Status systemとsystemを司る『Statusの神』、『Jobの神』、『skillの神』の生みの親である『Magic God of Time and Arts』Ricklent。
そのRicklentの隙を突いてStatus systemに干渉したDemon King Guduranisによって、正体不明の『Rankの神』が加えられ、monstersにもStatus systemが実装された。
その過程で、RicklentとGuduranis両者が意図的に設定した訳では無い『secondary name』と呼ばれるものがStatusに表示されるようになった。
そんな神とDemon Kingにとって正体不明の代物である『secondary name』だが、発生から十万年以上経つうちにHuman達も経験則からある程度仕組みを理解した。
『secondary name』はある程度の規模……少なくとも数千人以上から認知されている存在が、名づけられる事で獲得する事が出来る。大仰な『secondary name』程獲得し難く、発言力や知名度がある存在がその『secondary name』を認める事で獲得しやすくなる。
例えば、『Hyena』のsecondary nameはそれなりの数の荒くれ者やその被害者になりうる一般人、取り締まる役人やadventurer達、合計数千人に認知されていれば容易に獲得する事が出来る。
だが『Continent一のSwordsman』と言うsecondary nameの場合は、数万人、数十万人に認知されていても難しい。Continentを二分するような大国の支配者や、神にでも名付けられでもしない限り。
そして『secondary name』を獲得する条件に関わる要素として、反作用というものがある。
『secondary name』を持ち名声を得た者がそれに相応しい善人だったとしても、恨みというものは押し付けられるし、jealousyや己の利益の為に、意図的に陥れるあらぬ噂が流れる事がある。
特に特定の国家で活動しているadventurerや、名のあるKnight、軍を率いるGeneralや軍師などがそれにさらされる。自国からはHeroと称えられるが、敵国からは兵隊にとられた親brothers息子の仇と恨まれ、上げた戦果も悪事として認知される。
だが、Hero達がそれらの悪名を『secondary name』として獲得する事は稀だ。何故なら、既に獲得している名声としての『secondary name』と、その認知が打ち消すからである。
どのくらいの名声でどこまで悪名を打ち消す事が出来るのか、accurateには分かっていない。だがこの反作用によって二百年前Mirg Shield NationのHeroだった『Divine Spear of Ice』のMikhailや、現代の『Fifteen Evil-Breaking Swords』の一人、『Light Speed Sword』のRickert・Amid等は、敵対陣営からの悪名を『secondary name』として獲得する事は無かったのは事実である。
尤も、日頃の行いから「そう呼ばれても仕方ない」と多くの者達に思われている場合はそうもいかないが。
それが『Thunderclap』のSchneiderが獲得した『Seed-Provider』や、『Vida's Miko』であるVandalieuが獲得した『Demon King』のsecondary nameである。
しかし日頃の行いも品行方正なSClass adventurerにしてHonorary Noble、Heinzは今まで数々の名声に護られ悪名の類がStatusに表示される事は無かった。
「な……何だって、私が『Holy Mother Killer』!?」
しかし、それもつい数秒前までだった。
Dungeon内にある『街』から、試練が設定されている階層への階段に向かおうとした時、不意に流れた脳内アナウンスが告げた内容に驚愕したHeinzは、慌てて自身のStatusを確認した。
何かの間違いではないかと思ったが、Statusには『Holy Mother Killer』が新たなsecondary nameとしてしっかり表示されている。
「そんな……」
「おい、Heinz、どうした? Holy Mother Killerってのはどう言う……っ!?」
「Heinz、Edgarまでどうし――!? これは……もしかして二人とも?」
Heinzに声をかけたEdgarと、Delizahも相次いで驚愕を浮かべて黙り込む。
「おい、三人ともどうしたんだ?」
「何かあったのですか? ただならぬ-sama子ですが」
JenniferとDaianaが困惑して尋ねると、Heinz達は一瞬言葉に詰まり……顔を見合わせて頷いた後答えた。
「私と、恐らくEdgarとDelizahの二人にも『Holy Mother Killer』と言うsecondary nameがついた。Statusを確認したが……聞き間違いや白昼夢では無いようだ」
