『God of Law and Life』Aldaは、当然だがemotionsよりreasonを優先する神だ。少なくとも、理と論を持ってemotionsを制するべきだと考え、説いている神である。だがそれを常に実践できる訳ではない事も、自らの経験から知っていた。
しかし Aldaがemotionsを抑えられなかったと、自覚している出来事は多くは無い。Demon King Guduranisによってbrothersに等しいGodsが倒され、消滅した時。Vidaが自ら管理するCircle of Reincarnation systemを構築し、穢れたraceを産み出したと知った時。
『貴-sama……何を考えている!? このworldの支配者にでもなったつもりか!』
そして今、God of Reincarnation Rodcorteが自ら行った事も含めて、Aldaが知らなかった数々の事実を暴露した時だ。
何度怒りのあまり怒鳴り声を上げたか分からない。そしてRodcorteが発言を終えた次の瞬間、一際大きな怒号を発していた。
Divine Realm全体を揺らす凄まじいAldaの怒りに、会談に出席している周囲のGodsは思わずbody partを強張らせた。
『支配者になったつもりは無い』
しかし怒りを向けられている張本人であるはずのRodcorteには、動揺した-sama子は無かった。
『ただ私が長年訴えていた事を無視し続ける-kun達に対して、不満があったのは事実だ』
『不満があったから、力を与えたanother worldの住人達を、そしてかつてのZakkart……Champion達のsoul fragmentから創った魂を持つVandalieuをこのworldにreincarnationさせたと言うのか!?』
『Vandalieuの件に関しては、確かに私の落ち度だった。彼がかつてChampionだった魂を持つ存在だと気がつくchanceが幾度もありながら、それを無駄にした事は責められてしかるべきだろう。だが、それは本来問題にならなかったはずだ』
言葉の前半では詫びつつも、後半では自分に非は無いと主張する。その面の皮の厚さに、Aldaも思わず怒りを忘れ絶句してしまった。
『問題に成らなかったはずだと!? 気でも触れたか!?』
『……現在の状況を理解しているなら、とても出てこない言葉だ』
代わりに反応したのが、『God of Ice』Yupeonと『God of Judgement』Niltarkだ。それぞれVandalieuにSpirit CloneやFamiliar Spiritを砕かれた神である。
二柱に追随して、他のGodsもRodcorteの物言いに不満を露わにする。
現状、VandalieuはAlda達にとって無視できない脅威になっている。その力はHumanとしては凄まじいが、まだGuduranis程の力は持っていない。だが、社会的な危険性はGuduranisを超える。
生者と死者の境界を曖昧にし、Vida's New Racesを次々に纏め、another worldの知識と技術を持って人々を惑わしている。
Vandalieuがやっている事は、客観的に見れば完全に悪とは言い切れないのかもしれない。しかし Aldaが敷く秩序では、そしてAldaが目標とするworldを正しいconditionに戻す……Demon King Guduranisが現れる前の、monstersが存在しない清浄であり、正常なworldに戻す為には明らかな害悪だ。
何故ならmonstersであるUndeadはcertainly、Majin RaceやScylla、Vampire等のRankを持つVida's New Racesはその身に穢れたManaを纏っている。そのため、それらのraceが大勢暮らす土地は徐々に汚染され、monstersが闊歩するDevil Nestsと化してしまうのだ。
今ではGiant raceやBeast race、Dark Elf等Rankを持たないVida's New Racesは、不stabilityで何が起こるか分からないVida式Circle of Reincarnation systemを廃すれば存在を認められると分かったが、Rankを持つ新raceは決して認められない。
極少数なら生かしておき、Vida式Circle of Reincarnation systemを廃した後その魂をFamiliar Spirit等に昇華させるなどして保つ、特例措置を取っても構わないが。
しかし RodcorteによるとVandalieuはそのCircle of Reincarnation systemにまで干渉し、彼やDemon KingのCircle of Reincarnation systemから属している魂をVidaのsystemに導いていると言う。
