『Evil God of dark seas』Gyubarzoに率いられていた精鋭Gillmanの生き残り達は、神の消滅を目にして我先に逃げ出した。
Mountしているmonstersに命じて、少しでも暗く深い場所へ潜って行く。仇を取ろうなんて、一瞬も考えない。
精鋭とは言っても、所詮はGillman。彼等の多くはRank5から6で、しかも既に三分の二以上がVandalieu達の攻撃の余波で海の藻屑と散っていたので、無理も無い。
そしてVandalieu達もGyubarzoの巨体のshadowに隠れていた雑魚を、海に潜ってまで追撃する気は無いようだ。このままでは二百以上のGillmanが野放しになり、海を往く船や各地のFishing村や港湾都市を襲うかもしれない。
(逃げろっ! 逃げろ! 海上には恐ろしいmonsterが……Demon Kingがいる!)
しかし、その心配は無いようだ。Gillman達のMentalには、Humanを襲うmonstersとしてのInstinctを歪める程のhorrorが刻み込まれていたからだ。
Gillman達はその後、光の届かないDemon Seasの底から出る事は無かったと言う。そして深海に特化したGillmanの亜種に変異したと伝わっている。
ちなみにその頃Merfolk nationのPatron God『God of the Seas』Tristanは、Age of Gods Eraに自身がsealedした宿敵がrevivedのをsignで察した。
『今のconditionでは、Age of Gods Eraのように私が直接戦う事は出来ない……急いでVandalieuとGufadgarnに伝えなけれ……あれ?』
そして、数分と経たずにrevivedはずのGyubarzoのsignが消失したため呆然と立ち尽くす事になった。
『signが……Gyubarzoは【Teleportation】は出来なかったはず……もしかしてRavovifardのようにVandalieuに喰われた……のか?』
Cuatroは【Hollow Cannon】によって発生した大渦で揺れたが、離れていたのが幸いして目立った被害は無かった。
『ヒャッハ~っ! これであっしもworld初だぁ~!』
黒いsparkを纏ったRank10、Schwarz Blitz GhostにRank upしたKimberlyが狂喜乱舞する下で、船長達が指示を出していた。
『bastard共、GillmanのEvil God (M)のデカい破片は姉御が回収済みだ! テメェ等は小さいfragmentを拾い集めて来い!』
『了解しやした、船長!』
『scaleの一枚、ヒレの一fragmentも見逃すな! どれも同じ量の白銀より貴重な素材だぞ!』
『了解です、船長!』
『商品は鮮度が命! Emperor陛下が【Preservation】の術をかけてくださいますが、それまでに魚に食べられては大損害です!』
『肉片も全て集めて来い! 仕事が済んだら神のbarbecueを陛下が食わせてくれるぞ!』
『がってんだ、船長達!』
Undead船員たちは威勢良く返事をして、Cuatroが出来る時に余った木の板をビート版代わりに抱え、海に飛び込んで行く。生前から泳ぎは達者で今は息継ぎの必要も無くなった彼等だが、boneだけなので油断すると沈んでしまう。
「結局、誰が船長なのだ?」
頭部や四肢など、主だったGyubarzoのfragmentを回収し、spaceを歪めてTalosheimの倉庫に【転送】した姉御こと『Evil God of Labyrinths』Gufadgarnは首を傾げた。
憑代のappearanceがElfのBishoujoに似ているため、船の縁に立っているだけで絵になるのだが、それに見惚れる目を持つ者は近くに居ない。虚ろな眼窩のUndeadばかりである。
そして彼女に問われた船員に指示を出している、Cuatroの元になった四隻の難破船の船長達は何故か四人一列に並び直してから答えた。
『俺が船長だ!』
『私が真の船長だ!』
『私がshadowの船長です!』
『そして俺が裏の船長!』
そしてポーズを決める。
『『『『四人揃って、Four Captains of the Dead Sea!』』』』
ビシっと名乗りを決めた四人は、何かを伺うようにGufadgarnを見つめる。
「なるほど。四人で誰が船長か決めかねていたのを、Vandalieuが『こうしてはどうか』と提案したのか」
『……あ、はい。そうです』
「そのFour Captains of the Dead Seaというteam名と、ポーズはVandalieuの指示か」
『よ、よくお分かりで』
「やはり……流石Vandalieu、素晴らしい」
元海賊やNoble、商人にadventurerから転身したFour Captains of the Dead Sea達は、始終無表情のままVandalieuへの陶酔を浮かべるGufadgarnによって、羞恥を味わわされるのだった。
一方、そのVandalieuは他のmemberと一緒にPlutoの周りに集まっていた。