「Holy Mother Killerだって!? Holy Motherって、聖なる母って意味だよな? 完全な悪名じゃないか! ……っと、すまんっ」
驚愕のあまり大声を出してしまったJenniferが慌てて口を押えて謝る。しかし Heinz達は「大丈夫だ」と首を横に振った。
ここはまだ試練がある階層に向かうための階段へ続く道の途中で、『街』の郊外に位置する。そのため大声を出せば、誰かの耳に届いてしまうかもしれない。しかし、この『街』は『God of Law and Life』Aldaが『Bellwoodを継ぐ者が挑むべき試練』として創ったDungeonの内部にある『街』だ。
一年以上from here各階層に通って来たHeinz達は、『街』のHumanとも会話交流している。その交流から、彼らが遥かな過去……恐らくAge of Gods Eraに生きていた人々を再現した幻のような存在である事に気がついていた。
つまり試練として出現するmonstersや、Pure-breed Vampire、Majin Raceと同じ類の存在だ。
だから『街』のHumanがHeinz達『Five-colored blades』のscandalを知ったとしても、それがDungeonの外に漏れる事は無いだろう。
「そうか……ふぅ、焦った」
「だからと言って大声で話すような事ではありません。『Holy Mother Killer』ですよ、Evil God (M) Evil God (P)の徒でもない限り誇れる事ではありません」
安堵したJenniferを、青い顔をしたDaianaが窘める。それだけ事態は深刻なのだ。
『God of Law and Life』Aldaを頂点とする通称Alda教には、PopeやSaintessと言う位はあってもHoly Motherと言う位は無い。Alda教のGodsには男神が多く、それを祭るtempleも多くの場合父性社会であるためだ。
だから多くの人々は『Holy Mother』と聞けば、Alda教以外の神を信仰するClergymanを思い浮かべる。特に『Mother God of the Earth and Craftsmanship』Botin、そうでなければ……『Goddess of Life and Love』Vidaを。
だから『Holy Mother Killer』と言うsecondary nameは、Vida's New Racesの存在を認めるAlda Reconciliation Factionの旗頭であるHeinzや、その仲間であるDelizahやEdgarにとって致命的なscandalになりかねない。
「待てよ、Daiana。Church of Vidaだって『Holy Mother』って位はないし、昔はどうか知らないが今はそう呼ばれている聖人だっていないだろ」
Jenniferの言う通り、Orbaum Elective KingdomのVidaとそのSubordinate Godを奉じるtempleでもSaintessと呼ばれるfemale Clergymanはいても、Holy Motherと言う位は正式に採用されていない。
そして現在ではsecondary nameでも『Holy Mother』と呼ばれる者はいないはずだ。そのためHeinz達が『Holy Mother』を殺していない事は明らかなはずだ。
「Jennifer、それはそうだ。だけど、問題は俺達が『Holy Motherを殺した』と認知されているって事だ。それも、かなり大規模な集団か、もしかしたらGodsに」
「そんなBAKANA! ……いや、『secondary name』がStatusに表示されるって事は、そう言う事なのか」
Edgarの説明に反射的に声を荒げた彼女だったが、すぐに否定できないと気がついて肩を落とした。
「だけど、いったいどんな集団なんだろ。少なくとも、Orbaum Elective Kingdomと私達にblessingsをくれたAlda教のGodsと同じか、匹敵する規模か発言力があるなんて……Amid Empire?」
「いや、それは無いだろう。私達は確かにAmid Empireから活動の拠点をElective Kingdomに移した。Empireの人々から見れば良い気分はしないだろうが、だからと言って『Holy Mother Killer』とは思われないだろう」
Heinzの言う通り、幾らSClass adventurerにまで上り詰めたHeinz達にAmid Empireの人々が悪emotionsを向けても、活動する国を変えただけで『Holy Mother Killer』にはならないだろう。
「少なくとも、ある集団にとっては『Holy Mother』と呼ばれる存在を私達は殺したと言う事でしょう。心当たりはありませんが」
「そうだな……あたしにも無い。今まで倒したのはmonstersが中心だし、Amid Empireとの戦争にも参加していない。まさかmountain banditや殺し屋に『Holy Mother』なんて呼ばれている奴がいるとは思えないし」
Daianaの言葉にJenniferもMemoryを掘り起こすが、それらしい心当たりは無い。
