Amid Empireの北の属国、Iron Nation Marmook。nameの通り鉱山が多い国のある森で、Schneiderは眉間に皺を刻んでいた。
「回収すればsouvenirになるし、隠れ里に迷い込まれたら事だから放っておくわけにもいかないから仕方ないが……何で本格的に捨てると決めた、もうすぐ敵になる国の平和を守ってんだ、俺達?」
『げ、ゲギュゲギィ――』
「動くんじゃ、ねえ!」
Schneiderは騒ぎ出した細い布状の金属にwhole bodyをぐるぐる巻きにされている何かに、強烈な膝蹴りを叩きこんだ。
「シュナ、幾ら薄くてもそれはOrichalcumのsealedだから、もっと本気で蹴らないと効かないと思うけど」
「本気で蹴ったらsealedが解けて、fragmentが宿主から逃げ出すだろ」
「分かっているなら蹴らないでよ、危ないでしょ」
呆れた顔つきで言うLissanaに、Schneiderがそう言い返す。そしてDaltonは半眼で二人のやり取りを眺めている。
「ところで、何で普通に宿主を殺してsealedしねぇ? 生かしたままsealedするなんて、面倒でしかも危ないだろ。殺したくない相手って訳でも無いだろうによ」
Daltonの言う通り、runawayした【Demon King Fragment】をsealedする時は宿主を殺して体内のfragmentをsealedするのが通常の方法だ。宿主を生かしたままsealedする事は、まず無い。
何故なら無意味で危険だからだ。fragmentを宿主から生きたまま分離する方法が知られていないため、元のconditionに戻せない。それにsealedが長期間に及ぶと、結局宿主は死んでしまう。
ついでに、この【Demon King Fragment】にInfestされた宿主の正体はHumanですら無く、遺跡に住みついていたらしいGoblinである。当然面識も、縁も所縁も無い。
それなのに何でそんな事をと問いかけるDaltonに、Schneiderは答えた。
「お前が会ったVandalieuなら、宿主を生かしたままfragmentだけ取る事が出来るかもしれないだろ。だったら、失敗しても心が痛まないこの宿主で試すと丁度良いかと思ってな。
俺が直接運ぶし、危ないと思ったらすぐ始末するから良いだろ」
そこまでしても、Vandalieuが宿主を生かしたままfragmentを摘出する事に興味を持つかは不確実だが。ただ、Daltonから聞く限り興味を持つだろうとSchneiderは思っていた。
「じゃあ、それを背負ってZod達と合流しましょ。今どのあたりか分かる?」
「風のAnimaによると……この山の向こう側でmonstersの群れと戦っているらしいな。あいつ、Abyss種ってのになってから調子が良いらしいな。よし、早速行って俺達も混ざろうぜ!」
「おいおい、この大荷物を抱えた俺に山道を走らせる気かよ。全く、膝の関節が痛むってのによ」
「……それってついさっき、Orichalcumで包んだDemon King Fragmentの宿主に膝蹴りしたせいじゃないの?」
こうしてSchneider達は【Demon King Fragment】を回収し、monstersのrunawayを鎮圧し、Amid Empire側のVida's New Racesの移住計画を進めるのだった。
春になり初夏が近づくころ、VidaのDivine Realmで行われているDarciaの訓練は佳境に入っていた。
既に弓や短剣、magic等個別のskillに関する訓練は終わり、教官であるDhampir出身のHeroic spirit Veldや、Vida’s Resting Groundで眠っているElperを含めたPure-breed Vampire達、Godwin 's ancestor母や父親のMajin Raceとの実戦的な模擬戦へと移っていた。
『また負けちゃった……』
そう言ってがっくりと肩を落とすDarciaに、Veldは顔を引き攣らせて『当たり前だ』と言った。
『多少時間の感覚は早くなっているとは言っても、一年足らずの訓練でloseたまるか。俺は元mercenaryのHeroic spiritで、他の奴らは全員Rank13以上のMyth Classのmonsterだぞ』
そう、Darciaが模擬戦で相手をしているのはSClass adventurerでなければ真面に相手をする事が出来ない存在ばかりだ。それに模擬戦で勝てなかったからと言って、嘆く事は無い。
(寧ろ、実戦形式の模擬戦が出来る事自体を誇って欲しいもんだ)
そうVeldは内心で評価していた。生前のDarciaの実力なら、VeldやPure-breed Vampire達が振るった一撃を模擬戦用のWeapon Equipmentで受け止めた衝撃に耐えられず、吹き飛ばされているだろう。
それが実戦形式の模擬戦を何度も繰り返すまでになったのだから、驚愕に値する。
