AsagiとKanako、両groupがVandalieuと話し合いをしている間、RodcorteのDivine RealmではRodcorte自身はcertainly、そのFamiliar Spiritと成った【Calculation】のMachida Aran、【Inspector】のShimada Izumi、【Oracle】のEndou Kouyaも事態を見守っていた。
とは言っても、RodcorteとAran達の思惑は異なっている。
Rodcorteは話し合いが決裂して戦闘が始まり、AsagiがVandalieuを倒す……可能性は低いが、情報収集に役立たないかと期待している。
Aran達は逆に、戦闘が起こる事を恐れていた。Kanako達はどうなっても構わないが、Asagi達の魂が砕かれる事は避けたかったのである。
『やはり、もう構うなと伝えるべきじゃないか?』
『Kouya、その忠告をAsagiが素直に聞くと思うか?』
『……無理だな』
仲間意識と思い込みが強く、熱blood漢なAsagiの存在は『Origin』でReincarnator達を纏める上で大いに助かった。『Earth』とは異なる環境で、自分がReincarnatorである事を隠して生きて来た彼等にとって、『Earth』で生きていた時と同じように接するAsagiに助けられた仲間は多い。
……MurakamiやKanako、それにMinuma Hitomi等どうしてもAsagiと合わなかった者達も、何人かいたが。
そして、明らかにVandalieuもAsagiとは合わないTypeだとKouya達は確信していた。
ferryが沈没する時に運良く助かった、『Earth』でまだ生きている元classmateのrecordを閲覧して見たが、その中に当時のAsagiに構われている、彼の姿が在った。
Asagiは気がついていなかったようだが、その時の彼の目は明らかに死んでいた。
『いっそ、彼に導かれた方がまだ良いかも。maybe、無いと思うけれど』
泉がため息交じりにそう呟くが、すぐ『無いわね』と彼女自身がその可能性を打ち消してしまう。
Reincarnatorでも導かれる事は【Perseus】のSamejima Yuri……Sallua Legstonの例で分かっているが、それまでに時間がかかっていた。少し話しただけで導かれるような事は、無いだろう。
そもそも我の強いAsagiがVandalieuに導かれるのか、かなり疑わしい。VandalieuもAsagiを導こうと積極的に話しをするとは思えない。
Bodyを持たないFamiliar Spiritに昇華したのに緊張でstomachが痛くなる思いをしながら事態の推移を見守っていると、AsagiはShoukoとTendouを連れて、大人しく引き下がった。
『意外だな……戦闘にdevelopmentすると思ったのだが』
Rodcorteがそう呟くのがAran達には聞こえたが、彼等も同感だった。彼等が知っている以前のAsagiなら、まだまだVandalieuに食い下がっていたはずで、その内Vandalieuのpatienceが限界に達するのではないかと予想していたからだ。
ちなみに、RodcorteもAran達もAsagiのdemandをVandalieuが受け入れるとは全く考えていなかった。
『これでVandalieuに対する認識を改めたなら良いんだけど……』
そう言うAran達Familiar Spiritも、そしてRodcorteもAsagiが今まで見聞きした事や『record』として閲覧する事は可能だ。
しかし未来で何を考え実行するのかは、予想するしかない。
ともかく、Vandalieuのimpact下にある場所から離れた以上暫くは大丈夫だろう。
『Legion……瞳について敢えて教えなかったのが良かったのかもしれないわね』
『そうだな。彼が『The 8th Guidance』や瞳の今のconditionについて知っていたら、間違いなく激怒するだろう』
彼女達がHumanでは無く、肉で出来たマネキンを大雑把に球体の形に纏めた謎のFusion生命体と化している事をAsagiが知ったら、間違いなく激怒する。Humanをこんな異形のmonsterにするなんて、許される事では無いと。
激怒して、それをそのままVandalieuにぶつけるだろう。
『どんな経緯で彼女達がああなったのかは知らないが、maybe Vandalieuが意図して行った訳じゃないし、彼女達の-sama子を見る限りそれに不満は無さそうだ』
『maybe、Rodcorteの責任でしょうね。尤も、Vandalieuも別々の死体を繋ぎ合わせたUndeadや、他にも色々としているから、誤解されても仕方がないと思うけれど』
そう言いながら、この件については引き続き教えないでおこうと頷き合うKouyaと泉。彼等の関心は、まだ残っているKanako達から離れつつあった。
RodcorteもVandalieuを止めようとしているAsagi達はin any case、彼に取り入ろうとしているKanako達には関心は無かった。
恐らく失敗するだろうが、殺され魂を砕かれても、Reincarnatorであり来世の予定が決まっていないためCircle of Reincarnation systemが受けるDamageは最小限で済む。
もし取り入る事に成功すれば、束の間の間は情報収集の手段として使えるだろうが、それでもやはり何れ導かれてしまうだろう。
「あたし達をVida's New Races、Vampireとかにすると良いと思います!」
だからKanakoがこう言い出した時には驚いた。
『何だと?』
Rodcorteが驚き、Kanako達の-sama子に注目する。
『BAKANA、Circle of Reincarnationに関する知識は『Lambda』にreincarnationする際に消したはず……Vida's New Racesと化せば、導かれるのを待つよりも確実にVida式Circle of Reincarnation systemに属せる事を、何故知っているのだ?
