God of Reincarnation Rodcorteは、『God of Law and Life』Aldaからのmessageに目を通して重苦しいため息をついた。

『当初の予定よりも、ずっと早くReincarnatorの存在がばれたか』

　Rodcorteは中々developmentしない……彼のCircle of Reincarnation systemに属するHumanが増えない『Lambda』に業を煮やし、耳に挟んだjinxを実行するため、『Lambda』に百一人のReincarnatorを送りつける事にした。

　現在『Lambda』worldの主神である『God of Law and Life』Aldaに何の断りも無く、無断で。

　certainly、Aldaを頂点とするGodsがanother worldの知識や技術に関して反感を持っている事も知っていた。それでも実行したのは、実行さえしてしまえばどうにでもなると言う確信があったからだ。

　『Earth』で生まれ『Origin』で経験を積んだReincarnator達は、当然『Lambda』でanother worldの知識や技術を活用するだろう。FarmingやFishing、Cooking、Clothing Decoration、経済……-sama々な分野で力を発揮するはずだ。

　しかし、余程不自然に性急でなければ、そして大規模でなければAlda達は中々気がつかないだろうとRodcorteはconjectureしていた。

　Reincarnator達は『Lambda』の両親の元で『Lambda』の名を付けられ、HumanやElf、Dwarfとして産まれてくる。そんなReincarnatorが行う発明は、Alda達から見れば『Lambda』の人々が独自に発明させたものなのか、それともanother worldの知識と技術由来のものなのか見分けがつかないはずだからだ。

　certainly火薬や蒸気機関等、明らかに『Lambda』の人々が突然思いつくのは不自然な技術をReincarnator達が再現すれば目を付けられるだろうが、それはReincarnator達がreincarnationしてからずっと後の事になるとRodcorteはconjectureしていた。

　黒色火薬等の製法は、『Earth』や『Origin』の製法を試しても『Lambda』では効果が無い。そのため長い試行錯誤が必要なはずで、しかも出来た黒色火薬で得られる爆発力は並のadventurerのMartial Artsやmagicに劣りかねない。

　銃や爆弾を作るにしても、部品を全て一から作らなければならない。そのため多くのReincarnatorは作る意義を失うだろうとconjectureしていた。

　蒸気機関にしても、発明したそれを活かすにはそれなりの資金と体制作りが必要になる。それを十分に整えるには、早くても成人してから数年が必要だろう。

　そして、その頃には百一人のReincarnatorはそれぞれ社会的な地位を持って足場を固めており、簡単には排除できない存在になっているはずだ。

　それからAldaが気づいても、もう遅い。Oracleを下してbelieverを扇動しようにも、彼はOracleを受け取るaptitudeが欠如したPopeに困らされている。迂闊に動けばReincarnatorだけでは無く、Reincarnator達と少しでも関わった者は無差別に殺戮するよう、Popeが御触れを出しかねない。

　そうなれば全てをなし崩しに事後承諾で処理できると踏んでいたのだ。

　certainly『Lambda』には危険なmonstersや、既に存在している狂信的な集団がいる。しかし Reincarnator達にはそうした脅威に対抗するために、『Origin』で経験を積ませたのだ。

　与えたCheat Abilityとmagicのaptitudeを使えば、『Lambda』worldのＢClass adventurer程度の力は発揮できるはずだ。

　例外として【Object Creation】の力を与えたBakerと言うReincarnatorがいるが、それは直接彼に銃や火薬は暫く作らないようにと注意すれば良い事だ。

　そして百年も経てば『Lambda』worldの人口は増え、邪魔なVida's New Racesは……都市部で暮らすBeastmenやGiant race、Dark Elf等はin any case、Majin RaceやVampire等は退治されるなどして数を減らし、Rodcorteにとって良い結果になるだろうと予想していた。

『だが、実際にはVandalieuと言うirregularが発生したのもそうだが、想定していたよりもReincarnatorが『Origin』で死亡するtimingに大きなずれが生じてしまった。そしてVandalieuを始末するために成人のbody partで送ったReincarnatorの内三名の裏切りによって、Aldaに気がつかれてしまった。

　まだReincarnatorの殆どは『Lambda』にreincarnationしていないと言うのに』

　このままではRodcorteの力の元となる、彼のCircle of Reincarnation systemに属する『Lambda』worldの人口が増えるどころか、Vandalieuが支配するEmpireによって『Lambda』はUndeadとmonsters、そしてVida's New Racesが支配するworldに成りかねない。