「Holy Motherって事はやっぱり女だから……Terneciaは? あの女Pure-breed Vampire」
今まで自分達が倒した女の大物と言う条件でMemoryを探ったDelizahが、かつて倒したPure-breed Vampire Terneciaの事を思い出した。
accurateには、彼女達は何処かから逃げ出してきたTerneciaに止めを刺しただけだが、世間的には倒したと認知されている。
しかし Edgarはげんなりした顔で首を横に振った。
「Delizah、それは無いだろ。確かにあいつは女だったし、Vampireって意味では子沢山だったろうし、『Evil God of Joyful Life』を奉じるVampireのorganizationだったら規模や発言力でももしかしたらって気はするが……Holy Motherは無理だろ、あれに」
「まあ、それもそうね」
Edgarの言う通り、Terneciaには『悪女』と言うimageはあっても『Holy Mother』としてのimageはfragmentも無かった。
「でも、他は……まさかあの女Majinとか? 確かEvil God (P)のbelieverで『Saintess of Darkness』とか名乗っていたけど」
「あいつには逃げられただろ。他には……退治したKijinの群れには女はいなかったと思うし、VampireはTerneciaとその一党以降は、小者を何人か退治しただけだしな」
しかし他に心当たりは思い当たらなかった。
「心当たりなら、一人ある」
しかしそれまで黙って考え込んでいる-sama子だったHeinzが、そう言い出した。その眉間には深い皺が刻まれており、その心当たりを、内心では否定したいのを抑えているのは明らかだ。
その-sama子にEdgarは「まさかとは思うが」と溜息を吐いた。
「あのMirg Shield Nationの小さな町で捕まえた、Dark Elfの女なんて言わないだろうな? 言っておくが、あれは絶対違うぞ」
「何故そう思う?」
「何故って、当たり前だろ。確かに悪い事をしたと思うし、あれは悲劇だったと俺だって思ってる。Selenを育てるようになってからは、尚更だ。
だがあのDark ElfはMirg Shield Nationでは『Witch』として知られているし、Elective Kingdom側でだって悲劇の母親ではあっても、『Holy Mother』とは呼ばれてないだろ」
「彼女の出身地であるDark Elfの隠れ里で、彼女が『Holy Mother』と呼ばれていたら別かもしれませんが……その-sama子では、そうでは無かったようですね」
直接Dark Elf……Darciaを知らないDaianaが尋ねるが、EdgarとHeinzの顔を見て違うと判断した。
Heinz達も当時のDarciaのStatusを見た訳ではないし、Holy Motherと呼ばれるための条件に高い戦闘Abilityがあるとは思えない。しかし、当時の彼女がそんな大物なら他のDark ElfやVida's New Racesの護衛が複数就いていただろう。
だからDarciaをAdventurer’s Guildの依頼で捕まえた事は、『Holy Mother Killer』の悪名とは関係無い。
「根拠があるんだ、Edgar。『Holy Mother Killer』のsecondary nameが付いたのは、私と-kun、そしてDelizahの三人だけだ。JenniferとDaianaにはついていない」
しかし Heinzの指摘に、言われた四人がはっとして顔を見合わせる。確かにJenniferとDaianaのStatusには、今も『Holy Mother Killer』のsecondary nameは表示されていない。
「Heinz、それは二人が『Five-colored blades』に入る前にHoly Motherに該当する人物を私達が殺したって根拠にしかならないわ。それがあのDarciaってDark Elfとは限らないはずよ。
……まあ、他の心当たりも無いけど」
本当に心当たりが無い為、Delizahの声は歯切れが悪かった。当時の彼女やHeinz達、旧『Five-colored blades』は注目の若手として有名だったし、特にHeinzは今も持っている蒼い炎を剣身から発するMagic Swordを手にしたBClass adventurerとして知られていた。
しかし実力は今とは比べ物にならず、achievementも若手のadventurerとしては凄いが、SClass adventurer『Thunderclap』のSchneiderと比べればあまりに小さい物ばかりだった。
当然倒した敵にも大物はいない。
だがHeinzは苦い顔つきのまま、こう反論した。
「Delizah、皆、たしかにあの人は私達に捕まった当時は『Holy Mother』とは呼ばれていなかったかもしれない。だが、死後『Holy Mother』と呼ばれるようになっていたらどうだろうか?