最早存在するだけでAlda's FactionのGodsが信じる秩序を踏み躙っているに等しい。
『それが問題無いと言うのか!?』
『事実、問題では無かったのだ。先ほど説明しただろう、私がVandalieuを『Lambda』にreincarnationさせた時の状況は。本来なら彼はHumanかElfかDwarf、又はそれらのハーフとして不遇な環境に生まれ、高い確率でMemoryと人格を取り戻す前に死ぬはずだった。
だがVandalieuはDhampirとして生まれた。当時は何故か分からなかったが、今なら分かる。VidaやRicklent、Zuruwarnが干渉したからだ』
Vida、そしてRodcorteが暴露するまでまだ眠っていると思われていたGreat God二柱のnameにYupeonとNiltarkの追求が止る。
『私はVandalieuにCurse以外の何も与えていない。であるのに本来よりもずっと早くMemoryと人格を取戻し、Ghoulを率いてBoundary Mountain Rangeを越え、今まで生き残って来たのはVida達の助けがあったからだ。そうとしか思えん』
Rodcorteの言葉に、Godsは表面上無言のままだったが内心では納得していた。Vandalieuの置かれていた状況は、Godsから見てそれ程過酷なものだったからだ。
そして証拠はないが、実際RicklentやZuruwarnはVandalieuがreincarnationする百年程前からVandalieuを助けるために動いており、彼等からOracleを受け取ったVidaやGufadgarnも動いていた。
Rodcorteの言葉には説得力があった。
ただそれを言っているRodcorteは、「もしそうだったらこの場でAlda達を納得させるのに都合が良い」と考えた話を口にしているだけなのだが。Vida達がどのtimingから動き出していたのか、そして具体的にどれ程Vandalieuに力を貸したのか、彼は殆ど知らないのだから。
知っているのは、VandalieuをDhampirとしてreincarnationさせた事と、【Gazer】のMinuma Hitomiと『The 8th Guidance』のmemberの魂を奪って彼のすぐ近くにLegionとしてreincarnationさせた事だけだ。
しかし、こじつけにはそれだけ知っていれば十分。
『私に責任が無いとは言わないが……『Lambda』のGods諸-kun、特にAldaには監督責任があるのではないだろうか? 脅威を進んで招き入れたのは、-kunのbrothersたちなのだから』
その物言いに、Aldaは内心で怒りが再び大きくなるのを覚えたが、同時にそれが不毛である事にも気がついた。
(Rodcorteに幾らemotionsをぶつけても無駄だ。この冷静さの皮を被ったarroganceな神には)
RodcorteがAldaの怒りに対して動じないのは、それが直接自らに降りかかる事は無いと知っているからだ。Circle of Reincarnationという重要事項を司り、しかしこのworldに属していない神Rodcorte。彼はその気になれば、いとも簡単にこの『Lambda』から逃げる事が出来る。
もし運良く捕えてsealed等罰を与える事が出来ても、彼の代わりにCircle of Reincarnation systemを管理できる神は『Lambda』に存在しない。それどころか、RodcorteがCircle of Reincarnationを司る他のworldのGodsが、己のworldを維持するため彼を奪還しようと『Lambda』に攻撃を仕掛けてくる可能性すらある。
そうAldaは考えていた。
実際には、RodcorteはVandalieuがBoundary Mountain Range内部でその存在を広めたため、『Lambda』の神となってしまっている。だが、Rodcorteがそれを隠しているためAldaには知りようが無かった。
『……責任の一端があると認めるのなら、Vandalieuの討伐には協力するのだな?』
怒りを飲み込んでそう尋ねるAldaに、Yupeon達の驚きの視線が向けられる。
『certainlyだ。Reincarnator達に協力する-samaに働きかけよう』
『そのReincarnator達にも、条件がある。another worldの知識と技術について我々が禁忌とする物をこのworldのHuman達に伝える事は、禁止とさせてもらう』
『それで構わない。Reincarnator達には私から言って聞かせよう』
