Darciaがrevivalする。
この大newsは瞬く間にTalosheim中に知れ渡り、Goblin通信機を使ってBoundary Mountain Range内部の各国にも伝えられた。
『Darcia -sama、きっとrevived時驚くでしょうね』
『皆、すぐ集まりましたからね』
RitaとSalireが、地下工房の-sama子を見まわしてそう言った。それもそのはずで、普段は半ばVandalieuと側近のたまり場と化している工房は、大勢の人々が詰めかけていたのだ。
流石にAmid Empire側のVida's New Racesの隠れ里に戻っている『Storm of Tyranny』はいないが、LegionとGufadgarnによってBoundary Mountain Range内部各国の主要人物が集まっていた。
彼等のほぼ全員が、霊だった頃のDarciaには会っていて、挨拶も交わしている。しかし新たな生命を得てrevivalするのだから、改めて挨拶を交わしたいと思うのも道理だ。
「間に合った……! 感謝しますぞ、Gufadgarn -sama。ここで更に遅れを取れば、Tiamat -samaと守護龍-sama方から何と言われるか分からんところじゃった。一安心じゃわい」
「安心している場合か! ただその場に居ても意味が無い。revived Darcia -donoに改めて挨拶を交わし初めて意味があるのだ! 頼んだぞ、Rowen!」
「いい加減にしてください、四老竜-sama!」
たった今Gufadgarnに連れられてやってきたRyuujin nationの指導者である四老竜(Elder格のRyuujin)と、Ryuujin nationを代表するSwordsmanの一人であるRowenが騒いでいた。
『Mountain Queen Dragon God』TiamatにもはっぱをかけられているRyuujin nationの為政者が必死なのは、revived Darciaが今後発揮するだろうinfluenceの大きさが関係している。
SalireとRitaはcertainly、この場にいる全員が知っているが、Vandalieuはかなりのマザコンである。これまではweak霊でしかないDarciaを守るためという意味もあったが、Darciaがrevived途端に治るものでもないだろう。
そしてVandalieuが治めるTalosheimの政治体制は、EmperorであるVandalieuの抵抗勢力が一切存在しないEmperor一強。General兼Prime MinisterのChezareや副GeneralのKurt等、Emperorに忠告し止める事が出来るcivil official武官は幾らでもいるが、最後はVandalieuの意思で全てが決まる。
だがそのVandalieuが確実に意見を尊重するDarciaが、霊だった時とは違いいつも近くにいる。そのinfluenceは、Human社会の国家におけるDukeを超える。
だが、ここは外界から十万年以上隔離されたBoundary Mountain Range内部。そんな政治的なinfluenceを恐れ、警戒して集まった者達は一人もいなかった。
「何を言っておるのじゃ、Rowen! Darcia -samaはEmperor陛下のご母堂っ、ご挨拶して親しくなるchanceじゃぞ!」
「然り、こう言った事は最初が肝心。きっかけを逃すと、後を引くのじゃ」
彼等が気にしているDarciaのinfluenceとは、Vandalieuの交友関係や異性関係に関するものだった。
現在Vandalieuが第二次性徴期を迎えている事は、Boundary Mountain Range内部の全ての国々に知れ渡っている。つまり、年頃だ。成人するのはまだ数年先でも、婚約するには丁度良い時期だ。
『Goddess of Life and Love』Vidaを頂点とするBoundary Mountain Range内部の国々では自由恋愛が推奨されているが、親が決めた縁組が無いわけではない。
きっかけは第三者からのintroductionでも、その後親しくなり愛を育めばそれはそれで幸せだろうと言う考え方である。愛ある結婚に貴賤は無い。
なので、親や上司から縁談が持ちこまれる事は珍しくない。そのためVandalieuにも、そうした事についてDarciaがなにかしら促すのではないかと、Boundary Mountain Range内部の国々では思われているのである。特に「出遅れている」とraceの片親である『Mountain Queen Dragon God』Tiamatに叱責されている守護龍達と、その祭祀である四老竜は。……実際にはMerfolk nationやLamia nationなど、Ryuujin nationと同じようにVandalieuの元に人を送り込んでいない国も幾つかあるのだが。
Rowenも、自国の指導者である四老竜から縁談が持ちこまれた事自体には、抵抗は覚えていない。
問題は相手がVandalieuである事だ。
「……それは分かりますが、別に私である必要はありますまい。と言うか、私では釣りあうとは思いませぬ。もし私が妃の一人になったところで、他の方々の間に埋没するだけでしょう」