まさか……与えたAbilityを使ったのか』
【Death Scythe】のKonoe Miyajiが消滅した後、RodcorteはこのDivine Realmで他のReincarnator達が自由にAbilityを使えるようにした。
Divine Realmで有効に使えるかはAbilityによって異なるが、使えるconditionに戻る事で生前のconditionに近づき、それで考えが纏まり易くなるのではないか。そう思ったからだ。
特にKanakoの【Venus】はMemoryやemotionsを操る事が出来るので、役立つだろうと考えていた。
Bodyが無いconditionなので間違っても殺し合いは起きないし、自分も監視しているので問題も起きないだろう。そう考えていたのだが……。
『そうだ、Abilityに関しては監視していたはずだ。なら考えられるのは……』
自分の注意力を過信しているRodcorteがAran達に視線を向けるが、彼等もKanakoの発言には驚いていた。
『俺達がKanako達に『Vida's New RacesになるとVandalieuに取り入り易くなる』と教えたんじゃないかと思っているなら、外れだぜ』
『Familiar Spiritの私達が、あなたに隠れてOracleを下せる訳が無いでしょう』
『そもそも、教える理由が無い。私達は彼女達に裏切られた側で、和解した訳でもない。彼女達は確かにMurakamiから離反したが、だからと言って反省した訳でもない』
特にKouyaの言葉に説得力を感じたのか、Rodcorteは注意を彼等からKanakoへと戻した。
『と言う事は、偶々Vida's New Racesを纏めているVandalieuに取り入るには自分もVida's New Racesに成った方が良いと考えただけか?
それとも……何らかの方法で私を出し抜いたのか?』
そう呟きながら、Rodcorteは思考をKanakoが何故Vida's New Races化を言い出したのか、その理由を彼女のrecordから探る事に意識を集中させた。
それを見ながら、Aran達は静かに動揺していた。
Rodcorteが本格的に信用できない……いざと成れば、我が身可愛さでReincarnator達もworldも放り出す存在だと分かってから、何とか彼を出し抜けないかと考えを巡らせてきた。
だがその結果が出る前に、KanakoがRodcorteを出し抜いた。それは衝撃と共に、敗北感を覚えるには十分な事実だった。
『『Bravers』じゃこれでも頭脳労働担当だったんだけどな……どうした、泉?』
肩を落としたAranがふと見ると、泉はあらぬ方向に視線を向けていた。
『いえ、何かに見られたような気がして……一瞬だけど、何かが見えたような……?』
『何か、て?』
『目のように見えたわ。Humanのじゃなくて、獣の』
『気のせいや見間違い、ではないな。【Inspector】の力で、そうした偽りは分かる筈だ』
『ええ、だから目のような何かを見たのは確実何だけれど……いいわ、この事は考えないようにしましょう。口に出すのはcertainly禁止、出来るだけ早く忘れるのよ。……何かあるまでね』
自分達の思考は、Rodcorteに筒抜けなのだからと泉が言うと、Aran達も頷いた。
だがこの「筒抜け」とは、Rodcorteが常に自分達の思考を見張っているという意味では無いとAran達は知っていた。
監視cameraの一つに、彼女達の思考が映し出されている-samaなconditionだ。そしてRodcorteは、countlessの監視cameraの映像が映し出されている警備室で、それらをモニターする事が出来る。
しかし、そのRodcorteが他の事に注目している間は彼女達への監視が疎かになる……かもしれない。
とりあえず三人は、一瞬だが見えた「獣の眼のような何か」が次に何らかの行動を起こすまで、その事をRodcorteに知られないように試みる事にしたのだった。
Kanako達がVandalieuの実験用Dungeonで過ごしている頃、Asagi達三人は旧Scylla Autonomous Territoryとの境界線から、Sauron Duchyの都まで戻って来ていた。
そして中程度の宿屋にroomを取ると、三人はその中の一室に集まって腰を下ろした。
「ここまで来れば、尾行も無いだろう。無いよな、Tendou?」
「ああ。maybeだけど」
【Clairvoyance】のTendouは、その力で自分達に尾行が付けられている事に気がついていた。そのため、彼等は足早に人目のある町まで戻ったのである。
間違っても尾行を撒こうとか、撃退しようなんて事は考えなかった。何故なら『Origin』とは違って、このworldには自分達では太刀打ちできない存在が幾らでもいると、経験から知っていたからだ。