本来排除すべきReincarnatorを戦力として認めると、暗にAldaが口にした事でYupeon達の驚きはさらに大きくなった。
『Alda、良いの? 確かに、彼等を排除する事は不可能だと思うけれど』
元Championであり、Wind-AttributeのHeroic God Nineroadが尋ねると、Aldaは『不本意だが』と言いながら頷いた。
『汝の言う通り、Reincarnatorを排除するのは不可能だ。Rodcorte自身も止める事が出来ないのなら、尚更』
Reincarnatorがreincarnationする際、その場所と親についてRodcorteから聞き出す事は簡単だ。しかし、その後どうやって排除しろと言うのか。
Eileekと言う素質ある少年をAlda Grand TempleのPopeに据える事には成功した。彼にならOracleで細かい指示を与えても逃さず理解できるはずだ。しかし、だからと言って赤子の抹殺Orderを何度も出す訳にはいかない。
Reincarnator達は全員Rodcorte’s Divine Protectionと【Fortune】、そして【Destiny】を与えられている。reincarnationの前に微調整は出来るが、基本的に取り上げる事は出来ない。
そのため、Reincarnator達は多くの場合幼少期の間に死ぬ可能性の低い経済的に裕福な両親の元に産まれてくる。つまり、成功した商人やadventurer、Noble、そして王族である。そんな家に生まれたchildを簡単に殺せるはずがない。
実際、既にreincarnationさせたReincarnatorの内三人はRoyal Nobilityの両親の元にreincarnationしたらしい。
『Aldaよ、Human達に排除すべき者達がanother worldからのReincarnatorである事を伝えてはいかがですか? 既にanother worldの知識と技術が禁忌である事を、我々のbelieverなら知っているはず。それでも苦渋を強いる事になりますが、最終的には受け入れてくれるのでは?』
『『Goddess of Sleep』Millよ、平時にAmid Empireのような我々を信じる強固な基盤の在る国なら、それは可能だったやもしれぬ。だが、今は不可能だ』
OracleでEileekなどにReincarnatorについて説明する事は可能だ。だが、それを人々に伝える過程で納得しない者が一定の割合で出る事は避けられない。
今のAmid Empireなら、そうした納得しない者達をMashkzar Emperorが若いPopeへの抵抗勢力に仕立て上げるだろう。あのEmperorなら「若いPopeはimmatureさからAldaの神意を誤って解釈している」と、上手く人々を扇動するはずだ。
そしてOrbaum Elective Kingdomのような国の場合は、単純にAlda教以外のbelieverが抵抗勢力になる。
『確かに、そう言った面倒な事をするよりも、戦力として仲間に引き入れた方が良さそうだ』
『Rock Giant』Gohnの言葉に、多くのGodsが同感だと頷いた。
『理解してもらえたようで何よりだ』
そう言うRodcorteが、Reincarnator達に大人のbody partとVandalieuと同-samaのCurseをかけ、予め指示を与えて配置したCleric-warriorやKnightが取り囲んでいる地点にreincarnationさせれば、Alda達は彼等を始末できるかもしれない。
それにはAlda達も気がついている。
しかし、Rodcorteがそこまで協力するか疑わしかった。それにCheat Ability自体は取り上げられないので、やはり万が一逃げられる可能性があり、その場合第二のVandalieuと化すかもしれない。
そんな面倒な危険を冒すぐらいなら、最初から戦力として取り込むべきだ。それがAlda達の認識だった。
『では既にreincarnationしているReincarnatorについて説明しておこう』
Godsの話し合いはRodcorteのpaceで、それからも暫く続いたのだった。
ただRodcorteは、そのせいでOriginに異変が起こっている事に気がつくのがだいぶ遅れてしまった。その分Aran達三人のFamiliar Spirit達がerrorを告げるsystemの対応に追われる事になった。
彼は定期的にカウンセリングを受けていた。度重なる過酷な、そして危険なmission。特にMemoryに新しい『The 8th Guidance事件』では、十年以上の付き合いだった同僚を何人も喪った。
彼のMentalは追い詰められ、自殺をほのめかすようになっていた。カウンセラーが入院を勧める程、conditionは悪くなって行った。
