Legionの下に部下として配属されたKanako達三人だったが、与えられた仕事は普通では無かった。
『Firstに、私達の監視下に常にいる事ね』
「……瞳、straightに言い過ぎだと思うけれど」
上司と言うより監視役である事を、一切隠す気の無いLegionの人格の一つであり、同時にReincarnatorでもあるMinuma Hitomiの言葉に、【Aegis】のMelissaは若干口元を引き攣らせた。
countlessのpink色の人型を球形に捏ね上げたような、若しくはGiantなchunk of meatに肉で出来たHumanの上半身やlower bodyを出鱈目に生やしたような姿に、まだ慣れきっていないようだ。
「監視下に常にいる事が仕事って……他に何かないのか? 別にいきなり大役を任せろなんて言わないからよ。
後、そのeyeballは何だ? 昨日まで無かったよな?」
Dougは不満そうな顔つきのまま、Legionに埋め込まれている自分の頭と同じくらいの大きさのeyeballを指差して尋ねた。
『これはVandalieuの【Demon King's Eyeballs】よ。これを【Long-distance Control】skillで操って、離れた場所の物を見る事が出来るのよ』
『もっとも、今は何も見えていないけど。Vandalieuが【Long-distance Control】skillの外に居るから』
『今は二つの実験の為にVandalieuから借りている! 一つは我々に埋め込んだ場合どれくらいの時間持つのか試しているのだ! だが移植した訳では無いぞ! 我々のBodyにeyeballが入るだけの窪みを作り、そこに入れただけだからな!』
「そ、そうか。……『Origin』で聞いたら引きそうな話なのに、全くshockを受けない事がshockだぜ」
「これがGuidanceってskillの効果ですか。意識して使えないのは不便だけど、持続力と効果の幅広さはあたしの【Venus】よりずっと上ですね」
Legion達の説明を聞いても、DougやKanakoは少し驚いた程度で殆ど動揺しなかった。寧ろ、Giantなeyeballの虚ろな瞳に、若干だが好感を覚えている。
これはKanakoが言った通り、彼女達がVandalieuのGuidanceを受けた結果である。【Demon King's Eyeballs】がVandalieuの一部であるため、彼と同じように感じているのだ。
彼女達がLegion main bodyの異形を直視し、更にその正体が前世での知人達だった事を知っても「凄く驚いた」程度で済んだのも、Guidanceの効果だ。どんな異形でも同じ対象に導かれている者同士なら親近感や同族意識を感じ、それが結果的にpsychological衝撃を和らげている。
「それで、もう一つの実験は私達には言えない事?」
『いいや、実験にはお前達の協力が必要だ。……銃は得意だったな?』
Ghost……『Origin』で生きていた頃は、最後までKanakoを含めたReincarnator達全員に存在を気がつかれなかった彼の質問に、Kanako達は「まあ、それなりに」と答えた。
そして連れてこられたのは、実験用Dungeonの内部だ。Kanako達がVandalieuから導かれるまで暮らしていたのと同じ階層である。
そこでMelissaは『銃』でLegionに狙いをつけ、引き金を引いた。パァンっと言う音が響き、Projectile Fireされた弾丸がLegionの巨体に減り込む。
『……外したの?』
「当たったわよ、それもど真ん中に」
Plutoの言葉に、Melissaは猛然と抗議した。
『ん~……あ、当たってる。まったく痛くないから外れたのかと思ったわ』
その言葉と共に、球形の弾丸がLegionからポロリと落ちる。どうやら、痛みを感じなかったので外れたのかと思ったらしい。
『じゃあ、次は目にお願い。白目の部分でも良いけど、出来れば瞳に当ててね』
「分かった。瞳を撃つわね……面倒ね」
Melissaは火縄銃に火薬と弾を再装填すると、LegionのBodyにはめ込まれた【Demon King's Eyeballs】に狙いを定めて引き金を引いた。
銃声が再び響き、round銃弾が虚ろな【Demon King's Eyeballs】にぶつかり……ぽろりと落ちた。
「傷一つつかないなんて……その瞳、防弾glassやEnhanced (1) plusチックより硬いわよ」
『あなた達、私をからかうのは止めてね。Jackが動揺するじゃない』