(魂だけでこれなんだから、あのBodyが完成したらどれくらいになるか分かったもんじゃないな)
今『The root of life』から成長し、完成が迫っているDarciaのBody。それに宿って完全にrevivedら、本気を出さないと勝てないんじゃないだろうか? そんな予感をVeldは覚えていた。
Monster’s Parent、Monstrosityの保護者相手に本気で勝負するつもりはそもそもないが。
『模擬戦が終わったら、次は魂の修行だ。そら、行って来い』
『そうですよ。おいでなさい、Darcia。Veld、あなたもどうです?』
『はい、Vida -sama』
『謹んで遠慮申し上げます、我がGoddess』
優しげに手招きする『Goddess of Life and Love』Vidaの前に進みでるDarcia。Veldはそれとは逆に、鮮やかにこの場から逃げて行く。いつもの事である。
『ところでVida -samaこれは……本当に魂の修行なのでしょうか?』
そしてDarciaは何時ものようにVidaと向い合せに座り、手を握り合いながら首を傾げた。
この魂の修行では、こうしてVidaと触れ合いながら他愛も無い話をする。それだけだ。
worldを創った十一柱のGreat Godの一柱にして、Dark Elfを含めたnew-racesの母であるVidaとこうして直接向かい合い、手に触れ言葉を交わす事はcertainly光栄な事だ。
しかし、修行とは違うような気がする。
『いいえ、これはとても大事な修行なのよ。そして、今の私が出来る最大の祝福でもあるの』
しかし、VidaによるとこうしているだけでDarciaの魂は修業を修めている事になるらしい。
『こうして私と波長を合わせて……やっぱりあなたは難しい事を言うと変に意識してしまうから、自然体でいた方が良いわね。
だから、考えないで感じるのよ』
Darciaとの同調に小さな乱れが発生した事に気がついたVidaは説明するのを止め、そう助言した。
『は、はいっ』
DarciaもVidaがそう言うのならと、感覚を研ぎ澄ませる。すると、温かなVidaの存在感に包まれている-samaな気がした。
『ところで、最近のVandalieuは元気ですか? 今日も話しかけてくれたのだけど、最近はBodyじゃなくてSpirit Formになっている事が続いているみたいで……』
VandalieuはDarciaがこうしてVidaのDivine Realmで訓練を受けている事を知らないが、Vandalieuがカプセルの中のDarciaのBodyに話しかけた言葉は、彼女に届いている。
なのでDarciaは自分がただの霊で無くなった後も、Vandalieuが何をしているのかは把握していた。……まさかDemon Kingになってしまうとは驚いたが、元気なのは相変わらずな-samaなので安心していた。
しかし、暫く前からVandalieuの声がBodyを通していない-samaな気がする。普段から【Out-of-body Experience】やCloneを作って活動する事が多い息子だが、少し妙に思えた。
『そうね、最近は……ちょっと元気にすくすく育ちすぎているみたいね』
そして、実際何か起きているらしい。
『ええっ!? VandalieuがPauvina -chanみたいに大きく!?』
『そこまで育ってはいないわ! ただちょっと……body partの限界を超えちゃった感じ?』
『そうなんですか……それなら大丈夫ですね。ふぅ、皆が夢で見たGiant Vandalieuみたいになったのかと思って驚いてしまいました』
『安心してくれてよかったわ。見た目はそんなに大きくなっていないわ、数センチぐらいよ』
Divine RealmでDarciaとVidaがそんな話をしている頃、VandalieuはEleonoraの腕の中でぐったりとしていた。その左右にはBellmondと、Undead Giantにして旧TalosheimのHeroの一人である『Saintess of Healing』Jeenaがそれぞれ心配そうな顔で-sama子を見ている。
「Vandalieu -sama、本当に大丈夫なの? 休んでいた方が良いんじゃない?」
瞼も半ば閉じていて、呼吸も浅い。首筋に指を当てて何度も脈拍を確認しないと、死んでいるのではないかと不安になる。
『いえ、別にdiseaseやinjureをしたわけではありませんから』
そんなEleonoraに、Bodyとは逆に元気に動き回るSpirit FormのVandalieu達の一人がそう答えた。
『ただの成長痛、のようなものです』
それがVandalieuのBodyがぐったりしている原因だった。邪悪なGodsを喰らい、Shashujaを訪ねた後、彼はwhole bodyから痛みを感じた。
最初はただのmuscle痛かと思ったのだが、次の日には体が動かなくなっていたのだった。