Vandalieuの周りには、妃Candidateが既に何人もいるのだ。そこに自分が加わる事を想像すると、すぐに存在感を失ってしまうだろうとしか、Rowenには思えなかった。
「むぅ、しかし……縁談が決まっておらず、お前ほどの器量良しで腕も立つ女子はおらんのじゃぞ」
「諦めも肝要です。それが出来なければ、我がraceとbrothersであるDemon continentのKiryuujinやMaryuujinの方々から探せば良いではありませんか。でなければ、Tiamat -sama本人にお願い奉れば宜しいでしょう」
『Bloodsucking Ryuujinとかが生まれそうですね……あ、お茶どうぞ』
「どうも……Vandalieu -dono!?」
話題の人であるVandalieuからお茶を受け取ったRowenは、驚いて湯呑を落としそうになった。
「えっ、いや、別に私はあなたを嫌っている訳では無くてですね!」
「そ、そう、儂等がしつこく勧めすぎたんじゃ」
話を聞かれていた事に気がついたRowen達が慌ててそう言うが、Vandalieuは『まあまあ、落ち着いてください』と宥めた。
『周囲に異性が多いのは自覚していますから、お気になさらず。別に政略結婚とかしなくても大丈夫ですから。だから……Tiamatをその気にさせるのは止めてください』
「は、はあ……Vandalieu -donoは、Tiamat -samaは苦手ですか?」
そう聞き返されると、Vandalieuは『苦手ではありません』と答えた。
True giantと同じ巨体に手足とtailに生えたscaleに、頭部に生えた二本の角。Humanとはかけ離れた姿だが、certainly VandalieuはTiamatから不気味さや醜悪さは感じなかった。
寧ろその大らかなDivinityと溢れんばかりのVitality、鮮やかなscaleの艶に好感と魅力を覚えたくらいである。
『でも、一度に数十から百の子が出来るのはちょっと……hurdleが高いと思うのですよ』
Age of Gods Eraより数々の龍やTrue giant、Beast King、時には神とも浮名を流した事で知られる『Mountain Queen Dragon God』Tiamatは、多産でも知られていた。
実際、Kijinの始祖とMajin Raceの始祖との間にKiryuujinとMaryuujinを儲けた時は、一度に百人の子を産んだそうだ。当時は出来るだけ早く子孫を残さなければならない事情もあったし、龍の力で生まれた子の成長は通常の何倍も速かったそうだが。
「それは……確かに」
RowenもVandalieuの言葉に思わず頷いた。子孫繁栄は国家のstabilityに繋がる喜ぶべき事だが、幾らなんでもその人数は無い。
「幾らTiamat -samaが多産で知られる神でも自重するのでは……いや、ありませんな」
四老竜の一人がそう抗弁しようとして、途中で言葉を濁して首を横に振った。Tiamatにとって多産は神としての性質なので、意図的に抑える事は難しい。
(ただ、流石のTiamat -samaでも龍やTrue giantとの子は一度に大量に産む事は出来ないと聞いておる。Vandalieu -donoでも同じ事なのではないだろうか?)
その四老竜はそう思ったが、確証は無かったので黙っておくことにした。……後日、自らDemon continentに赴き確認しようとは思ったが。
『そう言う訳で、Rowen -sanの言う通り焦らず行きましょう。ほら、俺の寿命は三千年から五千年までありますし、百年後でも十分若い筈ですし』
Vandalieuが政略結婚はいらないと言っても結局安心できないだろうと思い、とりあえず先延ばしにする事を提案すると、Rowen以外に当ての無い四老竜達も引き下がった。
『では、席に案内しますね』
「ところで、Vandalieu -dono自ら案内をしなくても良いのではないですか? ご母堂のrevivalを近くで待ちたいのはあなたでしょうに」
『いえ、俺は-chanとkaa-sanの近くでrevivalする時を今か今かと待っていますよ。ほら』
Rowenに尋ねられたVandalieuがそう言って指差す先には、『The root of life』に宿ったDarciaが収められたカプセルと、それをじっと見つめるVandalieuの姿が……彼のBodyがあった。
その周囲にはBone ManやKnochenの一部、SamとSalireとRita、ZadirisやBasdia、Tarea等が集まって、感慨に耽ったり、思い出を語り合ったりしている。
『ここに居る俺はCloneです。色々準備するのにCloneを沢山作って動かしているので、そのついでですね』
実は地上では現在Darciaがrevived事を祝う祭りの準備が急ピッチで進められている。countlessのVandalieuのCloneたちがCookingを作り、人々が飾り着けやparadeの準備を整えているのである。
Darciaは今まで【Materialization】や感覚を共有するmagicでVandalieuのCookingを味わって来た。だが、生き返ったら本当に食べて欲しいと思っていたVandalieuは、皆に振る舞う分まで作り続けているのだ。
「そうでしたか……お手伝いしましょうか?」
明らかに大変そうだったのでそう聞くRowenだが、Vandalieuは『いえいえ、Rowen -san達はお客-sanですから』と遠慮した。