『ごめんね、瞳。ちょっと面白かったから、つい。
それにしても流石Vandalieuの一部ね。平均的な銃じゃ、直撃しても潰れない。じゃあ、次は一番大きいのを試してみて。確か、普通のRifle銃の倍以上の大型銃があったはずよ』
「私じゃ持てないわ。Doug、やって」
「へいへい……いくぜ!」
Dougが【Hecatoncheir】のMental Powerまで使って支えたGiant火縄銃が、Legionの【Demon King's Eyeballs】に向かって火を噴いた。轟音が響き、弾丸はeyeballの表面にめり込み、Dougの腕と肩が反動で痺れた。
『……少し凹んだけど、破れていないわね』
しかし、弾丸は【Demon King's Eyeballs】を貫きLegionの肉にめり込むどころか、eyeballの表面で止まっていた。
「これは弾丸を鉛から魔導金属にしないと傷一つつかないですね。火薬の量も増やして、銃身も長くしないと」
Kanako達がやっているのは、『Trial of Zakkart』の最奥に有った彼の工房に残されていた、試作品の銃が実用に耐えられるかのtestであった。
全てZakkartや彼に協力したHillwillowの作品で、歴史的にも大きな価値がある物ばかり。Kanako達はそんな貴重品を自分達が扱っていいのかと事前に確認を求めたが、管理していたGufadgarnは「構わない」と答えた。
「Zakkartは兵器としてそれを作ったのだ。美術品や調度品では無く。それにお前達に仕事を任せるのは、Vandalieuの意思だ」
Zakkartの遺産は全て貴重だとGufadgarnは認識していたが、個々の遺産ごとに用途や希少さ、そして危険度に違いがある。
その中でも銃器類は、あまり重要では無い遺産として彼女に認識されていた。
そしてDungeonに持ち込み、火薬や弾丸をZakkart手書きの説明書通りに込めてLegionと【Demon King's Eyeballs】を的にして試射しているのである。銃main bodyも弾丸も、そして火薬までGufadgarnが保存していた為、十万年経った今でも使う事が出来た。
だが、何故Legionと【Demon King's Eyeballs】を的にしているのか。それは撃たれた対象に感想を聞く事が出来るから。そして【Demon King's Eyeballs】を高Rankのmonstersの目に見立てているからだ。
「しかし、目に直撃しても潰れないって……本当に現実か? Zakkart達が作ったのはこのworldに来てからでも、性能は『Earth』の火縄銃とそんなに変わらないはずだよな?」
今まで注目を集め無いようにしていた為、精々Rank7以下のmonstersとしか戦った事が無いDougが銃の方に問題があるのではないかと言い出した。幾ら銃が旧式でeyeballがGiantでも、銃弾を止められる事が彼には信じられないらしい。
「たしかにZakkartがその銃を作ったのはこちらのworldに来てからだが、『Earth』の火縄銃と性能が同じかは不明だ。残念だが、私はZakkartのworldとお前達のworldに存在した火縄銃の性能を知らない」
Dougの言葉に、Gufadgarnはやや考えた後そう答えた。
銃のproducerであるZakkartはoriginally金属加工を主に行う町工場の経営者兼技術者だった。だが当然銃を作った事は無い。俳優志望だったHillwillowも、小道具を見た事がある程度だっただろう。
そのためぼんやりとした知識を基に、試行錯誤しながらSolderと黒色火薬を作り、苦労しながら銃を製作した。
だからこれらの銃は火縄銃と呼称されているし、似た部分もかなりある。しかし実際には火縄銃モドキでしかない。……材料に一部AdamantiteやMythril等が使われているし。
なので、originalと同程度の性能があるとはproducerのZakkartも断言できなかったのだ。
「寧ろ、銃に関してはお前達やLegionの方が詳しいはずだ」
そう言われたDoug達はお互いに顔を見合わせると、少し肩を落として答えた。
「そうか。だけど、俺達も旧式の銃を撃った事無いんだよな。アサルトRifleとか、オートマチックだけで」
「私達はDoug以下よ。使えない訳じゃ無いけど、戦闘ではAbilityやmagicを使う事の方が多かったから」
「あたし達の中で銃が得意だったのは、【Super Sense】と【Odin】と、後Murakamiも得意でしたね。後は、【Gungnir】のKaidou Kanataとか。