既に死亡している人物に称号が与えられる事は、歴史上珍しくは無い筈だ」
「それはそうだけど、そう言うのは戦争で戦死したKnightやNobleとか、命と引き換えに災害指定種を倒したadventurerとか、そう言う人に権力者が贈るものよ。
だから――」
「その権力者に、彼女の息子がなっていたとしたらどうだろうか。あのDark Elf……Darciaと、VampireのValenの間に生まれたDhampir、Niarkiの町に現れたVandalieuが」
Delizahの言葉を遮って発せられたHeinzの言葉に、皆が押し黙った。普段ならすぐに「そんな訳が無い」と言い返したし、Edgarは噴き出したかもしれない。
しかし五十階層でPure-breed Vampireと同時に出現したVandalieuの姿を、Demon King Fragmentを二つ、いやaccurateには四つ操り異-samaなmagicを駆使して攻撃してくる彼を全員が見ている。
あの時は敵を動揺させるためにappearanceを変えるmonstersじゃないかと言ったEdgarのconjecture……今にして思えば、現実逃避に納得していた。
だが、Heinzのconjectureを聞いた後だともう現実逃避に説得力を感じる事は出来なかった。
「……たしかに、あの強さならchildでもmonstersやEvil God (M)派のVampireを率いる事が出来るかもな。Terneciaが逃げ出した相手も、マジで奴なのかもしれない」
「このDungeonで、恐らく神が彼の幻を出現させたのは偶然じゃ無かったって事か。このtimingで『Holy Mother Killer』なんてsecondary nameをHeinz達に付けてくるって事は」
「そうだ。Vandalieu、彼は今も生きていて更に強くなっている。彼がただ私への復讐だけを考えているのか、もっと大きなことをしようとしているのかは分からないが……それはGodsやこのworldにとって害悪になりかねない。そうAldaは考えているから、試練の一つとして彼を出現させたんだろう。
このconjectureが正解なら、この先にもう一度敵として現れるはずだ」
Heinzは何時の間にか浮かんでいた冷や汗を拭って、階段に向かって止まっていた足を動かした。
「行こう、そしてもし彼が再び現れたら、私達はそれが幻でも確かめなければならない」
明るい青に包まれたDivine Realmで、幾柱ものGodsが囁き合っていた。
『God of Reincarnationがもたらした凶報は、事実であったらしい』
『まさか、Zuruwarn -samaとRicklent -samaとあろう者がAlda -samaでは無くVidaに付くとは……信じられぬ』
『Demon Kingに傷を負わされた際に毒でも受けて、狂われてしまったのだろうか。Zantarkのように』
『いや、正気のままかもしれん』
『何をBAKANA事を。正気のままなら、何故Alda -samaに協力しない!』
『Age of Gods EraよりZuruwarn -samaは破戒で知られた方と聞いている。Ricklent -samaも事を善悪では無く、他の基準で見る方らしいではないか。その方々が同じGreat Godとは言え、Alda -samaと同じお考えとは限らん』
『貴公、何と恐れ多い事を! Great Godであればこそこのworldの事を考えて当然ではないか! 事実、Demon King Guduranisとの戦いではZuruwarn -samaもRicklent -samaも、Alda -samaと共に力を合わせて戦ったのですよ!』
『ならば聞くが、何故十万年前の戦いでお二方のSubordinate God達はあのような行動をとったのだ!? 人格がある神は殆どがVidaの戦列に加わり、それ以外は各々のDivine Realmに引き籠り、この大事に至ってもattributeの管理が最優先故と顔も出そうとしないではないか!』
『結構な事だ』
白熱したGodsの議論を、それまでDivine Realmの奥で黙っていた神が遮った。
『Pargutalta -dono』
十万年前の戦い以後に神になった、若いGodsが畏怖と困惑を込めて振り返る。Aldaに命じられ『Goddess of Water and Knowledge』Periaがsleeps地を監視し、Vandalieuから守るよう命じられた彼等が最初に挨拶を交わした時より、一言も言葉を発しなかった彼女が、何故急に話しかけて来たのか分からなかったのだろう。