『最近まで本当にBodyが動けなかったので、Cloneで作業するのに慣れていますから、大丈夫です』
実際、【Demon King Fragment】をActivateさせた生体部品を組み合わせ、VandalieuのSpirit Formを【Possession】させたDemon King Fragment製使い魔、通称『Demon King Familiar』が最近Talosheimでは当たり前のように闊歩している。
主にGolemの代わりに重い建材を運んだり、【Demon Kingの墨】の塗料を塗ったり、Architecture作業で働いている。他にBorkusやVigaroのmonsters討伐に同行してExperience Pointを獲得したりもしている。
最近では【Demon Kingのlung】から吐き出す空気を動力源にして、硬質化した【Demon King's Blood Vessels】から弾を撃ち出す、銃砲型Demon King Familiarが、monsters討伐の共として人気である。……【Telekinesis】で弾を撃ち出す方式よりAttack Powerは数段落ちるがManaの消費量も低いので、main bodyから分離したDemon King Familiarでも撃ち続ける事が可能なのだ。
「分かりました。では、我々はここでDarcia -donoのrevivalを見守らせていただきます」
そう言うRowen達に一礼して、Spirit Form Vandalieuは他の賓客にお茶を配りに行った。
そして動き続けるCloneたちとは対照的に、カプセルの前から動かないVandalieuのBodyはその時を待ち続けていた。
液体で満ちているカプセルの中には薄いpink色の膜で出来た球体が浮かんでいて、DarciaのBodyはその中にある。
薄い膜の向こうに手足を丸めたfemaleのシルエットが透けて見えるが、まだ動いてはいない。この膜が無ければ、Darciaの-sama子をもっと詳しく知る事が出来る。だが、膜は重要な役目を果たしていた。
「ふ~む、この膜の袋が無ければもっと詳細に経過を観察する事が出来たのだが」
やや残念そうにこれまで纏めた経過観察のrecord……詳細なスケッチを含めた物……を顧みて、Lucilianoが小さく唸る。
彼の視線を遮るのに、膜は必須だった。
「師ArtisanのSpirit Formなら膜の内側に入り込んで、-sama子を見る事も出来るのではないかね? それで見た物を私に教えろとは言わないから」
「『The root of life』はdelicateなので、他の霊が近づくのは不測の事態を誘発する恐れがあるとGufadgarnが言っていたじゃないですか。俺のでもSpirit Formを近づけたくありません」
VandalieuもDarciaがどんなconditionなのか気になってはいたが、今までGufadgarnからの忠告に従ってカプセルの外から声をかけたり、【Danger Sense: Death】に反応が無いか見るだけに止めていた。
『ヂュゥ……諦めが悪い。
しかし、何と感慨深い……Knochen、我々はやっと当初の目的を果たす事が出来るようだ』
『おぉぉぉぉぉん』
黒い大きな布を手に持って待機しているBone ManとKnochenは、自分達がVandalieuに創られた当初の目的を思い出していた。
Bone Manと、Bone MonkeyやBone BirdがFusionして変化したKnochenは、このworldで最初期にVandalieuに創られnameを与えられたUndeadだ。
その目的は、VandalieuをDarciaがいる場所へ運ぶ事。彼等が創られた時にDarciaは既に火炙りの刑に処されて霊となっており、その場所までVandalieuを運ぶ事は出来た。
しかし、今やっと生きているDarciaの前にVandalieuを運ぶことが出来たのだ。もし彼等の目にlacrimal glandsがあれば、しみじみと涙を流した事だろう。
『そうですな……考えてみれば遠くまでBocchanを運んできたものです』
『距離的にはそうでもないですけど、確かにそうですね』
『Bocchan達と出会った時は、私達が今の姿になれるなんて夢にも思いませんでしたからね』
やはり黒い布を持っているSam(main bodyである馬車は近くに待機)、そしてタオルを準備しているSalireとRita親子が頷き合う。
『本当に……思いませんでした。妻は私を許してくれるだろうか』
Samは二人の娘……Tartarus Maid Armorになった二人の姿を見て、遠い目をした。
『父-san、今更何を言っているんですか。kaa-sanならきっと怒りませんよ』
『姉-sanの言う通りですよ。ちょっとWeapon Equipmentの扱いが上手くなって、返りbloodを浴びると回復出来るUndeadになっただけじゃないですか』
突然目が遠くなったSamを二人して励ます娘達だが、彼が気にしているのはそう言う事では無かった。
High-leg型とBikini型の鎧に宿ったRitaとSalireは、【Spirit Form】skillで生前の姿を基にしたShoujoの形を表している。カチューシャやLacesなど多少装飾品が増えて露出度は減ったが……少し青白いがとても肌色である。しかも、femaleらしい豊かな曲線が露わになっている。