Legionはどうです? Ereshkigalなんかいつも銃を持っていたから、結構なmaniaだと思っていたんですけど」
話を向けられたLegionのBodyに生えている全ての上半身が首を横に振った。
『私は受けた攻撃を返す【Counter】しか出来なかったから、護身用のWeapon Equipmentを手放せなかっただけだ。ヌイグルミの代わりと、格好をつけるためのaccessory。maniaじゃない』
『銃をヌイグルミ代わりにする時点でどうかと思うけど、知っての通り僕達は-kun達と違って銃の扱いを習っていない。自分の足を撃たないようにするので精一杯なのが殆どだよ』
『……ValkyrieやIzanamiは自分の足を撃ったし、Plutoは撃った衝撃でひっくり返ってからは、一度も銃を握らなかったよね』
『Shade、それは-chanと口止めしたはずよね?』
『乙女の秘密を漏らすとは、この裏切り者め!』
恐らくShadeだろう肉で出来た頭部を、何人かのfemaleの上半身がペチペチと叩いて抗議し始めた。
ちなみに元Braversの瞳は、一応訓練を受けたが教官から出来るだけ銃は使うなと言われる程下手だった。
つまり、Kanako達は銃の使い方は知っていても本当の意味で詳しくは無い、精通しているとは言えない者達で銃の性能testをしているのである。何とも心許ない状況だ。
「改良点ぐらいはあげられるし、Vandalieuがいるなら部品作りも進むでしょうけれど……これより近代的な銃を作るのは無理ですよ。
薬莢や信管が作れれば、リボルバーぐらいは出来るかもしれませんけど」
そう言うKanakoに、DougとMelissaも同意する。彼女達の表情に自信が無いのは、『Lambda』にreincarnationする前にAranから聞いた、another worldの科学知識をそのままでは使えないと言う問題点があるからだ。
Manaの有無や、attributeの関係などworld毎に物理法則は異なっている。そのため、元のworldで培った科学の知識はそのままでは役に立たない。
それどころか、another worldの産物を直接持ち込むと何が起こるか分からない。
特に近代兵器の場合、ちょっと揺らしただけで爆発したり、逆に何をしても作動しなくなったりする。Aranによると携行Missileぐらいなら発射する事はできるらしいが……発射した後どうなるかまでは言っていなかったような気がする。
今試している火縄銃と使っている火薬はZakkart達が『Lambda』に存在する材料で作ったので、そうした心配はない。ただKanako達の知識をそのまま活かす事は難しい。
「Vandalieuは、現在の性能で銃は『Lambda』で有効に使えるか否かを聞きたいそうだ」
『あなた達の意見を聞いて、性能が向上したとしてどれくらい使えそうか教えて欲しいのよ。another worldから来て、Human社会でadventurerとして生活していたのは、あなた達だけだから』
GufadgarnとLegionの説明で、この銃の試験の意図が分かったKanako達は暫く銃を撃つ事に集中した。
AdamantiteやOrichalcumの銃弾も試したが、火薬が同じ量では普通の銃弾よりAttack Powerが若干上がった程度で、やはり【Demon King's Eyeballs】を潰す事は出来なかった。
そして出した結論は、「微妙」というものだった。
「adventurerのWeapon Equipmentとしては、向かないな。持ち運びと火薬の扱いが難しい。銃声が他のmonstersを呼び寄せるかもしれないし、硝煙の臭いも付くし。
Attack PowerもLegionで試した感覚だと、Rank3や4までなら効くだろうが、Rank5以上は目や口の中でも狙わないと掠り傷にしかならないぜ」
「Rank5以上になると動きが速いmonstersも多いし、Sustained Fireできないのはちょっとね。後、monstersは変な特殊Abilityを持っている場合も多い。それにRank10以上だと、目に当てても効くか分からないわね」
「Human相手なら普通のSoldierやDClass adventurerまでなら有効だと思いますよ。相手が銃を知らない事を考えると、CClassでも行けるかもしれませんね。拳銃Sizeまで小型化出来れば、護身用に一つ懐に入れておくのも良いかも。
でも、やっぱり一番の利点はcrossbowと同じで習得の簡単さだと思いますよ。銃声で威嚇できる点を除けば」