certainly『Origin』でもAsagi達は無敵だった訳では無い。しかし相手は近代兵器で武装した軍隊だったり、そうした武装集団をminionsに持つ大富豪や汚職政治家だったりと、個人で強かった訳では無い。
しかしこの『Lambda』では、Asagi達の感覚では原始的な武装だけで彼等を圧倒する個人が存在する。
あの『head-hunting demon』もその一人だと、Asagiは考えていた。
「Tendouの【Clairvoyance】でも姿を直接確認できなかった奴だ、俺なんて全く気がつかなかった。Shoukoの熱源探知にも引っかからなかった。このworldはmonsterだらけだな」
「Asagi、あたしの熱源探知でNeck-Hunting Demonが分からなかったのは、きっと奴がUndeadだからだよ」
「それも含めて、monsterだらけだって事だ」
Asagiはそう言いながら、ため息をついた。このworldにreincarnationして来てから、彼は何度も敗北を経験している。
一度目はadventurer崩れのチンピラ同士の喧嘩を止めようとして、敗北した。実力では遥かにAsagiの方が上だったのだが、チンピラ達が使った【Unarmed Fighting Technique】のMartial Artsが綺麗に入ったのである。
二度目の敗北はUndead TransformationしたMage、Lichとの戦いで。【Mage Masher】を使用してLichのattribute magicを封じた時に、【No-Attribute Magic】の【Mana Bullet】を受けて敗北した。
知識としてはMartial ArtsやNo-Attribute Magicの存在を知っていたのだが、実際の経験として知らなかったための油断であった。
だがそうした敗北を糧に、Asagiは前世よりも幾分用心深くなっていた。Vandalieuに魂を砕く事を止めるようdemandしなかったのも、その為だ。
AsagiがVandalieuを止めなくてはならないと思った理由が、彼が【Death Scythe】の魂を砕くところを見たのがきっかけだった。
Circle of Reincarnation systemに大きな悪impactを与える以上に、魂を消滅させるという殺害を超える行為に忌避感を覚えたのだ。
人が人を殺すだけでは無く、魂を消滅させる。それに値する罪とは何なのか、それが許される道理はあるのか、納得できなかったからだ。
何故それを伝えず、代わりに「Death-Attribute Magicを使うのを止めろ」と言ったのか。それはVandalieuが同意したとしても、彼なら砕く以外の方法で魂を捕えるための抜け道を編み出すだろうと思ったからだ。
魂を砕かずそのままsealedしたり、Memoryや人格など魂の一部だけを破壊したり、分割して一部だけ閉じ込めたり。
魂が実際にどんな構造をしていて、一部だけなら壊されても平気なのか、分割する事が可能なのか。Asagiは知らない。
RodcorteはReincarnatorの魂は地上を彷徨ったり、Undead Transformationしたりせず、速やかに彼のDivine Realmに戻ると説明していた。
しかし Asagiが「Rodcorteを信用するな」と言うAran達からのmessageを受け取ってから、それほど時間はたっていない。
それにVandalieuが【Gungnir】のKaidou Kanataの魂を砕いている以上、最低でも砕かれるのに十分な時間があると言う事になる。その時間があれば、砕く以外の事をするのにも十分なのかもしれない。
だから、魂を砕く事だけでは無くDeath-Attribute Magic全体を使わないようにAsagiはdemandしたのだ。
魂を砕くVandalieuの力は、明らかにdeath attributeに関連がある。故に、death attributeを使えないようにすればVandalieuは魂を砕く事が出来なくなる。
certainly、死者の尊厳を汚し弄ぶ事が許せないのも本音だが。
「でも【Perseus】……Samejimaの安否は聞いておきたかったな」
「仕方ないだろう。俺達がSallua Legstonの事を知っている筈が無いんだ。それなのにあいつのnameを出したら、Reincarnatorだってばれて逆に危険かもしれない」
Sallua Legstonが【Perseus】であり、彼が今このworldのfamilyと共にTalosheimで生活している事を、Asagi達はAran達から知らされていた。
しかしそれをVandalieuに知られたら、彼がどんな行動に出るか分からないためAsagi達は安否の確認もできなかった。