『Bocchan、娘達をよろしくお願いします。なにとぞ、出来るだけ末永く』
やっぱり妻は許してくれないかもしれない。そう思って発作的にVandalieuの手を握って頼み込むSam。
「はあ……これからkaa-sanもrevivalするので、こちらこそ母子共々よろしくお願いします」
「旦那-sama、maybeそう言う事では無いと……いえ、私の言う事ではありませんでした」
VandalieuのButlerであるBellmondは口を出しかけて、途中で自重してしまった。
「Darcia Mama、早くrevivalしないかな~」
一方Pauvinaは、大きな瞳をわくわくと輝かせていた。
『Mama……?』
そのPauvinaの言葉に、複数のHumanとmonstersの死体を縫い合わせて創られたPatchwork ZombieのRapiéçageと、九本の首があるHydraの頭部を切断し、そこに異なるraceの美女の上半身を縫い付けたPatchwork Hydra ZombieのYamataが不思議そうに首を傾げた。
PauvinaはDarciaから産まれた訳では無く、VandalieuによってLife-deadとなった前世の自分自身を母体にして産まれた存在だ。
「そうだよ、Mama」
しかし Pauvinaはそう言ってカプセルの中のDarciaを指差す。
「あたしはVanのImoutoだから、Darcia Mamaなの。Mamaも、そう呼んで良いって言ってたもん。ね、Van?」
「ええ、覚えていますよ」
実際にはPauvinaにとってVandalieuは兄では無く生みの親なのだが、ageが近いので兄とImoutoのような関係になった。なので、彼女がDarciaをMamaと呼ぶのも変な事では無い。当人も歓迎していたし、Vandalieu自身も賛成である。
「だからRapiéとYamataもMamaって呼ぶんだよ!」
「……あれ? それは覚えが無い」
RapiéçageとYamataにもDarciaをMamaと呼ぶようにと言うPauvinaに、Vandalieuは首を傾げた。
そして言われた当人達も、合計十個の首を傾げて不思議そうにしている。
『ま……ま? 私、も?』
『Yamata……も?』
「うんっ、二人ともあたしと同じようにVanのお蔭で生まれたり、生まれ変わったりしたから、一緒だよ!」
どうやら、同じVandalieuのImouto分だからDarciaはMamaと言う考え方のようだ。
『ま……ま……まま……まま……Mama』
『『『Mama~♪』』』
そして二人とも気に入ったのか、繰り返しMamaと呟き、歌い出し始める。
「じゃあ私と、私の娘達も? うん、それはいいわね。便乗しましょう」
『Mamaァ……フフフ……』
それを聞いたGehenna BeeのQueen蜂であるQuinnと、SkogsråのEisenがすかさず便乗する。確かに二人ともVandalieuがPseudo- reincarnationさせて誕生したので、条件はPauvina達と同じだが……どう見ても彼のImoutoでは無い。
「私達の場合はどうなのかしら? やっぱり確認してからの方が良いわよね?」
「確認するんじゃないよ! そんな恥ずかしい事出来る訳無いじゃないのさ!」
「僕は恥ずかしくないけどね。何なら僕が代わりにお願いしようか? 恥ずかしがっているBaba Yagaの代わりにお願いします、Mamaって呼ばせてくださいって」
「Shade! このクソガキ!」
いつものchunk of meatの姿のまま、首から上だけHumanだった時の姿に戻るという、器用な技を使って同時に話し出すLegion達。彼女達のBodyの元になった『base form of life』はVandalieuが創ったものなので、Rapiéçage達と共通点がある。
『このままだと、陛下が創ったUndeadやPseudo-的にreincarnationさせた人達は皆Darcia -sanの娘になってしまいそうですね。certainly私はそれで良いですけど♪』
『姉-sanっ! それはまだ早いの! 一応私達は王族なんだから、-chanと時期と形式を整えてからじゃないとダメでしょ!?』
『私はどうしようかな~、迷うな~』
Princess Leviaを止めるZandiaと、迷っているJeena。
「それじゃあ、Orbia姉-sanはボクより先にお義kaa-sanって呼べるんだ」
『Privel、ちょっと意味が違うかなぁ。それに、アタシってImoutoっぽくなくない?』
「いやいや、Privel -donoも某もGizania -donoも、Pauvina -donoの理論だと呼ぶ資格があるかもしれないでござるぞ。
某達、Vandalieu -donoのGuidanceやblessingsを得てから大分姿が変化したでござるからな」
微妙な顔つきのScylla GhostのOrbiaと、彼女を羨ましがるScyllaのPrivel。だがカマキリの特徴を持つVida's New Races EmpusaのMyuzeはそう言って自分達の姿を指す。