Kanako達の意見は、普通にWeapon Equipmentとして使うならcrossbowと同じぐらいというものだった。
『Earth』のHunterと違いmonstersと複数回遭遇し戦う事が常であるadventurerにとって、一度撃ったら再び使うのにcrossbow以上に手間のかかる火縄銃は、常備するWeapon Equipmentとしては不適格だ。
ただHumanを対象にした場合は、形状が一見するとWeapon Equipmentと気がつきにくい為多少は有効である。しかし、同じ敵に対して二度以上は通じないだろう。
「火薬作りと弾丸の加工の手間、そして扱いの難しさを考えたらcrossbowの方が良いと思いますよ」
『そうだねぇ……maybe VandalieuがCursed Weaponsにしても、自力で弾込めが出来ないだろうしねぇ』
『勇士達によるCannoneer隊を結成してみたかったのだが、残念だ!』
Kanako達の結論に、IzanamiやValkyrieが残念そうに嘆く。ただZakkartの遺産の有用性が認められなかったGufadgarnは、特に気を悪くした-sama子も無く「やはりか」とnod。
「Zakkartも-sama々な問題点を理由にDemon King Armyとの戦いで役立てる事を諦め、自分や他のChampion達が使うための特別製の銃を幾つか作っただけで研究を止めてしまった兵器だ。
それを簡単には覆す事は出来ないだろう」
「……意訳すると、凄いZakkartに出来なかったのに俺達に出来る訳が無いって事か?」
「然り。Doug、お前とは話が合いそうだ」
皮肉を込めたDougの言葉に、Gufadgarnは我が意を得たと頷き返して、そう答えた。
自分より後にVandalieuに従ったので、自分と同等と考えて接してくるこのEvil God (M)の価値観は、当然のようにZakkart……そしてVandalieu中心にworldが存在する形で構成されている。そのためDougの皮肉は理解されなかった。
「俺は合わないと思うが……じゃあ、銃じゃなくて火薬を使うWeapon Equipmentを考えたらどうだ? 爆弾とか」
Dougのideaに、全員が「それなりに役立ちそうだ」と考えた。爆発する火の玉や大きな石の弾丸を飛ばすmagicが存在するこのworldだが、magicは誰もが使える訳では無い。特に、普通の警備兵や徴兵された一般人はまず使う事が出来ない。
全員が他国と比べて高度な訓練を受けているTalosheimの国民も、槍や弓の扱いは一般的なSoldierと同じ水準で扱えるが、攻撃magicが使える者は稀だ。
「adventurerのWeapon Equipmentとしては扱い辛いのは変わらないと思うけど、音と光だけのかんしゃく玉が出来ればmonstersを威嚇したり、気を逸らしたり、便利かもしれない」
「防Guard器としても、爆弾に金属片を混ぜれば殺傷力を上げる事が出来ますし有効かもしれませんね」
「Zakkartも、Demon King Armyとの戦いでは銃を諦めて火薬を狼煙の代わりに用いていた。当時Demon King Armyで先兵として使われていたmonstersには、混ぜる金属片をOrichalcumにでもしなければ効かなかったそうだ。
だが、平和になったら夏のnight空に向かって撃ちあげたいと言っていたのを覚えている」
『空に?』
「はい、確か……花火と言うのだそうです」
どうやらZakkartは、金属の燃焼反応を利用して黒色火薬を信号弾として利用していたらしい。そして、それをいつか花火として使う事を考えていたそうだ。
「花火……最初の実績としてはまずこの辺りですね。兵器を作っても実際に使うのは何時になるか分かりませんし、花火ならeventにも使えますし。まあ、本格的な打ち上げ花火まで作れるかは試さないとわかりませんけど」
「実績を積む目途がついたようで何よりだ。お前達が活躍し、認められる時を心待ちにしているお方も喜ぶだろう」
Kanakoの呟きに、Gufadgarnはそう言ってnod。
「あたし達、そんなにVandalieuに期待されているんですか!?」
それを聞いたKanakoが驚いて嬉しそうにGufadgarnに聞き返したが、彼女は首を横に振って「Vandalieuでは無い」と答えた。
「その方は、Vandalieuにとても親しい方だ。その方は歌って踊れるMageであるお前が、Vandalieuにある品を与えられるほど信頼される事を期待している」
「……そ、そうですか。応援されるのは良い事ですが、なぜ歌とdanceが?」