『Goddess of Streams』Pargutalta。Periaが最初に創ったFamiliar SpiritからGoddessに昇華した、腹心中の腹心。Demon Kingとの戦いで傷つき眠りについたPeriaを守るため、『Goddess of Streams』でありながら当時からこの場を動かず守りについている古参のSubordinate Godだ。
『咎めている訳では無い。神にも気晴らしは必要だ。それに若い者が好奇心旺盛なのは世の常であるし、活発な議論は己の見識を深める。続けられよ』
その言葉で、遠まわしに口喧嘩は止め冷静になるようにと咎められた事を察した若いGodsは、不気味げに押し黙り、視線を彷徨わせる。
同じSubordinate God同志と言えど、PargutaltaはAldaにとってのCuratosに相当する神だ。単独では信仰されなくても、Periaを祭るtempleには必ず彼女のIdol Statueやreliefも祭られている。
彼等とは格が違うのだ。
その反応を見たPargutaltaは、静かに若いGodsに話しかけた。
『汝らが不安がるのも理解できる。聞けば、『Giant of the Sun』Talosがrevivedそうではないか』
『は、はい。見張りをしていた神によると、Pure-breed Vampire共が冒涜的な儀式を行い、程なくしてTalosが咆哮を上げながら大地の中からrevivedとか』
『首にはまだNineroad -samaの鞭の痕があったが、完全にrevivalしている-sama子だったとか。しかし、やはり十万年前と同じくVidaのAllureに惑わされたままらしく、Boundary Mountain Range内部に留まり自身のDivine Realmを展開したと聞いております』
Pargutaltaに促されたように、若いGodsの口は徐々に開き、tongueが滑らかに動くようになっていった。
それによると、Alda's FactionのGodsはPure-breed Vampire達の冒涜的な儀式によってTalosがrevivalし、同時にPure-breed Vampire達も【Sunlight Resistance】skillか何かを獲得してSunlightを克服したと言う事になっていた。
実際には、revived Talosが頭上で行われていたDraganやElper達のidiot騒ぎに怒って、『いい加減にせんかい! 頭の上で騒がれたら儂が何時まで経っても出られんだろうが!』と怒鳴りながら現れただけだったのだが。
certainly、Abyss Pure-bornとなったDragan達がSunlightを克服した理由も真実とは異なっている。
だがrevived Vidaの元に戦力が戻りつつあるのは事実だ。それに十万年前の戦いを知らない若いGodsは動揺しているのだ。
その動揺をPargutaltaに指摘された若いGodsは、気がつけばそれまで碌に会話も交わしてこなかった彼女に対して訴え、相談する-samaに次々に話し始めていた。
『この分ではDemon continentの方もどうなっているか。Talosがrevivedと言う事は、より軽い傷しか受けていないはずのDianaやTiamat等も既にrevivalしている筈。Farmoun -sama……Farmounも、Alda -samaの元に戻る-sama子は無い』
『それにAlda -samaは我々に何かを隠している。Rodcorteから聞かされたVandalieuに関する情報に、酷く動揺していたらしい。Alda -samaが動揺すると言う事は、余程の事に違いない』
『私の聞いた噂では、動揺では無く怒り狂っていたと聞いたが……VandalieuはRodcorteによってanother worldからreincarnationしたReincarnatorであり、奴以外にも約百人のReincarnatorがこれからこのworldにやって来ると聞いて、それに激怒しただけではないのか?』
『Championと同じanother worldからの……しかし『Earth』か。あのVandalieuが生まれたworldということは、神を畏れぬ冒涜的なMentalの持ち主ばかりが暮らす魔界のようなworldなのだろうな』
話題が『Earth』についてまで及んだところで、議論を見守っていたPargutaltaは再び口を開いた。
『汝らが不安を覚えるのも尤もだ。主たるAlda -samaが動揺なさっているのだからな。
だが落ち着くのだ、Vida's Factionの戦力は確かに整いつつある。何時かは十万年前と同じか、それを超えるかもしれない。だがそれは何百年、何千年も先の事では無いのか?』
AldaのDivine Authorityから解放されVidaはrevived。これからはVida believerの魂からFamiliar SpiritやHeroic spiritが増えていく事になるだろう。