Myuzeはwhole bodyのexoskeletonと鎌腕が緑を帯びたCrystalに変化したCrystal Empusaに、Privelはlower bodyのoctopusを思わせる八本のtentacleの先端がDragonの頭部に変化したScylla Originに。
そして蜘蛛の特徴を持つVida's New Races ArachneのLarge-buildであるGizaniaは、牛を思わせる二本の角を生やしたUshioniに変化していた。
「そうかもしれないが……やはり時期を待つべきだ。母上に不義理だし、そもそも強引すぎると拙者は思う」
「相変わらず真面目でござるな、Gizania -dono。しかし、時期が来るまで待つのが肝要でござるか」
「そうだね、ボクも待つ事にするよ」
『あ、あっしは遠慮申し上げますんで!』
そう納得する三人の横で、Kimberlyはそうカプセルの中のDarciaに話しかけていた。
「Iris、Irisはまだ俺達の娘で良いよな!?」
『待て、Godwin……Irisの意思次第だ』
「父-sanも父上も、いちいち私の意思を確認しないで頂きたい!」
Majin King GodwinとNemesis George、Irisの父娘がそう言って騒いでいた。
『どうすんだ坊主、弟Imoutoが際限なく増えちまうぜ?』
自分は範囲外であるBorkusがVandalieuに声をかけると、既に彼の背は煤けていた。
「やったね、kaa-san。familyが増えるよ」
『ダメだっ、坊主の心境は既になるようになれconditionだ!』
『おおMikoよ、諦めてしまうとは何事……はっ!? 今ならGiant Miko Idol Statueに加えて、Darcia -sama像の建立の許可が下りるのでは!? Mikoよ、なにとぞご検討を!』
『おいおい、信仰対象の隙を突くなよ』
盛り上がるNuazaを止めるBorkusの近くでは、Zadirisが冷や汗をかいていた。
「……中々シャレにならん話題じゃな。これ以上幼く見られそうな要因はいらんと言うのに」
「良いじゃないか、kaa-san。私達はPauvinaの言う条件に当て嵌まらない……のか? 考えてみれば、kaa-sanとTareaは若返り、私はInfertility治療で生まれ変わったと言えばそうなるのか?」
「kaa-san、あたしもDarcia -sanをkaa-sanって呼んだ方が良い?」
一連の話題を渋い顔で聞いていたZadirisに、Basdiaがそう答えながらふと妙な事を口走り始める。彼女の娘のJadalもそう言い出した。
「なっ!? なんて不吉な事を言い出しますの!? もしそれで私にまで幼いimageが付いてMagical Girlがうつったらどうしてくれますの!?」
「ちょっと待てぃ! 前半は同意するが、後半は納得できん! 儂らはdiseaseか何かか!?」
Tareaのあんまりな言い方に、Zadirisが食ってかかるが彼女は臆することなく言い返した。
「Zandia -sanと新顔のKanako -sanに移しているじゃありませんの。特にKanako -sanに対してはVan -samaにTransform杖を渡すように促してまで。
しかもあれだけMagical Girlを嫌がっていたのに、一緒に『あいどるゆにっと』なんてものまで組んで……あなた、さては口では嫌がって見せながら、実際にはこのTalosheimをMagical Girlだらけにし、Magical Girl 's ancestorとしてReignするつもりですわね!?」
「一周回って面白そうですね、Magical Girl都市国家 Talosheim」
「お願い、思いとどまって。何でもするから」
Vandalieuが煤けた背中のまま呟き、『Loyal Dog of the Eclipse Emperor』のsecondary nameを最近獲得したばかりのEleonoraが思わずZadirisに頼み込む。
「何じゃその悪夢のような未来絵図は!? 誰がReignなどするか! 坊やも同意するでない! Eleonoraに頼まれんでもやらん! あれは、ただ……Kanakoの方が色々詳しいようじゃし、人気は歌もdanceも付け焼刃な儂よりもKanakoの方に集中するはずじゃから、頃合いを見て他のmemberと交代すれば、多くの者達からは忘れられるじゃろうと思ったからじゃ」
Zadirisは色々と考えあっての事なのだと説明する。
「それに三人一度に注目を浴びれば、誰が最初にMagical Girlになったかも気にならなくなるとKanakoが教えてくれたのじゃ」
「……あなた、それは乗せられているだけじゃないの?」
「むぅ……今になって考えると、儂も若干そう思う」
だが、実際はKanakoの話術に乗せられただけのようだ。
「手の上で転がされるのは程々にしてよ……まったく」
『確か、お前とBellmondのTransform杖もVandalieu -samaは作っている筈よね?』
「Isla、そう言うあなたは旦那-samaのImoutoに成らなくて良いのですか?」
『私はVandalieu -samaの忠実な僕であって、Imoutoでは断じてないわ』
「静かに。どうやら、今がその時のようだ」
Lucilianoが白紙に何かを書き込みながらそう言った時には、カプセルの中の膜が大きく揺らめいていた。内部のDarciaが、明らかに意思を持って動き出したのだ。