謎の、自分以外のMagical Girlの出現を求める人物の応援を受けつつKanako達はそれから爆弾では無く、花火作りを行う事になった。
黒色火薬に必要な材料の配分や、金属の燃焼反応で出る炎の色など『Earth』や『Origin』との違いに戸惑いつつも、花火を形にして行った。
そして新年を迎えて暫く経った頃、Dungeonの中では無くTalosheimの郊外で花火を試す事になった。
「Death Ironって、粉末を燃やすと黒い炎が上がるんですね」
「nightには使えないわね……あ、Eclipse?」
空を見上げたMelissaが、太陽が端から黒く染まって行く事に気がついて声を上げる。
「このworldにもEclipseがあるんだな。って、おいどうした!?」
Dougが視線を向けた先では、Legionが無言のまましかし激しく脈打ち蠢いていた。
Eclipseが起こる前まで時間は遡る。
Merfolk nationからやや沖に出た場所に在る、難破船が流れ着く船の墓場と呼ばれる岩礁でVandalieuは、航海に使うための船を調達しようとしていた。
「とりあえず、この四隻の船のpartsを使いましょう。……起きろ、Fusion」
【Golem Creation】skillで、それぞれのpartsをFusionさせ、更にUndead Transformationさせる。
『ウ゛ォォォォォォ……』
船から唸り声が上がり、難破船が幽霊船と化した。バタバタと破れた帆がはためき、藻やフジツボのついたオールが海面を叩く。
『大きい船ですね、陛下!』
「うわ~、脚の多い生き物がいっぱい。Peteみたい」
「おお、外のworldの船は大きいだけではなく、こんなに沢山のオールがついているのか」
完成した幽霊船をSamのcarriageから眺めて、Princess LeviaとPauvina、そしてKijin nationの姫Oniwakaがそれぞれ歓声を上げる。
Pauvinaは船よりも、船から溢れ出てきたcountlessの蟹や海老やシャコっぽい何かに注目しているが。
『ボス、ガレアス船と帆船と魔導船が混ざってますぜ』
ただPauvina達と違って大型船についてある程度知っている元Amid Empire軍人のKimberlyは、出来上がった船に対して不安そうな顔をした。
ちなみに魔導船とは造船時に船Carpentryだけでは無くalchemistも加わった、magic itemとして造られた船である。主な所有者はRoyal Nobilityや莫大な富を築いた商人、またDevil Nestsと化した海域であるDemon Seasを航行するためにadventurerが持っている事も多い。
恐らく、Boundary Mountain Rangeの内側に海から入ろうと試みて失敗して難破したのだろう。
『あっしも精々川ぐらいで、海に出た事は無いんですがね。それでもあれで、大丈夫ですかい?』
「まあ、maybe。船自体がUndead Transformationしているので、動かすのは問題無いでしょう。不具合が起きたら、また改造しますし」
本格的に問題が起きて沈没しそうになったら、Samに乗って空に逃げれば良いので大丈夫だろう。
「ところでVandalieu、船の上で四人の船長が言い争いを始めているぞ。あれはお前が作ったUndeadなのか?」
「いえ、maybe自然にUndead Transformationしたそれぞれの船の船長でしょう。怨念が特に残っていそうな船のpartsを選びましたからね。他にも活きの良いUndeadが多いので、船員の募集もしましょうか」
「お掃除に人手が必要だもんね」
その後、自分こそが船長だと言い張る海賊船と軍船と商船の元船長と魔導船のadventurerが言い争いをしているのを宥めて、四人とも採用。
その後、周囲を彷徨っているUndead船員をscoutした。彼等には『Storm of Tyranny』から貰った略式の海図を見て貰わなければならない。
「とりあえず【Preservation】の後【Deodorization】と【Sterilization】……張り付いた貝類や藻は、勿体ないので後で食べましょう」
Undeadなのに海生生物と共生関係にある彼等だが、これからは白く清潔なbody partで人生をやり直す事になる。
「っと、言う訳でDemon continentに向けて出港しましょうか。途中幾つかDemon Seasを突っ切る事になりますけど、何とかなるでしょうし。
先導を頼みますね、Bone Man、Leo」