Pure-breed Vampireや他のVida's New Racesの始祖や強力な個体もrevivalし、活動を再開した。
Great Godの内二柱がVidaのallyになり、VandalieuはOrbaum Elective Kingdomで暗躍している。
だが、Vida達Great Godは何れも傷ついており完全revivalとは言えないcondition。新たなFamiliar SpiritやHeroic spiritもすぐに集まる訳では無い。
そしてVampireの始祖を始めとして、十万年前にAlda's Factionの手で葬った者や、sealedした者も数多い。それは決して戻らない。
『対してAlda -samaはBellwoodを継ぐ器と噂される次代のChampionを育て、彼にBellwood自身も目覚めさせようとしているとか。
それに他のGodsはそれぞれのHeroを見出し、育てている。我はここの守りに専念するため参加してはいないし、間違えれば粗製乱造に陥るが皆ならそうもなるまい。
更に、どう言う風の吹き回しかあのRodcorteがこれからは全面的に協力するそうではないか』
『言われてみれば、その通りだ。Great Godの数で考えれば狂ったZantarkを入れてVida側は四柱だが、正常なconditionのGreat Godは一柱もいない』
『それに対して我々は着実に戦力を増している。新たなDemon King Vandalieuは確かに脅威だが、所詮は人。Heroic God Bellwoodが完全revivalすれば、恐れるに足らない』
『そうだ、そうだ。聞いた限りRodcorteがどれ程頼りになるかは分からないが、Peria -samaがrevivalなされれば我々は更に盤石となる。そうですな、Pargutalta -dono』
期待に顔が輝いている若いGodsに、Pargutaltaは頷いた。その仕草は若いGodsにはとても頼もしく映った。
『我が主がrevived暁には、このworldの為に再び尽力してくださることだろう』
『おお、それでこそGods一の見識を誇ると称えられるGoddess』
『Peria -samaの知識は、brothersたちの裏切りに心を痛めるAlda -samaの何よりの助けと成りましょう』
若いGodsはそうPeriaを讃え、『ならば、何としてもここを守らねば』と気分を一新して監視と護衛の仕事に戻っていく。
気晴らしは大成功の-samaだ。
それを微笑んで見送るPargutaltaは、矛と盾を持って定位置に戻った。
(emotionsのある存在の考える事は複雑故、誘導するのは面倒だが、奴らは単純で良い。Peria -samaの護衛としてはいてもいなくても変わらないが、お蔭で外のworldの事がよく解る)
その際、微笑を浮かべたまま無機質な視線を若いGodsに送る。
(どうやら、情報は正しいようだ。我がTrue主よ、我が声は届いておられますか?)
Pargutaltaにとって、Aldaは主ではない。形式上敬意を表しはするが、所詮余所の神である。
そもそも、Aldaが複数のattributeのGodsを束ねている現状が不自然で歪なのだ。
その不自然さと歪さに気がつかない若いGodsに、Pargutaltaは何も思わない。人であれ神であれ、楽な方に流れるのが常だからだ。
Pargutalta自身も例外では無い。
(我がTrue主よ、我が流れは主の指し示す方向へ向かうでしょう)
『Giant of the Sun』Talosがrevivalし、『夢現に見ていた。滅びたはずのこの国を建て直し、我が子等を救ってくれた事を心から感謝するが……流石に儂の頭の上で騒ぐのは勘弁してくれ』と言われてから十日。
Blood potionの増産体制や、Talos revival記念のDarcia達の講演、犯罪organizationの乗っ取りが終わったのでVandalieuは目標に定めた町に正式に入ろうとしていた。
しかし 町の門に続く行列に並んでいる最中、ふと意識が遠のいた。そして次に気がつくと、VandalieuはZuruwarnの頭の一つに咥えられていた。
ああ、白昼夢かと思ったが、そのまま何もせず何処かへ運ばれていく。
すると星空のような風景を超えて着いた先で、懐かしい物が見えた。
青い惑星、Earthである。
mapやtelevisionで見るのよりも雲が多いが、Earthだろう。
『ちょっと会わせたい存在がいるんだ』
『その前にColaのrecipeを調べて来ても良いですか? 後、本場のcheeseやブRand肉等の味を参考までに確かめてみたいのですが』