『いや、それよりAldaの確認に対する返事はどうするんだよ？　大体三日ごとに一通来ているんだぞ！？』

『有耶無耶には出来そうにないけど……まさか、またSamejimaやTanaka……SalluaやSiegを見捨てた時のように、Asagi達を売るの？』

『Murakami達なら、別に売っても私達は構わないのだけどね』

　一定の間隔で送りつけられてくるAldaからの便りにプレッシャーを覚えているAranや泉、Kouyaがそう尋ねてくる。

『なんなら、俺が使者として事情を説明しに行ってやろうか？』

『却下する。お前は『Lambda』に着いたらそのまま遁走し、VandalieuかAsagiと直接連絡を取るつもりだろう？』

『……ちっ、ばれたか』

　それが実際に可能かどうかはin any case、AranがRodcorteの目が届ききらないDivine Realmの外で、何かしら出来ないか試そうとするのは明らかだった。

　わざとらしくclicking tongueをして見せるAranを見下ろしながら、Rodcorteは『だが、確かに使者を送る事も考えなければならないか』と胸中で呟いた。

　RodcorteがAldaに対して行ったのは、『Earth』で例えるなら明確な職務規定違反であり、不正であり、管轄の一方的な侵害だ。当然「これもworldの為を想って」なんて言い訳は通用しない。

　RodcorteがReincarnatorを送る前の『Lambda』は確かに長期的に見れば衰退の一途を辿るだろうが、目に見える破滅が迫っている訳では無かった。

　そこにAldaがこの世の害悪と過剰に恐れる火薬や蒸気機関を作る事が出来るReincarnatorを百人も、それも勝手に送りつける必要性は無い。

　だからRodcorteに出来る返事は正直に全てを告白し謝罪するか開き直るか、若しくは嘘をついて誤魔化すかだ。

　だが、嘘をつくのはあまり意味が無い。……Rodcorteと協力関係にあるMurakamiのgroupは話を合わせると思うが、信頼及び信用がお互いに無いAsagiやMao、そしてMurakamiから離れたKaoru Gotoudaは、自分が知っている事をそのまま話すはずだ。

　Amid Empire側ではOracleを受け取る素質のある少年Popeが誕生したが、Orbaum Elective Kingdom側でもその動きがある。believer達の人事に介入するようになった今では、居場所を把握したReincarnatorに話を聞く事は難しい事では無い。

『では今まで私が行って来た事とVandalieuが何者なのか、全ての事実をAlda達に告げ、Vandalieuを倒す事に協力を要請するとしよう』

　だからRodcorteは、正直に全てを話して開き直る事にした。断固として謝罪せずに。

『……そんな事が通ると思っているのか？　Godsを怒らせれば、あなたの身も危なくなるのを忘れているのか？』

『Endou Kouya、-kunの言っている事は正しい。だが、間違っている。Alda達は幾ら私に対して怒りを滾らせても、私には何もできない。その理由がある』

　RodcorteはLambdaのHumanや動物のCircle of Reincarnationを受け持っている。その彼を『Lambda』から排除すると言う事は、『Lambda』でCircle of Reincarnationが正しく行われなくなる事に直結する。

　Alda達がRodcorteの代わりをやろうとしても、Rodcorteは『Lambda』が誕生した直後からCircle of Reincarnationを取り仕切ってきた。Alda's FactionのGodsには彼の仕事を代行できるKnowkowが一切無いのだ。

　『Lambda』のHuman達は、魂が無いか前世の怨念を覚えたままのchildが誕生するようになり混乱に陥り、逆にDemon King式やVida式のCircle of Reincarnation systemでreincarnationするmonstersやVida's New Racesは益々繁栄する事になる。

　Aldaとしては絶対に受け入れる事が出来ない事態だ。

　そうした事を説明した後、Rodcorteはこう纏めた。

『Alda達は私が『Lambda』からsystemを切り離す事を恐れている。だから、私が開き直れば強く罰する事は出来ないはずだ。私はVidaやRicklent、Zuruwarnとは違い、『Lambda』worldの神では無いため、逃げ出す事が可能だと言う事を彼は忘れていない。

　……そうだ、RicklentとZuruwarnがVidaのallyであるらしい事も伝えておくか。allyだと考えていたGreat Godがそうでないと知れば、その分Aldaは私との協力に前向きになるだろう』