『いやー、panicしましたよ。動こうとしても本当に動けないんですから』
『muscleだけじゃなくてboneや腱も痛いし、それなのに元気ではあると言う良く分からないconditionでしたからね』
『毒でもdiseaseでもCurseでもないので、【Disinfect】や【Sterilization】も効果がありませんでしたし』
「それでBodyが動かないので、こうして主に【Out-of-body Experience】したSpirit Formで働いていると」
Bellmondはそう言いながらため息を吐いた。
「私としては、body partが動かないのでしたら安静にしていてほしいのですが」
「私も同感よ。移住希望者がどれくらい来るのか知らないけど、そこまで頑張らなくてもと思うけど」
二人のVampireに、Vandalieuを診察した『Saintess of Healing』Jeenaは『むぅ』と呻いて渋面を浮かべた。
『酷いmuscle痛みたいなものだから無理はしない方が良い筈なんだけど……body partからSpirit Formだけ出て作業するのは、無理な事なのかどうなのか。陛下-kun以外した事が無いからさっぱり分からないよ』
Vandalieuが今行っているのは、Schneider率いる『Storm of Tyranny』が連れてくる移住希望者を受け入れるためのTalosheimの増築工事であった。
幾層もの城壁を移動させて土地を広げ、建物の材料である木材や石材を運び、建物をArchitectureする。
城壁の移動以外のArchitecture工事では、Vandalieuだけでは無く職人達も働いている。しかし建材をGolemにして動かす等重機に相当する部分をVandalieuが担当しているので、彼が果たしている役割は大きい。
『でも、俺の十一ageの誕生日を過ぎた頃には来るみたいなんですよね。それまでに形ぐらいは作っておきたいんですよ。
まさか、暫くKnochenや運河に浮かべたCuatroに泊まってもらう訳にもいかないでしょうし』
『おおおん?』
Vandalieuの言葉に、近くを飛んで木材を運んでいるKnochenのFissionが、「自分はそれでも構わないよ」と言うように鳴く。
Rank11のBone Palaceに至ったKnochenの大きさは、Talosheimの城を既に超えている。形を整え家具を運び込めば、千世帯以上が楽に暮らせる集合住宅になれるだろう。
幽霊船Cuatroも、Four Captains of the Dead Sea以下船員たちに陸に上がってもらえばKnochen程ではないがそれなりの人数が暮らせるはずだ。
「確かに、移住希望者にいきなりUndeadの中を仮宿にしろと言うのは酷でしょうね。Cuatroはまだしも、Knochenはboneそのままだし」
『おぉん……』
「別にあなたが悪いって言っている訳じゃ無いわよ! 免疫の無い人達にはきついってだけで!」
Talosheim国民は既にSkeletonを見ても動揺しない程慣れているが、移住希望者たちはVida's New RacesであってもこれまでUndeadには馴染みが無い者達だ。見慣れると表情が無い為怖くない髑髏でも、怖がる可能性が高い。
……もしかしたらSoldierやWarriorとして見慣れている者もいるかもしれないが、そう言った者達は別の意味で落ち着かないだろう。
「旦那-sama、新市街地の増設を急ぐのは、移住希望者の中にTalosheimを視察しに来られる、Darcia -samaの出身のDark Elfの隠れ里の関係者もいるからですか?」
Bellmondの質問に、Vandalieuは特に隠すことなく答えた。
『それもあります。Talosheimの優位性をappealしないといけませんからね』
Vida's New Racesには【Hell Demon Creator Path Enticement】skillによる魅了の効果を及ぼす事が出来るVandalieuだが、monstersにrootsを持たないVida's New Racesに対しては、他よりも効果がweak。
そのため、母の出身地のDark Elf達に気に入ってもらえるかややnerve質になっているようだ。
BellmondやEleonoraは、そこまで気を使わなくても良いだろうにと思うのだが……Undead関連さえ乗り越えられれば、このTalosheim程インフラが整い治安が良く食生活と娯楽が充実し、しかも税金の安い国は無いのだから。
『でも、職人の人達に負担をかけるつもりは無いので、全てが完成するのは移住希望者のFirst陣が到着した後になる予定ですが』
「……工事している所を見て貰うのも良いかもしれないわね。Undeadに親しみをもってもらえるかも」
『なるほど。それは良いかもしれません』