「それで、これからどうする? Vandalieuを止めるためにMurakami達と共闘するなんて言い出したら、俺は抜けるぞ」
「Tendou、幾らなんでもそんな事考える訳無いだろ。あいつ等と共闘なんてしたら、背中の方が危ない」
Tendouに言われるまでも無く、未だにVandalieuを狙っているはずのMurakami達との共闘、協力はあり得ない。Kanako達同-samaに、信用できない。
「そもそも、俺はVandalieuと戦いたい訳じゃ無い。ただ間違いを止めたいだけだ。
そのためには、あいつがdeath attributeを捨てられる方法を先に考えるべきだと思う。Rodcorteの力を使わない、別の方法を」
「Rodcorteの力を使わない方法ね……確かに話し合いでも言っていたけど、そんな方法が本当にあるの? あたしは無いと思うけど」
「『Origin』にあったmagicを使えない-samaにsealedするmagic itemと、似たような物がこのworldにもあるだろうけれど、あいつにそれを使うのは絶対に無理だぞ。Manaの桁が違い過ぎる」
口々にそう否定的な意見を言うShoukoとTendouに、Asagiは「あるはずだ」と力強く答えた。
「certainly根拠もある。二人とも、このworldのMythは覚えているか? Demon King Guduranisがバラバラにsealedされたところだ。
Demon King Guduranisの力は、Mythで聞いた限りdeath attributeのmagicに酷似している。だったら、そのDemon Kingをsealedした方法を応用すれば、Vandalieuや『The 8th Guidance』のdeath attributeもsealedできるかもしれない」
「それは……たしかに出来るかもしれない。少なくとも、【Demon King Fragment】とそのsealedについては事実なんだし」
驚きと共にTendouはAsagiの言葉に頷いた。実際Vandalieuは【Demon King Fragment】を取り込んで、我が身の一部同然に使いこなしている。
それで彼がDemon Kingに等しいのなら、Demon King Guduranisに有効なsealedはVandalieuにも有効かもしれない。
だがShoukoは懐疑的なようだ。
「たしかにそうだけど、そのsealedをVandalieuは解いているじゃないか。それにあんたはあいつを倒すつもりは無いんだろ? バラバラにしてsealedしてどうするのさ」
「確かにそうだが、別に同じ方法でVandalieuや『The 8th Guidance』達をsealedする訳じゃ無い。Demon Kingのsealed方法を調べて、それを応用してあいつのdeath attributeだけをsealedする方法が無いか考えるんだ。
そしてもしDemon Kingのsealedが応用可能で、death attributeに対して有効だったらその方法をMage guildや他の国に広める」
「ちょっと待てっ、何で他の国に広めるなんて話に繋がるんだ!?」
驚くTendouに、Asagiは答えた。
「このworldを『Origin』の二の舞にしないようにするためだ。
Vandalieuのdeath attributeをsealedする事が出来ても、death attributeについて権力者が知れば絶対に自分達も手に入れようとするだろ。それを防ぐために、death attributeへの対抗手段を広めるんだ」
『Origin』ではdeath attributeを唯一持つ当時のVandalieuが死んだ後も、各国が裏でdeath attributeの研究を続けていた。
それだけの有用性をdeath attributeは持っている。実際、Vandalieuはdeath attributeの力を使い一国の支配者にまで上り詰めた。
だからAsagiはdeath attributeをsealedできる技術を各国に広め、このworldでdeath attributeの研究競争が起こらないようにするべきだと考えたのだ。
そうして、後はこのworldの宗教関係者がdeath attributeを禁忌の力だと指定すれば完全ではないが大丈夫だろうと。このworldでは、『Origin』よりずっと宗教の力が強い。
「……たしかに、Rokudouのbastardがreincarnationして来た時にも役立ちそうだね。あいつがdeath attributeの研究を完成させられるとは思えないけど」