「Joseph -san、今日は調子が良さそうですね」
しかしこの日カウンセラーの前に現れたJoseph Smithはとても落ち着いていて、まるで全てのstressから解放されているかのように見えた。
「ええ、このところ睡眠薬noneでもぐっすり眠れるんですよ」
Joseph……前世の名を墨田城、城のように大きく立派な男に成れと名づけられた、Murakamiとは別のclassを受け持っていたInstructorだった。そして現世では【Druid】のCodenameを持つ『Bravers』の一員である。
originally彼は温和で、他人を傷つける事が出来ない気の優しい男だった。『Bravers』に参加した時も、神から与えられた力で災害rescueやFarming支援等をして、人々の助けになればと言う使命感からだった。
だが、人を殺す覚悟を決めていた訳では無かった。
繊細な彼のMentalは、【Gazer】のMinuma Hitomi程では無いにしろ傷つき、追い詰められていた。自分が殺したterroristや、守れなかった人々から責め立てられる悪夢や幻聴、幻覚に怯え、強い睡眠薬noneでは眠れない程になっていた……はずだった。
「それは良い兆候ですね。何か気分を変えるような事がありましたか?」
「ええ、夢を見ました。とてもGiantな何かから、そのbody partの一部を受け取る夢を。訳が分かりませんよね? でも、その何かを受け取ったお蔭で、私はとても楽になったのです」
そう答えて微笑むJosephは、「悪夢は見なくなったけど、あの夢ならもう一度見てみたいな」と続けた。
「もう一度夢で会えれば、私も一緒に行ける気がするのですよ。何処か、安穏と過ごせそうな暗い場所に」
「それは……もう少し詳しく聞いても良いですか?」
Josephの言葉に不穏なsignを感じたカウンセラーに尋ねられ、彼は覚えている限りの夢の詳細と、最近の現実での出来事を説明しなくてはならなくなった。
彼以外にも、『夢で形容しがたい何かから、何かを貰う夢を見た』とカウンセラーや医師に話す人々が数十名、world各国に現れる事になる。
この現象を心理学的に分析し研究しようとする者も現れたが、その努力が実る事は無かったと言う。
【Avalon】のRokudou Hijiriは、腹心の一人である秘書から妙な報告を受けていた。
「Emotionalに追い詰められていた『Bravers』数名と『The 8th Guidance』believer達、そして実験体達が同じ夢を同時期に見た?」
聞き返された秘書のfemaleも困惑しているのか、迷いの浮かんだ顔で報告を続ける。
「はい。夢の内容に差異はありますが、概ね『何処か分からない場所で、Giantな名状しがたい存在からbody partの一部を分け与えられる』というものでした。受け取った部位の多くは目や口、中にはbloodを飲んだだけの場合もあるようです」
「それは……偶然とは言い難いが、だとしたら何が起きている?」
秘書が報告した夢は、普通なら悪夢と形容される部類のものだ。それもかなり珍しい内容で、そうそう見る事は無いだろう。
それが同時期に……Rokudou Hijiriが日頃から注意を払っている者達の何十人かが見るとは、奇妙に思える。思えるのだが、具体的に何が起きているのか彼には分からなかった。
『Undead』がReincarnator Amamiya Hirotoである事に気がついたRokudouだが、流石にそのAmamiya Hiroto(Vandalieu)がanother worldからやって来て、夢に現れたのだとIntuitionする事は無かった。
「夢を見た者達はEmotionalにstabilityし、特に【Druid】は不眠症が完治したとカウンセラーに話しています。実験体達もBody的には変化有りませんが、Emotionalにはとても落ち着いたconditionにあります」
実験体とは、Rokudou Hijiriが秘密裏に進めているDeath-Attribute Magicの研究に使っている実験動物……違法な手段で手に入れた、表向きには殺したように偽装したterroristや、死刑囚、そしてhomeレスやStreetチルドレン等だ。
各国の協力者から伝手を通じて手に入れた貴重な人体実験のSampleであるため簡単に減っては困るから、そして間違っても『The 8th Guidance』の時のように何時の間にかDeath-Attribute Magicを身に付ける事が無いように、彼等のconditionは常にモニタリングしていた。
流石に夢の内容まではモニタリングできないが、同じ時期に目覚めた後、彼等がEmotionalに落ち着いている事は観測する事が出来る。
