した場所だ。
Mentalを集中するあまり過去のMemoryに入ってしまったのかと思ったVandalieuだったが、そうではない事に気がついた。
何故なら、彼の周りにはあの時とは違う光景があったからだ。
『……』
黒いGiant剣を肩に担いだ『Sword King』Borkus、そして横には当時はまだUndead Transformationしていないはずの『King Slayer』のSleygarが首筋の縫い目を弄っている。
その向こうには、当時Vandalieuが来た時には既に致命傷を負っていたはずのIrisが無傷のconditionでResistanceのWarriorやGhoul達と共に立っている。Ghoulの中にはあの時いなかったはずのVigaro、Zadiris、Basdiaまでいる。
更にIslaとVampire Undeadで構成されたDark Night Knights、EleonoraとBellmond、Miles。最後にLegionが浮かんでいた。
皆、一言の言葉も発しようとはしない。
「これは一体……周囲に霊の一匹もいないし 皆も少し大きいし幾つか装備が古い。IrisはHumanの頃の姿だし それに明らかに雰囲気が違いますし……違う、俺が十センチ以上小さいのか」
Vandalieuは自分に対して無反応な皆や、普段は周囲に満ちている霊の姿が無い事に戸惑っていたが、ふと自分が縮んでいる事に気がついた。
「成長期前に戻っている……皆も丁度その頃か、更に幾分古い装備になっている。そう言えば、少し前これと似たようなconditionになる夢を見た」
その時、山道の何も無いspaceが揺らめくと、通路が出現した。
それと同時にBorkusが剣を構え、Sleygarが跳躍して姿を消し、IslaやEleonora、Bellmond、Miles、そしてLegionが動き出し、IrisとResistance、そしてGhoul達が飛び出す。
そして出現した通路に淡い光を放つ五人の人shadowが現れた。先頭のSwordsmanが叫ぶ。
「【百光万断ち】!」
Swordsman……Heinzの放った、凄まじい連続した斬撃によってIrisやResistanceの面々が為す術も無く切り倒された。
そしてまだ無事だったVigaro達に、Heinzの代わりに飛び出した女拳士のJenniferや盾職のDelizah、そしてscout職のEdgarが飛び出していく。
「やっぱりここは団体-sanか! あのNeck-Hunting Demonもいるかもしれない、油断するなよ、Edgar!」
「それよりも、あの子がいる! Daianaは私から離れないで!」
「こいつは、通路で【Heroic Spirit Advent】を使っておいてよかったな。Neck-Hunting Demonは任せろっ、Heinz、確かめるのは良いが油断も躊躇もするなよ!」
そう言いながら、彼女達はGhoulを蹴散らして行く。本物よりもずっとweak VigaroがDelizahのMaceに臓物を潰され、BasdiaはJenniferの拳で頭を砕かれ、Zadirisは呪文を唱える暇も無くEdgarに喉を射抜かれて倒れる。
「……分かっている」
そして苦しげな顔でそうEdgarに返事をしたHeinzが、Resistanceの生き残りを一撃でSlash倒した。
それを眺めながら、Vandalieuは足元に転がって来たIrisの首を拾い上げた。
角も無く肌も白い、やはりHumanの頃のIrisだ。
「……本物そっくりな偽物ですね」
そう、この切断面からbloodを垂らし、触れればまだ温もりが残っているIrisの生首は偽物である。
何故ならHeinz達に彼女達が殺される時、【Danger Sense: Death】に反応が無かった。何より、【Guidance】や謎's Divine Protectionの繋がりを全く感じない。
そして倒された今も、霊魂の姿が無い。
つまりこれは魂も命も無い、精巧な偽物である。
いつか夢で見たGubamonやTerneciaと同じ……。
「気がつくのが遅れましたが、これがHeinz達の受けていると言う試練ですか。それで何故俺が試練の側に混じっているのかは謎ですが、こんな試練を出す神も受けているHeinzも……不快極まりない」
《【Abyss】skillのlevelが上がりました!》