「Eclipseを見た後、Rank upしたと?」
「ええ。originally levelは100に到達していたから、条件が揃えばRank upできるconditionだったの」
midairに浮いたまま受け答えするPlutoは、一見するとあの肉で出来たマネキンを球形に捏ねたようなappearanceのLegionとは全くの別人だ。
これまでも大きさや形はHumanと同じに変わる事が出来たし、人格の内一つだけが分離して行動する事も可能だった。しかし、今のPlutoはHumanそのものだ。顔も肌も、髪も揃っているように見える。
「今のraceは、Rank11のEclipse Legionよ。Rank upして【Form Alteration】skillのlevelが凄く上がって、【Form Shift】というskillにAwakeningしたお陰で、この姿になる事が出来たのよ。
Kanako達に確認したけれど、今の姿はOriginで生きていた時そのままみたい」
「ええ、俺もOriginでUndead Transformationした後に見た事がありますが、髪の長さ以外は同じですね」
VandalieuはOriginでUndead Transformationした後、自分と同じように実験動物として囚われていたPluto達を助けている。
今の彼女は、その時の姿とほぼ同じだった。
『もう知り合ってから一年以上経つのに、顔を見るのは初めてなので新鮮ですね』
『ところで、その服はどうしたんですか?』
「これは服に見えるけど、形と色を変えた私達の一部よ。触ってみる?」
『あ、本当だ。しっとりしてますね! 布じゃなくて、布みたいに薄いお肉って感じです! あ……』
Ritaは遠慮なくPlutoのskirtの端を抓んで声を上げる。そしてふと首を傾げた。
『このskirtの中ってどうなっているんですか? もしかして見えない所は、元のままでしょうか?』
「……服は、Originで頻繁に着ていた物や、印象に特別残っている物を無意識に再現しているみたいだから、maybe穿いていると思うわよ。自分でもまだ確認していないけど。
body partの一部を女の子にCamouflageさせたmonstersの類とは違うから、安心して。でも、確認はしないでね」
『分かりました!』
『Ritaっ! ちょっとこっちに来なさいっ。ごめんなさい、Legion -san』
『娘が大変失礼をしました』
元気良く返事をしたRitaを、SalireとSamが引きずって下げて行く。
「ところで、Pluto以外の人格はどんなconditionなのですか? 眠っているとか?」
Vandalieuが話題を変えると、Plutoの口から低いmaleの声で、「いいや、起きている」と言う言葉が発せられた。
ギョッとして驚く皆に構わず、Plutoの口からは異なる声が次々に飛び出した。
「Jack達は普段と同じだよ。ね、瞳-chan」
「Plutoが見聞きしているのと、同じ物を私もJackも見て聞いているわ」
「さっきまでは黙っていただけさ。何せ、口が一つしかないからね。Transformしている間は増やせないし」
「顔もPlutoだからな! 皆も混乱するだろうと思って気を使ったのだ!」
「後、Bodyの主導権も今はPlutoにある。絶対では無いけれど」
Legion達の言葉によると、今の彼女達はPlutoがmaster格としてBodyを操作しており、他の人格はそれを見守っているというconditionであるらしい。
「じゃあ、Pluto以外の姿にもなれるの?」
「なれるわよ。ちょっと待ってね」
Pauvinaのrequestに応えようと、Plutoはnodと目を閉じる。
すると次の瞬間、PlutoのBodyがぐにょりと歪み、肉色の球体に戻る。そして再び歪み人型になると、今度は軍服に似たdesignの服に身を包んだ、長身の美女の姿に変化した。
銀色の髪を潮風に揺らした彼女は、腰の後ろで手を組んで豊かな胸を張って口を開いた。
「さあ! 私はだ~れだ!?」
『『『「「「Valkyrie」」」』』』
「な、何故分かった!? この姿はVandalieuでも知らないはず!」
あまり話した事の無いOniwakaを含めた全員に言い当てられたValkyrieが、驚愕によろめく。
「いや、姿はともかく声と口調がそのままですし」
『後、前からあなたは話す時よく胸を張っていましたし』
口々にそう指摘するVandalieuやSam。ValkyrieはLegionの人格の中でも喋る方なので、覚えやすい彼女の特徴は知れ渡っているのだった。
「そうだったのか! ならば仕方がない、次だ!」
「え、まだやるの? 言っておくけど、僕は無理だからね。どんな姿になるか自分でも分からないんだし」
「私も遠慮させてもらうよ。私の元の姿は、ちょっとねぇ」
「グオゥ」
「分かった! ShadeとIzanamiは辞退で、次は――」