　それを聞き終わった泉は、胡乱気な表情を止め納得したようにため息をついた。

『つまり隠蔽するのね。あなたがもう『Lambda』の神として認知されていて、どんなに望んでも『Lambda』から逃げ出す事は出来ないって事を』

　Rodcorteの企みは、自分が『Lambda』の神にされる前のconditionでしか通用しないものだ。

　彼が『Lambda』から逃げ出せない……Circle of Reincarnation systemから『Lambda』を切り離す事は絶対に出来ないなら、AldaはRodcorteに対して他のGods同-samaに罰を下す事が出来る。

　Circle of Reincarnation systemの管理運行だけしか出来ないよう、それ以外の思考力や行動力を『Pile of Law』を打ちこんで封じるのはcertainly、その間に自らのFamiliar SpiritやSubordinate GodにCircle of Reincarnationに関するKnowkowを盗ませ、Rodcorteの権能を奪う事すら可能だ。

　だが、Rodcorteが『Lambda』の神になったとAldaは知らない。Rodcorteの存在が主に知られているのは、Vida's Factionが牛耳るBoundary Mountain Range内部で、Alda's FactionのGodsの目は届いていない。

　Vida's Faction……Vandalieuも自分達が唾棄すべき存在として広めた事で、Rodcorteに及ぼしたimpactは知らないはずなので、密告しようがないと言う訳だ。

『話が早くて助かる。だが、念のために口止めさせてもらおう』

　そして泉達の口を主神としての権能で封じて真実を話せないよう強制すると、Rodcorteは三人の前から姿を消し、彼自身も滅多に足を踏み入れないDivine Realmの奥底に向かった。

　それを黙って見送った泉達は、背後から僅かに感じたsignを、Rodcorteへの不満に意識を集中する事で意図的に無視していた。

　『Origin』では一応対尋問用の訓練を受けた彼女達だ、意識を逸らして小さな物事をすぐ忘れる事ぐらい簡単だ。

『開き直っても、やはりただでは済まないだろう。百人のReincarnatorに関しては、私自身が何をしても『Lambda』にreincarnationさせる以外に無いよう仕掛けてあるからどうしようもないが……Reincarnator達が火薬や蒸気機関を作らないよう見張り、今後二度とこのような事をしないと誓うぐらいが妥当か』

　神が他の神に対して行う誓いは、Curseに等しい拘束力がある。神としての格自体はRodcorteがAldaを圧倒的に上回るが、これは『God of Law and Life』Aldaの権能の分野だ。簡単には逆らえないだろう。

　だがその程度なら構わない。Vandalieuをこのまま放置すれば自分の身が危なくなる、そんな事態にまで事は悪化している。

　一度見捨てようとした『Lambda』がdevelopmentするかどうかなど、今のRodcorteには些細な問題でしかない。

『問題はこれの提出を求められるか否かだが……恐らくAldaもそれは躊躇うだろう』

　問題なのはここに封じられている、Vandalieuを倒す為の切り札になるかもしれない物を手元に残せるかどうかだ。

　Demon King Guduranisの『reason』、『emotions』、『Instinct』、『Memory』、『力』の五つに裂かれた魂。

　それはBellwood達三人のChampionによって倒された後、他ならぬAldaによって押し付けられたものだった。

　当時のRodcorteとしては、危険物でしかなかったため遠慮したかったが、『Demon Kingがrevivedらこのworldだけでは無く、更にanother worldへ……お前がCircle of Reincarnationを司る他のworldへ侵略の手を伸ばすかもしれないぞ』と言われ協力せざるを得なかった。

　あれから十万年以上、過剰なほどのsealedを施しRodcorte以外は近づく事が出来ないDivine Realmの奥底で保存してきた。

　それをRodcorteはVandalieuに対する切り札に出来ないかと考えていたのだ。当然だが、Guduranisをrevivalさせ、Vandalieuを倒すよう取引を持ちかけるような事はしない。……revived Guduranisの魂に、彼自身が滅ぼされる危険を冒す訳にはいかないのだ。

　いくら神としての格が高くても、Rodcorteは所詮God of Reincarnation。闘争は不得手だ。GuduranisにとってRodcorteは、図体が大きいだけで動きの鈍い木偶の坊のようなものなのだ。

『この魂の内、Guduranisの意思が含まれていない『Memory』と『力』を相性の良いReincarnatorに埋め込めば……だがMurakamiやAnderson、Akiraには適合しないだろう。Vandalieuの例から考えれば、Demon King GuduranisのManaと近い質の持ち主なら、扱えるはずだが』