VandalieuがGolem Transformationさせ移動させる以外にも、Knochenを始めとしたUndead達が資材を運んでいる。疲れ知らずの彼等の力をappealするには、Architecture工事は丁度良い。
「フハハハハ! さあ、勇士達よ、石材を運ぶのだ!」
そう思うVandalieuの背後をLegionのValkyrieが、彼女が勇士達と呼ぶZombie達を率いて通り過ぎて行く。『Trial of Zakkart』で回収した挑戦者のうち浅い階層で敗退した有象無象の死体から創られたIsis手製のZombie達は、彼女のCommandingに従い黙々と石材を運んでいる。
(流石にあれを見てSlaveを連想することは無い……と思いたいですね。尤も、Valkyrieが本来の姿に戻っていれば、それどころでは無くなるでしょうけれど)
あさっての方向に逸れかけた思考を修正すると、Bellmondは話を戻した。
「……では、適度に休んで頂けるそうなのでもう良いでしょう。body partを動かせないのが、やはり心配ではありますが」
「そうね……Jeena、何とか出来ないの? あなた、muscleだけじゃなくてSaintess of Healingでもあるんでしょう」
『『Saintess of Healing』の方が先なんだけどね。でも、私の【Life King Magic】の治癒でも精々痛みを和らげることしか出来ないよ。成長期を止めるmagicなんて知らないし、知っていても使えないし。
陛下-kunの【Status Effect Immunity】も効果が無いんでしょう?』
BellmondとEleonora達からすると、成長痛で体が動けなくなるなんて事は聞いた事が無いので、Vandalieuの身に何か良くない事が起きているのではないかと不安で仕方ないのだ。
しかし、治癒magicが得意なJeenaもどうしようもないと言って、Vandalieuに同意を求めた。
『はい、【Status Effect Immunity】skillは効果を発揮していません。今俺の身に起きている事は。diseaseでもなんでもないんですよ。ただ、今までにないpatternの成長痛であると言うだけですから。
痛みを和らげても、【Painlessness】で感じ無くしてもmuscleのconditionが戻る訳じゃ無いので動けないままでしょうし』
今現在、VandalieuのBodyは第二次成長期を迎え急速に変化していた。boneが軋み、muscle繊維がDecayし、【Rapid Regeneration】skillの効果で再構成される事を繰り返している。内臓にも変化が起きているかもしれない。
certainly、通常なら動けなくなるほど激しい成長痛なんて起こるはずがない。たとえ、Dhampirだったとしてもだ。
だが、Vandalieuは彼以外のDhampirと比べても普通では無かった。
彼は今就いている【Magic Cannoneer】を含めて、十九のJobを経験している少年Dhampirだ。このJobの数は、並のAClass adventurerを軽く越えている。
Vandalieu達は誰も知らないが、SClass adventurerの【Blue-flame Sword】のHeinzよりもずっと多い。
その割には、今までVandalieuのMana以外のAbility Valuesは不自然に低かった。それは彼のbody partが幼すぎたためAbility Valuesの成長が抑えられていた為だ。
類似した現象は、以前から知られてはいた。Royal Nobilityや腕利きのadventurerのyoung childの中には、幼いころから弱らせたmonstersに止めを刺すなどしてlevellingを施される者がいる。
そうしたchild達のAbility Valuesはlevelが上がっても、大人と比べて成長率が低かった。そして第二次性徴期を迎える頃に、突然痛みと共にAbility Valuesが成長するのだ。
それと同じ事がVandalieuにも起きているのだろうと、彼を診断した『Saintess of Healing』Jeenaは結論付けた。
『Princess LeviaとZandiaもchildの頃のlevellingはやっていたから。最初のJob changeをするまでだったから、本当にちょっとだけだけど。
でも陛下-kunの場合Jobの数が多すぎたみたい』
今までの歴史上、十九ものJobをVandalieuのageで経験したHumanは存在しない。その分今まで抑制されていた成長が一気に、彼のbody partで起きているのだ。
これが終わった時、VandalieuのMana以外のAbility Valuesは数倍になる事だろう。
しかし、その為この状況に対して有効な治療法が存在しないのも確かだった。何せ、これはただ急速に成長しているだけだ。