「Berserkだったら、やっぱりわかると思いますよ。熊なのは彼だけですし。あとTransformする姿の形状がpsychological要因で決まるのなら、俺の【Mind Encroachment】skillでどうにかできるかもしれません。試してみませんか?」
本来【Mind Encroachment】は他者のMentalを侵食し、洗脳するためのskillだが、psychological治療にも役立てる事が出来る。それを役立てようと提案したVandalieuだが、ShadeはValkyrieの口を通してこう言った。
「それは嬉しいけれど、先にJob changeをしてきたらどうかな?」
『Evil God of dark seas』Gyubarzoを、Dead Spirit Magicで倒した事によってVandalieuは大量のExperience Pointを得ていた。
「そうですね、もう次に選ぶJobは決めてありますし」
「Vandalieu、muscleがつきそうなJobでも出ているのか?」
「いえ、muscleはあまりつかないかも知れませんが、もうすぐ他の人にも出るかもしれないJobがあるので、先に就いておこうと思いまして」
Oniwakaにそう答えて、VandalieuはSamのcarriageに入り『Trial of Zakkart』を攻略する時に設置したJob change roomに入った。
「さて、まだあるかな?」
《選択可能Job 【Spirit Warrior】 【Whip Tongue Calamity】 【Vengeful Berserker】 【Dead Spirit Mage】 【Magic Cannoneer】 【Hell King Mage】 【Divine Enemy】 【Fallen Musha】 【Insect Nin】 【Destruction Guider】 【Fragment Bestower】 【Dungeon Master】 【Demon King】 【Chaos Guider】 【Hollow King Mage】 【Eclipse Cursecaster】 【String User】 【Demon Ruler】(NEW!) 【Creator】(NEW!) 【Demiurge】(NEW!) 【Pale Rider】(NEW!) 【Tartarus】(NEW!)》
水晶に触れたVandalieuは、脳内に表示されるmessageに頷いた後首を傾げた。
「TartarusはSalireとRitaのrace名にもあるので分かりますが、なぜPale Rider? 俺は【Mount】skillを持っていないし……【Demon King Fragment】でTransformするからかな?」
Tartarusは『Earth』のギリシャMythに関する話で聞き覚えがあった。【Earth’s Hell Gods’ Divine Protection】を持っているのでそれがJobとして現れるのは納得できる。SalireとRitaの主という意味でも。
だが何故Pale Riderという名称のJobが出現したのかは分からなかった。
……もし片仮名ではなく漢字で、【黙示録第四のKnight】と表示されていたら気がついただろうが。
「まあ、in any case予定通り【Magic Cannoneer】を選択」
《【Magic Cannoneer】にJob changeしました!》
《【Throwing Technique】skillのlevelが上がりました!》
《【Strengthened Attack Power while activating a Magic Cannon】skillを獲得しました!》
・Name: Vandalieu Zakkart
・Race: Dhampir(Dark Elf)
・Age: 10age
・Title: 【Ghoul Emperor】 【Eclipse Emperor】 【Guardian of the Cultivation Villages】 【Vida's Miko】 【Scaled Emperor】 【Tentacle Emperor】 【Champion】 【Demon King】 【Oni Emperor】 【Trial Conqueror】 【Transgressor】
・Job: Magic Cannoneer
・Level: 0
・Job History: Death-Attribute Mage Golem Transmuter Undead Tamer Soul Breaker Venom Fist User Insect User Tree Caster Demon Guider Archenemy Zombie Maker Golem Creator Corpse Demon Commander Demon King User Nether Guider Labyrinth Creator Creation Guider Hell Healer Disease Demon
・Ability Values
Vitality: 24,530(13,505UP!)