『お任せください、主よ。さあLeoよ、遂にお前が活躍する時が来たぞ!』
何本もの縄で幽霊船と繋がったLeo……Talosheim南の大Marshlandsをかつて支配していたGreat Mud DragonのZombieの背に立つBone Manが、張り切って応える。
『GUROOOO……』
するとLeoはcrocodileに似た頭部から低い鳴き声を上げ、tailとヒレ状の四肢とを動かして幽霊船を牽引し始める。
Marshlandsよりもずっと深く、波がある海に若干戸惑っている-sama子だがその進みは力強い。岩礁にヒレが当たっても、砕きながら進んで行く。
「幽霊船自体はまだRank3ですけど、Leoは今Rank9ですからね。しかも Bone Manも乗っている。普通のmonstersだったら通り過ぎるのを待つでしょう」
「ところでVan、船のnameはどうするの?」
「そうですね……Cuatroにしましょう」
Pauvinaに聞かれたVandalieuは、暫く考えた後スPain語で四を表す言葉を口にした。由来はcertainly、四隻の異なる船のpartsを使って造った幽霊船だからである。
若干Pizzaっぽいnameだなと思わなくもないが、大丈夫だろう。
『Cuatro……ボスがつけたらしい、変わったnameで』
『Kimberly -san、他の船はどんなnameなの?』
『大体は女のnameか、『雄々しきクジラ号』みたいな形容詞と海の生き物を合わせたnameが多かったですねぇ』
海は『Goddess of Water and Knowledge』PeriaやそのSubordinate God、そして魚や海生哺乳類のBeast Kingの領域であるため船にGoddessや生き物を称えるnameが付けられる事が多いそうだ。
『まあ、別に変わったnameだからって罰が当たるもんでもないですしねぇ。Marie号とかエリー号とか、似たようなnameの船が山ほどあるよりはいいんじゃないっすかね?』
「まあ、そうですね。よろしくCuatro」
Vandalieuに依って名付けられた幽霊船Cuatroが、軋みのような声を上げて喜びを露わにする。幽霊船である事を除けば、world最大規模の大型船の誕生である。
「じゃあ、船員と船の掃除をしましょうか。食べられる物は回収して、後で船上barbecueでもしましょう」
しかし船内には棲みついた海洋生物やゴミが山ほど残っている。既に一度【Sterilization】の術をかけてあるが、放置しておけばすぐカビが生えてしまうだろう。
「目指せ、world一清潔な幽霊船」
「確かに、綺麗にしないとtonight sleeps場所にも困る事に成りそうだな」
「Oniwaka -chan、nightには一度Talosheimに帰るから大丈夫だよ。もし泊まる事になっても、Samがいるし」
「あ、そうか」
早速【Out-of-body Experience】後にCloneして掃除や船員たちがbody partから貝を剥がすのを手伝うVandalieuに続いて、Samのcarriageに乗せて来たデッキブラシを手にとるPauvinaやOniwaka。
Demon Seasを航行しているので警戒もしているが、それはOrbiaやKimberlyが担当している。
こうして航海初日は気の良い船乗り達が提供してくれたサザエやカキ、Cuatroの内部に取り残されていた甲殻類や魚などにtongue鼓を打つ、楽しいものになった。
だが航海七日目にして、空がにわかに陰り出した。
「これが『Storm of Tyranny』のDalton達からの連絡にあったEclipseか」
『陛下っ、不吉の前兆です、何か起こるかもしれません!』
Princess Leviaが黒く欠けて行く太陽を見上げて、不安そうな顔をする。『Giant of the Sun』Talosを片親に持つGiant raceにとって、Eclipseは不吉な事が起こる前兆なのだ。
『それって、昔のTalosheimの話じゃなかったっけ?』
だがOrbiaが聞き返したように、新Talosheimではあまり気にされていない。
『あ、そうでしたね。陛下、maybe大丈夫です』
しかし言われたVandalieuは、空では無く海に視線を向けていた。
「何かが……這い上がって来ます」
そう言いながら【Demon King's Antenna】を伸ばし、先端に【Demon King's Eyeballs】をActivateさせる。その濁った瞳は、青白い不吉な輝きを宿していた。