『治癒magicで破れたmuscle繊維を治す事はできるけど、陛下-kunの場合自前の【Rapid Regeneration】skillでも間に合わないくらい破れるのと再生を繰り返しているから、意味が無いと思うんだよね。成長痛が治まる前に、私のManaが無くなっちゃうよ』
『【Status Effect Immunity】も、この場合は効果を発揮しないみたいです。普通に成長しているだけですからね』
VandalieuがEvil God (M) Evil God (P)の魂を喰らった結果【Abnormal Condition Resistance】awakened intoした【Status Effect Immunity】skillは、その名の通り異常なconditionをNullificationにする事が出来る、強力な効果を持つ。
このskillの前には、あらゆるvirusはNullification化され、Curseであってもほぼ効果を発揮しない。外部からMentalに干渉されても、impactを受ける事はない。
だが、異常では無いconditionはNullification化されない。
痛みやFatigueや眠気に耐えられるようになるが、感じなくなる訳では無い。それらを全く感じなくなったら、それこそStatus Effectというものだろう。
【Status Effect Immunity】は外部的な要因で起こる事に効果を発するが、内部的な要因には効果は不完全、若しくは完全に発揮されないskillのようだ。
『因みに、RodcorteからかけられているCurseにも効果を発揮されないようです』
「やはり、神が直接かけたCurseには無理ですか」
『いえ、maybe生まれる前に呪われたせいで、呪われているconditionが正常だと認識されているのだと思います』
ちなみに、『God of Law and Life』AldaのDivine Authorityも砕いて解く事が出来るVandalieuも、自分にかけられているRodcorteのCurseを解く事は出来ない。CurseがBodyではなく魂に直接かけられているので、手が出せないのだ。
Curseを解除するために自分の魂を砕くわけにいかない以上、どうしようもない。それにもし将来魂の極一部だけを砕く精密な技術を手に入れる事が出来たとしても、やらないだろう。
穴だらけのCurseを解除するために、廃人と化す危険がある施術をするのは割に合わないからだ。
「しかし、そのconditionでこの仕事の量はやはり負担が大きいのでは? 出来れば、幾つか優先順位が低い仕事は後にまわすべきかと思いますが」
「そうね、例えば私やBellmondの専用装備とか」
『いえ、二人用のTransform杖は、後designを決めるだけですから、衣装合わせをしてくれればそれ程時間はかからずにできますよ』
「後回しにしてください」
「ええ、そうするべきよ」
今Talosheimの若年層に人気な液体金属製のTransform杖の完成を少しでも遅らせようとする二人。機能には自信があるし、designについては-chanと意見を聞くつもりなのにと思いつつ、Vandalieuは二人に勧めるのを今は諦める事にした。
『ZandiaとPauvina -chanの分は出来たんだよね? 私のは?』
『調整中なので、もうちょっと待ってください』
Transform杖は一本一本がOrder-madeなので、創るのに時間がかかるのだ。試作品のメタルSuitモドキなら、そう時間はかからないのだが。
『とりあえず、成長痛が治まるまで栄養を取りながら待つしかないですね』
「それしかありませんか。では旦那-sama、私のbloodをもう少し如何ですか?」
「Bellmondっ! あなたのbloodはついさっきVandalieu -samaに捧げたばかりじゃない。今度は私の番よ!」
「あなたには旦那-samaを抱き支えると言う役目があるではありませんか、Eleonora」
『う~ん、Zombieのbloodじゃ駄目だろうしなぁ……』
body partを少し動かすのも辛い今のVandalieuが栄養を取るためには、流動食……つまりbloodしかない。それを自分が捧げようと眼光で火花を散らしながら言い争う二人と、加われなくて寂しそうにするJeena。そこにDark Night Knights Delegation LeaderでVampire Zombie、『The Eclipse Emperor’s Hound』Islaが大きなwagonを押して現れた。
『Vandalieu -sama、お食事を持ってまいりました』
EleonoraとBellmondに対して得意気に微笑むIslaが運んできたwagonの上には、大量の肉が乗せられていた。大型のmonstersから切り出し、焼いたり煮込んだりした物でappetiteを刺激する良い香りを放っている。