『うーん、それはちょっと。今のconditionの-kunが地上にAdventすると-kunも地上も大変だし。特に、地上のHuman達が大変』
大怪獣、Giant Vandalieuが地上を闊歩する光景を想像したらしいZuruwarnが小刻みに震える。
それでVandalieuは、今の自分のSizeがZuruwarnに比べれば小さいが、ちょっとした高層ビル並みに大きい事に気がついた。
『……じゃあ、いいです』
流石に高層ビルSizeでJapanに降りるのは憚られたので、未練はあるが諦める事にする。
『気になる者がいるなら、今どうなっているか見る事ぐらいは出来るが?』
何時の間にかいたRicklentにそう声をかけられ、考えたVandalieuはふと気になる人物がいる事を思い出した。
彼等は自分が死んでから約三十年、どうなったのだろうか。
『では、Earthで俺が死ななければ住み込みで働く事になっていた企業と、俺を面接してくれた人がどうなっているのか教えてください』
『あはははっははっ! そっちか! てっきり好きなIdolか俳優のその後だと思ったのに外れた! って、御免。放しちゃった』
『Zuruwarn、幾ら魂だけとは言えouter spaceに放り出すものでは無い』
outer spaceに放り出され、バタバタと手足を動かして静かに溺れているVandalieuをRicklentが掴んで支える。
『Vandalieu、-kunが就職するはずだった建設会社は健在のようだ。ただ-kunの面接を担当した当時主任だった人物は別会社に転職して、そこで部長にまで出世している。来年、定年退職だ』
どうやら無事だったらしい。面接で自分の事を熱意があると褒めてくれた珍しい人だったので、Memoryの片隅に引っかかっていたようなので、安否を知れたのは良かった。
『じゃあ、後は良いです。Kanako達は『Earth』で死に別れたfamilyや友人の安否は、『Lambda』にreincarnationする前に調べたらしいですし』
学Class委員だったShimada Izumi達がRodcorteのFamiliar Spiritになっていて、それで調べて貰ったらしい。……Kanako達は彼女達を前世で裏切った立場なので、かなり聞きにくかったらしいが。
その話をしている時、彼女達が何度か言葉を濁した事があった事を思い出したVandalieuは気がついた。一応自分にも同じ家で生活している程度の意味しかないが、familyがいた事を。
気がついたが、伯父夫婦やyounger cousinの現状を聞く気にはならなかった。
(どうでもいいですし)
本物の温かなfamilyがいる今、Vandalieuの中で彼らの存在は今まで以上にちっぽけなものになっていた。
(でも結局何かやり返した事も無いし……不幸になれと念じるくらいはしておこうかな)
『あ~、もし伯父familyの事を考えているなら、彼等は十分不幸だから呪うのは止めようか』
『こうしている分には気がつかないだろうが、このworldのCircle of ReincarnationはRodcorteの管轄だ。あまり派手な事は出来ない』
『え、俺が念じるのって派手な事なんですか?』
念じるだけにしておこうと思ったら、ZuruwarnとRicklentに止められた。思わず聞き返すと、合計七つの顔が上下に頷いている。
どうやらこのconditionのVandalieuは、他人の不幸を願う事は控えた方が良いらしい。
『『Earth』はManaが無いに等しいくらい薄いから、weak呪詛でも抵抗できないだろうからね。
じゃあ、そろそろ行こうか。まずはEarthの神の所に、その後はGod of Originの所にも』
・Title explanation::Holy Mother Killer
Holy Motherと崇められる存在を手にかけた罪人である事を示すsecondary name。Dragon Slayerやgiant殺し等と違い、偉業に対する賞賛では無く、悪事に対して与えられた蔑称、悪名。罪を表す焼印である。
そのため有利な効果は無い。強いて挙げれば所有者が殺した『Holy Mother』に敵対していた存在やorganizationから一目置かれるなど、真っ当な生き方をしたいなら不必要なconnection作りに役立つかもしれない。
逆に不利な効果も特には無いが……このsecondary nameを獲得した時点で所有者は『Holy Mother』を崇める者達から憎まれ、命を狙われている。そしてこのsecondary nameを得ている事を知った第三者も、所有者に対して良いemotionsは抱かないだろう。
それが不利な効果とも言えるかもしれない。