「実験体のManaの分析は済んだのか?」
「はい。こちらに纏めてあります」
秘書から差し出されたreportを見ると、実験体のattributeの適性には変化が無く、またManaの量も夢を見る前と変わっていないようだ。
「この夢の件については各国の諜報organizationも気がつくかと。『The 8th Guidance』believer達が、SNSやブログ、個人サイト等で広めているので。『Undead』が我々の夢の中に現れたのだと、俗に言う祭conditionです」
「……彼等は自分達がterroristを崇拝する危険団体として、各国の諜報機関にmarkされているという自覚は無いのか?」
『The 8th Guidance』believerとは、壊滅した『The 8th Guidance』、特にPlutoを崇める集団だ。とは言え、犯罪organizationでは無い。
主にPlutoやBaba Yagaを崇める彼等は、普段は大人しい。精々death attributeの研究を全面的に禁止する条約に加わるよう、デモ行進するぐらいで大人しい集団として認知されていた。
「……心理学の専門家に彼等が見た夢について分析させよう。death attributeに関係があるかもしれない。
『The 8th Guidance』は、『Undead』……Amamiya Hirotoからdeath attributeのManaを与えられた可能性が高い。それと夢の内容に共通点があるように思える」
「畏まりました」
「それと、三日後の大統領のpartyだが『私』が出る事にしよう」
「『彼女』では無く、ですか?」
「そうだ。あまり表舞台に出ていないと、表向きの自分を演じる時に支障が出る。幾ら彼女がShape-Shift自在だと言っても、私はそうもいかないからね」
まるで選挙活動中の政治家のように、『Rokudou Hijiri』は聴衆とcameraが見つめるStageの上で演説を行っていた。
「確かに我々『Bravers』は間違いを犯しました。我々の判断が遅れたために、力が及ばなかったために、despairに沈んだ人々は、数え切れません!
ですが、だからこそ我々は歩みを止める訳にはいかないのです。国際秩序を乱すterrorist、終わらない自然災害、それらと戦うために我々『Bravers』を今一度信じてください!」
拍手が上がり、「頑張れよ」、「応援してるわ」等の激励の言葉が『Rokudou Hijiri』に掛けられる。
『Bravers』の人々からの信用は、『The 8th Guidance』事件で一度は堕ちた。しかし、United StatesのDepartment of DefenseがPlutoの溜め込んだ死のrunawayで壊滅conditionに陥ったのをAmemiya Hirotoが解決したのを機に持ち直した。
『The 8th Guidance』のmemberの遺体を回収してdeath attributeの研究を再開しようとしていたUnited States政府への不信、『Bravers』がいなければDepartment of Defenseは未だに黒い霧に包まれていただろうと言う現実が、そのまま彼等の信用に繋がった結果だ。
【Braver】Amemiya Hirotoの活躍の結果ではあるが、同時にUnited Statesの失策と多くの犠牲のお蔭とも言える。そのため『Rokudou Hijiri』はこうして『Bravers』のorganizationを維持するために、チャリtea等のeventや講演会、各国高官や大企業が開くpartyへの出席等を熟していた。
(まあ、そのお蔭だけでは無いけれど)
演説を見守る【Shaman】のMoriya Kousukeは、そう胸の内で笑った。
『The 8th Guidance事件』では失態を犯した『Bravers』だが、彼等を糾弾する声は結果的には上がらなかった。
United Statesが『Bravers』以上の失態を犯したからという理由もあるが、国際社会は『Bravers』の解散を望んでいないのだ。
未だに原理を解明できていない謎のAbilityを持つ彼等を一つのorganizationに纏め、各国がそれなりのruleを守れば利用する事が出来る状況は、非常にやりやすいのだ。
演説を終えた『Rokudou Hijiri』が、Stageから降りてMoriyaの所に戻ってきた。
「お疲れ-samaです、『Rokudou』-san。次はEurope連合のmagic大学で一日講師の為、移動になります。車へ」
「分かっているよ。だが、Flight機の席はビジネスにしてくれないか?」