　つまりdeath attributeのManaを持つ存在か、逆にdeath attributeのManaに対抗し制御できる力を持つ存在ならDemon Kingのsoul fragmentも扱えるはずだ。『reason』や『emotions』、そして『Instinct』も危険だが、Guduranisの意思が含まれない『Memory』と『力』なら、Demon King's Bodyのfragment同-samaに使えるはずだ。

　しかし Murakami達三人のgroupにはそのどちらも無い。与えてもすぐrunawayさせてしまうだろう。

　【Mage Masher】のAsagiなら、attributeを持つManaを打ち消す力を与えた彼なら可能性はあるが……まあ、無理だろう。Murakamiよりも長く耐えるだろうが、結局はrunawayさせてしまうに違いない。

『やはりMurakami達には、こちらを渡す事にするか。Demon Kingの魂よりもずっと落ちるが……扱いきれない力を与えても仕方あるまい』

　RodcorteがDemon Kingのsoul fragmentの代わりに視線を向けたのは、歪なオーブだった。一度砕け散ったオーブの破片を集めて、無理矢理くっつけたような代物である。

　それが大小二つ、Rodcorteの前に浮かんでいる。

『多少以前の持ち主の魂の破片が混じっているかもしれないが、彼のegoの強さなら抑え込む事は可能だろう。それに結局使うかどうかは、彼の責任だ』

　そしてオーブを手に取ったRodcorteは、Aldaに対して返事を認めるために再びDivine RealmのCenterに戻った。

　『Magic God of Time and Arts』Ricklentは、老人と青年と少年の三つの姿で仮に創ったDivine Realmに座し、自らのbeliever達を『視て』いた。

　その-sama子はとても珍妙で、老人は気難しげに顔を歪め、青年は苦笑いをして、少年は嬉しそうにSmiling Faceを浮かべている。

『believer達の-sama子は、どれくらい珍妙なのかね？』

　そこに四つの頭部を持つ獅子の姿をした神、『God of Space and Creation』Zuruwarnが現れてそう尋ねる。するとRicklentは眉を顰めて答えた。

『珍妙な事等何も無い。我がbeliever達は、良く我の言葉を聞いている』

『では、Alda templeと距離を置き、Vida's New Racesや真のVida believerと協力するようにと言う我々の言葉を了解してくれたのか？』

　Alda's FactionのGodsが活発に動きだし、急造のHero達を創り出そうとしている事をRicklentとZuruwarnは当然気がついていた。それが勢いを取り戻しつつあるVida's Faction、そして旗頭であるVandalieuを倒す為である事にも。

　そのため彼等は自身のbeliever達にAlda templeとは距離を置き、Vida's FactionとCoordinationを取るようにと働きかけていたのである。

　Oracleを受け取る事が出来るbelieverの数は少ないが、そうした者達は他のbelieverを指導する立場に在る事が多いので、不可能ではないはずだった。

『Legionを除く十人余りに働きかけ、Oracleを受け取ったbeliever達のその後の動向を見守って来たが……彼等の返答を言葉にするなら、『即答は出来ない。検討させてもらう』と言う事だった』

『……Ricklent、その返事の色はあまり良くないのではないかな？』

『その通りだ、brothersよ』

　RicklentのOracleを受け取った者達は程度の差はあっても驚き、とりあえず口を閉じてOracleの意味を吟味し、そして情報収集や分析をするために動きだした。

　自分が受け取ったOracleが正しいのか……神の判断は正しく、また従う価値のある物なのか疑いながら。

　そんな神の言葉を疑うbeliever達がRicklentには堪らなく愛おしく、また誇らしかった。

『我は善を説かず、悪を示さない。時と術を司るGreat God。故に、我を奉じる者は全て探究者であり学徒である。

　彼等にとって我はGuidance手であり先達であると同時に、研究対象である。そのように見なくてはならない。研究対象の行動を観察し、疑念を持ち、それを納得が行くまで調べ尽くしてこそ、人は神に至る事が出来る』

『また嬉しそうに……-kunは少し被虐趣味の気があるのではないか？　まあ、-kunのbelieverは大体がMage guildの研究者や学者、隠遁したSageなんかだから、VidaのbelieverとCoordinationを取っても大きな力にはならないかも知れないけれど』

　神としての口調を崩して嘆息するZuruwarnに、Ricklentは問い返した。

『なら、そう言う汝のbeloved believer達はどうなのだ？』

『聞きたい？　なら聞くがいい、我がbeliever達のうち同じくLegionを除いたOracleを受け取る事が出来そうな者全員にOracleを投げて来た。後はまだ見ていないから知らない！』