「ちょっと、どの肉もVandalieu -samaの頭より大きいじゃないの」
「もっと小さく切れたでしょうに。今からでも刻んだ方が良いのでは?」
『おだまり、どれもVandalieu -samaのrequestよ。さあ、Vandalieu -sama♪』
呆れる二人を一蹴して、IslaはVandalieuにchunk of meat Cookingを勧める。しかし普段ならin any case、今の彼には分厚い肉を咀嚼する力は無いのではないかと思われた。
『ありがとう、Isla。頂きます』
しかし Spirit FormのVandalieuがそう言うと、Eleonoraの腕の中のVandalieuのBodyから何本もの黒いblood vesselが蔓のように伸び、絡まり合って束になると先端が二つに割れてfangsを備えたchinが出現した。
そして赤黒い大蛇と化したVandalieuの一部が、chunk of meatに齧りつき食事を始める。
「旦那-sama、もしかして【Demon King Fragment】は普通にActivateできるのですか?」
『はい。【Demon King Fragment】は成長期で成長しませんからね』
「だとすると、思ったより不自由は無いかもしれないわね。Vandalieu -samaのbody partを移動させる時には【Demon King's Jointed legs】等を使えば良いんだし」
そう言うEleonoraだったが、Vandalieuのbody partを離そうとはしないのだった。
『まあ、【Demon King Fragment】も【Out-of-body Experience】も使っている間はManaを使うから、body partが動く事にこした事はないですけどね』
『ふふ、存分にお食べ下さい、Vandalieu -sama。ところで、この方法で食べても味は分かるのですか?』
『ええ、【Demon Kingのtongue】がありますから』
Islaがchunk of meatを食べさせているchinの中には【Demon Kingのtongue】があるので、このpaceで食べていても-chanと味わっているようだ。
しかしそれでもappetiteは異常なほど旺盛なようで、Vandalieuの体積を明らかに超えていたchunk of meat Cookingは食べつくされてしまった。
『では、お代わりを狩って来ますね!』
「それには及ばんっ! 肉を狩って来たぞ、Vandalieu!」
そこに現れたのは、大きなchunk of meatを乗せた荷車を押すVigaroだった。
『Vigaroか……丁度いいtimingで余計な真似を』
Vandalieuのappetiteを満足させたいが、出来ればそれは自分が供したCookingが良いのに。そんなIslaの葛藤を無視して、Vigaroはblood抜きをしてDismantlingしたばかりの肉をそのままVandalieuに勧める。
『頂きます』
それをVandalieuがActivateしている【Demon King's Jaws】はboneを噛み砕きながらさっきまでと同じpaceで喰らっていく。
「暫くこういう事が続きそうですね。私のbloodでも、旦那-samaの成長痛には効果が無かった以上、肉やboneの方が良いのかもしれません。
では旦那-sama、私も食材の調達に行ってまいります」
Vigaroが持ってきた大量の肉を食べきっても、まだVandalieuは満足しそうにないと思ったBellmondが自ら肉を調達しようと、この場を離れようとする。
『あなたも付いて行ったら? 腕が鈍るわよ、小娘。その間Vandalieu -samaのお世話は私がするわ』
「あんたの狙いは見え見えだけれど、いいわ。Vandalieu -samaにCookingを食べさせるのも、魅力的だし」
『じゃあ、ついでに私も行こうかな。Borkusはfamily service中で、ZandiaはZadirisとあのKanakoって新しく来た子と何かやってるし』
それを引き留め一緒に行くように言ったIslaに、Eleonoraは大人しくVandalieuのbody partを渡すのだった。当然のように、Vandalieu本人の意思は誰も尋ねない。
だがその時本人が口を開いた。
『じゃあ、ついでに俺も行きましょう。Spirit Formのままだと長時間遠距離で活動するのは難しいので、適当に入れ物を作って』
しかし苦情では無かった。
至福の表情をしているIslaの腕の中のVandalieuから新たに【Demon King Fragment】がActivateし、一抱えほどもある亀のcarapaceから、本来足が出る個所からはそれぞれ数本の細いArthropod Legsが生え、頭が出る穴にはGiantなeyeballが嵌っているという異形の生物が産みだされた。