Mana: 3,919,413,508+(1,959,706,754) (合計452,612,151UP!)
Strength: 2,334(177UP!)
Agility :2,107(300UP!)
Endurance :3,009(460UP!)
Intelligence :5,581(679UP!)
・Passive skills
Mysterious Strength:9Lv(UP!)
Rapid Regeneration:6Lv(UP!)
Hell King Magic:4Lv(UP!)
Abnormal Condition Resistance:10Lv
Magic Resistance:8Lv(UP!)
Dark Vision
Hell Demon Creator Path Enticement:5Lv
Chant Revocation:7Lv
Guidance: Dark Demon Creator Path:6Lv
Automatic Mana Recovery:10Lv
Strengthen Subordinates:9Lv
Venom Secretion (Claws, Fangs, Tongue):9Lv
Enhanced Agility:5Lv
Body Expansion (Tongue):7Lv
Strengthened Attack Power while Unarmed: Large
Enhanced Body Part (Hair, Claws, Tongue, Fangs):8Lv
Thread Refining:6Lv
Mana Enlargement:5Lv
Mana Recovery Rate Increase:5Lv(UP!)
Strengthened Attack Power while activating a Magic Cannon : Small(NEW!)
・Active skills
Bloodwork:4Lv
-Transcend Limits-:4Lv(UP!)
Golem Creation:4Lv
Hollow King Magic:2Lv(UP!)
Mana Control:8Lv
Spirit Form:10Lv
Cooking:7Lv
Alchemy:10Lv
Unarmed Fighting Technique:9Lv
Multi-Cast:9Lv(UP!)
Long-distance Control:10Lv
Surgery:8Lv
Materialization:8Lv
Coordination:8Lv
High-speed Thought Processing:10Lv
Commanding:9Lv
Thread-reeling:6Lv
Throwing Technique:7Lv(UP!)
Scream:5Lv
Dead Spirit Magic:8Lv(UP!)
Artillery Technique:9Lv
Armor Technique:4Lv
Shield Technique:4Lv
Group Binding Technique:4Lv
Surpass Limits: Fragments:4Lv(UP!)
・Unique skill
God Devourer:4Lv(UP!)
Deformed Soul
Mind Encroachment:8Lv
Labyrinth Creation:1Lv
Demon King Fusion:10Lv
Abyss:5Lv
Divine Enemy
Soul Devour:4Lv(UP!)
Vida’s Divine Protection
Earth’s Hell Gods’ Divine Protection
Group Thought Processing:1Lv
・Demon King Fragment
blood、角、suction cups、ink sacs、carapace、scent gland、Luminescent organs、blubber、chin、eyeball、proboscis、fur、exoskeleton、Arthropod Legs、antenna、claws
・Curse
Experience gained in previous life not carried over
Cannot learn existing jobs
Unable to gain experience independently
最近Kanako達に火縄銃の性能testを頼んだし、今は火薬から花火の作成を試している。それが無くてもMurakami等他のReincarnatorもいるので、銃砲に類するWeapon Equipmentを扱う者がVandalieu以外にも増え、その者達が【Magic Cannoneer】Jobに就く事もあるかもしれない。
すると、【Cannot learn existing jobs】のCurseを受けているVandalieuは【Magic Cannoneer】Jobに就けなくなる可能性があるので、次のJob changeでは【Magic Cannoneer】になろうと決めていたのだ。