『……やはりOracleを下した後は放置か』

　今度は逆にRicklentがため息をつき、Zuruwarnが四つの頭で「ワハハ」と笑う。

『神が何から何まで面倒を見てくれると思うような可愛いHumanが、態々我を信仰するはずがない。我の言葉なんて精々参考意見程度だ。

　その後どう動くのかは各々次第。手が空いたら-chanと見守るけれど、選択の責任はまず本人達が負わなくてはね。Humanは人形では無いのだし』

　originallyトRickスター……Ricklent以上に善悪に無頓着で、過去の既成概念や伝統を破壊しChaosをもたらす事を己の役割とするZuruwarnは、己のbeliever達に対しても距離を空けている。愛しく想っていない訳ではないが、自分の性質上、あまりbelieverとの距離を詰め過ぎるとHuman達の日常を掻き乱す事になると知っているのだ。

『お互い-samaではないか。汝のbeliever達も多数派にはなりえない故、すぐにVida's FactionとCoordinationを取らなくても大勢にimpactは無いだろうが……believer達の事は置くとして、Rodcorteの動向は？』

『分かったとも。どうやら、近々Aldaに全てを話して協力体制を取ろうとしているようだ。我々がVidaのallyをしている事も、souvenirにタレ込むつもりらしい』

　ここ暫くZuruwarnは、spaceを捻じ曲げてRodcorteのDivine Realmを覗けないか試していた。この試みは最初失敗を前提にしたものだった。実際、signを隠しきれずRodcorteのFamiliar Spiritにばれてしまったのだから。

　だがRodcorteは自身のFamiliar Spiritからも人望が無いのか、彼女達はこちらが何も言っていないにも関わらず覗き見に協力してくれている。

　Rodcorteが周囲に気を配っていれば、それでもZuruwarnの覗き見に気付いただろうが……彼は『Lambda』が誕生する遥か以前から、どのworldにも属さずたった一柱で存在し続けた神だ。そんな彼に周囲へ気を配り注意を行き渡らせろと言うのは、無理難題に等しい。

『では、奴が隠している情報……奴が『Lambda』の神となった事をAldaに教えるか？』

『それはどうだろう。我々がVidaのallyなのは事実。Aldaが我々の言葉を信じるか確証が持てないし……教えても今のAldaにRodcorteを罰する余力があるとも思えない』

『確かに……例のDungeonを創り上げるのにも大分力を使っている。Aldaなら、一旦Rodcorteと手を組みVandalieu達を倒し、その後に奴を罰しようとするだろう。では、教える意味は無いか』

　Ricklent達から見ると正気を失っているとしか思えないAldaだが、彼なりに『Lambda』worldの存続を優先している事だけは信じられる。だからVandalieuを倒す事に力を注いでいる今の状況で、Rodcorteと彼の権能にまで手を出すような事はしないだろう。

　……彼にとって、RodcorteよりもVandalieuの方がこのworldに害を与える存在に見えているのだろう。

『ではとりあえずDemon continentに身を寄せよう。Boundary Mountain RangeのBarrierの中に入ると、汝はRodcorteのDivine Realmを覗く事が出来なくなる故に』

『仕方ない。だが、ただ逃げるのも癪なので少し悪巧みを仕掛けておこう。その後はVandalieuにblessingsを与えて決別の意思を表すとしよう。……侵略者であるDemon Kingが倒れたと言うのに、我々はbrothers sisters同士で何をやっているのだろうね？』

《【Demon King's Fin】、【Demon King's venom gland】、【Demon King's stomach】、【Demon King's bones】、【Demon King's exoskeleton】、【Demon King's skin】、【Demon King's treasure orb】、【Demon King's Demon Eye】、【Demon King's nerves】、【Demon King's membrane】、【Demon King's wings】が合流しました！》

《【Demon King's exoskeleton】が既に合流しているexoskeletonにintegrationされました！》

《【Thread Refining】、【Mana Recovery Rate Increase】、【Mana Control】、【Super High-speed Thought Processing】、【Armor Technique】、【Shield Technique】、【Demon King】skillのlevelが上がりました！》

《【Demon King's Demon Eye】skillを獲得しました！》

《【Venom Secretion (Claws, Fangs, Tongue)】が【Deadly Venom Secretion (Claws, Fangs, Tongue)】に、【Mysterious Strength】が【Monstrous Strength】skillにAwakeningしました！》