まだ『Origin』で生きているはずのBraversの幹部であり、裏でDeath-Attribute Magicの研究を続けMurakami達の裏で糸を引いていた男の名を出して、Shoukoは頷いた。
「そうだな……本当に出来るかは分からないが、やってみるか」
Tendouも迷った末に頷いた。Vandalieuを恐れていた彼だが、それだけに対抗手段が見つかるかもしれない可能性は、魅力的に思えた。
MaoのようにこのContinentから出て完全に関わりを断つと言う選択を忘れた訳ではない。しかし、それを選ぶにはTendouから見たVandalieuの力が大きすぎたのだ。
Bahn Gaia continentから離れても、逃げ切れないのではないか。このworldで生きている限り、彼の気が変わって自分を殺しに来るんじゃないかと怯え続けなければならないのではないか。
そんなsense of fearと不安を覚え始めていたTendouにとって、Asagiの提案は光明に等しかった。
「よし、じゃあ二人とも納得してくれたしこの案で行こう。とは言っても、まだ手がかりは無いわけだが……まあ、遺跡探しでもするか。
……そんなに時間をかけていられないかも知れないが」
そうnod Asagiは嫌な予感を覚えていた。一国の支配者をself-proclaimedするVandalieuが勢力を拡大し続ければ、何時かAmid EmpireやOrbaum Elective Kingdomと本格的な戦争に、Continent全土を巻き込んだ大戦争が起こるのではないかと。
(そう成らないようにするためにも、death attributeに対抗できる何かを見つけないとな。あいつも、death attributeへの対抗手段を他の国が持つ-samaになれば、慎重になるかもしれない。
少なくともあいつがSauron Duchyから撤退して、Mountain Rangeの中に籠もっていれば平和は保てるはずだ)
実際には、既に『God of Law and Life』Aldaの勢力が動き始めており、もし仮にVandalieuが大人しくBoundary Mountain Rangeの内部に立て籠もっても、下手をすればworld全体を巻き込んだ戦乱にdevelopmentしかねないのだが……それをAsagiは知らなかった。
Vandalieuが海で船を探している頃、『Origin』のAmemiya Hirotoは自宅で休日を過ごしていた。
『The 8th Guidance』との戦いと、その後に起きたDepartment of Defenseでの大事件の後一年以上が過ぎ、world情勢は大きく動いていた。
『The 8th Guidance』のhideoutに特殊部隊を派遣した国々と『Bravers』の関係は悪くなり、表面上は修復されたが実際は未だギクシャクしている。
United Statesでは大統領が自ら職を辞して総選挙。政権が交代し、Department of Defenseの再建に今も追われている。
国連では、death attribute研究禁止条約を全加盟国が締結するべしとの機運が高まった。Hirotoも条約締結の為に動こうとしたが、ある人物の反対もあってそれは叶わず、条約も結局は破棄されてしまった。
「kaa-san、おじ-sanはまだ来ないの?」
「ふふ、Hiroshiはおじ-sanが大好きなのね」
Amemiya Hirotoと結婚し、NaruseからAmemiya Narumiになった彼女は、長男のHiroshi(ひろし)に笑いかけた。
「そんなに慌てなくてもすぐ来るさ。あいつも、今日はオフの筈だから」
苦笑いをしながらそう息子に言うHirotoは、返って来た言葉に少し動揺した。
「だって父-sanっ、おじ-sanに会うの久しぶりなんだもん。父-sanだってそうじゃないか」
「そう、だな。ああ、暫く父-sanもprivateじゃ会っていなかったな」
動揺を表情に出さないようすぐに押し殺すが、Narumiには気がつかれてしまったようだった。
そんな時、インターホンが来客を告げた。
久しぶりにAmemiya 家を訪れたおじ-san……【Avalon】のRokudou Hijiriは、口元に穏やかな笑みを浮かべていた。
「久しぶり、と言うのは変かな。仕事であっているし、お互いmediaで取り上げられる事も多いから」
「……そうだな」
「だが、分かって欲しい。あのdeath attribute研究禁止条約に反対したのは、私なりに考えた結果なんだ」
条約に反対したある人物、それは現在『Bravers』の幹部達の中でも代表的な立場にあるRokudou本人だった。
Minami AsagiやEndou Kouya亡き今、最も信頼する彼の反対は、Hirotoにとって衝撃的だった。しかし、今では彼の言い分も分かる。