「すみません、庶民派である事をappealするpolicyなので。その代わりプレミアムエコノミーで、窓際の席を取ってあります」
「……防弾防magic仕-samaのリムジンで空港まで移動して、プレミアムなエコノミーか。庶民派とは何なのか、分からなくなるな」
そうRokudou Hijiriらしく苦笑いを浮かべた『Rokudou Hijiri』は、そのままリムジンに乗り込んだ。
そして、腰を下ろした途端人形のような無表情になる。
「空港までの時間は?」
「一時間程になります」
「そうか……ならその間にmaintenanceをしておくか」
本物のRokudou Hijiriの部下であるMoriya Kousukeは、運転手とそう言葉を交わすとバイザー付のHelmetのような物をクーラーボックスから取り出した。
「技術班には、さっさとこれを小型化してほしいもんだ」
そしてそれを人形のようになった『Rokudou Hijiri』……【Metamorph】のShihouin Mariに被せる。
「そのHelmetだけで洗脳を維持できるんですか?」
「ああ、被るとmagicが自動でActivateして、同時に薬剤も注射される高度で高価なmagic itemだ。ジャンボジェットは無理だが、中型Flight機ぐらいだったら楽に買える代物だ」
そんな会話は、Mariにはもう聞こえていない。Helmetが外部の音を遮断しているからだ。そしてすぐMentalに働きかけるmagicをActivateし、薬剤が注射される。
彼女をRokudou Hijiriにとって都合の良い人形、身代わりで居続けさせるためのmaintenanceが始まる。
視界も黒いバイザーに遮られ、開いたままの瞳に映るのは黒い闇だけだ。
『お前は誰だ?』
「っ!?」
そのはずだが、闇の中に誰かの顔が映った。紫紺と紅のオッドアイと口だけしか見えない、白い顔が。
「どうしました? 今動いたような……」
「薬剤の注入が始まったんだろう。何時もの事だ。それより運転に集中しろ」
Moriyaと運転手の会話は、Mariの耳に入らなかった。
『お前は誰だ?』
耳に入るのは、白い人shadowの言葉だけ。
(私は……【Avalon】のRokudou Hijiri)
Mariは口に出さず、そう答えていた。しかし白い人shadowは顔を横に振る。
『それはお前じゃない』
(お前は……私か?)
『俺は、お前じゃない』
(じゃあ、私は……誰なの?)
Helmetに仕掛けられているmagicがActivateし、薬剤が注入される。しかし、Mariはそれに対して反応を見せる事は無かった。
『俺は、その答えを知らない。お前は、誰だ?』
じっと自分を見つめる眼差しに、答えなくてはいけないとMariは答えを探すが……まだ答えは出なかった。
『お前は誰だ?』
この時から白い顔が窓glassやBlack coffee、瞼の裏に映り、Mariに問いかけて来るようになった。
一ageの半ばを過ぎた冥は元気に育っていた。
殆ど泣かない物静かな子で、それが逆に少し心配だったAmemiya Narumiも安心していた。ただやはり一人遊びの方が好きの-samaだが。
「う~♪」
今はクレヨンで画用紙に何かを描いていた。いや、単に白い画用紙がクレヨンの色に染まるのが楽しいだけかもしれない。
「冥、何だ、これ?」
長男のHiroshiがその画用紙を見て、不思議そうに聞いた。
「何を描いたの? おkaa-sanに見せて……これは、もしかしてお父-san?」
画用紙に描かれた、黒い人らしい物を父であるAmemiya Hirotoを描いたのかと思ったNarumiだったが、冥はぷるぷると首を振った。
「ううん、bandaa」
「ぱ、Panda?」
「bandaa」
「変なの。冥、Pandaには黒だけじゃなくて白い所もあるんだぞ」
「bandaa、bandaaっ!」
「Hiroshi、冥にはそう見えるのよ。bandaa -san、黒い所もあるものね」
喧嘩にdevelopmentしそうだったHiroshiと冥をNarumiが割って入って宥める。その-sama子を見下ろしながら、Vandalieuが自分の一部から作った小型のVandalieu……Bandaは溜息をついていた。
(Pandaじゃないんだけど。
まさかMe-kunが、Plutoが助けたAmemiya HirotoとNaruse Narumi……Amemiya Narumiのchildだったとは。確かに気にはなっていたけど、偶然とは恐ろしい)
そう思いながら、これからどうしようかと考える。
(main bodyとの繋がりはほぼ切れているから、Memoryの共有が出来ない。それに俺はMe-kunから一定の距離以上離れられない。これは、俺の今のmain bodyがMe-kunだからか?