　年が変わって一月。冬の寒い空気の中、街道から外れて進む幌馬車の列があった。

「今度の狩りは大量だぜ。これでもう今年の冬は楽に越せるな」

「一昨年はHero -samaのせいで散々だったからな。妙な連中に同業者が襲われて皆殺しにされる噂も流れるし、本当に散々だったぜ」

「その噂は初耳だな。妙な連中ってのは？」

「ああ、噂じゃhideoutを突然全裸の若い連中に襲撃されて身ぐるみ剥がされるらしい」

「……はぁっ！？　何だそりゃ？　素っ裸だぁ？　そんなん、簡単に返り討ちに出来るだろうが。それとも全員色っぽい美女で襲われた連中は鼻の下を伸ばしている間に皆やられちまうのか？」

「それだったら俺も見てみたいが、女もいるが男もいるらしい。噂じゃ素っ裸でも全員magicの達人で、俺が話を聞いた知り合いの知り合いは運良く逃げ延びたが、他の奴らは皆殺しにされたらしい」

「……そりゃあ、妙なmonstersがHumanにCamouflageしてるか、お前の知り合いの知り合いが大ほら吹きなんじゃねぇか？」

「だが実際それで潰されたmountain bandit団は幾つかあるらしいぜ。全裸だったりボロ布を巻いただけだったり、色々変わるらしいが。そんな奴らには狙われたくないよな。

　ただでさえ去年はmonstersに襲われて、折角仕入れた商品を囮にして逃げ出さなきゃならなかった事もあったんだからな」

　その列の中ほどで、幌馬車のCouch Drivingや周囲で護衛をしている男達が口々に去年までの愚痴を垂れていた。しかし彼等に悲壮感は無く、もうすぐ懐が温かくなると知っているから口も緩んでいるようだ。

「お前等も安心しな、大事な商品だ。Slave商人の旦那に買ってもらうまでは、-chanと飯も出してやるからよ。ヒヒヒっ」

　一方、逆に馬車の中の商品……Slave達の間には虚無感が漂っていた。

　男達は非合法な手段でSlaveを集める事を生業にしている犯罪者だ。Slum街で女childを浚い、「仕事の口がある」と騙して連れて行くのはまだ穏当な方で、時には村を襲い蓄えと生き残った村人の全てを奪って行く事もある。

　幌馬車の中にいるのも、一人を除いて非合法な手段で集められたSlave達だ。

　非合法に取引されるSlaveの将来は、殆どの場合暗い。使い捨てられる労働力を必要とする鉱山や農園経営者、非合法な人体実験を行いたいMage、表沙汰に出来ない欲望の捌け口を探す者等が主な買い手になるからだ。

　合法的に取引されるSlaveなら、鉱山送りにでもされなければまだ救いはあるし、運が良ければ自分を買い直して解放される可能性もある。

　だが違法Slaveはそうした救いや権利は無い。彼等が解放されるのは、死んだ時だけだ。

　それを知っているか、察しているのだろう。馬車に乗せられたSlave達……殆どが女childだが、彼女達の瞳には気力のfragmentも無かった。

「ん――――」

　そのSlave達の中に、片方の目にボロ布を巻きオッドアイを隠したVandalieuが紛れ込んで、小さく鼻歌を歌っていた。それでも白い髪と屍蠟のように白い肌は悪目立ちするのだが、【Hell King Magic】の【Blind Spot】を使ってsignを限りなく殺しているので男達はcertainly、彼の隣や向かい側に座っているSlave達も一人増えている事に気がついていないし、鼻歌も聞こえている筈なのに気にしていない。

　年が明けるまでの間に『Vida’s Resting Ground』で眠っていたPure-breed Vampire達が守っていたfragmentを獲得し、TalosへイムでDemon King Familiarが活動し続けられる仕組みを整える等の準備をしてきたVandalieu。彼はこんな所で何をしているのか。

　それは、Orbaum Elective Kingdomで活動するための下準備の為だ。

　何故今更Orbaum Elective Kingdomで活動する必要があるのかと言うと、Alda's Factionの動きが派手になっている事が関係している。

　Vida's Factionとの対決姿勢を強め、実行しようとするAlda's Factionの企みがこのまま進めば、必ずOrbaum Elective Kingdom内で過激な活動に出るだろう。

　例えば、Boundary Mountain Rangeの内側にいるVidaを、人々を惑わす偽のGoddess、Evil God (M) Evil God (P)の類だと騙って人々を扇動するとか、VandalieuがGuiding事が出来るVida's New Racesの中でもmonstersにrootsを持つ種を迫害し、Elective Kingdom内の集落を襲撃するとか。