「他にも沢山 Jobはありますけど、まあ一応」
就いてみた感触は、まだ分からない。【Artillery Technique】skillは上がらず、何故か【Throwing Technique】のlevelが上がったのが不思議だが、【Strengthened Attack Power while activating a Magic Cannon】と言う、恐らくこのworldで初めて出現したskillも獲得した。
恐らく、普通の銃や大砲を使っている時では無く、【Demon King Fragment】でgun barrelと弾丸を作ってmagicで撃ち出す攻撃を指してFiring Magic Cannonと評しているのだろう。
「もしかして普通の銃砲を使っているだけだと【Magic Cannoneer】にはなれない? だとすると急いで選ぶ必要は無かった?」
そこまで考えたVandalieuの脳裏にその可能性が浮かんだ。しかし、Job changeして初めて分かった事だ。結果論で判断を評価する事は無いと自分に言い聞かせて、Job change roomを出るのだった。
こうしてCuatroはContinent南部を囲むDemon Seasを越え、Zantarkが待つDemon continentへと向かってオールを漕ぎ出した。Vandalieu達は一通りLegionの「私は誰だ」クイズや、ShadeとIzanamiの整形治療(?)で目的地に着くまでの時間を過ごした。
『Origin』で生きていた時から死体にPossessionするMental生命体だったShadeや、whole bodyに腫瘍があり顔も分からなかったIzanamiは、【Form Shift】skillを使ってもやはり普通の姿にはなれなかった。
Izanamiは生前と同じ姿で、Shadeに至ってはskillがActivateしている筈なのに肉だけで出来た人型の姿のままだった。
それをVandalieuは【Mind Encroachment】skillで二人の生前の、『Origin』の科学者に改造される前の姿のMemoryだけを、嫌な事や哀しい事は全て忘れたまま呼び起こそうと試みた。
結果、Izanamiはすんなりと成功したが、Shadeは何と赤子の時に改造されたらしく自分の姿に関するMemoryそのものが殆ど無いことが分かった。
「じゃあ、Possessionした中で最も印象深いbody partを自分の姿にしますか?」
『それだと【Oracle】のEndou Kouyaになりそうだから、ちょっとやだな~。じゃあ、imageした姿を自分の物だと認識するように出来ないかな?』
「それは、maybe可能だと思います」
『じゃあ、こういう姿にしてもらえると便利だと思うんだ』
そしてShadeはVandalieuによって、希望通りの姿になった。
年の頃はShadeのMental ageに合わせた十代前半の、中性的な雰囲気でShoujoとも少年ともつかない。顔立ちその物は整っているが、それよりも特徴らしい特徴が無いので「整っている」としか言いようがない。いわゆる、平均的な顔立ちだ。
モブ顔とも言う。
「この姿だと変装も楽そうだしね。変装する必要がこの先あるかは分からないけど、変装に便利な姿が一つぐらいあっても損は無いだろうしね」
Mental生命体であった時間が長かったため、Bodyを持つ事で食事や睡眠を体験する事に興味はあっても、そのBodyの姿そのものには拘りが無いShadeらしい選択だった。
そして二月になり三月が近づいてきた頃、CuatroからDemon continentの異-samaが見えるようになった。
「【Teleportation】でTalosheimと行き来しながら進む事約一カ月と半。思ったより早かったですね」
Sea Nation Kallahadの港から出航した『Storm of Tyranny』の船よりも、大分早くCuatroはDemon continentに辿りついた。
やはり略式とはいえ海図がある事と、船をLeoが牽引しCuatro main bodyも常にオールを漕いでいる事が大きいのだろう。
『そう言うオーナーは、遅かったじゃねえか』
「今日はちょっと書類が多かったので」
元海賊の船長にそう答えるVandalieu。日帰りで通っている彼は、当然TalosheimのEmperorとしての職務も行っている。
「しかし Demon continent……随分奇妙な場所ですね」
「Continent全土とその周囲の海域が全てDevil Nestsだからね。普通だったら逆に変だろう、師Artisan」
Boundary Mountain Rangeと並んで人跡未踏の地と呼ばれるDemon continentを見たいと、今朝の【Teleportation】で付いて来たLucilianoが、興奮した-sama子でメモを取っている。
彼等の目の前には、遠くから眺めただけでも違和感のあまり眩暈を覚える光景が広がっていた。
Cuatroから見て右側には流氷が広がる氷の海で、正面は毒々しい紫の海、そして左側はグツグツと煮えたぎる灼熱の海になっている。