柔らかな膜を内側から破り、細い腕が現れる。
「カプセルを」
「畏まりました」
Vandalieuの声に応えて、Gufadgarnが即座に出現する。彼女が手を上下させると、保存液が排出されカプセルが開く。
そして、膜からDarciaが――。
『フォーメーション開始!』
『おぉぉぉぉぉん!』
「ぷはっ、皆――えっ!? なに!?」
現れるという瞬間、Bone ManやKnochen、Samが彼女の四方を囲み手に持った黒い布……暗幕を広げ、周囲の視線を遮る。
『Darcia -samaっ、タオルです!』
「こちらが御召し物になります」
そして暗幕の内側に入ったRitaやSalireが保存液に濡れた彼女のbody partを拭き、Bellmondが服を用意する。
「あ、ありがとう。皆、凄く手際が良いのね……あぅっ」
目を白黒させながらbody partや髪を拭かれ、服を着つけられたDarciaは、小さく呻いて頭を押さえる。
『Darcia -sama!?』
「kaa-san!? どうしました?」
「大丈夫、ただちょっとStatusが……アナウンスが凄くて……一度に来るものだから眩暈が」
Salireや驚いて飛び込んだVandalieuに声をかけられたDarciaは、よろめきながらそう答えた。どうやら、-sama々なskillの獲得等で脳内アナウンスが連続で鳴り響いているせいで、眩暈に襲われたようだ。
「ふぅ、ちょっとVida -samaのところで頑張り過ぎちゃったかも……まあ、Vandalieu……ほんの少しの間に、大きくなったのね」
そして優しげな紫紺の瞳でVandalieuの姿を映すと、優しげに息子の頭に触れる。
成長期の結果か、Vandalieuの身長は十センチ程伸びていた。originally ageの割に小柄だったので、まだZadirisより少し背が低いが、Darciaがその腕に抱いていた時よりもずっと大きい。
「こんなに大きくなるまで苦労をかけてしまって、ごめんね。私を取り戻してくれてありがとう。
これからは、ずっと一緒よ」
「はい、kaa-san。戻って来てくれて、ありがとう」
あの温もりだ。三度目の人生にして、初めて自分に無条件の愛情で接してくれた温もりだと、VandalieuはDarciaの手から伝わる温もりに、涙を流した。
「もう、二度と誰にも奪わせない」
同時にこの誓いを噛みしめる。取り戻したという事は、再び奪われるかもしれないという事だと魂に刻む。この時Talosheimの周辺に展開していたDemon King Familiar達は、最大限の警戒心を発揮していた。
あるかもしれないRodcorteやAlda's Factionの介入を防ぐために。
「すっかり心配性にしちゃったわね」
息子の-sama子からそれが分かっているDarciaは、そう言ってほほ笑むとVandalieuを安心させるように抱きしめる。
「でもこれからは私も戦うし、Vandalieuを手伝うからね。Vandalieuが色々無茶をするから、raceもChaos Elf Sourceって言う変なのになったし、skillだって凄いんだから!
私、Vida -samaの化身になったみたいなの♪」
「Chaos Elf、sauce? それにVida’s Incarnationって……」
Darciaの新しいbody partは、appearance上は生前の彼女とあまり変わらないように見える。少し肌が以前より黒くなった気がするが、それぐらいだ。
「Vidaのsignは少し感じますけど、kaa-sanその物のように思えますが?」
「ええ、化身って言っても意識も人格も私のものよ。私がそのままVida -samaの化身になったって感じかしら」
どうやら、DarciaがVidaとFusionしたとかそういう訳では無く、Vidaと接続された事でDarciaがそのままVida’s Incarnationになったらしい。
実質、凄く強力なblessingsを得たのと同じ事のようだ。
「あ、着替え終ったわ! 皆-sanに挨拶したいからお願いできる?」
『御意』
それまで空気を読んで黙っていたBone Man達が、暗幕を持ったまま離れる。revived DarciaがVandalieuを抱えたまま手を振る姿を見て、待っていた者達は大きな歓声を上げた。
「皆-san! 私はVandalieuと皆-sanのお蔭でこうしてrevivalできました! これからも息子とこの国をよろしくお願いします!」
再び大きな歓声が上がる。この瞬間、Darciaは『Empress Dowager』のsecondary nameを獲得した。
「それと、Kanako Tsuchiya -sanとMelissa J Saotome -sanはいる? ちょっとお話があるから、来てくれないかしら?」
そして、何故かKanakoとMelissaを指名する。
「わ、私達ですか?」
やや離れた場所に居たKanakoとMelissaが、驚きと困惑を浮かべながら周囲に促されるようにして彼女の前に出て来る。その後ろを同じような顔つきのDougも付いて来ている。
「あ、あのー、何ていうか……ご、ゴメンナサイ?」
「す、すみませんでした」
「え? 何で謝られるのか分からないのだけど……」