　残念な事に【Familiar Spirit Advent】はEvil God (M) Evil God (P)のbelieverでも使えるし、Oracleは第三者にはそれが本当にOracleなのか、それともただ「Oracleを受けた」と世迷言を口にしているだけなのかは分からない。

　Orbaum Elective Kingdomで信頼されている為政者や著Adeptがそう言えば、Vida believerが何を言っても多くの人はそうなのかもしれないと思うのではないだろうか？

(特に、Heinz辺りが言えば効果は大きそうですしね)

　去年の残暑の頃にVandalieuの夢に出て来たHeinzはReconciliation Factionだそうだが、Vandalieuは彼を信用していなかった。現在進行形で挑んでいるらしいAldaの試練とやらから出て来たら、「主の御意思のままに」としか言わない人形になっている可能性もあると思っている。

　Aldaの試練らしいDungeonを襲撃……Dungeonの外から入り口に向かって【Hollow Cannon】をBarrageしてHeinz達を一方的に殺せないか試してみたいと思うが、その試みはAlda's FactionのGodsが死力を振り絞って妨害してくるだろうから危険だと話し合った結果、却下された。

　Gyubarzoと同等の神が一柱Adventしてくるだけなら、Vandalieuは倒す自信がある。しかし、一柱では無く複数Adventして来たら、その上で油断も無くCoordinationしてきたらと考えると、流石に自信は無い。

　一柱や二柱は倒せるかもしれないが、三柱以上は難しいだろう。仲間を連れて総力戦を仕掛けても、敵のGodsやHeroic spiritが消滅する覚悟で次々とAdventしてきたら結局は同じだ。

　それに、Heinz以外にも敵はいる。去年からAlda's Factionが始めた急造のHero作りはOrbaum Elective Kingdomでも行われている。originallyのbelieverの数が違うのでAmid Empire側よりも人数は少ないが、その分注目されているようだ。

　Heinzよりも知名度はずっと落ちるが、もし彼に何かあれば急造のHeroの中の一人を旗頭にする可能性がある。

　certainly Orbaum Elective Kingdom側のVida believerは反発するだろうし、この国のAlda believerはVida's New Racesに対して穏健なReconciliation Factionが多いはずなのだが……あまり信用できないと言うのがVandalieuを含めた、Talosheimの主要人物達の感想だった。

　代替わりのせいでTalosheimから逃げてきたPrincess Levia達に濡れ衣を着せて処刑し、Borkusの娘Gopher達をSlave鉱山に送って二百年強制労働させたHartner Duke 家。

　Vida believerの筈なのに、二代目以降Scylla raceをAutonomous Territoryに押し込め隔離政策を行ったSauron Duke 家。

　そしてVida believerなのにScylla raceを利用するためにOrbia達Scyllaを何人も手に掛けた、ResistanceのRaymondとRickのParis brothers。

　そうした実例があるためだ。残念な事に、believerとして間違っている者ほど神との繋がりはweak。そのためOracleは届かないのである。

　それに他の十のDuchyのDukeが為政者としては善良でも、それがAlda's Factionと距離を置きVida's Factionに対して穏健である事には繋がらない。

　領地領民のため大勢に従い、少数のVida's New Racesを弾圧する事を選ぶ為政者もいるだろう。

　こんな状況でもしMurakamiやAsagi等のReincarnatorや、Evil God (M)派のPure-breed Vampire Birkyneが直接及び間接的にVidaのネガティブキャンペーンを繰り広げたら、本当に目障りな事になる。

　特にBirkyneは幾つもの犯罪organizationを束ねているので、大規模な活動が可能だ。

　そうした事に対応するためにも、Vandalieu達はBoundary Mountain Rangeの外に出る事にしたのだ。

　情報を手に入れるための諜報活動の拠点を手に入れ、Vida's FactionのbelieverやVida's New Racesのallyを作って勢力を築き上げ、Orbaum Elective Kingdomに対する政治的、社会的な力を獲得し人々に広く訴えなければならないのである。

　その過程でMountain Rangeから出て来たVandalieuを狙ってMurakami達が誘きだされたら殺し、Birkyneのtailを掴んで始末する。Murakami達はreincarnationして時間が経っているから考えが変わっているかもしれないので、その場合はAlda's Factionに関わらない事を誓わせて(洗脳して)解放する予定だが。

(そうした活動をするためには、まず犯罪organizationに入り込み……乗っ取らないといけませんしね)