その向こうのContinentも、Sand wormやSand Warムが泳ぐ砂浜や、七色の草が不自然に蠢く草原、常に葉が燃えている樹が茂る火炎の森等だ。
異なるDevil Nestsがmosaicのように並ぶBoundary Mountain Range内部でも、ここまで変化に富んではいない。まるでDungeonから内部の階層を取り出したかのようだ。
「同じ人類未踏の地でも、Boundary Mountain Rangeの内側よりずっと危険な気がします。このDemon continentを調査しようと思ったら、普通の人なら命が幾つあっても足らないでしょう」
「そうだな。Human社会では人類未踏と言われていても、Boundary Mountain Rangeの内側では俺達や、そして民が暮らしているからな」
Boundary Mountain Range内部のDevil Nestsでも危険なmonstersがcountlessに出現するが、その環境だけなら大した危険は無い。それなりに準備しておけば、快適とは言わないが旅をする事が出来る。
しかしこのDemon continentでは、『Trial of Zakkart』の階層と同じくらい個々のDevil Nestsごとの環境が異なる。しかも、Dungeonの階段のような安全地帯は恐らく存在しない。
「よく始祖-sama達が此処で暮らしていられるな。後、このDemon continentでZantark達を見つけたSchneiderと言うadventurer……余程のmuscleの持ち主に違いない」
「ええ、まだ直に会った事があるのはmemberの一人のDaltonだけですが、素晴らしいmuscleの持ち主でした」
「Vandalieuが言うなら、appearanceと実用性の両方を兼ね揃えた良いmuscleの持ち主なんだな。だけどそれよりも気になるのはlegendのPure-breed Vampire Zorcodrio -samaだな。……もし会ったら、俺の分も手形を貰ってくれないか?」
「certainlyです。早く会いたいですね、Zorcodrio -sama」
十万年前の段階で既にwhole bodyのmuscleを鎧だけでは無くWeapon Equipment、更に発電器官として活用する【Muscle Technique】を会得していたPure-breed Vampire Zorcodrioこと、ZodはBoundary Mountain Range内部ではある意味legendの人物だった。
特にmuscle崇拝者であるVandalieuやOniwakaにとっては、superスターである。
「いや、muscleだけでこのDemon continentに辿りつき生還した訳では無いと思うのだが……Gufadgarn、このContinentについて何か知っているかね?」
Lucilianoに問われたGufadgarnは、暫く考え込んだ後口を開いた。
「現在に至るaccurateな経緯は私の知識にはありません。しかし、conjectureで良ければ」
「それで十分助かる」
「このDemon continentはDemon King Guduranisが、拠点としたContinentの次に侵略しようと目論んだContinentだったと思います。そのため、このworldのGodsとDemon King Armyがぶつかり合う戦場になり……その結果、降り注いだGodsやEvil God (M) Evil God (P)のflesh and bloodが混ざり合い濃密なManaに汚染されたのが、現在に至る最も大きい原因だと思われます」
他にも、Demon Kingとの戦いが終わった後、このContinentを浄化する余裕は無いとAldaやVidaが放置しなければならなかった事、それによって『Evil god of release』RavovifardのようなDemon King Army Remnantsが巣くった事、Evil God (M)やEvil God (P)とFusionしたZantarkが隠遁していた事さえ、このContinentのDevil Nests化を推し進めた要因だろうとGufadgarnはconjectureしていた。
尤も、このDemon continentのDevil NestsがContinentからはみ出して近海の海域まで汚染した程度で済んでいるのも、Zantarkが隠遁し、連れて来たVida's New Races達がmonstersを間引いていたからだろうが。
『Vandalieu、Kanako達のセッティングが終わったみたいよ』
LegionのPlutoがまだトリップしているVandalieuにそう声をかける。因みに、彼女達の姿は何時ものchunk of meatに戻っていた。
【Form Shift】skillのActivateと維持にはManaなどのcostはかからないのだが、長時間使用するとstressを感じるためだ。堅苦しい服を着ている-samaな感覚になり、疲れるそうだ。