Me-kun以外には俺が見えないし、俺が触れようと思わなければ触れられない。
まあ、当初の予定通り――【Bug Killer】)
ぽとりと、roomの中に入り込んでいた蚊がBandaのmagicによって落ちた。
「……あれ? 気のせいかしら、今何処かでmagicが使われたような……」
きょろきょろと周囲を見回すNarumiを無視して、Bandaは思考を再開する。
(magicは使える。death attributeのManaは感知されにくいから、彼女の近くに居ても【Bug Killer】や【Sterilization】くらいなら気づかれないだろう。
他のskillも使えるかもしれない……【Materialization】skillが使える事は、もう確認したけれど)
冥が起きた直後、ベビーベッドの横に立っていたBandaは、自身の置かれた状況を理解するために幾つかの事を試した。
Vandalieuとの交信は不能。Memoryの共有は不能。自身の今のStatusの確認、『Lambda』でないためか失敗。
そして自分に実体が無い事に気がついた後、鏡に映るか確かめ、そして【Materialization】skillを試してみた。
すると、あっさりとwhole bodyをMaterializationさせる事が出来た。……その途端今の自分の姿が鏡に映ったので、慌てて解いたけれど。
『いくら夢の中だからって。Vandalieuももう少し器用に捏ねられなかったのでしょうか』
そう嘆くBandaの姿は、一見すればHumanに見える。
顔に目が四つあり、耳がある位置まで裂けた大きな口の不気味な仮面を付けた、頭が小さい黒いfurのコートを着た白髪のHumanに。
だが仮面は素顔で、コートに見えるのは外側にfurが生えたepidermisだ。その内側は複数のboneやexoskeletonで出来た腕やbody partを支えるArthropod Legs、そしてexoskeletonやcarapaceが出鱈目にくっ付いている胴体がある。
どう見ても悪魔の類である。Amemiya coupleやHiroshi -kunはcertainly、他のHumanにも出来るだけ姿は見せたくない。問答無用で攻撃されかねない。
(と言うか、Hiroshiってなんですか……もしかして俺の前世のnameを意識してchildに付けたとかでしょうか。ああ、関わりたくない)
既に恨みも『Earth』で抱いた微かな憧れも無いが、流石に円満な家庭を見せつけられ続けるのは苦痛だ。
しかし Bandaは冥から一定以上……五十meter程しか離れる事が出来ない。まさか幼い冥を両親から引き剥す訳にもいかないため、彼が耐えるしかないのだ。
『……仕方ない。後は自分のbody partの強度やbody part Ability、攻撃的なDeath-Attribute MagicやNo-Attribute Magicが使えるかどうか試したいですが、今は流石に無理でしょうね。まあ、Manaは感覚ではVandalieuの数十分の一程なので、十億必要な【Hollow Cannon】が撃てないのは分かりますが』
現実逃避をしながらぶつぶつ呟いていると、「奥-samaーっ! お洗濯が終わりましたよー!」と外からfemaleの声がした。どうやら、Amemiya coupleはHouseキーパー兼babysitterを雇っているようだ。
missionで両親が同時に家を空ける事があるためだろう。Bandaはまだ見ていないが、body Guardらしい人物のsignも家の中にはある。
「ありがとう、昼lunchまで休んでちょうだい。……変ね、やっぱり気のせいかしら?」
「お、俺じゃないよっ! 勝手にmagicを使わないって約束したんだから!」
「bandaa」
(Me-kun、それは黙っていて)
こうしてcoupleに断りも無く、Amemiya 家に何かが増えたのだった。