　Vandalieu達は、一から諜報活動をするのは面倒なので既存の犯罪organizationを乗っ取る事にした。彼がSlaveに混じっているのはその一環である。

　とりあえず、今までは順調だっ……た。

「おい、お前等！　何時からそんなにおしゃべりになりやがった！？　油断するにも程があるぞ！」

　そう怒鳴りながら、男達の中でも特に大柄で顔に向こう傷がある人物が列の先頭側からやって来たのだ。

「ぎ、Girabat -sanっ、す、すいやせんっ！」

　Girabatと呼ばれた男に怒鳴られると、まるで正気に返ったかのように男達はしゃっきりとして、怯えと緊張感に顔を強張らせる。

「酒にでも酔ってんのか？　ヘマしやがったらお前等も鉱山に叩き売る――っ！？　何だ、この妙な音は！？」

　Girabatは男達を叱責している途中で突然顔を顰めると、周囲を見回し幌の中を覗き込んだ。そしてVandalieuが歌っている鼻歌に気がついた。

　彼はmercenary崩れで、不幸な事に【Mental Resistance】skillを３levelで持っていたのだった。

(練習は失敗した……流石に効果を緩めながらだと、力も弱くなるのか。後々impactが残らないように【Mind Encroachment】skillを使うのは難しい)

　鼻歌を止めたVandalieuは内心そうため息をつくが、【Mind Encroachment】skillに抵抗した反動なのか、怒りがより駆り立てられた-sama子のGirabatが音の源を探して幌の中を覗き込む。

「ごほっ、ごほっ！」

　そこでSlaveの一人、幼いShoujoがtiming悪くせき込んでしまった。Girabatはblood走った眼でShoujoを睨みつけた。

「てめぇか……！」

「ま、待ってください！　Imoutoは体が弱くて……！」

「体がweak！？　じゃあ売れねぇな！　そのageじゃProstituteとしても使えねぇ、鉱山でも長くはもたねぇし、此処で楽にしてやれば、静かにもなって一石二鳥ってもんだぜ！」

　Shoujoの兄らしい少年が庇おうとするが、carriageに乗り込んできたGirabatは構わずせき込んでいるShoujoに向かって手を伸ばす。両手に木製の枷を嵌められたまま少年が立ちはだかろうとするが、容易くthrust飛ばされてしまった。

「テメェにはImoutoの心配なんかしてる余裕は無いんだよ！　鉱山に送られないよう精々いみょぎぇっ？」

　少年に怒鳴りながらShoujoの胸ぐらを掴み上げたギラバッドの怒鳴り声が、途中で奇声に変わった。

　彼の片方の耳には、ぬらぬらとした黒く細い管がthrust刺さっている。

「っ！？」

　驚愕に硬直した少年や他のSlave達が管を視線で辿ると、それはVandalieuのtongueに繋がっていた。

「……とりあえずnerveとauxiliary brainだけでいいでしょう」

　tongueを伸ばして半ばから先を【Demon King's Proboscis】に変化させているのに、不思議と明瞭にそう言うと、管が盛り上り何かがGirabatの中に注入されていく。

「おっ、げっ、や゛め゛で……ぐ、あ、あ゛、あ゛、ぁ……ぇすぉ、test、test、俺はGirabatです、じゃない、だぜ……かな？」

　するとGirabatはwhole bodyから冷や汗を拭きださせながら小刻みに震え出し、涙と涎を流しながら懇願を始め……突然無表情になると静かに話しだした。

　Vandalieuのproboscisが耳から引き抜かれると、そこから僅かに垂れた赤と灰色が混じった液体を袖で拭い、女の子を丁重に降ろして座らせる。

「Girabat -sanっ！　どうしたんですか！？」

「何でもねえ！　さっさと仕事に戻れ！」

　そして何処か棒読みに聞こえる声で外の男達を怒鳴りつけながら、carriageから降りて行った。

「い、今のは……？」

「あ、あんた一体……？　いや、何時からいたんだ？」

　呆然とするImoutoをVandalieuから庇ったまま問いかける少年や、唖然としているSlave達にVandalieuは言った。

「すみません、皆-sanを悪いようにはしないと誓うので暫く辛抱して、静かにしていてください。とは言っても無理でしょうから、眠っていてください」

　幌馬車の中に甘い香りが充満し……Vandalieuが【Deadly Venom Secretion (Claws, Fangs, Tongue)】で分泌し、気化させた催眠薬のimpactを受けて、彼等は眠りに落ちたのだった。

「これでGirabat……Infest型Demon King Familiarの操作に集中できる。動かすだけならin any case、成り代わるのは短時間でも難しそうですからね。主に、俺の演技力のせいで」