正体不明の不安感によって思わず謝ってしまうKanakoとMelissaだったが、Darciaは二人に「うちの子に取り入ろうとするなんて悪い虫ね」的な文句を言う意図で二人を指名した訳では無かった。
「あなた達二人、後ろのDoug -kunも入れて三人ともVida's New Racesに成りたいのよね? それは今も変わらない?」
「え、あっはい! 変わりません! でも、出来ればあんまり大きく姿が変わらないraceを希望したいんですけど……」
「わ、私もKanakoと同じ気持ちで希望です!」
「じゃあ、少し肌が黒くなるぐらいなら別に良いかしら?」
「「はい! Dark Elf大歓迎です!」」
背筋を伸ばして応える二人に、「じゃあ、丁度良いからやっちゃいましょうか」とDarciaは微笑む。
「Dark Elfじゃないけど……あなた達二人に祝福を」
そしてVandalieuを降ろすと、代わりにKanakoとMelissaを左右の腕で抱き寄せ彼女達の額に口づけをする。
「あ……あああああっ!?」
「はぁぁ……これ、凄い……」
すると二人は声を上げ、それを後ろで見ていたDougが驚いて指を指す。
「二人の肌が、黒くっ!? Dark Elfになったのか!?」
KanakoとMelissaの白い肌が、Darciaのlipsが触れた額から黒く染まって行く。Vandalieuは一応二人の生命反応などを観察したが、変化の速度が速い割にbody partには何の負担もかかっていないようだ。
「いいえ、Dark Elfじゃなくて、Chaos Elfになったのよ。私と同じraceの。
そう言う訳で皆-san! 私はDark ElfからChaos Elfと言う新raceになりました! これからも改めてよろしくお願いします!」
「何と……始祖が不在であるためDark Elf化の儀式が行えなかった我々に代わって、新たなElfが誕生するとは……何と喜ばしい! これもGoddessのご意志か!」
Dark Elf王のギザンがそう言いながら、新たなraceの誕生を歓迎する。
彼と同じように、他の国々の者達もChaos Elfの誕生を歓迎した。
「それでDoug -kunは……どうする? 二人と違って-kunはHumanだからちょっと時間がかかるし、何度かしないといけないかも知れないけど」
そのギザン達の反応にほっとしたDarciaは、変化に伴う快感や脱力でbody partを弛緩させたままのKanako達を抱きしめたまま、Dougに視線を向ける。
「すみませんっ! 遠慮させて頂きます!」
しかし、Dougはその彼女の横にいるVandalieuからの視線に気がつくと、慌てて辞退した。
こうしてDarciaはrevivalし、また新たなVida's New Racesが『Lambda』に誕生した。
《Vandalieuのraceは、Dhampir(Dark Elf)から、Dhampir(Mother: Goddess)に変更されました!》
「おや?」
そのimpactを受けて、Vandalieuのraceも変わったようだ。
・Name: Darcia
・Race: Chaos Elf Source
・Age: 0
・Title: 【Witch】 【Holy Mother】 【Monster’s Parent】 【Vida’s Incarnation】 【Empress Dowager】
・Job: none
・Level: 0
・Job History: none
・Passive skills
Dark Vision
Magic Resistance:10Lv
Physical Resistance:10Lv
Abnormal Condition Resistance:10Lv
Monstrous Strength:5Lv
Super Rapid Regeneration:5Lv
Vitality Enlargement:7Lv
Mana Enlargement:5Lv
Automatic Mana Recovery:5Lv
Mana Recovery Rate Increase:5Lv
Self-Enhancement: Vandalieu:10Lv
Self-Enhancement: Guidance:10Lv
Strengthened Attribute Values: Creator:1Lv
Strengthened Attribute Values: Ruling:1Lv
Allure:6Lv
Strengthened Attack Power while equipped with a bow: Medium
Strengthened Defense Power while equipped with non-metal armor: Medium
Strengthen Follower:1Lv
・Active skills
Cooking:5Lv
Housework:5Lv
Hunting God Archery:1Lv
Hearth-Style Dagger Technique:1Lv
Unarmed Fighting Technique:10Lv
No-Attribute Magic:5Lv
Mana Control:10Lv
Life Emperor Magic:1Lv(Life-Attribute Magic awakened into!)