それに……chunk of meatの形状に慣れ過ぎて、Humanらしい歩き方等を忘れてしまったらしい。
「セッティングと言っても、そんなたいした物じゃ無いんですけどね」
「Dougが花火の玉を持って構えるだけだものね」
Legionの向こうでは、KanakoやMelissaからやや離れた甲板で砲丸程の大きさの玉……彼女達が製作した花火を構えているDougの姿が在った。
「お前等な……見た目より難しいんだぞ、これ。俺はVandalieuじゃないんだからな」
「分かってますよ。それで、どうします? もうすぐ日も暮れると思うので、暗くなるまで待ちますか?」
「おいっ! それ俺に準備させる前に確認するところじゃないか!?」
「いいじゃないですか。若いのに、中々良い広背筋をしていますし」
「それ何の理由になるんだ!?」
VandalieuとOniwakaに「見所がある」と広背筋を見つめられたDougが、思わず叫び返す。彼の引き締まった柔軟なBody美は、muscle崇拝者達に認められたようだ。
「見られたくないなら、-chanと服を着れば良いのに」
「まあ、南の海上なので氷の海のDevil Nestsにでも入らない限り、暑いのは分からなくもないですけど」
口々に半裸に近い格好をしているDougの自業自得だと言うMelissaとKanakoも、かなりの薄着である。
ただ何時までもDougのmuscleを鑑賞している訳にもいかないと、Vandalieuは空を見上げた後「いえ、今打ち上げましょう」と言った。
「燃え盛る森がありますし、暗くなってもそんなに目立たないかも知れません。大きな音がすれば、maybe気がついてくれるでしょう」
「分かった。じゃあ、早速行くぜ! 【Hecatoncheir】!」
Dougはmagicで花火の導火線に火をつけると、真上に向かって投げるのと同時に、【Hecatoncheir】をActivateして更に高く、真っ直ぐ打ち上げる。
そして数秒後、上空五百meter程に達した花火が爆発して音と赤い火花を撒き散らす。
「これが花火……Zakkartの願いがまた一つ現実になった。見事だDoug、Kanako、Melissa」
「accurateには、ちょっと違うけどなっ」
感極まった-sama子で無表情のまま涙を流すGufadgarnに、Dougは肩の調子を整えながらそう言った。彼等は爆発すると火花を撒き散らす花火を作る事には成功したのだが……打ち上げ用の火薬を上手く仕込む事はまだできないでいた。
打ち上がらずに、地上で爆発してしまうのである。つまり、accurateには「ただ綺麗に爆発するだけの爆弾」だ。Kanako達も一応花火の構造はtelevision番組等で何度か見ているし、軍で爆弾の作り方とDismantlingの仕方もざっと学んでいる。
ただ本当にざっと学んだだけだ。実際に爆弾を作った経験は無かった。
『The 8th Guidance』に合流した後に使ったWeapon Equipment弾薬類は軍の横流し品や、略奪した既製品だったし、そもそも爆破は生命活動を停止した有機物を燃焼爆発させる事が出来る力を持つ、Baba Yagaの担当だったのでKanako達は行っていなかった。
もしかしたら、『Earth』と『Origin』の知識を混合して『Lambda』で花火を作っているため、何らかの不具合が発生しているだけかもしれない。
ただ原因はともかく、今の段階では上手く作る事が出来ず打ち上げをDougのMental Power【Hecatoncheir】に頼っているのだった。
「とりあえず、これで合図になったか? ダメだったら次は代わってくれ。真上に真っ直ぐ、しかも高く投げるのは、結構疲れるんだ」
『ヂュオォ、そう言えば、大きな音ならLeoに吠えさせるというのは?』
「良いideaだと思うがね、Bone Man。それだとただのmonstersの咆哮だと思われて、無視されるかもしれんよ」
「まあ、暫く-sama子を見て何も無ければもう一度やってみましょう。それでもダメなら、多少monstersを呼び寄せるかもしれませんが、【Demon King's Luminescent organs】でnight空にsignでもしましょう」
Demon continentに居るはずのZantark達に自分達の存在を知らせるための合図について話していると、次第に空が暗くなって行く。
そして太陽が沈み、月がうっすらと見えるようになり、もう一度花火を上げようかと考え始めた頃、突然火炎樹の森の一部が割れた。
そして大地と燃え盛る森の間から現れたのは、古風な鎧を身に着け弓を携えた女のgiantであった。
・Job解説:Disease Demon
Diseaseを扱う事に長けたというよりも、体内でDisease原菌を生成し、Jobに就いた者自身がDisease原菌に変化しうるものが就く事が出来るJob。ただし、Disease原菌やvirusの存在を知らなければ就く事は出来ない。