それにVandalieuのSpirit Formの一人が宿る。
『これで、この蟲亀も俺自身に成りました。連れて行ってください』
「これは使い魔のようなものですか?」
『そんなような物ですね。【Long-distance Control】skillの訓練と、BellmondやEleonoraがmonstersを倒した時近くにいるのがmain bodyでは無く使い魔でもExperience Pointが入るのかを試してくれます』
蟲亀と名付けられた使い魔は、キシキシとexoskeletonを軋ませる。こうしてVandalieuの新しい使い魔によって、成長痛に苦しんでいる最中に更にExperience Pointを得て成長するのだった。
《【Group Thought Processing】skillのlevelが上がりました!》
《【Long-distance Control】が【Group Manipulation】skillに、【High-speed Thought Processing】が【Super High-speed Thought Processing】skillにAwakeningしました!》
その頃Orbaum Elective Kingdomのある町の宿。Murakamiは仲間が泊まっているはずのroomで、苦々しく呟いた。
「Gotoudaの奴、逃げたか」
仲間の一人、【Super Sense】のGotouda薫……Kaoru Gotoudaの姿はベッドの中にあった。Murakamiや【Sylphid】のMisa、【Odin】のAkiraがいるにも関わらず穏やかに寝息を立てている。
しかし Murakamiがベッドを軽く蹴ると、彼女の姿は幻のように消えてしまった。Light-Attribute MagicとWind-Attribute Magicを組み合わせた高度な幻術だ。
代わりに現れたのは、質の悪い紙に書かれた短いmessage。
『探さないでください』
「あの裏切り者め。どうしますセン……Murakami -san。追いますか?」
「構わず放っておけ。KanakoのようにVandalieuに寝返るなら厄介だが、そうじゃないだろうしな」
MurakamiはそうAkiraに答えつつ、Gotoudaの残したメモを握り潰した。
・Name: Knochen
・Rank: 11
・Race: Bone Palace
・Level: 45
・Passive skills
Dark Vision
Monstrous Strength:2Lv(UP!)
Spirit Form:8Lv(UP!)
Bone Form Manipulation:9Lv(UP!)
Physical Resistance:9Lv(UP!)
Absorption Healing (Bone):8Lv
Fortress Form:5Lv(UP!)
Fission:7Lv(UP!)
Strengthened Attribute Values: Fortress Form:5Lv(UP!)
Strengthened Attribute Values: Creator:2Lv(NEW!)
Self-Enhancement: Guidance:2Lv(NEW!)
・Active skills
Silent Steps:2Lv
Breath【Poison】:8Lv(UP!)
High-Speed Flight:6Lv
Long-distance Control:10LV(UP!)
Projectile Fire:8Lv
Parallel Thought Processing:5Lv(UP!)
Architecture:1Lv(NEW!)
・Unique skill
■■ンダル■'s Divine Protection(NEW!)
・Monster explanation::Bone Palace Luciliano著
最近のTalosheimには、城が三つある。一つは師Artisanが住んでいて私もいる地下工房がある王城。二つ目が、Gehenna Beeの巣。そして三つ目がBone PalaceにRank upしたKnochenである。
フォート(砦)からパレス(城)になっただけと言えばそうだが、その違いは別種と呼ぶには十分すぎる。
居住性もboneの組み方は、bone以外の資材を組み込む等Knochen独自の工夫で向上されており、『Trial of Zakkart』の内部のような極端な環境下でなければ居住に耐えられるだろう。……話しかけると壁や天井が返事をし、四六時中Skeletonと顔を合わせる生活に耐えられるならだが。
ちなみに、私や師Artisanだけでは無くTalosheim国民なら全員耐えられるだろう。Skeletonは慣れると無表情で怖くないし、我が国はworldで最も普段から髑髏を見かける国だから。