Water-Attribute Magic:10Lv
Wind-Attribute Magic:10Lv
Spirit Magic:2Lv
Dismantling:1Lv
Spirit Form:1Lv
-Surpass Limits-:1Lv
Chant Revocation:5Lv
Coordination:5Lv
Goddess Advent:1Lv
・Unique skill
Vida’s Incarnation
Life Attribute Gods’ Divine Protection (Those allied with Vida)
Chaos Elf's Ancestor
Vanダ■■'s Divine Protection
Divine Metal Skeleton
Magic Eye of Regeneration:5Lv
Chaos
・Darcia解説 Luciliano著
師Artisanが考えた、最強の母。短くまとめるとそう言う以外に無い。
生前はDark Elfでも百age未満で、【Apprentice Mage】、【Archer】、【Spiritual Mage】のJobを経験しただけのDClass adventurerだった彼女だが、今ではSClass adventurerと互角以上に戦う事が出来……そして殺し合いなら勝つ事も不可能では無い。何せ、彼女は師ArtisanやLegionとは別の意味で徹底的に死ににくい。
まずどちらもlevel10の【Magic Resistance】と【Physical Resistance】skill。これのおかげで、生半可な腕ではどんなWeapon Equipmentやmagicを使っても彼女に大きな傷を与えるのは難しい。【Abnormal Condition Resistance】までlevel10なので、毒やCurseも効き目が薄い。
そして師Artisanが精密に創り上げたOrichalcum製のbone格によって獲得した【Divine Metal Skeleton】。これにより、彼女はまずbone折しない。罅すら入らないだろう。何せAdamantite以上の物理Defense PowerとMythril以上の対magic Defense Power、更に驚異的な柔軟性による対衝撃性能まであるOrichalcum製のbone格だ。
同じOrichalcumのWeapon Equipmentで攻撃されても、使い手が余程の達人でなければboneまで傷つける事は出来ないだろう。
関節技をかけられた場合でも、彼女の関節は本来とは逆の方向に折れ曲がっても破壊されず離されればすぐ元に戻る。
それらの障害を越え彼女に大きな傷を与えても、【Super Rapid Regeneration】という驚異の再生Abilityを持っているためほぼ意味は無い。手足を切断されても一分と経たずに元通りになってしまう。
そしてDarcia自身の戦闘Abilityも高い。全体的には『Mercenary King』Veldの指導を受けながら、『God of Hunting』Rishareから【Archery】を、『Goddess of the Hearth』Delboraから【Dagger Technique】……だろう、maybe。それらを修めている。他のGodsからも指導を受けたようだ。(Godwin 's ancestor母から【Love-making】や【Seduction】skillを習う機会があったらしいが、それは別の機会にと遠慮したそうだ)
そして生命attributeとWater-Attribute、そしてWind-Attributeのmagic……まあ、挑むだけ無謀だろう。
Divine Realmでの訓練の結果、彼女の戦闘AbilityはPure-breed Vampire達と模擬戦でならやり合える程になったそうだ。body partが揃っている今なら、もしかしたら勝てるかもしれないと言っていた。
そしてこれからは常に師Artisanの使い魔兼Fissionの『Demon King Familiar』が付けられる予定なので、ますます隙は無い。
これでまだ生まれ変わった事によりJobに就いていないのだから、これからJob changeを重ねて行ったらどうなるのか……末恐ろしい。
ただ彼女について驚くべき点は、Chaos Elf Sourceと言う新race 's ancestorとなった事と、Goddessの化身である点だろう。
Chaos Elfと言うraceに付いてはDark Elfが更にEnhanced (1)されたVida's New Racesであると思われるが、まだ詳細は不明だ。ただ、Darciaは同意の意思があるElfやDark Elfに祝福(口づけ)をする事でChaos Elfにする事が出来るようだ。また、Humanも多少時間をかければChaos Elfに出来るらしい。
この事からsauceとは、「源」を意味すると思われる。
これは新race化を自ら経験し実験し、更に寿命が延びるchanceだと思うのだが……一応師Artisanの了解を得てから頼んでみよう。ダメでも彼女がrevivedのをきっかけに、『Vida’s Resting Ground』でsleeps Pure-breed Vampire達が起きるらしいのでその誰かにVampire化して貰うか……いっそ師Artisan自身に頼んでみるか。
Goddessの化身に付いては、「凄く強力なblessings」と考えれば良いらしい。なんでも、VidaのDivine Realmで修業した結果そうなったのだとか。
一定時間GoddessとFusionする【Goddess Advent】という、【Heroic Spirit Advent】や【Spirit Clone Advent】よりも更に上位のskillを獲得しているのも、そのお蔭だと思われる。
尚、彼女のsecondary nameに付いては後日師Artisanが『Vida’s Resting Ground』に直接事情を聴きに行く予定である。