Ability Valuesとしては力が上がり難いが、VitalityとIntelligenceとEnduranceが上がりやすい。【Long-distance Control】skillのlevelが上がり易く、Jobに就いた時点で既にlevelが高いconditionだとSuperior SkillにAwakeningする場合もある。
・Name: Legion
・Age: 1
・Title: 【Holy Flesh-wife】
・Rank: 11
・Race: Eclipse Legion
・Level: 0
・Job: Mass Caster
・Job Level: 21
・Job History: Apprentice Mage、Mage、Apprentice Warrior、Warrior、Meat Sphere Warrior、Enormous Meat Sphere Warrior、No-Attribute Mage、Flesh Manipulator、Thief、Assassin、Dark Fighter
・Passive skills
Mental Corruption:7Lv
Composite Soul
Magic Resistance:5Lv(UP!)
Special Five Senses
Physical Attack Resistance:8Lv(UP!)
Form Shift:1Lv(Form Alteration awakened into!)
Super Rapid Regeneration:8Lv
Mysterious Strength:8Lv
Mana Enlargement:4Lv(UP!)
Vitality Enlargement:1Lv(Vitality Enlargement awakened into!)
Strengthened Attribute Values: Consumable Meat:7Lv(UP!)
Fire and Lightning Resistance:4Lv
・Active skills
Limited Death-Attribute Magic:10Lv
Size Alteration:8Lv(UP!)
Commanding:4Lv
Surgery:7Lv
Unarmed Fighting Technique:8Lv
Dagger Technique:6Lv(UP!)
Fusion:2Lv
Charge:9Lv(UP!)
Chant Revocation:4Lv
Parallel Thought Processing:10Lv(UP!)
Long-distance Control:8Lv(UP!)
No-Attribute Magic:6Lv(UP!)
Mana Control:6Lv(UP!)
-Surpass Limits-:5Lv(UP!)
High-Speed Running:6Lv
Strengthened Regeneration: Consumable Meat:6Lv
Throwing Technique:4Lv(UP!)
Cooking:1Lv
Lockpicking:3Lv(UP!)
Assassination Technique:3Lv(UP!)
Assassin Combat Technique:2Lv(UP!)
Silent Steps:2Lv
Trap:2Lv(UP!)
Magic Fighting Technique:2Lv(NEW!)
・Unique skill
God of Origin’s Divine Protection
Zuruwarn’s Divine Protection
Ricklent’s Divine Protection
Gazer:5Lv
Encroachment Fusion:1Lv
■■■ダ■ー's Divine Protection
・race解説:Eclipse Legion Luciliano著
Eclipseを見た事がきっかけになってRank upしたLegion。appearanceの変化はGiantになった事ぐらいだが、最も大きな変化は【Form Shift】skillを獲得した事で、前世の姿にTransformする事が出来るようになった事だろう。……だから強くなったということはないが、町への潜入や、敵の油断を誘う事が可能になったはずだ。
今は人格の一つを選んでTransformする事しか出来ないが、skill levelが上がれば【Long-distance Control】skillと併用して複数の人格が前世の姿に成る事も可能だと思われる。
ただ現段階でも一部だけTransformする等の応用は可能らしい。
ちなみに、他の生物にCamouflageするmonstersはMimicry Slime等が知られている。
Mass CasterのJobは、恐らくMage系のJobだと思われるが……名称を見る限り、chunk of meatのようなBodyを持つHumanしか就く事が出来ないJobだと思われる。
Vitalityや力、Enduranceが上がり難い傾向にMage系Jobはあるが、Mass Casterはその例外の-samaでVitalityやEnduranceも上がりやすいようだ。