「国連の加盟国だけで禁止しても意味は無い。それどころか、非加盟国や大規模な犯罪organizationがdeath attributeの研究に手を出した時に備えて、対抗手段を用意するためにも全てを禁止する条約には賛成できない。そういう事だろう?」
「それに、私達はあくまでも一organizationのHumanだもの。政治家でも、為政者でも無いわ。国連の採決で否決されたのなら、私達が賛成してもしなくても結果は変わらなかったはずよ。
あなた達二人が気にする事じゃないわ」
HirotoとNarumi、二人の言葉にRokudouは「分かってもらえて良かった」と言って笑った。
だが真実は違う。Rokudou Hijiriは自身が秘密裏にdeath attribute研究を進める上で、条約が邪魔になるから反対したに過ぎない。
各国の要人や富豪、そして何人ものReincarnator達を従えている彼だが、流石に主だった国でdeath attributeの研究が禁止されるのは都合が悪かったのだ。
条約が締結されれば、death attributeの研究にも使える試薬や霊薬、magic itemや分析機器の取引や輸出入の監視が厳しくなる。そこから計画が露見したら今までの苦労が水の泡だ。
(MinamiやEndou、それに天道が消えてくれたのはFortuneだったな。お蔭でやり易くなった。やはり、私はDestinyに愛されている)
そのAsagiがanother worldにreincarnationしており、KouyaがDivine Realmで今も苦々しく自分を見つめている事には思い至らず、Rokudouは自分が特別なのだと確信していた。
「難しい話はここまでにしよう。Narumi、遅くなったけどこれは出産祝い」
綺麗に包装された箱を受け取って、Narumiは「ありがとう」と微笑んだ。Hirotoも肩からも力を抜き、元の友人同士のようにRokudouに接する。
「おじ-sanっ、おれの分は!?」
「こら、Hiroshi! 失礼な事を言うんじゃありません」
「ああ、Hiroshi -kunの分はこっちだよ」
Rokudouが少し小さめの袋を出すと、Hiroshiはそれを受け取って「ありがとう!」と言って走り出す。Narumiは「待ちなさいっ、袋を開けるのは-chanとお礼を言ってから!」と叱りながらそれを追い駆けて行く。
「悪いな、とんだやんちゃ坊主に育ってしまった」
「なに、元気なのはいい事さ。でも-kunにも、nameを貰った彼にも似なかったようだね」
「……ああ、そうらしい。僕は自分と似たnameの彼、Amamiya Hirotoと会った事は無いから良く知らないのだけど」
「実は、私もよく覚えていないんだ。彼の事は」
Hirotoは会った事が無い……accurateには、Undead Transformationする前に会えなかったAmamiya Hirotoに思いを馳せる。
Rokudouも、言葉通り覚えていないAmamiya Hirotoを想う振りをしながら、実際にはHiroto達を騙して今の関係を維持するための芝居も大変だと思っていた。
(人形に仕立てた【Metamorph】だけに任せていると、本物の私の方がAmemiyaの『善良な親友』の演技の仕方を忘れてしまうからな)
そして芝居の続きとして、「そう言えば」と話題を変える。
「産まれた二人目のchild、娘-sanだってね。nameは冥(めい)と聞いたけど……やはり?」
「ああ、Plutoと名付ける訳にはいかなかったから、それで和名に変えたんだ」
「そうか……『The 8th Guidance』には、特にPlutoとBaba Yagaには未だにfanが多い。身辺には気を付けた方が良い。
ところで、もうattribute診断は受けたのかい?」
科学とmagicが共存しているこの『Origin』では、我が子がどんなattributeの適性を持っているのか知る事は重要だ。そのため、幼いchildの頃にManaを検査して素質を診断するのが先進国では常識である。
「いや、一ageになっていないからまだ受けていない。幼すぎると、Manaが弱くて検査機器でも分からない事が多いから」
「そう言えばそうだった。この国だと……たしか、検査は満三ageで受けるんだったかな?」
(Plutoのnameにあやかっても、death attributeの素質がある筈は無い。私の気にし過ぎか)
Rokudouがそう考えているその時、別のroomに置かれたベビーベッドで横になっている冥の瞼がふと開いた。
「……」
露わになった目は、白目であるはずの部分も含めて全て漆黒だった。だが、瞬きをしたと思ったら普通の目に戻っていた。
そしてそのまま瞼を閉じて、再び眠り始めた。
この小さな、しかし異-samaな現象を見ている存在は、神ですらいなかった。